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iPlanet Messaging Server 5.2 UNIX 用インストールガイド



付録 C   Messaging Server のアップグレード


この付録には、以前のバージョンの iPlanet Messaging Server を iPlanet Messaging Server 5.2 にアップグレードする際に役立つ情報が含まれています。この付録には、以下の節があります。



アップグレード前の手順

この節では、iPlanet Messaging Server をバージョン 5.2 にアップグレードする前に実行する必要のある手順について説明します。以下の項目があります。


メッセージプロセスの停止

アップグレードを正しく行うには、アップグレードプログラムを実行する前に、まず、特定のメッセージングプロセスを停止する必要があります。これは次の手順に従います。

  1. imsimta stop dispatcher コマンドを使用して MTA ディスパッチャを停止させ、メールの受信を停止します。MTA コマンドの詳細については、『iPlanet Messaging Server リファレンスマニュアル』を参照してください。

  2. Messaging Server 設定の変更に使用する可能性のあるその他のサービスを停止します。特に以下のサービスについては、対応するコマンドを使用して必ず停止してください。

    • msgserver-root/stop-admin

    • msgserver-root/msg-instance/stop-msg

    • webserver-root/https-admserv/stop

    • webserver-root/https-machine/stop

      Directory Server は停止しないでください。Messaging Server のアップグレード中は Directory Server を実行しておく必要があります。



  3. High Availability をインストールしている場合は、「High Availability を使用している場合の Messaging Server 5.2 へのアップグレード」の節に進んでください。High Availability をインストールしていない場合は、「既存の Messaging Server インストールのバックアップ」の節に進んでください。


既存の Messaging Server インストールのバックアップ

アップグレードプロセスを開始する前に、Messaging Server インストールをバックアップしておくことを強く推奨します。これは次の手順に従います。

  1. すでに設置されているバックアップ機能を使用して server-root ディレクトリ全体をバックアップすることをお勧めします。

  2. メッセージキュー (msgserver-root/msg-instance/imta/queue ディレクトリ) にメッセージがあるかどうかを調べます。メッセージキューには、「メッセージプロセスの停止」に示された方法でサーバを停止したときに伝送中だったメッセージが含まれています。

    メッセージキューの中にメッセージがある場合は、msgserver-root/msg-instance/imta/queue ディレクトリを別の場所に保存してください。

  3. LDAP Directory Server のフルバックアップを行うには、各 slapd インスタンスに対して、server-root/slapd-instance/ ディレクトリの db2ldif プログラムを実行します (特に構成用ディレクトリとユーザ/グループ用ディレクトリ)。db2ldif ファイルは msgserver-root/slapd-instance/ldif ディレクトリの date.ldif ファイル命名規則を使用して、LDIF ファイルにデータをエクスポートします。

  4. LDAP Directory Server はフルバックアップすることをお勧めしますが、必要な部分だけを選択してバックアップすることも可能です。ldapsearch コマンドを使用すると、ユーザやグループまたは個人用アドレス帳のエントリを選択してバックアップすることができます。以下の例では、ユーザ/グループ接尾辞が siroe.com で、ユーザ/グループのディレクトリ管理者が cn=Directory Manager であることを前提にしています。最初の例では、o=siroe.com という接尾辞を持つエントリが検索され、LDIF ファイル /var/tmp/date.ug.ldif に保存されます。

    ldapsearch -L -h ldapserver -D "cn=Directory Manager" \
    -w
    passwd -b "o=siroe.com" "objectclass=inetlocalmailrecipient" \
    > /var/tmp/
    date.ug.ldif


    2 番目の例では、o=pab という接尾辞を持つエントリが検索され、LDIF ファイル /var/tmp/date.pab.ldif に保存されます。

    ldapsearch -L -h ldapserver -D "cn=Directory Manager" \
    -w
    passwd -b "o=pab" "objectclass=*" \
    > /var/tmp/
    date.pab.ldif


    ldapsearch コマンドの詳細については、iPlanet Directory Server のマニュアルを参照してください。

  5. メッセージストアが保存されている以下のディレクトリの名前を変更して、メッセージストアを保存します。

    msgserver-root/msg-instance/store/partition/primary

    次に、その場所に空のディレクトリを作成します。

    メッセージストア全体をマウントしている場合は、アップグレード中に書き込みが行われないように、マウントを解除することができます。次のコマンドを使用します。

    umount msgserver-root/msg-instance/store/partition/primary

  6. server-root ディレクトリ内の既存ファイルを別のディレクトリにコピーして保存します (メッセージストアは手順 5 ですでに保存したので除外できます)。server-root ディレクトリにある既存のファイルを保存しておけば、何らかの原因でアップグレードが失敗した場合でも Messaging Server の構成を回復することができます。


Directory Server のアップグレード

アップグレード後の Messaging Server のバージョンが既存の Directory Server と同じバージョンの Directory Server を使用している場合は、Directory Server をアップグレードする必要はありません。ただし、たとえば、既存の Directory Server が Netscape Directory Server 4.13 である場合は、iPlanet Messaging Server 5.2 には Netscape Directory Server 4.16 が付属しているため、Directory Server のアップグレードが必要です。

Directory Server のアップグレードを行う場合は、必ず root としてログインしてください。Directory Server のアップグレードを行うには、以下の手順に従います。

  1. 製品バイナリから Messaging Server プログラムを実行し、Directory Server のアップグレード前のインスタンスと同じ server-root ディレクトリに Directory Server をインストールします。次に例を示します。

    # /usr/iplanet/server5/slapd-budgie/setup -k

  2. インストールする iPlanet Server 製品のコンポーネントについて尋ねられたら、1 (Netscape Server Products Core Components)、2 (Netscape Directory Suite)、および 3 (Administration Services) のコンポーネントを選択します。Directory Server のみをアップグレードする場合は、4 (Messaging Server Components) のコンポーネントは選択しないでください。

    各 Directory Server インスタンスに対して setup プログラムを実行する必要があります。



  3. setup コマンドと -k オプションを使用して生成した install.inf (dirserver-root/setup/install.inf) ファイルを保存します。

  4. ims_dssetup.pl スクリプトを実行して、Messaging Server のアップグレードに対応できるように Directory Server を準備します。詳細は、「ims_dssetup ユーティリティの実行」を参照してください。



Messaging Server 5.2 へのアップグレード

以前のバージョンの iPlanet Messaging Server (iPlanet Messaging Server 5.1 など) をアップグレードする場合は、次の手順に従います。

  1. 最初のインストール時に、次のファイルとディレクトリがバックアップされます。

    server-root/msg-instance/config/local.conf
    server-root/msg-instance/config/msg.conf
    server-root/msg-instance/imta/config
    server-root/msg-instance/html

    これらの構成ディレクトリと構成ファイルは、server-root/msg-instance/backup.timestamp ディレクトリに移動します (timestamp は、インストールを実行した時刻を示す)。

  2. アップグレードの終了後は、バックアップされたこれらの設定ファイルと server-root/msg-instance/imta/config/ にある新しい設定ファイルとを比較し、カスタマイズされたすべての設定を再度適用する必要があります。

    アップグレードプロセスを円滑に進めるために、表 1-2 に記録したパラメータを確認することをお勧めします。



  3. アップグレードは、元の iPlanet Messaging Server をインストールした、同じマシンおよび同じ server-root で実行する必要があります。

  4. root でログインして、インストールバイナリの ./setup -k を実行します。Messaging Server の新規インスタンスをインストールする場合にも、同じ setup プログラムを実行します。

  5. インストールする iPlanet Server 製品のコンポーネント について尋ねられたら、Directory Server をすでにアップグレードしている場合は、コンポーネント 1 (Netscape Server Products Core Components)、3 (Administration Services) および 4 (Messaging Server Components) を選択します。Directory Server をアップグレードしていない場合は、デフォルト (コンポーネント 1、2、3 (Directory Server Components)、および 4) を選択します。

  6. インストール中に、インストーラが検出した既存のファイル、ディレクトリ、および設定値はデフォルトとして使用されます。検出できなかった値に関しては、標準のデフォルト値が使用されます。インストーラが、以前の Messaging Server インストールで指定された設定値を検出すると、次の質問が表示されます。

    This machine has a Messaging Server instance installed already.Please choose below whether you want to upgrade the existing server instance or create a new server instance.

    If you choose to create a new server instance, the configuration for the existing server instance will not be touched.If you choose to upgrade the existing server instance, any missing configuration will be detected and the configuration will be repaired if necessary.

       [1]  Create New
       [2]  Upgrade

    Messaging Server をアップグレードする場合は、オプション 2 を選択します。

  7. Directory Server の LDAP について尋ねられたら、LDAP Configuration Directory Server の URL を指定します。

  8. 最初のインストールで選択したサービス管理者の ID がデフォルトの ServiceAdmin でなかった場合は、最初のインストール時に入力したサービス管理者の ID とパスワードの再入力を求められます。

インストーラが必要な設定値を更新すると、アップグレードは完了します。

メールボックスおよびメッセージキューについては、5.x から 5.2 システムに移行する必要はありません。



Messaging Server のアップグレードの完了後、デフォルトではサーバプロセスは開始されません。したがって、手動でこのプロセスを開始する必要があります。STORED、POP、IMAP、HTTP および MTA の各プロセスに関する情報は、『iPlanet Messaging Server 管理者ガイド』の一般的なメッセージング機能の構成に関する章を参照してください。


アップグレード後の手順

Messaging Server のアップグレードが完了したら、次の追加手順を実行します。

  1. アップグレードの結果を保存しておくには、次の構成ファイルを別の場所に保存します。

    msgserver-root/setup/install.inf
    msgserver-root/msg-instance/config/local.conf
    msgserver-root/msg-instance/config/msg.conf
    msgserver-root/admin-serv/config/adm.conf
    msgserver-root/setup/msg/*.log

  2. メールボックスのマウントを解除していた場合は、ここでマウントし直すことができます。また、メッセージストアディレクトリを移動していた場合は、元の位置 (msgserver-root/msg-instance/store/partition/primary) に戻すことができます。

  3. ims_dssetup.pl スクリプトを実行して、MTA ダイレクト LDAP 検索機能を有効にします。詳細は、「ims_dssetup ユーティリティの実行」を参照してください。MTA ダイレクト LDAP 検索機能については、『iPlanet Messaging Server 管理者ガイド』を参照してください。

    「Directory Server のアップグレード」手順 4 ですでに ims_dssetup.pl スクリプトを実行した場合は、この手順は省いてください。

  4. 既存の iPlanet Web Server がある場合は、iPlanet Messaging Server 5.2 のサポートするバージョン (iPlanet Web Server 6.0 Service Pack 2) にアップグレードしてください。iPlanet Web Server または Netscape Enterprise Server の以前のバージョンからは iPlanet Web Server 6.0 SP2 にアップグレードできませんが、Web Server 4.x を移行することはできます。詳細は、『iPlanet Web Server インストールと移行』を参照してください。

  5. ユーザおよびグループを管理するための既存の iPlanet Delegated Administrator for Messaging and Collaboration がある場合は、現在のバージョンをアンインストールし、Messaging Server 5.2 のサポートするバージョン (iPlanet Delegated Administrator for Messaging and Collaboration 1.2) をインストールする必要があります。

    Delegated Administrator のアンインストールプロセスでは、Delegated Administrator 関連のデータを含む Web Server 設定ファイルがバックアップされ、拡張子 .nda を持つ名前 (servlets.properties.nda など) に変更されます。これによって、以前のバージョンの Delegated Administrator の設定を維持することができます。詳細は、『iPlanet Delegated Administrator for Messaging and Collaboration インストールおよび管理ガイド』を参照してください。

  6. Messaging Server プロセスを再起動します (Administration Server はアップグレード終了後、自動的に起動します)。

    # msgserver-root/msg-instance/start-msg

    High Availability 環境では、以下のコマンドを使用します。
    # msgserver-root/msg-instance/start-msg ha

  7. Messaging Server プロセスの再起動後、msgserver-root/msg-instance/log/imta ディレクトリにある mail.log_current ファイルを調べて、エラーがないかどうか確認します。

    さらに、メッセージキューを監視して、メッセージがキューの中で滞留していないことも確認してください。



High Availability を使用している場合の Messaging Server 5.2 へのアップグレード

この節では、Sun Cluster または Veritas Cluster Server を使用している場合の Messaging Server のアップグレード方法を説明します。この節には次の項があります。


Sun Cluster 2.2 を使用している場合の Messaging Server 5.2 へのアップグレード

iPlanet Messaging Server 5.2 にアップグレードする際に、以前のバージョンの iPlanet Messaging Server で Sun Cluster 2.2 をインストールしていた場合は、現在論理ホストによって制御されている物理ホスト上でアップグレードを開始する必要があります。さらに、以下の手順に従います。

  1. hareg -n コマンドを実行して Sun Cluster サービスを停止します。

  2. hareg -u iMS50 コマンドを実行します。

  3. Messaging Server と同じ server-root ディレクトリに Directory Server がインストールされている場合は、その Directory Server が稼動していることを確認します。

  4. 既存の Messaging Server をバックアップします。この手順は、「既存の Messaging Server インストールのバックアップ」を参照してください。

  5. 必要であれば、Directory Server をアップグレードします。この手順は、「Directory Server のアップグレード」を参照してください。

  6. Messaging Server をアップグレードします。詳細については、「Messaging Server 5.2 へのアップグレード」を参照してください。

  7. 「Sun Cluster 2.2 エージェントのインストール」の手順に従って Sun Cluster 2.2 を設定します。

    このリリースでは Sun Cluster 2.2 は下位製品にあたるので、Sun Cluster 3.x の使用を強くお勧めします。詳細は、『iPlanet Messaging Server 5.2 リリースノート』を参照してください。




Veritas Cluster Server を使用している場合の Messaging Server 5.2 へのアップグレード

iPlanet Messaging Server 5.2 にアップグレードする際に、以前のバージョンの iPlanet Messaging Server で Veritas Cluster Server をインストールしていた場合は、以下のアップグレード手順に従います。

  1. iMS5 サービスグループをオフラインにし、そのリソースを無効にします。

  2. mail リソース、logical_IP リソース、および mountshared リソースの間の依存関係を解除します。

  3. iMS5 サービスグループをオンラインに戻します。

  4. Messaging Server と同じ server-root ディレクトリに Directory Server がインストールされている場合は、その Directory Server が稼動していることを確認します。

  5. 既存の Messaging Server をバックアップします。この手順は、「既存の Messaging Server インストールのバックアップ」を参照してください。

  6. 必要であれば、Directory Server をアップグレードします。この手順は、「Directory Server のアップグレード」を参照してください。

  7. Messaging Server をアップグレードします。詳細については、「Messaging Server 5.2 へのアップグレード」を参照してください。

  8. 「インストール前の手順」手順 6 に示されたとおりに依存関係ツリーを設定し、第 4 章「高可用性 (High Availability、HA)」に示された残りの Veritas Cluster Server インストール手順に従います。


Sun Cluster 3.x を使用している場合の Messaging Server 5.2 へのアップグレード

iPlanet Messaging Server 5.2 にアップグレードする際に、以前のバージョンの iPlanet Messaging Server で Sun Cluster 3.0、Sun Cluster 3.0 Update 1、または Sun Cluster 3.0 Update 2 をインストールしていた場合は、最初に Messaging Server インストールをアップグレードする必要があります。「Messaging Server 5.2 へのアップグレード」を参照してください。

Messaging Server のインストールが完了したら、Messaging Server 5.2 CD-ROM から各クラスタノード上に SUNWscims パッケージをインストールする必要があります。詳細については、「Sun Cluster 3.0 U1 および U2 エージェントのインストール」を参照してください。このプロセスにより、Messaging Server HA エージェントもアップグレードされます。



バックアウト手順



アップグレードプロセスを取り消す必要がある場合、正しいバックアウトを行うには、以下の手順に従います。

このバックアウト手順は、Messaging Server のフルバックアップを行っていることが前提となっています。詳細は、「既存の Messaging Server インストールのバックアップ」を参照してください。



  1. iPlanet Delegated Administrator for Messaging and Collaboration (インストールされている場合)、iPlanet Web Server (インストールされている場合)、Messaging Server、Directory Server、および Administration Server のプロセスを停止します。

    必ずここで示した順序でプロセスを停止してください。

  2. メッセージストアディレクトリのマウントを解除します。

    umount msgserver-root/msg-instance/store/partition/primary

    メッセージストアディレクトリをバックアップしていない場合は、このディレクトリを別の場所に保存します。

  3. バックアップから Messaging Server をリストアします。詳細については、「既存の Messaging Server インストールのバックアップ」を参照してください。

  4. ユーザメールボックスをマウントし直すには、次のコマンドを使用します。

    mount msgserver-root/msg-instance/store/partition/primary

    または、最初に保存した場所から msgserver-root/msg-instance/store/partition/primary にディレクトリを戻すこともできます。手順 2 を参照してください。

  5. Administration Server、Directory Server、Messaging Server、iPlanet Web Server (インストールされている場合)、および iPlanet Delegated Administrator for Messaging and Collaboration (インストールされている場合) のプロセスを開始します。

    必ずここで示した順序でプロセスを開始してください。


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最新更新日 2002 年 2 月 26 日