Oracle Projects基礎 リリース12 E06005-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章では、Oracle Projectsアプリケーション・スイートに不可欠な3つの構成要素である、組織、役職および資源について説明します。
Oracle Projectsでは、組織、役職および従業員の情報をOracle Human Resourcesと共有します。現在、ビジネスでOracle Human Resourcesを使用していない場合は、Oracle Projectsで提供されるOracle Human Resourcesのウィンドウを使用してこのデータを定義します。
Oracle Human ResourcesをOracle Projectsとともに使用するための実装には、次の項目の定義が関係します。
組織および組織階層
役職
資源情報
企業の体系によって、組織、ビジネス・グループ、階層、役職および役職グループの定義方法が決まります。
この章では次のトピックを説明します。
企業の組織と組織階層は、その企業の方針や手順と密接に関連があります。ビジネス要件を満たすようにOracle Projectsを構成するには、Oracle Projectsでの組織の設定方法に関して実装上の重要な意思決定が必要です。
組織とは、企業内の部門、部課、事業部、会社、またはその他の組織単位のことです。組織の集合は組織階層に集約できます。組織階層を使用すると、支出データやレポート・データの管理と、企業内のプロジェクト所有組織間の調整が容易になります。
最適な管理、一貫性およびトレンド分析を最も簡単に実現する方法は、組織の定義を変更しないことです。ただし、動的なビジネス環境では、組織と組織体系への変更は避けられません。組織体系を変更するときは、Oracle Projects実装との関連性を理解することが非常に大切です。
Oracle Projectsの組織階層設定は、自社の組織階層の変更を反映させるために変更できます。システム管理を維持してビジネス・ルールを施行するには、慎重な変更の計画と管理が重要です。このためには、組織と組織階層がOracle Projectsでどのように使用されるかを理解する必要があります。
関連項目
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の組織の定義に関する項
『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の「Representing Organizations」
『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の「Creating an Organization」
組織は、企業内の部門、部課、事業部、会社、ビジネス・グループ、またはその他の組織単位を表すことができます。また、外部の契約者を表す組織を作成することもできます。
Oracle Projectsでは次のビジネス目的で複数の組織が使用されます。
プロジェクトとタスクの管理
従業員割当
支出入力
非労務資源所有
予算管理
プロジェクト・ステータス・レポートのための資源定義
間接費処理
請求書と回収の処理
レポート
ビジネス・グループ内のすべての組織を定義するには、「組織」ウィンドウを使用します。定義した組織は、Oracle Projects全体で、「組織名」フィールドにある値リストに表示されます。
重要: 組織を定義するときは、Oracle Projectsで使用する各組織に対して組織分類を割り当てる必要があります。「組織のタイプ」を参照してください。
Fremont Corporationは、4つの事業部(管理部、Fremont Engineering、Fremont ConstructionおよびFremont Services)で構成されており、各事業部にはいくつかのグループがあります。次の表に、Fremontの実装チームが組織を定義するために入力する情報を示します。これらの組織はすべて内部組織です。
Fremont Corporationのすべての組織には、次の組織分類を使用できます。
プロジェクト/支出/イベント
プロジェクト請求書回収
組織名 | 事業所 |
---|---|
管理部 | 本部 |
データ・システム | 本部 |
東部 | 東部 |
電気 | 本部 |
環境 | 本部 |
役員室 | 本部 |
財務 | 本部 |
Fremont Construction | 本部 |
Fremont Engineering | 本部 |
Fremont Services | 本部 |
人事部 | 本部 |
情報サービス | 本部 |
海外 | 海外 |
機械 | 本部 |
中西部 | 本部 |
リスク分析 | 本部 |
南部 | 本部 |
構造 | 本部 |
西部 | 本部 |
Oracle Projectsでは、様々な用途にあわせて次のタイプの組織を定義できます。
ビジネス・グループは、企業を表すために定義できる最大の組織単位です。ビジネス・グループは会社や法人に該当し、大企業の場合は持ち株会社や親会社または法人に該当する場合があります。
重要: 従業員、組織およびその他のエンティティは、ビジネス・グループごとに分割されます。複数のビジネス・グループを設定する場合は、それに対応してデータも分割されます。さらに、組織をビジネス・グループに分類した後は、これを元に戻すことはできません。ビジネス・グループの設定は慎重に計画してください。
詳細は、「ビジネス・グループ」を参照してください。
営業単位は、補助元帳製品(例: Oracle Projects、Oracle Payables)用にデータを分割するために使用します。これは、単一組織を使用する企業とほぼ同義です。
複数の営業単位を使用することを「複数組織のインストール」と呼びます。複数組織アクセス管理を使用すると、職責を切り替えずに複数の営業単位で取引を入力および処理できます。
営業単位には、財務取引に関連する組織分類(支出/イベント組織、請求予定表組織、プロジェクト請求書回収組織など)が常に関連付けられます。
詳細は、「営業単位と複数組織」および「Oracle Projectsでのセキュリティ」を参照してください。
プロジェクト/タスク所有組織は、プロジェクトまたはタスク(あるいはその両方)を営業単位で所有できます。営業単位でプロジェクトとタスクを所有するには、組織で次の特性が必要になります。
プロジェクト/タスク所有組織分類を使用可能にする必要があります。
組織が、営業単位に割り当てたプロジェクト/タスク所有組織階層分岐に属している必要があります。
プロジェクト支出/イベント組織は、プロジェクト・イベントを所有して支出を負担し、処理の対象となる営業単位のプロジェクトに対する予算を保持できます(ただし、組織上書きを使用したプロジェクトまたはタスクによる上書きがない場合)。営業単位でこれらの機能を保持するには、組織で次の特性が必要になります。
プロジェクト支出/イベント組織分類を使用可能にする必要があります。
組織が、営業単位に割り当てた支出/イベント組織階層分岐に属している必要があります。
詳細は、「資源支出の支出/イベント組織の定義」を参照してください。
タイムカードおよび経費精算書で、支出が発生する従業員が割り当てられている組織です(ただし、組織上書きを使用したプロジェクトまたはタスクによる上書きがない場合)。
使用費、仕入先請求書および購買取引約定の場合、支出組織は支出に入力された組織です。
HR組織分類が使用可能な組織には、従業員を割り当てることができます。
従業員を組織に割り当てない場合は、Oracle Projectsに対してHR組織分類を使用可能にする必要はありません。
資源組織は、資源または資源予算(あるいはその両方)を所有する組織です。営業単位のビジネス・グループの組織は、非労務資源を所有できます。
従業員を割り当てることができるのは、HR組織のみです。
Oracle Projectsには、組織が非労務資源を所有するための分類要件はありません。
請求予定表組織は、独自の請求予定表がある組織です。
営業単位のビジネス・グループの組織は、独自の請求予定表を保持できます。
原価計算の間接費計算では、間接費コード乗数の設定と間接費計算の両方に対して、プロジェクト間接費計算階層バージョンが使用されます。各ビジネス・グループは、1つの組織階層をデフォルトのプロジェクト間接費計算組織階層として指定する必要があります。このデフォルトは、間接費予定表または間接費予定表バージョンごとに変更できます。
このプロジェクト間接費計算階層は、ビジネス・グループ組織定義の間接費予定表にデフォルト設定されます。ビジネスで、原価の間接費計算に異なる方法が許可されている場合は、異なる間接費予定表を設定します。
Oracle Projectsでは、プロジェクト間接費計算階層バージョンの組織に間接費乗数を割り当てることができます。間接費コード乗数を割り当てることができるのは、プロジェクト間接費計算階層バージョンの組織に対してのみです。
Oracle Projectsでは、総原価を計算するために、間接費予定表に関連付けられたプロジェクト間接費計算階層バージョンが使用されます。間接費計算処理時に、プロジェクト間接費計算階層バージョンで支出組織が検出されない場合は、支出項目が間接費計算されないため、総原価は直接費と同額になります。
原価計算の間接費計算の詳細は、『Oracle Project Costing User Guide』の「Overview of Burdening」を参照してください。
ビジネスによって、営業単位内の請求書回収が分散化されている場合は、請求書を処理する各組織に対して、プロジェクト請求書回収組織分類を使用可能にする必要があります。
Oracle Receivablesでは、取引タイプを使用して、取引で未回収の売掛金残高を生成するかどうか、その残高をOracle General Ledgerに転記するかどうかが決定されます。Oracle Projectsの各営業単位には、Oracle Receivablesで請求書を処理するために、少なくとも2つのデフォルトの取引タイプがあります。『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の請求書処理の取引タイプの定義に関する項を参照してください。
ビジネスによって、請求書回収が分散化されている場合、「Oracle Receivablesへの請求書のインタフェース」処理を実行するには、その前に、「IMP: 請求書組織取引タイプの作成」処理を実行する必要があります。この「IMP: 請求書組織取引タイプの作成」処理によって、次の特性がある各プロジェクト請求書回収組織の取引タイプが作成されます。
組織には、使用可能にしたプロジェクト請求書回収組織分類があります。
組織が、営業単位に割り当てたプロジェクト/タスク所有組織階層分岐に属している必要があります。
Oracle Projectsでは、請求書の積上プロジェクト請求書回収組織を検出できない場合、デフォルトの取引タイプが使用されます。
組織がプロジェクト・イベントを所有して支出を負担し、プロジェクトに対する予算を保持するには、組織の定義時に次の操作を実行する必要があります。
プロジェクト支出/イベント組織分類を使用可能にします。
「追加組織情報」セクションで、組織のデフォルト営業単位を定義します。
さらに、この組織で予定可能資源をサポートしている場合は、次の操作を実行する必要があります。
「追加組織情報」セクションで「関連組織」を選択します。
この組織に対するデフォルト営業単位を入力します。
注意: HR組織分類に対するデフォルト営業単位は、「追加組織情報」セクションで「関連組織」を選択して定義することもできます。ただし、Oracle Projectsの営業単位を使用する場合は、プロジェクト支出/イベント組織分類を使用可能にする必要があります。
これらのタスクの実行手順については、『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の次のトピックを参照してください。
組織の作成
組織分類の入力
追加情報の入力
プロジェクト資源に関連する支出の追跡には、通常、支出組織を使用します。プロジェクト支出/イベント組織は、プロジェクト・イベントを所有して支出を負担し、プロジェクトに対する予算を保持できます。組織内でこれらの機能を使用可能にするには、組織の定義時に次のタスクを実行する必要があります。
プロジェクト支出/イベント組織分類を使用可能にします。
「追加情報」セクションで、組織のデフォルト営業単位を定義します。これによって、この組織に属しているすべての資源は、指定の営業単位とカレンダをその資源のデフォルトとして引き継ぎます。
HR組織分類を使用可能にします。このタスクは、資源(人員)を組織に割り当てるために必要です。
「設定実装オプション」フォームを使用して、営業単位に割り当てられた支出階層に組織を添付します。
これらのタスクの実行手順については、『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の次のトピックを参照してください。
組織の作成
組織分類の入力
追加情報の入力
関連項目
ケース・スタディ: Fremont Corporationでの組織変更
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の組織定義に関する項
ユーザーが定義するビジネス・グループ組織は、ビジネスを展開する際の各法的単位を表します。各ビジネス・グループ内には、企業の体系を表す複数の組織を定義できます。
組織と従業員は、ビジネス・グループによって分割されます。多くの企業では、すべての部門の情報を同時に管理およびレポートできるように、単一のビジネス・グループを使用しています。ただし、海外事業がある会社は、国ごとに一意のビジネス・グループを設定する必要があります。これによって、現地の法的要件に対応し、一意の体系、役職、手当および報酬の方針を定義できます。
複数のビジネス・グループは、海外事業がない場合でも指定できます。複数のビジネス・グループを指定する場合は、最初に、すべてのビジネス・グループを包含する最上位組織を定義する必要があります。
各ビジネス・グループ内に、従業員が所属するグループ(事業部、支部、部門、部課など)を定義します。人事、給与または管理に関連する様々なタイプの外部組織に関する情報も保守できます。たとえば、ある組織を外部組織として定義し、従業員が長期間滞在する職場の所在地を記録できます。
ビジネス・グループと企業の体系化の詳細は、『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の「Adapting or Creating a New Business Group」を参照してください。
オラクル人事管理システム・モデルでのビジネス・グループは国レベルで、最上位組織には会社の世界中のビジネス・グループがすべて含まれます。人員、プロジェクト、役職および組織は、様々な国の異なるビジネス・グループに配置でき、すべての情報を企業全体で共有できます。
Oracle Projectsでは、すべてのビジネス・グループを相互に表示できます。たとえば、ビジネス・グループ間でプロジェクトに必要な人員を検索したり、資源に関して企業内のプロジェクトに賦課できます。
単一または複数のビジネス・グループへのアクセスを管理するには、プロファイル・オプション「HR: 複数ビジネス・グループ間」を設定します。
複数ビジネス・グループ・アクセスを許可するには、このプロファイル・オプションを「Yes」に設定します。
単一のビジネス・グループへのアクセスのみ許可するには、このプロファイル・オプションを「No」に設定します。
詳細は、「ビジネス・グループ間でのデータ・アクセスの提供」を参照してください。
複数ビジネス・グループ・アクセスとOracle Projectsのセキュリティについては、「職責への追加ユーザー・レベル・セキュリティの提供」を参照してください。
ビジネス・グループと同じ名称の全表示セキュリティ・プロファイルを取得するには、「組織」ウィンドウを使用します。ビジネス・グループを作成するには、ビジネス・グループの名称を入力します。
「HR: セキュリティ・プロファイル」プロファイル・オプションを設定すると、定義したビジネス・グループが値リストに表示されます。
必要なビジネス・グループ情報も定義する必要があります。「ビジネス・グループ」フレックスフィールドのすべてのセグメントに値を入力する必要がありますが、Oracle Projectsで使用されるのは次の情報のみです。
短縮名
従業員番号の生成
役職フレックスフィールド体系
プロジェクト間接費計算組織階層
Oracle Projectsでは、定義した各間接費予定表に、プロジェクト間接費計算組織階層がデフォルト設定されます。間接費予定表のコンパイル時には、デフォルトの間接費乗数を決定するために、組織階層/バージョンが使用されます。「プロジェクト間接費計算組織階層」を参照してください。
組織階層をビジネス・グループに関連付けるには、その前に、組織階層を定義する必要があります。「組織階層の定義」を参照してください。
Oracle Human Resourcesは、定義したビジネス・グループに、指定したその他すべての組織を組み入れます。『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の「Setting Up Security in Oracle HRMS」を参照してください。
セキュリティ・グループは、データの分割方法を提供します。標準HRMSセキュリティ・モデルを使用する場合、セキュリティ・グループは使用しません。ビジネス・グループのみがデータ分割の対象です。ビジネス・グループには職責がリンクされているため、別のビジネス・グループにアクセスするユーザーは、職責を変更する必要があります。
1つの職責で複数のビジネス・グループにアクセスする必要がある場合は、複数ビジネス・グループ間の職責セキュリティを使用する必要があります。このモデルでは、ビジネス・グループ内のデータを分割するために、セキュリティ・グループが定義されています。複数のセキュリティ・グループによって異なるビジネス・グループが分割されている場合でも、それらのグループは1つの職責にリンクできます。
セキュリティ・グループを使用するには、ユーザー・プロファイル・オプション「セキュリティ・グループを使用可能にする」を「Yes」に設定し、「複数セキュリティ・グループ」処理を実行する必要があります。
関連項目
『Oracle HRMSユーザーズ・ガイド(日本仕様)』のセキュリティ・グループに関する項
営業単位は、別のタイプの組織分類です。営業単位は、補助元帳アプリケーション(例: Oracle Payables、Oracle Receivables、Oracle General Ledger)用にデータを分割するために使用します。企業で複数の営業単位を使用することを「複数組織のインストール」と呼びます。
Oracle Projectsでの複数組織の実装は、多国籍企業や複雑な組織体系の企業をサポートします。
この項では、営業単位を使用し、Oracle Projectsで、単一インストール内の複数組織に賦課する方法を説明します。複数組織のインストールによって、次のことが可能になります。
各営業単位に対する安全なデータ・アクセスの確保
複数組織処理をサポートしている他のOracle Applicationsとの統合
注意: Oracle Projectsで報告通貨を使用する場合は、『Oracle Financialsインプリメンテーション・ガイド』および『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』の報告通貨に関する項を参照してください。
Oracle Projectsでの複数組織のインストールは、次のように機能します。
単一の営業単位(プロジェクト営業単位)が各プロジェクトとプロジェクト・テンプレートを所有します。
プロジェクト番号とプロジェクト・テンプレート番号は、単一インストール内のすべての営業単位間で一意です。
顧客は営業単位全体で共有されますが、顧客サイトは特定の営業単位に関連付けられます。
営業単位が顧客基本契約を個別に所有します。
支出営業単位とプロジェクト営業単位で相互賦課が有効な場合は、支出を任意のプロジェクトに賦課、振替または配賦できます。『Oracle Project Costing User Guide』の「Cross Charge」を参照してください。
原価は、同じ支出営業単位に入力して処理します。
原価は、支出営業単位内で会計処理します。
「支出項目」ウィンドウは、プロジェクト・モードまたは相互プロジェクト・モードで表示できます。
プロジェクト・モードでは、プロジェクト営業単位のプロジェクトに関する支出が表示されます。
相互プロジェクト・モードでは、支出営業単位で発生した支出が表示されます。
すべての支出営業単位による取引については、収益と請求書がプロジェクト営業単位で処理されます。
収益草案と請求書草案の金額は、プロジェクト営業単位の請求レート、プロジェクト請求レートの上書き、またはプロジェクト労務乗数を使用して、プロジェクト営業単位で計算されます。
プロジェクト請求の収益と請求書は、プロジェクト営業単位で生成されます。
Oracle Subledger Accountingでの収益の会計処理は、プロジェクト営業単位で作成されます。
プロジェクト営業単位は、請求書をOracle Receivablesにインタフェースします。
振替と分割によって、当初取引と同じ営業単位に取引が生成されます。ただし、振替先はすべての賦課可能プロジェクトである可能性があります。
複数の支出営業単位にわたるプロジェクトに関連する取引について、単一プロジェクトまたはプロジェクトの範囲を印刷できるレポートは、プロジェクト営業単位から発行されます。
プロジェクト要約金額は、プロジェクト営業単位で発行および保存されます。プロジェクト・ステータス照会によって、プロジェクト営業単位内のプロジェクトの問合せが実行されます。
従業員または組織に関するレポートには、レポートの発行元の営業単位内で入力されたすべての取引がリストされます。
各資産は、1つの資産プロジェクトから、プロジェクト営業単位の元帳に関連付けられたOracle Assets会計用資産台帳に資産計上されます。
Oracle Projectsの各資源は、セキュリティと予測のために、営業単位に関連付けられています。この営業単位は、最初に組織営業単位からデフォルト設定されます。資源の営業単位は、割当期間中有効です。資源が別の営業単位のプロジェクトに割り当てられている場合(つまり、借入資源の場合)、予測は営業単位に対して定義した振替価格に基づいて実行されます。
Oracle Project Resource Managementでは、従業員割当または従業員に対して最初に設定したデフォルト営業単位に変更があると、資源営業単位が更新されます。Oracle Projectsでは、記録管理の目的でこれらの変更が追跡されるため、特定の日付の営業単位を資源にデフォルト設定できます。
関連項目
『Oracle Project Costing User Guide』の「Cross Charge」
『Oracle Applicationsにおける複数組織』
『Oracle Financialsインプリメンテーション・ガイド』の会計設定マネージャの使用に関する項
組織階層は、企業内の組織間の関係を示す体系を表します。組織階層を使用すると、支出データやレポート・データを管理し、プロジェクトが所有する組織を調整できます。組織でビジネス・グループを使用する場合は、各ビジネス・グループに対してプロジェクト間接費計算組織階層を作成できます。
組織階層を定義するには、どの組織が他のどの組織に従属しているかをOracle Projectsに指示します。組織階層は、企業のニーズに応じて、1つまたは複数定義できます。
組織階層には、通常の組織階層とグローバル組織階層の2つの基本タイプがあります。通常の組織階層を定義するには、「組織階層」ウィンドウを使用します。ここで定義した組織階層は、「実装オプション」ウィンドウの値リストに表示されます。
複数ビジネス・グループ・アクセスを有効にしている場合は、グローバル組織階層を定義できます。グローバル組織階層には、任意のビジネス・グループの組織を含めることができます。グローバル組織階層を定義するには、「グローバル組織階層」ウィンドウを使用します。このウィンドウにアクセスするには、グローバル・セキュリティ・プロファイルに関連付けられている職責を使用する必要があります。
様々なレポートおよび処理のニーズに応じて、必要な数の組織階層を作成し、複数のバージョンの組織階層を作成できます。Oracle Projectsでは、階層バージョンを使用して、レポートおよび処理で使用される組織が決定します。
開始組織を指定して、特定の目的で、Oracle Projectsに階層の最上位として認識させる組織階層の分岐を示します。組織階層全体を使用する場合は、最上位組織(通常はビジネス・グループ)が開始組織になります。
次の組織階層バージョンがOracle Projectsの各営業単位に割り当てられます。
プロジェクト/タスク所有組織階層バージョンが各営業単位に割り当てられます。詳細は、「プロジェクト/タスク所有組織」を参照してください。
支出/イベント組織階層バージョンが各営業単位に割り当てられます。詳細は、「プロジェクト支出/イベント組織」を参照してください。
デフォルト・レポート組織階層バージョンが各営業単位に割り当てられます。この階層バージョンは、レポート作成時に上書きできます。
プロジェクト間接費計算階層バージョンが各ビジネス・グループに割り当てられます。「プロジェクト間接費計算階層の指定」を参照してください。
現在、Oracle Human Resourcesを使用している場合は、Oracle Projectsの既存の階層を使用するか、または新しい階層を作成できます。Oracle Human Resourcesを使用していない場合は、Oracle Projectsに少なくとも1つの階層を指定する必要があります。これらの組織階層バージョンは、いつでも変更できます。
Fremont Corporationの組織階層には、ビジネス・グループに直属の組織が4つあり、さらに、それらの組織に従属する組織が複数存在します。
Fremont Corporationの組織階層を表した次の図に示すように、Fremont Corporationの4つの事業部は、さらに次の各グループに分割されています。
管理部には、役員室、人事、財務および情報サービスの4つのグループがあります。
Fremont Engineeringには、電気、機械、構造および環境の4つのグループがあります。
Fremont Constructionには、西部、中西部、東部、南部および海外の5つのグループがあります。
Fremont Servicesには、データ・システムとリスク分析の2つのグループがあります。
次の図に、Fremont Corporationの組織階層を示します。
Fremont Corporation: 組織階層の例
組織階層を定義するときは、検索対象となる組織の論理グループを作成します。これによって、組織の様々なレベルで組織名を入力して実行する検索の範囲を管理できます。たとえば、リージョン別に組織を定義した場合は、下位レベルのリージョンで検索してから、階層内を上下して少数または多数の資源を確認できます。
検索結果の精度は、検索基準を詳細に指定するに従って向上します。たとえば、すべての資源に対して組織を1つのみ定義した場合、その組織は資源プールを削減するための要素にはなりません。他の検索基準(役職レベルやコンピテンスなど)を使用して、検索結果のフィールドを絞り込む必要があります。
検索以外に、レポート作成も効率的な組織階層の設定に影響されます。組織階層が、1つまたは多数の組織積上に対して実行するレポート作成のレベルをサポートしていることを確認する必要があります。
複数のビジネス・グループ間で資源の検索とレポート作成を実行する場合は、すべてのビジネス・グループと下位組織が階層内にあるグローバル組織階層を定義します。検索を実行するときは、グローバル階層内に最上位レベル組織を定義して、ビジネス・グループ間でプロジェクト情報を検索できます。このグローバル階層は、ビジネス・グループ間でプロジェクト情報を比較するレポートを表示する場合のレポート作成にも使用できます。
ビジネス・グループ間で検索やレポート作成を実行しない場合は、グローバル組織階層を指定する必要はありません。各組織には、ビジネス・グループ固有の組織階層を実装オプションで定義できます。デフォルトでは、すべての検索は、ユーザーが所属するビジネス・グループ階層から開始します。他のビジネス・グループの組織階層はいつでも検索できます。ただし、この設定では、一度に複数のビジネス・グループを検索することはできません。
関連項目
ケース・スタディ: Fremont Corporationでの組織変更
『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の「Organization Hierarchies」
プロジェクト間接費計算階層を割り当てるには、次に説明する手順を実行します。
法的エンティティと営業単位を入力しているビジネス・グループに関連付けられた「組織」ウィンドウにアクセスして、Oracle Projects職責を選択します。
注意: Oracle Human Resourcesをインストールしている場合は、対応するOracle Human Resourcesウィンドウでこの手順を実行します。
「組織」ウィンドウにナビゲートします(「設定」 > 「人事管理」 > 「組織」 > 「定義」)。
組織を定義するか、ビジネス・グループとして定義した組織を問い合せます。階層をプロジェクト間接費計算階層として指定するには、その前に、階層を定義する必要があります。
プロジェクト間接費計算階層バージョンは、企業の組織体系やビジネス・プロセスによって、ビジネス・グループに関連付けられている営業単位に対して定義したプロジェクト/タスク組織階層バージョン、支出/イベント組織階層バージョンまたはデフォルト・プロジェクト・レポート組織階層バージョンとは異なる場合があります。原価配分処理では、プロジェクト間接費計算階層に存在しない支出組織に対して支出を負わせることはありません。
関連項目
企業が使用している各所在地に事業所を定義します。各事業所に短縮名を割り当て、その短縮名を個々の組織または従業員に割り当てます。所在地を完全に入力するよりも事業所を入力する方が簡単です。特に、多くの従業員や組織がこの方法を使用する場合に効果があります。同一の所在地に複数の組織がある場合は、対応する事業所を各組織に割り当てます。
たとえば、WHQが国際統括本部の事業所で、Westが西海岸事務所の事業所である場合は、国際統括本部にあるすべての組織に事業所「WHQ」を割り当て、西海岸事務所にあるすべての組織に事業所「West」を割り当てます。
事業所は、レポート目的で使用できます。たとえば、法人本部に1つの事業所を割り当て、東海岸の大規模な支店に別の事業所を割り当てることができます。これらの組織には、複数の下位組織を含めることができます。これらの事業所を使用すると、カスタム・レポートを作成できます。このようなレポートの例には、合計収益をプロジェクト所有組織の事業所別に分類したレポートなどがあります。
以前の事業所を再利用したり、新規の事業所を作成することができます。すべてのユーザーは、アプリケーション内で事業所の入力を要求されたとき、事業所情報にアクセスできます。ただし、追加できるのは州(県)と郡市区のみで、国は追加できません。
Fremont CorporationのOracle Projects実装チームは、次の事業所を定義します。
本部: ほとんどの組織があるFremontの法人本部
東部: Fremont Construction営業単位の東海岸営業所
海外: Fremont Construction営業単位の海外営業所
次の表に、事業所の詳細を示します。
名称 | 摘要 | 市 | 州 | 国 |
---|---|---|---|---|
本部 | 法人本部 | ベイ・グローブ | カリフォルニア州 | 米国 |
東部 | Construction -- 東海岸営業所 | ボストン | マサチューセッツ州 | 米国 |
海外 | Construction -- 海外営業所 | マルセイユ | フランス |
関連項目
『Oracle HRMS Enterprise and Workforce Management Guide』の「Site Locations」
最初のOracle Projects営業単位を実装するために実行する多数の手順によって、すべての営業単位間で共有するパラメータと機能が定義されます。追加の営業単位を設定するために実行するのは、個々の営業単位に関するパラメータを管理するための手順のみです。同様に、いくつかのOracle Projects設定手順によって、同じビジネス・グループに関連付けられた複数の営業単位間で共有するパラメータが定義されます。これらの手順を実行する必要があるのは、ビジネス・グループごとに1回のみです。
営業単位ごとに繰り返す必要があるOracle Projects実装チェックリスト内の手順については、「実装手順」を参照してください。
実装でOracle Projectsと他のOracle Applicationsを統合する必要がある場合は、統合する営業単位ごとに他のアプリケーションを設定する必要があります。各製品に関する包括的な実装情報は、該当する製品の実装手順および『Oracle Applicationsにおける複数組織』を参照してください。
ユーザーの組織体系に複数のビジネス・グループが含まれている場合は、関連する営業単位に対して設定手順を実行する前に、各ビジネス・グループの設定を完了してください。ビジネス・グループの設定方法の詳細は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』のOracle Projects Foundation実装チェックリストのHuman Resources設定手順に関する項を参照してください。
組織で相互賦課と会社間請求を使用する場合は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の相互賦課処理の設定に関する項、およびOracle Projects実装チェックリストを参照してください。
追加する営業単位ごとに、次の手順を実行します。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の実装オプションに関する項を参照してください。
各営業組織には、独自の実装オプションがあります。これらのオプションによって、他のOracle Applicationsとのデータのインタフェース方法、および営業単位間での相互賦課や内部請求の管理方法が決定します。
自動プロジェクト採番: 自動プロジェクト採番を使用する場合は、プロジェクト番号(プロジェクト・テンプレート番号を含む)が営業単位間で一意であることに注意してください。次のプロジェクト番号に値を入力すると、自動プロジェクト採番方法を使用しているすべての営業単位では同じ番号が表示されます。
自動請求書採番: プロジェクト番号とは異なり、請求書番号は営業単位内では一意ですが、営業単位間では一意ではありません。自動請求書採番を使用する場合、次の請求書番号は、当該営業単位に固有の番号です。
注意: Project Billingを実装している場合、「請求書バッチ・ソース」フィールド(「請求」タブ・リージョンの下)は必須です。Oracle Projectsでは、このバッチ・ソースが「請求書取引」フレックスフィールドのコンテキスト値として使用されます。デフォルトは、Oracle Receivablesバッチ・ソースの「プロジェクト請求書」および「PA請求書」と「PAクレジット・メモ」の2つの取引タイプです。新規の営業単位の場合は、Receivablesバッチ・ソースの「プロジェクト請求書」が自動的に複製されます。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』のGL期間とPA期間の定義に関する項を参照してください。
元帳に関連付けられたカレンダで使用するPA期間を定義します。営業単位にPA期間タイプを定義すると、元帳のカレンダから会計期間がコピーされます。期間タイプと会計期間の定義方法の詳細は、『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』を参照してください。
各営業単位は、独自のPA期間ステータスを保守します。期間ステータスと現行報告期間の保守には、「PA期間ステータスの保守」ウィンドウを使用します。「GLからのコピー」ボタンを選択すると、カレンダから追加のPA期間をコピーできます。営業単位の1つからPA期間に取引が転記された後は、期間日付範囲を「カレンダ」ウィンドウで変更することはできません。
注意: 期間を現行報告期間として定義するには、その前に、その期間をオープンして保存する必要があります。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の支出タイプに対する原価レートの定義に関する項を参照してください。
1回設定した支出タイプは、すべての営業単位間で共有されます。ただし、支出タイプに対する原価レートは営業単位ごとに固有です。各営業単位には、支出の発生が予想される支出タイプに対して原価レートを指定する必要があります。この原価レートは、営業単位に割り当てられた元帳の機能通貨で定義します。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の使用費レート上書きの定義に関する項を参照してください。
1回設定した非労務資源は、すべての営業単位間で共有されます。営業単位が提供する各非労務資源については、関連する支出タイプに対して原価レートを設定する必要があります。原価レートが異なる非労務資源を異なる営業単位に指定する場合は、営業単位に関連付けられているビジネス・グループの組織に、使用費レート上書きを定義します。原価レートは、営業単位に割り当てられた元帳の機能通貨で定義します。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の労務費計算上書きに関する項を参照してください。
従業員は、ビジネス・グループに関連付けられています。従業員の作業は、その従業員のビジネス・グループに関連付けられている任意の営業単位に賦課できます。ビジネス・プロセスによって従業員が営業単位のサブセットで作業できる場合は、その従業員が作業する各営業単位に対して労務レートを設定します。同じ従業員に対して、営業単位ごとに異なる労務レートを設定できます。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の「レート予定表定義」を参照してください。
請求レート予定表は、原価レートと同様に機能します。営業単位ごとに独自の請求レートを指定する必要があります。各営業単位の異なる予定表にある同じ資源に対して、異なる請求レートを指定できます。請求レート予定表の請求レートは、営業単位の機能通貨で表示されます。プロジェクト請求の場合、選択できるのは、プロジェクト営業単位内の請求レート予定表のみです。ただし、振替価格ルールについては、任意の営業単位の請求レート予定表を選択できます。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』のプロジェクト・タイプに関する項を参照してください。
各営業単位にプロジェクト・タイプを設定します。営業単位ごとに固有なプロジェクト・タイプには、プロジェクト処理を営業単位ごとに管理するための独自の属性があります。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』のプロジェクト・テンプレートの定義に関する項を参照してください。
プロジェクト・タイプやプロジェクトと同様に、プロジェクト・テンプレートは1つの営業単位に属します。プロジェクト・タイプ区分を使用してプロジェクトを定義するには、各プロジェクト・タイプ区分に少なくとも1つのプロジェクト・テンプレートを定義する必要があります。プロジェクト・テンプレートは、営業単位内でのみ保守およびコピーできます。ただし、プロジェクト・テンプレート番号は営業単位間で一意です。プロジェクト・テンプレート番号は、Oracle Projectsインストール内の他のプロジェクト番号またはプロジェクト・テンプレート番号と重複できません。
原価に対する自動会計ルールは、各勘定体系に対して1回設定します。ただし、会計ルールの割当は営業単位ごとに固有です。複数組織の「シード・データの複製」処理では、設定した各営業単位のシステム定義機能取引が複製されます。原価会計仕訳を自動生成する場合は、営業単位ごとに原価機能取引を使用可能にして、Oracle Projectsで使用する適切な会計ルールを割り当てる必要があります。
Oracle Projectsでは、自動会計を使用してデフォルト勘定科目が生成されます。Oracle Subledger Accountingで独自の詳細な会計ルールを定義した場合、Oracle Projectsで自動会計を使用して導出したデフォルト勘定科目や勘定科目の個々のセグメントは、Oracle Subledger Accountingによって上書きされます。Oracle Projectsに対する自動会計とOracle Subledger Accountingの設定方法は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の原価の会計処理に関する項を参照してください。
注意: 自動会計や勘定科目ジェネレータにSQL文ルールを使用する場合は、パーティション表(末尾に_ALL)を使用してください。会計ルールは、営業単位の複数の境界にまたがるデータ要素によって異なる場合があるため、_ALL表を使用することによって、複数組織のインストールで、Oracle Projectsがサポートする相互賦課機能を使用できます。
収益と請求に対する自動会計ルールは、勘定体系ごとに1回設定します。ただし、会計ルールの割当は営業単位ごとに固有です。複数組織の「シード・データの複製」処理では、設定した各営業単位のシステム定義機能取引が複製されます。収益と請求の会計仕訳を自動生成する場合は、営業単位ごとに収益と請求の機能取引を使用可能にして、Oracle Projectsで使用する適切な会計ルールを割り当てる必要があります。
Oracle Projectsでは、自動会計を使用してデフォルト勘定科目が生成されます。Oracle Subledger Accountingで独自の詳細な会計ルールを定義した場合、Oracle Projectsで自動会計を使用して導出したデフォルト勘定科目や勘定科目の個々のセグメントは、Oracle Subledger Accountingによって上書きされます。Oracle Projectsに対する自動会計とOracle Subledger Accountingの設定方法は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の収益と請求の会計処理に関する項を参照してください。
注意: 自動会計または勘定科目ジェネレータにSQL文ルールを使用する場合は、パーティション表(末尾に_ALL)を使用してください。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の間接費の会計処理に関する項を参照してください。
プロジェクトは営業単位が所有します。Oracle Projectsを使用して、営業単位で発生した原価(プロジェクト作業に直接関連がない作業も含めて)を追跡する場合は、必要な数の間接プロジェクトを定義して間接費を記録できます。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』のOracle Projectsのプロファイル・オプションに関する項を参照してください。
複数のプロファイル・オプションによって、システム処理、システム制御およびデータ入力に影響を与えるデフォルト値が指定されます。複数組織環境では、プロファイル・オプションを職責レベルで定義することによって、プロファイル・オプション値を特定の営業単位に制限できます。職責レベルでプロファイル・オプション値を定義する場合は、Oracle Projectsの次のプロファイル・オプションを検討してください。
PA: 相互プロジェクト・ユーザー -- 更新
PA: 相互プロジェクト・ユーザー -- 表示
PA: デバッグ・モード
PA: AP/POでのデフォルト支出組織
PA: デフォルト公共部門
ビジネス・グループごとに、次の実装手順を実行する必要があります。
「間接費計算階層の割当」を参照してください。
Oracle Projectsでは、各ビジネス・グループに定義されているプロジェクト間接費計算階層を使用して、間接費予定表がコンパイルされます。各ビジネス・グループには、1つのバージョンの組織階層をプロジェクト間接費計算階層として指定する必要があります。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の間接費予定表に関する項を参照してください。
各ビジネス・グループに対して間接費予定表を設定してコンパイルします。間接費予定表は、同じビジネス・グループに関連付けられた営業単位間で共有されます。「間接費予定表の定義」ウィンドウで組織間接費乗数が明示的に定義されていない場合は、ビジネス・グループに定義されているプロジェクト間接費計算階層で次に高いレベルの組織がデフォルトとして使用されます。
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の資源および資源リストに関する項を参照してください。
各ビジネス・グループに対して資源リストを設定します。資源リストは、同じビジネス・グループに関連付けられた営業単位間で共有されます。資源リストは、同じビジネス・グループの既存の資源リストからコピーして定義できます。
プロジェクト間接費計算階層バージョンに新しい組織を追加する場合は、次の操作のいずれかを実行する必要があります。
適切な間接費予定表に、当該組織に対する新しい間接費乗数を追加します。
親組織から引き継いだ乗数を、組織の間接費乗数として使用します。
組織の特定の予定表バージョンに間接費乗数を追加する場合は、影響を受ける予定表バージョンをコンパイルする必要があります。
親組織の乗数を使用する場合は、新規組織間接費コンパイル済乗数の追加処理を発行する必要があります。この処理によって、明示的に乗数を追加しなかったすべての間接費予定表バージョンに、この組織の乗数が追加されます。
この処理を実行しないと、この組織に取引を賦課する際に、「コンパイル済乗数が見つかりません」という棄却事由が表示されます。
このケース・スタディでは、Fremont Corporationの例を使用して、Oracle Projectsを使用して組織変更に対処する方法を説明します。
最初の実装では、Fremont Corporationの組織階層には、ビジネス・グループに直属の組織が4つありました。さらに、この4つの組織には従属する組織が複数存在します。次の図に、Fremont Corporationの最初の組織階層を示します。
Fremont Corporationには、Fremont Corporationというビジネス・グループが1つあります。
このビジネス・グループの下に、管理部、Fremont Engineering、Fremont ConstructionおよびFremont Servicesの4つの事業部があります。
管理事業部には、役員室、人事、財務および情報サービスの4つの組織があります。
Fremont Engineering事業部には、電気、機械、構造および環境の4つの組織があります。
Fremont Construction事業部には、西部、中西部、東部、南部および海外の5つの組織があります。
Fremont Services事業部には、データ・システムとリスク分析の2つの組織があります。
次の図に、Fremont Corporationの最初の組織階層を示します。
国際的な建設ビジネス部門の成長に伴い、Fremont Corporationでは、ヨーロッパにおける建設プロジェクトを管理するために、既存の海外組織の下位にヨーロッパ担当の組織を別に設定します。次の図に、新しい組織階層を示します。
Fremont Corporationには、Fremont Corporationというビジネス・グループが1つあります。
このビジネス・グループの下に、管理部、Fremont Engineering、Fremont ConstructionおよびFremont Servicesの4つの事業部があります。
管理事業部には、役員室、人事、財務および情報サービスの4つの組織があります。
Fremont Engineering事業部には、電気、機械、構造および環境の4つの組織があります。
Fremont Construction事業部は、米国と海外の2つの下位部門に分割されます。米国下位部門には、西部、中西部、東部および南部の4つの組織があり、海外下位部門には、ヨーロッパという1つの組織があります。
Fremont Services事業部には、データ・システムとリスク分析の2つの組織があります。
次の図に、Fremont Corporationの新しい組織階層を示します。
このケースでは、組織変更による複数組織アーキテクチャへの影響はないと仮定します。
複数組織の変更については、「営業単位と複数組織」を参照してください。
Fremont Corporationは、組織変更について次の要件を確認しています。
組織変更は、1997年9月22日に有効になります。この日付で、1997年会計年度の10番目の月と最後の四半期が開始します。『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』のPA期間の定義に関する項を参照してください。
ヨーロッパにおける有効な全プロジェクトとそれに対応するタスクは、ヨーロッパ組織に移管されます。それ以外の海外プロジェクトは、海外組織が所有したままです。
ヨーロッパ組織には海外組織から一部の資源が移され、追加の資源も割り当てられます。また、ヨーロッパ組織は、プロジェクト原価を負担し、プロジェクト収益を上げ、独自の予算を保守するコスト・センターになります。
ヨーロッパ組織には、より高い国際的な値入れを設定した独自の請求予定表があります。
間接費予定表はFremont Corporationで標準化され、変更する必要はありません。
Fremont Constructionの顧客請求書は、Fremont Constructionで引き続き処理されて回収されます。
Fremont Corporationは、各組織レベルのレポートに加えて、Fremont Constructionレベル(建設ビジネス全体)、および米国と海外組織レベルのレポートを必要としています。
Oracle Projectsを使用すると、実際の組織変更にあわせて柔軟に修正を行うことができます。ビジネス要件に従って変更を実装するには、必要な設定変更と処理を計画する必要があります。計画と分析を慎重に行うことによって、ビジネス目標を確実に達成できます。
Oracle Projectsでは、PA期間とGL期間の両方に基づいてプロジェクト・データを追跡できます。レポートおよび分析用に明確な監査証跡を残すために、ほとんどの企業は、新しい会計月、四半期または年度を選択して組織変更を実施しています。必要な設定変更は、組織変更の有効日以降に実行する必要があります。「組織変更に伴う設定手順」を参照してください。
この例では、Fremont Corporationは1997年9月22日に組織変更を有効にします。影響を受けるプロジェクト、タスクおよび取引(システム設定の変更前に処理されており、取引日が1997年9月22日以降)は、修正して組織変更を反映する必要があります。次に、Fremont Corporationが実行する処理の要約を示します。
変更日(1997年9月22日)より前に、Fremont Corporationは、組織変更の実行手順を分析、計画および文書化する必要があります。プロジェクト取引は、従来どおり古い組織設定で処理します。
修正を避けるには、必要に応じて取引の処理を変更日以降に遅らせることができます。処理した後の取引の修正には、手動による修正か、Oracle Projectsの「一括更新バッチ」処理を使用できます。
Fremont Corporationは、組織変更日以降に、次の手順を実行します。
取引の処理
Fremont Corporationの1997年会計年度の10番目の月より前の月に転記する取引は、通常の手順で処理を完了します。
システム上は必須ではありませんが、前の期間をクローズする手順を実行できます。これによって、新しい組織設定で、前のGL期間またはPA期間に取引が誤って転記されるのを防ぎます。
設定変更の実行
Oracle Projectsの設定で必要な変更を実行します。「組織変更に伴う設定手順」を参照してください。
プロジェクト、タスクおよび取引への新規組織の割当
Fremont Corporationは、これまで海外組織が担当していたプロジェクトやタスクの一部を、新しいヨーロッパ組織に移管する必要があります。
また、変更前に処理され、組織変更を反映する必要がある取引も変更する必要があります。この変更は、次の手順(1つまたは複数)を実行して行います。
「プロジェクト, テンプレート」ウィンドウを使用して、プロジェクト/タスク組織を海外からヨーロッパに手動で更新します。監査証跡のために、プレフィクスが「Manual」の名称、バッチ・ステータスが「完了済」の一括更新バッチが作成されます。
影響を受けるプロジェクトまたはタスクの1997年9月22日以降の取引を、手動でヨーロッパに修正します。
一括更新バッチを準備します。このバッチは、「一括更新バッチ」ウィンドウまたはカスタマイズした処理を使用して準備できます。「PRC: 一括更新バッチ」処理を実行し、処理中に発生したエラーを解決します。「プロジェクトとタスクの一括更新」を参照してください。
「一括更新バッチ」処理では、影響を受ける支出項目がマークされます。組織変更の影響を受ける未処理のイベントは手動で修正する必要があります。また、組織変更の影響を受ける原価基準またはイベント基準の収益や請求書も手動で修正する必要があります。
修正した後は、適切な原価、収益および請求書の各処理を実行する必要があります。収益と請求書の修正の詳細は、『Oracle Project Billing User Guide』の「Accruing Revenue for a Project」および「Invoicing a Project」を参照してください。
組織変更がある場合は、次の実装手順(一部またはすべて)を実行する必要があります。
注意: 次の手順のいくつかは実装チェックリストに含まれています。詳細は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』を参照してください。
「ヨーロッパ」という新しい組織を定義します。
HR組織分類を使用可能にして、ヨーロッパに従業員を配置できるようにします。
ヨーロッパがプロジェクト支出を負担し、独自の予算と請求予定表を保持できるように、支出/イベント組織分類を使用可能にします。
ヨーロッパがプロジェクトを所有できるように、プロジェクト/タスク所有組織分類を使用可能にします。
プロジェクト請求書回収組織分類は使用可能にしないでください。ヨーロッパに関する請求書は、Fremont Constructionに関連付けられた取引タイプを使用して処理されます。
「米国」という新しい組織を定義します。この米国組織に組織分類は必要ありません。
Fremont Corporationは、新しい階層に従って、組織階層バージョンを更新する必要があります。
組織階層「Oracle Projects」
バージョン番号1
Fremont Corporationでは、自社のすべてのプロジェクト処理について組織階層バージョンをすでに標準化しているため、修正する必要があるのは、「Oracle Projects」いう名称の組織階層とバージョン番号1の組織階層のみです。Fremont Corporationが、自社ビジネスの業務方針、手順および処理にあわせて、当初から異なる組織階層バージョンを設定していた場合は、各組織階層バージョンの更新が必要となります。
Fremont Corporationは、プロジェクト間接費計算に、他のビジネス・プロセスで使用しているバージョンと同じ組織階層バージョンを使用するため、この手順をスキップします。
従業員をヨーロッパ組織に移して追加します。
組織変更に新しい営業単位の作成が含まれている場合は、新しい営業単位に必要な実装オプションを設定する必要があります。「営業単位の追加」を参照してください。
組織変更の結果、営業単位のプロジェクト/タスク所有組織階層分岐を変更する場合は、その営業単位に割り当てられている組織階層/バージョンまたは開始組織(あるいはその両方)を変更する必要があります。
支出/イベント組織階層分岐を変更する場合は、営業単位に割り当てられている支出/イベント組織階層分岐を変更する必要があります。
デフォルト・レポート組織階層バージョンを変更する場合は、営業単位に割り当てられているレポート組織階層分岐を変更する必要があります。
Fremont Corporationは、組織変更がこれらの条件に該当しないため、この手順をスキップできます。
組織変更に基づいて、既存の支出タイプを更新し、新しい支出タイプを追加します。
Fremont Corporationは、組織変更に伴って新しい支出タイプを追加する必要はありません。標準化された支出タイプがすでに設定されています。
新しい組織に対して非労務資源を定義します。
Fremont Corporationは、次の表に示すように、非労務資源のPCとミニバンを更新し、追加の所有組織としてのヨーロッパに追加する必要があります。
非労務資源 | 摘要 | 支出タイプ | 組織 |
---|---|---|---|
PC | 本部ネットワーク上のPC | コンピュータ・サービス | ヨーロッパ |
ミニバン | 訪問用ミニバン | 自動車 | ヨーロッパ |
支出タイプのレートを更新し、必要な場合は新しい支出タイプ原価レートを設定します。
Fremont Corporationは、ヨーロッパ組織をサポートするための全体的な原価上昇に対応するために、次の表に示すように、支出タイプ「コンピュータ・サービス」に対する支出原価レートをより高く設定します。
支出タイプ | 単位 | 新しいレート |
---|---|---|
コンピュータ・サービス | 時間 | 10.00 |
ヨーロッパ組織に対して新しい使用費レート上書きを設定します。
Fremont Corporationは、次の表に示すように、ヨーロッパ組織が所有するミニバンに対する使用費レートをより高く設定します。
非労務資源 | 支出タイプ | 組織 | 使用費レート上書き |
---|---|---|---|
ミニバン | 自動車 | ヨーロッパ | 60.00 |
変更が必要なレート、およびヨーロッパ組織に雇用された新しい従業員用に、従業員レートを定義します。
組織変更に基づいて、間接費予定表を更新し、必要に応じて新しい間接費予定表を追加します。
Fremont Corporationは、新しい間接費予定表を定義する必要はありません。
ヨーロッパの請求レートは高いため、Fremont Corporationは、ヨーロッパ組織に対する新しい請求レート予定表を定義する必要があります。
組織変更の影響を受ける資源リストを更新します。資源詳細を「組織」資源タイプ別にグループ化または保守する資源リストに、新しい組織を追加します。
必要となる新しいプロジェクト・タイプを、請求レート予定表や間接費予定表などの新しいデフォルトを使用して設定します。
必要となる新しいプロジェクト・テンプレートを、プロジェクトやタスク組織などの新しいデフォルトを使用して設定します。
組織変更に基づいて自動会計設定を変更します。Fremont Corporationは、新しい組織を考慮して、次の表に示すように参照セットを更新する必要があります。
参照セット名 | 参照セットの摘要 | セグメント値: 組織 | セグメント値: 会社コード |
---|---|---|---|
組織から会社 | 組織を適切な会社コードにマップ | ヨーロッパ | 03 |
組織からコスト・センター | 組織を適切なコスト・センター・コードにマップ | ヨーロッパ | 306 |
変更の影響を受けるクライアント拡張を変更します。