Oracle Real User Experience Insight(RUEI)は、ネットワークおよびビジネスのインフラストラクチャに対する強力な分析機能を提供します。RUEIにより、実際のユーザー・エクスペリエンスの監視、キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)と品質保証契約(SLA)の設定、およびこれらに違反するインシデントに対するアラート通知の発行が可能になります。
このガイドは、RUEIのすべてのユーザーを対象としています。対象読者には、管理者、セキュリティ担当者、およびビジネス・ユーザーとITユーザーが含まれます。これらのロールについては、1.4項「ユーザー・ロールと権限の概要」で説明します。
このガイドに直接関係するユーザーは次のとおりです。
インストール済RUEIのメンテナンスを担当する管理者。メンテナンス作業には、システムの状態ステータスの監視、構成バックアップの実行および監視対象となるネットワーク操作の範囲の定義が含まれます。管理者は、ユーザー認可の作成およびメンテナンスも担当します。
セキュリティ関連の問題を管理するセキュリティ担当者。セキュリティ関連の問題には、ロギングから除外する機密情報(クレジット・カードの詳細など)の定義、および暗号化したデータを監視するためのSSL鍵のインストールと管理が含まれます。
その他すべてのシステム・ユーザー。これらのユーザーは、ビジネス・ユーザーまたはITユーザー(あるいはその両方)として定義できます。また、これらのユーザーに割り当てる権限によって、それらのユーザーがアクセスできる対象が決まります。この詳細は、1.4項「ユーザー・ロールと権限の概要」に記載しています。
特別な技術的知識は必要ありませんが、ネットワークおよびWebテクノロジについてある程度は習熟していることが前提となります。ただし、組織に関する知識は多少必要です。具体的には、次のとおりです。
管理者はネットワーク・トポロジを確実に理解し、組織のネットワークとアプリケーション環境の運用に関する十分な知識を持つ必要があります。また、このロールに割り当てられたユーザーはRUEIについて十分に理解しておく必要があります。
セキュリティ担当者は、セキュリティ関連の問題について確実に把握している必要があります。さらに、ネットワーク構成を変更した場合の影響を正確に評価できる必要があります。
前述のように、様々なレベルのビジネス・ユーザーとITユーザーを定義することが可能です。これらのユーザーは、割り当てられる権限により、アクセス可能なデータのレベルと、実行できる構成タスクが決まります。これには、監視対象のWebページの指定、およびWebサイトのビジターの識別方法の指定が含まれます。追加のアクティビティとして、監視対象Webサイトの機能上のアーキテクチャを反映するためのRUEIの構成、キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)の定義、およびカスタム・レポートの作成が含まれることがあります。どの場合でも、ユーザーに割り当てる権限には、ユーザーが必要とする適切なアクセス権限と、組織に関するユーザーの知識を反映する必要があります。
このガイドの構成は次のとおりです。
第1章「スタート・ガイド」ではRUEIの概要について説明します。RUEIで使用されるロールと権限、RUEIインタフェースの外観およびカスタマイズ方法について説明します。対象読者はすべてのユーザーです。
第2章「レポートの操作」では、RUEIに付属している標準レポート・ライブラリと、ユーザー独自のレポートを作成および変更する方法について説明します。対象読者は、レポートを使用するすべてのユーザーです。
第3章「データ・ブラウザの使用」では、データ・ブラウザの使用方法について説明します。この章に直接関係するユーザーは、データ・ブラウザへのアクセス権限を持つ、ビジネス・ユーザーおよびITユーザーです。
第4章「KPI概要およびアラート・リストの使用」では、「KPI overview」とアラート・リストの使用方法について説明します。
第5章「パフォーマンスの監視の設定」では、KPIとSLAの設定方法とそれらに関するアラート・スケジュールおよび通知の定義方法について説明します。
第6章「ページおよびユーザー・フローの定義」では、監視対象となるページの定義方法、どのWebページについて追加情報を記録するかを定義する方法、監視対象ユーザー・フローにおけるページの論理的順序、および特定のテキスト文字列の出現について監視の対象とするページについて説明します。
第7章「Webサイト構成の定義」では、監視に使用する基本的なWebサイト構成の管理方法について説明します。構成には、必要なWebサイト、使用するページ・ネーミング、ページ・コンテンツ、および実装するサイト・エラー・チェックが含まれます。
第8章「セキュリティ関連情報の管理」では、RUEIで使用されるセキュリティ関連設定の構成と管理の方法について説明します。この章に直接関係するのはセキュリティ担当者です。
第9章「システムの監視およびメンテナンス」では、システムのステータスの監視方法、バックアップとアップグレードの実行方法、システム・ユーザーへのメッセージの発行方法、ユーザーの管理方法、およびRUEIからのデータのエクスポート方法について説明します。この章に直接関係するのは管理者です。
付録A「タグ付け規則」では、RUEI用にサポートされるページとサービスのタグ付けスキームについて詳しく説明します。
付録B「Cookieの構造」では、RUEIでサポートされるCookieテクノロジの概要を示します。
付録C「トラブルシューティング」では、RUEIの使用時に発生する最も一般的な問題を取り上げ、それらの問題をすばやく見つけて修正するための解決方法を示します。
付録D「データ・アイテムの概要」では、RUEIで使用するディメンション・ラベルについて簡単に説明します。
付録E「エラー・コードの説明」では、Webサーバーによって生成され、リクエストに対する応答としてビジターに送信されるHTTP結果コードを詳しく説明します。
付録F「XPath問合せの使用」では、RUEI内部で用意されている、XPath問合せを使用するためのサポートについて詳しく説明します。
付録G「各国語サポートの使用」では、ネットワーク・トラフィックを監視する際にRUEIによりサポートされるキャラクタ・エンコーディング標準について詳しく説明します。ドメイン名、カスタム・ヘッダーおよび関数エラーなどの識別に対する制限を取り上げます。各国語のキャラクタ・セットを使用するときのデータのマスキングやユーザーIDのマッチングの操作についても説明します。
付録H「WebLogic Portal(WLP)のサポート」では、WebLogic Portalベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
付録I「Oracle ADFのサポート」では、Oracle Application Development Framework(ADF)ベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
付録J「PeopleSoftのサポート」では、PeopleSoftベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
付録K「Siebelのサポート」では、Siebelベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
付録L「Oracle FLEXCUBEのサポート」では、Oracle FLEXCUBベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
付録M「Oracle E-Business Suite(EBS)のサポート」では、EBSベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
付録N「JD Edwardsのサポート」では、JD Edwards EnterpriseOneベースのアプリケーションの正確な監視のために提供されるサポートについて詳しく説明します。
付録O「NATトラフィックの監視」では、ネットワーク・アドレス変換(NAT)デバイスの前にRUEIシステムを配置する場合に、どのようにして正確なネットワーク・トラフィック・レポートを作成するかについて説明します。
付録P「監視対象ネットワーク・トラフィックの確認」では、TCP診断機能を使用して、必要なすべてのネットワーク・トラフィックをRUEIで認識できるようにする方法を説明します。ネットワークが変更された後には、収集したネットワーク・トラフィックを組織のネットワーク・エンジニアが検証することを強くお薦めします。
付録Q「GUIのパフォーマンス改善」では、構成されている並列度(DOP)を上げて、レポータのインタフェースでのレスポンス時間を改善する方法について説明します。
付録R「サード・パーティ・ライセンス」には、RUEIに含まれるいくつかのサード・パーティ製品に関するライセンス情報が掲載されています。
オラクル社のWebサイトでは、各種トピックに関する情報を公開しています(http://www.oracle.com/enterprise_manager/user-experience-management.html
)。定期的にこのサイトにアクセスしてサポートの告知を確認することをお薦めします。
また、Oracleサポート・サービスのWebサイトでは詳しい技術情報を公開しています(https://metalink.oracle.com
)。このサイトには、FAQ、トレーニング資料、ヒントとテクニック集および最新バージョンの製品ドキュメントが含まれます。このWebサイトにアクセスするには、有効なユーザー名とパスワードが必要です。
オラクル社は、障害のあるお客様にもオラクル社の製品、サービスおよびサポート・ドキュメントを簡単にご利用いただけることを目標としています。オラクル社のドキュメントには、ユーザーが障害支援技術を使用して情報を利用できる機能が組み込まれています。HTML形式のドキュメントで用意されており、障害のあるお客様が簡単にアクセスできるようにマークアップされています。標準規格は改善されつつあります。オラクル社はドキュメントをすべてのお客様がご利用できるように、市場をリードする他の技術ベンダーと積極的に連携して技術的な問題に対応しています。オラクル社のアクセシビリティについての詳細情報は、Oracle Accessibility ProgramのWebサイトhttp://www.oracle.com/accessibility/
を参照してください。
ドキュメント内のサンプル・コードのアクセシビリティについて
スクリーン・リーダーは、ドキュメント内のサンプル・コードを正確に読めない場合があります。コード表記規則では閉じ括弧だけを行に記述する必要があります。しかしJAWSは括弧だけの行を読まない場合があります。
外部Webサイトのドキュメントのアクセシビリティについて
このドキュメントにはオラクル社およびその関連会社が所有または管理しないWebサイトへのリンクが含まれている場合があります。オラクル社およびその関連会社は、それらのWebサイトのアクセシビリティに関しての評価や言及は行っておりません。
Oracleサポートへのアクセス
Oracleのお客様は、My Oracle Supportにアクセスして電子サポートを受けることができます。詳細は、http://www.oracle.com/support/contact.html
、聴覚に障害があるお客様はhttp://www.oracle.com/accessibility/support.html
を参照してください。
詳細は、Oracle Real User Experience Insight(RUEI)ドキュメント・セットに含まれる次のドキュメントを参照してください。
『Oracle Real User Experience Insightインストレーション・ガイド』
このドキュメントおよび他のRUEIドキュメントの最新バージョンは次のWebサイトにあります。
http://www.oracle.com/technology/documentation/realuserei.html
RUEIでは総合的なオンライン・ヘルプも提供されます。「System」メニューの「Help」オプションを選択するかダイアログ内の「Help」アイコンをクリックして、オンライン・ヘルプ・システムを表示します。
以前のバージョンのRUEIでは、ユーザー・フローはトランザクションと呼ばれていました。
このマニュアルでは次の表記規則を使用します。
規則 | 意味 |
---|---|
太字 | 太字は、操作に関連するGraphical User Interface要素、または本文中で定義されている用語および用語集に記載されている用語を示します。 |
イタリック体 | イタリックは、ユーザーが特定の値を指定するプレースホルダ変数を示します。 |
固定幅フォント |
固定幅フォントは、段落内のコマンド、URL、サンプル内のコード、画面に表示されるテキスト、または入力するテキストを示します。 |