Oracle Site Studioは、強力で柔軟なWeb開発アプリケーション・スイートです。このスイートでは、エンタープライズ規模のWebサイトを包括的な方法で設計、構築および管理できます。従来のHTMLエディタおよびスクリプト・エディタとは異なり、Site StudioではWebサイト作成とコンテンツ管理を一元的に行うことができます。
Oracle Site StudioにはWebサイトの開発および管理プロセスに対して、異なるサイト・ロール(設計者、コントリビュータ、マネージャ、管理者)に合せたアプリケーション、管理しやすいサイト階層、再利用可能なサイト・アセットとコンテンツ、フラグメント、編集可能なサイト・リージョンなどの、いくつかの概念が導入されています。これらの概念を組み合せて使用することによって、企業規模のWebサイトを作成し、かつ、このような規模のWebサイトで一般的に発生する公開時のボトルネックを回避できます。
次の各項で、Oracle Site Studioについてさらに詳しく説明します。
Oracle Site Studioは数多くの部分にわかれており、コンテンツ・サーバー上で動作する部分もあれば、クライアント・コンピュータ上で動作する部分もあります。各部分は、組織がタイムリかつシームレスにWebサイトを作成、管理および配布できるように使用されます。組織は、サイトを担当する個別のユーザーに対するロールを作成および変更できます。
このことに対処するため、Oracle Site Studioは次の各部分で構成されています。
Oracle Site Studio製品 | 説明 |
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コンテンツ・サーバー・コンポーネント | このコンポーネントは、他のどのコンポーネントよりも先にコンテンツ・サーバーにインストールする必要があります。Webサイトが機能するには、このコンポーネントが必要です。多数のサーバー側機能を備えられています。このコンポーネントは、(Designerなどの)クライアントおよびサイトの他の部分と通信します。
また、サイト管理者がWebサイトの管理タスクを実行するために使用するOracle Site Studio管理インタフェースも備えられています。「Oracle Site Studio管理」を参照してください。 |
Oracle Site Studio Designer | ページ・テンプレートの定義や編集可能なページ・リージョンの設定などサイト設計者がWebサイトを作成および設計できる開発環境を提供するクライアント側アプリケーション。詳細は、『Oracle Site Studio Designerの使用』を参照してください。 |
Oracle Site Studio Manager | セクションの追加と削除、セクションに割り当てるページ・テンプレートの変更、サイト・プロパティの変更などサイト・マネージャがサイト階層に変更を加えることができる環境を提供するWebベースのアプリケーション。詳細は、「Oracle Site Studio Managerの使用」を参照してください。 |
Oracle Site Studio Contributor | サイト・コントリビュータが既存のWebサイトでWebページを追加および編集できるコンテキスト内編集環境を提供するクライアント側アプリケーション。詳細は、「Oracle Site Studio Contributorの使用」を参照してください。 |
これらのアプリケーションはそれぞれ独立したアプリケーションですが、相互に緊密に統合されています。Designerで実行したタスクはManagerおよびContributorに影響を与え、Managerで実行したタスクはContributorに影響を与えます。Managerのユーザーは、Contributorを使用することもあります。
Oracle Site Studioには、3タイプのユーザーがWebサイトを作成およびメンテナンスできる環境が備えられています。
設計者: Web管理者またはWeb開発者であり、サイトの作成、ページ・テンプレートの設計、フラグメントの追加と編集、編集または管理が可能なサイト領域の設定などを行います。
マネージャ: 部門の責任者であり、サイトの構造、セクションの変更、領域の作成、ページ・テンプレートの再割当てを行います。
コントリビュータ: マーケティング・チームまたは販売チームのメンバーであり、サイトに表示されるコンテンツの追加と編集を行います。
一般的に、1人の設計者は複数のマネージャとともに作業し、各マネージャは1人以上のコントリビュータとともに作業します。また、設計者の方針によっては、設計者が最初にマネージャにサイトを渡し、そのマネージャがサイト階層を構築してコンテンツの格納場所を決定する場合もあります。この場合、サイト・ページのコンテンツの更新(または作成)の開始は、マネージャがコントリビュータに通知します。
注意: 組織の規模と構造に応じて、1人が複数のロールを持つことができます。 |
これら3つのOracle Site Studioロール以外に、サイトへのWebアドレスの割当て、サイトのバックアップ、サイトのレプリケートなどを担当するサイト管理者を区別することもできます。これらすべての管理タスクはコンテンツ・サーバーで実行されます。
Oracle Site Studioは、設計者、マネージャ、コントリビュータの3ユーザー・モデルに基づいて設計されています。設計者はサイトを作成し、マネージャはサイトを管理し、コントリビュータはサイトにコンテンツを追加および編集します。このモデルは、組織がサイトを迅速かつ効率的に稼働させ、運営するのに役立ちます。また、このモデルにより、組織内のユーザーは、大規模なWebサイトに伴うボトルネックなしにコンテンツを迅速に更新できます。
実行されるタスクのサマリーおよび各タスクの実行に使用されるアプリケーションを次に示します。
注意: 組織では、ニーズに応じて、このモデルに従うことも、独自の公開モデルを作成することもできます。 |
サイトの設計者は、このプロセスの最初の作業として、サイトをホストするサーバーへのサイト接続、サイト名およびサイト・アドレスを作成します。次に、サイト・アセット(プレースホルダ、ページ・テンプレート、要素定義など)を定義し、これらのアセットに基づき、サイト階層の作成(この作業をマネージャに委ねる場合を除く)などのサイト構築作業を実行します。これらの作業はすべてOracle Site Studio Designerで行います。
完了後、設計者はサイト・マネージャおよびサイト・コントリビュータに対して、サイトの作成が完了し、管理と編集が必要になったことを通知します。設計者は管理や編集のため、サイトのコントリビュータ専用セクションに説明を配置したり、ワークフローを使用する、より正規のプロセスを導入したり、組織の標準的な手続きに従って他の方法を採用できます。
注意: Oracle Site Studio Designerアプリケーションの詳細は、『Oracle Site Studio Designerの使用』を参照してください。 |
マネージャがサイトにアクセスする段階では、ほとんどのサイト設計(具体的にはサイト・ページのルック・アンド・フィール)が完了している必要があります。マネージャは、定義されたサイト階層をレビューおよび変更(設計者が階層を設定することを選択した場合)したり、セクションを追加および変更したり、テンプレートをサイト・ページに割り当てたり、一部のサイト・プロパティを設定できます。これらのタスクはすべてOracle Site Studio Managerで実行します。
Site Studio管理は、サイト設計者の設定に応じて、サイトのすべてのページで使用できる場合と、サイトの専用セクションでのみ使用できる場合とがあります。コンテンツ・サーバー・ユーザー・インタフェースのOracle Site Studio管理ページから開くこともできます。
完了後、マネージャは1人以上のコントリビュータに対して、サイトのコンテンツの追加および編集を開始するよう通知します。マネージャは、これらの指示をサイトのコントリビュータ専用セクションで通知できますが、ワークフローを使用する、より正規のプロセスを導入したり、組織の標準的な手続きに従って他の方法を採用できます。
コントリビュータが作業を開始する時点では、サイト階層全体でコンテンツに対する準備が整っていることが必要です。コントリビュータは、サイトの各ページに表示されるコンテンツの追加および編集を実行します。具体的には、テキスト、グラフィック、リスト、ページへのリンクなどを操作します。このような作業は、すべてOracle Site Studio Contributorで行います。
サイト設計者およびサイト・マネージャによるサイトの設定に応じて、コントリビュータの作業環境はページごと、またはWebサイトごとに異なります。コントリビュータはContributorアプリケーションのみで作業するか(コントリビュータ・データファイルを編集する場合)、またはサードパーティ・アプリケーションで作業します(ネイティブ・ドキュメントを扱う場合)。また、Oracle Site Studio Contributorでいくつかのオプションが有効または無効になっている場合があります。
完了後、コントリビュータは他のコントリビュータやレビューアにページの追加または編集が完了したことを通知します。このような連絡には、コントリビュータ専用セクションを使用したり、ワークフローを使用する正規のレビュー・プロセスに従ったり、組織の標準的な手続きに従って他の方法を使用します。
注意: Oracle Site Studio Contributorアプリケーションの詳細は、「Oracle Site Studio Contributorの使用」を参照してください。 |
Designerアプリケーション、ManagerアプリケーションおよびContributorアプリケーションを使用してサイトを作成および管理するのみでなく、Oracle Content Serverインタフェース内からいくつかの管理タスクを実行できます。たとえば、サイトの開始と停止、デフォルトのメタデータのプロジェクト・ファイルへの割当て、フラグメント・ライブラリの管理、サイトのレプリケート、サイトのバックアップとリストアなどです。
これらのタスクは、Oracle Content ServerインタフェースのOracle Site Studio管理ページから実行します。このページを開くには、次の手順を実行します:
コンテンツ・サーバーに管理者としてログインします。
「管理」セクションで、Oracle Site Studio管理を選択します。
Oracle Site Studio管理ページが表示されます。「トップ・メニュー」レイアウトでOracle Content Serverを実行した場合、このページは表示されません。かわりに、すべての管理オプションがOracle Site Studio管理メニューのアイテムとして表示されます。
Oracle Site Studio管理ページでは、次のオプションが使用可能です。
要素 | 説明 |
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Webサイトの管理 | Webサイトの管理ページを開きます(「Webサイトの管理ページ」を参照)。このページでは、各サイトの表示、ナビゲーションの更新、サイト・レポートの表示、サイトの停止と開始、およびサイトの再ロードを行うことができます。
詳細は、第2章「Webサイトの管理」を参照してください。 |
Webサイト・アドレスの管理 | Webサイト・アドレスの管理ページを開きます(「Webサイト・アドレスの管理ページ」を参照)。このページでは、Webサイトを指すドメイン・アドレスを追加できます。
詳細は、第3章「Webサイト・アドレスの管理」を参照してください。 |
フラグメント・ライブラリの管理 | フラグメント・ライブラリの管理ページを開きます(「フラグメント・ライブラリの管理ページ」を参照)。このページでは、必要に応じて、フラグメント・ライブラリをデプロイしたり、JSPサポートを構成できます。
詳細は、第4章「フラグメント・ライブラリの管理」を参照してください。 |
デフォルトのプロジェクト・ドキュメント情報の設定 | プロジェクトのデフォルト・ドキュメント情報の設定ページを開きます(「プロジェクトのデフォルト・ドキュメント情報の設定ページ」を参照)。このページでは、(Designerで作成された)新規のプロジェクト・ファイルに割り当てるデフォルト・メタデータを指定できます。
詳細は、第5章「デフォルトのプロジェクト・ドキュメント情報の設定」を参照してください。 |
サイト・レプリケーションの管理 | サイト・レプリケーションの管理ページを開きます(「サイト・レプリケーションの管理ページ」を参照)。このページでは、異なるコンテンツ・サーバー間でサイトをレプリケートできます。
詳細は、第6章「サイト・レプリケーションの管理」を参照してください。 |
バックアップとリストア | バックアップとリストア・ページを開きます(「バックアップとリストア・ページ」を参照)。このページでは、Webサイトのバックアップの作成、およびWebサイトのバックアップからのリストアを行うことができます。
詳細は、第7章「Webサイトのバックアップとリストア」を参照してください。 |
一般コンポーネント情報 | 一般コンポーネント情報ページを開きます(「一般コンポーネント情報ページ」を参照)。このページでは、サイトの有用な情報(バージョン、Site Studio固有のメタデータ、ディレクトリ・パスなど)を表示できます。
詳細は、第8章「一般コンポーネント情報」を参照してください。 |
Oracle Site Studio管理ページは、コンテンツ・サーバーの「管理」セクションまたはDesigner (Oracle Site Studio管理オプション)のプレビュー・アイコン・メニュー(図1-6)を使用して開くことができます。