Solaris Bandwidth Manager 1.6 のシステム管理

設定ファイルの形式

Solaris Bandwidth Manager の設定ファイルには、帯域幅をネットワークトラフィックに割り振るために使用される一般的な設定パラメータといくつかの定義が入っています。これらの定義の順番は任意ですが、他の定義を前方参照することはできません。

設定ファイルには、次の項目についての定義が入っています。

定義の終わりは、次の定義の始まりを示すキーワードかファイルの終了 (EOF) で示されます。定義には、キーワードとその値のペアが連続して含まれます。クラス名とフィルタ名は 20 文字以内である必要があります。

いくつかのキーワードは、1 つの値しか指定できないが、1 つのサブセクションに複数回現れることができます。他のキーワードは、コンマで区切って複数値を指定できます。コンマは値の中に指定できません。キーワードの値の一覧が 1 行を超える場合、バックスラッシュ (¥) を継続文字として使用してください。バックスラッシュは、行の最後の文字でなければ値の中に指定できます。行の最後の文字の場合、バックスラッシュは継続文字として扱われます。

コメント行も含めることができます。コメント行はハッシュ記号 (#) で始まります。ハッシュ記号で始まる行はすべてコメントとして扱われます。ただし、ハッシュ記号は値の中に指定できます。コメント行の中では、どのような文字も使用できます。

設定ファイルを編集するためには、root である必要があります。

一般的な設定パラメータ

設定ファイルには、次のような一般的なパラメータが含まれます。

URL グループの定義

URL グループの定義は、1 つまたは複数の URL (Uniform Resource Locator) のリストです。

形式

url_group   name
                     url   url_address

次の文字は制限されており、パーセント記号 (%) のあとにアスキーコードとして入力する必要があります。

文字 

アスキーコード 

25 

40 

3A 

2C 

23 

スラッシュ文字 (/) はパスの一部としてだけ使用できます。

url_group   web_sun_group
            url   http://www.sun.com/*.html
            url   http://www.sun.com/*.gif
            url   http://*:8080/‾mylogin
            url   ftp://ftp.sun.com/*

ホストグループの定義

ホストグループは、IP アドレス (ドット形式) またはホスト名のリストです。ホスト名は、Solaris Bandwidth Manager が動作しているシステム上にあるホストのデータベースによって解釈処理されます。

形式

host_group   name
             address   address_list
          

host_group   grp_sales
             address   134.xxx.yyy.1, 134.xxx.yyy.2
host_group   grp_paris
             address   125.xxx.yyy.1, 125.xxx.yyy.2, apple, pear,¥
                       orange
          

サブネットグループの定義

サブネットグループは、IP アドレス (ドット形式) またはネットワーク名のリストです。ネットワーク名は、Solaris Bandwidth Manager が動作しているシステム上にあるホストのデータベースによって、またはネットワークテーブルによって解釈処理されます。サブネットグループにはサブネットマスクも含まれます。

形式

subnet_group   name
               address   address_list
               mask      subnet_mask

subnet_group   grp_nets
               address   129.xxx.yyy.0, plum
               mask      225.225.225.0

サービスの定義

サービスの定義は、アプリケーション層の用語で定義されるサービス (という概念) と、実際に使用されるプロトコルとポートの間にマッピングを提供します。サービスの定義には、PIM、RSVP、IGMP などの制御プロトコルも含まれます。 /opt/SUNWconn/ba/lib/services.def ファイルには、いくつかのサービスが事前定義されています。「完全な設定」には、事前定義されているサービスが示してあります。

形式

service   name
          protocol   protocol
          ports      local_port,remote_port

service   tv
          protocol   tcp
          ports      2023,*
          ports      2024,*
          ports      *,2023
          ports      *,2024

フィルタの定義

フィルタには、ローカルの情報、リモートの情報、およびサービスが入っています。フィルタは、パケットのクラスを決定するために使用されます。フィルタには、URL 情報と TOS 値も入っています。

形式

filter   name
         local
                         type      type
                         local_info
         remote
                         type      type
                         remote_info
         url
                         type      urltype
                         url_info
        tos_match        tos_match
        tos_match_mask   tos_match_mask
        service          service

filter   filter1
         local
                         type      host
                         address   apricot
         remote
                         type      host_group
                         name      grp_sales
         tos_match       0x03
         tos_match_mask  0x0F
         service         ftp,http
filter   filter2
         local
                         type      subnet_group
                         name      grp_nets
         remote
                         type      subnet
                         address   129.xxx.yyy.0
                         mask      255.255.255.0
         url
                         type      url_group
                         name      web_sun_group
         service         http

インタフェースの定義

インタフェースの定義は、Solaris デバイス名、そのフロー方向、および関連付ける帯域幅を指定します。

形式

interface   name
            rate         bandwidth
            activate     status
            router_addr  router_addr
            router_mac   router_mac
            network      network_device
            multicast    multicast
            nonip_mode   non_ipmode

IP 透過モード

Solaris Bandwidth Manager を IP 透過モードで使用する場合、キーワード router_addrnetwork、および router_mac を指定する必要があります。

IP 透過モードでは、次のパラメータは任意です。

interface   qe0_out
            rate         512000
            activate     enabled
            router_addr  134.xxx.yyy.3
            router_mac   809xxxxx
            network      le0
            multicast    all
            nonip_mode   ipqos

クラスの定義

クラスの定義は、クラスのパラメタを含みます。パケットをこのクラスに分類する要因となるフィルタも含みます。

形式

class   name
        parent             parent_class
        interface          interface
        bandwidth          bandwidth
        max_bandwidth      max_bandwidth
        priority           priority
        bandwidth_bps      bandwidth_bps
        max_bandwidth_bps  max_bandwidth_bps
        tos_mark           tos_mark
        tos_mark_mask      tos_mark_mask
        flow_events        flow_events
        filter             filter

class   test_class
        parent             root
        interface          qe0_out
        bandwidth          35
        max_bandwidth      45
        priority           3
        tos_mark           0x07
        tos_mark_mask      0x0F
        flow_events        ip_source
        filter             filter1,filter2

TOS (Type of Service) 値

Solaris Bandwidth Manager は、次のような方法で TOS バイトを使用します。

表 4-1 TOS 値とその意味

1000 

最小遅延 

0100 

最大スループット 

0010 

最大信頼性 

0001 

金銭的な最小コスト 

0000 

通常サービス 

フィルタ内の分類基準は、tos_match パラメータと tos_match_mask パラメータで定義されます。tos_match_mask は、TOS バイトのどのビットをチェックする必要があるかを定義するビットマスクです。tos_match はチェックする値です。

たとえば、TOS フィールドで「最小遅延」ビットが設定されていて「金銭的な最小コスト」ビットが設定されていない (つまり、xxx 1xx0x である) すべてのパケットをフィルタにかけるには、tos_match_mask を 000 1001 0 (0x12) に設定し、tos_match を 000 1000 0 (0x10) に設定する必要があります。

クラス内では、tos_mark_mask パラメータと tos_mark パラメータが使用されます。tos_mark_mask は、TOS バイトのどのビットを変更するかを定義するビットマスクです。tos_mark は適用する値です。