3 データベース管理の概要

この章では、データベースを管理するための簡単なロードマップを示します。Oracle Databaseを管理するWebベースのインタフェースであるOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)について説明します。

この章の構成は、次のとおりです。

3.1 データベースの管理: 概要

この項では、Oracle Databaseインスタンスの管理タスクの概要について説明します。別のタスクの詳細は、このガイドの各章で説明します。

Oracle Databaseを管理するには、次の手順を実行します。

  1. データベース・インスタンスを起動します。

    インストール後にインスタンスが起動し、データベースがオープンされます。将来電力またはメディア障害によりデータベースのメンテナンスの実行、またはデータベース・インスタンスの終了および再起動をする可能性があります。

    Oracleインスタンスの停止および起動を参照してください。

  2. クライアントのデータベースへの接続を有効にするには、オプションでネットワーク環境を構成します。

    ネットワーク環境の構成を参照してください。

  3. データベース記憶域構造(表領域とデータファイル、オンラインREDOログ・ファイルおよび制御ファイル)を確認します。必要に応じて、記憶域構造を作成または変更します。

    データベース記憶域構造の管理を参照してください。

  4. メモリーの割当てを確認し、必要に応じて調整します。

    メモリーの管理を参照してください。

  5. 必要に応じて、事前定義したデータベースのユーザーを確認し、ロックを解除して、パスワードをリセットします。新規ユーザーを作成し、ロールおよび権限を割り当てます。
  6. 表、ビューおよび索引を含む必要なスキーマ・オブジェクトを作成します。表にデータを入力します。

    スキーマ・オブジェクトの管理を参照してください。

  7. データベースのバックアップ計画を作成または確認し、データベースのバックアップを作成します。

    バックアップおよびリカバリの実行を参照してください。

  8. まだ使用可能になっていない場合は、オンラインREDOログ・ファイルのアーカイブを使用可能にします。

    リカバリ設定の構成を参照してください。

  9. データベース・パフォーマンスを監視し、パフォーマンスの問題を診断し、必要に応じてデータベースをチューニングします。

    データベースの監視およびチューニングを参照してください。

  10. 最新のリリースを使用して、Oracle Databaseソフトウェアを最新の状態に保ちます。

    Oracle Databaseソフトウェアの管理を参照してください。

3.2 オペレーティング・システムの環境変数の構成

Oracle DatabaseにアクセスするSQL*Plusなどの特定のツールを使用する前に、オペレーティング・システム用の環境変数を構成する必要があります。これらの環境変数は、ツールの接続先となるデータベース・インスタンスを判別するときにOracle Databaseによって使用されます。

LinuxおよびUNIXシステム上で、データベース・インスタンス用のオペレーティング・システム環境変数を構成するには、次の手順を実行します。

  1. オペレーティング・システムのコマンド・ウィンドウを開きます。

  2. 環境変数ORACLE_HOMEおよびORACLE_SIDが正しく設定されていることを確認します。これらの環境変数の設定に使用するコマンドは、オペレーティング・システムとのインタフェースに使用するシェルによって異なります。次に例を示します。

    • (bashまたはksh)export ORACLE_SID=orcl

    • (cshまたはtcsh) setenv ORACLE_SID orcl

    これらを設定するには、スクリプトcoraenv(Cシェルの場合)およびoraenv(その他のシェルの場合)を使用します。これらのスクリプトは通常、/usr/local/binにあります。

  3. $ORACLE_HOME/binディレクトリがPATH環境変数に含まれていることを確認します。

  4. /home/oracleなどのソフトウェア所有者のホーム・ディレクトリで、デフォルト・シェル用にプロファイル・ファイルを編集して、そのユーザーとしてログインするたびにこれらの環境変数が設定されるようにすることもできます。

Windowsシステム上で、データベース・インスタンス用のオペレーティング・システム環境変数を構成するには、次の手順を実行します。

  1. オペレーティング・システムのコマンド・ウィンドウを開きます。
  2. regeditを使用して、ORACLE_HOMEおよびORACLE_SIDパラメータがHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ORACLE\KEY_HOME_NAMEレジストリ・サブキーで正しい値に設定されていることを確認します。
  3. %ORACLE_HOME%\binディレクトリがPATH環境変数に含まれていることを確認します。コマンド・プロンプトで次のようなコマンドを使用します。
    set PATH=%ORACLE_HOME%\bin;%PATH%
    

関連項目:

3.3 Oracle Enterprise Manager Database Expressの概要

EM Expressは、Oracle Database内に構築されるWebベースのデータベース管理ツールです。これは、キー・パフォーマンス管理および基本的なデータベース管理機能をサポートしています。構造上の観点から、EM Expressは中間層またはミドルウェア・コンポーネントを持たないため、データベース・サーバーのオーバーヘッドはほとんどありません。

EM Expressを使用すると、ユーザー・セキュリティの管理やデータベース・メモリーおよび記憶域の管理などの管理タスクを実行できます。また、データベースのパフォーマンスおよび情報を参照することも可能です。

EM Expressは、データベースがオープンしているときにのみ使用できます。そのため、データベースの起動にはEM Expressを使用できません。その他のデータベースの状態変更が必要になる操作(ARCHIVELOGモードの有効化や無効化など)も、EM Expressでは利用できません。

注意:

Oracle Database 12cでは、Enterprise Manager Database Controlは使用できません。12cデータベースの管理には、Enterprise Manager Cloud Control 12cまたはEM Express 12cを使用できます。

Enterprise Manager Cloud Controlでは、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)、プラガブル・データベース(PDB)、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)データベースを含む、12cターゲットをサポートしています。

CDBおよびPDBの概要は、Oracle Multitenant管理者ガイドを、CDBおよびPDBの管理の詳細は、Oracle Multitenant管理者ガイドを参照してください。また、Oracle RACデータベースの詳細は、Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドを、Oracle ASMデータベースの詳細は、Oracle Automatic Storage Management管理者ガイドを参照してください。

後述するEnterprise Manager Database Express機能は、非CDB、CDB、PDBまたはOracle RACの各データベース・インスタンスに対して使用できます。

構成:

  • 初期化パラメータ(init.ora)の管理

  • メモリー管理

  • データベース機能の使用

  • データベース・プロパティ

ストレージ:

パフォーマンス:

  • パフォーマンス・ハブ(次の機能を含みます)

    • リアルタイム・パフォーマンス監視とチューニング

    • 履歴パフォーマンスとチューニング

    • SQL監視(リアルタイムと履歴)

    • データベース操作の監視

    • リアルタイムADDMを含むADDM

    • アクティブ・セッション履歴(ASH)分析

  • 自動および手動SQLチューニング・アドバイザ

データベースのホームページ

データベース管理用のメイン・ページはデータベースのホームページです。EM Expressにログインするときにロードされるページです。データベースのホームページへのアクセスについてを参照してください。

ナビゲーション

データベースのホームページの上部にあるメニューでは、データベース管理タスクを異なるカテゴリに編成します。メニュー・オプションを選択すると、そのデータベース管理タスク用のEM Expressのページに移動します。たとえば、ユーザー・ページを表示するには、「セキュリティ」メニューから「ユーザー」を選択します。

関連項目:

Oracle Enterprise Manager Cloud Controlの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

3.4 EM Expressの起動

Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)を使用して、非CDB、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)およびプラガブル・データベース(PDB)を管理できます。EM Expressでは、HTTPSポートを使用して、非CDB、CDBおよびPDBに接続し、管理します。

注意:

EM Expressを使用して、CDB、およびCDB内のすべてのPDB (シードPDBを除く)を管理できます。

EM Expressを使用してデータベースを管理するには、非CDB、CDBまたはPDBのHTTPSポートを把握している必要があります。

非CDB、またはCDBとそのPDBのHTTPSポートは通常、非CDBまたはCDBの構成時に、DBCAによって提供されます。

WebブラウザでEM ExpressのURLを指定する際、localhostではなくデータベース・ホスト名を入力します。

つまり、次の形式でEM ExpressのURLを入力して、EM Expressを起動します。

https://database-hostname:portnumber/em/

次に例を示します。

https://mydbhost.example.com:5500/em/

EM Expressでユーザー名とパスワードの入力を求めるプロンプトが表示された場合は、DBA権限を持つユーザー(SYSSYSTEMなど)としてログインします。

日常的な管理タスクにSYSTEMアカウントを使用するかわりとして推奨される手段の詳細は、SYSおよびSYSTEMユーザーを参照してください。

注意:

WebブラウザでEM ExpressのURLを初めて開くと、ブラウザに警告メッセージが表示される場合があります。

EM Expressは、Oracle XML DB上に構築するサーブレットです。Oracle XML DBには自己署名の証明書付きウォレットがデフォルトでありますが、信頼性のあるCA(認証局)の署名がない自己署名の証明書は、一部の既存のブラウザでは、信頼できないものとみなされてしまいます。ただし、この自己署名の証明書も、Oracle XML DBサーバーおよびクライアント(ブラウザ)間のトラフィックの暗号化を保証しており、安全です。

したがって、WebブラウザにEM ExpressのURL用にセキュリティ例外を入力する必要があります。

3.4.1 非CDB用EM Expressの起動

非CDB用のOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)を起動するには、非CDBの構成時にDatabase Configuration Assistant (DBCA)で提供されるEM Express URLを使用します。URLの割当ての詳細は、Oracle Databaseソフトウェアのインストールを参照してください。URLには、非CDB用のHTTPSポート番号が含まれています。

非CDB用のHTTPSポート番号がわからない場合は、非CDB内で次のSQL文を発行すると、EM Expressに構成されているポートが戻されます。

select dbms_xdb_config.gethttpsport() from dual;

gethttpsportプロシージャによって0以外の値が返された場合、返された値はEM Expressを使用して非CDBに接続するために使用する必要のあるポートです。

プロシージャによって値0が返された場合は、HTTPSポートが非CDBに対して構成されていないことを意味します。この場合は、EM ExpressのHTTPSポートの構成の手順に従って、この非CDB用のHTTPSポートを手動で構成する必要があります。

関連項目:

3.4.2 CDB用EM Expressの起動

マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)用のOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)を起動するには、Database Configuration Assistant (DBCA)によるCDBの構成時にDBCAで提供されるEM Express URLを使用します。URLの割当ての詳細は、Oracle Databaseソフトウェアのインストールを参照してください。URLには、CDB用のHTTPSポート番号が含まれています。

CDB用のHTTPSポート番号がわからない場合は、ルートに移動して、EM Expressに構成されているポートを戻す次のSQL文を発行します。

alter session set container=CDB$ROOT;
select dbms_xdb_config.gethttpsport() from dual;

gethttpsportプロシージャによって0以外の値が返された場合、返された値はEM Expressを使用してCDBに接続するために使用する必要のあるポートです。

この文によって値0が返された場合は、HTTPSポートがCDBに対して構成されていないことを意味します。この場合は、EM ExpressのHTTPSポートの構成の手順に従って、このCDB用のHTTPSポートを手動で構成する必要があります。

ルートに接続されている場合、EM ExpressにはCDB全体に該当するデータが表示され、アクションが有効になります。

関連項目:

3.4.3 PDB用EM Expressの起動

PDB用のEM Expressを起動するには、PDBが読取り/書込みモードで開かれていることを確認してから、このトピックで説明している次の方法の1つを(次に示す順序で)試します。

  1. PDBを含んでいるCDBのCDB$ROOTコンテナに接続して、CDBのグローバル・ポートを構成するために次のSQL文を発行します。

    exec dbms_xdb_config.setglobalportenabled(TRUE);
  2. 次に、PDBを含んでいるCDBを構成したときにDatabase Configuration Assistant (DBCA)によって提供されたEM Express URLを、Webブラウザで入力します。

    デフォルトでは、DBCAがCDBに対して構成するHTTPSポートは、そのCDB内のPDBにも使用できます。

  3. EM Expressログイン画面が表示されたら、管理者資格証明を指定し、接続するPDBの名前を「コンテナ名」フィールドに入力します。

グローバル・ポートを使用する利点は、PDBごとにポートを構成する必要がなくなることです。(大規模なサイトの場合は、数千のPDBが存在することもあります)。グローバル・ポートの場合は、1つのポートを構成してから、そのポートを指すようにEM Expressを設定します。2つめの利点は、このPDBのポート番号を調べる必要がないことです。この構成では、リクエストが自動的にPDBにルーティングされます。

EM ExpressがPDBに接続しない場合は、次の方法を試します。

  1. 管理するPDB (この例ではPDB1)に接続し、 gethttpsportプロシージャを使用して、HTTPSポートがEM Expressに対して構成されているかどうかを判別します。

    alter session set container=PDB1;
    select dbms_xdb_config.gethttpsport() from dual;

    gethttpsportプロシージャによって0以外の値が返された場合、返された値はEM Expressを使用してPDBに接続するために使用する必要のあるポートです。

  2. gethttpsportプロシージャによって0が返される場合は、EM ExpressのHTTPSポートの構成の手順に従って、このPDB用にHTTPSポートを手動で構成する必要があります。

    PDBのHTTPSポートを手動で構成した後で、EM Express URLにそのポートを指定して、そのPDBに接続できます。EM Express URLでPDBに対して手動で構成したHTTPSポートを使用する場合、このポートはそのPDBへのアクセスにのみ使用できるため、「コンテナ名」フィールドはEM Expressログイン画面に表示されません。

PDBに接続されている場合、EM Expressには、PDBのみに該当するデータが表示され、アクションが有効になります。

関連項目:

3.5 EM ExpressのHTTPSポートの構成

この項のステップを実行する必要があるのは、データベースまたはプラガブル・データベース(PDB)の構成時にDatabase Configuration Assistant (DBCA)によってOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)のURLが指定されなかった場合、またはEM Expressのポートを後で変更する必要がある場合のみです。それ以外の場合は、EM Expressの起動の指示に従って、EM Expressを起動できます。

WebブラウザからEM Expressにアクセスする前に、EM ExpressのHTTPSポートを構成する必要があります。EM ExpressのHTTPSポートを構成したら、それを使用してEM Expressにアクセスします。

EM ExpressのHTTPSポートを手動で構成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Netリスナー(リスナー)を構成および起動します。lsnrctlを使用すると、リスナーのステータスを開始、停止、および表示できます。
  2. リスナーが標準ポート以外(例: 1521)で起動中の場合には、HTTPSポートを正しいリスナーに登録できるように、EM Expressを使用して管理するデータベースのinit.oraファイルにlocal_listenerエントリを含める必要があります。local_listenerエントリによって、正しいリスナーを指すTNSNAMESエントリが参照されます。次に例を示します。
    local_listener=inst1
    

    ここで、inst1は、リスナーを指すtnsnames.oraで定義されているTNSNAMESエントリです。次に例を示します。

    inst1= (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=host_name)(PORT=1234))
    (CONNECT_DATA=(SERVICE_NAME=service_name)(SERVER=DEDICATED)))
    

    たとえば、1234は、リスナーがリスニングするように構成されている標準以外のポートです。

  3. EM Expressを使用して管理するデータベースのinit.oraファイルに次のエントリを追加することによって、TCPディスパッチャを有効にします。
    dispatchers="(PROTOCOL=TCP)(SERVICE=<sid>XDB)"
    

    たとえば、データベースSIDがORCLである場合、エントリは次のようになります。

    dispatchers="(PROTOCOL=TCP)(SERVICE=ORCLXDB)"
    
  4. init.oraファイルで行われた変更を有効にするために、データベースを再起動します。
  5. PL/SQLプロシージャDBMS_XDB_CONFIG.SETHTTPSPORTを使用して、データベース用のEM ExpressのHTTPSポートを未使用のポートに設定します。これによって、Oracle XML DBリポジトリのxdbconfig.xmlファイルのHTTPS portが更新されます。プロシージャを実行するには、SYS / AS SYSDBAとして接続する必要があります。

    たとえば、非CDB用のEM ExpressのHTTPSポートは、次のように設定します。

    SQL> exec DBMS_XDB_CONFIG.SETHTTPSPORT(5500);
    

    マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)用にEM ExpressのHTTPSポートを設定するには、CDBのルートに移動してから、CDB内でPL/SQLプロシージャDBMS_XDB_CONFIG.SETHTTPSPORTを使用して、CDB用のEM ExpressのHTTPSポートを未使用のポートに設定します。これによって、Oracle XML DBリポジトリのxdbconfig.xmlファイルのHTTPS portが更新されます。プロシージャを実行するには、SYS / AS SYSDBAとして接続する必要があります。次に例を示します。

    SQL> alter session set container=CDB$ROOT;
    SQL> exec DBMS_XDB_CONFIG.SETHTTPSPORT(5501);
    

    PDB用にEM ExpressのHTTPSポートを設定するには、PDBが読取り/書込みモードでオープンしていることを確認してから、PDB内でPL/SQLプロシージャDBMS_XDB_CONFIG.SETHTTPSPORTを使用して、PDB用のEM ExpressのHTTPSポートを未使用のポートに設定します。これによって、Oracle XML DBリポジトリのxdbconfig.xmlファイルのHTTPS portが更新されます。プロシージャを実行するには、SYS / AS SYSDBAとして接続する必要があります。次に例を示します。

    SQL> alter session set container=PDB1;
    SQL> exec DBMS_XDB_CONFIG.SETHTTPSPORT(5502);
    

    次のコマンドを使用して、ポートがリスナーに登録されていることを確認します。

    $ lsnrctl status | grep -i 5502
    (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcps)(HOST=hostname.example.com)(PORT=5502)
    )(Security=(my_wallet_directory=/$ORACLE_BASE/admin/sid/xdb_wallet))
    (Presentation=HTTP)(Session=RAW))
    
  6. 非CDB、CDBまたはPDB用のEM Expressにアクセスするには、Webブラウザに次の形式でURLを入力して、管理する非CDB、CDBまたはPDB用のEM Expressのポート番号を指定します。
    https://database-hostname:portnumber/em/
    

    次に例を示します。

    https://mydbhost.example.com:5500/em/
    

    ユーザー名とパスワードの入力を求めるプロンプトが表示された場合は、DBA権限を持つユーザー(SYSSYSTEMなど)としてログインします。

    注意:

    EM ExpressのTLSバージョンはデータベースのsqlnet.oraファイルに設定されているSSL_VERSIONパラメータによって決まります。

    SSL_VERSIONパラメータの詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。

    関連項目:

3.6 EM ExpressおよびDatabase Cloud Serviceデプロイメントについて

EM Expressを使用してOracle Databaseオンプレミス・データベースをモニターおよび管理することに加え、EM Expressを使用してOracle Database Cloud Service(DBCS)データベース・デプロイメントを管理することもできます。

EM Expressを使用したDBCSデータベース・デプロイメントの管理の詳細は、Oracle Cloud Oracle Database Cloud Serviceの管理を参照してください。

3.7 データベースのホームページのアクセス

データベースのホームページはOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)のメイン・データベース管理ページです。

データベースのホームページにアクセスするには、次の手順を実行します。

  1. EM ExpressのHTTPSポートが構成されていることを確認します。

    EM ExpressのHTTPSポートの構成を参照してください。

  2. Webブラウザで、管理するデータベースまたはプラガブル・データベース(PDB)用のEM ExpressのURLを次のように入力します。
    https://database-hostname:portnumber/em
    

    たとえば、mydbhost.example.comという名前のホスト・コンピュータにデータベースをインストールし、ポート番号5500をデータベース用のEM ExpressのHTTPSポート番号として構成している場合は、次のURLを入力します。

    https://mydbhost.example.com:5500/em
    

    EM Expressにアクセスしたときに、データベース・インスタンスが実行中の場合は、ログイン・ページが表示されます。

    データベース・インスタンスが実行されていない場合は、起動します。インスタンスの起動の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

    ポート番号5501を、管理するPDB用のEM ExpressのHTTPSポート番号として構成している場合は、次のURLを入力します。

    https://mydbhost.example.com:5501/em
    

    PDBが読取り/書込みモードでオープンしている場合は、EM Expressへのアクセス時に「ログイン」ページが表示されます。

    PDBが読取り/書込みモードでオープンしていない場合は、読取り/書込みモードでオープンします。ALTER PLUGGABLE DATABASE文を使用したPDBの読取り/書込みモードでのオープンの詳細は、Oracle Multitenant管理者ガイドを参照してください。

  3. EM Expressにアクセス権限のあるユーザー・アカウントでデータベースまたはPDBにログインします。EM Expressに対してEM_EXPRESS_BASICおよびEM_EXPRESS_ALLロールが作成され、これらのロールの少なくとも1つを付与されたユーザーがEM Expressにログインできます。

    このユーザーは、最初はSYSまたはSYSTEMのいずれかで、データベースのインストール時に指定したパスワードを使用します。

    SYSTEMアカウントを使用すると日常的な管理タスクは実行できますが、Oracle Databaseを管理するための名前付きユーザー・アカウントを作成して、データベース・アクティビティを監視できるようにすることをお薦めします。データベースのバックアップ、リカバリまたはアップグレードを行うには、SYSDBA権限のあるユーザーとしてログインする必要があります。

    EM Expressにデータベースのホームページが表示されます。

    注意:

    上のデータベース・ホームページはCDB用です。「パフォーマンス」セクションの「コンテナ」タブは、非CDBまたはPDBのデータベース・ホームページに表示されません。

  4. 他のEM Expressページに移動した後、データベースのホームページに戻るには、次の手順を実行します。
    • EM Expressページの最上部左側にあるデータベース・アイコンをクリックします。

    • データベースのホームページが表示されるまで、Webブラウザの「戻る」ボタンをクリックします。

データベース・ホームページの様々なセクションでは、データベースの環境および状態について説明します。「ステータス」セクションには、データベースの基本情報が表示されます。データベース・インスタンスがマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)の場合、「ステータス」セクションの「タイプ」フィールドの次の行はリンクになっていて、このインスタンスをCDBとして識別し、CDB内のPDB数を示します。「CDB (n PDB)」リンクをクリックすると、CDBの「コンテナ」ページが開き、CDBコンテナ(PDB)のステータス、パフォーマンスおよびリソース情報が表示されます。「インシデント - 過去24時間」セクションには、過去24時間のデータベースのクリティカル・エラーのアラートが示されます。また、「SQLモニター」セクションでは、データベースのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性のある長時間実行中のSQL文に警告が出されます。メニュー・オプションを使用すると、問題領域に関する詳細を参照できる以外に、場合によっては問題解決の推奨事項を入手できます。「データベースの監視およびチューニング」を参照してください。

3.8 非管理ユーザーのEM Expressへのアクセス権の付与

データベース管理者は、SYSまたはSYSTEMユーザー・アカウントを使用してOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)にログインし、管理タスクおよびその他のタスクを実行できます。非管理ユーザーがEM Expressにログインする可能性もあります。たとえば、アプリケーション開発者はEM Expressインタフェースを利用して、表、索引、ビューなどの作成または変更を行う必要があります。これらのユーザーには、ログインできるようにEM Expressへのアクセス権を付与する必要があります。

非管理ユーザーにEM Expressへのアクセス権を付与するには、EM_EXPRESS_BASICまたはEM_EXPRESS_ALLロールを付与する必要があります。

EM_EXPRESS_BASICロールを使用すると、ユーザーはEM Expressに接続して、読取り専用モードでページを表示できます。EM_EXPRESS_BASICロールは、SELECT_CATALOG_ROLEロールを含みます。

EM_EXPRESS_ALLロールを使用すると、ユーザーはEM Expressに接続して、EM Expressによって提供されるすべての機能を使用できます(EM Expressのすべての機能への読取り/書込みアクセス権があります)。EM_EXPRESS_ALLロールは、EM_EXPRESS_BASICロールを含みます。

ユーザー・アカウントへの権限およびロールの付与の例については、例: ユーザー・アカウントへの権限およびロールの付与を参照してください。

関連項目:

3.9 SQLベースの管理ツールを使用したデータベースの管理

Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)に用意されているグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)ページ以外にも、SQL DeveloperやSQL*Plusなどの他のOracleツールを使用してデータベースを管理できます。これらのツールを使用すると、データベース管理操作を実行して、データベースでのデータの問合せ、挿入、更新または削除ができます。

この項の内容は、次のとおりです。

3.9.1 SQLについて

多くの操作を実行するために、Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)はStructured Query Language(SQL)文をデータベースに送信します。SQL(シークェルと読む)は、データベースへの問合せや更新を行う業界標準の英語形式のコンピュータ・プログラミング言語です。

次はユーザーhrに所有されている国表にある国々についての情報をリストしたSQL問合せの一例です。

SELECT COUNTRY_ID, COUNTRY_NAME FROM HR.COUNTRIES;

SQLは各種のデータベース管理タスクの実行にも使用できる強力な言語です。次のSQL文はデータベース・ユーザーnickを作成し、指定したパスワード(passwordで表されている)を割り当てます。

CREATE USER nick IDENTIFIED BY password;

EM Express内で管理タスクを実行する場合は、「SQL表示」をクリックすると、EM Expressによって生成および送信されるSQL文を表示できます。

3.9.2 SQL*Plusについて

SQL*PlusはOracle DatabaseへSQL文およびPL/SQL文の送信に使用するコマンドライン・プログラムです。これらの文はSQL*Plusスクリプトとして相互作用的に送信できます。SQL*Plusはデータベースとともにインストールされ、ORACLE_HOME/binディレクトリに保存されます。

コマンドライン、またはWindowsの「スタート」メニューから、SQL*Plusを開始できます。

SQL*Plusがロードされると、次のようなSQLプロンプトが発行されます。

SQL>

SQLプロンプトで、データベースの停止または新規ユーザーなどの管理タスクを実行する文を入力するか、データの問合せ、挿入、更新および削除が可能です。

単一のSQL文を複数行に入力できます。各文の最後には、セミコロン(;)を入れる必要があります。ほとんどの文では、1行にスラッシュのみを入力すると、文を再実行できます。

3.9.3 SQL*Plusの起動およびデータベースへの接続

この項では、コマンドラインおよびWindowsのスタート・メニューからSQL*Plusを起動してデータベースに接続する方法について説明します。

新しいインストールでは、SYSまたはSYSTEMデータベース・アカウントを使用して、データベースに接続します。ユーザー名としてSYSまたはスラッシュ(/)を入力して、AS SYSDBA句を指定すると、オペレーティング・システム認証を使用して、アクセスの認証が行われます。オペレーティング・システム認証では、Windows、UNIXまたはLinuxのホスト・ユーザー・アカウントを使用してOracle Databaseに対する認証が行われます。特別なユーザー・グループのメンバーであるユーザー・アカウントを持つホスト・コンピュータにログインする必要があります。UNIXおよびLinuxの場合、通常、このユーザー・グループはdbaです。このタイプの認証を使用すると、起動されていないOracle Databaseに接続できるため、起動されていないOracle Databaseを起動できます。詳細は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください。

次の手順は、SYSDBA権限を使用して、ユーザーSYSとしてデータベースにログインする方法を示しています。

SQL*Plusを起動してコマンドラインからデータベースに接続するには、次の手順を実行します。

  1. コマンド・ウィンドウを開きます。

  2. オペレーティング・システムの環境変数を構成します。詳細は、オペレーティング・システムの環境変数の構成を参照してください。

  3. 次の形式でコマンドを使用し、SQL*Plusを起動します。

    sqlplus {username | /} [as sysdba]
    

    次に、このコマンドの例を示します。

    $ sqlplus / AS SYSDBA
    Enter password: password
    

    usernameには、SYSまたはSYSTEM管理ユーザーを使用できます。プロンプトで、インストール時に設定したパスワードを入力します。SYSユーザーを使用した場合は、ユーザー名の後にAS SYSDBAを含める必要があります。

    SQL*Plusでは、デフォルトのデータベース・インスタンス(Microsoft Windows)または環境変数(LinuxおよびUNIX)により指定されたデータベース・インスタンスに接続されます。

Windowsの「スタート」メニューからSQL*Plusを起動してデータベースに接続するには、次の手順を実行します。

  1. オペレーティング・システムの環境変数を構成します。詳細は、オペレーティング・システムの環境変数の構成を参照してください。

  2. 「スタート」をクリックして、「プログラム」(または「すべてのプログラム」)→「Oracle - HOME_NAME」→「Application Development」「SQL*Plus」を選択します。

  3. プロンプトが表示されたら、データベースとの接続に使用するアカウントのユーザー名およびパスワードを入力します。

    ユーザー名には、SYSまたはSYSTEM管理アカウントを使用できます。インストール時に指定したパスワードを使用できます。

    ユーザー名としてSYSまたは/を使用する場合は、次の例に示すように、空白の後にAS SYSDBA句を続けます。

    Enter user-name: SYS AS SYSDBA
    Enter password: password
    
    or
    
    Enter user-name: / AS SYSDBA

3.9.4 SQL Developerについて

SQL DeveloperはOracle Databaseにアクセスするための別のGUIです。SQL DeveloperではSQLとPL/SQLの両言語による開発がサポートされています。Oracle Databaseのデフォルトのインストールで使用可能です。

SQL Developerではデータベース・オブジェクトの参照、SQL文とSQLスクリプトの実行、PL/SQL文の編集およびデバッグを実行できます。また、付属のレポートを実行できるだけでなく、独自のレポートを作成して保存することもできます。

最新リリースのSQL Developerは、Oracle Technology Network (OTN)のWebサイトからダウンロードできます。

関連項目:

3.10 データベース管理の概要: Oracle by Example Series

Oracle by Example(OBE)には、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』に関するシリーズが含まれています。このOBEシリーズでは、この章のタスクを段階的に説明し、注釈付きのスクリーンショットを使用します。

シリーズは次のチュートリアルで構成されます。
  1. Oracle Enterprise Manager Expressの起動

  2. EM ExpressのHTTPSポートの構成

  3. EM Database Expressでのデータベース・ホームページへのアクセス

前述のチュートリアルには2つの方法でアクセスできます。
  • 前述のチュートリアルのクリック可能なリストを表示するには、「データベース管理の概要シリーズ」に移動します。

  • チュートリアル・シリーズを介してシームレスにナビゲートするには、次のリンクにアクセスしてください。

    データベース管理の概要

    ペイン下部にある「>」ボタンをクリックして、チュートリアル間を移動できます。



脚注の凡例

脚注1:

CDBで、この機能を使用できるのはCDBに対してのみで、個別のPDBには使用できません。