1 Oracle ZFS Storage Appliance の概要
自動生成された IQN による iSCSI ターゲットの追加
このアプライアンスは、各ヘッド上の LUN を提供するためにリソースのグローバルなセットを利用するように設計されています。アプライアンス内の FC ポートは多数の並行要求を処理できるため、一般には、クライアント上の待ち行列の深さを制限することは必要ありません。そうであったとしても、これらの待ち行列がオーバーランして、SCSI トランスポートエラーが発生する可能性がわずかに存在します。このような待ち行列のオーバーランは多くの場合、次の状態の 1 つ以上に関連しています。
フロントエンド上の多重定義されたポート。1 つの FC ポートに関連付けられたホストが多すぎるか、または 1 つの FC ポートを経由してアクセスされる LUN が多すぎる場合
縮退したアプライアンス動作モード。アクティブ/アクティブのクラスタ構成になるように設計されている環境でのクラスタテイクオーバーなど
待ち行列のオーバーランの可能性はわずかですが、待ち行列の深さをクライアント単位に積極的に制限すれば、この可能性を完全に解消できます。待ち行列の適切な深さの制限を決定するには、ターゲットポートの数を求め、それにポートあたりの並行コマンドの最大数 (2048) を掛け、さらにその積をプロビジョニングされる LUN の数で割るべきです。縮退した動作モードに対応するには、クラスタピアにまたがる LUN の数を合計して LUN の数を決定するべきですが、ターゲットポートの数には 2 つのクラスタピアのうちの少ない方を取ります。たとえば、アクティブ/アクティブ構成の 7420 デュアルヘッドクラスタで、1 つのヘッドが 2 つの FC ポートと 100 個の LUN を備え、もう一方のヘッドが 4 つの FC ポートと 28 個の LUN を備えている場合は、最悪の事態を考慮した待ち行列の最大の深さを 2 つのポートに 2048 コマンドを掛けて 100 + 28 の LUN で割った値、つまり LUN あたり 32 コマンドにするべきです。
待ち行列の最大の深さのチューニングはイニシエータに固有の作業ですが、Solaris では、大域変数 ssd_max_throttle を調整することによってこれが実現されます。
光学部品の破損や変形、不安定なケーブル配線などのリンクレベルの問題をトラブルシューティングするには、FC ポートごとのエラー統計情報を調べます。いずれかの数値が 0 から大幅に外れているか、または増加している場合は、リンクレベルの問題が発生していて、リンクレベルの診断の実行が必要なことを示している可能性があります。