このリリースのOracle Databaseインストレーション・ガイドの変更内容
このガイドでは、単一インスタンスのOracle Databaseをインストールおよび構成する方法について説明します。
このガイドでは、Optimal Flexible Architecture、Oracleホームのクローニングおよびデータベース・ソフトウェアの削除方法についても説明します。
関連項目:
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)での変更点
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)の『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』の変更内容は次のとおりです。
新機能
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簡単になったイメージ・ベースのOracle Grid Infrastructureインストール
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle Grid Infrastructureソフトウェアがダウンロードおよびインストール用のイメージとして入手可能です。グリッド・ホームを配置するディレクトリにイメージ・ソフトウェアを解凍してから、
gridSetup.batスクリプトを実行して、Oracle Grid Infrastructureのインストールを起動する必要があります。 -
Direct NFSクライアントのParallel NFSサポート
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle Direct NFSクライアントはParallel NFSをサポートします。パラレルNFSはNFSv4.1オプションであり、これにより、ファイル・サーバーへの直接のクライアント・アクセスが有効となり、スケーラブルな分散記憶域が有効化されます。
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Direct NFSディスパッチャのサポート
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle Direct NFSクライアントは、ディスパッチャまたはI/Oスレーブ・インフラストラクチャの追加をサポートします。Direct NFSクライアントを実行する大規模データベース・デプロイメントの場合、この機能により、マルチパスおよびクラスタ化されたNFS記憶域へのソケットおよびTCP接続のスケーリングが容易になります。
関連項目:
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Windowsグループ管理対象サービス・アカウントと仮想アカウントのサポート
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降では、Oracle Databaseのインストールに対するグループ管理対象サービス・アカウント(gMSA)と仮想アカウントのサポートにより、パスワードなしでデータベース・サービスを作成して管理するための追加のオプションが提供されています。gMSAは、ドメイン内の複数のサーバーから、このアカウントを使用してサービスを実行するために使用できるドメイン・レベルのアカウントです。仮想アカウントは自動管理されます。
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Direct NFSのKerberos認証
Oracle Database 12c リリース2 (12.2)以降、Oracle DatabaseはDirect NFS通信でKerberos実装をサポートするようになりました。この機能は、認証とメッセージの整合性の問題を解決し、さらに必要に応じて、セキュリティ機能のないネットワークでのOracle DatabaseとNFSサーバーの間のDirect NFSプロトコルを使用したデータ交換のための暗号化の問題を解決します。
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Microsoft Hyper-V第2世代仮想マシンのサポート
Hyper-Vは、1台のコンピュータ上で複数のオペレーティング・システムを同時に実行することにより、仮想コンピュータ環境を作成して管理できるようにします。Hyper-Vは、サポートされているゲスト・オペレーティング・システムの組込み統合サービスを有効にして、コンピュータと仮想マシンの間の統合を向上させます。Microsoft Hyper-Vの第2世代仮想マシンがサポートされるようになりました。
関連項目:
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デフォルト・キャラクタ・セットとしてのAL32UTF8
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、汎用/トランザクション処理またはデータ・ウェアハウスのテンプレートから作成されたデータベースのデフォルトのデータベース・キャラクタ・セットは、Unicode AL32UTF8です。データベース・キャラクタ・セットとしてUnicode AL32UTF8を使用することをお薦めします。
関連項目:
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Windows Direct NFSクライアントが受け付けられるすべてのNFSパス形式をサポート
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)から、Windows Direct NFSクライアントは、WindowsスタイルとUNIXスタイル両方のNFSパスも含め、広く普及しているすべてのNFSパス形式をサポートするようになりました。
関連項目:
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Windows Resilient File System
Starting with Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle DatabaseがResilient File System (ReFS)上でサポートされます。ReFSは、ファイル・メタデータのチェックサムを使用し、書き込み時に割り当てる方法でデータを更新することにより、破損のリスクを最小化します。
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-executeConfigToolsオプションを使用したOracleソフトウェアのインストール後の構成
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、
-executeConfigToolsオプションを使用してOracle DatabaseまたはOracle Grid Infrastructureのインストーラを実行し、Oracle製品のインストール後の構成を行うことができます。インストール時に作成されるものと同じレスポンス・ファイルを使用して、インストール後の構成を実行できます。 -
Oracle Real Application Clustersを管理するための義務の分離
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle Databaseでは、SYSDBA管理権限を必要としないSYSRAC管理権限が導入されたことにより、Oracle Real Application Clusters (RAC)を管理するための義務の分離をサポートします。SYSRACは、SYSDG、SYSBACKUPおよびSYSKMと同様、義務の分離の施行、および本番システム上のSYSDBAの使用への依存の軽減に役立ちます。この管理権限は、
srvctlなどのOracle RACユーティリティのかわりに、クラスタウェア・エージェントによってデータベースに接続するためのデフォルト・モードです。
Oracle Automatic Storage Management 12cリリース2 (12.2)の新機能
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Oracle ASMフィルタ・ドライバの自動構成
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle Grid Infrastructureのインストール時のチェック・ボックスを使用して、Oracle ASMフィルタ・ドライバ(Oracle ASMFD)の構成を有効にして自動化できます。
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Oracle ACFSスナップショットベース・レプリケーション
Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)のスナップショットベース・レプリケーション機能は、Oracle ACFSスナップショット・テクノロジを使用し、標準のSSH転送プロトコルを使用して、連続するスナップショット間の差異をスタンバイ・ファイル・システムに転送します。Oracle ACFSのスナップショットベース・レプリケーションは、高性能、低オーバーヘッドで、管理が容易な効率の高い方法です。
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Oracle ACFS圧縮
Oracle ACFSには、記憶域の要件を小さくして、結果的にコストを低減する、ファイルシステム圧縮機能が用意されています。Oracle ACFS圧縮は、新しいacfsutil compressコマンドおよびacfsutil infoコマンドに対する更新を使用して管理します。
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Oracle ACFSデフラガ
スナップショットまたはファイル・システムのベースと記憶域を共有するデータベースは、アクティブなオンライン・トランザクション処理(OLTP)のワークロードで断片化される可能性があります。この断片化により、ボリューム内のデータの場所が、シーケンシャル・スキャンに対して不連続になる可能性があります。Oracle ACFSは、バックグラウンドでこれらのファイルを自動的にデフラグします。
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Oracle ACFSによる4Kセクターのサポート
Oracle ACFSでは、4Kの倍数の論理セクター・サイズのI/Oリクエストがサポートされ、512バイトの論理セクター・サイズのI/Oリクエストも引き続きサポートされます。
i4096オプションは、Microsoft WindowsのacfsformatコマンドおよびLinuxとOracle Solaris環境のmkfsコマンドで提供されています。 -
Oracle ACFS自動リサイズ
Oracle ACFSの
acfsutilsizeコマンドには、自動リサイズ・オプションが用意されています。このコマンドでは、ファイル・システムで使用可能な空きスペースが、指定した量を下回る場合に適用される、Oracle ACFSファイル・システムの自動拡大の増分を指定できます。ファイル・コンテンツ・データの収集をサポートするmaxiOracle ACFSプラグインを指定するオプションもあります。自動リサイズ・オプションの使用時には、ファイル・コンテンツのcollection.mumサイズが許可された状態で、ポーリングとインターバル・ベースの両方のキャプチャがサポートされます。acfsutil info fsコマンドの出力には、自動リサイズの増分と最大量が表示されます。 -
Oracle ACFSメタデータ・アクセラレーション
Oracle ACFSはアクセラレータ・メタデータ記憶域をサポートします。このサポートにより、エクステント・メタデータ、記憶域ビットマップ、ボリューム・ログおよびアクセラレータ記憶域に配置される一部のスナップショット・メタデータを含む多数のクリティカルなOracle ACFSメタデータ構造が有効になります。
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ファイル・コンテンツ・データ収集のためのOracle ACFSプラグイン
Oracle ACFSプラグインはファイル・コンテンツ・データの収集をサポートします。ファイル・コンテンツの収集では、ポーリングとインターバル・ベースの両方のキャプチャがサポートされます。
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Oracle ACFSスパース・ファイル
Oracle ACFSでは、スパース・ファイルがサポートされます。Oracle ACFS疎ファイルは、NFSサーバーおよび関連付けられたOracle ACFSファイル・システムによって、一般に適切な順序で受信されなかったNFSクライアント書込み操作に大きな利点を与えます。
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Oracle ACFSスクラブ機能
Oracle ACFSには、acfsutil scrubコマンドを使用して、メタデータやファイル・データの不整合性をチェックしてレポートするスクラブ機能が用意されています。
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高可用性共通インターネット・ファイル・システム
リリース12.2では、Oracle ACFS Common Internet File System (CIFS、共通インターネット・ファイル・システム)機能が拡張されて、Oracle ACFS NAS Maximum Availability eXtensions (NAS MAX)テクノロジでエクスポートされたファイル・システムの高可用性が実現されています。高可用性共通インターネット・ファイル・システム(HACIFS)および高可用性ネットワーク・ファイル・システム(HANFS)は両方とも、Oracle ACFSに対する包括的なネットワーク接続ストレージ(NAS)ソリューションを提供しています。
非推奨となった機能
次の機能は今回のリリースで非推奨となり、今後のリリースではサポートされない可能性があります。
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configToolAllCommandsスクリプトの非推奨Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、
configToolAllCommandsスクリプトは非推奨となり、今後のリリースではサポート対象外となります。configToolAllCommandsは、Oracle製品をインストール後に構成するためにレスポンス・ファイル・モードで動作し、別のパスワード・レスポンス・ファイルを使用します。Oracle製品のインストール後の構成を行う場合に、-executeConfigToolsオプションを使用して、Oracle DatabaseまたはOracle Grid Infrastructureのインストーラを実行できるようになりました。インストール時に作成されるものと同じレスポンス・ファイルを使用して、インストール後の構成を実行できます。非推奨となった機能の完全なリストについては、次を参照してください。
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)での変更点
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)の『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』の変更内容は次のとおりです。
新機能
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データベースでOracleホーム・ユーザーがサポートされます。
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)から、Oracle DatabaseではOracleホーム・ユーザーの使用がサポートされるようになっており、インストール時に指定できます。Oracleホーム・ユーザーには、Windows組込みアカウントまたは標準のWindowsユーザー・アカウント(管理者アカウント以外)を指定できます。このアカウントはOracleホームのWindowsサービスの実行に使用されます。セキュリティ強化のため、(Windows組込みアカウントではなく)標準のWindowsユーザー・アカウントを使用することをお薦めします。
グループ管理対象サービス・アカウント(gMSA)と仮想アカウントは、Oracleホーム・ユーザーのための新しいオプションです。
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WindowsでのOracle ASMファイル・アクセス制御
この機能によって、Windowsでロールを分けるためのアクセス制御が提供されます。Oracleデータベース・サービスがローカル・システムではなくユーザーとして実行中の場合、Windowsでロールの分離をサポートするには、Oracle ASMアクセス制御機能を有効化する必要があります。以前のリリースでは、すべてのOracleサービスがローカル・システムとして実行されたため、Windowsでのこの機能は無効になりました。
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Oracle Flex ASM
Oracle Flex ASMを使用すると、データベース・サーバーとは異なる物理サーバーでOracle ASMインスタンスを実行できます。任意の数のOracle ASMサーバーをクラスタ化し、これまでよりはるかに多くのデータベース・クライアントをサポートできます。
Oracle DatabaseインスタンスはOracle Flex ASMに対するクライアントとして設定できます。ここでは、データベース・インスタンスとは別のノード上に存在するOracle Flex ASMインスタンスによって、メタデータがデータベース・インスタンスに提供されます。
Oracle Flex ASMは、それぞれは1つのインスタンスですがフレックスASMクラスタで実行されており、データベースのコレクションへの適応が可能です。
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インストール・メディアに統合された削除ツール
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Oracle Label Securityインストールの簡略化
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Oracle Database Vaultインストールの簡略化
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データベース監査構成の統合
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降では、名前付き監査ポリシーを作成できます。監査ポリシーには一連の監査オプションが含まれ、データベースにオブジェクトとして格納されます。名前付き監査ポリシーを作成する利点は、データベース監査ポリシーの作成に必要なコマンド数が減ることと、セキュリティおよび条件付き監査への準拠を目的とした監査構成の実装が簡素化されることです。
この新しい監査ポリシー・フレームワークは、データベース・インストールに含まれています。
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Oracle Enterprise Manager Database Express 12c
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データベース管理義務の分離のサポート
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CDBおよびPDB用のOracle DBCAのサポート
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降、Oracle Database Configuration Assistant (Oracle DBCA)では、非CDBまたはマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)のいずれかを作成できます。ユーザーが作成した0個以上のプラガブル・データベース(PDB)を含むCDBを作成できます。
また、データベースのインストール中には、1つのPDBを含むCDBを作成することが可能です。
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Direct NFSクライアントでのNFSバージョンのサポート
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降では、Direct NFSクライアントによって使用されるNFSプロトコル・バージョンを指定できます。
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Oracle Database Extensions for .NETのOraClrAgntサービスの構成
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降は、インストール後に
OraClrCtl.exeユーティリティを使用して、OraClrAgntサービスの作成、開始、停止および削除を行います。
非推奨となった機能
次の機能は、このリリースでは非推奨であり、将来のリリースではサポートされなくなる可能性があります。
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インストール・メディアに統合された削除ツール
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-cleanupOBaseの非推奨削除ツールの
-cleanupOBaseフラグは、このリリースでは非推奨です。このフラグの代替機能はありません。 -
NTLMプロトコルを使用したWindows NTS認証
NTS認証アダプタはWindowsドメイン・ユーザーの認証にNT LAN Manager (NTLM)プロトコルの使用をサポートしなくなりました。そのため、NTSアダプタを使用して、以前のWindows NTドメインまたは以前のWindows NTドメイン・コントローラを含むドメインのユーザーを認証することはできません。ただし、ローカル接続およびWindowsローカル・ユーザーとして実行しているOracle Databaseサービスは、引き続きNTLMを使用して認証されます。新しいクライアント側
sqlnet.oraブール・パラメータ、no_ntlm(デフォルト値はFALSE)により、NTLMをNTS認証で使用できるかどうかを制御できます。このパラメータがTRUEに設定されている場合、NTLMをNTS認証で使用することはできません。非推奨となった機能の完全なリストについては、次を参照してください。