データ サービス開発者ガイド

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く     
ここから内容の開始

データ サービスの概要

BEA WebLogic Application Server によって、アプリケーション開発者がインターネット経由のマルチユーザ アプリケーションの管理に伴う退屈な作業から解放されたように、BEA Aqualogic Data Services Platform を使用すると、データ アプリケーション開発者は、基底の物理データ ソースを直接プログラミングする必要がなくなり、エンタープライズ情報の開発と拡張に集中することができます。

AquaLogic Data Services Platform は最先端の標準を利用しており、どの Web ベース アプリケーションからもアクセスできる、階層的な、企業全体にわたるデータ サービスを作成することができます。

特に、データ サービスを利用すると次のようなことが可能となります。

注意 : AquaLogic Data Services Platform の旧製品名は Liquid Data です。 製品、インストール パス、およびコンポーネントの一部のアーティファクトが、旧製品名のままになっている場合があります。
図 1-1 BEA の統合開発環境

BEA の統合開発環境

 


データ サービスと企業

現代の企業では、一般に、データはいつでも利用できる状態になっています。 そのため、データ ウェアハウス、データ マート、データ マイン、その他のコストのかかる既存のデータ構造の複製などへ、物理的なデータを移動する必要は少なくなりました。しかし、動的なデータ統合、迅速なセキュア アクセスと更新、データ変換、データの同期などの問題は、IT 業界が抱える最も難しい課題として残されています。

AquaLogic Data Services Platform は、この課題に対応する包括的な手法を次のように提供しています。

AquaLogic Data Services Platform を使用すると、データ ソースのインポート、物理モデルと論理モデルの作成、クエリの設計などのプロセスを通じて、論理データ構造を作成、改良、および検証することができます。この論理データ構造は、インフラストラクチャ内のアプリケーションで使用されるもので、管理が容易でありながら、セキュリティとパフォーマンスも強化します。

標準化されたサービス データ オブジェクト (SDO) 技術を通じて、Web ベース アプリケーションは、リレーショナル データの読み取りおよび更新を自動的に行うことができます。 単純な Java プログラムを使用して、AquaLogic Data Services Platform の更新機能を拡張し、任意の論理データ ソースをサポートすることができます。

データ アクセス統合アーキテクチャ

現代のエンタープライズ コンピューティングでは、通常、データは複数の処理レイヤおよびストレージ レイヤを経由して渡されます。 エンタープライズ データに簡単にアクセスできる一方で、そのデータを経済的かつ効率的に有用な情報、特に更新可能な情報へ変換することは、依然として難しく手のかかる作業です。

図 1-2 AquaLogic Data Services Platform のコンポーネント アーキテクチャ

AquaLogic Data Services Platform のコンポーネント アーキテクチャ

AquaLogic Data Services Platform は、物理データ ソースの周囲に論理データ サービスを構築することにより、統合アーキテクチャの作成という問題に対応しています。そのため、ビジネス ロジックは、管理が容易でグラフィカルに設計される XML クエリ関数 (XQuery とも呼ばれる) の一部として追加することができます。

JDBC などの標準のプロトコルを使用して、AquaLogic Data Services Platform はデータ ソースを自動的に参照し、物理データ ソースをモデル化した物理データ サービスと対応するスキーマを作成します。 モデル ダイアグラム (省略可能) は、主キーや外部キーのようなリレーショナル データ ソース間の関係をとらえるものです。

WebLogic Workshop アプリケーションには、AquaLogic Data Services Platform ベースのプロジェクトを含めることができます。 どのアプリケーションからも、Mediator API または AquaLogic Data Services Platform Control を介して、AquaLogic Data Services Platform クエリ (更新関数を含む) にアクセスできます。 リレーショナル データの場合は、サービス データ オブジェクト (SDO) を通じて、更新を自動的に実行できます (詳細については、AquaLogic Data Services Platform の『クライアント アプリケーション開発者ガイド』の「データ プログラミング モデルと更新フレームワーク」を参照してください)。

AquaLogic Data Services Platform は、WebLogic Workshop アプリケーションの中で、統合されたクエリを開発する機能を提供しています。 各アプリケーションには、WebLogic Workshop で提供される他のタイプのプロジェクトに加えて、複数の AquaLogic Data Services Platform ベースのプロジェクトを含めることができます。

図 1-3 サンプル データ サービス

サンプル データ サービス

AquaLogic Data Services Platform のアプリケーションとプロジェクト

AquaLogic Data Services Platform のクエリおよびモデル開発サービスは、AquaLogic Data Services Platform ベースの WebLogic Workshop プロジェクトから利用できます。 AquaLogic Data Services Platform をインストールすると (『インストール ガイド』を参照)、次の 2 つの方法が可能になります。

AquaLogic Data Services Platform ベースのプロジェクトで使用可能なサービス

AquaLogic Data Services Platform ベースのプロジェクトは、モデルやクエリ関数の開発で使用される、相互に関連した多数のデータ サービスで構成されます。 サービス コンポーネントは、これらのサービスと関数を、アプリケーション内で迅速に開発、プロトタイピング、デプロイメントできるように設計されています。

AquaLogic Data Services Platform プラットフォームで提供される主なサービスを表 1-4 に示します。

表 1-4 AquaLogic Data Services Platform で提供される主なサービスの一覧
サービス
機能
データ サービスとデータのモデル化
  • 物理モデル
  • 論理モデル
  • 関係
  • 読み取り関数
  • プロシージャ
  • ナビゲーション関数
  • ロール
メタデータの管理
  • メタデータの参照
  • メタデータの検索
  • 影響分析
  • 監査
  • レポート
メタデータのインポート
  • リレーショナル、Web サービス、XML ファイル、文字区切り形式ファイル、Java
  • メタデータの更新
クエリの管理
  • グラフィカルなクエリ開発
  • テスト
  • プラン分析
  • パフォーマンスのレポート
  • 監査
  • ソースの編集
  • キャッシング
  • セキュリティ
アプリケーション サービス
  • Mediator API
  • AquaLogic Data Services Platform コントロール
  • JDBC
サービス データ オブジェクト (SDO)
  • リレーショナル ソースの自動的な読み取りおよび書き込み
  • カスタム更新
XQuery エンジン
  • 反転関数

WebLogic Workshop のアプリケーションとプロジェクトの詳細については、WebLogic Workshop オンライン ドキュメントの「アプリケーションとプロジェクト」を参照してください。

AquaLogic Data Services Platform の役割と分担

AquaLogic Data Services Platform の一般的な開発プロセス

以下の手順は、AquaLogic Data Services Platform ベースのプロジェクトの一般的な開発サイクルの概要です。

  1. プロジェクトを作成する。 新しいまたは既存の WebLogic Workshop アプリケーションの中に AquaLogic Data Services Platform ベースのプロジェクトを作成します。「AquaLogic Data Services Platform ベースのアプリケーションの作成」および「AquaLogic Data Services Platform プロジェクトの既存の BEA WebLogic アプリケーションへの追加」を参照してください。
  2. メタデータをインポートする。 ローカル アプリケーションまたは BEA WebLogic Server から使用可能であれば、どのデータ ソースのメタデータでも取得できます。 データ ソースには、リレーショナル データ、Web サービス データ、文字区切り形式ファイル (スプレッドシート)、カスタム Java 関数、XML ファイルなどがあります。 「エンタープライズ メタデータの取得」を参照してください。
  3. データ モデルを作成する。 選択したデータ サービス間の関係とカーディナリティを表すデータ モデルをグラフィカルに作成できます (詳細については、「データ サービスのモデル化」を参照してください)。 また、データ モデルでは、さまざまなデータ サービスの関係や戻り値型を変更したり拡張したりできます。
  4. データ サービスを開発する。 複数の物理または論理データ サービスにわたるクエリを通じて既存の物理データを詳細に記述することができます (「データ サービスの設計」)。 組み込みの XQuery エディタ (「XQuery エディタの操作」) には、標準の XQuery 関数と言語構造のプロトタイプが用意されています。 エディタを使用してソース要素や変換を戻り値型にマップできます。
  5. データ サービス パレットでは、アプリケーションで使用できるすべてのデータ サービスにアクセスできます。 クエリとデータ サービス ロジックは、データ サービスと完全に統合された単一の編集可能なソース ファイルに保存されます (「XQuery ソースの操作」)。

  6. 関数をテストする。 作成したデータ サービス関数はいつでもテストできます。 現在のデータ サービスの任意のクエリを選択し、単純または複合パラメータを追加して (必要な場合)、クエリを実行し、結果を確認します (「クエリ関数のテストとクエリ プランの表示」)。 適切なパーミッションがある場合は、テスト ビューからソース データを更新することもできます。
  7. クエリ プランを確認する。 クエリを実行する前または後に、クエリ プランを表示できます。 クエリ プランにはデータの取得と更新に使用する、生成された文が記述されています。 実行時の統計も利用できます (「クエリ プラン ビューの使用」)。

例、サンプル、およびチュートリアル

このドキュメントで使用されるサンプルと例は、AquaLogic Data Services Platform に含まれている小売サンプルアプリケーション (RTLApp) に基づいています。 AquaLogic Data Services Platform の『インストール ガイド』の「小売サンプル アプリケーションの概要」も参照してください。

AquaLogic Data Services Platform サンプル チュートリアルには、AquaLogic Data Services Platform 技術の多数の例があります。 このチュートリアルは RTLApp に基づいています。

チュートリアルにアクセスするには、AquaLogic Data Services Platform の e-docs のページを参照してください。


http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/aldsp/docs25/index.html

  ページの先頭       前  次