システムタイプは通常、/ (ルート)、/usr ファイルシステム、スワップ領域に、システムがどのようにアクセスするかによって分類しています。たとえば、スタンドアロンシステムやサーバーシステムは、ローカルディスクから上記のファイルシステムをマウントします。一方、ディスクレスクライアントやデータレスクライアントは、リモートからファイルシステムをマウントし、サービスの提供はサーバーが行います。表 1-1 に、各システムタイプの違いを示します。
表 1-1 システムタイプ
システムタイプ |
ローカルファイルシステム |
ローカルスワップ領域 |
リモートファイルシステム |
---|---|---|---|
/ (ルート) /usr /home /opt /export /export/home /export/root |
あり |
選択可能 |
|
/ (ルート) /usr /export/home |
あり |
選択可能 |
|
/ (ルート) |
あり |
/usr /home
|
|
なし |
なし |
/ (ルート) スワップ領域 /usr /home
|
|
AutoClient システム |
キャッシュされた/ (ルート) キャッシュされた /usr |
あり |
/ (ルート) /usr /home |
表 1-2 に、スタンドアロンシステムと比較した、その他のクライアントシステムの特徴を示します。
表 1-2 クライアントシステムの特徴 (スタンドアロンシステムとの比較)
システムタイプ |
集中管理 |
パフォーマンス |
ディスク使用効率 |
ネットワーク使用効率 |
---|---|---|---|---|
AutoClient システム |
しやすい |
同程度 |
良い |
同程度 |
ディスクレスクライアント |
しやすい |
劣る |
良い |
劣る |
データレスクライアント |
同程度 |
劣る |
良い |
劣る |
/ (ルート) および /usr ファイルシステムとスワップ領域
/export、/export/swap、/export/home ファイルシステム
クライアントシステムをサポートし、各ユーザーにホームディレクトリを提供します。
/opt ディレクトリまたはファイルシステム
アプリケーションソフトウェアを保存します。
サーバーには、他のシステムをサポートするための次のソフトウェアが置かれています。
OS サービス
ディスクレスクライアントおよび AutoClient システムに提供されます。
ネットワークシステムでリモートインストールを実行するためのソフトウェアです。
ネットワークシステムでカスタム JumpStart インストールを実行するためのディレクトリです。
ネットワーク上のスタンドアロンシステムには、ローカルのハードディスクに、 / (ルート)、/usr、/export/home のファイルシステム、スワップ領域があるので、独立して動作することができます。したがって、スタンドアロンシステムは、オペレーティングシステム、実行可能ファイル、仮想メモリー領域、ユーザーが作成したファイルに、ローカルでアクセスすることができます。また、ネットワーク上のスタンドアロンシステムは、ネットワーク上のその他のシステムと情報を共有することもできます。
ネットワークに接続されていないスタンドアロンシステムは、ネットワークに接続されていない点を除いて、上記の特性をすべて備えています。
データレスクライアントには、/ (ルート) ファイルシステムとスワップ領域があります。実行可能ファイル (/usr) とユーザーファイル (/home) は、ネットワーク上のサーバーのディスク上に置かれているので、データレスクライアントがネットワークから切り離されると、動作しません。
Solaris 2.5.1 より後のバージョンから、データレスクライアントのサポートを中止する予定です。現在は、ホストマネージャを使用してデータレスクライアントを追加することができますが、今後リリースされる Solaris では、データレスクライアント以外のシステムタイプを選択する必要があります。データレスクライアントの代わりに、AutoClient システムを使用することをお勧めします。
データレスクライアントは、ディスクレスクライアントよりも、サーバーやネットワークに対する負荷が小さくなります。データレスクライアントはネットワークへのアクセスの頻度が少ないので、サーバーはディスクレスクライアントよりも多くのデータレスクライアントに対応することができます。また、データレスクライアントのユーザーファイルはすべてサーバー上に保存されるので、サーバーでまとめてバックアップをとり、集中管理することができます。
ディスクレスクライアントはディスクを持たないので、使用するソフトウェアや必要なディスク領域はすべてサーバーに依存しています。ディスクレスクライアントは、サーバーからリモートで、/ (ルート) 、/usr、/home の各ファイルシステムをマウントします。
ディスクレスクライアントは、常にネットワークを介してオペレーティングシステムと仮想メモリー領域を確保する必要があるので、ネットワークへの負荷が大きくなります。またディスクレスクライアントは、ネットワークから切断されたりサーバーに異常がある場合には動作しません。
AutoClient システムは、インストールや管理においてはディスクレスクライアントとほぼ同じです。AutoClient システムの特徴を示します。
/ (ルート) ファイルシステムおよび /usr ファイルシステムを、サーバーからコピーしてキャッシュに書き込むための領域とスワップ領域用に、100 M バイト以上のローカルディスク領域が必要です。
サーバーが使用できなくなった場合でも、キャッシュへアクセスできるように設定することができます。
その他のファイルシステムとソフトウェアアプリケーションは、サーバーから提供されます。
次の図に、サーバーと AutoClient システムの関係を示します。
ネットワークに追加する AutoClient システムごとに、ライセンスを取得する必要があります。ライセンスについての詳細は、『Solstice AutoClient 2.1 ご使用にあたって』を参照してください。