『Solstice DiskSuite 4.2.1 ユーザーズガイド』では、Solstice DiskSuite 4.2.1 を使用してシステムを設定および保守する方法について説明します。
DiskSuite 製品をすぐにご使用になりたい場合は、この章の情報をご利用ください。この章は「ロードマップ」として構成されており、記憶容量の設定など、特定の DiskSuite 作業に関する情報を見つけるためのガイドとして役立ちます。この章では、DiskSuite の使用に必要なすべての作業について言及するのではなく、次に示す DiskSuite の概念に関連した作業と、その実行方法を記述した参照先をまとめています。
記憶容量
可用性
入出力パフォーマンス
管理
トラブルシューティング
この章では、機能別に構成された作業の詳細な一覧も提供します。「DiskSuite 作業手順のまとめ」も参照してください。
DiskSuite を正しく使用しないと、データが破壊されることがあります。 DiskSuite は、ディスクとディスク上のデータを管理するための強力な方法を提供します。DiskSuite をご使用になる前に、最低限の安全対策として、DiskSuite の動作について確認しておくことが必要です。
作業 |
説明 |
参照先 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
記憶容量の設定 |
スライスにまたがる記憶容量を作成するには、ストライプ方式メタデバイスまたは RAID5 メタデバイスを作成します。これによって、そのメタデバイスは、raw デバイスにアクセスするデータベースなどのアプリケーションやファイルシステムに使用できます。 | ||||||
既存ファイルシステムの拡張 |
既存ファイルシステムの容量を増大させるには、連結を作成してから新たなスライスを追加します。 | ||||||
既存の連結方式の拡張 |
既存の連結方式を拡張するには、DiskSuite ツールを使用してストライプ方式の連結を作成します。 | ||||||
RAID5 メタデバイスの拡張 |
RAID5 メタデバイスの容量を拡張する必要がある場合、これに新たなスライスを連結できます。 | ||||||
UFS のサイズ増大 |
growfs(1M) コマンドを使用すれば、データへのアクセスを中断することなく、UFS をマウントしたままでサイズを拡張できます。 | ||||||
ファイルシステムの作成 |
ストライプ、連結、ミラー、RAID5 メタデバイス、またはトランスメタデバイス上にファイルシステムを作成できます。 | ||||||
表 P-3 DiskSuite ロードマップ ― 可用性
作業 |
説明 |
参照先 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
データの可用性を最大にする |
データの可用性を最大限に高めたい場合、DiskSuite のミラー化機能を使用して、データのコピーを複数保持します。データ準備用の未使用スライスからミラーを作成したり、ルート (/) や /usr など既存のファイルシステムをミラー化することができます。 |
「未使用スライスからミラーを作成する方法 (DiskSuite ツール)」 | |||||
最小限のハードウェアコストでデータの可用性を増大させる |
最小限のハードウェアでデータの可用性を増大させるには、DiskSuite の RAID5 メタデバイス機能を使用します。 | ||||||
既存のミラーや RAID5 メタデバイスのデータの可用性を増大させる |
ミラーや RAID5 メタデバイスのデータの可用性を増大させるには、ホットスペア集合を作成して、これにミラーのサブミラーや RAID5 メタデバイスを関連付けます。 | ||||||
リブート後にファイルシステムの可用性を増大させる |
リブート後にファイルシステム全体の可用性を増大させるには、システムに UFS ロギング (トランスメタデバイス) を追加します。ファイルシステムをロギングすれば、システムのリブート時の fsck(1M) の実行時間が減少します。 | ||||||
表 P-4 DiskSuite ロードマップ ― 入出力パフォーマンス
作業 |
説明 |
参照先 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ミラーパフォーマンスの改善 |
ミラーを作成する前に、状態データベースの複製を追加すると、ミラーのパフォーマンス改善に役立ちます。 | ||||||
ミラーの読み書きオプションのチューニング |
ミラーの読み書きオプションを指定すれば、特定の構成に対するパフォーマンスを改善することができます。 | ||||||
デバイスパフォーマンスの最適化 |
ストライプを作成すると、そのストライプを構成するデバイスのパフォーマンスが最適化されます。ストライプの飛び越し値は、ランダムアクセスや順次アクセスに対して最適化できます。 | ||||||
既存ストライプの範囲内でデバイスパフォーマンスを維持 |
ストライプ方式の連結では、領域を使い果たした連結やストライプを拡張します。ストライプの連結は、スライスの連結よりもパフォーマンスが優れています。 | ||||||
システムパフォーマンスの改善 |
UFS ロギング (トランスメタデバイス) を実施すれば、同期ディスク書き込みの数を減らすことによって、パフォーマンスの改善に役立ちます。 | ||||||
表 P-5 DiskSuite ロードマップ ― 管理
作業 |
説明 |
参照先 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
大規模な構成における管理の簡易化 |
DiskSuite ツールのグラフィカルインタフェースを使用すれば、多数のディスクをすばやく簡単に操作できます。このインタフェースではドラッグ&ドロップ操作をサポートし、システムの物理表示と論理表示を提供します。 |
『Solstice DiskSuite 4.2.1 リファレンス』の第 4 章「DiskSuite ツール」 | |||||
スライスやファイルシステムをグラフィカルに管理 |
DiskSuite には、Solstice ストレージマネージャのグラフィカルユーザーインタフェースが組み込まれています。これを使用してディスクとファイルシステムを管理し、ディスクのパーティション分割や UFS ファイルシステムの構築などの作業を実行します。 | ||||||
SPARCstorage Array の管理 |
DiskSuite ツールのグラフィカルインタフェースを使用すれば、ディスクトレーの起動と停止や NVRAM の操作など、SPARCstorage Array 上で多数の保守作業を実施することができます。 | ||||||
メタデバイスの再構成 |
metarename(1M) コマンドを使用すれば、メタデバイスを簡単に管理できます。 | ||||||
Solstice DiskSuite 4.2.1 の最適化 |
DiskSuite のパフォーマンスは、適切な構成が行われているかどうかに依存します。一度構成を行なったら、モニタリングとチューニングが必要です。 | ||||||
将来的な拡張計画 |
ファイルシステムは領域を使い果たす傾向があるため、ファイルシステムを連結することによって、将来の拡張計画をたてることができます。 | ||||||
DiskSuite モニタリングの自動化 |
DiskSuite の SNMP 機能を使用して、 SunNet Manager と統合的に警報管理を行います。 |
「SunNet Manager を有効にして DiskSuite ツールを起動する方法 (SunNet Manager)」 | |||||
表 P-6 DiskSuite ロードマップ ― トラブルシューティング
作業 |
説明 |
参照先 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
障害の発生したスライスの交換 |
メタデバイス内で障害の発生したスライスの交換が必要になることもあります。ストライプと連結の場合、新しいスライスを使用し、メタデバイスを削除してから再作成し、バックアップからデータを復元しなければなりません。ミラーや RAID5 メタデバイス内のスライスは、データを失うことなく、交換および再同期することができます。 |
「スライス障害の後でストライプや連結を再作成する方法 (DiskSuite ツール)」 | |||||
ブート障害からの回復 |
システムをブートするとき、ハードウェア障害やオペレータのミスによって特別な障害が発生することがあります。 |
「不適切な /etc/vfstab エントリからの回復方法 (コマンド行)」 | |||||
SSA ディスクの障害時の作業 |
多くの場合、SPARCstorage Array では DiskSuite を透過的に使用できます。ディスク障害の解決といった一部の作業では、手順が若干異なります。 |
「ミラー内で障害の発生した SPARCstorage Array ディスクを交換する方法 (DiskSuite ツール)」 | |||||
トランスメタデバイスの障害時の作業 |
トランスメタデバイスの障害は、マスターデバイスやロギングデバイスで発生することがあり、その原因としては、エラーデータやデバイスの障害があります。同一のロギングデバイスを共有するすべてのトランスメタデバイスを使用可能な状態に戻すには、これらを修復する必要があります。 | ||||||
この節の情報は DiskSuite の機能別に構成されており、すべての DiskSuite 作業手順に対するクイックリファレンスとして使用できます。作業手順ごとに、コマンド行の同等機能を記載しています。
表 P-7 DiskSuite の機能と作業手順
機能 |
DiskSuite ツールのメニューまたは作業手順 |
コマンド |
---|---|---|
連結 |
|
|
状態のチェック |
オブジェクト -> 情報 |
metastat(1M) |
作成 |
編集 -> 作成 -> 連結 (Concat/Stripe) |
metainit(1M) |
拡張 |
未使用スライスをオブジェクトにドラッグ |
metattach(1M) |
スライスに障害が発生した後の再作成 |
メタデバイスを削除してから再作成 |
metaclear(1M)、 metainit(1M) |
削除 |
編集 -> 削除 |
metaclear(1M) |
構成 |
|
|
メタデバイスのリネーム |
「情報」ウィンドウを使用 |
metarename(1M) |
未確定構成の復元 |
ファイル -> ファイルから復元 |
|
すべての未確定操作の取り消し |
編集 -> すべての変更を取消し |
|
未確定操作の取り消し |
編集 -> 最後の変更を取消し |
|
未確定構成の保存 |
ファイル -> ファイルに保存 |
|
DiskSuite ツール |
|
|
オブジェクトの拡大表示解除 |
オブジェクト -> 拡大表示解除 |
|
オブジェクトの確定 |
オブジェクト -> 確定 |
metainit(1M) |
コンフィグレーションログの表示 |
ブラウズ -> コンフィグレーションログ |
|
オブジェクトの削除 |
編集 -> 削除 |
metaclear(1M) |
ディスクの表示 |
ブラウズ -> ディスク表示 |
|
オブジェクト全体の表示 |
オブジェクト -> 拡大表示 |
|
オブジェクトの複製 |
編集 -> 複製 |
|
オブジェクトの評価 |
オブジェクト -> 評価 |
|
終了 |
ファイル -> 終了 |
|
メタデバイスの検索 |
ブラウズ -> 検索 |
|
メタデバイスの表示 |
ブラウズ -> メタデバイス |
|
オブジェクト情報 |
オブジェクト -> 情報 |
metastat(1M) |
障害の表示 |
ブラウズ -> 障害リスト |
|
オブジェクトをキャンバスから移動 |
オブジェクト -> キャンバスから移動 |
|
キャンバス上のオブジェクトの再編成 |
編集 -> キャンバスを整理 |
|
スライスの表示 |
ブラウズ -> スライス |
prtvtoc(1M)、 format(1M) |
ホットスペア |
|
|
ホットスペア集合にスライスを追加 |
ホットスペア集合オブジェクトに使用可能な スライスをドラッグ |
metahs(1M) |
ホットスペア集合の関連付け |
サブミラーまたは RAID5 オブジェクトに ホットスペア集合オブジェクトをドラッグ |
metaparam(1M) |
関連付けられたホットスペア集合の変更 |
サブミラーまたは RAID5 オブジェクトに交換用のホットスペア集合オブジェクトをドラッグ |
metaparam(1M) |
状態のチェック |
オブジェクト -> 情報 |
metahs(1M) |
ホットスペア集合の作成 |
編集 -> 作成 -> スペア集合 |
metainit(1M) |
ホットスペアの有効化 |
「ホットスペア集合情報」ウィンドウを使用 |
metahs(1M) |
ホットスペアの削除 |
「ホットスペア集合情報」ウィンドウを使用 |
metahs(1M) |
ホットスペア集合の削除 |
編集 -> 削除 |
metaparam(1M)、 metahs(1M) |
コンポーネントの交換 |
ホットスペア集合オブジェクトに交換用の スライスをドラッグ |
metahs(1M) |
ホットスペア集合の表示 |
ブラウズ -> ホットスペア集合 |
metastat(1M) |
ミラー |
|
|
サブミラーの接続 |
ミラーオブジェクトにサブミラーをドラッグ |
metattach(1M) |
オプションの変更 |
「ミラー情報」ウィンドウを使用 |
metaparam(1M) |
状態のチェック |
オブジェクト -> 情報 |
metastat(1M) |
作成 |
編集 -> 作成 -> ミラー |
metainit(1M) |
サブミラーの切断 |
「ミラー情報」ウィンドウを使用 |
metadetach(1M) |
拡張 |
サブミラーに未使用スライスをドラッグ |
metattach(1M)、 growfs(1M) |
サブミラーのオフライン / オンライン設定 |
「ミラー情報」ウィンドウを使用 |
metaonline(1M)、 metaoffline(1M) |
障害の発生したコンポーネントの交換 |
エラーの発生したスライスに交換用スライスをドラッグ |
metareplace(1M) |
削除 |
編集 -> 削除 |
metadetach(1M)、 metaclear(1M) |
ファイルシステムのミラー化解除 |
|
|
パフォーマンス監視 |
|
|
デバイス統計情報の表示 |
オブジェクト -> 統計情報 |
iostat(1M) |
グラフの表示 |
ブラウズ -> 統計情報グラフ |
iostat(1M) |
RAID5 メタデバイス |
|
|
状態のチェック |
オブジェクト -> 情報 |
metastat(1M) |
作成 |
編集 ->作成 -> RAID |
metainit(1M) |
拡張 |
RAID5 オブジェクトに未使用スライスを ドラッグ |
metattach(1M) |
障害の発生したコンポーネントの交換 |
エラーの発生したスライスに交換用のスライスをドラッグ |
metareplace(1M) |
削除 |
編集 -> 削除 |
metaclear(1M) |
SPARCstorage Array |
|
|
ファンとバッテリの状態チェック |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> 情報 |
ssaadm(1M) |
コントローラ情報の表示 |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> 情報 |
ssaadm(1M) |
NVRAM の無効化 |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> 高速書き込み -> 無効 |
ssaadm(1M) |
NVRAM の有効化 |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> 高速書き込み -> 有効 |
ssaadm(1M) |
NVRAM の有効化 (同期書き込み) |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> 高速書き込み -> 同期 |
ssaadm(1M) |
NVRAM から未処理の書き込みを フラッシュ |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> NVRAM の同期処理 |
ssaadm(1M) |
NVRAM から高速書き込みデータをパージ |
「ディスク表示」ウィンドウで オブジェクトを選択し、そのポップアップ メニューから「NVRAM をパージ」を選択 |
ssaadm(1M) |
ディスクの予約 |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> ディスクの予約 |
ssaadm(1M) |
ディスクの解放 |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> ディスクの解放 |
ssaadm(1M) |
ディスク / トレイ / コントローラの起動 |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> ディスクの利用開始 |
ssaadm(1M) |
ディスク / トレイ / コントローラの停止 |
「ディスク表示」ウィンドウを表示し、オブジェクト -> ディスクの利用停止 |
ssaadm(1M) |
状態データベースの複製 |
|
|
さらに追加 |
初期化されたメタデバイスの状態データベースオブジェクトにスライスをドラッグ |
metadb(1M) |
接続 |
「メタデバイスの状態データベース情報」 ウィンドウを使用 |
metadb(1M) |
状態のチェック |
オブジェクト -> 情報 |
metadb(1M) |
作成 |
初期化されてないメタデバイスの状態データベースオブジェクトにスライスをドラッグ |
metadb(1M) |
削除 |
「メタデバイスの状態データベース情報」 ウィンドウを表示し、削除を選択 |
metadb(1M) |
復元 |
「メタデバイスの状態データベース情報」 ウィンドウを表示し、復元を選択 |
|
表示と変更 |
「メタデバイスの状態データベース情報」ウィンドウを使用 |
|
ストライプ |
|
|
状態のチェック |
オブジェクト -> 情報 |
metastat(1M) |
作成 |
編集 -> 作成 -> 連結 (Concat/Stripe) |
metainit(1M) |
拡張 |
オブジェクトに未使用スライスをドラッグ |
metattach(1M) |
スライスに障害が発生した後の再作成 |
メタデバイスを削除し、再作成 |
metaclear(1M)、 metainit(1M) |
削除 |
編集 -> 削除 |
metaclear(1M) |
トランスメタデバイス |
|
|
ロギングデバイスの接続 |
トランスデバイスのログ矩形にスライスまたはメタデバイスをドラッグ |
metattach(1M) |
状態のチェック |
オブジェクト -> 情報 |
metastat(1M) |
作成 |
編集 -> 作成 -> トランス |
metainit(1M) |
ロギングデバイスの切断 |
トランスメタデバイスからロギングデバイスをドラッグ |
metadetach(1M) |
削除 |
編集 -> 削除 |
metaclear(1M) |
トランスメタデバイス間でのログ共有 |
編集 -> 作成 -> トランス ログの場合、すでに他のトランスメタデバイスによって使用されているものと同じスライスを使用。 |