Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ファイルは、Oracle ASMディスク・グループに格納できます。OCRファイルのバックアップをディスク・グループに格納することもできます。投票ファイルおよびOCRは、Oracle Clusterwareの2つの重要なコンポーネントです。投票ファイルはノード・メンバーシップに関する情報を管理します。OCRは、クラスタおよびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベース構成情報を管理します。
クォーラム障害グループは特殊なタイプの障害グループで、ユーザー・データが含まれていません。 クォーラム障害グループは、Oracle ASMメタデータの格納に使用されます。クォーラム障害グループが含まれるディスク・グループに投票ファイルが格納されている場合、クォーラム障害グループにはこれらのファイルを含めることもできます。また、Oracle ASMでは、1つ以上の障害グループが失われたときにディスク・グループをマウントすることが可能かどうか決定するためにクォーラム障害グループが使用されます。
クォーラム障害グループ内のディスクにはユーザー・データが含まれないため、ユーザー・データを格納するための冗長性要件を決定するときには、このグループは考慮されません。障害グループの詳細は、「Oracle ASMの障害グループ」を参照してください。
OCRおよび投票ファイルは、CRSCTLおよびocrconfig
コマンドライン・ツール、CREATE
およびALTER
DISKGROUP
SQL文およびV$ASM
ビューで管理および監視できます。
CRSCTLおよびocrconfig
コマンドを使用すると、OCRストレージおよびクラスタ同期化サービス(CSS)の投票ファイルをOracle ASMで管理されるディスク・グループ内に格納できます。
ディスク・グループを作成または変更する際、CREATE
およびALTER
DISKGROUP
SQL文のQUORUM
およびREGULAR
キーワードを使用して、障害グループまたはディスクの追加の修飾子を指定できます。QUORUM
ディスク(QUORUM
障害グループ内のディスク)にはユーザー・データを含めることはできないのに対して、REGULAR
ディスク(非クォーラム障害グループ内のディスク)にはこの制限はありません。
これらのキーワードは、障害グループが明示的に指定されている場合、キーワードFAILGROUP
の前で使用できます。障害グループが暗黙的に示されている場合、これらのキーワード(QUORUM
/REGULAR
)は、キーワードDISK
の前で使用できます。障害グループが明示的に指定されている場合、これらのキーワード(QUORUM
/REGULAR
)をキーワードDISK
の直前に指定するのは誤りです。REGULAR
はデフォルトの障害グループ・タイプです。
既存のディスクまたは障害グループで操作を実行する場合、SQLで指定する修飾子は、ディスクまたは障害グループがディスク・グループに追加されたときに指定した修飾子と一致させる必要があります。
例4-4に、QUORUM
障害グループを持つディスク・グループの作成を示します。Oracle Clusterwareファイルの場合、3つのディスク・デバイスまたは3つの障害グループが標準冗長性のディスク・グループの最小要件です。QUORUM
障害グループは、ユーザー・データの格納に関する冗長性要件の決定時に考慮されません。OCRまたは投票ファイルをディスク・グループに格納するには、COMPATIBLE.ASM
ディスク・グループ互換性属性を11.2
以上に設定する必要があります。
V$ASM_DISK
またはV$ASM_DISK_STAT
ビューのFAILGROUP_TYPE
列では、障害グループのタイプを指定します。この列の値は、標準の障害グループの場合はREGULAR
、クォーラム障害グループの場合はQUORUM
です。
V$ASM_DISK
またはV$ASM_DISK_STAT
ビューのVOTING_FILE
列では、ディスクに投票ファイルが含まれているかどうかを指定します。この列の値は、ディスクに投票ファイルが含まれている場合はY
、含まれていない場合はN
です。
V$ASM_DISKGROUP
またはV$ASM_DISKGROUP_STAT
でのUSABLE_FILE_MB
の値では、QUORUM
ディスクにある空き領域は考慮されません。クライアント・データファイルには空き領域を使用できないためです。
V$ASM
ビューの詳細は、「Oracle ASMディスク・グループ情報を表示するビュー」を参照してください。
関連項目:
投票ファイルおよびOracle Cluster Registry(OCR)の構成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。
Oracle Cluster Registryと投票ファイルの管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。
CREATE DISKGROUP
およびALTER DISKGROUP
SQL文の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
V$ASM
*動的パフォーマンス・ビューの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
例4-4 障害グループの作成時にQUORUMを使用
CREATE DISKGROUP ocr_data NORMAL REDUNDANCY FAILGROUP fg1 DISK '/devices/diskg1' FAILGROUP fg2 DISK '/devices/diskg2' QUORUM FAILGROUP fg3 DISK '/devices/diskg3' ATTRIBUTE 'compatible.asm' = '12.1.0.0.0';