AutoClient サーバーに AutoClient システムを追加 (「AutoClient システムの追加」を参照) した後、または既存システムを AutoClient システムに変換 (「既存システムから AutoClient システムへの変換」を参照) した後に、AutoClient システムで Solaris をブートして実行することができます。
AutoClient システムは必ずネットワークからブートしてください。
この章では、次の事項について説明します。
AutoClient システムの追加作業中や AutoClient システムへの変換作業中には、システムの電源は入れたままでも停止しておいてもかまいません。ただし、追加または変換作業後にリブートしないと AutoClient システムとして設定されません。AutoClient システムをスタンドアロンシステムに変換する場合は、変換するシステムの電源を停止してから、サーバー上で変換作業を行なってください。
ここでは、ネットワークから (リモートで操作して) 手動で SPARC システムをブートする手順、およびネットワークから SPARC システムを自動ブートするための設定方法を説明します。
必要な部分以外は読み飛ばしてもかまいません。表 7-1 に、システムタイプ別に参照箇所を示します。
表 7-1 システムタイプ別の参照箇所
システムタイプ |
参照箇所 |
---|---|
Solaris を実行している SPARCstation 以降のシステム (PROM モニタプロンプト) またはそれ以外 (ok プロンプト) | |
Sun-4 システム |
Solaris 2.5 環境でサポートされるプラットフォームは、Sun-4c、Sun-4d、Sun-4m、Sun-4u、および x86 です。Sun-4 と Sun-4e はサポートされません。
表 7-2 に、ネットワークからシステムを手動でブートするコマンドを、システムタイプ別に示します。
表 7-2 Sun システムのブートコマンド
システムタイプ |
ブートコマンド |
---|---|
SPARCstation 以降 |
boot net |
Sun-4/3nn |
b le() |
Sun-4/1nn、Sun-4/2nn、Sun-4/4nn |
b ie() |
一般的なブート手順についての詳細は、日本語 Solaris 2.5 システム管理 AnswerBook の『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
ネットワークから Sun-4 システムを手動でブートする場合は、「SPARC: Sun-4 システムを手動でブートする」を参照してください。
AutoClient システムが、「AutoClient システムの追加」または 「既存システムから AutoClient システムへの変換」の説明に従って設定されていることを確認します。
PROM モニタープロンプトが表示されていることを確認します。
システムが停止している場合は電源を入れます。
システムが動作している場合は、init 0 コマンドを実行して PROM モニタープロンプトを表示します。
> プロンプトが表示されている場合は、n と入力して Return (または Enter) キーを押し、ok プロンプトに変更します。
ok プロンプトが表示されます。表示されない場合は、「SPARC: Sun-4 システムを手動でブートする」を参照してください。
ネットワークからシステムをブートします。
ok boot net |
# init 0 > n ok . . . ok boot net Booting from: le(0,0,0) 2bc00 hostname: pluto domainname: Solar.COM root server: root directory: /export/root/pluto SunOS Release 5.4 Version [2.4_FCS] [UNIX(R) System V Release 4.0] Copyright (c) 1983-1994, Sun Microsystems, Inc. configuring network interfaces: le0. Hostname: pluto Configuring cache and swap:......done. The system is coming up. Please wait. NIS domainname is Solar.COM starting rpc services: rpcbind keyserv ypbind kerbd done. Setting netmask of le0 to 255.255.255.0 Setting default interface for multicast: add net 224.0.0.0: gateway pluto syslog service starting. Print services started. volume management starting. The system is ready. login: root password: # exit |
「AutoClient システムの追加」または 「既存システムから AutoClient システムへの変換」の説明に従って設定されていることを確認します。
PROM モニタープロンプトが表示されていることを確認します。
システムが停止している場合は電源を入れます。
システムが動作している場合は、init 0 コマンドを実行して PROM モニタープロンプトを表示します。
使用中のシステム用のブートコマンドを実行して、ネットワークからシステムをブートします。
> b le() または > b ie() |
Sun-4 システムをネットワークから自動ブートするための設定方法については、「SPARC: Sun-4/3nn システムを自動ブートする」または 「Sun-4/1nn、2nn、4nn システムを自動ブートする」を参照してください。
AutoClient システムが、「AutoClient システムの追加」または 「既存システムから AutoClient システムへの変換」の説明に従って設定されていることを確認します。
PROM モニタープロンプトが表示されていることを確認します。
システムが停止している場合は電源を入れます。
システムが動作している場合は、init 0 コマンドを実行して PROM モニタープロンプトを表示します。
> プロンプトが表示されている場合は、n と入力して Return (または Enter) キーを押し、ok プロンプトに変更します。
ok プロンプトが表示されます。表示されない場合は、「SPARC: Sun-4/3nn システムを自動ブートする」または 「Sun-4/1nn、2nn、4nn システムを自動ブートする」を参照してください。
banner コマンドを実行して、PROM のバージョンを確認します。
ok banner SPARCstation 2, Type 4 Keyboard ROM Rev. 2.0, 16MB memory installed, Serial # 289 Ethernet address 8:0:20:d:e2:7b, Host ID: 55000121 |
ブートデバイスを設定します。
PROM のバージョンが 2.0 以降の場合は、次のコマンドを実行します。
ok setenv boot-device net boot-device=net |
PROM のバージョンが 2.0 より前の場合は、次のコマンドを実行します。
ok setenv boot-from net |
PROM についての詳細は、日本語 Solaris 2.5 システム管理 AnswerBook の『OpenBoot 2.x コマンド・リファレンスマニュアル』または『OpenBoot 3.x コマンド・リファレンスマニュアル』を参照してください。
boot コマンドを実行して、ネットワークからシステムを自動ブートします。
ok boot |
ここでは、ブートデバイスの現在値を表示する方法について説明します。これによって、値を変更する前に必要な情報を確認して記録しておくことができます。
システムの現在のブートデバイスの値を表示します。
> q18 |
最初の EEPROM の値が表示されます。
EEPROM の番号と値をメモしておきます。
たとえば EEPROM 018:12? のように表示された場合は、EEPROM の番号は 018、値は 12 です。
Return キーを押して、次の値を表示します。
最後の値が表示されるまで、手順 2 と手順 3 を繰り返します。
最後の値は 00 です。
EEPROM 表示モードを終了します。
EEPROM 01B: 00? q |
> q18 EEPROM 018: 12? EEPROM 019: 69? EEPROM 01A: 65? EEPROM 01B: 00? q > |
q18 と入力して Return キーを 3 回押すと、3 つの値が表示されるので、これをメモしておいてください。最後の q を入力すると > プロンプトに戻ります。
AutoClient システムが、「AutoClient システムの追加」または 「既存システムから AutoClient システムへの変換」の説明に従って設定されていることを確認します。
PROM モニタープロンプトが表示されていることを確認します。
(必要な場合のみ) ブートデバイスの現在値を確認するには、「SPARC: Sun-4 システムの既存ブートデバイスの値を表示する」を参照してください。
コマンドプロンプトで、ブートデバイスのコードを入力します。
le (Lance Ethernet) 用のコード例
> q18 12 6c 65 |
q の後に EEPROM の 16 進アドレスを入力して、Sun-4 アーキテクチャに EEPROM (または NVRAM) へプログラムを入力します。この手順によって、使用しているオペレーティングシステムに合ったブートデバイスが設定されます。
ネットワークからシステムを自動ブートします。
> b |
> q18 12 6c 65 EEPROM 018 -> 12 EEPROM 019 -> 6C EEPROM 01A -> 65 > |
上記のように出力された場合は、コードが正しく設定されています。
次のように出力された場合は、システムアーキテクチャにコードが正しく設定されていないので、システムがブートされません。
> b EEPROM boot device... ie(0,0,0) Invalid device = `ie' |
Sun-4/3nn のデバイスコードが、le ではなく ie に設定されているので、コードを設定し直す必要があります。
AutoClient システムが、「AutoClient システムの追加」または 「既存システムから AutoClient システムへの変換」の説明に従って設定されていることを確認します。
PROM モニタープロンプトが表示されていることを確認します。
(必要な場合のみ) ブートデバイスの現在値を確認するには、「SPARC: Sun-4 システムの既存ブートデバイスの値を表示する」を参照してください。
> プロンプトで、ブートデバイスの値を入力します。
ie (Intel Ethernet) 用のコード例
> q18 12 69 65 |
q の後に EEPROM の 16 進アドレスを入力して、Sun-4 アーキテクチャに EEPROM (または NVRAM) へプログラムを入力します。この手順によって、使用しているオペレーティングシステムに合ったブートデバイスが設定されます。
ネットワークからシステムを自動ブートします。
> b |
> q18 12 69 65 EEPROM 018 -> 12 EEPROM 019 -> 69 EEPROM 01A -> 65 |
上記のように出力された場合は、コードが正しく設定されています。次のように出力された場合は、システムアーキテクチャにコードが正しく設定されていないので、システムがブートされません。
> b EEPROM boot device... le(0,0,0) Invalid device = `le' |
Sun-4/1nn、2nn、4nn のデバイスコードが、ie ではなく le に設定されているので、コードを設定し直す必要があります。
AutoClient システムが正常にブートされない場合は、「AutoClient システムブート時の障害対処法」を参照してください。AutoClient システムを問題なくブートできた場合は、第 8 章「AutoClient 環境の保守」に進んでください。
ここでは、x86 システムをブートする手順を説明します。x86 システムのブートでは、次の 2 つのサブシステムを使用します。
Solaris ブートディスク
MDB ディスク (マルチデバイスブートディスク) ともいいます。ネットワークからシステムをブートするためのプログラムが保存されています。このディスクによって、ディスク、ネットワーク、CD-ROM などの現在接続されているブートデバイスが、メニューに表示されます。AutoClient システムは必ずネットワークからブートするので、ブート時にはネットワークデバイスのコードを入力する必要があります。
二次ブートサブシステム
二次ブートサブシステムのメニューには、使用できるブートオプションが表示されます。60 秒以内にオプションを選択しないと、システムが自動的にレベル 3 でブートを開始します。レベル 3 以外のオプションを選択して、ブートオプションを指定したりブートインタプリタを入力したりすることもできます。boot(1M) を参照してください。
ネットワークから x86 システムを手動でブートする手順を説明します。画面の表示内容は、システムの設定によって異なります。
「AutoClient システムの追加」または 「既存システムから AutoClient システムへの変換」の説明に従って設定されていることを確認します。
Solaris ブートディスクをドライブに挿入します。
リセットボタンを押します。
しばらくすると、一次ブートサブシステムのメニューが表示されます。
Solaris 2.4 for x86 Multiple Device Boot, vsn 2.1 Solaris/x86 Multiple Device Boot Menu Code Device Vendor Model/Desc Rev ======================================================= 10 DISK MAXTOR LXT-535S 8.75 11 CD SONY CD-ROM CDV-8012 3.ld 12 NET SMC/WD I/O=300 IRQ=5 Enter the boot device code: 30 |
Solaris ブートディスクによって、ディスク、ネットワーク、CD-ROM などの現在接続されているブートデバイスが、メニューに表示されます。
左下に表示される 30 という数字は、ブートデバイスコードが設定されるまでの残り時間 (秒数) を表わします。値は次第に小さくなり、30 秒以内に (数字が 0 になるまでに) ブートデバイスコードを指定しないと、C ドライブ (デフォルトのデバイス) からブートします。
ネットワークからブートするブートデバイスのコードを入力します。
この例では、ブートデバイスコードは 12 です。
しばらくすると、二次ブートサブシステムのメニューが表示されます。
Solaris 2.4 for x86 Secondary Boot Subsystem, vsn 2.11 <<< Current Boot Parameters >>> Boot path: /eisa/dpt@5c88,0/cmdk@0,0:a Boot args: /kernel/unix Type b [File-name] [bootflags] <ENTER> to boot with options or i <ENTER> to enter boot interpreter or <ENTER> to boot with default <<< timeout in 60 seconds >>> Select (b)oot or (i)nterpreter: |
b または boot と入力して Return キーを押し、システムをブートします。
AutoClient システムのキャッシュを作成し直す場合は、boot コマンド (または b コマンド) に -f オプションを付けて実行します。ブートエラーが表示される場合 (「AutoClient システムブート時の障害対処法」を参照) や、サーバーのファイルシステムをバックアップから復元する場合は、キャッシュを作成し直す必要があります。
ここでは、x86 MDB (マルチデバイスブート) フロッピーを作成して、x86 AutoClient システムが常にネットワークから自動ブートされるようにする手順について説明します。ネットワークからブートしない場合は、マスター MDB フロッピーをドライブに挿入すると、x86 システムの電源を入れた後に C ドライブからブートします。詳細は、「x86: ネットワークからのブート」を参照してください。
MDB ブートフロッピーを作成し始める前に、x86 システム用の MDB マスターフロッピーと 1.44 M バイトのフロッピーを用意してください。フロッピーはフォーマットされるので、必要なデーターが入っているフロッピーは使用しないでください。
ディレクトリを変更します。
# cd /opt/SUNWadm/2.2/floppy |
MDB ブートフロッピーを作成します。
# ./mk_floppy |
MDB マスターフロッピーと空のフロッピーをフロッピードライブに挿入するタイミングが、スクリプトによって指示されます。その他の情報も表示されます。
Please insert the master MDB floppy and press Return: Please insert a blank floppy and press Return: Formatting 1.44 MB in /dev/rdiskette ............................................................. ................... fdformat: using "./mdboot" for MS-DOS boot loader Successfully created the AutoClient floppy. # |
作成した MDB ブートフロッピーを、x86 システムのフロッピードライブに挿入します。
電源を入れ直すとシステムが自動的にネットワークからブートされるように、作成した MDB ブートフロッピーをフロッピードライブに挿入しておいてください。
AutoClient システムが正常にブートされない場合は、「AutoClient システムブート時の障害対処法」を参照してください。問題なくブートできた場合は、 第 8 章「AutoClient 環境の保守」に進んでください。
ここでは、AutoClient システムをブートする時に表示される可能性のあるエラーメッセージと、エラーの原因、解決方法を示します。
表 7-3 ブート時のエラーメッセージ
エラーメッセージ |
原因 |
対処方法 |
---|---|---|
ERROR: Insufficient file system space configuration Slice/partition does not fit in disk segment. Not enough space on disk. |
スワップ領域が大き過ぎるか、ディスク構成が不適切である可能性があります。 注 - x86 AutoClient システムの場合は、DOS パーティションが小さ過ぎる可能性があります。 |
ホストマネージャを使用して、スワップ領域に 24 M バイトを加えたサイズがディスクに確保されるように、AutoClient システムを再設定してください。 注 - x86 AutoClient システムの場合は、ディスクサイズとは Solaris用パーティションのサイズを指します。 |
Could not create /.cache/swap file または Could not clear existing swap entries from /etc/vfstab |
システムエラーです。 |
boot コマンドに -f オプションを付けて実行し、システムをリブートしてください。それでもなおエラーが発生する場合は、ご購入先にお問い合わせください。 |
上から 3 つのエラーメッセージの原因はほぼ同じなので、対処方法も同じです。これらのメッセージの先頭には、FATAL: Error in disk configuration というフラグが付いています。
FATAL フラグが含まれたエラーメッセージが表示されることがあります。この場合は、ブートコマンドに -f オプションを指定してシステムをリブートしてください。それでもなお FATAL フラグが含まれたエラーメッセージが表示される場合は、ホストマネージャを使用して、AutoClient システムを再設定してください。
ブートエラーが発生する場合、またはサーバーのファイルシステムをバックアップから復元する場合は、キャッシュを作成し直す必要があります。AutoClient システムでキャッシュを作成し直すには、boot コマンドに -f オプションを付けて実行してください。-f オプションによってキャッシュが再作成されます。
AutoClient システムに関係ない SPARC のブートエラーについては、ok プロンプトで reset コマンドを実行してから AutoClient システムをブートすると、問題が解決する場合があります。AutoClient システムをリセットした後にネットワーク以外からブートが開始された場合は、システムをリブートしてから適切なブートコマンドを実行して AutoClient システムをブートしてください。