2 Oracle Databaseのインストールとデータベースの作成

この章では、Oracle Databaseソフトウェアをインストールし、単一インスタンスのOracle Databaseを作成する方法について説明します。

以前のリリースのOracle Databaseを使用しており、最新リリースのOracle Databaseをインストールする必要がある場合は、既存のデータベースを新しいデータベースにアップグレードし、新しいリリースのデータベース・ソフトウェアで使用するように指定します。詳細は、データベースのアップグレードを参照してください。

この章の構成は、次のとおりです。

注意:

この章では、Oracle Databaseソフトウェアをインストールし、単一インスタンスのOracle Databaseを作成する方法の概要を提供します。この章はOracle Databaseの完全なインストレーション・ガイドではありません。

Oracle Databaseソフトウェアのインストールの詳細は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

2.1 Oracle Databaseソフトウェアのインストールとデータベースの作成の概要

Oracle Databaseソフトウェアをインストールするには、Oracle Universal Installer(OUI)を使用します。OUIは、新しいOracle DatabaseソフトウェアをインストールできるGraphical User Interfaceユーティリティです。インストールのプロセスをガイドするオンライン・ヘルプも利用できます。

データベースは、インストール中に作成できます。データベースの作成を選択すると、データベースの作成から構成までのプロセスをガイドするOracle Database Configuration Assistant(DBCA)がOUIにより自動的に起動します。

インストール・プロセスを開始する前に、前提条件とインストール時の選択項目を次の項で確認してください。

インストール中にデータベースを作成しない場合は、インストールの後、データベースを作成するときにDBCAを実行する必要があります。

注意:

インストール中またはインストール後に単独のプロセスとしてデータベースを作成すると、新しくデータベースを作成する必要はありません。複数のアプリケーションでデータベースを使用する場合も、複数のデータベースを作成するのではなく、単一のOracle Database内の複数のスキーマにデータを分割します。スキーマの詳細は、ユーザー・アカウントについてを参照してください。

Oracle Database 12c以降、0、1または多数のユーザー作成のプラガブル・データベース(PDB)をサポートするマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)も作成できるようになりました。Oracle Database 12cより前に作成されたOracleデータベースはすべて非CDBです。このマニュアルでは、CDBおよびPDBの作成に関するOUIおよびDBCAオプションについて説明します(CDBおよびPDBの管理については後続の章で説明)。

関連項目:

2.1.1 Oracle Databaseのインストールの前提条件のチェック

ソフトウェアをインストールする前に、Oracle Universal Installer (OUI)は複数の確認を自動的に実行し、コンピュータがOracle Databaseをインストールするための基本的なハードウェアおよびソフトウェア要件を満たしていることを確認します。コンピュータが要件を満たしていない場合は、エラー・メッセージが表示されます。

要件は使用しているコンピュータおよびオペレーティング・システムのタイプによって異なりますが、前提条件には次のようなものがあります。

  • 物理メモリーが1GB以上ある。

  • 十分なページング領域が使用可能である。

  • オペレーティング・システムの適切なサービス・パックまたはパッチがインストールされている。

  • 適切なファイル・システム形式が使用されている。

関連項目:

インストール前の要件およびタスクの詳細は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

2.1.2 Oracle Databaseのインストールの選択項目の決定

Oracle Universal Installer (OUI)からの質問のフェーズで、インストールおよびデータベース作成のための選択を行います。ご使用のオペレーティング・システムによって、ステップが異なります。インストール・プロセスを進めていくと、データベースの構成方法について選択項目が示されます。

2.1.2.1 Oracle Databaseのインストール・オプション

データベースを作成して構成するか、またはデータベース・ソフトウェアのインストールのみを行うかを選択できます。

インストール時に、事前構成済データベースまたはカスタム構成済データベースを作成できます。インストール中にデータベースを作成するよう選択しなかった場合、インストール後にDatabase Configuration Assistant (DBCA)を実行してデータベースを作成する必要があります。

注意:

データベースを作成および構成するように選択した場合は、インストールの完了後に、Oracle Universal Installer (OUI)によってDBCAが起動され、データベースが構成されます。

OUIを使用してデータベース・ソフトウェアのみをインストールするように選択した場合は、インストール後に手動でDBCAを実行して、データベースを作成および構成する必要があります。この方法では、データベース構成の制御に詳細オプションを使用できます。

事前構成済データベースは、Oracleで提供するテンプレートまたはユーザーが作成したテンプレートに基づいています。Oracleで提供する各テンプレートは、特定のワークロード・タイプ用に最適化されています。事前構成済データベースのタイプの詳細は、表2-2を参照してください。

デスクトップ・クラス・インストールの使用を選択した場合は、汎用データベース・テンプレートが使用されます。独自のデータベース構造を構成するカスタム・データベースを作成する場合は、Oracle Databaseの拡張インストールについてを参照してください。

注意:

新しいデータベースを作成する必要がある場合は、より高速で簡単な事前構成済データベースのインストールをお薦めします。このデータベースは、作成後にカスタマイズできます。

2.1.2.2 Oracle Databaseのインストール・クラス

インストール・クラスは、デスクトップ・クラスとサーバー・クラスです。

  • デスクトップ・クラス: このインストール・クラスはラップトップ・コンピュータまたはデスクトップ・コンピュータに最適です。これには初期データベースが含まれ、最小限の構成が必要です。

  • サーバー・クラス: このインストール・クラスは、データ・センターなどにあるサーバーや、企業レベルのアプリケーションをサポートするために使用するサーバーに適しています。拡張構成オプションにアクセスする必要がある場合は、このインストール・クラスを選択します。

デスクトップ・クラス・インストールでは、標準項目のみを選択します。サーバー・クラス・インストールでは、標準インストール(標準項目のみを選択するインストール)または拡張インストールを選択します。

デスクトップ・クラス・インストールまたは標準インストールの実行時に、Oracle Databaseによってサンプル・スキーマが自動的にインストールされます。

2.1.2.3 Oracle Databaseのインストール・エディション

基本インストールおよび拡張インストールの実行時にOracle Databaseをインストールする場合は、次のデータベース・ディションを選択できます。

たとえば、これらのデータベース・エディションの1つを選択できます。

  • Enterprise Edition: このインストール・タイプは、企業レベルのアプリケーションのデータ管理が可能な、完全な機能を備えたOracle Database製品です。ミッション・クリティカル、高度なセキュリティのオンライン・トランザクション処理(OLTP)およびデータ・ウェアハウス環境を対象としています。

  • Standard Edition 2: このインストール・タイプは、部門レベルやワークグループ・レベルのアプリケーション向け、および中小企業(SME)向けに設計されています。コア・リレーショナル・データベース管理サービスおよびオプションを提供するように設計されています。管理ツール、完全分散、レプリケーション、Web機能およびビジネス集中型アプリケーション構築機能の統合セットがインストールされます。

2.1.2.4 Oracle Databaseのソフトウェア・インストール・ディレクトリ
Oracle Databaseソフトウェアのインストール先ディレクトリまたは製品のバイナリ・ファイルをインストール・メディアからコピーする場所を指定する必要があります。選択する場所は、ソフトウェアを格納するための十分なディスク領域があり、インストールを実行するオペレーティング・システム・ユーザーがアクセスできる場所である必要があります。

サーバーにインストールされるすべてのOracleソフトウェア製品によって使用されるOracleベース・ディレクトリの場所も指定します。初めてOracleソフトウェアをサーバーにインストールする場合、oraInventoryというインベントリ・ディレクトリの場所を指定するように求められます。このディレクトリは、サーバーにインストールされるすべてのOracleソフトウェア製品の集中インベントリを提供します。サーバーへのOracleソフトウェア・インストールを実行するたびに、Oracleインベントリ・ディレクトリとして同じ値を使用する必要があります。

2.1.2.5 Oracle Databaseのデータベース・ファイルの場所

データベースには、ユーザー・データ、データベース・メタデータ、および障害からリカバリするために必要な情報を格納する複数のファイルが含まれます。管理者は、これらのファイルにどのような種類の記憶域サブシステムを使用するかを決定します。

次のオプションから選択できます。

  • ファイルシステム: オペレーティング・システムのファイル・システムで管理されるデータベース・ファイルを作成するデフォルトのオプションです。データベース・ファイルが格納されるディレクトリ・パスを指定できます。Oracle Databaseは、実際のファイルを作成および管理できます。

    どのオプションが適切か判断できない場合は、デフォルトの「ファイルシステム」(デフォルト)を選択します。

  • 自動ストレージ管理: このオプションでは、データファイルをOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループに配置できます。Oracle ASMを選択すると、Oracle Databaseはデータベース・ファイルの配置とネーミングを自動的に管理します。多数のディスクを持つ環境では、このオプションを使用すると、データベース管理が簡単になり、パフォーマンスが向上します。Oracle ASMは、ファイル・レベルでソフトウェアのストライプ化とミラー化を行い、記憶域の柔軟性、パフォーマンスおよび可用性を最大限に高めます。

    Oracle ASMは、(データベース・インスタンスとは異なる)Oracle ASMインスタンスを使用して、ディスク・グループを構成および管理します。1つのOracle ASMインスタンスで、同じサーバー上に複数のデータベース用の記憶域を提供できます。

    詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

注意:

以前のリリースでは、Oracle ASMはOracle Databaseインストールの一部としてインストールされていました。Oracle Database 11g リリース2(11.2)では、Oracle ASMはOracle Grid Infrastructureのインストールの一部となりました。

データベース・ファイルの格納にOracle ASMを使用するには、Oracle Databaseのインストールを実行する前にOracle ASMをインストールして、1つ以上のディスク・グループを作成しておく必要があります。

2.1.2.6 Oracle Databaseのデータベース識別子
これらのオプションには、グローバル・データベース名およびシステム識別子(SID)が含まれます。SIDとは、このインスタンスと、後で作成しシステムで同時に実行する可能性がある他のOracle Databaseインスタンスを区別するために使用する一意の識別子です。

グローバル・データベース名は、その他のデータベースと一意に識別されるデータベースの完全名です。グローバル・データベース名は、database_name.database_domainの形式、たとえばsales.example.comのようになります。データベース名の部分salesは、データベースを呼び出すときに使用する単純な名前です。データベースのドメインの部分example.comは、データベースが配置されるデータベース・ドメインを表します。このように、データベース名とドメインの組合せでグローバル・データベース名が構成されます。

2.1.2.7 Oracle Databaseの拡張インストールについて
サーバー・クラスの方法による拡張インストール時は、標準インストールの項目に加えて、この項に示す項目を選択するように求められます。インストール・プロセスでは、すべての選択項目に対してデフォルトの値が提供されます。

このガイドでは、これらの追加の拡張インストール選択項目について説明しますが、詳細な説明は行いません。詳細は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

  • 製品の言語

    インストール後のソフトウェアで使用する言語を選択します。複数の言語を選択できます。デフォルトの言語は英語です。英語以外の言語を選択しても、インストールに使用される言語は変更されません。

  • データベース構成タイプ

    データベースを構成するときに使用するテンプレートを選択します。「汎用目的/トランザクション処理」または「データ・ウェアハウス」のいずれかを選択できます。

  • データベース構成オプション

    インストーラによって作成されたデータベースの構成方法を選択できます。メモリー・サイズと管理オプション、データの格納に使用するキャラクタ・セット、データベース・アクセス用のセキュリティ・オプション、サンプル・スキーマをインストールするかどうかなどを選択できます。

    このガイドおよび関連する教材の例を実行するには、サンプル・スキーマをインストールする必要があります。また、このデータは、Oracle Databaseのドキュメントのほぼすべての例で使用されます。サンプル・スキーマをインストールすることをお薦めします。

    これは、拡張インストールの実行時にのみ選択可能な構成オプションです。サンプル・スキーマは、標準またはデスクトップ・クラス・インストールの実行時はデフォルトでインストールされます。

  • リカバリ・オプション

    拡張インストール時に、データベースのバックアップおよびリカバリ・オプションを構成できます。このオプションを選択する場合は、リカバリ領域をローカル・ファイルシステムとOracle ASMディスク・グループのどちらに格納するかを指定する必要があります。

    注意:

    リカバリ領域の記憶域としてOracle ASMを使用するには、Oracle Databaseのインストールを実行する前にOracle Grid Infrastructureインストールの一部としてOracle ASMをインストールし、1つ以上のディスク・グループを作成しておく必要があります。

  • スキーマ・パスワード

    データベースを作成する際、いくつかの管理ユーザー・アカウントが自動的に作成されます。管理アカウント(SYSSYSTEMなどのアカウント)のパスワードの入力を求められます(これにより、データベースの管理が可能になります)。すべてのアカウントに同じパスワードを使用するか、または各アカウントに異なるパスワードを指定することができます。安全なパスワードを入力しないと、インストール中に警告メッセージが表示されます。

  • オペレーティング・システム・グループ

    データベースへの管理アクセス権は、特定のオペレーティング・システム・グループのメンバーシップによって付与されます。SYSDBAアクセス(通常はdba)およびSYSOPERアクセス(通常はoper)に使用するオペレーティング・システム・グループを選択できます。

    SYSDBAグループは、データベース管理権限があり、SYSDBAアクセスによってログインできるオペレーティング・システムのユーザー・アカウントを識別します。SYSOPERグループは、制限されたデータベース管理権限が必要なユーザー用のオプションのグループです。これらのグループと権限の詳細は、SYSDBAおよびSYSOPERシステム権限を参照してください。

2.2 Oracle Databaseソフトウェアのインストール

この項では、システム・クラスのインストール・ステップを簡単に説明します。ほとんどのステップはすべてのプラットフォームに共通で、Oracle Universal Installer (OUI)を実行して行います。プラットフォーム固有のステップを示しています。詳細は、オンライン・ヘルプまたはご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

注意:

次のステップは、以前のOracleソフトウェアがインストールされていないホスト・コンピュータでのOUIのワークフローを示しています。ホスト・コンピュータにOracleソフトウェアがインストールされている場合は、別のワークフローとなる可能性があります。

基本インストールを実行するには:

  1. Oracle Databaseソフトウェアのインストールおよびデータベースの作成と実行を許可されている管理グループのメンバーとして、コンピュータにログオンします。

    新しいソフトウェアをインストールするために必要な権限があるかどうかを判断するには、使用するオペレーティング・システム固有のドキュメントを参照するか、システム管理者に問い合せてください。

  2. 次のいずれかを行います:
    • 配布メディアからインストールする場合は、データベース用の配布メディアをご使用のコンピュータに挿入します。

      オートラン機能によって、「インストールする製品の選択」ウィンドウが自動的に開きます。

    • OracleのWebサイトからインストール・ソフトウェアをダウンロードする場合は、Webサイトの手順に従い、Oracle Universal Installerを実行します。それ以外の場合は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

  3. 最初に表示されるウィンドウは、「構成オプション」ウィンドウです。「単一インスタンス・データベースを作成および構成します。」オプションを選択します。データベース・ソフトウェアのインストールのみを実行するオプションもありますが、その場合はソフトウェアのインストール後に、追加ステップでデータベースを作成する必要があります。旧バージョンのOracle Databaseを現在使用している場合は、「既存のデータベースのアップグレード」を選択します。オプションを選択したら、「次へ」をクリックします。

    「システム・クラス」ウィンドウが表示されます。

  4. 「サーバー・クラス」を選択します。

    インストールをカスタマイズする場合は、「サーバー・クラス」オプションを選択できます。たとえば、この方法を使用して、データベースのOracle自動ストレージ管理の構成、サンプル・スキーマのインストール、バックアップおよびリカバリ・オプションの構成などを行います。

    「デスクトップ・クラス」インストールのステップは「サーバー・クラス」インストールのステップと同様ですが、データベースのインストールに必要な選択は少なくなっています。

    「次へ」をクリックします。

    「インストール・タイプ」ウィンドウが表示されます。

  5. 標準インストールを選択し、「次へ」をクリックします。
    「拡張インストール」を選択した場合、インストール・ステップの一部はこのガイドに記載されていません。高度な選択の詳細は、Oracle Databaseの拡張インストールについてを参照してください。ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』も参照してください。

    注意:

    Microsoft Windowsオペレーティング・システム上でのみ、「Oracleホーム・ユーザーの指定」ウィンドウが表示されます。このウィンドウでは、管理者ではない権限の低いWindowsユーザー・アカウントを「Oracleホーム・ユーザー」として使用できます。このオプションは、データベースのインストールで、Oracleサービスを制限された権限で実行できるようにする場合にお薦めします。また、単一インスタンス・データベースの場合には、Oracle InstallerにOracleホームのユーザーとして使用する新しいWindowsユーザー・アカウント(ローカル・ユーザーのみ)を作成するよう選択することも可能です。

    このオプションを却下すると、すべてのサービスがシステム・ユーザーとしてインストールおよび実行されます。

    この機能の詳細は、Oracle Database管理者リファレンスfor Microsoft Windowsを参照してください。

    「標準インストール」ウィンドウが表示されます。

  6. データベースの次の構成に関する詳細を指定します。
    • Oracleベース: Oracleベース・ディレクトリは、複数のOracleソフトウェア・インストールの編成を容易にするのに役立ちます。ORACLE_BASEの詳細は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

      OUIを開始する前にORACLE_BASE環境変数を設定しなかった場合、UNIXまたはLinuxシステムでは、/u01から/u09の書込み可能な最初の既存ディレクトリのapp/username/ディレクトリにOracleベース・ディレクトリが作成され、Windowsシステムでは、使用可能な領域が最も多いディスク・ドライブにOracleベース・ディレクトリが作成されます。/u01から/u09がUNIXまたはLinuxシステムにない場合、デフォルトの場所はuser_home_directory/app/usernameになります。

      「参照」をクリックして、Oracleベース・ディレクトリとして使用するディレクトリを指定できます。

    • ソフトウェアの場所: ソフトウェアの場所は、データベース用のOracleホームです。Oracle Databaseソフトウェアを新しくインストールするたびに、新しいOracleホーム・ディレクトリを指定する必要があります。デフォルトでは、Oracleホーム・ディレクトリはOracleベース・ディレクトリのサブディレクトリになります。

      「参照」をクリックして、Oracle Databaseソフトウェアのインストール先ディレクトリを指定します。

    • 記憶域タイプ: 「ファイルシステム」または「Oracle Automatic Storage Management」を選択できます。

    • データベース・ファイルの位置: データベース・ファイルの位置は、Oracle Databaseファイルが格納される場所です。デフォルトでは、この場所はOracle_base/oradataになります。「参照」をクリックして、別の場所を選択できます。

    • データベース・エディション: 「Enterprise Edition」またはPersonal Edition (Microsoft Windowsプラットフォームのみ)を選択します。Oracle Databaseのインストール・エディションを参照してください。

    • OSDBAグループ(LinuxおよびUNIXプラットフォームのみ): オペレーティング・システムのDBAグループを指定します。このグループのホスト・コンピュータ・ユーザーは、データベースの管理権限を所有しています。通常、このグループの名前はdbaです。詳細は、『Oracle Databaseインストレーション・ガイドfor Linux』またはご使用のUNIXプラットフォーム用のインストール・ガイドを参照してください。

    • グローバル・データベース名: 完全修飾グローバル・データベース名を入力します。グローバル・データベース名の詳細は、Oracle Databaseのデータベース識別子を参照してください。

    • 管理パスワード: 管理者アカウント(SYSSYSTEMなどのアカウント)の初期パスワードを指定します。選択したパスワードがセキュアなパスワードでない場合は、警告メッセージが表示されます。

    • コンテナ・データベースとして作成: このオプションを選択すると、0、1または複数のユーザー作成のプラガブル・データベース(PDB)をサポートできるマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)としてデータベースを作成できます。

      CDBの作成時にDatabase Configuration Assistant (DBCA)によってPDBが作成されるようにするには、「プラガブル・データベース名」フィールドにPDB名を指定します。

    必要な情報を入力したら「次へ」をクリックします。

    LinuxまたはUNIXオペレーティング・システムに初めてインストールする場合のみ、このサーバーに前もってOracleソフトウェアがインストールされていないと、「インベントリの作成」ウィンドウが表示されます。今回がこのサーバーでの最初のインストール試行でない場合は、前提条件チェックの実行ウィンドウが表示されます。

  7. 「インベントリの作成」ウィンドウが表示された場合は、ファイルのインストール先ディレクトリと、そのディレクトリへの書込み権限を持つオペレーティング・システム・グループの名前を指定します。

    このコンピュータにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合は、「インベントリ・スナップショットの作成」ウィンドウが表示されます。コンピュータにインストールされたすべてのOracleソフトウェアを追跡するためにOUIが使用するインベントリのローカル・ディレクトリを指定する必要があります。この情報は、既存のインストールにパッチを適用したり、既存のインストールをアップグレードしたり、Oracleソフトウェアを削除するときに使用します。このディレクトリは、Oracleホーム・ディレクトリとは別のディレクトリであることに注意してください。インベントリ・ディレクトリの推奨値は、Oracle_base/../oraInventory、またはOracleベース・ディレクトリの1つ上のレベルのoraInventoryサブディレクトリになります。Oracleベース・ディレクトリが/u01/app/oracleの場合、Oracleインベントリ・ディレクトリのデフォルトは/u01/app/oraInventoryになります。

    このウィンドウでは、インベントリ・ディレクトリへの書込み権限を持つオペレーティング・システム・グループも指定できます。これにより、他のユーザーがOracle製品インストール・ファイルを上書きするのを防止します。

    ディレクトリ・パスを入力し、オペレーティング・システム・グループを指定した後、「次へ」をクリックして続行します。

    「前提条件チェックの実行」ウィンドウが表示されます。

  8. チェックが失敗したら、修正処理を実行します。

    OUIによって複数の環境チェックが実行され、チェックが成功、警告または失敗のいずれであったかが示されます。チェックの詳細は、開いているウィンドウ内に表示されます。すべての確認のステータスが「成功」または「警告」にならないと、インストールを続行できません。1つでも環境チェックが失敗すると、手動で解決する必要があります。詳細は、Oracle Databaseのインストールの前提条件のチェックを参照してください。

    すべての前提条件チェックに成功するか、「次へ」をクリックすると、サマリー・ウィンドウが表示されます。

  9. インストールのサマリーを確認してから、「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

    「製品のインストール」ウィンドウに、インストールの進行状況が表示されます。

  10. LinuxおよびUNIXオペレーティング・システムの場合のみ、構成スクリプトをrootユーザーとして実行するよう求められます。スクリプトを実行し、「OK」をクリックします。

    インストールが完了すると、「終了」ウィンドウが表示されます。

  11. 終了ウィンドウ内の情報を記録し、「閉じる」をクリックしてOUIを終了します。

    これでインストールおよびデータベースの作成は完了です。

    共通のデータベース管理タスクは、Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)で実行できます。

    「終了」ウィンドウに表示されるEM ExpressのURLを使用し、localhostではなくデータベース・ホスト名を指定して、EM Expressを起動します。EM Expressでユーザー名とパスワードの入力を求めるプロンプトが表示された場合は、DBA権限を持つユーザー(SYSTEMなど)としてログインします。

    注意:

    DBCAはデフォルトで、5500から5599の範囲の空きポートをEM Expressのポートとして使用するよう選択します。

    EM Expressのポートとして特定のポートを使用する場合は、そのポートをDBEXPRESS_HTTPS_PORTオペレーティング・システム環境変数を使用して指定してから、OUIまたはDBCAを開始します。

    環境変数の設定の詳細は、オペレーティング・システムの環境変数の構成を参照してください。

    関連項目:

2.3 DBCAを使用したデータベースの作成および管理

Oracle Databaseソフトウェアのインストールのみを指定した場合を除き、Oracle Universal Installer (OUI)では、ソフトウェアのインストールの完了後に、Database Configuration Assistant(DBCA)が自動的に実行されます。そこでDBCAは、指定された情報を使用してデータベースを作成します。初期データベースを作成しないで後から作成する場合、または追加データベースを作成する場合にDBCAを使用します。

注意:

通常、Oracle Databaseでは、1つのデータベースで複数のアプリケーションをホストします。異なるアプリケーションを実行するために複数のデータベースは必要ありません。かわりに、各アプリケーションをサポートするオブジェクトを同じデータベースの別のスキーマに配置できます。ただし、同じホスト・コンピュータに複数のOracle Databaseを作成する場合もあります。通常、DBCAを使用してこれを行うと、新しいデータベースでは1つ目のデータベースと同じOracleホームディレクトリが使用されますが、データベースのデータファイルは1つ目のデータベースのデータファイルとは別に格納されます。

また、DBCAを使用してデータベース構成の変更、データベースの削除なども行うことができます。 次のDBCAタスクを実行できます。

オンライン・ヘルプを使用するには、「ヘルプ」をクリックします。構成オプションを選択するための情報を確認できます。

2.3.1 DBCAの起動

この項では、Database Configuration Assistant (DBCA)の起動方法について説明します。

注意:

Oracle Databaseソフトウェアのインストール時に初期データベースを作成することを選択した場合、Oracle Universal Installer (OUI)によってDBCAが自動的に起動されます。

DBCAを起動するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Databaseソフトウェアのインストールおよびデータベースの作成と実行を許可されている管理グループのメンバーとして、コンピュータにログオンします。
  2. 次のいずれかを行います:
    • Microsoft Windowsオペレーティング・システム上でDBCAを起動するには、「スタート」をクリックし、「プログラム」(または「すべてのプログラム」)→「Oracle - HOME_NAME」→「Configuration and Migration Tools」「Database Configuration Assistant」を選択します。

    • UNIXまたはLinux上でDBCAを起動する場合、またはWindowsオペレーティング・システムのコマンドライン・プロンプトから起動する場合は、次のコマンドを入力します。

      dbca
      

      通常、dbcaユーティリティは、ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。

2.3.2 DBCAを使用したデータベースの作成

Database Configuration Assistant (DBCA)を使用すると、段階的なガイド付きのワークフローに従ってOracle Databaseを作成できます。

DBCAを使用してデータベースを作成するには、次の手順を実行します。

  1. DBCAの起動の説明に従って、DBCAを起動します。
  2. 「データベース操作」ウィンドウで、「データベースの作成」を選択して「次へ」をクリックし、データベースを作成するためのガイド付きワークフローを開始します。「拡張モード」を選択し、「次へ」をクリックすると、このワークフローでは次のウィンドウでの入力が要求されます。
2.3.2.1 DBCAの「作成モード」ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「作成モード」ウィンドウでは、標準構成または拡張構成でデータベースを作成できます。

「拡張構成」を選択すると、記憶域の場所、管理オプション、データベース・オプションおよび管理者ユーザー・アカウントの様々なパスワードをカスタマイズできます。

「標準構成」を選択すると、データベースのオプションの選択項目が少なくなるため、データベースをより早く作成することができます。

「標準構成」を選択する場合は、次のオプションを選択できます。

  • グローバル・データベース名: database_name.domain_nameという形式でデータベース名を入力します。

  • 記憶域のタイプ: 「ファイルシステム」または「自動ストレージ管理」のいずれかを選択します。

    「ファイルシステム」を選択すると、データベース・ファイルはオペレーティング・システムのファイル・システムで管理されます。

    「自動ストレージ管理」を選択する場合、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループにデータファイルを配置します。

  • データベース・ファイルの位置: 「記憶域のタイプ」オプションで選択した内容によって、「データベース・ファイルの位置」オプションで指定する内容が決まります。

    「記憶域のタイプ」フィールドで「ファイルシステム」を選択した場合、「データベース・ファイルの位置」フィールドでデータベース・ファイルを格納するディレクトリ・パスを指定します。Oracle Databaseは、実際のファイルを作成および管理できます。

    「記憶域のタイプ」フィールドで「自動ストレージ管理」を選択した場合、「データベース・ファイルの位置」フィールドで使用するディスク・グループを指定します(ディスク・グループはすでに存在している必要があります)。Oracle ASMでは、Oracle Databaseはデータベース・ファイルの配置とネーミングを自動的に管理します。

  • 高速リカバリ領域 (FRA): バックアップおよびリカバリの領域を指定します。

  • データベース・キャラクタ・セット: データベースに使用するキャラクタ・セットを選択します。キャラクタ・セットの詳細は、キャラクタ・セットを参照してください。

  • 管理パスワード: (SYSSYSTEMアカウントなどの)データベース管理パスワードに使用するパスワードを入力します。

  • ユーザーの"Oracleホーム・ユーザー"パスワード (Microsoft Windowsオペレーティング・システムのみ): インストール時に、管理者ではない権限の低いWindowsユーザー・アカウントを指定して(Oracleホーム・ユーザーとして)データベース・サービスを実行した場合は、そのユーザー・アカウントのパスワードの入力を求められます。

  • コンテナ・データベースとして作成: このオプションを選択すると、0、1または複数のユーザー作成のプラガブル・データベース(PDB)をサポートできるマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)としてデータベースを作成できます。

    DBCAがCDBを作成する際にPDBも作成するようにする場合は、「プラガブル・データベース名」フィールドにPDB名を指定します。

関連項目:

2.3.2.2 DBCAの「デプロイメント・タイプ」ウィンドウ
Database Configuration Assistant (DBCA)の「デプロイメント・タイプ」ウィンドウでは、データベースを作成するために使用するデータベース・テンプレートのタイプを選択します。次のいずれかを選択できます。
  • データ・ウェアハウス

  • 汎用またはトランザクション処理

  • カスタム・データベース

Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)は、非CDBを含むOracle単一インスタンス・データベース、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)およびプラガブル・データベース(PDB)をサポートしています。

DBCAを使用して、オラクル社提供のテンプレートまたは管理者が作成したテンプレートからデータベースを作成できます。このテンプレートには、特定のタイプのワークロードに最適化された設定が含まれています。

次の2つのタイプのワークロードのテンプレートが提供されています。

  • 汎用またはトランザクション処理

  • データ・ウェアハウス

使用するデータベースでサポートされるワークロードのタイプに適したテンプレートを選択します。選択するテンプレートが不明な場合は、デフォルトの「汎用またはトランザクション処理」テンプレートを選択します。

注意:

汎用またはトランザクション・テンプレートとデータ・ウェアハウス・テンプレートでは、COMPATIBLE初期化パラメータが12.2.0.0.0に設定されたデータベースを作成します。

より複雑な環境では、「カスタム・データベース」オプションを選択できます。このオプションはテンプレートを使用しないため、より広範囲なインタビューが行われます。これによって、データベースを作成する時間が長くなります。

関連項目:

2.3.2.3 DBCAの「データベース識別情報」ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「データベース識別情報」ウィンドウの「グローバル・データベース名」では、database_name.domain_nameの形式でデータベース名を入力します。

「SID」フィールドにシステム識別子を入力します。SIDはデータベースを実行するインスタンスを一意に識別するためのものであり、デフォルトではデータベース名です。

「コンテナ・データベースとして作成」オプションを有効にすると、ゼロ、1つまたは複数のユーザー作成のプラガブル・データベース(PDB)をサポートできるマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)としてデータベースが作成されます。

DBCAがCDBを作成する際にPDBも作成するようにしない場合は、「空のコンテナ・データベースの作成」オプションを有効にします。

DBCAがCDBを作成する際に1つ以上のPDBも作成するようにする場合は、「1つ以上のPDBを含むコンテナ・データベースの作成」オプションを有効にします。次に、「PDBの数」フィールドに作成するPDBの数を入力します。「PDB名」フィールドで、作成するPDBまたはPDBSに使用する名前を指定します。複数のPDBを作成する場合、指定したPDB名が作成するPDBの接頭辞として使用されます。たとえば、3つのPDBを作成するように要求し、PDB名としてSANDBOXPDBを指定すると、作成されるPDBの名前はSANDBOXPDB1、SANDBOXPDB2およびSANDBOXPDB3になります。

関連項目:

2.3.2.4 DBCAの「記憶域オプション」ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「記憶域オプション」ウィンドウで、データベースの記憶域オプションを指定します。

  • データベース記憶域属性のテンプレート・ファイルを使用: このオプションを選択すると、DBCAは、テンプレートに設定されているディレクトリ情報を使用します。

  • データベース記憶域属性に次を使用: このオプションでは、データベース・ファイルの格納場所を指定する必要があります。

    このオプションでは、データベース・ファイルの管理方法を選択する必要があります。

    「ファイルシステム」を選択すると、データベース・ファイルはオペレーティング・システムのファイル・システムで管理されます。

    「自動ストレージ管理(ASM)」を選択する場合、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループにデータファイルを配置します。

    「Oracle Managed Filesの使用(OMF)」オプションを指定すると、Oracle Databaseを構成するオペレーティング・システム・ファイルをOracle Databaseで直接管理できます。すべてのファイルに対して、「データベース領域」と呼ばれるデフォルトの場所を指定します。Oracle Databaseは、必要に応じて、この場所でファイルを自動的に作成または削除します。このオプションを選択すると、データベース・ファイルの管理をデータベースに完全に委任できます。ファイル名、ファイルの場所、ファイル・サイズなどを指定する必要はありません。

2.3.2.5 DBCAのFast Recovery Option・ウィンドウ

DBCAのFast Recovery Option・ウィンドウでは、データベースのバックアップおよびリカバリ領域を構成できます。

次に、Oracle Databaseファイルの場所を指定します。次のいずれかのオプションを選択します。

新規データベースの作成時には、システム障害が発生した場合にデータをリカバリできるようにデータベースを構成することが重要です。オンラインREDOログ・ファイルには、データファイルに加えられた変更の記録が含まれます。オンラインREDOログ・ファイルはオンラインREDOログ・グループに格納されます。データベースには2つ以上のオンラインREDOログ・グループが必要です。グループのオンラインREDOログ・ファイルが一杯になると、ログ・ライター・プロセス(LGWR)では、REDOレコードの書込み先を新しいオンラインREDOログ・グループに切り替えます。Oracle Databaseでは、非アクティブなオンラインREDOログ・ファイル・グループを、総称でアーカイブREDOログ(またはアーカイブ・ログ)と呼ばれる1つ以上のオフラインの保存先に自動的に保存できます。オンラインREDOログ・ファイルをアーカイブREDOログ・ファイルに変更するプロセスは、アーカイブと呼ばれます。

アーカイブは、データベースがARCHIVELOGモードで実行されている場合にのみ実行できます。グループがアーカイブされるまで、ログ・ライター(LGWR)・プロセスではオンラインREDOログ・ファイルのグループを再利用できません。データベースがNOARCHIVELOGモードで実行されている場合は、LGWRプロセスが新しいグループに切り替わった後にグループが非アクティブになると、LGWRプロセスでは非アクティブなグループをすぐに再利用できます。

NOARCHIVELOGモードでは、メディア障害からデータベースを保護することはできませんが、インスタンス障害から保護することはできます。オンラインREDOログ・ファイルに格納された、データベースの最新の変更内容のみを使用して、インスタンス・リカバリを実行します。NOARCHIVELOGモードで運用しているデータベースをリストアする場合、使用できるバックアップは、データベースの終了中に作成したデータベース全体のバックアップのみです。このため、NOARCHIVELOGモードでデータベースを運用する場合は、データベース全体のバックアップを定期的かつ頻繁に作成します。

オンラインREDOログ・ファイルのアーカイブには、次の利点があります。

  • オペレーティング・システムやハードウェアで障害が発生した場合は、データベース・バックアップとオンラインREDOログ・ファイルおよびアーカイブREDOログ・ファイルを使用して、コミットされたすべてのトランザクションのリカバリを実行できます。

  • データベースの稼働時に作成したバックアップを使用すると、データベースのリカバリを実行できます。ただし、この場合、このデータベースのバックアップ時にアーカイブ・ログ・ファイルのコピーを作成しておくことが条件となります。

  • オンライン表領域バックアップを実行できます。メディア障害が発生した場合は、これらのバックアップを使用して、表領域をリストアできます。

  • スタンバイ・データベースに、元のデータベースのアーカイブREDOログ・ファイルを繰り返し適用することにより、スタンバイ・データベースを元のデータベースで最新の状態にしておくことができます。

オンラインREDOログ・ファイルをアーカイブする前に、アーカイブ先を決定する必要があります。データベースのバックアップおよびリカバリ操作を簡略化できるため、アーカイブ・ログは高速リカバリ領域に格納することをお薦めします。高速リカバリ領域は、Oracle Databaseがバックアップおよびリカバリに関連するファイルを格納および管理するディスクの場所です。これは、現在のデータベース・ファイル(データファイル、制御ファイルおよびオンラインREDOログ・ファイル)の場所であるデータベース領域とは別です。

データベースの作成時には、次のオプションを選択できます。

  • 高速リカバリ領域の指定: このオプションは、バックアップおよびリカバリ領域とそのディレクトリ位置およびサイズを指定する場合に選択します。標準的な位置の指定には、変数を使用できます。

    このオプションでは、次のフィールドでも選択を行います。
    • リカバリ・ファイルの記憶域タイプ: 高速リカバリ領域に使用するディレクトリを指定します。

    • 高速リカバリ領域: データベースのリカバリ関連ファイルに使用する記憶域のタイプを指定します。

    • 高速リカバリ領域のサイズ: 高速リカバリ領域のサイズを指定します。

  • アーカイブ有効化: このオプションは、データベースのリカバリに使用できるデータベース・オンラインREDOログ・ファイルのアーカイブを有効にする場合に選択します。このオプションを選択すると、データベースをARCHIVELOGモードで実行した場合と同じ結果が得られます。

    「アーカイブ有効化」を選択することをお薦めします。このオプションを選択すると、ソフトウェアまたはハードウェア障害に対するデータベースの保護が強化されます。このオプションを今すぐ選択しない場合は、後でARCHIVELOGモードを有効にできます。詳細は、基本バックアップおよびリカバリのためのデータベースの構成を参照してください。

2.3.2.6 DBCAの「ネットワーク構成」ウィンドウ
Database Configuration Assistant (DBCA)の「ネットワーク構成」ウィンドウには、現在のOracleホームのリスナーが表示されます。現在のOracleホームで新しいリスナーを作成する場合、「ネットワーク構成」ウィンドウで作成できます。
2.3.2.7 DBCAのDatabase Vaultオプション・ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)のDatabase Vaultオプション・ウィンドウでは、データベースのOracle Database VaultおよびOracle Database Label Securityを構成できます。

このウィンドウでOracle Database VaultおよびOracle Label Securityを構成するか、「次へ」をクリックしてOracle Database VaultおよびOracle Label Securityを構成せずにDBCAを続行できます。

関連項目:

2.3.2.8 DBCAの「構成オプション」ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「構成オプション」ウィンドウ内のリンクを使用すると、さらにデータベースを構成できる追加ウィンドウにアクセスできます。

たとえば、このウィンドウを使用して、データベースについて次を構成できます。

2.3.2.8.1 メモリー

Database Configuration Assistant (DBCA)の「構成オプション」ウィンドウの「メモリー」タブを使用して、データベースでメモリーを管理する方法を制御します。

メモリー管理方法として、次から選択できます。

  • 自動共有メモリー管理の使用

    この方法では、特定の量のメモリーをSGAおよび集計PGAに割り当てることができます。SGAの自動共有メモリー管理が有効になり、必要に応じて個々のPGAにメモリーが割り当てられます。

    SGAおよびPGAの詳細は、インスタンス・メモリー構造についてを参照してください。

  • 手動共有メモリー管理の使用

    この方法では、各SGAコンポーネントおよび集計PGAについて特定の値を入力する必要があります。SGAメモリーをSGAメモリー・コンポーネント間に分散する方法を決定します。この方法は、熟練したOracle Database管理者を対象としています。

  • 自動メモリー管理の使用

    この方法では、Oracleシステム全体で使用可能なメモリーを「メモリー・ターゲット」フィールドで設定する必要があり、SGAのメモリー・コンポーネントの多くをシステムが自動的に調整し、必要に応じて個々のPGAにメモリーを割り当てます。SGAまたは集計PGAに割当て済の合計メモリー量は、処理ニーズに応じて動的に増減されます。データベース・インスタンスの合計メモリー使用量が、ユーザーが指定したメモリー量を超えることはありません。

    注意:

    データベース・インスタンスの合計物理メモリーが4GBを超える場合は、「自動メモリー管理の使用」オプションを選択できません。かわりに自動共有メモリー管理を使用します。自動共有メモリー管理によって、必要に応じて使用可能なメモリーが様々なコンポーネントに自動的に配分されるため、システムでは使用可能なすべてのSGAメモリーを最大限に使用できます。

関連項目:

メモリー管理オプションの詳細は、Oracleインスタンスの管理を参照してください

2.3.2.8.2 サイズ指定

Database Configuration Assistant (DBCA)の「構成オプション」ウィンドウの「サイズ指定」タブでは、最小のブロック・サイズを指定したり、データベースに同時に接続できるオペレーティング・システム・ユーザー・プロセスの最大数を指定します。

  • ブロック・サイズ: このリストを使用して、ブロック・サイズを選択したり、デフォルトのブロック・サイズにすることができます。Oracle Databaseのデータは、指定のサイズのデータ・ブロックとして格納されます。1つのデータ・ブロックは、ディスク上の特定のバイト数の物理領域に対応します。デフォルトの8KB以外のブロック・サイズを選択するには高度な知識が必要なため、どうしても必要な場合にのみ実行してください。

    事前定義されたテンプレートを使用している間は、データベースがデフォルトの8KBのブロック・サイズで作成されるため、このリストは無効になっています。

  • プロセス数: このフィールドでは、同時にデータベースに接続できる最大プロセス数を指定します。数を入力するか、またはデフォルト値の320を受け入れます。このパラメータのデフォルト値は、多くの環境に適した値です。すべてのバックグラウンド・プロセス、ユーザー・プロセスおよびパラレル実行プロセスを考慮して値を選択してください。

2.3.2.8.3 キャラクタ・セット
Database Configuration Assistant (DBCA)の「構成オプション」ウィンドウの「キャラクタ・セット」タブを使用して、キャラクタ・データをデータベースに格納する方法を決定します。キャラクタ・セットは、コンピュータ画面に文字を表示するために使用するコード体系です。キャラクタ・セットによって、データベース内で表現できる言語が決定します。

データベースのキャラクタ・セットには、Unicode(AL32UTF8)を使用することをお薦めします。AL32UTF8とは、Unicode標準であるUTF-8エンコードに対してOracleで使用している名前です。Unicode標準は、現在世界で使用されている言語のほとんどをサポートする汎用キャラクタ・セットです。Unicode標準を使用することは、データベース処理を含め、すべての多言語テクノロジにおいて不可欠です。

データベースが作成され、本番データが累積された後にデータベース・キャラクタ・セットを変更することは、時間がかかる複雑なプロジェクトになります。そのため、インストール時に適切なキャラクタ・セットを選択することが重要です。データベースに現在多言語データが格納されていなくても、数年内に多言語データを格納する予定がある場合、通常は、データベース・キャラクタ・セットにAL32UTF8を選択することのみが、適切な判断となります。

マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)を作成する場合、選択するキャラクタ・セットによって、他のどのデータベースを後でCDBに接続できるかが決まることを考慮してください。互換性のあるデータベース・キャラクタ・セットを使用するデータベースのみをCDBに接続できます。

UNIX、LinuxおよびMicrosoft Windowsの各プラットフォーム用のOracle Universal Installer (OUI)とDBCAで使用されるデフォルトのキャラクタ・セットは、AL32UTF8ではなく、ANSIコード・ページと呼ばれるMicrosoft Windowsキャラクタ・セットです。キャラクタ・セットは、OUIまたはDBCAを起動したオペレーティング・システム・セッションの現在の言語(ロケール)に基づいて選択されます。言語がアメリカ英語または西ヨーロッパ言語である場合、デフォルトのキャラクタ・セットはWE8MSWIN1252になります。各Microsoft Windows ANSIコード・ページには、西ヨーロッパ言語、東ヨーロッパ言語、日本語のような1つの言語または限定された言語グループのデータのみ格納できます。

クライアント・ワークステーションのプラットフォームとしてMicrosoft Windowsが普及しているため、UNIXおよびLinuxの各プラットフォームで作成されたデータベースの場合にも、Microsoft Windowsのキャラクタ・セットがデフォルトとなっています。Oracle Clientライブラリでは、データベース・キャラクタ・セットと、Windows以外のクライアント・アプリケーションで使用されるキャラクタ・セットとの間で必要なキャラクタ・セット変換が自動的に実行されます。

表示されるキャラクタ・セットのリストから、他のキャラクタ・セットを選択して使用することも可能です。このオプションは、アプリケーション・ベンダーで必要な特定のキャラクタ・セットを選択したり、データベースに接続しているすべてのクライアントが共通して使用しているキャラクタ・セットを選択するときに使用できます。

AL32UTF8はマルチバイト・キャラクタ・セットであるため、文字データに対するデータベース操作の速度は、WE8MSWIN1252などのシングルバイト・データベース・キャラクタ・セットと比較すると若干遅い可能性があります。使用する文字がASCIIの対象外である大部分の言語について、その言語のテキストに必要な記憶領域をみると、その言語をサポートしているレガシー・キャラクタ・セットを使用した場合よりもAL32UTF8を使用した場合の方が大きくなります。記憶域の増加は文字データと英語以外のデータのみに影響することに注意してください。Unicodeでは、汎用性や柔軟性があるために、通常はこうした過剰な負担が生じます。

データベース・キャラクタ・セットについて次のいずれかを選択します。

  • Unicode(AL32UTF8)を使用: データベース・ユーザーおよびデータベース・アプリケーションに対して複数の言語をサポートする場合は、このオプションを選択します。

    注意:

    • AL32UTF8は、可変幅のマルチバイト・キャラクタ・セットです。文字データの処理にAL32UTF8を使用するデータベースに接続するアプリケーションは、そのキャラクタ・セットと連携して機能するように適切にプログラムされている必要があります。データベースを使用するアプリケーションのキャラクタ・セット要件は常に確認する必要があります。現在のアプリケーション・バージョンがUnicode標準をサポートしていない場合は、アプリケーション・ベンダーに連絡してUnicode対応バージョンについて問い合せてください。

    • データベースのキャラクタ・セットには、AL32UTF8を使用することをお薦めします。AL32UTF8は、UnicodeのUTF-8エンコーディングの適切な実装です。Oracle Database12cリリース2以降では、OUIおよびDBCAを使用してデータベースを作成するとき、デフォルト・データベース・キャラクタ・セットとしてAL32UTF8が使用されます。

    • UTF8はUnicodeのUTF-8エンコーディングの適切な実装ではないため、データベース・キャラクタ・セットとしてUTF8を使用しないでください。UTF-8処理が予期されている場合にUTF8キャラクタ・セットが使用されると、データの消失およびセキュリティの問題が発生する場合があります。このことは、XMLやURLアドレスなどのWeb関連データに特に該当します。

    • AL32UTF8およびUTF8キャラクタ・セットは、最大文字幅が異なる(1文字当たり4バイトに対して3バイト)ため、相互に互換性がありません。

  • OSキャラクタ・セット(WE8MSWIN1252)を使用: すべてのデータベース・ユーザーおよびデータベース・アプリケーションに対して、オペレーティング・システムが現在使用している言語のみを選択する場合は、このオプションを選択します。

  • 次のキャラクタ・セットから選択: Oracle Databaseで、オペレーティング・システムが使用するデフォルトのキャラクタ・セット以外のキャラクタ・セットを使用する場合は、このオプションを選択します。

各国語キャラクタ・セットの選択:

  • 各国語キャラクタ・セット: このリストでは、キャラクタ・セットを選択するか、またはデフォルト値をそのまま使用します。NCHARキャラクタ・セットとも呼ばれる各国語キャラクタ・セットは、データ型NVARCHAR2NCHARおよびNCLOBのデータを格納および処理するために使用されるキャラクタ・セットです。これらのデータ型によって、Unicodeデータベース・キャラクタ・セットがないデータベースにUnicode文字を格納できます。使用しているアプリケーションのインストール要件で別途指定されていないかぎり、各国語キャラクタ・セットとしてデフォルト値AL16UTF16をそのまま使用します。

    注意:

    このキャラクタ・セットはSQL標準(ISO/IEC 9075)に従い、「各国語」と呼ばれますが、データベース・キャラクタ・セットよりもグローバルなアプリケーションに適しているわけではありません。各国語キャラクタ・セットと連携させるにはクライアント・アプリケーションで追加のAPIコールが必要であり、Oracle Textなどの一部のデータベース・コンポーネントでは各国語キャラクタ・セットがサポートされていないため、多言語アプリケーションではVARCHAR2CHARおよびCLOBデータ型とデータベース・キャラクタ・セットAL32UTF8を含むOracle Databaseを使用することをお薦めします。

  • デフォルト言語: このリストでは、デフォルトのデータベース言語を選択するか、デフォルトをそのまま使用します。デフォルトの言語は、日および月の省略形、文字データのデフォルトのソート順序、記述の方向(左または右)など、ロケールに依存する情報をデータベースがサポートする方法を指定します。

  • デフォルト地域: このリストでは、日および週の表記規則として従う地域名を選択するか、デフォルトを受け入れます。デフォルトの地域によって、デフォルトの日付書式、デフォルトの小数点文字とグループ・セパレータ、デフォルトの国際標準化機構(ISO)およびローカル通貨記号が決定されます。たとえば、イギリスではデフォルトの日付書式はDD-MON-YYYYです(DDは日付(1-31)を示し、MONは月の短縮名を示し、YYYYは4桁の年を示します)。

2.3.2.8.4 接続モード
Database Configuration Assistant (DBCA)の「構成オプション」ウィンドウの「接続モード」タブを使用して、データベース接続モードを選択します。データベースは次のいずれかの接続モードで実行できます。
  • 専用サーバー・モード: このモードでは、各ユーザー・プロセスで専用のサーバー・プロセスを使用できます。クライアントの総数が50以下など、少ないと予想される場合は、このオプションを選択します。時間のかかる要求を継続的にデータベースに送信する場合も、このオプションを選択できます。デフォルトでは、データベースは専用サーバー・プロセス用に構成されます。

  • 共有サーバー・モード: このモードでは、データベースによって割り当てられたリソース・プールを複数のクライアント接続で共有できます。このモードは、メモリーおよびその他のリソースに対してクライアント・ロードの負荷が高いと予想される構成で使用します。共有サーバー・モードを選択した場合は、データベース・インスタンスの起動時に作成するサーバー・プロセスの数も指定する必要があります。このパラメータの設定の詳細を確認するには、「ヘルプ」をクリックします。

2.3.2.8.5 サンプル・スキーマ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「構成オプション」ウィンドウの「サンプル・スキーマ」タブを使用して、Oracleデータベース・サンプル・スキーマを構成します。

データベースにサンプル・スキーマを含めるには、データベースへのサンプル・スキーマの追加を選択します。

2.3.2.9 DBCAの「管理オプション」ウィンドウ
Database Configuration Assistant (DBCA)の「管理オプション」ウィンドウを使用して、Oracle Enterprise Managerを使用して管理できるようデータベースを設定します。Oracle Enterprise Managerには、個々のデータベースを管理するWebベースの管理ツールと、Oracle環境全体を管理する集中管理ツールが用意されています。
  • データベースをローカルで管理する場合は、「Enterprise Manager (EM) Database Expressの構成」を選択します。EM Expressに割り当てられたポートを受け入れるか、別の未使用ポートを入力できます。

  • ホスト・コンピュータにOracle Management Agentがインストールされている場合は、「Enterprise Manager (EM) Cloud Controlへの登録」を選択し、「管理サービス」のホストとポートおよびEM管理ユーザー名とパスワードを指定できます。

    関連項目:

    Oracle Enterprise Manager Cloud Controlの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

2.3.2.10 DBCAの「ユーザー資格証明」ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「ユーザー資格証明」ウィンドウでは、SYSSYSTEMPDBADMINなどの管理アカウントのパスワードを指定します。

Microsoft Windowsオペレーティング・システムでのみ: インストール時に、管理者ではない、権限が制限されたWindowsユーザー・アカウントをOracleホーム・ユーザーとして指定した場合、そのユーザー・アカウントのパスワードの入力を求められます。

2.3.2.11 DBCAの作成オプション・ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「作成オプション」ウィンドウでは、データベースの作成用として様々なオプションを選択できます。

たとえば、Database Configuration Assistant (DBCA)の「作成オプション」ウィンドウでは、データベースの作成用として次のいずれかのオプションを選択します。

  • データベースの作成: この時点でデータベースを作成する場合に、このオプションを選択します。

  • データベース・テンプレートとして保存: 後で使用するテンプレートとしてデータベースの定義を保存する場合に、このオプションを選択します。

  • データベース作成スクリプトの生成: 後で実行可能なSQLのデータベース作成スクリプトを生成する場合に、このオプションを選択します。

2.3.2.12 DBCAの「サマリー」ウィンドウ
Database Configuration Assistant (DBCA)の「サマリー」ウィンドウには、データベースに対して選択した構成オプションのサマリーが表示されます。サマリー情報を確認します。

これらのオプションのいずれかを変更する場合は、「戻る」をクリックしてウィンドウに戻り、オプションを変更できます。

「終了」をクリックすると、DBCAによって、指定した構成オプションを使用したデータベースの作成が開始されます。

2.3.2.13 DBCAの「進行状況」ウィンドウ

Database Configuration Assistant (DBCA)の「進行状況」ウィンドウには、データベースの作成操作の進行状況が表示されます。

2.3.2.14 DBCAの「終了」ウィンドウ

DBCAの「終了」ウィンドウは、DBCAがデータベースの構成を完了した後に表示されます。

「終了」ウィンドウには、次に関する情報が表示されます。

  • DBCAログ・ファイルの場所

  • グローバル・データベース名、SIDおよびデータベースのサーバー・パラメータ・ファイル名

  • データベースを管理するためのEnterprise Managerへのアクセスに使用するURL

  • 作成されたデータベース・アカウントの管理

2.3.3 DBCAを使用したデータベースの構成の変更

Database Configuration Assistant (DBCA)を使用して、既存のデータベースの構成を変更できます。たとえば、次のような構成の変更を行うことができます。
  • 構成されていないデータベース・オプション(Oracle Label Security、Oracle OLAPなど)の追加

  • デフォルト・セキュリティ設定の変更

  • 専用から共有(または共有から専用)へのサーバー・モードの変更

DBCAを使用してデータベースの構成を変更するには、次の手順を実行します。

  1. DBCAの起動の説明に従って、DBCAを起動します。
  2. 「データベース操作」ウィンドウで、「既存データベースの構成」を選択し、「次へ」をクリックします。
  3. DBCAのガイド付きワークフローの手順に従います。

2.3.4 DBCAを使用したデータベースの削除

Database Configuration Assistant (DBCA)を使用して、データベースを削除できます。DBCAでデータベースを削除すると、データベース・インスタンスが停止され、すべてのデータベース・ファイルが削除されます。Windowsプラットフォームでは、関連Windowsサービスも削除されます。

DBCAを使用してデータベースを削除するには、次の手順を実行します。

  1. DBCAの起動の説明に従って、DBCAを起動します。
  2. 「データベース操作」ウィンドウで、「データベースの削除」を選択し、「次へ」をクリックします。
  3. 削除するデータベースを選択して「次へ」をクリックします。
  4. DBCAのガイド付きワークフローの手順に従います。

2.3.5 DBCAを使用したテンプレートの管理

Database Configuration Assistant (DBCA)テンプレートは、データベースの作成に必要な情報が含まれるXMLファイルです。DBCAでテンプレートを使用すると、新しいデータベースを作成したり、既存のデータベースを複製することができます。テンプレートの情報には、データベース・オプション、初期化パラメータ、記憶域属性(データファイル、表領域、制御ファイルおよびオンラインREDOログ・ファイルの属性)などがあります。

テンプレートは、スクリプトと同様に使用できますが、データベースの複製もできるため、スクリプトよりも強力です。複製では、シード・データベースと呼ばれる既存のデータベースのファイルを正しい場所にコピーするため、時間を節約できます。

テンプレートは、次のディレクトリに格納されています。

ORACLE_HOME/assistants/dbca/templates
2.3.5.1 DBCAテンプレートを使用することの利点
Database Configuration Assistant (DBCA)テンプレートを使用するメリットはいくつかあります。次に例を示します。
  • 時間の節約。テンプレートを使用すると、データベースを定義する必要がありません。

  • 容易な複製作業。使用するデータベースの設定を含むテンプレートを作成すると、パラメータをもう一度指定しなくても、データベースの複製を容易に作成できます。

  • 容易な編集作業。データベース・オプションは、テンプレートの設定から簡単に変更できます。データベース・オプションは、カスタム・データベースまたは非請求テンプレート(.dbbファイル)に対してのみ構成または変更できます。シード・テンプレートのデータベース・オプションは変更できません(データファイル・バックアップも含まれます)。

  • 容易な共有作業。一方のコンピュータからもう一方のコンピュータにテンプレートをコピーできます。

2.3.5.2 DBCAテンプレートのタイプ

Database Configuration Assistant (DBCA)テンプレートには、シード・テンプレートと非シード・テンプレートがあります。

表2-1に、それぞれの特性を示します。

表2-1 DBCAテンプレートのタイプ

タイプ ファイル拡張子 データファイル データベース構造

シード

.dbc

あり

このタイプのテンプレートには、既存のデータベース(シード・データベース)の構造および物理データファイルの両方が含まれています。新しいデータベースは、シード・データベースのコピーとして起動し、次の変更のみを必要とします。

  • データベース名

  • データファイルの格納先

  • 制御ファイルの数

  • オンラインREDOログ・グループの数

  • 初期化パラメータ

これ以外の設定は、データベースの作成後にカスタム・スクリプトを使用して変更できます。スクリプトは、DBCA、コマンドラインのSQL文、またはOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)によって起動できます。

シード・データベースのデータファイルは、Recovery Manager (RMAN)バックアップの圧縮形式で、拡張子が.dfbのファイルに格納されます。シード・データベースの制御ファイルは、拡張子が.ctlのファイルに格納されます。(このファイルは、データファイルをOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループに格納する場合またはデータファイルをOracle Managed Filesとして格納する場合にのみ必要となります。).dbcファイルには、シード・データベースのデータファイルの場所、および制御ファイルをマウントする場合に使用するソース・データベースの名前が含まれています。

非シード

.dbt

なし

このタイプのテンプレートは新しいデータベースを作成するために使用されます。これには作成するデータベースの特性が含まれます。非シード・テンプレートは、すべてのデータファイルおよびオンラインREDOログ・ファイルがユーザーの仕様に合わせて作成され、名前、サイズ、その他の属性を必要に応じて変更できるため、シード・テンプレートより柔軟です。

2.3.5.3 オラクル社によって提供されるDBCAテンプレート
データ・ウェアハウス、汎用目的またはトランザクション処理用データベース、およびカスタム・データベース用のDatabase Configuration Assistant (DBCA)テンプレートが提供されています。表2-2で、これらのテンプレートについて説明します。

表2-2 オラクル社提供のDBCAのテンプレートおよび対応するワークロード

テンプレート ワークロード

データ・ウェアハウス

ユーザーは非常に多数の複雑な問合せを実行して、大量のデータを処理します。したがって、応答時間、精度および可用性が重視されます。

数レコードのフェッチから、多数の異なる表の何千ものレコードをソートする問合せまで、様々な問合せ(SELECT文)が実行されます。

汎用またはトランザクション処理

多くのユーザーが非常に多数のトランザクションを同時に実行するため、データに迅速にアクセスすることが要求されます。可用性、速度、同時実行性およびリカバリ能力が重視されます。

トランザクションは、データベース表内のデータの読取り(SELECT文)、書込み(INSERTおよびUPDATE文)、削除(DELETE文)で構成されます。

カスタム・データベース

このテンプレートを使用すると、最も柔軟にデータベースを定義できます。作成したデータベースのあらゆる設定を変更できます。

2.3.5.4 DBCAを使用したテンプレートの作成

この項の手順に従って、独自のDatabase Configuration Assistant (DBCA)テンプレートを作成します。

テンプレートを作成するには、次の手順を実行します。

  1. DBCAの起動の説明に従って、DBCAを起動します。
  2. 「データベース操作」ウィンドウで、「テンプレートの管理」を選択して「次へ」をクリックします。
  3. テンプレート管理ウィンドウで、「データベース・テンプレートの作成」を選択して次のフィールドに値を入力し、「次へ」をクリックします。
    • テンプレート名

      「テンプレート名」フィールドで指定した名前により、新規データベースの作成時に「データベース・テンプレート」ページに表示されるテンプレートが識別されます。

    • テンプレートの場所

      テンプレートを格納する場所を指定します。

    • 説明

      「説明」 フィールドを使用して、テンプレートを使用して作成されたデータベースの目的および機能に関する情報を指定します。「デプロイメント・タイプ」ページでテンプレートの「詳細の表示」をクリックすると、テンプレート名のすぐ下に説明が表示されます。

  4. DBCAのガイド付きワークフローの手順に従ってテンプレートを作成します。
2.3.5.5 DBCAテンプレートの削除

Database Configuration Assistant (DBCA)テンプレートを削除すると、新しいデータベースまたは新しいテンプレートを作成する場合に使用できなくなります。

テンプレートを削除するには、次の手順を実行します。

  1. DBCAの起動の説明に従って、DBCAを起動します。
  2. 「データベース操作」ウィンドウで、「テンプレートの管理」を選択して「次へ」をクリックします。
  3. 「テンプレート管理」ウィンドウで、「データベース・テンプレートの削除」を選択して「次へ」をクリックします。
  4. 削除するテンプレートを選択して「次へ」をクリックします。
  5. DBCAのガイド付きワークフローの手順に従います。

2.3.6 DBCAを使用したPDBの管理

マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)が存在する場合、Database Configuration Assistant (DBCA)を使用して、CDBでプラガブル・データベース(PDB)の操作を実行できます。たとえば、DBCAを使用して、CDBで次のPDB操作を実行できます。
  • PDBの作成

    このオプションでは、CDBに新しいPDBを作成します。

    DBCAは次のものから新しいPDBを作成できます。

    • 既存のPDBから

    • CDBシード(PDB$SEED)から

    • 切断されたPDBのPDBアーカイブ(.pdb)ファイルの使用

    • 切断されたPDBのPDBファイル・セットの使用

      PDBファイル・セットにはPDBメタデータ(.xml)ファイルおよびPDBデータファイル・バックアップ(.dfb)ファイルが含まれています。

  • PDBの削除

    このオプションでは、PDBを削除します。

  • PDBの切断

    このオプションでは、PDBを切断します。切断されたPDBは、同じCDBまたは別のCDBに接続できます。

    PDBを切断すると、DBCAを使用してPDBアーカイブ(.pdb)ファイルまたはPDBファイル・セット(.xmlファイルおよび.dfbのファイル)を作成できます。

  • PDBの構成

    このオプションを使用すると、PDBに対してOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)ポートを指定できるため、EM Expressを使用してPDBを管理できます。また、その他のデータベース・オプションをPDBに構成することもできます。

2.3.6.1 DBCAを使用したCDBでのPDBの管理

Database Configuration Assistant (DBCA)を使用して、既存のマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)内でプラガブル・データベース(PDB)を作成、切断、削除または構成できます。

注意:

PDB操作はCDBでのみ実行できます。CDB以外のデータベースでPDB操作を実行しようとすると、DBCAによってエラー・メッセージが発行されます。

DBCAを使用してPDBを管理するには、次の手順を実行します。

  1. DBCAの起動の説明に従って、DBCAを起動します。
  2. 「データベース操作」ウィンドウで、「プラガブル・データベースの管理」を選択し、「次へ」をクリックします。
  3. 「プラガブル・データベースの管理」ウィンドウで、PDB操作のいずれかを選択し、「次へ」をクリックします。
  4. 「データベースの選択」ウィンドウで、選択したPDB操作を実行するCDBを選択し、「次へ」をクリックします。
  5. 選択したPDB操作のDBCAのガイド付きワークフローの手順に従います。

関連項目:

2.4 データベースのサンプル・スキーマの手動インストール(インストール後)

データベースの初期インストール後に、データベースのサンプル・スキーマをインストールする場合があります。サンプル・スキーマは、SQLスクリプトを実行して手動で作成できます。

関連項目:

SQLスクリプトを使用したサンプル・スキーマの手動作成の詳細は、『Oracle Databaseサンプル・スキーマ』を参照してください。

2.5 インストール: Oracle by Example Series

Oracle by Example(OBE)には、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』に関するシリーズが含まれています。このOBEシリーズでは、この章のタスクを段階的に説明し、注釈付きのスクリーンショットを使用します。

シリーズは次のチュートリアルで構成されます。
  1. コンテナ・データベースの作成 - 標準モード

  2. コンテナ・データベースの作成 - 拡張モード

  3. 非コンテナ・データベースの作成 - 標準モード

  4. 非コンテナ・データベースの作成 - 拡張モード

  5. 非コンテナ・データベースの拡張インストールの実行

  6. コンテナ・データベースの基本インストールの実行

  7. 非コンテナ・データベースの基本インストールの実行

前述のチュートリアルには2つの方法でアクセスできます。