Oracle の StorageTek T10000 テープドライブファミリは、大容量のデータストレージ用に設計された一連の小型でモジュール式の高性能ユニットを提供します。テープドライブは、ラックに搭載するか、または各種の StorageTek ライブラリで使用します (図1-1)。T10000 ドライブファミリには T10000A、T10000B、T10000C、および T10000D の 4 つのモデルがあります。
図の凡例:
次のライブラリは T10000 テープドライブファミリの特定のモデルをサポートしています。
SL3000
SL8500
L180/L700e/L1400M (T10000A および T10000B のみ)
9310 (T10000A のみ)
このドライブは、独自の単一リールカートリッジを使用します。ファイルリールはカートリッジの内側に、マシンリールはテープドライブの内側にあります。このドライブは「PRML (Partial Response Maximum Likelihood)」と呼ばれるテクノロジを使用して、高密度なデータフォーマットを提供します。PRML を使用して記録および格納できる最大容量 (非圧縮):
StorageTek T10000 カートリッジ:
T10000A テープドライブでは 500G バイト (GB)
T10000B テープドライブでは 1T バイト (TB)
StorageTek T10000 T2 カートリッジ:
T10000C テープドライブでは 5.5T バイト (TB)
T10000D テープドライブでは 8.5T バイト (TB)
T10000A ドライブでは、T10000A ドライブで書き込まれたテープカートリッジの読み取りと再利用が可能です。
T10000B ドライブで可能なこと:
T10000A ドライブで書き込まれたテープカートリッジの読み取りと再利用。
T10000B ドライブで書き込まれたテープカートリッジの書き込み、読み取り、および再利用。
T10000C ドライブで可能なこと:
T10000A または T10000B ドライブで書き込まれたテープカートリッジの読み取り。
T10000C ドライブで書き込まれたテープカートリッジの書き込み、読み取り、および再利用。
T10000D ドライブで可能なこと:
T10000A、T10000B、または T10000C ドライブで書き込まれたテープカートリッジの読み取り。
T10000C ドライブで書き込まれたテープカートリッジの再利用。
T10000D ドライブで書き込まれたテープカートリッジの書き込み、読み取り、および再利用。
テープドライブは、光ファイバホスト接続を使用して高速データ転送を提供します。
ライブラリトレーの背面パネルには、テープドライブ固有の項目があります (背面パネルの例については、図1-2を参照してください)。
インタフェースポート
Ethernet ポート
テープドライブのインジケータ
T10000A/B/C のインジケータのラベルは STATUS および CRYPT です。
T10000D のインジケータのラベルは STATUS および MAINT です。
テープドライブの保守用プッシュボタン
T10000 テープドライブを、もう 1 つのテープまたはディスクサブシステムと同じホストバスポートに接続することはお勧めしません。帯域幅の要求がホストバスアダプタの負荷になり、2 つのソリューションの間で許容できないエラー回復問題を引き起こします。
T10000 テープドライブは、ANSI ファイバチャネル仕様 (情報技術規格国際委員会 (InterNational Committee for Information Technology Standards、INCITS) のドキュメントである『SCSI Primary Commands -3』の Section 5.6 および『Fibre Channel Protocol -3』を参照) に準拠して、2 つのポートによる接続をサポートします。各ホストが reserve/release
または persistent reserve/release
仕様を遵守している場合、ドライブは 2 台のホストをサポートします。
保証、保守契約、または実費精算契約に基づいた、テープドライブに関するすべての保守呼び出しには、背面パネルの保守用 (Ethernet) ポートへの物理的なアクセスと接続が必要です。
保守の必要なドライブに顧客が Ethernet ケーブルを物理的に接続している場合、保守担当者はこのケーブルを取り外して必要な保守アクションを行なってください。
リモートサポートプラットフォームによってサポートされている、暗号化に対応しない T10000 ドライブでは、ドライブの Ethernet ポートが完全にそのプラットフォーム専用になっている必要があります。
暗号化に対応した T10000 ドライブでは、関係者による保守活動時を除き、ドライブの Ethernet ポートが完全に Encryption Service Network 専用になっている必要があります。
Encryption とリモートサポートプラットフォームが共存している場所では、Encryption Service Network を使用することで Ethernet ポートが並行して共有される必要があります。
注:
ドライブの保守用ポートを無許可で使用している間に発生したドライブの機能障害に関して、Oracle はサポートすることも一切の責任を負うこともありません。無許可での使用は、ドライブの Ethernet ポートを次の項目以外に使用した場合に当てはまります。
Encryption 1.x 環境 (T10000C および T10000D ではサポートされない)
Encryption 2.x および 3.x 環境
StorageTek Virtual Operator Panel (VOP) のカスタマまたはサービスバージョン
SDP (Service Delivery Platform)
サービスのテープ健全性チェックツール
StorageTek Diagnostic System (STDS)
T10000C および T10000D ドライブでは、IPv6 アドレス指定がサポートされます。ドライブコードレベルが 1.40.x07 以上の場合は、T10000A または B ドライブで IPv6 アドレス指定がサポートされます。
SL3000 ライブラリドライブトレーの背面パネル (新しい設計 (T10000D バージョン)) を図1-3に示します。
T10000D ドライブトレーには、STATUS (緑色) と MAINT (黄色) の 2 つの単色インジケータがあります。 古いモデル T10000 ドライブには、STATUS および CRYPT インジケータがあります。
ドライブが機能していることを示します。
ドライブがブートモニターモードになっています。
ドライブが IPL モードになっています。
ドライブが保守モードになっています。
ドライブがダンプモードになっています。
ドライブの保守が必要です。
ドライブがリセットされています。
特定の目的でドライブを識別するための視覚表示です。
ドライブの電源が切断されています。
背面パネルには、1 つのプッシュボタンスイッチ、2 つの多色インジケータ、および 3 つのコネクタがあります。ドライブステータスインジケータはすべてのドライブにありますが、暗号化ステータスインジケータは暗号化に対応する T10000A、B、または C ドライブにのみあります。テープドライブ固有の項目は背面パネルの下部にまとめて配置され、左側に MAINT プッシュボタン、右側に Ethernet コネクタがあります (図1-4を参照)。
背面パネルにあるドライブステータスインジケータは、ドライブの一般的なステータスを示します。ドライブの電源投入 IPL 中、ドライブステータスインジケータは通常、赤色でゆっくり点滅、オレンジ色でゆっくり点滅、緑色で常時点灯またはゆっくり点滅の順に変化します。
注:
ゆっくりした点滅速度は 1 秒間に 1 サイクルで、速い点滅速度は 1 秒間に 2 サイクルです。一部のインジケータは、ゆっくりした点滅速度で 2 つの色に交互に切り替わります。ドライブステータスインジケータのさまざまな状態の説明を表1-1 に示します。
インジケータの状態 |
説明 |
意味/アクション |
---|---|---|
消灯 |
ドライブの電源断 |
ドライブに電源が供給されていません。電源装置をオンにしてください。電源装置スイッチをオンにしても電源が切れたままである場合は、電源関連の障害の可能性があります。 |
赤色 |
ハードウェア障害 |
プロセッサが機能していません。保守呼び出しを行なってください。 |
赤色 (ゆっくりした点滅速度) |
IPL が開始 |
ブート中で、IPL が完了するまでドライブとは通信できません。 |
オレンジ色 (ゆっくりした点滅速度) |
ファンクションコードのロード中 |
初期化中で、IPL が完了するまでドライブとは通信できません。 |
緑色 |
IPL が完了 (ダンプが存在しない) |
正常な動作状態で、ドライブは機能タスクを実行する準備ができています。 ドライブとの通信が可能です。 |
緑色 (ゆっくりした点滅速度) |
IPL が完了 (ダンプが存在する) |
正常な動作状態で、ドライブは機能タスクを実行する準備ができています。 ドライブとの通信が可能です。 |
オレンジ色 |
ブートモニター |
技術者による保守モード。保守呼び出しを行なってください。 |
赤色と青色 (交互) |
ハードウェア障害 |
電源障害。保守呼び出しを行なってください。 |
赤色と緑色 (交互) |
保守モード |
保守担当者によって開始されます。 保守モード中、ドライブの IP は静的な 10.0.0.1 になります。 |
赤色と緑色 (交互) |
再ダンプ状態 |
保守モードをアクティブにしていないのにこの状態が示される場合は、不正な動作が再発することを示している可能性があります。保守呼び出しを行なってください。 |
赤色 (速い点滅速度) |
ダンプの進行中 |
ドライブがダンプ処理を実行している間は電源を切らないでください (ドライブのメモリーが破損する可能性があります)。通信はありません。 |
オレンジ色 (速い点滅速度) |
ファームウェア更新の実行中 |
ファームウェア更新が完了するまで、ドライブを使用しないでください。更新が完了すると、インジケータは緑色の速い点滅に変わります。 |
緑色 (速い点滅速度) |
ファームウェア更新の完了 |
IPL が自動起動していない場合は、ドライブがアイドル状態になると IPL が開始されます。 |
暗号化に対応する T10000A、B、または C ドライブには、テープドライブの背面パネル上に多色の暗号化ステータスインジケータがあります。
暗号化ステータスインジケータが緑色である場合、ドライブは暗号化に対応できますが、暗号化は有効になっていません。この状態では、ドライブは暗号化なしのセーフモードでのみ機能し、暗号化されたテープカートリッジの読み取りも書き込みもできません。ただし、ドライブは暗号化を使用しないタスクを正常に実行できます。
ドライブで暗号化が有効になると、インジケータは赤色に変わり、ドライブが準備完了状態で、暗号化モードで機能できることを示します。この状態では、ドライブは暗号化されたテープカートリッジの読み取りと書き込みを実行できます。ドライブは、暗号化されていないテープカートリッジも読み取れますが、暗号化されていないテープカートリッジへの書き込みはできません。
注:
ゆっくりした点滅速度は 1 秒間に 1 サイクルです。インジケータの状態: 消灯
このドライブには暗号化ハードウェアがありません。
インジケータの状態: 緑色
暗号化に対応していますが、暗号化が有効になっていません。
KMS 1.x: 暗号化していません
KMS 2.x または OKM: ライセンスされていません
暗号化に対応しない通常のドライブとして、カートリッジの書き込みおよび読み取り操作を行います。
インジケータの状態: 緑色 (ゆっくり点滅)
モード: リセット
暗号化はすでに有効になっていますが、鍵が必要です。ドライブは、暗号化されていないカートリッジの読み取り操作のみを実行します。
注:
暗号化が有効になると、ドライブは暗号化されていない書き込み操作ができなくなります。インジケータの状態: 赤色
モード: 準備完了、アイドル状態
暗号化が有効または動作中です。暗号化を実行する準備ができています。
インジケータの状態: 赤色 (ゆっくり点滅)
モード: 準備完了、アクティブ
暗号化されたカートリッジの読み取りまたは書き込み操作が進行中です。
インジケータの状態: オレンジ色
KMS 1.x: 媒体鍵が必要です。
KMS 2.x または OKM:
登録済み、カートリッジはロードされません。
登録済み、カートリッジはロードされますが、KMS 鍵を待っています。
インジケータの状態: オレンジ色 (ゆっくり点滅)
デバイス鍵が必要です (KMS 1.x のみ)。
インジケータの状態: 点灯の繰り返し
注:
インジケータは、ゆっくりした点滅の速度で、数色を順番に繰り返し点灯させます。モード: ゼロ化
媒体鍵、デバイス鍵、および有効化鍵がありません。ドライブは使用できません。メーカーに返送する必要があります。
詳細は、暗号鍵の管理に関するドキュメントを参照してください。
暗号化対応の T10000 テープドライブは、Data-at-Rest (保存データ) の暗号化をサポートします。
Federal Information Processing Standards (FIPS、連邦情報処理標準) 準拠:
FIPS PUB 140-2、暗号化モジュールのためのセキュリティー要件
レベル 1: 生産グレードでの要件を備えた基本レベルです。
レベル 2: 物理的な改ざんの証拠や役割ベースの認証のための要件が追加されます。
コードレベル 1.40.x07 および Key Management System (KMS) 2.1 を使用する T10000A ドライブは、FIPS レベル 1 に準拠します。
コードレベル 1.40.x07 および Key Management System (KMS) 2.1 を使用する T10000B ドライブは、FIPS レベル 2 に準拠します。
コードレベル 1.51.318 および Oracle Key Manager を使用する T10000C ドライブは磁気テープ上のデータに FIPS 140-2 Level 1 セキュリティーを提供します。
コードレベル 4.07.107 および Oracle Key Manager を使用する T10000D ドライブは磁気テープ上のデータに FIPS 140-2 Level 1 セキュリティーを提供します。
4 つの暗号化モードがあります。
暗号化オフ (メーカーのデフォルト)。
KMS から取得した鍵による暗号化が有効 (オン/オフ切り替え可能)。
KMS から取得した鍵による暗号化が常時有効 (AES 鍵ラップで保護される)。このモードでは、暗号化をオフにできません。
DPKM (Data Path Key Managementを参照)。
StorageTek Crypto Key Management Station (KMS 1.x)、StorageTek Crypto Key Management System (KMS 2.x)、および Oracle Key Management (OKM 3.x) は、デバイスベースの暗号化ソリューションを提供します。テープドライブは暗号化に対応できる状態で出荷されますが、暗号化は有効にはなっていません。ドライブの暗号化を明示的に有効にする必要があります。
注:
暗号化を有効にしていないドライブは、暗号化されたテープカートリッジに対する読み取りや追加ができません。ただし、暗号化されたテープをテープの先頭 (BOT) から上書きすることはできます。暗号化を有効にした T10000 テープドライブで実行できる操作:
割り当てられた書き込み鍵を使用した、暗号化モードのみでのテープカートリッジへの書き込み
適切な読み取り鍵がある場合は、暗号化されたテープカートリッジの読み取り
暗号化されていないテープカートリッジの読み取り - カートリッジへの書き込みや追加はできない
テープカートリッジのフォーマットまたは再利用
暗号化を有効にした T10000 テープドライブで実行できない操作:
暗号化されたテープカートリッジへの非暗号化データの追加
暗号化されていないテープカートリッジへの書き込み
T10000 テープドライブの暗号化の性能および機能の詳細は、次の場所にある Oracle Key Manager のドキュメントリンクを参照してください。
https://docs.oracle.com/en/storage#sw
暗号化のオプションについての詳細は、ご購入先にお問い合わせください。
Data Path Key Management (DPKM) サブシステムは、StorageTek テープドライブの 3 つめの暗号化の実装です。DPKM では、SCSI 4 コマンド Security Protocol In
および Security Protocol Out
を使用して、StorageTek 暗号化テープドライブにホストベースの鍵管理を実装します。暗号化鍵は、ファイバチャネルインタフェース (非 FIPS 準拠) 経由でテープドライブに提供されます。DPKM はカートリッジごとに暗号化の状態をオンまたはオフに切り替える機能を提供するため、ユーザーは各テープカートリッジで暗号化ファイルと非暗号化ファイルを組み合わせて使用できます。テープドライブの DPKM 機能を有効または無効にするには、Virtual Operator Panel を使用します。
ドライブの設定が暗号化オフまたは DPKM の場合、ダンプは暗号化されません。
通常のドライブファームウェアの更新は、DPKM モードでは許可されません。ドライブが DPKM モードになっている場合は、次の手順に従ってファームウェアを更新してください。
DPKM をオフにするには、クリプトオフィサ (CO) が必要です。
注:
DPKM をオフにするには、リブートを実行し、暗号化オフモードでドライブの IPL を実行する必要があります。CO がファームウェアを更新します。
ファームウェアの更新後にドライブが自動的にリブートしない場合があります。
ドライブがリブートすると、暗号化オフモードでドライブの IPL が実行されます。
CO は DPKM を有効にすることができます。これにより、ドライブがリブートされ、DPKM モードで IPL が実行されます。
T10000 テープドライブには物理的なオペレータパネルは組み込まれていません。そのため、ライブラリに取り付けたドライブとの通信は通常、Virtual Operator Panel (VOP) アプリケーションを介して行われます。
VOP アプリケーションウィンドウ (図1-5) は、接続されたドライブにグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を提供します。この GUI にはメニューバー、いくつかのドライブステータスインジケータを提供するセクション、および 2 つのドライブメッセージウィンドウ (プライマリおよびセカンダリ) があり、GUI のいちばん下には VOP テキストメッセージペインがあります。詳細は、『Virtual Operator's Panel User's Guide』に記載されています。
注:
T10000C ドライブで VOP を使用する場合は、ドライブのハイバネートステータスを示すもう 1 つのインジケータがあります。図の凡例:
次の URL から VOP をダウンロードしてください。http://edelivery.oracle.com/
構成設定やユーティリティーなどの手動のドライブ操作は、ドライブの背面パネルにある Ethernet 保守用ポートを介して、VOP によって指示できます。
ラックマウントされたドライブの操作は通常、ドライブトレーシャーシのオペレータパネルを介して行われます (背面パネルのコントロールおよびインジケータを参照)。ただし、ドライブトレーシャーシの背面パネルにある Ethernet ポートに接続し、VOP によって操作することもできます。
VOP は、プライベート LAN として構成されたサービスネットワーク上で動作するように設計されています。VOP、テープドライブ、Crypto Key Management Station (ドライブが暗号化される場合)、および Ethernet スイッチは、プライベート LAN の潜在的コンポーネントです。プライベート LAN の最良推奨事例によって、無許可アクセスに対する安全性が確保されます。サービスネットワークのプライベート LAN に関する詳細は、『StorageTek Crypto Key Management System, Systems Assurance Guide』を参照してください。
SL3000 および SL8500 ライブラリには、基本的なドライブ情報を提示する、StorageTek ライブラリコンソール (StorageTek Library Console、SLC) と呼ばれる GUI があります。システムの詳細なドライブフォルダには、次の図に示すように、設置されたドライブと各ドライブに関するデータ (ドライブのアクセス状態、ドライブタイプ、ドライブのシリアル番号、ドライブコードのバージョンなど) のリストが含まれています。
特定のドライブを選択すると、ドライブステータス、ドライブプロパティー、ドライブの表示、ドライブトレー情報など、そのドライブに固有の詳細なデータを入手できます (図1-7を参照)。
注:
SLC のドライブフォルダ情報は頻繁に変更されるため、実際に表示されるデータがこの例とは異なる場合があります。詳細については、GUI の疑問符ボタンをクリックしてください。T10000 テープドライブは、5 種類のカートリッジをサポートします。
StorageTek T10000 カートリッジ (T10000A または B ドライブ):
データ: 500G バイト (T10000A) または 1T バイト (T10000B)
データ、Sport: 120G バイト (T10000A) または 240G バイト (T10000B)
VolSafe、容量: 500G バイト (T10000A) または 1T バイト (T10000B)
VolSafe、Sport: 120G バイト (T10000A) または 240G バイト (T10000B)
クリーニングカートリッジ: 50 回使用 (CT または CL カートリッジ)
StorageTek T10000 T2 カートリッジ (T10000C または D テープドライブ):
データ: 最大 5.5T バイト (T10000C) または 8.5T バイト (T10000D)
データ、Sport: 1T バイト (T10000C) または 1.6T バイト (T10000D)
VolSafe、容量: 最大 5.5T バイト T10000C または 8.5T バイト T10000D
VolSafe、Sport: 1T バイト T10000C または 1.6T バイト T10000D
クリーニングカートリッジ: 50 回使用 (CC または CL カートリッジ)
注:
T10000 テープドライブは、ほかのどのタイプのテープドライブのデータカートリッジも受け入れません。図1-8に StorageTek T10000 テープカートリッジの主なパーツを示します。
図の凡例:
データカートリッジは、標準の一般的な読み取り/書き込み用データカートリッジです (ネイティブとも呼ばれます)。データカートリッジには、黒色のリーダーアクセスドアがあります (図1-8を参照)。ラベル付きのカートリッジには、T1 (StorageTek T10000) または T2 (StorageTek T10000 T2) のいずれかの媒体識別子が付いています。
StorageTek T10000 データカートリッジの仕様では、15,000 回のマウントをサポートします。
StorageTek T10000 T2 データカートリッジの仕様では、25,000 回のマウントをサポートします。
注:
その回数を超えると、テープドライブはホストに警告メッセージを発行します。マウントとは、テープドライブが巻き取りリールにテープを通し、ロード位置まで動かすことと定義されています。
診断カートリッジは、データカートリッジの特別用途版で、特別なラベルが付いています。診断カートリッジは、通常は保守担当者が使用するもので、ほとんどのライブラリは 1 つ以上の診断カートリッジを保持しています (診断カートリッジのラベルを参照)。
Sport カートリッジは、ネイティブデータカートリッジの小容量版です。Sport カートリッジには、赤色のリーダーアクセスドアがあります (図1-8を参照)。
StorageTek T10000 カートリッジの仕様では、15,000 回のマウントをサポートします。
StorageTek T10000 T2 カートリッジの仕様では、25,000 回のマウントをサポートします。その回数を超えると、テープドライブは警告メッセージを発行します。
VolSafe データカートリッジは追記型のデータカートリッジです。テープそのものを破壊しないかぎり消去できません。テープドライブは、このテープにデータを書き込み、カートリッジがいっぱいになるまで空き領域にデータを追加します。テープドライブは、このカートリッジを複数回読み取ることができます。VolSafe カートリッジは、通常、法律上の理由で保存する必要があり、かつ変更してはならない情報に使用されます。VolSafe カートリッジには 2 つのバージョンがあります。
クリーニングカートリッジは、名前が示す通りドライブのヘッドのクリーニングに使用するカートリッジで、50 回まで使用できます。この回数を超えてクリーニングカートリッジを使用すると、テープドライブはそのクリーニングカートリッジを拒否し、ホストにエラーメッセージを送信します。クリーニングカートリッジは、白色のリーダーアクセスドアによって識別できます (図1-8を参照)。クリーニングカートリッジには、いくつかのバージョンがあります。
T10000A または B 用のクリーニングカートリッジ (媒体識別子は CT)
T10000C 専用のクリーニングカートリッジ (媒体識別子は CC)
T10000 の 4 つのドライブモデルすべてをクリーニングできるクリーニングカートリッジ (媒体識別子は CL)
T10000 テープドライブは、各テープカートリッジに記録された情報を使用して、カートリッジへのアクセス回数を減らしカートリッジの寿命を管理します。この情報は、カートリッジの RFID (Radio Frequency IDentification) チップと、テープの先頭にある媒体情報領域 (Media Information Region、MIR) と呼ばれる領域に記録されています。RFID に格納される情報は、MIR に格納される情報の真部分集合です。媒体情報は、統計カウンタとデータポインタの、2 つのカテゴリに分類されます。
データポインタ情報とは、物理的なテープ媒体上にあるカスタマ (論理) データの位置を示すために使用されるディレクトリ (マップ) です。カスタマデータはテープ上のドライブ制御ブロックに圧縮して書き込まれるため、書き込まれたデータの位置を効率よく特定するにはマップが必要です。このマップは、カスタマデータとテープ媒体上の物理的なブロックとの間のインデックスを提供します。データが書き込まれたあと、ドライブはこのマップにアクセスして、カスタマデータへのアクセスを最適化します。
カスタマデータの位置を特定するため、または間隔をあけるため、ブロックを示す論理オブジェクトはテープ媒体上の物理的な位置に変換され、ドライブはそのブロックを読み取る最速の方法を決定します。ブロックが現在の位置から物理的にある程度離れている場合は、計算によってブロック位置を高速に特定し、そのあと通常の速度で読み取りが行われます。
媒体情報の存在は、問題がなければ、通常はユーザーに透過的です。これは、マウント解除中に情報の更新が失敗した場合に発生することがあります。無効な媒体情報は、いくつかの領域に影響を及ぼします。これは高速な位置特定を可能にするための情報なので、媒体情報が無効になるとすべての操作の速度が低下します。これは、テープの先頭からの順次読み取りには影響を及ぼしません。ただし、位置特定を使用する操作は、要求されたブロックの読み取りにデフォルトの低速な順次読み取りを使用するようになるため、処理時間が長くなる可能性があります。
注:
特定のテープカートリッジでパフォーマンスの低下が見られた場合は、媒体情報が無効になっている疑いがあります。以降のセクションでは、媒体情報の処理方法と、この情報の問題を示している可能性のあるいくつかの状況について説明します。
テープカートリッジがロードされるたびに、テープ媒体から媒体情報が読み取られて、ドライブのメモリーに保存されます。ドライブメモリーへのロード後、テープ上の RFID には読み取り無効状態が書き込まれます。テープ上の媒体情報は、現在のマウントセッションでの動作結果を反映していないため、オープン状態で読み取り無効とマークが付けられます。現在のマウントセッション中に行われるこれ以降のアクセスは、すべてドライブ上の情報に保存されます。カートリッジへの書き込みがなかった場合、RFID は読み取り無効状態のままで、MIR ディレクトリ情報がまだ完全に有効であることを示します。書き込みが発生したあと、RFID には、テープ上の MIR ディレクトリ情報が無効であることを意味する書き込み無効のマークが付けられます。
T10000 ドライブは、読み取り専用機能では、ドライブ上にある情報のコピーを使用してカスタマデータポインタにアクセスします。メモリー上の情報の中の統計カウンタは、ドライブの動作に応じて継続的に更新されます。
アンロードルーチンの一環としてカートリッジがアンロードされると、ドライブ上の情報がカートリッジの RFID とテープ上の MIR に書き込まれ、クローズ状態に設定されます。
ドライブが書き込みに使用する密度とは異なる密度のデータフォーマットで書き込まれたデータカートリッジがロードされるたびに、モデル固有の MIR 処理が発生します。T10000 ドライブモデルが混在している環境では、必須のファームウェア更新によって、低密度のドライブが高密度ドライブの RFID を読み取れるようになります。
T10000A ドライブによって書き込まれたネイティブデータカートリッジまたは Sport カートリッジの場合:
RFID は、T10000A、B、C、または D ドライブによって読み取りまたは更新ができます。
MIR は、T10000A、B、C、または D ドライブによって読み取りができます。
MIR は、T10000B、C、または D ドライブによって更新できません。
T10000A、B、C、または D ドライブのカウンタは、適切なファームウェア更新がインストールされたあとで更新できます。
カートリッジは、T10000A または B ドライブによって再利用できます。
T10000B ドライブによって書き込まれたネイティブデータカートリッジまたは Sport カートリッジの場合:
RFID は次が可能です。
T10000A、B、C、または D ドライブによる読み取りができます。
T10000B、C、または D ドライブによる更新ができます。
MIR は、T10000B、C、または D ドライブによって読み取りができます。
MIR は、T10000A、C、または D ドライブによって更新できません。
T10000B、C、または D ドライブのカウンタは、適切なファームウェア更新がインストールされたあとで更新できます。
カートリッジは、T10000A または B ドライブによって再利用できます。
注:
T10000A または B ドライブは、データカートリッジのデータフォーマットが読み取れない密度であると認識すると、Virtual Operator Panel (VOP)、またはラックマウントドライブの物理的なオペレータパネルに 3215 を表示します。T10000C ドライブによって書き込まれたネイティブデータカートリッジまたは Sport カートリッジの場合:
RFID は次が可能です。
T10000A、B、C、または D ドライブによる読み取りができます。
T10000C または D ドライブによる更新ができます。
MIR は、T10000C または D ドライブによって読み取りができます。
MIR は、T10000A または B ドライブによって更新できません。
T10000C ドライブのカウンタは、適切なファームウェア更新がインストールされたあとで更新できます。
カートリッジは、T10000C または D ドライブによって再利用できます。
T10000D ドライブによって書き込まれたネイティブデータカートリッジまたは Sport カートリッジの場合:
RFID は次が可能です。
T10000A、B、C、または D ドライブによる読み取りができます。
T10000D ドライブによる更新ができます。
MIR は、T10000D ドライブによって読み取りができます。
MIR は、T10000A、B、または C ドライブによって更新できません。
T10000D ドライブのカウンタは、適切なファームウェア更新がインストールされたあとで更新できます。
カートリッジは、T10000D ドライブによって再利用できます。
T10000 ドライブの媒体が無効になる状況が 4 つあります。
カートリッジの RFID が読み取れません。ドライブはそのカートリッジのマウントを拒否します (403B の FSC)。カスタマデータを回復するため、カートリッジを技術担当者に返してください。
カートリッジの RFID が部分的に読み取り可能です。ドライブはそのカートリッジを読み取り専用としてマウントします。
RFID と MIR が同期していません。RFID の粗粒度のブロック情報も、MIR の細粒度のブロック情報も信頼できません。カートリッジは使用できますが、ドライブは必要なカスタマデータまで連続的にすべてのデータを読み取ってブロック情報を再構築する必要があります。
注:
このシナリオでは、ドライブがブロック情報を再構築するために 1 時間以上かかり、ホスト上で動作しているアプリケーションのタイムアウトを引き起こす可能性があります。MIR が破損しているか、または読み取り不能です。カートリッジ上の細粒度のブロック位置情報は使用できません。そのテープは RFID 上の粗粒度のブロック情報によって使用できますがパフォーマンスは低下します。
無効な MIR を含むカートリッジをロードした場合は必ず、ドライブが 4031 または 4032 の情報 FSC を送信します。テープカートリッジに無効な媒体情報がある場合、これを修正するにはいくつかのアクションが必要です。無効な媒体情報は、次に示すいくつかの方法で修正できます。
VOP を介して媒体修正ユーティリティーを実行します (MIR を再構築するには (VOP)を参照)。
ドライブは、ホストコマンドを処理する際に媒体情報を回復しますが、これにはたいへん時間がかかります。
次の機能は T10000C および T10000D テープドライブで使用できます。
一部の機能の説明については、次のホワイトペーパーを参照してください。
http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/sun-tape-storage/documentation/index.html
StorageTek Data Integrity Validation (DIV) は、ドライブに送信されたレコードごとに、アプリケーションまたはファイルシステムが提供するチェックサムを StorageTek T10000 で確実に検証するようにします。ユーザーが生成したチェックサムは、各レコードとともテープに格納され、その後の読み取りまたは検証操作時にチェックできます (データをホストに送信する追加のオーバーヘッドはかかりません)。この機能の使用方法に関する情報は次から入手できます。
StorageTek T10000 テープドライブファイバチャネルのリファレンスマニュアル
StorageTek Tape Tiering Accelerator と StorageTek In-Drive Reclaim Accelerator によるテープの使用の再定義 (ホワイトペーパー)
DIV 機能は、FC テープドライブで使用でき、アプリケーションのサポートが必要です。
Maximum Capacity は、通常はテープからテープへのコピー操作を確実に成功させるために確保されているテープ容量を使用できるようにします。この機能の使用方法は、StorageTek T10000 テープドライブファイバチャネルのリファレンスマニュアルに説明されています。この機能により、T10000C の容量が 5.5T バイトに、または T10000D の容量が 8.5T バイトに増加します。
Maximum Capacity はデフォルトでオフにされており (VOP を使用して有効化)、FC ドライブおよび VSM で使用でき、アプリケーションのサポートは必要ありません。
StorageTek File Sync Accelerator (FSA) は、通常はテープマークの書き込みまたはその他の同期操作によって生じるバックヒッチをアプリケーションで減少または解消できるようにします。
FSA 機能はデフォルトでオンにされており (VOP を使用して無効化)、FC および FICON ドライブで使用でき、アプリケーションのサポートは必要ありません。
StorageTek T10000 テープドライブによるテープパフォーマンスの最大化に関するホワイトペーパーを参照してください。
StorageTek Tape Application Accelerator (TAA) は、アプリケーションがデータストリームに sync コマンドを挿入しても、テープへの書き込みスループットを向上させます。TAA が有効にされていると、ドライブはテープマークを Buffered Tape Mark (バッファリングされたテープマーク) に、sync (同期) を NO-OP (無操作) に変換します。Buffered Tape Mark (バッファリングされたテープマーク) と NO-OP (無操作) では、テープドライブがバッファーの内容をテープに出して空にし、バックヒッチを引き起こすことがないため、データが高速にテープに書き込まれます。
TAA 機能はデフォルトでオフにされており (VOP を使用して有効化)、FC および FICON ドライブで使用でき、アプリケーションのサポートは必要ありません。
TAA 構成を有効にする前に、ユーザーは特定のアプリケーションが Write Tape Mark (テープマーク書き込み) と同期 (sync) をどのように使用しているかを判断する必要があります。File Sync (ファイル同期) と Write Tape Mark (テープマーク書き込み) は、FICON 環境とファイバチャネル環境では異なって定義されます。
FICON ドライブで TAA が有効にされていると、File Sync (ファイル同期) は NO-OP (無操作) に変換され、テープマークは常に Buffered Tape Mark (バッファリングされたテープマーク) として扱われます。
注:
この機能は、遅延エラーを処理する環境でのみ使用する必要があります。この機能が有効になっている場合は、テープマークを送信しても、データが正常にテープに書き込まれているとはかぎりません。コマンドが完了したあとで、バッファーに入っているデータがテープに書き込まれると、遅延エラーが報告される場合があります。FICON のみの環境では、二重書き込み操作でこの機能を使用するようにしてください。オープンシステム環境での TAA 操作は、ユーザーのストレージアプリケーションが電源障害やリセット状況のあとに、ジョブを自動的に再起動するかどうかによって異なります。
障害イベントのあとにジョブを再起動するように設計されたアプリケーションでは、File Sync (ファイル同期) は NO-OP (無操作) に変換しますが、テープマークは Buffered Tape Mark (バッファリングされたテープマーク) として扱わないように、TAA を構成することを強くお勧めします。
障害イベントのあとにジョブを再起動するように設計されていないアプリケーションでは、出力タイプのジョブを 2 つのテープドライブに二重化することを強くお勧めします。
StorageTek T10000 テープドライブによるテープパフォーマンスの最大化に関するホワイトペーパーを参照してください。
StorageTek Search Accelerator (SSA) は、FICON アプリケーションで最大 1024 バイトの長さの文字列を検索できるようにします。通常はこの機能によって、FICON 環境でのメインフレームの HSM 監査のパフォーマンスが向上します。
SSA 機能は FC および FICON ドライブで使用でき、アプリケーションのサポートが必要です (API を使用できます)。
Oracle の StorageTek Search Accelerator の使用に関するホワイトペーパーを参照してください。
StorageTek T10000C および T10000D テープドライブは、カートリッジの媒体情報領域 (MIR) へのアクセスをサポートしています。このコマンドは、StorageTek T10000B テープドライブと同様に、SCSI Read Buffer
コマンドを使用して実装されます。MIR データはテープレコードの位置情報を提供し、どのレコードをテープから最初に読み取るかを指示するためにアプリケーションで使用できます。この機能は、T10000 MAS N677 技術ドキュメントに説明されています。
MAS 機能は、FC テープドライブで使用でき、アプリケーションのサポートが必要です。
StorageTek In-Drive Reclaim Accelerator (IDR) は、テープ全体を書き換えることなく、アプリケーションでテープの領域を再利用できるようにします。アプリケーションでパーティションマップを保存および管理して、この機能の利点を十分に活かす必要があります。StorageTek Virtual Storage Manager (VSM) は、StorageTek T10000B、T10000C、および T10000D ドライブでこの機能をサポートします。この機能の詳細については、最寄りの販売担当者に問い合わせて ALP のユーザーズガイドのコピーを入手してください。
IDR 機能は FC および FICON ドライブで使用でき、アプリケーションのサポートが必要です (API を使用できます)。
StorageTek T10000C および T10000D ドライブにはテープをパーティション分割する機能があります。これらのパーティションをアプリケーションによって編成することで、テープ上のファイルセットの位置を制御できます。テープの先頭近くに置かれたデータセットには、テープの終わり (EOT) 近くに書き込まれたデータよりもアクセス速度が速いという特性があります。
アプリケーションで、テープ上のデータの位置を管理できるようになります。
StorageTek Tape Tiering Accelerator (TTA) により、パーティションを読み取り専用にできます。
TTA によって提供される最大:
T10000C ドライブによって書き込まれるカートリッジ上の 480 論理ボリューム
T10000D ドライブによって書き込まれるカートリッジ上の 600 論理ボリューム
TTA 機能は FC および FICON ドライブで使用でき、アプリケーションのサポートが必要です (API を使用できます)。
この機能の詳細については、最寄りの販売担当者に問い合わせて ALP のユーザーズガイドのコピーを入手してください。