Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド 10g リリース2(10.2) for AIX Based Systems B25017-03 |
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この章では、Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters(RAC)のインストールおよび構成手順の概要を説明します。この章の内容は次のとおりです。
この項では、Oracle ClusterwareおよびRACのドキュメントについて説明します。
このマニュアルには、AIXで、インストール前のタスク、インストールおよびインストール後のタスクを完了するために必要な情報が含まれています。今回のリリースに関する追加情報は、Oracle Database 10g のREADMEまたはリリース・ノートを参照してください。
『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』では、投票ディスクや、Oracle Cluster Registry(OCR)デバイスなどのOracle Clusterwareコンポーネントの管理方法について説明しています。また、記憶域の管理方法、RACのスケーラビリティ機能を使用したインスタンスやノードの追加および削除方法、Recovery Manager(RMAN)の使用方法、およびRACでのバックアップおよびリカバリの実行方法について説明しています。
『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』では、サービス、高可用性、ワークロード管理など、RACの配置についての内容を説明しています。自動ワークロード・リポジトリ(AWR)によるサービス・レベルの追跡とレポート方法、サービス・レベルのしきい値とアラートを使用して、ご使用のRAC環境での高可用性を改善する方法についても説明しています。また、Oracle Clusterwareを使用して、アプリケーションの可用性を向上する方法についても説明しています。
『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』には、Oracle Enterprise Manager、およびAWRとOracleデータベース・パフォーマンス・ビューの情報を使用した、RAC環境でのパフォーマンスの監視およびチューニング方法についても説明しています。また、オンライン・トランザクション処理およびデータ・ウェアハウス環境に対するアプリケーション固有の配置方法についても説明しています。
Oracle Clusterware、またはOracle ClusterwareおよびRACのインストールに含める各ノードは、このマニュアルの第II部に示すハードウェア要件およびソフトウェア要件を満たす必要があります。新しいクラスタ検証ユーティリティを使用すると、要件の検証を簡単に行うことができます。
RACデータベースの設定および構成に関連する概要が不明な場合は、『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照して、サービス、記憶域の設定などの概要や、クラスタの構成に関連するその他の情報を理解してください。
クラスタ検証ユーティリティ(CVU)は、Oracle Clusterwareと、Oracle Database 10g リリース2(10.2)およびReal Application Clustersで提供されています。CVUを使用することによって、管理者またはハードウェア・ベンダーは、Oracle Clusterware、またはOracle ClusterwareとRACデータベースの正常なインストールに必要なすべてのコンポーネントが正しくインストールおよび構成されていることを、設定および構成時に検証できます。また、必要に応じてRACクラスタを変更する場合に役立ちます。このマニュアルでは、作業の検証に使用するCVUコマンドを示します。
CVUコマンドには、次の2種類があります。
このマニュアルでは、必要に応じて、CVUのステージ・コマンドおよびコンポーネント・コマンドを使用してクラスタを検証する方法を示します。
Oracle Universal Installer(OUI)は、Oracleデータベースのインストールおよび構成に役立つGraphical User Interface(GUI)ツールです。様々なコマンド・オプションを使用して、インストールの事前チェック、特別なインストール・プロセスおよびその他の作業を実行できます。OUIオプションの概要を参照するには、Oracleホーム・ディレクトリ内のディレクトリ・パスoui/bin
に移動して、次のコマンドを入力します。
$ ./runInstaller -help
Oracle Database 10g の新しいリリースへのアップグレードに必要な手順は、現在使用しているデータベースのリリース番号によって異なります。Oracleデータベースは、現在のリリースから最新のリリースに直接アップグレードするこができない場合があります。現在のリリースによっては、Oracle Database 10g の新しいリリースにアップグレードするまでに、1つ以上の中間リリースを介する必要がある場合があります。
たとえば、現在実行しているデータベースがリリース8.1.6である場合は、最初にリリース8.1.7用の移行ガイドに従って、リリース8.1.7にアップグレードします。その後、リリース8.1.7のデータベースをOracle Database 10g の新しいリリースにアップグレードできます。
Oracle9i データベースは、Oracle Database 10g リリース2(10.2)と共存させることができます。ただし、データベースの別々のリリースを共存させる場合は、Oracle9i がすでにインストールされている状態で、Oracle Database 10g をインストールする必要があります。Oracle10g をインストールした後で、Oracle9i をインストールすることはできません。
クラスタ内の各ノードには、次のハードウェアが必要です。
使用可能なストレージ・ディスクの構成オプションについては、第3章を参照してください。これらのオプションを確認してから、RAC環境で使用する記憶域オプションを決定してください。データベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を使用して自動ディスク・バックアップを構成する場合は、データベース・リカバリ領域を使用し、この領域を共有する必要があることに注意してください。
プライベート・インターコネクトは、Oracle Clusterware、RACの両方でノード間通信に使用します。各ノードの/etc/hosts
ファイルにプライベートIPアドレスが記述されている必要があります。
Oracle Clusterwareのインストール中に指定したプライベートIPアドレスから、Oracle Clusterwareがそれ独自の通信のために使用するプライベート・インターコネクトが決定されます。これらはすべて使用可能であり、ping
コマンドに応答可能である必要があります。
プライベート・ネットワーク全体で使用可能な論理(インターネット・プロトコル)IPアドレスを使用することをお薦めします。また、ご使用のサードパーティ・ベンダーの手順に従って、フェイルオーバーをサポートするように製品を構成し、オペレーティング・システムによるフェイルオーバーのメカニズムを利用することをお薦めします。
インストール中、このパブリック仮想IPアドレス(VIP)は、クラスタ内のすべてのノードで同じインタフェース名に対応付けられている必要があります。クラスタ内のすべてのノードで使用するIPアドレスは、同一のサブネットに存在する必要があります。ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)を使用する場合は、DNSにVIPのホスト名を登録します。これはOracle Clusterwareが管理するVIPであるため、インストール時には使用しないでください。
/etc/hosts
ファイルと、データベースにアクセスする必要があるクライアント・システムの/etc/hosts
ファイルに存在することを確認する必要があります。クラスタの各ノードには、キャッシュ・フュージョンおよびOracle Clusterwareポーリングをサポートするために、サポートされたインターコネクト・ソフトウェア・プロトコルが必要です。インターコネクトは、ご使用のプラットフォームに対してオラクル社が保証する製品である必要があります。また、Oracle Enterprise Managerを使用可能にし、オンライン・ドキュメントを表示するために、Webブラウザが必要です。
Oracle Clusterwareは、Oracle Database 10g の要件に対応し、サードパーティ・ベンダーのクラスタウェアと同等の機能を提供しています。Oracle Clusterwareを使用すると、インストールおよびサポートに関する問題を低減できます。ただし、イーサネット以外のインターコネクトを使用する場合、またはRACを配置するクラスタにクラスタウェアに依存するアプリケーションを配置している場合、ベンダーのクラスタウェアが必要になる場合があります。
Oracle ClusterwareおよびRACをインストールする前に、次の手順を実行します。
http://metalink.oracle.com
「Certify & Availability」をクリックし、「1.View Certifications by Product」を選択します。
Oracle Universal Installer(OUI)を起動してOracle Clusterwareをインストールする際に、投票ディスクとOracle Cluster Registry(OCR)のパスを指定するように求められます。
投票ディスク: 投票ディスクに既存の冗長性がサポートされる場合は、1つのディスクを構成します。Oracle Clusterwareが管理する投票ディスクを複数使用する場合は、十分な冗長性を確保するために3つ以上のディスクが必要です。また、それぞれの投票ディスクは物理的に独立したストレージに配置する必要があります。
さらに、Oracle Clusterwareが管理する複数の投票ディスクを選択した場合は、すべての投票ディスクが、外部からのセキュリティ脅威から保護されたセキュアなネットワーク上にあり、定期的にメンテナンスされるシステム上に配置されている必要があります。投票ディスクに障害が発生した場合は、ハードウェアを修理してオンラインに戻す必要があります。Oracle ClusterwareのCluster Synchronization Services(CSS)コンポーネントは、残りの投票ディスクの使用を続行し、ディスクが再度オンラインになると、自動的に復旧したドライブを使用します。
OCR: 既存の冗長性がサポートされる場合は、1つのディスクを構成します。Oracle Clusterwareが管理するOCRのミラー化を使用する場合は、OCRを2つの場所に配置する必要があります。また、それぞれのOCRは、物理的に独立したストレージに配置する必要があります。
さらに、Oracle Clusterwareが管理するミラー化されたOCRを選択した場合は、すべてのOCRが、外部からのセキュリティ脅威から保護されたセキュアなネットワーク上にあり、定期的にメンテナンスされるシステムに配置されている必要があります。OCRのコピーに障害が発生したり、アクセスできなくなった場合は、ocrconfig
ツールを使用して、OCRを置き換えることができます。
このマニュアルの第II部および第III部で説明するインストール手順を次に示します。
第II部では、ユーザー等価関係の確認方法、ネットワーク接続性テストの実行方法、ディレクトリおよびファイル権限の設定方法、インストール前に必要とされるその他の作業など、インストール前の手順について説明します。インストール前のすべての作業を実行し、ご使用のシステムがインストール前のすべての要件を満たしていることを確認してからインストール手順に進んでください。
Oracle Database 10g Real Application Clustersのインストールには、2つのフェーズがあります。第1フェーズでは、第4章「Oracle Clusterwareのインストール」の手順に従って、Oracle Universal Installer(OUI)を使用してOracle Clusterwareをインストールします。第1フェーズでのOracleホームはOracle Clusterwareソフトウェア用であり、第2フェーズでOracleデータベース・ソフトウェアおよびRACコンポーネントをインストールする際に使用するOracleホームとは異なるものである必要があります。Oracle Clusterwareのインストール手順では、第5章「Oracle Database 10g およびOracle Real Application Clustersのインストール」で説明するOracle Database 10g およびRACのインストールの準備として、Oracle Clusterwareプロセスを起動します。このフェーズでは、OUIを使用してRACソフトウェアをインストールします。
Oracle ClusterwareおよびOracleデータベースは個別のホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。OracleデータベースのOracleホームにリスナーを作成する必要があります。ASMで複数のOracleデータベース・ホームを使用する場合は、ASMに対して個別にOracleデータベース・ホームをインストールする必要があります。新しい個別のASMホームを作成するには、データベースのOUIを実行し、ASMをインストールするオプションを選択する必要があります。
OUIによって以前のリリースのOracle Clusterware(Oracle Cluster Ready Servicesと呼ばれていた)が検出されると、ローリング・アップグレードまたは全体アップグレードのいずれかを選択するように求められます。
OUIによって以前のリリースのOracleデータベースが検出されると、データベースをOracle Database 10g リリース2(10.2)にアップグレードするために、データベース・アップグレード・アシスタント(DBUA)を起動するかどうかという選択が可能になります。また、DBUAによって、RACデータベースのサービスを構成するための、サービス構成ページが表示されます。
インストールが完了すると、環境を設定し、RACデータベースを作成するためにデータベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)などのOracleデータベース・アシスタントが、OUIによって起動されます。第6章「データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用したOracle Real Application Clustersデータベースの作成」の説明に従ってDBCAのインスタンス管理機能を使用して、後でサービスおよびインスタンスを追加または変更することもできます。
データベースを作成した後、第7章「Oracle Real Application Clustersのインストール後の手順」の説明に従って、ご使用のOracle Database 10g に最新のパッチをダウンロードしてインストールします。RACデータベースを他のOracle製品とともに使用する場合は、これらも構成する必要があります。
また、Oracle Database 10g の特定の機能を使用するために、インストール後の構成作業をいくつか実行する必要があります。
インストール・メディアでは、パフォーマンスの向上や、データベースの機能拡張を可能にするOracle Database 10g の追加のソフトウェアを選択できます。たとえば、Oracle JAccelerator、Oracle interMedia、Oracle Textなどです。
Oracle Universal Installer(OUI)によって、Oracle ClusterwareおよびOracle Database 10g ソフトウェアを簡単にインストールできます。ほとんどの場合は、OUIのGraphical User Interface(GUI)を使用してソフトウェアをインストールできます。また、OUIを使用して、GUIを使用しない非対話型(サイレント)インストールを実行することもできます。非対話型インストールの詳細は、付録Bを参照してください。
Oracle Inventoryによって、Oracleソフトウェアのリリースおよびパッチの記録を管理します。各インストールには、Oracleホームが登録されている中央インベントリがあります。Oracleソフトウェアのインストールにはローカル・インベントリ・ディレクトリがあり、このディレクトリのパスの位置が、Oracleホームの中央インベントリに登録されています。各Oracleソフトウェア・インストールのローカル・インベントリ・ディレクトリには、コンポーネントおよびそのソフトウェアに関連して適用されている個別パッチのリストが格納されています。インベントリ情報が誤っているとOracleソフトウェアのインストールが破損するため、Oracle Inventoryに対するすべての読取りおよび書込み操作は、OUIによって行われる必要があります。
Oracle ClusterwareまたはRACのインストール時に、OUIは、OUIの起動元であるノードにこのOracleソフトウェアをコピーします。Oracleホームが共有ファイル・システム上に存在しない場合、OUIは、OUIのインストール・セッションの対象として選択した他のノードにソフトウェアをコピーします。Oracle Inventoryは、RACデータベースのメンバーである各ノードのリストを管理するとともに、各ノードのOracleホームのパスを示します。これは、RACデータベースのメンバーである各ノードに対し、ソフトウェアのパッチや更新を管理するために使用されます。
OUIを使用してRACデータベースを作成した場合、またはDBCAを使用して後でRACデータベースを作成した場合、RACデータベース用のOracle Enterprise Manager Database Controlが構成されます。Database Controlは、RACデータベースとRACデータベースのすべてのインスタンス、およびインスタンスが構成されているすべてのホストを管理できます。
また、Enterprise Manager Grid Controlを構成して、単一のコンソールから複数のデータベースおよびアプリケーション・サーバーを管理することもできます。Grid ControlでRACデータベースを管理するには、クラスタ内の各ノードにGrid Controlのエージェントをインストールする必要があります。エージェントのインストールは、クラスタ環境を認識し、クラスタ内のすべてのノードにインストールを実行するように設計されています。そのため、クラスタ内の1つのノードにGrid Controlのエージェントをインストールするとすべてのノードにインストールされます。
OUIを使用してOracle ClusterwareまたはOracleデータベース・ソフトウェアをインストールする際、事前構成済データベースを選択するか、またはデータベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を対話形式で使用してRACデータベースを作成することをお薦めします。次のURLにあるOracle Technology Networkで説明されている手順に従って、データベースを手動で作成することもできます。
http://www.oracle.com/technology/index.html
自動ストレージ管理(Automatic Storage Management: ASM)を使用することをお薦めします。ASMまたはクラスタ・ファイル・システムを使用していない場合は、データベースを作成する前に共有RAWデバイスを構成してください。
この項では、Oracle Database 10g リリース2(10.2)およびReal Application Clustersをインストールする前に考慮する必要がある記憶域構成オプションについて説明します。
データベース記憶域には、自動ストレージ管理(Automatic Storage Management: ASM)またはクラスタ・ファイル・システムとともに、Oracle Managed Files(OMF)を使用することをお薦めします。この項では、ASMの概要について説明します。
Oracle Database Standard Editionを使用しているRAC環境では、データベース・ファイルの記憶域用にASMを使用する必要があることに注意してください。
ASMを使用すると、Oracleデータベース・ファイルの管理が簡単になります。ASMを使用することによって、多いときは数千のデータベース・ファイルを管理するかわりに、少数のディスク・グループのみの管理になります。ディスク・グループとは、ASMが単一の論理単位として管理するディスク・デバイスの集合です。特定のディスク・グループを、データベースに対するデフォルトのディスク・グループとして定義することができ、適切なデータベース・オブジェクトに対応するファイルへの記憶域の割り当て、それらのファイルの作成、削除が、Oracleデータベースによって自動的に行われます。データベースを管理する際は、ファイル名ではなくデータベース・オブジェクトの名前のみを指定します。
ASMを、ノードのデータベース・インスタンスに対して単一のOracleホームで使用する場合、ASMインスタンスをそのOracleホームから実行できます。ASMを、同一ノードにある複数のデータベース・ホームによるOracleデータベース・インスタンスで使用する場合、ASMインスタンスをデータベース・ホームとは別のOracleホームから実行することをお薦めします。また、ASMホームをすべてのクラスタ・ノードにインストールする必要があります。これによって、データベースのOracleホームの削除中に、他のホームのデータベースで使用されているASMインスタンスが誤って削除されることを防止します。
ASMには、Redundant Array of Independent Disks(RAID)、論理ボリューム・マネージャ(LVM)などのストレージ・テクノロジと同様の多数のメリットがあります。これらのテクノロジと同様に、ASMを使用して、個々のディスク・デバイスの集合から1つのディスク・グループを作成できます。ディスク・グループに対する入出力(I/O)の負荷をディスク・グループ内のすべてのデバイス間で調整します。また、I/Oパフォーマンスおよびデータの信頼性を向上させるストライプ化およびミラー化も実装しています。
ただし、RAIDまたはLVMとは異なり、ASMは、ストライプ化およびミラー化をファイル・レベルで実装しています。この実装によって、同じディスク・グループ内の個々のファイルに対して、様々な記憶域属性を指定できます。
ディスク・グループには、1から10000のディスク・デバイスを含めることができます。各ディスク・デバイスには、個々の物理ディスク、RAIDストレージ・アレイや論理ボリュームなどの複数ディスク・デバイス、または物理ディスク上のパーティションを使用できます。ただし、多くの場合、ディスク・グループは1つ以上の物理ディスクで構成されます。ASMを使用して、ディスク・グループ内でI/Oおよび記憶域を適切に調整するには、ディスク・グループ内のすべてのデバイスの記憶域容量およびパフォーマンスが同じか、または同程度である必要があります。
デバイスをディスク・グループに追加すると、そのデバイスに対して障害グループを指定できます。障害グループには、障害の可能性のある共通のメカニズムを共有しているASMディスクを定義します。障害グループの例には、同じSCSIコントローラを共有しているSCSIディスク群があります。障害グループを使用して、データの冗長コピーの格納に使用するASMディスクを決定します。たとえば、双方向のミラー化がファイルに指定されている場合、ASMは自動的にファイル・エクステントの冗長コピーを別々の障害グループに格納します。障害グループが適用されるのは、標準冗長と高冗長のディスク・グループのみです。ディスク・グループでの障害グループの定義は、ディスク・グループを作成または変更する際に行います。
ASMには、3つのミラー化レベル(冗長レベルと呼ぶ)があります。このレベルは、ディスク・グループの作成時に指定できます。冗長レベルは、次のとおりです。
外部冗長で作成されたディスク・グループでは、ディスク・グループの内容はASMによってミラー化されません。この冗長レベルは、次の場合に選択します。
標準冗長で作成されたディスク・グループでは、ディスク・グループの内容はデフォルトで双方向にミラー化されます。ただし、3方向にミラー化されるファイル、またはミラー化されないファイルを作成するように選択することもできます。標準冗長でディスク・グループを作成するには、2つ以上の障害グループ(2つ以上のデバイス)を指定します。
標準冗長を使用するディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の半分です。
高冗長で作成されたディスク・グループでは、ディスク・グループの内容はデフォルトで3方向にミラー化されます。高冗長でディスク・グループを作成するには、3つ以上の障害グループ(3つ以上のデバイス)を指定します。
高冗長を使用するディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の3分の1です。
Oracleデータベース・ソフトウェアのインストール時に作成するように選択できるディスク・グループのタイプおよび数は、インストール中に作成する、次のデータベースのタイプによって異なります。
ASMを使用するデフォルトの事前構成済データベースを作成するように選択した場合は、1つ以上のディスク・デバイス名および冗長性を指定するようにOUIによって求められます。デフォルトでは、OUIはDATAというディスク・グループを標準冗長で作成します。
ASMを使用するアドバンスト・データベースを作成するように選択する場合、1つ以上のディスク・グループを作成できます。これらのディスク・グループには、1つ以上のデバイスを使用できます。各ディスク・グループの要件に合わせて冗長レベルを指定できます。
ASMインスタンスのみを作成するように選択した場合、ディスク・グループを作成するようにOUIによって求められます。Grid Controlサービスがシステムで検出されると、Grid ControlでASMインスタンスを管理するかどうかを指定するように求められます。「管理サービス」ボックスには、使用可能なOracle Management Servicesが表示されます。
RAC環境でデータベース・リカバリ領域を構成する場合、データベース・リカバリ領域は共有記憶域に配置する必要があります。データベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を使用して自動ディスク・バックアップを構成する場合は、データベース・リカバリ領域を使用し、この領域を共有する必要があります。
データベース・ファイルをクラスタ・ファイル・システムに格納している場合は、リカバリ領域もクラスタ・ファイル・システムを介して共有します。
データベース・ファイルを自動ストレージ管理(ASM)ディスク・グループに格納している場合、リカバリ領域はASMを介して共有します。
RACデータベースの管理を簡素化するために、次のOracle Database 10g 機能を使用することをお薦めします。
Oracle Database 10g によって、シングル・インスタンスのデータベース・ソフトウェアと、RACデータベースを操作するための追加コンポーネントが提供されます。次のようないくつかのRAC固有のコンポーネントが含まれています。
OUIによって、Oracle Clusterwareがクラスタの各ノードにインストールされます。サードパーティ・ベンダーのクラスタウェアが存在しない場合、OUIを使用してOracle Clusterwareのインストール先ノードを指定する必要があります。OUIの実行時に指定する内容に応じて、Oracle Clusterwareホームをすべてのノードで共有することも、各ノードで専用にすることもできます。Oracle Clusterware用に選択するホームは、RACで使用するOracleホームとは異なるホームである必要があります。
サードパーティ・ベンダーのクラスタウェアが存在する場合、Oracle Clusterwareはサードパーティ・ベンダーのクラスタウェアと連携できます。
RAC環境のすべてのインスタンスは、制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル、REDOログ・ファイルおよびすべてのデータ・ファイルを共有します。これらのファイルは、共有クラスタ・ファイル・システムまたは共有ディスクにあります。これらのタイプのファイル構成のいずれに対しても、すべてのクラスタ・データベース・インスタンスによってアクセスされます。また、各インスタンスには、それぞれ専用のREDOログ・ファイルのセットがあります。障害が発生した場合、REDOログ・ファイルへの共有アクセスによって、障害が発生していないインスタンスがリカバリを実行できます。
異なるリリースのOracleデータベース・ソフトウェアを、同一のコンピュータにインストールして使用できますが、次の点に注意してください。
インストール中、Oracle Database 10g の追加コンポーネントのすべてをインストールしていない場合は、それらをインストールするように求められます。
Oracleサーバー・ソフトウェアをシステムに初めてインストールする場合は、インストール前の手順の説明に従って、Oracleソフトウェアの所有者となるためのいくつかのグループと1つのユーザー・アカウントを作成する必要があります。必要なグループおよびユーザーは次のとおりです。
oinstall
)システムに初めてOracleソフトウェアをインストールする場合は、このグループを作成する必要があります。このグループの標準的な名前はoinstall
です。このグループのメンバーは、システムにインストールされたすべてのOracleソフトウェアのカタログであるOracle Inventoryを所有します。また、Oracle Clusterwareのインストール時に作成されるOracle Cluster Registry(OCR)キーに関連するいくつかのタスクの実行には、oinstall
グループのメンバーである必要があります。
dba
)システムに初めてOracleソフトウェアをインストールする場合は、OSDBAグループを作成する必要があります。
OSDBAグループによって、データベースの管理権限(SYSDBAおよびSYSOPER権限)を持つユーザーのオペレーティング・システムの検証が提供されます。このグループのデフォルト名はdba
です。インストール時にデフォルト以外のグループ名を指定する場合は、インストール中に、OSDBAグループの名前を指定するように求められます。
既存のOSBDAグループがある場合でも、新しいOracleサーバーのインストールでデータベースの管理権限を別のグループのユーザーに付与する場合は、OSDBAグループを新しく作成する必要があります。
oper
)OSOPERグループは、オプションのグループです。このグループは、データベースのバックアップ、リカバリ、起動、停止などを実行するために、制限付きのデータベース管理権限(SYSOPER権限)を別のグループのユーザーに付与する場合に作成します。このグループのデフォルト名はoper
です。このグループを使用するには、カスタム・インストール・タイプを選択してソフトウェアをインストールします。OSOPERグループを使用するには、次の状況でこのグループを作成する必要があります。
oracle
)システムに初めてOracleソフトウェアをインストールする場合は、Oracleユーザー・アカウントを作成する必要があります。Oracleユーザーは、インストール中にインストールされるすべてのソフトウェアを所有します。Oracleユーザー・アカウントの標準的な名前はoracle
です。Oracleユーザーは、プライマリ・グループとしてOracle Inventoryグループを、セカンダリ・グループとしてOSDBAグループを所有する必要があります。また、OSOPERグループを作成する場合は、セカンダリ・グループとしてこのグループを所有する必要があります。
Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在する場合でも、新しいOracleサーバーのインストールで、別のグループ・メンバーシップを持つ別のユーザーを使用する場合、それらのグループにデータベース管理権限を付与する必要があります。
システムへのOracleソフトウェアのすべてのインストールには、単一のOracle Inventoryグループが必要です。ただし、個々のインストールに対してそれぞれにOracleソフトウェア所有者ユーザー、OSDBAグループおよびOSOPERグループ(oracle
、dba
およびoper
以外)を作成できます。さらに、Oracle Clusterware用に別の所有者も作成できます。異なるグループを使用すると、あるデータベースの特定のオペレーティング・システムのユーザーに、DBA
権限を付与できます。そのユーザーは、同じシステムの別のデータベースでは、この権限を持ちません。
Oracle ClusterwareおよびRACソフトウェアのクローニングには、Enterprise Manager Grid Controlを使用することをお薦めします。この項では、多数のノードがあるグリッド環境で、クローニングされたClusterwareおよびRACのイメージを使用してRACの配置を行うためのコマンドラインでの手順の概要を説明します。
複数のノードでOracle Clusterwareホームをクローニングするには、次の手順を実行します。
oifcfg
ツールを実行し、ネットワーク・インタフェースを構成します。
複数のノードでRACデータベースのイメージをクローニングするには、次の手順を実行します。
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