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Oracle Solaris のシステム管理 (Oracle Solaris ゾーン、Oracle Solaris 10 ゾーン、およびリソース管理) Oracle Solaris 11 Information Library (日本語) |
10. リソース上限デーモンによる物理メモリーの制御 (概要)
このリリースの Oracle Solaris ゾーンについて
18. 非大域ゾーンのインストール、停止処理、停止、アンインストール、クローニングについて (概要)
19. 非大域ゾーンのインストール、ブート、停止処理、停止、アンインストール、およびクローニング (手順)
22. ゾーンの移行と zonep2vchk ツールについて
23. Oracle Solaris システムの移行と非大域ゾーンの移行 (タスク)
24. ゾーンがインストールされている Oracle Solaris 11 システムでの自動インストールおよびパッケージ
25. Oracle Solaris ゾーンの管理 (概要)
26. Oracle Solaris ゾーンの管理 (手順)
28. Oracle Solaris ゾーンで発生するさまざまな問題の解決
30. Oracle Solaris 10 システムの評価とアーカイブの作成
31. (省略可能) Oracle Solaris 10 ゾーンへの Oracle Solaris 10 native 非大域ゾーンの移行
非大域ゾーンは、1 つの箱と考えることができます。この箱の中では、システムのほかの部分と相互に作用することなく、1 つ以上のアプリケーションを実行できます。ゾーンは、ソフトウェアで定義される柔軟な境界を使用して、ソフトウェアアプリケーションやサービスを隔離します。これにより、Oracle Solaris オペレーティングシステムの同じ 1 つのインスタンス内で実行される複数のアプリケーションを互いに独立して管理できます。したがって、同じアプリケーションのさまざまなバージョンをそれぞれ異なるゾーンで実行でき、構成の要件を満たすことができます。
ゾーンに割り当てられたプロセスは、同じゾーンに割り当てられたほかのプロセスを操作、監視したり、これらのプロセスと直接通信したりできます。システムのほかのゾーンに割り当てられたプロセスや、ゾーンに割り当てられていないプロセスに対しては、このような機能は実行できません。異なるゾーンに割り当てられたプロセスどうしでは、ネットワーク API を介した通信のみ可能です。
ゾーンが独自の排他的 IP インスタンスを持っているのか、IP 層の構成と状態を大域ゾーンと共有しているのかに応じて、IP ネットワーク接続を 2 通りの方法で構成できます。排他的 IP がデフォルトのタイプです。ゾーンの IP タイプの詳細については、「ゾーンネットワークインタフェース」を参照してください。構成については、「ゾーンの構成方法」を参照してください。
Oracle Solaris システムごとに 1 つの大域ゾーンがあります。大域ゾーンは 2 つの機能を持っています。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンであり、システム全体の管理に使用されるゾーンでもあります。非大域ゾーン (単に「ゾーン」と呼ばれる) が、大域管理者またはゾーンのセキュリティープロファイルを持つユーザーによって作成されていない場合、すべてのプロセスが大域ゾーンで実行されます。
非大域ゾーンの構成、インストール、管理、およびアンインストールは、大域ゾーンからのみ行うことができます。システムハードウェアからブートできるのは、大域ゾーンだけです。物理デバイス、共有 IP ゾーンでのルーティング、動的再構成 (DR) といったシステム基盤の管理は、大域ゾーンでのみ行うことができます。大域ゾーンで実行されるプロセスは、適切な権限が付与されていれば、ほかのゾーンに関連付けられているオブジェクトにもアクセスできます。
非大域ゾーンの特権付きプロセスには許可されていない操作を、大域ゾーンの特権のないプロセスが実行できることもあります。たとえば、大域ゾーンのユーザーは、システムのすべてのプロセスに関する情報を表示できます。この機能がサイトで問題になる場合は、大域ゾーンへのアクセスを制限します。
大域ゾーンも含め、各ゾーンにはゾーン名が割り当てられます。大域ゾーンの名前は常に global となります。各ゾーンには、一意の数値 ID も与えられます。これは、ゾーンのブート時にシステムによって割り当てられます。大域ゾーンには、常に ID 0 が割り当てられます。ゾーンの名前と数値 ID については、「zonecfg コマンドの使用」を参照してください。
各ゾーンには、ノード名も割り当てられます。これは、ゾーン名とは完全に独立した名前です。ノード名は、ゾーンの管理者によって割り当てられます。詳細は、「非大域ゾーンのノード名」を参照してください。
各ゾーンには、ルートディレクトリのパスが設定されます。これは、大域ゾーンのルートディレクトリに対する相対パスです。詳細は、「zonecfg コマンドの使用」を参照してください。
デフォルトでは、非大域ゾーンのスケジューリングクラスは、システムのスケジューリングクラスと同じに設定されます。ゾーンのスケジューリングクラスを設定する方法については、「スケジューリングクラス」を参照してください。
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大域管理者は、スーパーユーザー特権または同等の管理権限を持ちます。大域ゾーンにログインすると、大域管理者はシステム全体を監視したり制御したりできます。
非大域ゾーンは「ゾーン管理者」が管理できます。大域管理者は、「admin リソース」で説明されているように、ゾーン管理者に必要な承認を割り当てます。ゾーン管理者の特権は、特定の非大域ゾーンのみに制限されます。
非大域ゾーンの構成とインストールは、自動インストール (AI) のクライアントインストールの一環として指定できます。詳細については、『Oracle Solaris 11 システムのインストール』を参照してください。
ゾーンを Oracle Solaris 11 システムに作成する場合、大域管理者は zonecfg コマンドを使用して、ゾーンの仮想プラットフォームとアプリケーション環境に対して各種パラメータを指定することによってゾーンを構成します。次に、大域管理者がゾーンをインストールします。大域管理者は、ゾーン管理コマンド zoneadm を使用して、ゾーンに対応するファイルシステム階層にソフトウェアをパッケージレベルでインストールします。ゾーンをブートするには、zoneadm コマンドを使用します。次に、大域管理者または承認されたユーザーは、zlogin コマンドを使用してインストールされたゾーンにログインできます。役割によるアクセス制御 (RBAC) を使用中の場合、ゾーン管理者は solaris.zone.manage/ zonename の承認を持っている必要があります。
ゾーンの構成については、第 16 章非大域ゾーンの構成 (概要)を参照してください。ゾーンのインストールについては、第 18 章非大域ゾーンのインストール、停止処理、停止、アンインストール、クローニングについて (概要)を参照してください。ゾーンへのログインについては、第 20 章非大域ゾーンへのログイン (概要)を参照してください。
ゾーンの構成は完了し、安定した記憶領域に確定されています。ただし、ゾーンのアプリケーション環境の要素のうち、最初のブート後に指定する必要のあるものは、まだ含まれていません。
インストール処理やアンインストール処理の途中は、zoneadm によってターゲットゾーンの状態が「不完全」に設定されます。処理が正常に完了すると、適切な状態に設定されます。
損傷を受けたインストール済みゾーンは、zoneadm の mark サブコマンドを使用して、不完全のマークを付けることができます。不完全な状態のゾーンは、zoneadm list - iv の出力に表示されます。
ゾーンの構成はシステム上でインスタンス化されています。zoneadm コマンドは、指定した Oracle Solaris システム上で、この構成を正常に使用できることを確認するために使用します。パッケージはゾーンのルートパスにインストールされます。この状態では、ゾーンに関連付けられた仮想プラットフォームはありません。
ゾーンの仮想プラットフォームが確立されています。カーネルにより zsched プロセスが作成され、ネットワークインタフェースが設定されてゾーンで使用可能になり、ファイルシステムがマウントされ、デバイスの構成が完了しています。システムにより、一意のゾーン ID が割り当てられます。この状態では、ゾーンに関連付けられたプロセスは起動されていません。
ゾーンのアプリケーション環境に関連付けられたユーザープロセスが稼働状態です。アプリケーション環境に関連付けられた最初のユーザープロセス (init) が作成されるとすぐに、ゾーンの状態は「稼働」になります。
これらは、ゾーンの停止処理の間に見られる遷移状態です。ただし、なんらかの理由でゾーンを停止処理できない場合は、ゾーンがどちらかの状態で停止します。
zoneadm コマンドを使用してこれらの状態間の遷移を開始する方法は、第 19 章非大域ゾーンのインストール、ブート、停止処理、停止、アンインストール、およびクローニング (手順)およびzoneadm(1M) のマニュアルページに記載されています。
表 15-1 ゾーンの状態に影響を与えるコマンド
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注 - zonecfg 経由で変更されたパラメータは、稼働中のゾーンには影響しません。変更を適用するには、ゾーンをリブートする必要があります。
ゾーンを使用すると、必要に応じてほぼどのような単位にも細かく隔離できます。専用の CPU、物理デバイス、物理メモリーの一部分などをゾーンに割り当てる必要はありません。このようなリソースは、1 つのドメインまたはシステムで実行される複数のゾーンに渡って多重化するか、オペレーティングシステムに用意されているリソース管理機能を使ってゾーンごとに割り当てることができます。
ゾーンごとにカスタマイズされたサービスを提供できます。基本的なプロセス隔離を強化するために、同じゾーン内のプロセスのみ互いに認識したりシグナルを送信したりできます。ゾーン間で基本的な通信を行うには、各ゾーンに IP 接続機能を持たせます。あるゾーンで実行中のアプリケーションが、別のゾーンのネットワークトラフィックを監視することはできません。それぞれのパケットストリームが同じ物理インタフェースを通過する場合でも、この隔離は維持されます。
各ゾーンには、ファイルシステム階層の一部分が割り当てられます。各ゾーンは、ファイルシステム階層で割り当てられた部分ツリーに限定されます。したがって、特定のゾーンで実行されている作業負荷は、別のゾーンで実行されているほかの作業負荷のディスク上のデータにアクセスすることはできません。
ネームサービスで使用されるファイルは、ゾーン独自のルートファイルシステムのビュー内に置かれます。したがって、異なるゾーンのネームサービスは互いに隔離され、サービスごとに異なる構成を使用できます。
リソース管理機能を使用する場合は、リソース管理制御の境界とゾーンの境界をそろえる必要があります。このように境界をそろえることで、名前空間のアクセス、セキュリティー隔離、およびリソースの使用状況をすべて制御できる、より完成された仮想マシンのモデルを作成できます。
ゾーンで各種のリソース管理機能を使用するための特殊要件については、このドキュメントでこれらの機能に関連する各章を参照してください。
現在実行中のゾーンの CPU、メモリー、およびリソース制御の使用効率についての報告を生成するには、「非大域ゾーンでの zonestat ユーティリティーの使用」を参照してください。zonestat ユーティリティーは、排他的 IP ゾーン内のネットワーク帯域幅の使用効率についても報告を生成します。排他的 IP ゾーンには、独自の IP に関連付けられた状態と 1 つ以上の専用のデータリンクが保持されます。