ディストリビューションコンストラクタ (DC) は、事前構成済みの Oracle Solaris イメージを構築するためのコマンド行ツールです。このツールは XML マニフェストファイルを入力として受け取り、マニフェストファイルに指定されているパラメータに基づいて、イメージを構築します。
ディストリビューションコンストラクタは、International Organization for Standardization (ISO) によって定義された形式の光学式ディスクのアーカイブファイルで、ディスクイメージとも呼ばれる、ISO イメージを構築できます。また、生成された ISO イメージに基づいて、USB イメージを作成することもできます。
ディストリビューションコンストラクタは、Oracle Solaris オペレーティングシステムによって提供されるドライバがサポートされるさまざまな種類のフラッシュメモリーデバイスで動作する USB イメージを作成します。usbcopy コマンドを使用して、USB イメージを USB フラッシュドライブにコピーする必要があります。usbcopy コマンドは distribution-constructor パッケージで使用できます。
次の点を確認してください。
イメージの構成に応じて、ISO イメージや USB イメージをブート可能にすることもできます。
ISO イメージと USB イメージをシステムにインストールしたり、ライブメディア環境で実行したりできます。
ISO イメージは、CD または DVD に書き込むことができます。
USB イメージは、フラッシュ ドライブにコピーできます。
ディストリビューションコンストラクタを使用して、次の種類の Oracle Solaris イメージを作成できます。
Oracle Solaris x86 ライブメディア – それぞれの Oracle Solaris リリースで配布されるライブメディアイメージと同等の x86 ISO イメージを作成できます。たとえば、パッケージを追加または削除することで、この ISO イメージの内容をカスタマイズすることもできます。さらに、作成されたブート環境のデフォルト設定を変更して、カスタムの ISO イメージまたは USB イメージを作成することもできます。
ライブメディアインストールの詳細は、Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の 第 3 章, Live Media の使用を参照してください。イメージ内容のカスタマイズについては、マニフェストの内容の変更を参照してください。
Oracle Solaris x86 または SPARC テキストインストールイメージ – Oracle Solaris オペレーティングシステムのテキストインストールの実行に使用できる SPARC または x86 ISO イメージを作成できます。グラフィックスカードを搭載していないシステムでは、テキストインストーラを使用できます。
テキストインストールの詳細は、Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の 第 4 章, テキストインストーラの使用を参照してください。
自動インストール用の x86 または SPARC ISO イメージ – Oracle Solaris オペレーティングシステムには、ネットワークを介して 1 つ以上のシステムで Oracle Solaris OS のインストールを自動化する、自動インストーラ (AI) ツールが含まれています。アーキテクチャー、インストールするパッケージ、ディスク容量、およびその他のパラメータは、インストールごとに異なる場合があります。ディストリビューションコンストラクタを使用して、Oracle Solaris OS を SPARC クライアントにインストールするための SPARC AI ISO イメージ、または Oracle Solaris OS を x86 クライアントにインストールするための x86 AI ISO イメージを作成できます。
Automated Installer については、Oracle Solaris 11.3 システムのインストールを参照してください。
ディストリビューションコンストラクタは、マニフェストファイルと呼ばれる XML ファイルに指定された設定に基づいてイメージを作成します。DC マニフェストファイルには、ディストリビューションコンストラクタを使用して作成する ISO イメージの内容およびパラメータの仕様が記述されています。ディストリビューションコンストラクタのパッケージには、カスタム x86 ライブメディア ISO、x86 または SPARC 自動インストール ISO イメージ、x86 または SPARC テキストインストール ISO イメージを作成する際に使用できるサンプルマニフェストが含まれます。サンプル DC マニフェストファイルを参照してください。
各 DC マニフェストファイルのすべてのフィールドには、必要とする種類のイメージを作成するためのデフォルト値が事前設定されています。マニフェストファイル内のフィールドを編集することで、結果として生成されるイメージをさらにカスタマイズできます。次に例を示します。
DC マニフェストのターゲット要素を編集して、イメージを構築できる構築領域に別の場所を指定できます。
指定されたパブリッシャーを確認し、使用中のシステムが、そのパブリッシャーに連絡してイメージの構築に必要なパッケージをダウンロードできるようにすることが可能です。
ソフトウェア名要素を編集して、別のパブリッシャーおよびリポジトリの場所を指定できます。
手順については、マニフェストの内容の変更を参照してください。
カスタムスクリプトを作成して、インストールイメージを変更することもできます。その後、DC マニフェストファイルにチェックポイントを追加して、これらのカスタムスクリプトを実行できます。詳細については、インストールイメージを作成する際のカスタムスクリプトの作成および使用を参照してください。
ディストリビューションコンストラクタのパッケージには、DC マニフェストの仕様を解釈して、イメージを構築するための distro_const コマンドも含まれています。マニフェストファイルでイメージの青写真を編集する作業が完了したあとに、distro_const コマンドを実行してイメージを作成します。詳細は、イメージの構築を参照してください。
distro_const コマンドに用意されているオプションを使用して、構築中のイメージのチェックおよびデバッグを行うために、イメージ生成プロセスのさまざまな段階で構築プロセスを停止および再開できます。構築プロセス中に停止および再開するこのプロセスをチェックポイント処理と呼びます。チェックポイント処理はオプションです。デフォルトのチェックポイントは、各 DC マニフェストファイルに指定されます。
distro_const コマンドを実行したあと、単純なログファイルまたは詳細なログファイルを確認して構築情報を調べることができます。
詳細は、段階的にイメージを構築する方法を参照するか、distro_const(1M) のマニュアルページを参照してください。