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Oracle Solaris の管理: IP サービス     Oracle Solaris 11 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

パート I TCP/IP の管理

1.  ネットワーク配備の計画

2.  IPv6 アドレス使用時の考慮点

3.  IPv4 ネットワークの構成

ネットワーク構成 (タスクマップ)

ネットワーク構成を開始する前に

ネットワーク上のコンポーネントシステムの構成

IPv4 自律システムのトポロジ

IP インタフェースを構成する方法

システム構成モードの設定

システムをローカルファイルモード用に構成する方法

システムをネットワーククライアントモード用に構成する方法

ネットワーク構成サーバーの設定方法

IPv4 ルーターの構成

IPv4 ルーターの構成方法

経路制御テーブルと経路制御の種類

経路制御テーブルに静的ルートを追加する方法

マルチホームホストの構成

マルチホームホストの作成方法

単一インタフェースシステムの経路制御の構成

単一インタフェースホストで静的経路制御を有効にする方法

単一インタフェースシステムで動的経路制御を有効にする方法

ネットワークへのサブネットの追加

IPv4 アドレスおよびその他のネットワーク構成パラメータを変更する方法

トランスポート層サービスの監視と変更

すべての着信 TCP 接続の IP アドレスを記録する方法

SCTP プロトコルを使用するサービスを追加する方法

TCP ラッパーを使って TCP サービスのアクセスを制御する方法

4.  ネットワークでの IPv6 の有効化

5.  TCP/IP ネットワークの管理

6.  IP トンネルの構成

7.  ネットワークの問題の障害追跡

8.  IPv4 リファレンス

9.  IPv6 リファレンス

パート II DHCP

10.  DHCP について (概要)

11.  ISC DHCP サービスの管理

12.  DHCP クライアントの構成と管理

13.  DHCP コマンドと DHCP ファイル (リファレンス)

パート III IP セキュリティー

14.  IP セキュリティーアーキテクチャー (概要)

15.  IPsec の構成 (タスク)

16.  IP セキュリティーアーキテクチャー (リファレンス)

17.  インターネット鍵交換 (概要)

18.  IKE の構成 (手順)

19.  インターネット鍵交換 (リファレンス)

20.  Oracle Solaris の IP フィルタ (概要)

21.  IP フィルタ (手順)

パート IV ネットワークパフォーマンス

22.  統合ロードバランサの概要

23.  統合ロードバランサの構成 (タスク)

24.  仮想ルーター冗長プロトコル (概要)

25.  VRRP の構成 (タスク)

26.  輻輳制御の実装

パート V IP サービス品質 (IPQoS)

27.  IPQoS の紹介 (概要)

28.  IPQoS 対応ネットワークの計画 (手順)

29.  IPQoS 構成ファイルの作成 (手順)

30.  IPQoS の起動と保守(手順)

31.  フローアカウンティングの使用と統計情報の収集 (手順)

32.  IPQoS の詳細 (リファレンス)

用語集

索引

ネットワーク上のコンポーネントシステムの構成

ネットワークシステムを構成するときは、次の構成情報が必要です。


注 - Oracle Solaris のインストール中にネットワークを構成できます。手順については、『Oracle Solaris 11 システムのインストール』を参照してください。

このドキュメントの手順では、OS をインストールしたあとにネットワークを構成することを想定しています。


以降のセクションの図 3-1 を、ネットワークのコンポーネントシステムを構成するための参照情報として使用してください。

IPv4 自律システムのトポロジ

複数のルーターとネットワークを持つサイトでは、通常そのネットワークトポロジは単一の経路制御ドメイン、つまり「自律システム (AS: Autonomous System)」として管理されます。

図 3-1 複数の IPv4 ルーターを備えた自律システム

image:この自律システムのトポロジ図については、次の本文中で説明しています。

図 3-1 は、3 つのローカルネットワーク 10.0.5.0172.20.1.0、および 192.168.5.0 に分割された AS を示しています。ネットワークは次の種類のシステムで構成されています。

IP インタフェースを構成する方法

次の手順では、IP インタフェースの基本的な構成を実行する例を示します。

始める前に

システムのデータリンクの名前を変更する必要があるかどうかを判断します。通常は、データリンクにデフォルトで割り当てられている総称名を使用します。リンク名を変更するには、『Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化』の「データリンクの名前を変更する方法」を参照してください。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. (省略可能) 現在、システムに存在するデータリンクの物理属性に関する情報を表示します。
    # dladm show-phys

    このコマンドは、システムに取り付けられている物理ネットワークカードとその一部のプロパティーを表示します。このコマンドの詳細については、『Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化』の「データリンクの物理属性に関する情報を表示する方法」を参照してください。

  3. 現在システムに存在するデータリンクに関する情報を表示します。
    # dladm show-link

    このコマンドは、データリンクと、それら対して設定されている特定のプロパティーを表示します。リンクが作成されている物理カードが含まれます。

  4. IP インタフェースを作成します。
    # ipadm create-interface-class interface
    interface-class

    作成できる次の 3 つのインタフェースのクラスのいずれかを指します。

    • IP インタフェース。このインタフェースクラスは、ネットワーク構成を実行するときに作成するもっとも一般的なものです。このインタフェースクラスを作成するには、create-ip サブコマンドを使用します。

    • STREAMS 仮想ネットワークインタフェースドライバ (VNI インタフェース)。このインタフェースクラスを作成するには、create-vni サブコマンドを使用します。VNI デバイスまたはインタフェースの詳細は、vni(7d) のマニュアルページを参照してください。

    • IPMP インタフェース。このインタフェースは IPMP グループを構成するときに使用します。このインタフェースクラスを作成するには、create-ipmp サブコマンドを使用します。IPMP グループの詳細については、『Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化』の第 14 章「IPMP の紹介」を参照してください。

    interface

    インタフェースの名前を指します。この名前はインタフェースが作成される基になるリンクの名前と同一です。


    注 - IP インタフェースに IP アドレスを割り当てる前に IP インタフェースを作成する必要があります。


  5. IP インタフェースに有効な IP アドレスを構成します。

    次の構文は、インタフェースに静的アドレスを割り当てます。IP アドレスを割り当てるためのほかのオプションについては、ipadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

    # ipadm create-addr -T address-type -a address/prefixlen addrobj
    -T address-type

    インタフェースに割り当てられる IP アドレスの種類を指定します。これは staticdhcp、または addrconf のいずれかです。Addrconf は、自動的に生成される IPv6 アドレスを指します。

    -a

    インタフェースに構成する IP アドレスを指定します。ローカルアドレスのみ指定するか、トンネル構成の場合はローカルアドレスとリモートアドレスの両方を指定することができます。通常、ローカルアドレスのみ割り当てます。この場合、-a オプションを使用して、-a address のようにアドレスを直接指定します。アドレスは自動的にローカルアドレスと見なされます。

    トンネルを構成する場合、システムのローカルアドレスと、着信先システムのリモートアドレスの両方を指定することが必要な場合があります。この場合、2 つのアドレスを識別するために、local および remote を指定する必要があり、-a local=local-addr,remote= remote-addr のようになります。トンネルの構成の詳細については、Chapter 6, IP トンネルの構成を参照してください。

    数値 IP アドレスを使用する場合、アドレスは CIDR 表記の address/ prefixlen 形式を使用します。たとえば、1.2.3.4/24 となります。prefixlen オプションの説明を参照してください。

    オプションとして、address には数値 IP アドレスの代わりにホスト名を指定できます。ホスト名の使用は、そのホスト名に対応する数値 IP アドレスが /etc/hosts ファイル内に定義されている場合に有効です。ファイル内に数値 IP アドレスが定義されていない場合、数値は name-service/switch サービス内の host に対して指定されたリゾルバ順を使用して一意に取得されます。あるホスト名について複数のエントリが存在する場合はエラーが生成されます。


    注 - ブートプロセス中、IP アドレスの作成は、ネームサービスがオンラインになるより前に行われます。したがって、ネットワーク構成で使用されるホスト名が、/etc/hosts ファイル内で定義されているようにする必要があります。


    /prefixlen

    CIDR 表記を使用するときに IPv4 アドレスの一部となるネットワーク ID の長さを指定します。アドレス 12.34.56.78/24 では、24prefixlen です。prefixlen を含めない場合、ネットマスクは name-service/switch サービスの netmask に示されるシーケンスに従うか、クラスフルアドレスセマンティクスを使用して計算されます。

    addrobj

    システム内で使用される一意の IP アドレスまたは一連のアドレスの識別子を指定します。アドレスは IPv4 または IPv6 タイプのいずれかです。識別子は interface/ user_specified_string の形式を使用します。

    interface はアドレスが割り当てられる IP インタフェースを指します。interface 変数は、IP インタフェースが構成されるデータリンクの名前を反映する必要があります。

    user-specified-string は英字で始まり最大長が 32 文字の英数字の文字列を指します。後続の処理で、ipadm show-addripadm delete-addr などのシステム内のアドレスを管理する ipadm サブコマンドを使用するとき、数値 IP アドレスではなく addrobj を参照できます。

  6. (省略可能) 新しく構成された IP インタフェースの情報を表示します。

    確認する情報に応じて、次のいずれかのコマンドを使用できます。

    • インタフェースの一般的なステータスを表示します。

      # ipadm show-if [interface]

      インタフェースを指定しない場合、システム内のすべてのインタフェースについての情報が表示されます。

    • インタフェースのアドレス情報を表示します。

      # ipadm show-addr [addrobj]

      addrobj を指定しない場合、システム内のすべてのアドレスオブジェクトの情報が表示されます。

    ipadm show-* サブコマンドの出力の詳細については、『Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化』の「IP インタフェースとアドレスの監視」を参照してください。

  7. (省略可能) IP アドレスのエントリを /etc/hosts ファイルに追加します。

    このファイルのエントリは、IP アドレスと対応するホスト名で構成されます。


    注 - このステップは、ホスト名を使用する静的 IP アドレスを構成する場合にのみ適用されます。DHCP アドレスを構成する場合、/etc/hosts ファイルを更新する必要はありません。


例 3-1 ネットワークインタフェースを静的アドレスで構成する

# dladm show-phys
LINK     MEDIA        STATE     SPEED     DUPLEX     DEVICE
net3     Ethernet     up        100Mb     full       bge3

# dladm show-link
LINK     CLASS     MTU     STATE     BRIDGE   OVER
net3     phys      1500    up        --       --

# ipadm create-ip net3
# ipadm create-addr -T static -a 192.168.84.3/24 net3/v4static

# ipadm show-if
IFNAME   CLASS        STATE     ACTIVE     OVER
lo0      loopback     ok        yes        --
net3     ip           ok        yes        --

# ipadm show-addr
ADDROBJ     TYPE       STATE     ADDR
lo0/?       static     ok        127.0.0.1/8
net3/v4     static     ok        192.168.84.3/24

# vi /etc/hosts
# Internet host table
# 127.0.0.1       localhost
10.0.0.14       myhost
192.168.84.3    campus01

campus01/etc/hosts ファイル内ですでに定義されている場合、次のアドレスを割り当てるときにこのホスト名を使用できます。

# ipadm create-addr -T static -a campus01 net3/v4static

例 3-2 ネットワークインタフェースに IP アドレスを自動的に構成する

この例では、前の例と同じネットワークデバイスを使用しますが、IP インタフェースがアドレスを DHCP サーバーから受け取るように構成します。

# dladm show-phys 
LINK     MEDIA        STATE     SPEED     DUPLEX     DEVICE
net3     Ethernet     up        100Mb     full       bge3

# dladm show-link
LINK     CLASS     MTU     STATE     BRIDGE   OVER
net3     phys      1500    up        --       --

# ipadm create-ip net3

# ipadm create-addr -T dhcp net3/dhcp

# ipadm show-if
IFNAME   CLASS        STATE     ACTIVE     OVER
lo0      loopback     ok        yes        --
net3     ip           ok        yes        --

# ipadm show-addr net3/dhcp
ADDROBJ     TYPE       STATE     ADDR
net3/dhcp   dhcp       ok        10.8.48.242/24

# ipadm show-addr
ADDROBJ     TYPE       STATE     ADDR
lo0/?       static     ok        127.0.0.1/8
net3/dhcp   dhcp       ok        10.8.48.242/24

システム構成モードの設定

このセクションでは、ローカルファイルモードまたはネットワーククライアントモードのいずれかで動作するシステムを設定する手順について説明します。ローカルファイルモードで動作するときは、システムはローカルディレクトリにあるファイルからすべての TCP/IP 構成情報を取得します。ネットワーククライアントモードでは、構成情報はリモートネットワーク構成サーバーによって、ネットワーク内のすべてのシステムに提供されます。

一般的に、ネットワーク内の次のようなサーバーはローカルファイルモードで動作します。

クライアントはいずれのモードでも動作できます。したがって、ネットワーク内では次の図に示すように、これらのモードを組み合わせて、さまざまなシステムを構成できます。

図 3-2 IPv4 ネットワークトポロジに属するシステムのシナリオ

image:図は、1 台のネットワークサーバーが 4 つのシステムにサービスを提供する、サンプルネットワークを示しています。

図 3-2 は、192.9.200 ネットワーク内のシステムを示しています。

2 つの構成モードの概要の詳細については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「ホスト構成モードの決定」を参照してください

システムをローカルファイルモード用に構成する方法

『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「ローカルファイルモードで実行するシステム」に記載されているように、ローカルファイルモードで動作するシステムを構成するには、次の手順を使用します。

  1. システムの IP インタフェースに、割り当て済み IP アドレスを構成します。

    手順については、「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。

  2. /etc/nodename ファイルに正しいホスト名が設定されていることを確認します。
  3. /etc/inet/hosts ファイルのエントリが最新であることを確認します。

    Oracle Solaris インストールプログラムは、プライマリネットワークインタフェース、ループバックアドレス、およびインストール時に構成された追加インタフェース (該当する場合) に対する各エントリを作成します。

    このファイルは、デフォルトルーターの名前とルーターの IP アドレスも含む必要があります。

    1. (省略可能) インストール後にシステムに追加されたネットワークインタフェースの IP アドレスとそれに対応する名前を追加します。
    2. (省略可能) /usr ファイルシステムが NFS マウントされている場合、ファイルサーバーの IP アドレス (1 つまたは複数) を追加します。
  4. システムの完全修飾ドメインを nis/domain SMF サービスのプロパティーとして指定します。

    たとえば、nis/domain SMF サービスの domainname プロパティーの値として deserts.worldwide.com を指定します。

  5. ルーターの名前を /etc/defaultrouter ファイルに入力します。
  6. 該当する場合は、ネットマスクの情報を追加します。

    注 - DHCP サービスを使用中の場合、このステップをスキップします。


    1. ネットワーク番号とネットマスクを /etc/inet/netmasks ファイルに入力します。

      エントリを作成するには、network-number netmask の形式を使用します。たとえば、Class C ネットワーク番号 192.168.83 の場合は、次のように入力します。

      192.168.83.0 255.255.255.0

      CIDR アドレスの場合は、ネットワークの接頭辞をそれと同等の 10 進ドット表記に変換します。ネットワーク接頭辞とその 10 進ドット表記は、表 1-1 を参照してください。たとえば、192.168.3.0/22 という CIDR ネットワーク接頭辞を表現するには、次のような表記を使用します。

      192.168.3.0     255.255.252.0
    2. ローカルファイルが最初に検索されるようにスイッチの SMF プロパティー内のネットマスクの検索順序を変更したあとに、インスタンスを更新します。
      # svccfg -s name-service/switch setprop config/host = astring: "files nis"
      # svccfg -s name-service/switch:default refresh
  7. システムをリブートします。

システムをネットワーククライアントモード用に構成する方法

ネットワーククライアントモードに構成する各ホスト上で、次の手順を実行します。

始める前に

ネットワーククライアントは、各自の構成情報をネットワーク構成サーバーから受け取ります。したがって、あるシステムをネットワーククライアントとして構成するときは、このネットワーク用にネットワーク構成サーバーが少なくとも 1 つは設定されていることを確認してください。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. システムの IP インタフェースに、割り当て済み IP アドレスを構成します。

    手順については、「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。

  3. /etc/inet/hosts ファイルに localhost という名前とループバックネットワークインタフェースの IP アドレスのみが含まれていることを確認します。
    # cat /etc/inet/hosts
    # Internet host table
    #
    127.0.0.1       localhost
  4. nis/domain SMF サービスの domainname プロパティーに割り当て済みの値があれば削除します。
  5. クライアントの name-service/switch サービスの検索パスが、ネットワークに対する同じサービス要件を反映していることを確認します。

ネットワーク構成サーバーの設定方法

インストールサーバーおよびブートサーバーの設定の情報については、『Oracle Solaris 11 システムのインストール』を参照してください。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. 次のようにして in.tftpd デーモンをオンに設定します。
    1. 指定されたネットワーク構成サーバーのルート (/) ディレクトリに移動します。
    2. /tftpboot ディレクトリを作成します。
      # mkdir /tftpboot

      このコマンドにより、システムは、TFTP、bootparams、RARP のサーバーに構成されます。

    3. 手順 2 で作成したディレクトリに対するシンボリックリンクを作成します。
      # ln -s /tftpboot/. /tftpboot/tftpboot
  3. /etc/inetd.conf ファイルに tftp 行を追加します。

    行は次のようになるはずです。

    tftp dgram udp6 wait root /usr/sbin/in.tftpd in.tftpd -s /tftpboot

    これによって、in.tftpd は、/tftpboot にあるファイルだけから読み取られます。

  4. /etc/hosts データベースに、ネットワーク上のすべてのクライアントのホスト名および IP アドレスを追加します。
  5. /etc/ethers データベースに、ネットワーククライアントモードで動作するネットワーク上の各システムのエントリを作成します。

    このデータベース内のエントリは、次の形式を使用します。

    MAC Address     host name      #comment

    詳細は、ethers(4) のマニュアルページを参照してください。

  6. /etc/bootparams データベースに、ネットワーククライアントモードで動作するネットワーク上の各システムのエントリを作成します。

    このデータベースの編集については、bootparams(4) のマニュアルページを参照してください。

  7. /etc/inetd.conf エントリをサービス管理機能 (SMF) のサービスマニフェストに変換し、結果となるサービスを使用可能にします。
    # /usr/sbin/inetconv
  8. in.tftpd が正しく動作しているか確認します。
    # svcs network/tftp/udp6

    次のような出力が表示されます。

    STATE          STIME    FMRI
    online         18:22:21 svc:/network/tftp/udp6:default
in.tftpdデーモンの管理

in.tftpd デーモンはサービス管理機能によって管理されます。in.tftpd に対する管理アクション (有効化、無効化、再起動など) を実行するには、svcadm コマンドを使用します。このサービスを起動したり、再起動したりする責任は inetd に委譲されています。in.tftpd の構成を変更したり、構成情報を表示したりするには、inetadm コマンドを使用します。このサービスのステータスを照会するには、svcs コマンドを使用します。サービス管理機能の概要については、『Oracle Solaris の管理: 一般的なタスク』の第 6 章「サービスの管理 (概要)」を参照してください。

IPv4 ルーターの構成

ルーターは 2 つ以上のネットワーク間のインタフェースを提供します。したがって、ルーターの物理ネットワークインタフェースに、固有の名前と IP アドレスを割り当てる必要があります。これで、各ルーターは、そのプライマリネットワークインタフェースのホスト名と IP アドレスに加えて、増設した各ネットワークインタフェースについて少なくとも 1 つずつ、一意な名前と IP アドレスを持つことになります。

次の手順を使えば、物理インタフェースが 1 つだけのシステム (デフォルトではホスト) をルーターとして構成することもできます。システムを PPP リンクの 1 つのエンドポイントとして使用する場合、単一インタフェースのシステムをルーターとして構成するときがあります (『Oracle Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)』の「ダイアルアップ PPP リンクの計画」を参照)。

IPv4 ルーターの構成方法

次の手順では、システムのインストール後にルーターのインタフェースを構成していることを想定しています。

始める前に

ルーターを物理的にネットワークに取り付けあとに、「システムをローカルファイルモード用に構成する方法」の説明に従って、ルーターがローカルファイルモードで動作するように構成します。これで、ネットワーク構成サーバーがダウンしても、ルーターが確実にブートされるようになります。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. システムに取り付けられている各 NIC に対し、「IP インタフェースを構成する方法」で示すように IP インタフェースを構成します。

    システムがパケットを経路指定するネットワークの IP アドレスを、各 IP インタフェースに構成するようにします。したがって、システムで 192.168.5.0 および 10.0.5.0 のネットワークに対応する場合、ネットワークごとに 1 つの NIC を構成する必要があります。


    注意

    注意 - IPv4 ルーターで DHCP を使用するように構成する場合、DHCP 管理について十分な知識を持っておく必要があります。


  3. 各インタフェースのホスト名および IP アドレスを /etc/inet/hosts ファイルに追加します。

    たとえば、ルーター 1 の 2 つのインタフェースに割り当てた名前を、それぞれ krakatoa および krakatoa-1 とします。/etc/inet/hosts ファイルのエントリは次のようになります。

    192.168.5.1      krakatoa        #interface for network 192.168.5.0
    10.0.5.1         krakatoa-1      #interface for network 10.0.5.0
  4. このルーターがローカルファイルモードで動作するように構成するための残りのステップを実行します。

    「システムをローカルファイルモード用に構成する方法」を参照してください。

  5. サブネットに分割されたネットワークにルーターが接続されている場合、ネットワーク番号とネットマスクを /etc/inet/netmasks ファイルに追加します。

    たとえば、192.168.5.0 などの従来の IPv4 アドレス表記法の場合は、次のように入力します。

    192.168.5.0    255.255.255.0
  6. ルーターで IPv4 パケット転送を使用可能にします。
    # ipadm set-prop -p forwarding=on ipv4
  7. (任意) 経路制御プロトコルを起動する。

    次のいずれかのコマンド構文を使用します。

    • # routeadm -e ipv4-routing -u

    • # svcadm enable route:default

      in.routed デーモンに関連付けられている SMF FMRI は svc:/network/routing/route です。

    経路制御プロトコルを開始するときに、経路制御デーモン /usr/sbin/in.routed は自動的に経路制御テーブルを更新します。このプロセスのことを動的経路制御と呼びます。経路制御の種類の詳細は、「経路制御テーブルと経路制御の種類」を参照してください。routeadm コマンドについては、routeadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

例 3-3 ネットワークのデフォルトルーターを構成する

この例は、図 3-1 に基づきます。ルーター 2 には有線ネットワーク接続が 2 つあり、1 つはネットワーク 172.20.1.0、もう 1 つはネットワーク 10.0.5.0 に接続されています。この例では、ルーター 2 が 172.20.1.0 ネットワークのデフォルトルーターになるように構成する方法を示します。またこの例では、「システムをローカルファイルモード用に構成する方法」に説明されているように、ルーター 2 がローカルファイルモードで動作するように構成されていることを想定しています。

スーパーユーザーになるか、同等の役割になったあと、システムのインタフェースのステータスを調べます。

# dladm show-link
LINK     CLASS     MTU     STATE   BRIDGE   OVER
net0     phys      1500    up      --       --
net1     phys      1500    up      --       --
net2     phys      1500    up      --       --
# ipadm show-addr
ADDROBJ           TYPE     STATE        ADDR
lo0/v4            static   ok           127.0.0.1/8
net0/v4           static   ok           172.20.1.10/24

net0 だけが IP アドレスで構成されています。ルーター 2 をデフォルトルーターにするには、net1 インタフェースを 10.0.5.0 ネットワークに物理的に接続します。

# ipadm create-ip net1
# ipadm create-addr -T static -a 10.0.5.10/24 net1/v4
# ipadm show-addr
ADDROBJ           TYPE     STATE        ADDR
lo0/v4            static   ok           127.0.0.1/8
net0/v4           static   ok           172.20.1.10/24
net1/v4           static   ok           10.0.5.10/24

次に、新たに構成したインタフェースとその接続先ネットワークの情報を使用して、次のネットワークデータベースを更新します。

# vi /etc/inet/hosts
127.0.0.1       localhost
172.20.1.10        router2        #interface for network 172.20.1
10.0.5.10 router2-out #interface for network 10.0.5
# vi /etc/inet/netmasks
172.20.1.0    255.255.255.0 
10.0.5.0 255.255.255.0

最後に、パケット転送と in.routed 経路制御デーモンを有効にします。

# ipadm set-prop -p forwarding=on ipv4
# svcadm enable route:default

これで、IPv4 パケット転送と RIP による動的経路制御がルーター 2 で有効になりました。ただし、ネットワーク 172.20.1.0 のデフォルトルーターの構成はまだ完了していません。次の作業を行う必要があります。

経路制御テーブルと経路制御の種類

ルーターとホストの両方が経路制御テーブルを管理します。経路制御テーブルには、システムのデフォルトのローカルネットワークも含め、システムで知られているネットワークの IP アドレスがリストされています。このテーブルには、既知の各ネットワークに対するゲートウェイシステムの IP アドレスもリストされています。ゲートウェイとは、発信パケットを受け取り、それらをローカルネットワークの 1 ホップ外側に転送するシステムです。

次は、IPv4 のみのネットワーク上のシステムについての単純な経路制御テーブルです。

Routing Table: IPv4
  Destination           Gateway           Flags  Ref   Use   Interface
-------------------- -------------------- ----- ----- ------ ---------
default              172.20.1.10          UG       1    532   net0
224.0.0.0            10.0.5.100           U        1      0   net1
10.0.0.0             10.0.5.100           U        1      0   net1
127.0.0.1            127.0.0.1            UH       1     57   lo0

Oracle Solaris システムでは、静的および動的という 2 種類の経路制御を構成できます。1 つのシステムに、これらの経路制御のどちらか一方を構成することも、両方を構成することもできます。動的経路制御を実装するシステムは、IPv4 ネットワークの場合は RIP、IPv6 ネットワークの場合は RIPng などの経路制御プロトコルを利用して、ネットワークトラフィックを経路制御し、テーブル内の経路制御情報を更新します。静的経路制御の場合、経路制御情報は route コマンドを使用して手動で維持されます。詳細は、route(1M) のマニュアルページを参照してください。

ローカルネットワークまたは自律システムの経路制御を構成するときは、特定のルーターやホストでどの種類の経路制御をサポートするかを検討してください。

次の表に、経路制御の種類と、それぞれの種類の経路制御を適用するのに最も適したネットワークの条件を示します。

経路制御の種類
最適な使用対象
静的
小規模なネットワーク、デフォルトルーターから経路を取得するホスト、および、隣接する数ホップの範囲にある 1 つか 2 つのルーターに関する情報のみを必要とするデフォルトルーター。
動的
より規模の大きいインターネットワーク、多数のホストを含むローカルネットワーク上のルーター、および、大規模な自律システム上のホスト。動的経路制御は、ほとんどのネットワークのシステムに最適です。
静的経路制御と動的経路制御の組み合わせ
静的に経路制御されるネットワークと動的に経路制御されるネットワークを接続するルーター、および、内部の自律システムと外部のネットワークを接続するボーダールーター。1 つのシステムで静的経路制御と動的経路制御の両方を組み合わせることは、一般的に行われています。

図 3-1 に示された AS は、静的経路制御と動的経路制御の両方を組み合わせて使用しています。


注 - 同じ宛先へのルートが 2 つあっても、システムで負荷分散やフェイルオーバーが自動的に行われるわけではありません。これらの機能が必要な場合、『Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化』の第 14 章「IPMP の紹介」で説明するように、IPMP を使用します。


経路制御テーブルに静的ルートを追加する方法

  1. 経路制御テーブルの現在の状態を表示します。

    通常のユーザーアカウントを使用して、次の形式の netstat コマンドを実行します。

    % netstat -rn

    次のような出力が表示されます。

    Routing Table: IPv4
      Destination           Gateway           Flags  Ref   Use   Interface
    -------------------- -------------------- ----- ----- ------ ---------
    192.168.5.125        192.168.5.10          U      1   5879   net0
    224.0.0.0            198.168.5.10          U      1  0       net0
    default              192.168.5.10          UG     1  91908
    127.0.0.1            127.0.0.1             UH     1  811302   lo0
  2. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  3. (省略可能) 経路制御テーブル内の既存のエントリを消去します。
    # route flush
  4. リブート後も保持されるルートを追加します。
    # route -p add -net network-address -gateway gateway-address
    -p

    リブート後も保持される必要のあるルートを作成します。現在のセッションだけに有効なルートを作成する場合は、-p オプションを使用しないでください。

    -net network-address

    network-address で指定されたアドレスを持つネットワークへのルートであることを示します。

    -gateway gateway-address

    指定されたルートのゲートウェイシステムの IP アドレスが gateway-address であることを示します。

例 3-4 経路制御テーブルに静的ルートを追加する

次の例は、図 3-1 のルーター 2 に静的ルートを追加する方法を示しています。静的ルートは AS のボーダールーター 10.0.5.150 で必要です。

ルーター 2 の経路制御テーブルを表示するために、次の手順を実行します。

# netstat -rn
Routing Table: IPv4
  Destination           Gateway           Flags  Ref   Use   Interface
-------------------- -------------------- ----- ----- ------ ---------
default              172.20.1.10          UG        1    249 ce0
224.0.0.0            172.20.1.10          U         1      0 ce0
10.0.5.0             10.0.5.20            U         1     78 bge0
127.0.0.1            127.0.0.1            UH        1     57 lo0

この経路制御テーブルは、ルーター 2 に既知のルートが 2 つあることを示しています。デフォルトのルートは、ルーター 2 の 172.20.1.10 インタフェースをゲートウェイとして使用します。2 番目のルート 10.0.5.0 は、ルーター 2 で実行中の in.routed デーモンによって検出されました。このルートのゲートウェイはルーター 1 で、その IP アドレスは 10.0.5.20 です。

ネットワーク 10.0.5.0 にはボーダールーターとして機能するゲートウェイがあります。このネットワークへのルートをもう 1 つ追加するには、次の手順を実行します。

# route -p add -net 10.0.5.0/24 -gateway 10.0.5.150
add net 10.0.5.0: gateway 10.0.5.150

これで、IP アドレス 10.0.5.150/24 を持つボーダールーターへのルートが、経路制御テーブルに追加されました。

# netstat -rn
Routing Table: IPv4
  Destination           Gateway           Flags  Ref   Use   Interface
-------------------- -------------------- ----- ----- ------ ---------
default              172.20.1.10          UG        1    249 ce0
224.0.0.0            172.20.1.10          U         1      0 ce0
10.0.5.0             10.0.5.20            U         1     78 bge0
10.0.5.0             10.0.5.150           U         1    375 bge0
127.0.0.1            127.0.0.1            UH        1     57 lo0

マルチホームホストの構成

Oracle Solaris では、複数のインタフェースを持つシステムはマルチホームホストと見なされます。マルチホームホストのインタフェースは、異なる物理ネットワーク上または同じ物理ネットワーク上のさまざまなサブネットに接続します。

複数のインタフェースが同じサブネットに接続しているシステムでは、最初にそれらのインタフェースを IPMP グループ内に構成する必要があります。そうしない場合、システムはマルチホームホストになることができません。IPMP の詳細については、『Oracle Solaris 管理: ネットワークインタフェースとネットワーク仮想化』の第 14 章「IPMP の紹介」を参照してください。

マルチホームホストは IP パケットを転送しませんが、経路制御プロトコルを実行するように構成できます。一般に、次のような種類のシステムをマルチホームホストとして構成します。

マルチホームホストの作成方法

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. Oracle Solaris インストールの一部として構成されなかった追加の各ネットワークインタフェースを構成します。

    「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。

  3. パケット転送が有効な場合、このサービスを無効にします。
    # ipadm show-prop -p forwarding ipv4
    PROTO PROPERTY     PERM CURRENT      PERSISTENT   DEFAULT      POSSIBLE
    ipv4  forwarding   rw   on           --           off          on,off
    
    ipadm set-prop -p forwarding=off ipv4
  4. (省略可能) マルチホームホストの動的経路制御をオンに設定します。

    次のいずれかのコマンド構文を使用します。

    • # routeadm -e ipv4-routing -u

    • # svcadm enable route:default

      in.routed デーモンに関連付けられている SMF FMRI は svc:/network/routing/route です。

例 3-5 マルチホームホストの構成

次の例は、図 3-1 に示すマルチホームホストを構成する方法を示しています。この例で、システムのホスト名は hostc です。このホストには 2 つのインタフェースがあり、両方ともネットワーク 192.168.5.0 に接続されています。

まず、システムのインタフェースのステータスを表示します。

# dladm show-link
LINK     CLASS     MTU     STATE   BRIDGE   OVER
net0     phys      1500    up      --       --
net1     phys      1500    up      --       --

# ipadm show-addr
ADDROBJ        TYPE     STATE        ADDR
lo0/v4         static   ok           127.0.0.1/8
net0/v4        static   ok           192.168.5.82/24
 

dladm show-link コマンドの報告は、hostc に 2 つのデータリンクがあることを示しています。ただし、net0 だけに IP アドレスが構成されています。hostc をマルチホームホストとして構成するには、net1 に、同じ 192.168.5.0 ネットワーク内の IP アドレスを構成します。net1 のベースとなる物理 NIC がネットワークに物理的に接続されていることを確認してください。

# ipadm create-ip net1
# ipadm create-addr -T static -a 192.168.5.85/24 bge0/v4
# ipadm show-addr
ADDROBJ        TYPE     STATE        ADDR
lo0/v4         static   ok           127.0.0.1/8
net0/v4        static   ok           192.168.5.82/24
net1/v4        static   ok           192.168.5.85/24

次に、net1 インタフェースを /etc/hosts データベースに追加します。

# vi /etc/inet/hosts
127.0.0.1           localhost
192.168.5.82        hostc    #primary network interface for host3
192.168.5.85 hostc-2 #second interface

次に、パケット転送が hostc 上で実行中の場合、このサービスをオフにします。

# ipadm show-prop -p forwarding ipv4
PROTO PROPERTY     PERM CURRENT   PERSISTENT   DEFAULT      POSSIBLE
ipv4  forwarding   rw   on        --           off          on,off

# ipadm set-prop -p forwarding=off ipv4

# routeadm
              Configuration   Current              Current
                     Option   Configuration        System State
---------------------------------------------------------------
               IPv4 routing   enabled              enabled
               IPv6 routing   disabled             disabled

           Routing services   "route:default ripng:default"

routeadm コマンドの報告は、in.routed デーモンによる動的経路制御が現在有効になっていることを示しています。

単一インタフェースシステムの経路制御の構成

単一インタフェースシステムは、静的経路制御または動的経路制御のいずれかで構成できます。静的経路制御では、ホストはデフォルトルーターのサービスを利用して経路制御情報を取得する必要があります。次の手順では、両方の種類の経路制御を有効にする方法を示します。

単一インタフェースホストで静的経路制御を有効にする方法

次の手順を使用して、マルチホームホストで静的経路制御を構成することもできます。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. システムが属するネットワークの IP アドレスを使用して、システムの IP インタフェースを構成します。

    手順については、「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。

  3. テキストエディタを使用して、/etc/defaultrouter ファイルを作成または変更し、システムが使用するルーターの IP アドレスを追加します。
  4. デフォルトルーターのエントリをローカルの /etc/inet/hosts ファイルに追加します。
  5. 経路制御がオフになっていることを確認します。
    # routeadm
       Configuration   Current              Current
                         Option   Configuration        System State
    ---------------------------------------------------------------
                   IPv4 routing   enabled             disabled
                   IPv6 routing   disabled             disabled
    
               Routing services   "route:default ripng:default"
    
    # svcadm disable route:default
  6. パケット転送がオフになっていることを確認します。
    # # ipadm show-prop -p forwarding ipv4
    PROTO PROPERTY     PERM CURRENT   PERSISTENT   DEFAULT      POSSIBLE
    ipv4  forwarding   rw   on        --           off          on,off
    
    # ipadm set-prop -p forwarding=off ipv4

例 3-6 単一インタフェースシステムの静的経路制御を構成する

次の例は、図 3-1 に示す 172.20.1.0 ネットワーク上にある単一インタフェースシステム hostb に静的経路制御を構成する方法を示しています。hostb はそのデフォルトルーターとしてルーター 2 を使用する必要があります。この例は、システムの IP インタフェースがすでに構成されていることを想定しています。

まず、管理者権限で hostb にログインします。次に、システムに /etc/defaultrouter ファイルが存在するかどうかを調べます。

# cd /etc
# ls | grep defaultrouter

# vi /etc/defaultrouter
172.20.1.10

IP アドレス 172.20.1.10 はルーター 2 に属しています。

# vi /etc/inet/hosts
127.0.0.1           localhost
172.20.1.18         host2    #primary network interface for host2
172.20.1.10 router2 #default router for host2

# ipadm show-prop -p forwarding ipv4
PROTO PROPERTY     PERM CURRENT   PERSISTENT   DEFAULT      POSSIBLE
ipv4  forwarding   rw   on         --           off          on,off

# ipadm set-prop -p forwarding=off ipv4

# routeadm
   Configuration   Current              Current
                     Option   Configuration        System State
---------------------------------------------------------------
               IPv4 routing   enabled             disabled
               IPv6 routing   disabled             disabled

           Routing services   "route:default ripng:default"

# svcadm disable route:default

単一インタフェースシステムで動的経路制御を有効にする方法

経路制御プロトコルを使用した動的経路制御は、システム上で経路制御を管理するもっとも簡単な方法です。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. システムが属するネットワークの IP アドレスを使用して、システムの IP インタフェースを構成します。

    手順については、「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。

  3. /etc/defaultrouter ファイル内にエントリがあれば削除します。

    /etc/defaultrouter ファイルが空の場合、システムは強制的に動的経路制御を使用します。

  4. パケット転送が無効になっていることを確認します。
    # ipadm set-prop -p forwarding=off ipv4
  5. システムの経路制御プロトコルを有効にします。

    次のコマンドのいずれかを使用します。

    • # routeadm -e ipv4-routing -u

    • # svcadm enable route:default

例 3-7 単一インタフェースシステムで動的経路制御を実行する

次の例は、図 3-1 に示すネットワーク 192.168.5.0 上にある単一インタフェースシステム hosta に動的経路制御を構成する方法を示しています。システムはルーター 1 をデフォルトルーターとして使用します。この例は、システムの IP インタフェースがすでに構成されていることを想定しています。

まず、管理者権限で hosta にログインします。次に、システムに /etc/defaultrouter ファイルが存在するかどうかを調べます。

# cd /etc
# ls | grep defaultrouter
defaultrouter

# cat defaultrouter
192.168.5.10

ファイルには、ルーター 1 の IP アドレスである 192.168.5.10 のエントリが正しく含まれています。

# routeadm   Configuration   Current              Current
                     Option   Configuration        System State
---------------------------------------------------------------
               IPv4 routing   disabled             disabled
               IPv6 routing   disabled             disabled

           Routing services   "route:default ripng:default"

# svcadm enable route:default

# ipadm show-prop -p forwarding ipv4
PROTO PROPERTY     PERM CURRENT   PERSISTENT   DEFAULT      POSSIBLE
ipv4  forwarding   rw   on         --           off          on,off

# ipadm set-prop -p forwarding=off ipv4

ネットワークへのサブネットの追加

サブネットを使用しないネットワークからサブネットを使用するネットワークに変更する場合、次の一覧に含まれるタスクを実行します。この一覧では、サブネットスキーマをすでに準備していることを想定しています。概要については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「サブネット化とは」を参照してください。

次の手順はサブネットと密接に関係しています。当初はサブネットを用いずにネットワークを構成し、ずっとあとでサブネットを実装する場合、次の手順を実行して変更を実装します。

IPv4 アドレスおよびその他のネットワーク構成パラメータを変更する方法

この手順では、すでにインストールされているシステムの IPv4 アドレス、ホスト名、およびその他のネットワークパラメータを変更する方法について説明します。サーバーまたはネットワーク接続されたスタンドアロンシステムの IP アドレスを変更する場合は、この手順を使用します。この手順は、ネットワーククライアントやネットワーク機器には適用されません。この手順で作成する構成は、リブート後も保持されます。


注 - ここで説明する手順は、プライマリネットワークインタフェースの IPv4 アドレスを変更する場合にのみ適用されます。別のインタフェースをシステムに追加するには、「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。


次の手順では、IPv4 アドレスとサブネットマスクを指定するときに、ほとんどの場合は IPv4 で一般的な 10 進ドット表記を使用しています。この手順で使用されるすべてのファイルでは、CIDR 表記を使用して IPv4 アドレスを指定することもできます。CIDR 表記の概要については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「CIDR 書式の IPv4 アドレス」を参照してください。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. IP アドレスipadm コマンドを使って変更します。

    ipadm コマンドでは、IP アドレスを直接変更することはできません。最初に、修正対象の IP アドレスを表すアドレスオブジェクトを削除します。次に、同じアドレスのオブジェクト名を使って、新しいアドレスを割り当てます。

    # ipadm delete-addr addrobj
    # ipadm create-addr -T static IP-address addrobj
  3. 該当する場合、/etc/inet/hosts ファイルまたは同等の hosts データベース内のホスト名を変更します。
  4. 該当する場合、system/identity: node SMF サービス内のホスト名エントリを次のようにして変更します。
    # svccfg -s svc:/system/identity:node setprop config/nodename = astring: hostname
  5. サブネットマスクが変更されている場合は、/etc/netmasks ファイルにあるサブネットエントリを変更します。
  6. サブネットアドレスが変更されている場合は、/etc/defaultrouter ファイルに指定されているデフォルトルーターの IP アドレスを新しいサブネットのデフォルトルーターの IP アドレスに変更します。
  7. システムをリブートします。
    # reboot -- -r

例 3-8 IP アドレスおよびホスト名を変更する

この例では、ホストの名前、プライマリネットワークインタフェースの IP アドレス、およびサブネットマスクを変更する方法を示しています。プライマリネットワークインタフェース bge0 の IP アドレスが 10.0.0.14 から 192.168.34.100 に変わります。

# ipadm show-addr
ADDROBJ      TYPE     STATE   ADDR
lo0/v4       static   ok      127.0.0.1/8
bge0/v4      static   ok      10.0.0.14/24

# ipadm delete-addr bge0/v4
# ipadm create-addr -T static -a 192.168.34.100/24 bge0/v4
# svccfg -s svc:/system/identity:node setprop config/nodename = astring: mynewhostname

# ipadm show-addr
ADDROBJ         TYPE     STATE   ADDR
lo0/v4          static   ok      127.0.0.1/8
bge0/v4new      static   ok      192.168.34.100/24

# hostname
mynewhostname

参照

プライマリネットワークインタフェース以外のインタフェースの IP アドレスを変更するには、『Oracle Solaris の管理: 一般的なタスク』および「IP インタフェースを構成する方法」を参照してください。