Oracle E-Business Suiteインストレーション・ガイド: Rapid Installの使用方法 リリース12.2 (12.2.0) E51766-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章では、Rapid Installを使用したOracle E-Business Suiteシステムのインストールまたはアップグレードに関する基本情報、Rapid Wizardインタフェースの概要、およびインストールまたはアップグレードを開始する前に実行する必要がある設定ステップについて説明します。
この章の構成は、次のとおりです。
Rapid Installを使用して次のタスクを実行できます。
完全に構成された新しいOracle E-Business Suiteシステムのインストール。このシステムには、最新の認証済Oracle E-Business Suiteテクノロジ・スタックとすべてのパッチ、製品ファミリ・リリースの更新パック、リリースの更新パック、およびこのOracle E-Business Suiteのリリースの時点で入手可能なその他の更新が含まれます。
ファイル・システムの作成およびアップグレード済システムのサーバー・プロセスの構成。
Rapid Installではウィザードが使用されており、画面に表示される指示に従って選択したタスクを実行できます。ウィザードの各画面にシステムの構成値を入力すると、通常、その値は後で使用できるようにOracle E-Business Suiteデータベースに保存されます。
以前のリリースのOracle E-Business Suiteでは、入力した構成値の格納にテキスト・ファイルconfig.txtのみが使用されていました。この構成ファイル名にはデータベースSIDが追加され、ファイル名はconf_<SID>.txt (conf_PROD.txtなど)となります。このファイルには、すべてのデータベース・ノードおよびアプリケーション・ノードに関してRapid Installにより収集された情報が格納されます。
Rapid Installでは、conf_<SID>.txtファイルのコピーが次の3箇所に格納されます。
Database 11gR2 <ORACLE_HOME>/appsutil: このコピーは、データベース・ノード、マルチノード・インストールのアプリケーション・ノードおよびアップグレードで使用されます。このコピーは永続的に格納され、削除されることはありません。
$INST_TOP: このコピーは、マルチノード・インストールのアプリケーション・ノードとアップグレードで使用されます。このコピーは永続的に格納され、削除されることはありません。
/tmp/<time stamp>: このコピーは、Rapid Installでインストール処理中に使用されます。このコピーは、インストールが完了すると削除されます。
リリース12.2では、conf_<SID>.txtファイルが特定の状況(データベースがまだ作成されていない場合など)で使用されます。この構成ファイルは、マルチノード(分散)インストールでも使用します。構成ファイルへのインストール情報の入力は1台のマシンに1回のみ必要で、必要に応じて別のマシンにその構成ファイルをコピーできます。
よくあるケースですが、データベース層とアプリケーション層のサポートに異なるマシンを使用する環境にインストールする場合、最初はデータベース・マシンに対してRapid Installを実行し、その後各マシンに対して順番に実行します。たとえば、3台のマシンがあり、1台をデータベース層に、2台をアプリケーション層に使用しているとします。その場合は、Rapid Installをマシンごとに1度ずつ、合計3度実行します。共有アプリケーション層ファイル・システムを使用するマルチノード環境では、最初に主アプリケーション・ノードでRapid Installを実行する必要があります。非共有アプリケーション層ファイル・システムを使用する場合は、どのアプリケーション・ノードからRapid Installを実行してもかまいません。いずれのタイプの環境でも、Oracle E-Business Suiteシステムの複数のノードに対してRapid Installを一度に実行することはできません。
Rapid Installで使用されるメインの構成エンジンはAutoConfigです。Rapid InstallはAutoConfigに構成情報を提供し、AutoConfigでは各ノードの構成がノード固有の構成ファイル(コンテキスト・ファイル)に格納されます。
重要: AutoConfigはOracle E-Business Suiteリリース12.2に同梱されており、新規インストールに必須です。
AutoConfigにより、システム構成の管理が簡素化され標準化されます。初期インストール後は、Oracle Applications ManagerでConfiguration Editor を使用してOracle E-Business Suiteのコンポーネントのパラメータの値を更新できるほか、AutoConfigスクリプトを実行してシステム構成ファイルに新規の値を移入できます。
注意: AutoConfigとその他の管理ツールの詳細は、Oracle E-Business Suite概要の「技術構成」の章を参照してください。
Rapid Installでは、Oracle E-Business Suiteシステムに必要な多数のパラメータのほとんどに、値が自動的に入力されます。ただし、最初にインストール方法を選択します。独自のパラメータを多数入力して標準インストールを実行するか、簡易インストールを選択できます。後者の場合、Rapid Installにより、ほぼすべてのパラメータにデフォルト値が入力されます。
標準インストールでは、サイトの特定の要件にあわせてシステムを柔軟に構成できますが、デフォルト設定で十分であることがわかっている場合や、設定値が重要ではないテスト・システムを設定する場合は、簡易インストールが便利です。
どちらのタイプでも、フレッシュ・データベース(完全に構成されているが取引データが含まれないデータベース)またはVision Demoデータベース(研修またはデモンストレーション用に使用する架空の企業の取引データ例が含まれるデータベース)のいずれかをインストールできます。
Oracle E-Business Suiteのインストール・プロセスは可能なかぎり柔軟に構成できるように設計されており、基本システムをインストールした後に、特定の開発要件を満たすため、または単に拡張が必要な場合にマシンを追加できます。
Oracle E-Business Suiteのインストール時には、次の用語が使用されます。
サーバーは、特定の機能を提供するプロセスを表す従来の用語です。この用語は、単一プロセスを表すという意味では、リリース12アーキテクチャの一部のコンポーネントに適切とは言えません。該当する場合は、かわりにサービスという用語が使用されています。
ノードはサーバーを論理的にグループ化したものであるため、基本的にはハードウェアではなくソフトウェアの概念ですが、特定のノードがインストールされているマシンを指すためにもしばしば使用されます。たとえば、アプリケーション・ノードは特定の構成、ノード・ファイル・システムおよびインスタンス・ファイル・システムを組み合せたもので、この3つがアプリケーション・ノードとしての機能に必要なサービスをサポートします。このマニュアルでは、主アプリケーション・ノード(唯一のアプリケーション・ノードの場合もあります)およびデータベース・ノード(Oracleデータベース・サーバーをサポートします)と呼ぶこともあります。
層は、サービスを論理的にグループ化したもので、複数の物理マシン間に分散している可能性があります。Oracle E-Business Suiteインストールを構成する3層アーキテクチャは、Oracleデータベースをサポートおよび管理するデータベース層、Oracle E-Business Suiteの各種コンポーネントをサポートおよび管理するアプリケーション層(中間層)、およびアドオン・コンポーネントを介して標準Webブラウザにユーザー・インタフェースを提供するデスクトップ層からなっています。
新規の標準インストールでは、構成の多数の側面を定義します。必須ノード(データベース・ノードと主アプリケーション・ノード)のインストール場所を選択する必要があります。
より単純なインストールの場合、データベース・ノードとアプリケーション・ノードを同一マシンにインストールできます。通常、このタイプのインストールは小規模システムまたはデモンストレーションに使用します。データベース・ノードを1台のマシンにインストールし、アプリケーション・ノードを別のマシンにインストールする方が一般的です。これにより、管理性、スケーラビリティおよびパフォーマンスが向上します。
アプリケーション層の処理は、複数のアプリケーション・ノードに分散できます。アプリケーション層を拡張する場合は、アプリケーション・ノードを追加指定することもできます。通常、その場合は、システムの可用性と柔軟性を高めるために、追加ノードを専用マシンに配置します。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2.0は、汎用APPL_TOPのみをサポートしています。つまり、APPL_TOPが各部(コンカレント処理、フォーム、Web)に分離されることはありません。ただし、すべてのアプリケーション・ノードで汎用APPL_TOPが使用されますが、ノードごとに異なるサービス・セットを指定できます。これにより、コンカレント処理やWebサービスのサポートなどに特化したノードを作成できます。
注意: Oracle E-Business Suiteアーキテクチャおよびファイル・システムの詳細は、Oracle E-Business Suite概要を参照してください。
簡易インストールでは、いくつかの基本構成パラメータ(データベースのタイプと名前、最上位インストール・ディレクトリおよびポート・プールの選択など)を使用して、完全に構成されたシングルユーザー/シングルマシン・システムを設定します。残りのディレクトリ指定およびマウント・ポイントは、Rapid Installによりデフォルト値を使用して指定されます。簡易インストールには、コア製品一式が含まれ、US7ASCIIキャラクタ・セットが使用されます。
システムをアップグレードする方法は、既存のインストールのリリースによって2つに分かれます。
リリース11i (11.5.10)からリリース12.2
リリース12.0または12.1からリリース12.2
注意: 「アップグレードの実行」を参照してください。『Oracle E-Business Suiteリリース11iから12.2へのアップグレード・ガイド』またはOracle E-Business Suiteリリース12.0および12.1から12.2へのアップグレード・ガイドも参照してください。
この項では、Rapid Installによりインストールされる認証済コンポーネントおよびOracle E-Business Suiteリリース12.2インストールのシステム要件を示します。
Rapid Installでは、データベース・ノードおよびアプリケーション・ノードの両方に対して、必須テクノロジ・スタック・コンポーネントが自動的にインストールおよび構成されます。
新しいOracle E-Business Suiteリリース12.2インストールのデータベース層テクノロジ・スタックは、新規インストールとアップグレードの両方においてOracle 11gリリース2 Oracleホームで構成されます。
重要: Oracle E-Business Suiteリリース12.2にはOracle Database Enterprise Editionが必要です。その他のエディションはサポートされません。
アプリケーション・ノードのテクノロジ・スタックには、次のようなコンポーネントが含まれます。
Oracle Application Server 10g (10.1.2.3)には、次のコンポーネントが含まれます。
Oracle Forms
Oracle Reports
Oracle Fusion Middleware 11gには、次のコンポーネントが含まれます。
Oracle WebLogic Server
注意: リリース12.2で必要なJava Development Kit (JDK)は、Rapid Installにより自動的にインストールされます。JDKを別途インストールする必要はありません。
これらのオプション・コンポーネントをOracle E-Business Suiteで使用する方法の詳細は、My Oracle Supportの製品固有のノートを参照してください。
製品の証明書は、My Oracle Supportの「動作保証」タブ(「その他」タブの下)で確認できます。
この項では、プラットフォーム別に必要なシステム・ソフトウェア、マルチノード・インストールのパッチ・レベル要件、および必須のネットワーク要件について説明します。
次の保守ツールをすべてのマシンにインストールし、ウィザードを実行するアカウントの$PATHとデータベース層およびアプリケーション層のファイル・システムを所有するアカウントの$PATHの両方に、ツールの位置を指定する必要があります。
注意: この章の「オペレーティング・システム・アカウントの作成」および「構成の詳細」の「アプリケーション・ノード・パラメータ」を参照してください。
オペレーティング・システム | 必須保守ツール |
---|---|
Oracle Solaris SPARC (64ビット) | ar、ld、make、X Display Server |
Linux x86-64 | ar、gcc、g++、ld、ksh、make、X Display Server |
Power Systems上のIBM AIX (64ビット) | ar、cc、ld、linkxlC、make、X Display Server |
HP-UX Itanium | ar、cc、aCC、make、X Display Server |
注意: 現在、Oracle E-Business SuiteはMicrosoft Windows Serverではサポートされていません。Microsoft Windowsでの動作に関する例は、将来の参照用です。
マルチノード・インストールの場合は次のとおりです。
アプリケーション層のすべてのノードが同じオペレーティング・システムのパッチ・レベルにあること
データベース層のすべてのノードが同じオペレーティング・システムのパッチ・レベルにあること
また、オペレーティング・システムのカーネル・パラメータを特定の層(アプリケーション層またはデータベース層)のすべてのノードと一致するように設定することをお薦めします。これは必須ではありませんが、これらのマシンを事実上同一であると見なすことによって、管理と保守が簡素化されます。
主なネットワーク要件はホストのファイルに対するものであり、インストール先マシンの入力を次の形式で含めます。
<IPアドレス> <ホスト名>.<ドメイン名> <ホスト名>
重要: ホスト名は30文字以下で指定してください。
対象のUNIXプラットフォームやLinuxプラットフォームで、/dev/shmディレクトリに'noexec'権限と'nosuid'権限のいずれも設定されていないことを確認します。設定されると、Oracle JVM JITで次の実行時エラーが発生する場合があります。
ORA-29516: Aurora assertion failure: Assertion failure at joez.c:
Bulk load of method java/lang/Object.<init> failed; insufficient shm-object space
製品の組合せ、ユーザー・プロファイル、構成がそれぞれ異なるため、すべてのハードウェア・プラットフォームに適した共通のサイズはありません。ハードウェア・ベンダーの中には、自社のハードウェア上のOracle E-Business Suiteに関して、CPU要件とメモリー要件のモデルとなるサイズ設定ワークシートを用意しているところもあります。
ハードウェアの適切なサイズ設定を保証するうえで最も信頼性が高いのは、自社の現状および予想される作業負荷のシミュレーションを行うために、テスト環境をインストールし、マシン構成、製品の組合せおよびユーザー負荷を使用して独自のベンチマーク・テストを実施する方法です。これらの実際の条件は、本番そのままの環境をインストールする前にパフォーマンスを検証するのに役立ちます。かわりに、オラクル・コンサルティング・サービスやハードウェア・ベンダーの協力を得て、自社の現状に似た製品の組合せと、ユーザー・プロファイルで導入されて稼動している他のOracle E-Business Suiteシステムを探す方法もあります。
Oracle E-Business Suiteを実行するためのCPU要件は、次の要素によって決まります(順不同)。
コンカレント・ユーザーおよびその使用プロファイルの数
コンカレント・マネージャのプロセス数および実行ジョブのタイプ
Oracle E-Business Suite以外のアクティビティの負荷
データベースのサイズ
希望応答時間
Oracle E-Business Suiteデータベースのインストール要件を満たすには、十分なメモリーが必要です。データベースをインストールするマシンの総メモリー要件は、次の要素に基づいて決まります。
Oracleデータベースのオーバーヘッド
システム・グローバル領域(system global area: SGA)のサイズ
コンカレント・ユーザー数
マシンで実行する必要のあるOracle以外のソフトウェア(非推奨)
メモリー要件は、このOracle E-Business Suiteシステムの予定運用期間にわたる使用量の増大を見込んだうえで設定する必要があります。ただし、後で追加された要件を満たすようにシステムを拡張する方法は比較的簡単で、アプリケーション層にノードを追加するか、データベース層にOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を追加することによって行えます。
重要: Oracle E-Business Suiteデータベースの各種コンポーネントのメモリー要件を決定するうえで役立つ情報は、『Database Initialization Parameters for Oracle E-Business Suite Release 12』(My Oracle Support Knowledge Document 396009.1)を参照してください。
Oracle E-Business Suiteを実行するために最小限必要なメモリーは、データベース層のマシンで6GB、アプリケーション層のマシンで10GBです。ただし、これによってサポートされるのは、オンライン・パッチの適用を含め、少数のユーザー(最大10)のみです。
重要: この件に関する詳しいガイドと推奨事項は、データベース層とアプリケーション層のサイズ設定に関する項を参照してください。
Rapid Installでは、ライセンスの状態に関係なく、すべての製品に対してファイル・システムおよびデータベース・ファイルがインストールされます。標準インストールにおけるファイル・システムのディスク領域要件の概算値は、次のとおりです。
注意: データベース・ノードのディスク領域要件には、本番データベースおよびVision Demoデータベースのどちらの場合も、データベース・ファイル(.dbf)および11gR2データベースのOracleホームが含まれます。
重要: オンライン・パッチの適用を有効化する前提条件として、システム表領域に追加の25GBが必要です。
重要: Oracle E-Business Suiteリリース12.2にオンライン・パッチの適用を導入したことにより、アプリケーション層のディスク領域のサイズ要件が以前のOracle E-Business Suiteのリリースよりも大きくなりました。これは、オンライン・パッチを適用するうえで必要なデュアル・ファイル・システムを採用したことにより、APPL_TOP、COMMON_TOP、INST_TOP、OracleAS 10.1.2 OracleホームおよびFusion Middleware Oracleホームが重複することが原因です。
警告: ディレクトリに2TB以上の空き領域のある場合、現時点ではそのディレクトリに対してOracle E-Business SuiteのRapid Installを実行できません。この制限は将来のリリースで解除されます。
本番データベース・インストールの場合、ステージ領域からRapid Installを実行するには、ステージ領域内にファイル・システムおよびデータベース・ファイルを格納するために、少なくとも48GB以上必要です。「ステージ領域の設定」を参照してください。
重要: ステージ領域のサイズは主にデータベースのサイズによって決まるため、自社のニーズやデータベースのフットプリントに注意してサイズを設定してください。
Oracle E-Business Suite製品の多くでは、実行時にログ・ファイルと出力ファイルが生成されます。必要なディスク領域は、ユーザー数、トランザクション数およびファイルをパージする頻度により異なります。
ヒント: ログ・ファイルと出力ファイルが自動的にパージされることはありません。インストール後にこれらのファイルをアーカイブおよびパージする方針を決定し、これらのファイルによって消費されるディスク領域を監視して、将来的に必要となる領域を算出します。
一時ディスク領域のインストール中に、Rapid InstallではTMPDIR変数(UNIXの場合)またはTEMPおよびTMP変数(Windowsの場合)で定義されたディレクトリが使用されます。インストールを開始する前に、一次領域に十分な空き(通常は数GB)があることを確認してください。
実行時に、Oracle E-Business Suiteは一時ディスク領域を必要とします。たとえば、各コンカレント・マネージャではパラメータ・ファイル、Oracle Reportsではフォーマット・ファイル、Oracle Formsではバッファ・レコードがそれぞれ一時的に作成されます。Rapid Installでは、ノード固有の設定画面で指定した値に基づいて一時ディレクトリが設定されます。TMPDIR変数によって定義されたディレクトリは、一部のパッチなどのテンポラリ・ファイルとしても使用されます。
更新、パッチ、Maintenance Pack、Family PackおよびMiniPackを適用するディスク領域、および作成されるバックアップ・ファイル用のディスク領域が必要です。
注意: 詳細は、『Oracle E-Business Suiteメンテナンス・ガイド』を参照してください。
合計ディスク領域の見積りでは、Oracle E-Business Suiteに直接関連しないファイルの所要量を考慮する必要があります。たとえば、次のようになります。
オペレーティング・システム・ソフトウェア
オンライン・バックアップ
カスタム・アプリケーション開発ファイル
その他に使用するソフトウェアのファイル
この項には、Oracle E-Business Suiteリリース12.1.3からリリース12.2へのテスト・アップグレードに基づく、データベース層とアプリケーション層のサイズ設定に関する情報が記載されています。リリース12.1.3データベースのサイズは456GBでした。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2の一般的なサイズ設定のガイドラインを次に紹介します。
データベース層のマシンに2GBのメモリー、中間層のマシンに3GBのメモリーを割り当てることをお薦めします。
各種トランザクションのサイズ設定は、トランザクション・タイプ(Oracle Application Framework、Forms、バッチ・プログラムなど)やトランザクションの作業負荷(小、中、大)によって決まります。一部のトランザクション(Oracle Configuratorのトランザクションなど)はより多くのメモリーが必要な場合があります。
注意: システムのサイズ設定は、常に自社環境の一般的なデータや作業負荷を使用したテストに基づいて行ってください。
次の表は、小から中程度の作業負荷のOAFタイプのトランザクションで使用されるメモリーを示します。
コンカレント・ユーザー数 | データベース・マシンのメモリー | データベース・マシンのCPU数 | アプリケーション層マシンのメモリー | アプリケーション層マシンのCPU数 |
---|---|---|---|---|
0-10 | 4GB | 2 | 6GB | 2 |
100-200 | 8GB | 2 | 8GB | 2 |
200-400 | 12GB | 4 | 10GB | 4 |
400-800 | 20GB | 8 | 14GB | 8 |
リソースの計画はこれらの数値に基づいて行ってください。
重要: ここに示す数値はメモリー量の最小値であるため、要件によってはそれ以上が必要な場合があります。
Oracle Formsの各プロセスには、アプリケーション層に40MBのメモリーが必要です。このため、必要なメモリーは次の計算式によって算出されます。
(Oracle Formsのコンカレント・ユーザー数) x 40MB
次の表は、指定のユーザー数ごとの追加メモリーを示します。
ユーザー数 | 必要なメモリー |
---|---|
100 | 4GB |
200 | 8GB |
400 | 16GB |
800 | 32GB |
データベース層では、各オープン・フォームに1つのデータベース・セッション、Oracle Formsの各ユーザーに2つ以上のデータベース・セッション(ナビゲータ・フォーム用に1つ、アクティブ・フォーム用に1つのセッション)が作成されます。Oracle Formsの各セッションでは、データベースに約30MBのPGAメモリーが必要です。
データベース上のOracle Formsのプロセスでは、PGA分配のために各セッションで追加の30MBが必要です。次の表は、セッション数ごとの必要なメモリーを示します。
Formsのセッション数 | 必要なメモリー |
---|---|
100 | 3GB |
200 | 6GB |
400 | 12GB |
800 | 24GB |
次の表のデータは、リリース12.1.3からリリース12.2へのアップグレードに基づいて作成されました。
アップグレード前のデータベース・サイズ(GB) | アップグレード後のデータベース・サイズ(GB) | デルタ値(GB) | 増加率(%) |
---|---|---|---|
456 | 481 | 25 | 5.5 |
このアップグレードの環境詳細は次のとおりです。
オペレーティング・システム: Oracle Linux Enterprise Edition Serverリリース5.8
サーバー・メモリー: 34GB
CPU数: 32
Oracle Databaseのリリース: 11.2.0.3
Oracle E-Business Suiteのリリース: 12.1.3
注意: この例では、データベース層とアプリケーション層が同じマシン上にあります。
データベースの構成は次のとおりです。
SGA: 5GB
共有プール: 1GB
PGA: 3GB
ログ・バッファ: 30MB
job_queue_processes: 32
アップグレードの実行の詳細は、Oracle E-Business Suiteリリース12.0および12.1からリリース12.2へのアップグレード・ガイドまたは『Oracle E-Business Suiteリリース11iから12.2へのアップグレード・ガイド』も参照してください。
注意: 「管理層」のアップグレード時、使用したバッチサイズとワーカー数はそれぞれ1000と32でした。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2は、新しいオンライン・パッチの適用機能に対応するように、次の3つのファイル・システムとともにインストールされます。
fs1 (本番ファイル・システム) - システムのカレント・ユーザーが使用。
fs2 (本番ファイル・システムのコピー) - パッチ適用ツールで使用。
fs_ne (ノンエディション・ファイル・システム) - ファイル・システムに格納されているデータを保存するために使用(データのインポート・ファイルやエクスポート・ファイル、レポート、出力ファイルやログ・ファイルなど)。
また、アップグレード前のファイル・システムにはINST_TOPに関する要件があります。
リリース12.2のインストールの3つのファイル・システムはすべて、単一のデータベースとして機能します。実行中のアプリケーションで使用されているファイル・システムにパッチが適用されることはありません。すべてのパッチはセカンダリ・ファイル・システムに適用されます。
次の表は、リリース12.1.3からのサンプル・アップグレード・シナリオのデータを示します。
コンポーネント | アップグレード前のサイズ | アップグレード後のサイズ |
---|---|---|
ORACLE_HOME | 3.6GB | 3.6GB |
APPL_TOP | 28GB | 該当しない |
INST_TOP | 20MB | 該当しない |
fs1 (APPL_TOP+ INST_TOP) | 該当しない | 30GB |
fs2 (APPL_TOP+ INST_TOP) | 該当しない | 29GB |
fs_ne | 該当しない | 660KB |
Oracle E-Business Suiteを64ビットJavaで実行する際には、次の点に注意してください。
JVMのヒープ・サイズ1GBごとに150ユーザーから180ユーザーをサポートします。
通常、2CPUごとに1つのJVMが分配されます。
応答時間に影響があるのは最大分散ヒープ(Xmx)のみです。初期ヒープ・サイズ(Xms)を変更しても、応答時間に影響はありません。
最良の結果を得るには、複数の管理対象インスタンスを使用します。たとえば、合計ヒープ・サイズが8GBのJVMを1つ使用するよりも、合計ヒープ・サイズが4GBの管理対象インスタンスを2つ使用する方が応答時間が短くなります。
注意: 詳細は、『Oracle E-Business Suiteセットアップ・ガイド』の第3章「技術構成」で、サービス・タイプごとのインスタンス数のカスタマイズに関する項を参照してください。
前述の点にさらに加えて、最大4GBのJVMを使用し、管理対象インスタンスを追加することによって、より多くのユーザーが使用できるように拡張します。これを行う利点は次の2つです。
複数の管理対象インスタンスにより、ガベージ・コレクション(GC)アクティビティの調整がより簡単になります(自動的に調整されます)。
各インスタンスで別々の接続プールを使用できます。基本的には、各インスタンスで分散されたJVMヒープ・サイズと、そのインスタンスで空き状態にある接続プールのバランスを維持する必要があります。
Javaコンカレント・プログラムなどのコンカレント・マネージャ・コンポーネントのサイズ設定は、注意して行う必要があります。比較的大量のデータを処理する場合、Javaコンカレント・プログラムのXmsとXmxの設定を増やす必要がある場合があります。これは通常、コンカレント・プログラムの定義画面のオプション・フィールドで実行します。ワーカー数を増やすとメモリー要件が著しく増大する場合があるので注意してください。少なくともXmsに指定した値のメモリーを、各Javaコンカレント・ワーカーに割り当てる必要があるためです。
インストールを始める前に、この項の関連ステップをすべて実行する必要があります。
Rapid Installでは、Rapid Install画面で入力した情報に基づいてインストールまたはアップグレード処理の詳細を処理します。開始前に必要な情報を収集すれば、インストールまたはアップグレード完了までの時間が短縮されます。
このマニュアルとプラットフォーム固有のノートで説明している要件を満たすのみでなく、組織のライセンス契約を理解していることも確認しておく必要があります。
Rapid Installを実行する前に、『Oracle E-Business Suite Release Notes, Release 12.2』(My Oracle Support Knowledge Document 1320300.1)を参照してください。
また、関連するOracle E-Business Suiteプラットフォームに固有のインストレーション・ガイドやアップグレード・ガイドにも目を通しておいてください。参照ドキュメントは、『Oracle E-Business Suite Documentation Resources, Release 12.2』(My Oracle Support Knowledge Document 1498411.1)に記載されています。
Rapid Installを実行する前に、データベース・ノードとアプリケーション・ノードのファイル・システムのインストールに使用するオペレーティング・システム・アカウントを作成する必要があります。このプロセスの詳細は、UNIXシステムとWindowsシステムのどちらを使用しているかによって異なります。必要に応じて該当するオペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。
データベース・ノードのファイル・システムを所有し、データベース・ノード・サービスを開始するオペレーティング・システム・ユーザーを、oracleユーザーと呼びます。このユーザーはプライマリ・グループ「dba」で作成される必要があります。アプリケーション・ノードのファイル・システムを所有し、アプリケーション・ノード・サービスを開始するオペレーティング・システム・ユーザーを、applmgrユーザーと呼びます。
これらのアカウント名は両方とも、Oracle E-Business Suiteシステムの全ノードで同じである必要があります。
注意: UNIXという用語は、Linuxを含めてUNIXオペレーティング・システムのすべてのバリエーションを指します。
シングルユーザー・インストールを準備するには、oracleユーザー・アカウントを作成してからoracleユーザーとしてログインし、Rapid Installを実行します。Bourneシェルと互換性があるデフォルト・シェルを使用してアカウントを作成する必要があります。
注意: Kornシェル(ksh)を使用する場合は、インストール開始前に$ENV環境変数を設定しないように注意してください。Oracleのインストール・スクリプトによって設定される変数が、この変数によって変更される可能性があるからです。必要に応じてコマンド「unset ENV」を使用して、変数の設定を解除できます。
マルチユーザー・インストールを準備するには、最初にoracleユーザー・アカウントおよびapplmgrユーザー・アカウントを作成する必要があります。どちらも、Bourneシェルと互換性があるデフォルト・シェルを使用して作成する必要があります。rootとしてログインし、Rapid Installを実行します。次に、oracleユーザーをOracle OSユーザーとして、applmgrユーザーをApps OSユーザーとして指定します。
oracleユーザーは、データベース・ノードのテクノロジ・スタック(11gR2 Oracleホーム)およびデータベース・ファイルを所有するアカウントです。oracleユーザーのデフォルト名はora<SID>です。たとえば、本番(PROD)環境の場合、デフォルトのOracle OSユーザー名をoraprodにできます。
applmgrユーザーは、アプリケーション・ノードのテクノロジ・スタック(APPL_TOP、COMMON_TOP、OracleAS 10.1.2 OracleホームおよびOracle Fusion Middleware Oracleホーム)を所有するアカウントです。デフォルト名はappl<SID>です。たとえば、Vision Demo(VIS)環境の場合、デフォルトのApps OSユーザー名をapplvisにできます。
複数ノードを含むマシン上では、一方のユーザー・アカウントをデータベース・ノード・ファイル・システムの所有者として割り当て、もう一方のユーザー・アカウントをアプリケーション・ノード・ファイル・システムの所有者として割り当てることができます。このタイプのインストールの場合、rootユーザーがインストールを開始すると、Rapid Installを1度実行して両方のノードをインストールできます。インストール先マシンにインストールするノードが1つのみの場合、または全ノードが同じユーザーを共有する場合は、インストールをrootユーザーとして実行するか、対象ノードの特定のユーザーとして実行できます。
Windowsでは、Rapid Installを実行するユーザーは、すべてのコンポーネントのファイル・システム(データベース・ファイル・システムとOracle E-Business Suiteファイル・システム)を所有します。そのため、WindowsインストールはUNIXのシングルユーザー・インストールに相当します。
Oracle E-Business Suiteをインストールする前に、インストールを行うユーザー・アカウントは、ローカル環境を完全に管理できる管理者権限と、ローカル・プリンタまたはネットワーク・プリンタへの印刷許可を持っている必要があります。新規のドメイン・レベル・アカウント(たとえばoracle)を作成し、このアカウントを次に示すグループのメンバーにすることをお薦めします。
このアカウントは他のグループのメンバーにする必要はありません。GUESTグループのメンバーにはしないでください。アカウントの作成とアカウントのグループへの割当てに関する情報は、Windowsのヘルプを参照してください。
この項では、リリース12.2のインストール・ソフトウェアをダウンロードし、インストールに備えてソフトウェアが配置されるステージ領域を作成するために必要なタスクについて説明します。
注意: ステージ領域には、ネットワークで接続されたストレージ・デバイス(NFSマウント・ディスク・ドライブなど)を使用できます。必要なマウント・オプションの詳細は、『Mount Options for Oracle Files When Used With NAS Devices』(My Oracle Support Knowledge Document 359515.1)を参照してください。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2メディア・パックには、Oracle E-Business Suite、Oracle Database 11gR2およびOracle Fusion Middlewareが含まれています。Oracle Software Delivery Cloud (edelivery.oracle.com)からZIP形式で入手できます。
注意: ソフトウェアをDVDで配布された場合でも、ソフトウェアの構成について次の原則が適用されます。
各ZIPファイルの名前は、「<部品番号>_NofM」の形式で指定されています。指定部品番号のファイルの完全なセットを入手するには、1からMまでのすべてのZIPファイルが必要です。たとえば、Oracle部品番号「V15690-01 (「Oracle E-Business Suite Release 12.2 for Linux x86-64 Rapid Install APPL_TOP - Disk 1 (Part 1 of 3)」に対応)」が3つに分かれている場合は、「V15690-01_1of3.zip」、「V15690-01_2of3.zip」および「V15690-01_3of3.zip」の3つのZIPファイルをダウンロードする必要があります。
重要: ファイルをダウンロードする前に、インストールするリリースのリリース・ノートに目を通しておいてください。
まず、前述したインストール・ソフトウェアをダウンロードする場所に、StageR122という名前のディレクトリを作成する必要があります。次に必要なファイルを解凍し、Rapid Installの実行に備えてステージ領域を作成します。この項では、そのステップについて説明します。
ファイル・システム上の任意の場所でご使用のオペレーティング・システムの適切なコマンドを実行します。
次の例では、マウント・ポイント「/u01」の下にステージ領域のディレクトリが作成されています。
$ cd /u01
$ mkdir Stage122
次の例では、F:ドライブにステージ領域のディレクトリを作成しています。
C:\>F:
F:\>mkdir Stage122
ステージ領域のディレクトリの作成後、そのディレクトリにOracle E-Business Suiteリリース12.2メディア・パックをダウンロードし、「Oracle E-Business Suite Release 12.2.0 Rapid Install Start Here」のファイルのみを解凍します。
重要: これはソフトウェアすべてを解凍していた以前のリリースとは異なる手順です。
このスクリプトには複数の機能があり、メニューから選択します。主な機能の1つは、Rapid Installで後で使用する残りのインストール・ソフトウェアを解凍する機能です。このプロセスでは、ステージ領域の下に様々なサブディレクトリが作成されます。
重要: buildStageスクリプトの実行は、インストール前の必須のステップです。選択するbuildStageオプションは、既存のステージ領域があるかどうかによって変わります。
buildStageスクリプトは、UNIXとWindowsで次のように動作します。
$ cd /u01/StageR122/startCD/Disk1/rapidwiz/bin
$ buildStage.sh
C:\>F:
F:\>cd StageR122\startCD\Disk1\rapidwiz\bin
F:\>buildStage.cmd
buildStageのメニューは次のとおりです。
メイン・メニュー
Build Stage Menu
------------------------------------------------------
1. Create new stage area
2. Copy new patches to current stage area.
3. Display existing files in stage TechPatches.
4. Exit menu
Enter your choice [4]:
これらのオプションは、次のように使用します。
メイン・メニュー - オプション1
このオプションは、インストールを最初から実行する場合など、新しいステージ領域を作成する際に使用します。ダウンロードしたソフトウェアを解凍し、ワンオフ・パッチを適用します。
このオプションを選択すると、使用可能なプラットフォームを示す次のサブメニューが表示されます。
Rapid Install Platform Menu
------------------------------------------------------
1. Oracle Solaris SPARC (64-bit)
2. Linux x86-64
3. IBM AIX on Power Systems (64-bit)
4. HP-UX Itanium
5. Exit Menu
Enter your choice [5]:
Oracle E-Business Suiteをインストールするプラットフォームを指定します。その後、インストール・ソフトウェアをダウンロードした場所を求める次のプロンプトが表示されます。
Please enter the directory containing the zipped installation media:
ディレクトリのフルパスを入力します。これでステージ領域が自動的に作成されます。
メイン・メニュー - オプション2
このオプションは、既存のステージ領域のテクノロジ・ワンオフ・パッチを更新します。
オプション2を選択すると、使用可能なプラットフォームを示す次のサブメニューが表示されます。
Rapid Install Platform Menu
------------------------------------------------------
1. Oracle Solaris SPARC (64-bit)
2. Linux x86-64
3. IBM AIX on Power Systems (64-bit)
4. HP-UX Itanium
5. Exit Menu
Enter your choice [5]:
対象のプラットフォームを指定すると、buildStageスクリプトによって、テクノロジ・ワンオフ・パッチとスタートCDのパッケージがstage/TechPatchesディレクトリにステージングされます。
メイン・メニュー - オプション3
このオプションは、stage/TechPatchesディレクトリのファイルを次のように(ツリー形式で)表示します。
Enter your choice [4]: 3
Directory /s0/oracle/XB45/startCD/Disk1/rapidwiz/bin/../../../../TechPatches
|--DB
| |--11071989
| | |--p11071989_112030_Linux-x86-64.zip
| |--11820674
| | |--p11820674_R12_LINUX.zip
| |--12949905
| | |--p12949905_112030_Linux-x86-64.zip
| |--12951696
| | |--p12951696_112030_Generic.zip
| |--12955701
| | |--p12955701_112030_Linux-x86-64.zip
| |--13040331
| | |--p13040331_112030_Linux-x86-64.zip
| |--13388104
作成したステージ領域は、最上位ディレクトリとサブディレクトリstartCD、EBSInstallMedia、TechInstallMediaおよびTechPatchesで構成されます。
ステージ領域のディレクトリ
startCDディレクトリには、Rapid Install本体(サブディレクトリDisk1にあります)と、サポート・ファイルやドキュメントが含まれています。
EBSInstallMediaディレクトリには、次のサブディレクトリがあります。
AppDB (Oracle E-Business Suite Database)
Apps (Oracle E-Business Suite製品)
AS10.1.2 (Oracle Application Server 10.1.2)
TechInstallMediaディレクトリには、次のサブディレクトリがあります。
database (Oracle11gR2 ORACLE_HOME)
ohs11116 (Oracle HTTP Server)
wls1036_generic (Oracle WebLogic Server、Oracle Fusion Middlewareの一部)
TechPatchesディレクトリには、次のサブディレクトリがあります。
MiddleTier (アプリケーション層のパッチ)
DB (データベース層のパッチ)
これで、ステージ・ディレクトリが作成され、ダウンロードしたOracle E-Business Suiteのソフトウェアが解凍されました。
UNIXプラットフォームを使用している場合は、oraInst.locファイルがあることと、その内容を確認してください。
. oraInst.locが次のプラットフォームの正しいディレクトリにあることを確認します。
LinuxおよびPower Systems上のIBM AIX - /etc
Oracle Solaris - /var/opt/oracle
oraInst.locの内容が次のようになっていることを確認します。
inventory_loc=/oracle/oraInventory
ここで、/oracle/oraInventoryは中央インベントリが配置されるディレクトリを指します。この場所は、Rapid Installを実行するユーザー・アカウントで書込み可能である必要があります。
oraInst.locファイルが存在しない場合は、前述の内容で正しいディレクトリに作成してください。
これで、次の例に示すように、Rapid Installを実行する準備が整いました。実際のパスは、ステージ領域として指定したディスク上の場所によって変わります。
$ cd <Your stage directory path>/startCD/Disk1/rapidwiz
$ ./rapidwiz
C:\>f:
F:\>cd <Your stage directory path>\startCD\Disk1\rapidwiz
F:\<Your stage directory path>\startCD\Disk1\rapidwiz>rapidwiz.cmd
必要な場合は、Rapid Install起動コマンドにパラメータを追加して動作を変更できます。
ホスト・マシンの実際の名前ではなく別名を使用する場合は、Rapid Installを起動する際に-servernameパラメータを使用します。
$ rapidwiz -servername <myhost>
D:\RAPIDWIZ> Rapidwiz.cmd -servername <myhost>
Rapid Installウィザードでは、新規またはアップグレード・システムを構成する、システム固有の値を収集する入力画面が表示されます。
重要: システム要件、リソースおよび製品のライセンス契約をよく理解してからRapid Installを実行してください。また、Oracle DBAに関する十分な知識とシステム管理者の職責を持っていることも必要です。
Rapid Installには、データベース・ノード上とアプリケーション・ノード上の最上位ディレクトリとマウント・ポイントの位置を指定する必要があります。Rapid Installはこれらの最上位ディレクトリからサブディレクトリを導出します。
重要: ベース・ディレクトリの値のみ指定できます。その他のディレクトリの導出値は、Rapid Installによって計算されるデフォルト値のままにする必要があります。
Rapid Installでは、ライセンスのステータスに関係なく、インストール中にすべての製品、各国固有の機能(ローカライズ済製品)、必須の共有製品をデータベースとファイル・システムへ自動的にインストールします。ライセンス製品とは、オラクル社とのライセンス契約で指定された製品です。
ただし、Rapid Installウィザード画面で、ライセンスを取得した製品および各国固有の機能を明示し、システムでアクティブなものとして登録する必要があります。最初のインストールまたはアップグレード後に実行されるパッチ適用およびその他のシステム全体のメンテナンス・タスクでは、このアクティブ・フラグが重要となります。
Oracle E-Business Suiteリリース12.2.0は、Oracle E-Business Suiteのテキスト部分と製品データについて、多言語に対応しています。Unicode AL32UTF8キャラクタ・セットがサポートされているため、必要な場合は単一インスタンスで多数の言語を使用できます。Rapid Installを実行するときに、データベースおよびアプリケーション製品の両方についてキャラクタ・セットを選択します。
重要: キャラクタ・セットは慎重に選択してください。あるキャラクタ・セットから他のキャラクタ・セットに後で変換することも可能ですが、制限を伴います。たとえば、US7ASCIIからAL32UTF8には変換できますが、AL32UTF8からUS7ASCIIには変換できません。
言語および地域のプロファイル・オプションは、Rapid Installの実行時にサイト・レベルで構成されます。ベース言語として選択した言語は、言語プロファイルに使用されます。日付書式と数値書式のデフォルト設定は、地域プロファイル設定から導出されます。
注意: NLSの概要および関連情報は、Oracle E-Business Suite概要のグローバリゼーション・サポートに関する項を参照してください。グローバリゼーション問題の詳細は、『Oracle Applications Globalization Guide (Release 12)』(My Oracle Support Knowledge Document 393861.1)を参照してください。
Oracle E-Business Suiteの様々な機能とコンポーネントを使用するには、システム上で多数のポートが必要です。各種ポートの配置と管理を簡素化するために、Oracle E-Business Suiteにはポート・プールという概念が組み込まれています。ポート・プールの概念には、各種ポートのデフォルトのベース値(フォーマットの値、複数ポートを含む頻度、各プールの一意の値を判別するメカニズムなど)を決定するメカニズムが含まれます。そのため、実際には100の異なるポート・プール(セット)が存在し、それぞれに格納される値がオーバーラップしないことが保証されます。単に使用するプールを指定すると、すべての必須ポートについて一貫したポート値セットが選択されます。
重要: Oracle E-Business Suiteリリース12.2にオンライン・パッチの適用を導入したことにより、オンライン・パッチを適用するうえで必要なデュアル・ファイル・システム(実行とパッチ)について、別個のポート・プールが必要になりました。ただし、Oracle HTTP Serverポート、Active Webポート、Java Object Cache (JOC)ポートおよびDatabaseポートは両方のファイル・システムで同一である必要があります。
ポート名 | 説明とコメント |
---|---|
ノード・マネージャ・ポート | ノード・マネージャで使用されるポート。 |
WLS管理サーバー・ポート | WLS管理サーバーで使用されるポート。 |
WLS OACOREアプリケーション・ポート | WLS OACOREのアプリケーションで使用されるポート。 |
WLS Formsアプリケーション・ポート | WLS Formsのアプリケーションで使用されるポート。 |
WLS OAFMアプリケーション・ポート | WLS OAFMのアプリケーションで使用されるポート。 |
WLS Forms-C4WSアプリケーション・ポート | WLS Forms-C4WSのアプリケーションで使用されるポート。 |
WLS Portletアプリケーション・ポート | WLS Portletのアプリケーションで使用されるポート。 |
OHS管理プロキシ・ポート | OHSで使用されるプロキシ・ポート。Oracle HTTP ServerではこのポートをOracle Fusion Middleware Controlとの内部通信に使用します。 |
データベース・ポート | Oracle Net Listenerによって使用されるデータベース・サーバー上のポート。 |
RPCポート | Report Review Agentの着信要求を受信するコンカレント・プロセス・サーバー上のRPCポート。 |
Web SSLポート | Web SSL (Secure Sockets Layer)で使用されるポート。 |
ONSローカル・ポート | Oracle Notification Serverのローカル・ポート。 |
ONSリモート・ポート | Oracle Notification Serverのリモート・ポート。 |
ONSリクエスト・ポート | Oracle Notification Serverのリクエスト・ポート。 |
Webリスナー・ポート | Webリスナーによって使用されるWebサーバー上のポート。 |
アクティブなWebポート | Webポートの値にデフォルトで設定されます。ロード・バランサが使用されると、このポートの値はロード・バランサがリスンするHTTPリクエストのポートに変更する必要があります。 |
Formsポート | Formsリスナーによって使用されるFormsサーバー上のポート。 |
Metrics Serverデータ・ポート | Primary Forms Metrics Serverプロセスでサーバー・ロード・データを収集するために使用されるPrimary Web Nodeのポート。収集されたデータはFormsのクライアントをFormsサーバーのノード間に分配するために使用できます。 |
Metrics Serverリクエスト・ポート | Metrics Serverによってリクエスト・ポートとして使用されるFormsサーバー上のポート。 |
JTF Fulfillment Serverポート | JTF Fulfillment Serverのポート番号。 |
MSCA Serverポート | MSCA Serverのポート番号。 |
MSCA Telnet Serverポート | MSCA Telnet Serverのポート番号。 |
MSCA Dispatcherポート | MSCA Dispatcherのポート番号。 |
Java Object Cacheポート | Javaオブジェクト・キャッシング・インフラストラクチャによって使用されるポート。アプリケーション層の全ノードで同じにする必要があります。ファイアウォールによってアプリケーション層のノードが分割されている場合、このポートをすべてのファイアウォールに対して開く必要があります。 |
OC4J JMSポート範囲(OACORE) | OACORE Oracle ContainerのJava JMSのポート範囲。 |
OC4J JMSポート範囲(Forms) | Forms Oracle ContainerのJava JMSのポート範囲。 |
OC4J JMSポート範囲(Home) | Home Oracle ContainerのJava JMSのポート範囲。 |
OC4J JMSポート範囲(OAFM) | OAFM Oracle ContainerのJava JMSのポート範囲。 |
OC4J JMSポート範囲(Forms-C4WS) | Forms-C4WS Oracle ContainerのJava JMSのポート範囲。 |
OC4J AJPポート範囲(OACORE) | OACORE Oracle ContainerのJava AJPのポート範囲。 |
OC4J AJPポート範囲(Forms) | Forms Oracle ContainerのJava AJPのポート範囲。 |
OC4J AJPポート範囲(Home) | Home Oracle ContainerのJava AJPのポート範囲。 |
OC4J AJPポート範囲(Oafm) | OAFM Oracle ContainerのJava AJPのポート範囲。 |
OC4J AJPポート範囲(Forms-C4WS) | Forms-C4WS Oracle ContainerのJava AJPのポート範囲。 |
OC4J RMIポート範囲(OACORE) | OACORE Oracle ContainerのJava RMIのポート範囲。 |
OC4J RMIポート範囲(Forms) | Forms Oracle ContainerのJava RMIのポート範囲。 |
OC4J RMIポート範囲(Home) | Home Oracle ContainerのJava RMIのポート範囲。 |
OC4J RMIポート範囲(OAFM) | OAFM Oracle ContainerのJava RMIのポート範囲。 |
OC4J RMIポート範囲(Forms-C4WS) | Forms-C4WS Oracle ContainerのJava RMIのポート範囲。 |
DB ONSローカル・ポート | Database Oracle Notification Serverのローカル・ポート。推奨値は6300から6399までです。 |
DB ONSリモート・ポート | Database Oracle Notification Serverのリモート・ポート。推奨値は6400から6499までです。 |
Oracle Connection Managerポート | Oracle Connection Managerリスナーによって使用されるOracle Connection Managerサーバー上のポート。 |
Rapid Installの入力画面はウィザード形式であり、新規Oracle E-Business Suiteシステムのインストールまたは既存のシステムのアップグレードに必要な情報の入力が求められます。
ウィザードでのナビゲーションには、次の規則が適用されます。
入力フィールド(グレー表示されていない場合)に入力するか、デフォルトを受け入れます。
入力ボックスに直接情報を入力するか、ドロップダウン・メニューが含まれるフィールドで有効なオプションのリストから情報を選択します。
ドロップダウン・リストでは、入力フィールドに対する有効なオプションがすべて表示されます。オプションをクリックすると選択されます。
コンボ・ボックスでも、有効なオプションがドロップダウン・リスト形式で表示されます。有効なオプションを入力することで、リスト上のオプションを置き換えることもできます。このタイプの入力が可能な場合、その旨が本文中に記載されています。
各画面の最下部には、Rapid Installプロセスを取り消す「Cancel」ボタン、前の画面に戻る「Back」ボタンまたは次の画面に進む「Next」ボタンがあります。
縦型および横型のスクロール・バーを使用すると非表示のフィールドを表示できます。
ほとんどの画面では、個々のフィールドについてバルーン・ヘルプが表示されます。フィールドの上にマウスを移動すると、そのフィールドに格納されている情報の説明が小さなテキスト・ボックスに表示されます。
さらに、画面では通常、「Help」ボタンが表示されます。「Help」ボタンをクリックすると、画面レベルのヘルプ、つまり画面の概要および画面に表示された入力フィールドの要約が表示されます。ヘルプ画面で情報を確認した後に「OK」をクリックすると、ヘルプを要求したウィザード画面に戻ります。
Rapid Installを起動し、次の方法から1つ選択してインストール・プロセスを開始します。
新規のOracle E-Business Suiteリリース12.2.0システムを1台のマシンまたはマシン・グループに作成する場合は、「標準インストール」のステップに従います。
Oracle E-Business Suiteシステムをリリース11i、リリース12.0、またはリリース12.1からアップグレードする場合は、「アップグレードの実行」のステップに従います。
システムに適用する章のステップの完了後、「終了タスク」の指示を読んで実行し、インストールまたはアップグレードを完了します。
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