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Oracle® Real User Experience Insightユーザーズ・ガイド
12c リリース6 (12.1.0.7) for Linux x86-64
E61771-02
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7 パフォーマンスの監視の設定

この章では、KPIとSLAの定義方法について説明します。KPIとSLAは、ネットワークのパフォーマンスの監視に使用され、ダッシュボードおよびレポートで確認できます。また、サービス・レベルに影響を与えるインシデントをスタッフ・メンバーに通知する際に使用するアラートの管理(誰にいつ通知するかなど)についても取り上げます。KPIとSLAを定義および変更するには、「完全」アクセス・レベル権限が必要です(14.2項「ユーザー・アカウントのロールと権限の概要」を参照)。

7.1 概要

品質保証契約(SLA)は、顧客に対するプロバイダの責任および顧客が期待するサービス・レベルの各条件を明確にする、プロバイダと顧客間の合意です。通常、この合意は、いくつかのキー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)を使用して明示されます。これは、組織の業績の特定項目を測定およびベンチマーキングするための手段です。

たとえば、特定サービスのSLAでは、99.999%の稼働時間を約束する場合があります。これは顧客に対する保証であるため、組織ではこれをKPIとして作成することができます。これによって、サービス可用性が監視され、このレベルより低下するたびに、担当のスタッフに通知され、修正処理がとられます。

組織では、SLAとは別に、独自にパフォーマンスを監視するためにKPIを設定する場合もあることを理解しておく必要があります。KPIによって組織の業績を把握できるため、管理ダッシュボードの構成要素としてKPIが追跡される場合もあります。

7.2 KPIおよびSLAの定義

KPIを作成し、オプションでそのKPIをアラートおよびサービス・レベルのベースとして使用する手順は、次のとおりです。

  1. 「構成」→「サービス・レベル管理」「KPI」を選択し、「新規KPI」ボタンをクリックします。図7-1に示すダイアログが表示されます。

    図7-1 キー・パフォーマンス・インディケータ(KPI)

    図7-1の説明が続きます
    「図7-1 キー・パフォーマンス・インディケータ(KPI)」の説明

  2. 監視対象KPIの「名前」および「カテゴリ」を指定します。新しいカテゴリ名を指定すると、そのカテゴリが自動的に作成されます。

  3. 次の点に注意して、「メトリック」「エンティティ」「計算」および「単位」フィールドを使用してKPIを定義します。

    • 選択したメトリックによっては、他のフィールドに値を指定する必要がない場合もあります。

    • 計算に複数の入力が必要な場合があります。たとえば、「ページ・ロード時間」メトリックを選択した場合は、参照先のユーザー・フローを指定する必要があります。表示されるリストに目的のオプションがない場合は、「検索」アイコンをクリックして検索できます。

    • メトリックの詳細は、E.2項「KPIのメトリック」を参照してください。

    • KPI定義を保存した後でこれらのフィールドを編集することはできません。

  4. KPIの「計算期間(分)」を指定します。これは1から15分の間の値にすることができ、後で編集できます。


    注意:

    すべてのKPI値は1分ごとに計算されます。この設定によりKPI値を計算するための時間ウィンドウが決定されます。たとえば、KPIとして平均ページ・ロード時間を選択して計算期間を5分に設定した場合、KPIは過去5分間の平均ロード時間を使用して1分ごとに更新されます。

  5. 「説明」タブのフィールドにKPIの簡単な説明を入力します。その他のタブについては、次の各項で説明しています。

  6. 「保存」をクリックします。

7.2.1 KPIへの条件の適用

「KPI」画面の「条件」タブを使用すると、メトリックまたはディメンション・レベルの条件に一致する値にKPIのデータをフィルタできます。集計関数に基づくメトリック・フィルタリング(5ミリ秒未満のロード時間の個別の測定ではなく5ミリ秒未満のすべてのページビューの平均ロード時間など)が必要な場合、「前提条件」タブを使用してその前提条件を作成することを検討してください。

  1. 「構成」→「サービス・レベル管理」→「KPI」から、編集するKPIを選択します。図7-1に示すような画面が表示されます。

  2. 「条件」タブを選択し、「追加」をクリックして新しい条件を挿入します。「条件の追加」画面が表示されます。

  3. 「条件タイプ」で、「ディメンション・レベル」または「メトリック」を選択します。オプションとして表示されるメトリックおよびディメンションの詳細は、付録E「データ・アイテムの概要」を参照してください。

  4. 手順3で選択した項目に応じて、「ディメンション・レベル」または「メトリック」を選択します。結果のフィールドはここでの選択によって決まるため、正確な条件を作成できます。

  5. 条件の詳細を入力します(たとえば、「データベース処理時間」を50ミリ秒から500ミリ秒の範囲にします)。

    大部分のディメンション・レベル(アプリケーション名またはクライアントの場所を除く)に、1つ以上のワイルドカード(*)文字を指定できます。異なるディメンションに対するフィルタは、論理AND句の一部とみなされますが、同じディメンションに対する複数のフィルタは、論理OR句の一部とみなされることに注意してください。たとえば、2つのクライアント・ブラウザ条件(「Firefox」用の条件と「Chrome」用の条件)を作成すると、KPIはFirefoxブラウザとChromeブラウザの両方によるリクエストに適用します。

  6. 必要な条件をすべて作成した後、「保存」をクリックします。

7.2.2 KPIへのターゲット値の適用

「KPI」画面の「ターゲット」タブでは、値の範囲をKPIに関連付けることができます。たとえば、KPIでエラー・レベルをパーセンテージで測定する場合、0%から5%のターゲット範囲を作成できます。

  1. 「構成」→「サービス・レベル管理」→「KPI」から、編集するKPIを選択します。図7-1に示すような画面が表示されます。

  2. 「ターゲット」タブを選択します。

  3. 「ターゲット・タイプ」で、「固定値」または「自動」を選択します。

  4. 手順3で「固定値」を選択した場合、KPIの「最小値」と「最大値」を入力します。

  5. 手順3で「自動」を選択した場合、自動学習ターゲットに「偏差(小)」、「偏差(中)」、「偏差(大)」のいずれを使用するかを選択できます。この機能の使用方法の詳細は、7.3.3項「自動ターゲットおよび固定ターゲット」を参照してください。

  6. 「保存」をクリックします。

7.2.3 KPIへの前提条件の適用

「KPI」画面の「前提条件」タブでは、KPIのデータをフィルタできます。「条件」タブではメトリックや簡易なオペレータを使用してフィルタできるのに対して、前提条件ではKPIの定義時と同じ計算オプションを使用してフィルタできます。この指定により、複合メトリック条件を作成できます。たとえば、監視対象サービスに対して、リクエストしたページの98%でエンドツーエンドのページ時間が3から5秒におさまるという要件を、1分当たりのページ・ビュー数が5から10の場合にのみ適用することが可能です。

  1. 「構成」→「サービス・レベル管理」→「KPI」から、編集するKPIを選択します。図7-1に示すような画面が表示されます。

  2. 「前提条件」タブを選択し、「追加」をクリックして新しい前提条件を挿入します。「前提条件の追加」画面が表示されます。

  3. 前提条件に使用する「メトリック」を選択します。メトリックの詳細は、E.2項「KPIのメトリック」を参照してください。

  4. 次の点に注意して、「メトリック」「エンティティ」「計算」および「単位」フィールドを使用して前提条件を定義します。

    • 選択したメトリックによっては、他のフィールドに値を指定する必要がない場合もあります。

    • 前提条件の期間や条件はKPIによって決定されるため、入力しないでください。

  5. 前提条件の条件を入力します。たとえば、「演算子」を「次の範囲内」に設定し、「最小値」「最大値」の値を入力します。

  6. 「保存」をクリックします。

7.2.4 KPIへのサービス・レベル合意の適用

「KPI」画面の「サービス・レベル合意」タブでは、ターゲット達成のレベルを設定できます。特定の期間において保証する合意のレベル(パーセント単位)を構成できます。

  1. 「構成」→「サービス・レベル管理」→「KPI」から、編集するKPIを選択します。図7-1に示すような画面が表示されます。

  2. 「サービス・レベル合意」タブを選択します。

  3. 「有効」オプションを選択します。

  4. ターゲット達成のパーセント値を入力します。たとえば、年単位では全時間の98%でサービスが指定の目標を満たすことを保証します。ただし、時間単位では保証を80%にし、日単位では90%にします。すべての期間フィールドが必須です。

  5. 「保存」をクリックします。

7.2.5 KPIへのアラート・スケジュールの適用

「KPI」画面の「アラート」タブでは、KPIをアラート・スケジュールに関連付けることができます。

  1. 「構成」→「サービス・レベル管理」→「KPI」から、編集するKPIを選択します。図7-1に示すような画面が表示されます。

  2. 「アラート」タブを選択します。

  3. 1つ以上のアラート・スケジュールを選択します。アラート・スケジュールの定義については、7.5項「アラート・スケジュールの定義」で説明します。

  4. 停止時のトリガー(分)フィールドに、準拠していないKPIに対して「停止」アラートがトリガーされるまでの時間(分)を入力します。

  5. 稼働時のトリガー(分)フィールドに、準拠しているKPIに対して「稼働中」アラートがトリガーされるまでの時間(分)を入力します。

  6. 「重大度」で、KPIに適したオプション(「警告」など)を選択します。

  7. KPIが準拠したときにアラートを生成する場合は、稼働時のトリガー(分)フィールドに「起動時の通知」オプションを有効にします。

  8. 「保存」をクリックします。

7.3 既存のKPIの変更

既存のKPIの定義を確認および変更するには、「構成」「サービス・レベル管理」「KPI」を選択し、表示されたリストから目的のKPIを選択します。図7-1に示すような画面が表示されます。

タブを使用すると、選択したKPIに特有の項目を見つけ、項目の定義を確認および変更できます。項目に関連付けられる設定は、7.2項「KPIおよびSLAの定義」で説明した設定と同じです。

KPIの変更、名前変更、移動または削除を実行するには、KPIを右クリックして、メニューから「名前の変更」「コピー」または「削除」オプションを選択します。KPIを変更するには、「編集」オプションを選択します。この手順については、7.2項「KPIおよびSLAの定義」で説明しています。

KPIをダッシュボードに追加するには、KPIを右クリックして「ダッシュボードに追加」を選択します。ダッシュボードの詳細は、第5章「ダッシュボードの使用」を参照してください。

7.3.1 既存のKPIのコピー

新規KPIを最初から作成(7.2項「KPIおよびSLAの定義」を参照)できるのみでなく、既存のKPIのコピーを作成し、それを新規KPIのベースとして使用することもできます。これは、新規KPIが既存のKPIとよく似ている場合は特に便利です。たとえば、アメリカでのユーザー・フローの可用性を監視するKPIがすでに存在し、カナダ用に新しいKPIを作成する場合などです。既存のKPIを新規KPIのベースとして使用する手順は、次のとおりです。

  1. 「構成」「サービス・レベル管理」「KPI」を選択し、表示されたリストから目的のKPIを右クリックします。メニューから「コピー」を選択します。図7-2に示すダイアログが表示されます。

    図7-2 「KPIのコピー」ダイアログ

    図7-2の説明が続きます
    「図7-2 「KPIのコピー」ダイアログ」の説明

  2. 新規KPIの新しい名前と場所を指定します。オプションで、「カテゴリの追加」をクリックし、新規カテゴリを作成します。次に、「保存」をクリックします。

  3. 7.3項「既存のKPIの変更」で説明している手順を使用して、要件に合うように新規のKPIを変更します。

7.3.2 KPIの計算範囲について

すべてのKPI値は1分ごとに計算されます。この設定によりKPI値を計算するための時間ウィンドウが決定されます。たとえば、KPIとして平均ページ・ロード時間を選択して計算期間を5分に設定した場合、KPIは過去5分間の平均ロード時間を使用して1分ごとに更新されます。

デフォルトでは、KPIの計算期間は1分です。ただし、期間を長くして極端な値が平均に及ぼす影響を抑えるには、計算範囲を長めに指定すると役立ちます。計算期間を編集するには、「構成」「サービス・レベル管理」「KPI」を選択し、編集するKPIを右クリックしてメニューから「編集」を選択します。これにより、KPIの「計算期間」を編集できるようになります。

1分を超える計算期間のKPI値のレポート

KPIの値は、1分間の期間が終わるたびに計算されます。KPIの計算期間が1分より長く、KPI計算が別のタイム・スケール(たとえば、1時間当たりの平均ページ・ロード時間など)で計算された係数のパーセンテージである場合、KPI値は、計算期間全体の平均を使用して1分ごとにレポートされた値の平均として計算されます。同時セッションおよびパーセントKPIのレポートされた値を解釈する場合、この点に注意することをお薦めします。

7.3.3 自動ターゲットおよび固定ターゲット

前述のように、KPIで自動(自動学習)ターゲットを使用するように指定できます(7.2.2項「KPIへのターゲット値の適用」を参照)。通常、ビジターのトラフィックおよび使用状況パターンは、午後のビジターの数より夜間のビジターの数のほうが少なかったり、日によってビジターの数に差がるなど、1日のうちに大きく変動します。

自動ターゲットの計算にこれを正確に反映するために、次のように動作する評価アルゴリズムが使用されます:

最初に、特定の1分間の最小ターゲットと最大ターゲットは、その期間前後のサンプリング・ウィンドウ内のデータから常に計算されます。これにより、確実に特定期間前後の値の変動における一般的傾向が考慮されます。

次に、ここ数日間の同じサンプリング期間のデータも参照します。これにより、確実に特定の期間の値の変動における日次傾向も考慮されます。たとえば、毎日午前11時のビジターの総数が週の経過とともに増加している場合などです。

サンプリング・ウィンドウのサイズ、および使用する過去の日数は、KPIに割り当てられたKPIしきい値プロファイルによって指定されています。しきい値プロファイルの定義については12.13項「KPIしきい値プロファイルの定義」、KPIへのしきい値プロファイルの割当てについては7.2.2項「KPIへのターゲット値の適用」を参照してください。

これとは対照的に、固定KPIターゲットはその性質上、最小と最大のどちらの場合も直線になります。図7-3にこれを示します。

図7-3 自動KPIターゲットと固定KPIターゲットの比較

図7-3の説明が続きます
「図7-3 自動KPIターゲットと固定KPIターゲットの比較」の説明

自動学習ターゲットの使用時は、次の点に注意してください。

  • 自動学習ターゲットが使用可能になるには、少なくとも1日が経過している必要があります。当然ながら、使用できる履歴データの日数が多いほど、計算される自動ターゲットの信頼性が高くなります。自動学習ターゲットでKPIが作成された最初の日は、アラートの生成を避けるために、これらのターゲットは実際に記録される値の少し上または下に自動的に設定されます。

  • メトリック値が高すぎる、または低すぎる場合、自動学習ターゲットは問題の存在を示す場合がありますが、問題が長期化すると、それらの異常値が自動学習ターゲットに含まれるようになり、その結果、正常な変動値であると解釈されることになります。

  • 自動学習ターゲットは、KPI値を毎日ほぼ同じ時間に取得できない場合、大幅に低下することがあります。たとえば、18:00以降にネットワーク・トラフィックがない場合がこれに該当します。

KPIで自動ターゲットを使用するように定義し、その後、固定ターゲットを使用するようにKPIを変更すると、それまでに計算されたターゲット(一定期間KPIを監視して導出されたターゲット)が新しい固定ターゲットとして設定されます。KPIに設定する固定ターゲットが不明な場合は、この機能を使用して、現実的な初期値を取得できます。この値は、いつでも自由に変更できます。

7.4 サービス・レベル・スケジュールの定義

組織で達成したサービス・レベルの追跡に使用するKPIを定義するのみでなく、これらのサービス・レベルをいつ適用するかも指定する必要があります。通常、組織ではコア・タイム(月曜日から金曜日の9:00AMから5:00PMなど)が設定されており、このコア・タイムでは、約束したサービス・レベルを達成する必要があります。ただし、この例外として祝祭日などの定義も必要です。たとえば、復活祭の月曜日の10:00AMから4:00PMのサービスを制限する必要がある場合などです。最後に、計画的なメンテナンス期間も考慮に入れる必要があります。

計画的なサービス・レベルのスケジュールは、「サービス・レベル・スケジュール」(図7-4を参照)で管理します。これを開くには、「構成」「サービス・レベル管理」「サービス・レベル・スケジュール」を選択します。

図7-4 サービス・レベル・スケジュール

図7-4の説明が続きます
「図7-4 サービス・レベル・スケジュール」の説明

「サービス・レベル・スケジュール」内で期間を選択するには、対象となる週の期間にわたってクリックしてドラッグします。選択した期間にステータスを割り当てるには、「アクティブ」または「非アクティブ」モードをクリックします。

例外を定義するには、正符号のアイコン(+)をクリックして「例外」リストから日、月および年を選択します。例外を削除するには、例外の右にある負符号のアイコン(-)をクリックします。

この変更内容は、「保存」をクリックするまでは有効にならないことに注意してください。終了すると、保存していない変更内容は廃棄されます。

7.5 アラート・スケジュールの定義

組織内でアラートを使用して、サービス・レベルに影響のあるインシデントをスタッフ・メンバーに通知する場合、通知する必要のあるユーザーとタイミングを指定する必要があります。これは、アラート・スケジュールを作成して行います。業務上の要件を満たす十分なスケジュールを定義できます。

KPIを定義する場合、KPIで使用するアラート・スケジュールを指定します(7.2.5項「KPIへのアラート・スケジュールの適用」を参照)。各アラート・スケジュールは、ユーザーのグループ、通知の詳細および稼働時間枠で構成されます。標準の運用時間に対する例外も定義できます。KPIで使用するアラート・スケジュールを定義するには、次の手順を実行します。

  1. 「構成」「サービス・レベル管理」「アラート・スケジュール」の順に選択します。図7-5に示すウィンドウが表示されます。

    図7-5 アラート・スケジュールの例

    図7-5の説明が続きます
    「図7-5 アラート・スケジュールの例」の説明

  2. 「ビュー」メニューを使用して、現在使用できるアラート・スケジュールを確認します。

    例外を定義するには、正符号のアイコン(+)をクリックして「例外」リストから日、月および年を選択します。例外を削除するには、例外の右にある負符号のアイコン(-)をクリックします。スケジュール内で期間をマークするには、対象となる週をクリックし、期間にわたってドラッグします。アラート・プロファイルのいずれかをクリックして、選択した期間を割り当てます。

    この変更内容は、「保存」をクリックするまでは有効にならないことに注意してください。終了すると、保存していない変更内容は廃棄されます。

  3. ツールバー内の「新規」をクリックして、新しいアラート・スケジュールを定義します。図7-6に示すダイアログが表示されます。

    図7-6 アラート・スケジュールの追加

    図7-6の説明が続きます
    「図7-6 アラート・スケジュールの追加」の説明

  4. アラート・スケジュールの一意の名前を指定し、オプションで簡単な説明を指定します。その有効範囲と目的を示すことをお薦めします。次に、「保存」をクリックします。

  5. 次の項の説明に従って、通知するユーザーを指定します。

7.5.1 アラート・プロファイル

アラート・プロファイルでは、アラートの生成に必要な指定期間、KPIが停止している場合に、どのユーザーに通知するかを定義します。KPIの定義方法によっては、これらのユーザーは、設定済のターゲット範囲内にKPIが戻ったときにも通知を受けます。

たとえば、「完了したユーザー・フロー」メトリックにKPIを定義し、通常の操作には70%以上の成功率が必要であることを指定したとします。KPIがコア営業時間内(月曜日から金曜日の9:00AMから5:00PM)にこのレベルを下回ると、Webアプリケーションのすべてのビジネス・マネージャが通知を受けます。この時間外に未達成が発生した場合は、ヘルプデスクが通知を受けます。

各プロファイルをカスタマイズするには、プロファイルを右クリックし、コンテキスト・メニューから「編集」を選択します。図7-7にこれを示します。

図7-7 アラート・プロファイルのコンテキスト・メニュー

図7-7の説明は次にあります。
「図7-7 アラート・プロファイルのコンテキスト・メニュー」の説明

図7-8に示すダイアログが表示されます。

図7-8 「アラート・プロファイル」ダイアログ

図7-8の説明が続きます
「図7-8 「アラート・プロファイル」ダイアログ」の説明

このダイアログを使用して、通知先ユーザーの名前と簡単な説明を指定します。このダイアログのその他のタブを使用して、電子メール、SNMPおよびテキスト・メッセージの通知の受信者を指定します。それぞれの方法の「有効」チェック・ボックスを使用して、通知をアクティブにします。


注意:

テキスト・メッセージベースのアラートを受信した場合、携帯電話で表示されるメッセージのタイムスタンプが、インストール済RUEIに記録されているタイムスタンプと一致しない場合があります。これは、携帯電話のタイムゾーンの違いが原因です。

7.5.2 エスカレーション手順

図7-9に示す「エスカレーション」タブでは、KPIが引き続きレベルを下回る場合にアラートの受信者に送信するアラームを設定できます。また、定義した期間を経過した後にもKPIが引き続きレベルを下回っている場合のエスカレーション手順も定義できます。たとえば、3時間を経過してもKPIが引き続きレベルを下回っている場合、別のグループに通知します。このエスカレーション・グループをカスタマイズするには、グループを右クリックし、コンテキスト・メニューから「編集」を選択します。

図7-9 「エスカレーション」タブ

図7-9の説明が続きます
「図7-9 「エスカレーション」タブ」の説明

7.5.3 測定および通知間隔

KPIには、KPI状態とアラート状態という2つの関連する状態があることを理解しておく必要があります。KPI状態は、測定間隔ごとに異なる場合があります。アラート状態は、アラートに定義するプロパティで制御されます。たとえば、計算範囲を5分(デフォルト)、レベルを下回る期間を15分と定義しているときに、KPIがレベルを下回り始めた場合を考えます。5分後にもKPIは未達成であるとみなされますが、15分連続してレベルを下回らないかぎり、未達成であることは通知されません。

同様に、図7-9で指定するアラームとエスカレーションの期間は、アラートに関連しています。つまり、アラームの期間を1時間ごとに指定すると、KPIの未達成状態が続いている間は、最初のアラートが送信された後に、アラーム通知が60分ごとに生成されます。これらの設定に指定する値は、業務上の要件を満たすように慎重に検討することをお薦めします。

7.5.4 アラート・メッセージのテスト

電子メール、SNMPまたはテキスト・メッセージの通知を有効にしている場合、図7-7に示したメニューの「テスト・プロファイル」オプションを使用して、アラートまたはエスカレーション・プロファイルで指定されている全受信者にテスト・アラートを送信できます。これは、連絡先情報が正しく入力されていることをテストする際に便利です。テスト通知の確認を求められます。

7.5.5 メール通知の使用方法

電子メール・アラートの受信者を定義するには、「電子メール」タブをクリックしてダイアログ(図7-10を参照)を開き、次の手順を実行します。

図7-10 「電子メール」タブ

図7-10の説明が続きます
「図7-10 「電子メール」タブ」の説明

  1. 「受信者」フィールドを使用して、通知先ユーザーの電子メール・アドレスを指定します。「追加」をクリックして、ユーザーを通知リストに追加します。ユーザーをリストから削除するには、ユーザーの右にある「削除」アイコンをクリックします。

  2. 「有効化」チェック・ボックスを選択し、電子メール通知をアクティブにします。次に、「保存」をクリックします。

7.5.6 SNMP通知の使用方法

SNMPアラートの受信者を定義するには、SNMPタブをクリックしてダイアログ(図7-11を参照)を開き、次の手順を実行します。

図7-11 「SNMP」タブ

図7-11の説明が続きます
「図7-11 SNMPタブ」の説明

  1. 「有効」チェック・ボックスが選択されていることを確認してください。選択されていない場合、SNMPトラップは生成されません。

  2. 「バージョン」リストを使用して、使用しているSNMPプロトコルのバージョンを指定します。デフォルトはバージョン2cです。

  3. 「マネージャ・アドレス」フィールドを使用して、クライアント・ソフトウェアのアドレスを指定します。これは、有効なネットワーク・アドレスである必要があり、IPアドレスまたはホスト名を指定できます。

  4. 「コミュニティ」フィールドを使用して、情報の送信先となるグループを指定します。この文字列は、クライアントからサーバーへのアクセスを制御するパスワードとして機能します。

  5. 「有効化」チェック・ボックスを選択し、SNMP通知をアクティブにします。

  6. 管理情報ベース(MIB)定義をダウンロードし、管理対象オブジェクトのアドレス帳に取り込みます。この定義には、受信したSNMPメッセージの解釈方法に関して必要な情報が含まれています。ファイル(oracle-ruei.mib)は、RUEI/extraディレクトリのRUEIインストールzipファイル内でも使用できます。MIBファイルの構造を図7-12脚注1に示します。

図7-12 SNMP MIBの構造

図7-12の説明が続きます
「図7-12 SNMP MIBの構造」の説明

MIBにあるKPIの情報およびメトリックは、システム内に構成されている各KPIの最も重要なプロパティを表し、フィルタリングおよびアラート通知のベースとして使用できます。KPIの情報およびメトリックを表7-1に示します。

表7-1 KPIの情報およびメトリックの構造

オブジェクト

kpiName

英数字

kpiCategory

英数字

kpiValue

kpiMin

kpiMax

kpiSeverity

英数字

kpiDuration

kpiDescription

英数字

eventDateTime

値(形式: YYYYMMDDHHMMSS)。

eventSource

英数字

eventCode

整数

eventDescription

英数字

eventUser

eventRepeatCount

整数

kpiCalculationRange

整数


SNMPアラート内のKPI名は、UTF-8形式で送信されます。KPI名に含まれる文字で、ISO-Latin-1形式以外の文字は、疑問符(?)文字に置換されます。また、SNMPマネージャの中には、UTF-8を完全にはサポートしていないものもあります。詳細は、ご使用のSNMPマネージャの製品ドキュメントを参照してください。

デフォルトのSNMPポートの変更

デフォルトでは、SNMPアラートはポート162に送信されます。これを変更するには、「マネージャ・アドレス」(図7-11)の一部として必要なポートを指定する必要があります。次に例を示します。

194.158.1.23:10162

7.5.7 テキスト・メッセージ通知の使用方法

テキスト・メッセージ通知を定義するには、「テキスト・メッセージ」タブをクリックしてダイアログ(図7-13を参照)を開き、次の手順を実行します。

図7-13 「テキスト・メッセージ」タブ

図7-13の説明が続きます
「図7-13 「テキスト・メッセージ」タブ」の説明

  1. 「受信者」フィールドを使用して、通知先ユーザーの電話番号を指定します。「追加」をクリックして、ユーザーを通知リストに追加します。ユーザーをリストから削除するには、ユーザーの右にある「削除」アイコンをクリックします。

  2. 「有効化」チェック・ボックスを選択し、テキスト・メッセージ通知をアクティブにします。次に、「保存」をクリックします。

  3. テキスト・メッセージ・プロバイダをまだ構成していない場合は、構成が必要です。まだ構成されていないという警告が表示された場合は、警告リンクをクリックし、15.8項「テキスト・メッセージ・プロバイダの構成」で説明されている手順に従ってください。



脚注

脚注1: この画面は、iReasoning MIBブラウザ(http://www.ireasoning.com)の画面です。このユーティリティは、RUEIの付属ソフトウェアとしては出荷されておらず、別途ライセンスが必要です。これは、付属のMIBファイルの構造を示すことのみを目的としています。