Solaris Bandwidth Manager 1.6 のシステム管理

Solaris Bandwidth Manager の設定

Solaris Bandwidth Manager を設定するには、クラスのグループを作成する必要があります。クラスのグループは、ネットワークトラフィックが処理される方法を決定するのに使用されます。クラスは、トラフィックを特定のクラスに割り振るためのフィルタによって定義されます。フィルタはいくつかの要素から構成されます。そのため、クラスを作成する前に、必要なフィルタの要素とフィルタの両方を作成する必要があります。すべてのクラスは特定の物理インタフェースに割り当てられます。そのため、設定で使用したいインタフェースも定義する必要があります。

batool を使って Solaris Bandwidth Manager を設定する場合、その内容はデフォルトで /etc/opt/SUNWconn/ba/ba.conf ファイルに格納されます。batool から Solaris Bandwidth Manager を起動する場合に、異なる設定ファイルを使用するように指定すると、ba_config.location は、指定された設定ファイル名を含むように自動的に更新されます。設定ファイルの名前は *.conf の形式である必要があります。

Solaris Bandwidth Manager のポリシーエージェントは起動時に ba_config.location で指定されているファイルを読み取ります。 ba_config.location が存在しないか、読み取ることができない場合、ポリシーエージェントは設定ファイル ba.conf を使用します。ポリシーエージェントの実行中に設定内容を変更した場合、ポリシーエージェントは設定を読み取り直すことができます。「動的再設定」を参照してください。

また、URL を指定すると、ディレクトリサービスに格納されている設定内容をロードできます。まず、「ファイル」メニューから「開く」の「URL ..」オプションを使って、使用したいディレクトリの URL を入力します。URL には ldap://host:port/distinguishedName の形式を使用します。 distinguishedName は、一連のサブエントリと属性の中に、設定情報を格納しているディレクトリツリーのエントリです。

batool を使用して設定パラメータの値を変更する方法は 2 つあります。

設定の概要の表示

「概要」ウィンドウは、現在の設定の定義内容を階層形式で表示します。定義のパラメータと値は隣接する行に表示され、簡単に編集できます。デフォルトでは、「概要」ウィンドウは batool の起動時に表示されます。そうでない場合、タブメニューから「概要」を選択すると、「概要」ウィンドウが表示されます。

定義は、左から右の階層として、次の順番で表示されます。

定義を選択すると、そのパラメータと値が隣接するテーブルに表示されます。

他の定義を含む定義はフォルダとして表示されます。

テーブルには、次のインタフェースパラメータが表示されます。

帯域幅 

このインタフェースで利用できる帯域幅の合計。ビット/秒で表す 

活動モード 

統計ログのレベル。「無し」、「統計」、「統計および TOS」、または「統計、TOS およびスケジュール管理」で表す 

デフォルトクラス 

default クラスの有無を示す。「有り」または「無し」のどちらかで表す 

IP 透過モード 

IP 透過モードであるかどうかを示す。「はい」または「いいえ」のどちらかで表す 

テーブルには、次のクラスパラメータが表示されます。

帯域幅 

クラスに割り振られている帯域幅。百分率 (%) で表す 

優先度 

クラスに割り当てられている優先度。1 から 7 までの整数で表す 

TOS マスク 

TOS 値。0 から 255 までの整数で表す 

フローイベント 

新しいフローがクラスで検出されたときに、「フロー追加」イベントが生成されるかどうかを示す 

フィルタ 

フィルタセルをクリックすると、このクラスの現在選択しているフィルタが表示される 

「編集」メニューまたはアイコンバーのどちらを使用しても、これらの定義を作成、削除、移動、コピー、および変更できます。

設定の編集

「設定」ウィンドウを表示するには、「設定」タブをクリックします。「設定」ウィンドウには、6 つの定義ウィンドウがあります。「設定」ウィンドウを表示するときには、各定義ウィンドウのタブが表示されます。定義を設定する順番は任意ですが、他の定義の前方参照を避けるために、左から右に設定してください。

定義ウィンドウを表示するには、そのタブをクリックします。

インタフェースの定義

「インタフェース」定義は、インタフェースのデバイス名、そのフロー方向、および関連付ける帯域幅を指定します。

図 5-1 「インタフェース」ウィンドウ

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左側にある「インタフェースリスト」には、現在設定されているインタフェースのデバイス名がすべて表示されます。インタフェースの設定情報を表示するには、その名前をクリックします。関連するパラメータとその値が「インタフェース情報」パネルに表示されます。

設定可能なパラメータを次に示します。

また、「インタフェース」ウィンドウを使用すると、Solaris Bandwidth Manager を無効にすることも可能です。「活動モード」パネルから「無し」を選択します。

URL グループの定義

URL グループの定義は、1 つまたは複数の URL (Uniform Resource Locator) のリストです。このような URL は主に、「フィルタ」定義の URL ブロックで利用されます。「フィルタの定義」を参照してください。

図 5-2 「URL グループ」ウィンドウ

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左側にある「URL グループリスト」には、現在設定されている URL グループがすべて表示されます。特定の URL グループの設定情報を表示するには、その名前をクリックします。

設定可能なパラメータを次に示します。

URL グループに定義を追加する
  1. 最後の URL エントリの下にある空の行をダブルクリックします。

    テキスト編集モードが始まり、空の行の中にカーソルが現れます。

  2. URL グループに追加したい URL を入力します。次の形式で URL を指定します。


    protocol://username:password@host:port/path
    
    • username はユーザーのログイン名を示す

    • password は、ユーザーのログイン名に対応するパスワードを示す

    • protocol は使用される転送プロトコルを示す。たとえば、http、ftp、nntp など

    • host はホストマシンを示す。アスタリスク (*) をワイルドカードとして使用すると、*.sun.com などの特定のパターンを指定できる

    • port は使用されるポートを示す。アスタリスク (*) を使用すると、任意のプロトコルを指定できる。デフォルトの値は 80

    • path は URL のパスを示す。アスタリスク (*) をワイルドカードとして使用すると、*.htm などの特定のパターンを指定できる

  3. 「適用」をクリックします。

ホスト/サブネットグループの設定

ホストまたはサブネットのグループは、IP アドレス (10 進数のドット形式) またはホスト名のリストです。ホスト名は、システム上にあるホストのデータベースまたはネットワークテーブルによって解釈処理されます。サブネットグループにはサブネットマスクも含まれます。

図 5-3 「ホスト/サブネット グループ」ウィンドウ

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左側にある「グループリスト」には、現在構成されているホストまたはサブネットのグループがすべて表示されます。構成可能なパラメータを次に示します。

ホストまたはサブネットのグループにアドレスを追加する
  1. 「グループリスト」から、アドレスを追加したいグループを追加します。

    隣接する「アドレスリスト」パネルに、現在グループに入っているアドレスが表示されます。

  2. 「アドレスリスト」パネルにおいて、最後のアドレスエントリの下にある空の行をダブルクリックします。

    テキスト編集モードが始まり、空の行の中にカーソルが現れます。

  3. グループに追加したいアドレスを入力します。

    アドレスはホスト名でも IP アドレスでも指定できます。

  4. 「適用」をクリックします。

    アドレスがグループに追加されます。

サービスの定義

サービスの定義は、アプリケーション層の用語で定義されるサービス (という概念) と、実際に使用されるプロトコルとポートの間にマッピングを提供します。   /opt/SUNWconn/ba/lib/services.def ファイルには、いくつかのサービスが事前定義されています。このようなサービスは設定しなくても使用できます。「設定の例」には、事前定義されているサービスが示してあります。

図 5-4 「サービス」ウィンドウ

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左側にある「サービスリスト」には、現在設定されているサービスがすべて表示されます。ユーザー定義サービスに設定可能なパラメータを次に示します。

ポート情報を追加する
  1. 「サービスリスト」から、ポート情報を追加したいサービスを選択します。サービスが強調表示されます。「TCP/UDP」パネルに、サービスが現在使用しているポートが表示されます。

  2. 「TCP/UDP」パネルで、最後のアドレスエントリの下にある空の行をダブルクリックします。「ローカルポート」と「リモートポート」の両方のフィールドに入力してください。

    テキスト編集モードが始まり、空の行の中にカーソルが現れます。

  3. サービスに追加したいポートを入力します。

    アスタリスク (*) を使用すると、任意のポートを指定できます。

  4. 「適用」をクリックします。

    ポート情報がサービスに追加されます。

フィルタの定義

フィルタ定義には、ローカル側の情報、リモート側の情報、およびサービスが入っており、パケットのクラスを決定するために使用されます。フィルタ定義には URL 情報と TOS 値も含まれます。

図 5-5 「フィルタ」ウィンドウ

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左側にある「フィルタリスト」には、現在構成されているフィルタがすべて表示されます。設定可能なパラメータを次に示します。

クラスの定義

クラスの定義には、クラスのパラメータが含まれます。また、このクラスにパケットを割り振るためのフィルタも含まれています。

図 5-6 「クラス」ウィンドウ

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「クラスツリー」には、クラスがすべて拡張可能なツリー構造として、インタフェース名とフロー方向とともに表示されます。他のクラスを含むクラスはフォルダとして表示されます。

クラスの定義は 1 つの階層として左から右に、次の順番で表示されます。

隣のクラスパネルに、クラスのパラメータとその値が表示されます。

新しいクラスは、現在選択しているクラスの子または兄弟として追加されます。「編集」メニューを使用して、どちらを追加するかを選択します。新しいクラスは new という一時的な名前で作成されます。この名前を変更するには、「クラス名」フィールドに新しい名前を入力して、「適用」をクリックします。

クラスの設定可能なパラメータを次に示します。