この章では、RUEIの概要について説明します。RUEIが提供するネットワークおよびビジネス・インフラストラクチャの強力な分析機能について説明します。また、RUEI内で使用されるロール、レポータ・インタフェースの外観およびカスタマイズ方法についても取り上げます。
RUEIを組織のネットワークに適切にインストールし、初期設定ウィザードを実行して、ネットワーク・インフラストラクチャに関する情報を設定しておく必要があります。詳細な手順はOracle Real User Experience Insightのインストレーション・ガイドを参照してください。
組織では、インターネットによるビジネス・チャンスへの関心が高まる一方で、自社のインターネット運用の効果を評価するために正確な最新のWebトラフィック情報が必要とされています。求められているのは、あらゆるユーザー・セッションを記録し、複雑なWebデータを意味のあるわかりやすい統計に変換して、事業経営上の効果的意思決定のベースにできるソリューションです。
RUEIは強力なWebベースのユーティリティで、ネットワークからリクエストされる、またはネットワークで生成される実際のユーザーのトラフィックに対してレポートを作成します。ネットワーク・インフラストラクチャの最も重要となるポイントで、ページおよびユーザー・フローのレスポンス時間が測定されます。この強力な診断機能を活用して、アプリケーション・マネージャおよびIT技術スタッフは根本原因解析を行うことができます。
RUEIにより、実際のユーザー・エクスペリエンスに基づくサーバー時間およびネットワーク時間の表示、キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)および品質保証契約(SLA)の監視、およびこれらに定義されたターゲットに違反するインシデントに対するアラート通知の発行が可能になります。
ページ・コンテンツ、サイト・エラー、およびユーザー・フローの機能要件に対するチェックを実装できます。この情報に基づいて、ビジネス面および技術面での運用を検証できます。RUEIで識別されるすべての対象について、可用性、スループットおよびトラフィックに関するカスタム・アラートを設定できます。
RUEIには強力なレポートのライブラリが付属しており、効果的な意思決定に必要な情報をビジネス・ユーザーとテクニカル・ユーザーの両方に提供します。また、権限のあるユーザーは、簡単に独自のレポートを作成したり、既存のレポートを変更できます。このようなレポートを使用してWebデータと直接対話し、オンラインの使用状況とWebアプリケーションの全体ステータスについて深い理解を得ることができます。レポートはインタラクティブに表示することも、電子メールで受信することもできます。
RUEIのダイナミックなドリルダウン機能を使用して、希望するレベルのWebデータに簡単にたどり着くことができます。これらの情報はソート、フィルタおよびエクスポートできます。さらに、時間、クライアントの場所、ユーザー・フローおよびユーザー名などの様々な基準の間でデータを関連付けることができます。
診断機能では、運用上の問題に対して根本原因分析を実行できます。個々のセッションを評価する機能と、各セッション内のユーザー・アクティビティのすべてを確認する機能が用意されています。
RUEIユーザー・インタフェースにアクセスするワークステーションには、次のいずれかのブラウザがインストールされている必要があります。
Mozilla Firefox 3.0。
Internet Explorer 6 SP2。
Internet Explorer 7。
JavaScriptは有効にする必要があります。その他に必要なプラグインはありません。
また、ワークステーションの画面解像度は、1024×768(以上)が必要です。
注意: ブラウザ内のポップアップ・ブロッカが無効になっていることを確認してください。 |
RUEIでデータの監視およびレポート作成を開始するには、ネットワーク・インフラストラクチャに関する情報を使用して構成する必要があります。構成が完了すると、ユーザー通信のレポート作成が可能になります。RUEIの使用を開始する前に、次の事項に留意してください。
監視されたトラフィックにSSLベースのセッションが含まれている場合、システムに対してSSLキーが使用可能でなければ、コレクタがSSLトラフィックを復号化できなくなります。この詳細は、8.3項「SSL鍵の管理」に記載されています。SSL以外のトラフィックにはこの要件は必要ありません。
ユーザーのWeb環境内で使用するCookieの構造を指定することをお薦めします。指定しない場合、セッション・トラッキングはIPアドレスおよびブラウザに基づいて行われます。この詳細は、7.1項「Cookieテクノロジの指定」に記載されています。
RUEIでは、ユーザー識別は最初に「HTTP Authorization」フィールドから取得されます。その後、アプリケーションの定義に指定したPOST引数から導出されます。この引数が構成されていない場合は、SSLクライアント証明書が使用されます(存在する場合)。その共通名(CN)部分が使用されます。したがって、URL内で引数を使用する場合は、信頼できる結果を得られるように、ユーザーの識別に使用されるGET/POST項目を指定する必要があります。この詳細は、6.2.10項「ユーザー識別の定義」に記載されています。
RUEIにおけるページ識別は、アプリケーションに基づいて行われます。一般的に、アプリケーションはWebページの集合です。アプリケーション定義およびページ定義を使用して識別できないページに関する情報は廃棄されるため、レポートおよびデータ・ブラウザでは使用できません。この詳細は、6.1項「ページのネーミング」および6.2項「アプリケーションの定義」に記載されています。
ユーザー・フローを使用すると、Webページにおけるビジター・エクスペリエンスの状況を確実に把握できます。この機能は、6.6項「ユーザー・フローの使用」に記載されています。
「System」→「Status」→「Collector status」を選択して、コレクタのステータスをチェックします。この詳細は、9.2項「コレクタのステータスの表示」に記載されています。また、「System」→「Status」→「Data processing」を選択して、監視しているネットワーク・トラフィックの概要を表示することもできます。この詳細は、9.7項「トラフィック・サマリーの表示」に記載されています。
ここでは、構成機能やレポート・データへのアクセスをRUEIが管理する方法を説明します。次の情報をよく確認することをお薦めします。
各RUEIユーザーにはロールが割り当てられます。このロールにより、ユーザーが実行できるアクションとユーザーがアクセスできる情報の種類が決まります。表1-1でこれらのロールについて説明します。
表1-1 ロール
ロール | 説明 |
---|---|
管理者 |
RUEIの初期構成を行い、システムで使用される基本的なネットワーク関連構成(メール設定やコレクタ添付ファイル)のメンテナンスを管理するユーザーです。 また、管理者権限を割り当てられたユーザーは、システムの第1レベル・サポートの役割も持ち、現在の構成のバックアップ、拡張システム設定の構成、およびシステムの操作権限のある他のユーザーの管理などを担当します。 |
セキュリティ担当者 |
組織のネットワーク・セキュリティ・ポリシーの影響を受けるすべてのシステム設定を管理するユーザーです。具体的には、次のことを行います。
|
ビジネス・ユーザー |
事業目標に照らしてビジターの行動の評価に取り組むユーザーです。このため、ビジネス・ユーザーは、システムに用意されているビジネス・インテリジェンスを使用して様々な項目を監視します。項目としては、Webサイトまでの最も使用率の高いパスの特定や、特定のページやセクションにアクセスするビジターの関心度の強さの特定などがあります。ビジネス・ユーザーは、顧客満足度、顧客維持率および顧客ロイヤルティの向上、自社製品への顧客転換率、Webサイトベースのマーケティング活動の効果の監視などに従事します。 このユーザーは、割り当てられている権限に基づいてダッシュボード機能やオンデマンドで郵送されるレポートを使用し、組織の事業概要のメンテナンスを行います。また、このレポートやデータのエクスポートを、ITスペシャリストに詳細な分析の基本データとして提供します。 |
ITユーザー |
Web環境の監視に必要となるIT情報およびその他の技術情報のサポートに従事するユーザーです。一般に、未達成のSLAやKPIをより深く分析することを担当します。レポート作成機能やデータ・ブラウザ機能をフル活用し、レポートされた例外またはエラーを特定します。たとえば、特定のネットワーク・ドメインのユーザーのセッションのみが失敗していることを突き止めます。 |
これにより、ビジネス・ユーザーおよびITユーザーは自分に関連する情報をただちに見つけることができます。たとえば、ビジネス・ユーザーがレポート・ライブラリにアクセスすると、ビジネス・ユーザーに必要なレポートのみのリストがフィルタリングされ、作業対象のレポートに反映されます。
ユーザーには、組織で必要とされる構成に応じて、これらのロールの組合せを実行する権限を付与できます。定義できるユーザーの数には制限がありません。
スーパー管理者と権限が割り当てられた管理者
RUEIにはスーパー管理者という1つの事前定義済ユーザーがあることに注意してください。このユーザーは、他のすべてのユーザーとは異なり、初期パスワードがset-admin-password.sh
スクリプトを使用して設定され、常にローカルで認証されています。業務上の要件によっては、他のユーザーに管理者権限を割り当てることができます。ただし、そのようなユーザーはスーパー管理者の管理下に置かれます。管理者権限が割り当てられた他のユーザーとスーパー管理者を明確に区別する必要がある場合は、スーパー管理者をadmin
ユーザーと表記します。
ロールに加えて、各ユーザー(管理者以外)には、ビジネス関連およびIT関連の情報のための個別のアクセス・レベル権限を割り当てることもできます。これらの権限では、ユーザーがアクセスできるモジュール(データ・ブラウザ、KPI概要、システムなど)が定義されます。これについては表1-2で説明します。
表1-2 ビジネス・ユーザーおよびITユーザーのアクセス・レベル権限
アクセス・レベル | ビジネス・ユーザー | ITユーザー |
---|---|---|
None |
アクセス権限がありません。 |
アクセス権限がありません。 |
Overview脚注1 |
ダッシュボード、KPI概要およびアラート履歴を表示可能。 |
ダッシュボード、KPI概要およびアラート履歴を表示可能。 |
Inquiry |
レポートへの読取り専用アクセス権限があり、PDFダウンロードを作成可能。 |
レポートへの読取り専用アクセス権限があり、PDFダウンロードを作成可能。 |
Analytical |
|
|
Full |
|
|
脚注1 ビジネス・ユーザーかITユーザーとして少なくとも「Overview」レベルの権限を付与されていないユーザーは、ログオンできません。
ユーザーのロールとアクセス・レベル権限の管理については、9.18項「ユーザーと権限の管理」に記載されています。
データ・ブラウザの各グループはビジネス関連かIT関連のいずれか(あるいはその両方)です。データ・ブラウザにアクセスできるのは、対応する「Analytical」アクセス・レベル(以上)の権限を持つユーザーのみです。各データ・ブラウザ・グループのユーザー・タイプ割当てを表1-3に示します。
表1-3 データ・ブラウザ・グループのユーザー・タイプ
カテゴリ | グループ | ビジネス | IT |
---|---|---|---|
Applications |
Overall |
||
All Pages |
X |
X |
|
All sessions |
X |
X |
|
All user flows |
X |
X |
|
Key pages |
X |
X |
|
Service tests |
X |
X |
|
URL diagnostics |
X |
||
Problem analysis |
|||
Failed URLs |
X |
||
Failed pages |
X |
X |
|
Slow URLs |
X |
||
Suites |
|||
E-Business Suite |
X |
X |
|
E-Business Suite URL diagnostics |
X |
||
JD Edwards |
X |
X |
|
JD Edwards URL diagnostics |
X |
||
Oracle ADF |
X |
X |
|
Oracle ADF diagnostics |
X |
||
Oracle FLEXCUBE |
X |
X |
|
Oracle FLEXCUBE diagnostics |
X |
||
PeopleSoft |
X |
X |
|
PeopleSoft URL diagnostics |
X |
||
Siebel |
X |
X |
|
Siebel URL diagnostics |
X |
||
WebLogic Portal |
X |
X |
|
WebLogic Portal URL diagnostics |
X |
||
Services |
Overall |
||
All functions |
X |
||
Problem analysis |
|||
Failed functions |
X |
「Full」アクセス・レベル権限を持つユーザーは、データ・ブラウザ、レポート、KPI概要機能およびダッシュボード内のすべての情報にアクセスできます。それ以外のすべてのユーザーの場合、アクセスできる情報は各ユーザー・プロファイルの一部として管理されます。この機能の使用方法の詳細は、9.18項「ユーザーと権限の管理」に記載されています。
汎用の項目と、アプリケーション、スイートおよびサービス固有の項目
KPI、ユーザー・フローおよびダッシュボードは、汎用として定義することも、特定のアプリケーション、スイートまたはサービスに対して定義することもできます。項目内の情報へのアクセスは、各ユーザーに割り当てられる権限を介して自動的に管理されます。
項目が汎用として定義された場合は、すべてのアプリケーションへのアクセスが承認されているユーザーしか表示できません。汎用項目には、複数のアプリケーション、スイートまたはサービスの情報が含まれる場合があるためです。同様に、ユーザーが表示を許可されているのが2つのアプリケーションの情報のみの場合、その2つのアプリケーションに直接関連するKPI、ダッシュボード、データ・ブラウザ情報およびレポートしか表示できません。
RUEIセッションを開始するには、ブラウザで次のURLにアクセスします。
https://
Reporter
/
ruei
Note: この情報をまだ受け取っていない場合は、管理者に問い合せて、必要なIPアドレスまたはURLのホスト名部分を入手してください。 |
図1-1 に示すログイン・ダイアログ・ボックスが表示されます。
ユーザー名とパスワードを入力して、「Login」をクリックします。ユーザー名がまだ割り当てられていない場合は、管理者に問い合せてください。
注意: ログイン時に問題が発生する場合、ブラウザ内のポップアップ・ブロック機能が無効化されていることを確認します。 |
「System」メニューで「Preferences」(図1-2)を選択して、個人設定をカスタマイズします。
次のオプションがあります。
User: セッションに使用する設定を指定できます。セッション中に使用する言語、受信するレポートが複数の電子メールで送信されるか単一の電子メールにバンドルされるか、およびセッションの開始元となるモジュール(たとえば、レポート、ダッシュボード、システム)を制御できます。これらの設定の詳細は、9.18.3項「ユーザーの設定の変更」に記載されています。
Formatting: レポートにおける数値の書式を指定できます。小数点、3桁区切りとして使用する文字および日付書式(05 Feb 2008またはFeb 05, 2008)を指定できます。
Change password: システム・パスワードを変更できます。現行のパスワードを入力し、使用する新規のパスワードを反復入力する必要があります。
注意: 組織のセキュリティ・ポリシー(9.18.4項「パスワード・セキュリティ・ポリシーの強制」を参照)に従って、パスワードを定期的に変更する必要があります。パスワードの有効期限の7日前から、ログオンするたびに警告が表示されます。この期間にパスワードを再設定しないと、アカウントがロックされます。パスワードの有効期限の8日以上前から不在にする場合は、その前にパスワードを再設定することをお薦めします。 |
RUEIでは、独自にカスタマイズした一連のダッシュボードを作成できます。ダッシュボードでは、ある目的を達成するために必要となる最も重要な情報が視覚的に表示されます。情報が1つの画面に統合されて配置されるため、一目で把握することができます。例を図1-3に示します。
現在定義されている各ダッシュボードは、画面上部のタブで選択できます。最後のタブ(»)には、新しいダッシュボードを作成するベースとして使用できるテンプレートの概要が含まれます。
有効なダッシュボードの設計
ダッシュボードを設計するときは、レポートするデータや使用する視覚表現について、ダッシュボードに適した内容をよく考えることをお薦めします。特に、次の項目を注意深く検討してください。
ダッシュボードの情報内容が多すぎないか。理想としては、傾向、パターンおよび例外を視覚的に特定できるようにします。
どの視覚表現を使用すれば、最も少ないスペースで、最も明確かつ有意義にデータを表すことができるか。
表示される情報をリアルタイムでリフレッシュする必要があるか。その場合の間隔。表示の目的のためにリアルタイム情報が必要かどうか。
ユーザーの注目に値する情報や処理が必要な情報が、ダッシュボードですぐに注意を引きますか。
ダッシュボードとテンプレート
ダッシュボードはテンプレートに基づいて作成されます。テンプレートには、システム、パブリック、公開の3種類があります。システム・テンプレートは製品インストールに含まれており、変更できません。ただし、システム・テンプレートを無効にすることはできます。一方、パブリック・テンプレートは、管理者が作成して管理するダッシュボードのテンプレートです。他のユーザーが変更することはできません。公開テンプレートは、生成されるリンクを介して外部ユーザーが見られるダッシュボードを作成するために使用されます。
新規ダッシュボードを作成する手順は、次のとおりです。
「Dashboard」タブをクリックし、最後のタブ(»
)をクリックします。現在使用可能なテンプレートがリストされます。例を図1-4に示します。
新規テンプレートのベースとして使用するテンプレートをクリックします。図1-5に示すようなダイアログが表示されます。
新規ダッシュボードの名前を指定します。名前は保持するダッシュボードの中で一意にする必要があり、長さは最大30文字に制限されます。
ダッシュボードのベースとするテンプレートを選択します。または、ダッシュボードを最初から作成する場合はオプション「(none)」を選択します。新たに作成するダッシュボードとベースのテンプレートの間に関連付けはないことに注意してください。つまり、テンプレートが将来変更されても、そのテンプレートから作成されたダッシュボードには適用されません。
ダッシュボードの形式を選択します。形式は1列、2列または3列に基づきます。パーセンテージは、ダッシュボード内の各列に割り当てられる画面のスペースを示します。
リフレッシュ間隔を選択します。これは、「manual」(タスク・バーの「Reload」アイコンをクリックしたときだけダッシュボードがリフレッシュされる)または「automatic」(5分、10分、15分)のいずれかに設定できます。
「Options」タブの「Data access」メニューで、ダッシュボードを特定のアプリケーション、スイートまたはWebサービスにバインドするか、汎用にするかを指定します。これらのメニューのオプションは、ユーザーに割り当てられているアクセス権限によって異なります。ダッシュボード・フィルタの使用方法は、1.7.3項「データ・アクセス・フィルタの使用」に記載されています。
次に、「Save」をクリックします。
注意: 一度に保持できるダッシュボードは10個までです。 |
ダッシュボードの表示
現在定義されている各ダッシュボードを使用するには、「Dashboard」タブ内の対応するタブをクリックします。タスク・バーの「Open in a new window」アイコンをクリックすることもできます。これは、ダッシュボードを全画面で表示する場合や、複数のダッシュボードを同時に表示するため複数のウィンドウをサイズ変更して整列する場合に特に便利です。
ダッシュボードの変更
ダッシュボードのタスク・バーで「Edit」アイコンをクリックすると、ダッシュボードのプロパティを変更できます。図1-5に示すようなダイアログが表示されます。このダイアログを使用して、ダッシュボードのベースのテンプレート、名前、レイアウトおよびリフレッシュ間隔を変更します。ダッシュボードのレイアウトとフィルタ(1.7.3項「データ・アクセス・フィルタの使用」を参照)もレポートされます。
既存の項目を変更するだけでなく、ダッシュボードで項目を追加または削除することもできます。この詳細は次の項に記載されています。
ダッシュボードに項目を追加する手順は、次のとおりです。
目的のダッシュボードを選択し、タスク・バーの「Add item」アイコンをクリックします。図1-6に示すようなダイアログが表示されます。
新規ダッシュボード項目の名前を指定します。選択したダッシュボード内の項目間で一意にする必要があります。
新規項目を表示するダッシュボードを選択します。デフォルトでは、現在選択されているダッシュボードになります。
オプションで、項目の高さをピクセル単位で指定できます。このフィールドを空にしておくと、項目のサイズはダッシュボードの使用可能なスペースに合わせて自動的に調整されます。
表示するウィジェットの種類を選択します。次のいずれかを指定できます。
Alert log: 最近生成されたアラートのローリング・リストを表示する項目です。このオプションを選択した場合は、「Options」タブのフィールドを使用して、アラートのソート方法、表示する順序、およびリストでレポートするアラートの最大数を指定できます。「Filters」タブのフィールドを使用して、表示されるKPIアラートのカテゴリ、ステータスおよび重大度を指定できます。
Data Browser: データ・ブラウザ内のデータ・ソースを表示する項目です。このオプションを選択した場合は、「Options」タブのフィールドを使用して、項目の導出元のグループ(たとえば「All sessions」または「Failed pages」)とそのカテゴリやディメンション・レベルを指定できます。視覚表現(たとえば値リストまたは円グラフ)およびビュー・レベル(たとえば5分または年)も指定できます。グラフの場合は、「Show legend」チェック・ボックスを使用できます。値リストの場合は、リストされる値の最大数を指定できます。使用可能なオプションは、選択されているデータ・ソースにによって決まります。
「Filters」タブのフィールドを使用して、選択したデータ・ソースに適用するフィルタ(選択されたディメンションに基づく)を指定できますこのウィジェットを使用できるのは、「Analytical」または「Full」レベルのアクセス権限が付与されている場合のみです(表1-2を参照)。
Map: 選択されたデータ・アイテム(たとえばクライアント・セッション)の場所をハイライト表示する地図として表す項目です。この地図は、選択されたデータ・ソースが発生する場所を表すカラー・コードを使用して示されます。つまり、鮮やかな赤はアクティビティが高レベルの国を示し、白は選択されたデータ・ソースのアクティビティがその場所では発生していないことを示します。また、これより詳細なビューは、「Europe」、「USA」および「Asia」で確認できます。
「Filters」タブのフィールドを使用して、レポートされるデータ・ソースに適用するフィルタ(選択されたディメンションに基づく)を指定できますこの項目を使用できるのは、ITユーザーで「Analytical」または「Full」のアクセス・レベル権限(表1-2を参照)がある場合のみです。
Single KPI: 特定のKPIの現在のステータスをレポートする項目です。このオプションを選択した場合は、「Options」タブのフィールドを使用して、目的のKPIと項目の視覚表現(計器またはグラフ)を指定できます。
Multiple KPIs: 選択した数の定義済KPIのステータスをレポートする項目です。このオプションを選択した場合は、「Options」タブ内のフィールドを使用して、レポートされるKPIの数と順序を指定できます。また、「Filters」タブを使用して、レポートされるKPIのカテゴリとステータスを指定できます。
Multiple SLAs: 選択されたカテゴリのSLAが、年、月、週、日の定義済パーセント・レベルに到達したかどうかをレポートする項目です。このオプションを選択した場合は、「Options」タブ内を使用して、レポートされるSLAのソート方法を指定できます。また、「Filters」タブを使用して、レポートされるカテゴリを指定できます。「Category」フィールドを空にしておくと、すべてのカテゴリがレポートされることに注意してください。
新しい項目が、グラフを含む単一KPI、アラート・リスト、データ・ブラウザ項目または地図の場合、「Time period」メニューを使用して、レポートされるデータが対応する期間を指定できます。直前の5分間、1時間、6時間、12時間または24時間を指定できます。他のすべての項目の種類(計器を含む単一KPI項目または複数KPI項目)では、このメニューは無効です。項目のレポート期間はKPIの定義済サンプリング間隔から導出されます。この詳細は、5.2項「KPIおよびSLAの定義」に記載されています。
次に、「Save」をクリックします。定義した項目は、選択したダッシュボードの左上に追加されます。ダッシュボード内で項目をドラッグ・アンド・ドロップして位置を決めることができます。
注意: 1つのダッシュボードには最大35個の項目を定義できます。 |
データ・ブラウザのドリルダウン
データ・ブラウザ・ダッシュボード項目の場合、項目の右上の「Browse」アイコンをクリックすると、その項目の導出元データの完全なビューを取得できます。データ・ブラウザの使用方法は、第3章「データ・ブラウザの使用」に記載されています。このアイコンを使用できるのは、ビジネス・ユーザーまたはITユーザーで「Analytical」または「Full」のアクセス・レベル権限(表1-2を参照)がある場合のみです。
ダッシュボード項目の変更
ダッシュボード項目のタイトルをクリックすると、その項目を編集できます。図1-6に示すようなダイアログを使用して、プロパティを変更できます。項目の導出元テンプレート(アプリケーション固有、サービス固有またはスイート固有)およびユーザーのアクセス・レベル権限によっては、ダイアログ内のいくつかのフィールドが無効になることがあります。タイトル部分にある「Remove」アイコンをクリックすると、その項目を削除できます。
テンプレートは汎用として定義するか、アプリケーション固有、サービス固有またはスイート固有として定義できます。後者の場合、ダッシュボードのすべての項目は指定されたソースにバインドされます。汎用ダッシュボードにはこの制約はありません。
ソース固有のテンプレートが定義される場合、ダッシュボードの各項目は指定されたソースについてフィルタ処理されます。このフィルタがなんらかの理由で適用されない場合(たとえば、指定されたアプリケーションが削除されていた場合、またはユーザーがその特定のアプリケーションに関する情報の表示を許可されていない場合)、要求されたデータが表示できないという警告が項目のかわりに表示されます。
テンプレート・フィルタを使用すると次の利点が得られます。
テンプレートのメンテナンスを最小限に抑えることができます。たとえば、ダッシュボード・テンプレートに20個の項目が含まれ、すべてが同じアプリケーションを参照するとします。他のアプリケーションについて同じテンプレートを作成するときに、20個の項目すべてを変更する必要がなくなり、テンプレート・フィルタを変更するだけですみます。
システムのユーザーが通常は表示できないデータをダッシュボード内で表示できるように許可します。たとえば、ユーザーに「Overview」アクセス・レベル権限しかないとします。この場合、データ・ブラウザにはアクセスできません。ただし、ユーザー・アカウント定義(9.18項「ユーザーと権限の管理」を参照)を使用して、特定のアプリケーション、サービスまたはスイートについて選択されたデータ項目の表示を許可できます。ただし、他のデータ・ソースから導出された情報は表示できません。
テンプレート・フィルタの検出
アプリケーション、サービスまたはスイートをテンプレート・フィルタとして使用するためには、それらが構成された後、監視対象のトラフィック内で少なくとも1回は識別される必要があります。
データ・ブラウザの現在のビュー、またはKPI概要機能で現在表示しているKPIを、「Add to dashboard」アイコンをクリックしてダッシュボードに追加することができます。図1-6に示すようなダイアログが表示されます。このダイアログを使用して、ダッシュボードでのデータ・ソースのレポート方法を最終決定できます。
前に説明したとおり、パブリック・テンプレートは管理者によって作成され、他のユーザーがダッシュボードのベースとして使用します。パブリック・テンプレートを作成する手順は、次のとおりです。
「Dashboard」タブをクリックし、既存のダッシュボードのタブをクリックしてから、タスクバーの「Save as template」アイコンをクリックします。このオプションを使用できるのは管理者のみです。図1-7に示すダイアログが表示されます。
新規テンプレートの名前を指定します。これはシステム・テンプレートを通じて一意である必要があります。
テンプレートの形式とリフレッシュ間隔を指定します。
「Options」タブの「Data access」メニューを使用して、テンプレートを特定のアプリケーション、サービスまたはスイートにバインドするかどうかを指定します。フィルタの使用方法は、1.7.3項「データ・アクセス・フィルタの使用」を参照してください。
アプリケーション固有またはサービス固有のテンプレートの場合は、バインドするアプリケーションまたはサービスを指定します。スイート固有のテンプレートの場合は、スイートの種類(たとえばPeopleSoft)と構成されているスイートを指定します。「Suite type」メニューで選択できるオプションは、システムにインストールされているアクセラレータ・パッケージによって異なります。
「Publish」タブ内で「Allow anonymous access」チェック・ボックスを使用して、選択されているダッシュボードを外部ユーザーが表示できるかどうかを指定します。選択した場合は、表示されるリンクをコピーして必要なユーザーに送信します。この機能の使用方法の詳細は、1.7.7項「テンプレートの公開」に記載されています。
次に、「Save」をクリックします。新規作成したテンプレートは、すぐにパブリック・テンプレートのリストに表示されます。テンプレートの項目へのアクセスは、各ユーザーのアクセス権限によって異なります。
システム・テンプレートの変更
システム・テンプレートを直接変更することはできません。システム・テンプレートを変更する必要がある場合は、「Disable」オプションをシステム・テンプレートのコンテキスト・メニューから選択して、他のユーザーがシステム・テンプレートを使用できないようにすることをお薦めします。必要な変更内容を含むように既存のダッシュボードを変更(または新規ダッシュボードを作成)して、そのダッシュボードをパブリック・テンプレートとして保存し、そのパブリック・テンプレートをシステム・テンプレートのかわりに使用するようにユーザーに通知してください。
他のシステム・ユーザーが使用するためのパブリック・テンプレートを作成した後、次の手順でプロパティを編集できます。
「Dashboard」タブをクリックし、最後のタブ(»
)をクリックします。現在使用可能なパブリック・テンプレートがリストされます。目的のテンプレートのコンテキスト・メニューで「Edit」オプションを選択します。図1-7に示すようなダイアログが表示されます。
このダイアログに表示されるフィールドを使用して、1.7.5項「パブリック・テンプレートの作成」に記載されているようにテンプレート名、レイアウト、リフレッシュ間隔、データ・ソースを変更します。次に、「Save」をクリックします。
テンプレートの内容を編集する手順は、次のとおりです。
目的のテンプレートのコンテキスト・メニューで「Edit content」オプションを選択します。テンプレートが新しいウィンドウに編集モードで表示されます。
1.7.2項「ダッシュボードの内容の変更」に記載されている手順を使用して、テンプレートの内容を編集します。その後、ウィンドウを閉じます。
前に説明したように、テンプレートと、そのテンプレートに基づいて作成したダッシュボードの間には直接の関連付けはありません。したがって、テンプレートを変更しても、そのテンプレートから作成されたダッシュボードにその変更は反映されません。
RUEIでは、ダッシュボードの定義やダッシュボードを作成するベースとして使用されるテンプレートの定義の他に、外部ユーザーがテンプレートを使用できるようにすることも可能です。たとえば、ポータル・ページを使用します。1.7.5項「パブリック・テンプレートの作成」に記載されているように、ダッシュボードを外部から使用可能にすることができます。次を実行します。
テンプレート全体を公開するだけでなく、個々のテンプレート項目を外部ユーザーが使用できるようにすることも可能です。次を実行します。
目的の公開テンプレートを右クリックし、コンテキスト・メニューから「Edit content」を選択します。選択したダッシュボードが新しいウィンドウで開きます。
目的のダッシュボード項目のタイトルをクリックします。図1-9に示すようなダイアログが表示されます。
「Publish」タブをクリックし、「Publish URL」リンクをコピーして目的のユーザーに送信します。項目を外部に公開すると、ダッシュボード項目のコンテナ部分(および左上の項目名とアイコン)は削除されることに注意してください。デフォルトでは、指定された範囲(たとえば、240〜1024ピクセル)の最も狭い幅でイメージが公開されます。ただし、この幅は、引数&frmWidth=
と指定の幅を公開URLに付加することで制御できます。地図ではアスペクト比が保持されることに注意してください。
項目へのアクセスは、対応するテンプレートを介して制御されることに注意してください。このため、公開項目を別のテンプレートに移動したり、テンプレートの提供状況を非公開に修正した場合は、外部ユーザーがその項目を使用できなくなり、公開URLをクリックしたときのエラー・メッセージも無効になります。