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Oracle Secure Backup管理者ガイド
リリース10.1
B28439-01
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6 Oracle Secure BackupとのRecovery Managerの使用方法

この章では、Oracle Secure BackupとともにRMANを使用する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。

Recovery ManagerおよびOracle Secure Backupの概要

Oracle Secure Backupは、SBTインタフェースを介してRecovery Manager(RMAN)のメディア管理レイヤーとしての役割を果たします。この役割において、Oracle Secure Backupは、他のサード・パーティのSBTインタフェースと同じサービスをRMANに提供します。Oracle Secure Backupには、その他に次の機能があります。

Oracle Secure Backupは、次の製品リリースとともに使用できます。

この項の内容は次のとおりです。

RMAN環境

この章では、Recovery Managerに精通していることを前提にしています。RMANの環境は、次の基本コンポーネントで構成されます。

  • RMANクライアント

    RMANクライアント・プログラム。Oracleデータベースとともに自動的にインストールされ、データベースのバックアップおよびリカバリを開始します。RMANクライアントは、ローカルに、あるいは互換性の要件を満たすかぎりはOracle Netを通してアクセスできるOracleデータベースをバックアップおよびリカバリできます。

  • RMANターゲット・データベース

    ターゲットとは、RMANがバックアップまたはリストアするデータベースです。RMANリポジトリは、RMANがバックアップおよびリカバリの管理に使用するメタデータで、ターゲット・データベースの制御ファイルに格納されます。

  • RMANリカバリ・カタログ

    リカバリ・カタログは、オプションのデータベース・スキーマで、RMANメタデータの2次リポジトリとして機能します。集中管理されたリカバリ・カタログをデータベースに作成して、複数のターゲット・データベースのメタデータを格納できます。

データベースのバックアップおよびリカバリを管理するためのインタフェース

Oracle Secure BackupのSBTインタフェースを用いてRMANのバックアップおよびリストア操作を実行する際に、次のインタフェースを使用できます。

  • RMANコマンドライン・クライアント

    rman実行可能ファイルは、データベース・インストールの$ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。RMANコマンドライン・クライアントをOracle Secure Backupとともに使用する際は、次の考慮事項に注意してください。

    • RMANクライアントはOracleホームから、そのホームがあるコンピュータがOracle Secure Backupの管理ドメインのメンバーかどうかに関係なく、実行できます。

    • ターゲット・データベース・ホストは、Oracle Secure Backupの管理ドメインのメンバーである必要があります。

    • ターゲット・データベースは、ターゲット・ホスト上でOracle Secure BackupのSBTインタフェースを使用し、Oracle Secure Backupの管理ドメインと通信します。

  • Oracle Enterprise Manager 10g Database Control

    バックアップやリカバリなどの単一インスタンスのデータベース操作は、Database Controlコンソールから管理できます。Enterprise Manager Database ControlをOracle Secure Backupとともに使用する際は、次の考慮事項に注意してください。

    • Database Controlコンソールは、ターゲット・データベースと同じホスト上で稼働する必要があります。

    • Database Controlコンソールは、Oracle Secure Backupのドメインの管理サーバー上で稼働する必要があります。

  • Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control

    Grid Controlコンソールを使用すると複数のデータベースを管理できます。Enterprise Manager Grid ControlをOracle Secure Backupとともに使用する際は、次の考慮事項に注意してください。

    • Grid Controlコンソールは、管理ドメイン内のどのデータベース・ホスト上でも稼働できます。Database Controlとは異なり、Grid Controlは、Oracle Secure Backupのドメインの管理サーバー上で稼働する必要はありません。

    • Oracle Secure Backupの管理ドメイン内のすべてのデータベースのSBTバックアップは、Grid Controlから管理できます。

    • 集中管理されたRMANリカバリ・カタログは、Grid Controlリポジトリが含まれるのと同じデータベース内に作成できます。

    • Grid Controlを使用する際は、Enterprise ManagerのリポジトリがOracle Database 10gリリース2(10.2)のデータベース内にあるかぎり、Oracle Database 10gリリース1(10.1)以前のデータベースが稼働するホスト上でOracle Secure Backupを使用できます。

RMANおよびOracle Secure Backupの管理ドメイン

RMANをOracle Secure Backupとともに使用する方法は、管理ドメインの構成によって異なります。この項では、2つの典型的な例を説明します。

単一ホスト管理ドメイン

単一ホスト管理ドメインでは、1つのホストが、管理サーバー、メディア・サーバーおよびクライアントの役割を果たします。Oracleデータベースは、このホストにインストールされます。図6-1に、典型的な単一ホストの例を示します。

図6-1 単一ホスト管理ドメイン

図6-1の説明が続きます
「図6-1 単一ホスト管理ドメイン」の説明

データベースは管理サーバーにインストールされるため、Enterprise Manager Database Controlコンソールを使用して、Oracle Secure Backupを必要とするデータベースのバックアップおよびリストア操作を実行できます。この章は、図6-1のものと同様に構成されている単一ホスト・ドメインの管理者の立場から書かれています。

複数ホスト管理ドメイン

典型的な複数ホスト管理ドメインでは、管理サーバー、メディア・サーバーおよびクライアントが別個のホスト上にあります。1つの管理ドメインには、管理サーバーは1つしか含めることができませんが、メディア・サーバーおよびクライアントは複数含めることができます。

図6-2に、各クライアント・ホストでOracleデータベースを運用している、典型的な複数ホスト・ドメインを示します。この例では、管理サーバーおよびメディア・サーバーでデータベースを運用していません。Windowsのデータベースには、ドメイン内のすべてのデータベースのバックアップに対するRMANメタデータを格納するための集中管理されたリカバリ・カタログが含まれています。

図6-2 複数ホスト管理ドメイン

図6-2の説明が続きます
「図6-2 複数ホスト管理ドメイン」の説明

ターゲット・データベースは、管理サーバー上に存在しないため、Enterprise Manager Database Controlを使用してOracle Secure BackupのSBTインタフェースを介してバックアップすることができません。ただし、クライアントの1つでGrid Controlを使用して、管理ドメイン内のすべてのデータベースを必要とするSBT操作を起動することはできます。

RMANによるOracle Secure Backupへのアクセス方法

ドメイン構成およびバックアップおよびリカバリの管理に使用するフロント・エンド・インタフェースに関係なく、RMANがOracle Secure BackupのSBTライブラリと通信するプロセスは同じです。

図6-3に、Oracle Secure BackupのSBTインタフェースを使用するRMANのバックアップおよびリストア操作の基本コンポーネントを示します。

図6-3 RMANとOracle Secure BackupのSBTインタフェース

RMANとSBTインタフェースを示しています。
「図6-3 RMANとOracle Secure BackupのSBTインタフェース」の説明

Oracle Secure Backupを使用したRMANのバックアップおよびリストア操作の基本プロセスは次のとおりです。

  1. ユーザーが(コマンドラインまたはEnterprise Managerコンソールのいずれかから)RMANクライアントを起動し、SBTチャネルを割り当て、BACKUPまたはRESTOREコマンドを実行します。

    チャネルが割り当てられると、サーバー・セッションがOracleデータベースで開始されます。

  2. データベース・ホスト上のサーバー・セッションは、Oracle Secure BackupのSBTライブラリを介してバックアップまたはリストアのジョブ・リクエストを生成します。

  3. Oracle Secure Backupは、バックアップまたはリストアのジョブを生成し、sbt/15などの一意のIDを割り当てます。ジョブIDの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

  4. バックアップの場合、Oracle Secure Backupは即座に適切なリソースを確保して起動(たとえば、テープ・ドライブを確保してテープをロード)しようとします。リソースが使用できない場合、Oracle Secure Backupはリソースが使用可能になるのを待つ間、ジョブをキューに入れます。


    注意:

    rmanresourcewaittime操作ポリシー(デフォルトではforeverに設定)、バックアップ記憶域セレクタの--waittimeオプションまたはRMANパラメータ OB_RESOURCE_WAIT_TIME「RMANでのメディア管理パラメータの設定」を参照)によって、ジョブがキューで待機する期間を制御できます。

    RMANのリストア操作の場合、開始時間は、operationsポリシー・クラスのrmanrestorestartdelayポリシーの設定によって異なります。


    注意:

    SBTのバックアップ・ジョブは、既存のOracle Secure Backupのバックアップ・ウィンドウには従わず、システムに入力されると即座に実行されます。

  5. Oracle Secure Backupは、バックアップ・ピースを作成またはリストアします。

  6. バックアップの場合、Oracle Secure BackupはRMANのバックアップ・ピースに関するメタデータをOracle Secure Backupのカタログに格納します。

    Oracle Secure Backupのカタログは、RMANのリカバリ・カタログとはまったく別に格納および管理されます。Oracle Secure Backupは各バックアップ・ピースのコンテンツに関するメタデータを格納し、レポートを作成します。


関連資料:

デフォルトおよびポリシーの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

RMANおよびOracle Secure Backupの構成

RMANとともに使用するためにOracle Secure Backupを構成するには、Oracle Secure Backupで次の手順を実行します。

  1. Oracle Secure BackupのSBTインタフェースへのRMANアクセスを構成します。Enterprise Manager Database Controlを使用している場合、この手順にはEnterprise Managerへの管理サーバーの登録が含まれます。

    この手順は、「Oracle Secure BackupのSBTライブラリへのRMANアクセスの構成」で説明します。

  2. RMANで使用するために、事前認可されたOracle Secure Backupアカウントを作成します。

    この手順は、「事前認可されたOracle Secure Backupアカウントの作成」で説明します。

  3. 必要に応じて、データファイルおよびアーカイブREDOログについてメディア・ファミリを作成します。デフォルトでは、RMANはRMAN-DEFAULTメディア・ファミリを使用します。

    この手順は、「RMANのバックアップ用のメディア・ファミリの作成」で説明します。

  4. 必要に応じて、データベース・バックアップ記憶域セレクタまたはRMANのメディア管理パラメータを構成します。これらの設定により、バックアップ動作をより詳細に制御できます。

    これらの手順は、「データベース・バックアップ記憶域セレクタの作成」および「RMANでのメディア管理パラメータの設定」で説明します。

これらのタスクは、Enterprise ManagerまたはOracle Secure BackupのWebツールまたはコマンドライン・インタフェースで実行できます。この項では、可能な場合には、Enterprise Manager Database Controlコンソールを使用してこれらのタスクを実行する方法について説明します。

Oracle Secure BackupのSBTライブラリへのRMANアクセスの構成

Enterprise Manager Database Controlを使用する場合は、Oracle Secure BackupへのRMANアクセスを構成します。この準備タスクは、「Enterprise Managerにおける管理サーバーの登録」を参照してください。必要なのは、Oracle Secure Backupホーム・ディレクトリを指定することだけです。RMANにより、SBTライブラリは自動的に検索されます。

デフォルトでは、RMANはSBTライブラリのプラットフォーム固有のデフォルトの場所を検索します。UNIX/Linuxでは、デフォルト・ライブラリ・ファイル名は/lib/libobk.soですが、拡張子名はプラットフォームによって異なります(.so.sl.aなど)。Windowsでは、デフォルトのライブラリの場所は%WINDIR%\System32\orasbt.dllです。

LinuxおよびUNIXにOracle Secure Backupをインストールすると、インストーラによって次のタスクが自動的に実行されます。

  • SBTライブラリをOracle Secure Backupホームのlibサブディレクトリにコピーします。

  • シンボリック・リンクを/libまたは/usr/libディレクトリのライブラリに作成します。

デフォルトでは、RMANは標準パスを検索し、SBTチャネルが割り当てられるとOracle Secure BackupのSBTライブラリをロードします。


注意:

デフォルトのSBTライブラリの場所は、RMANチャネルの割当てまたは構成時に、SBT_LIBRARYメディア管理パラメータにライブラリ・パスを指定すると上書きできます。

事前認可されたOracle Secure Backupアカウントの作成

Oracle Secure Backupを利用するRMANのバックアップおよびリストア操作には、次のユーザー間のやり取りが含まれます。

  • バックアップまたはリストアのリクエストを処理するOracle Secure Backupユーザー

    このユーザーには次の権限が必要です。

    • ownerclassまたはallに設定した)Oracleバックアップへのアクセス(access Oracle backups

    • Oracleのバックアップおよびリストアの実行(perform Oracle backups and restores

  • データベース・サーバー・セッションを実行しているオペレーティング・システム・ユーザー

    通常、サーバー・セッションはoracleオペレーティング・システム・アカウントのもとで実行されます。Oracle Secure Backupは、リクエストしているオペレーティング・システム・ユーザーが適切な権限を持つユーザーとしてOracle Secure Backupにアクセスする場合のみ、SBTリクエストを受け付けます。

「事前認可済アクセスの割当て」で説明しているように、オペレーティング・システム・ユーザーが特定のユーザーとしてOracle Secure Backupアカウントにアクセスすることを事前に認可できます。RMANのSBTバックアップの場合、Oracle Secure Backupは、オペレーティング・システム・ユーザーが適切な権限を持つOracle Secure Backupユーザーとしてバックアップおよびリストア操作を実行することを事前に認可します。

Oracle Secure BackupによるSBTバックアップの事前認可方法

図6-4に、事前認可されたオペレーティング・システム・ユーザーがバックアップまたはリストアのリクエストをOracle Secure Backupに送信する場合の基本プロセスを示します。

図6-4 データベースのバックアップおよびリストア操作に対する事前認可

RMANの事前認可ワークフローを示します。
「図6-4 データベースのバックアップおよびリストア操作に対する事前認可」の説明

オペレーティング・システム・ユーザーの事前認可は、次のように機能します。

  1. ユーザーがRMANを起動してSBTチャネルを割り当てると、Oracleデータベースはサーバー・セッションを開始します。

  2. サーバー・セッションは、SBTライブラリを使用して、ホストでローカルに稼働しているobproxydデーモンと通信します。

  3. ローカルのobproxydデーモンは、どのオペレーティング・システム・ユーザーのもとでサーバー・セッションが実行されているかを判断します。この例では、オペレーティング・システム・ユーザーの名前はoracleで、Linuxホストbrhost2上で稼働すると仮定します。

  4. ローカルのobproxydデーモンは、オペレーティング・システム・ユーザー情報を管理サーバーのobservicedデーモンに確認します。このホストおよびオペレーティング・システム上のオペレーティング・システム・ユーザーがOracle Secure Backupユーザーとして事前に認可されている場合は、Oracle Secure Backupへのログインが成功します。

    たとえば、ホストbrhost2上のオペレーティング・システム・ユーザーoracleがOracle Secure Backupユーザーobuserとして稼働することを事前に認可されていると仮定します。また、obuseroracleクラスのメンバーで、このクラスには、デフォルトでOracleのバックアップおよびリストアの実行(perform Oracle backups and restores)権限が割り当てられていると仮定します。

  5. サーバー・セッションは、Oracle Secure Backupユーザーを使用してファイルをバックアップまたはリストアします。

    SBTインタフェースを介して送信されるOracle Secure Backupの操作は、Oracle Secure Backupユーザーによって定義されたオペレーティング・システム・ユーザーを使用して、ホストにアクセスします。図6-4に示す例では、バックアップおよびリストア操作は、brhost2上のoracleオペレーティング・システム・アカウントのもとで実行されます。

RMANの事前認可の構成

この項では、RMANの事前認可の構成方法について説明します。オペレーティング・システム・ユーザーの事前認可は、インストール時またはインストール後にできます。その手順はプラットフォームによって異なります。

LinuxまたはUNIXでのインストール時のRMANの事前認可の構成

LinuxまたはUNIXでOracle Secure Backupソフトウェアのインストール時にOracle Secure Backupユーザーを作成するには、installobスクリプトで要求されたときにobparametersファイルを変更します。スクリプトからは次のように要求されます。

Have you already reviewed and customized install/obparameters for your
Oracle Secure Backup installation [yes]?

noと入力するとobparametersファイルを変更できます。このファイルは、Oracle Secure Backupホームのinstallサブディレクトリにあります。次のパラメータの値をyesに変更します。

create pre-authorized oracle user: no

obparametersファイルでは、デフォルトのオペレーティング・システム・ユーザーおよびグループを指定するか、デフォルト値を受け入れます。たとえば、LinuxおよびUNIXでは、デフォルト・ユーザーはoracle、デフォルト・グループはdbaです。

default UNIX user:  oracle
default UNIX group: dba

デフォルトのユーザーおよびグループの名前を受け入れると、インストール・プログラムによってoracleというOracle Secure Backupユーザーが自動的に作成されます。dbaグループのoracleというLinuxまたはUNIXユーザーには、このOracle Secure Backupアカウントへの事前認可されたアクセスが付与されます。


関連資料:

LinuxおよびUNIXでのOracle Secure Backupのインストール方法は、『Oracle Secure Backupインストレーション・ガイド』を参照してください。

Windowsでのインストール時のRMANの事前認可の構成

WindowsでOracle Secure Backupユーザーを作成するには、『Oracle Secure Backupインストレーション・ガイド』で説明しているようにInstallShieldウィザードを実行します。ホストのロールを選択するように要求されたときに、図6-5に示すように、「oracleユーザーの作成」を選択して赤い×を解除します。

図6-5 Windowsでのインストール時のoralceユーザーの作成

図6-5の説明が続きます
「図6-5 Windowsでのインストール時のoralceユーザーの作成」の説明

インストーラによってoracleというOracle Secure Backupユーザーが自動的に作成され、oracleクラスに割り当てられます。例6-1に、Windowsにインストールした後のoracleユーザーのサンプルのlsuser出力を示します。

例6-1 デフォルトのoracleユーザー

ob> lsuser --long oracle
oracle:
    Password:               (not set)
    User class:             oracle
    Given name:             [none]
    UNIX name:              oracle
    UNIX group:             dba
    Windows domain/acct:    [all] Administrator
    NDMP server user:       no
    Email address:          [none]
    UUID:                   e95891fa-5a80-4500-8865-3706a7db74da
    Preauthorized access:
        Hostname:           [all]
        Username:           [all]
        Windows domain:     [all]
        RMAN enabled:       yes
        Cmdline enabled:    no

デフォルトでは、すべてのWindowsドメイン上のすべてのWindowsユーザーは、RMANのバックアップをOracle Secure BackupのSBTインタフェースに作成することを事前に認可されます。

oracleというOracle Secure Backupユーザーには、特権ユーザーとしてバックアップを実行する権限がありません。oracleが非特権バックアップを作成できるようにするには、Windowsドメイン、ユーザー名およびパスワード情報が正しいことを確認します。デフォルトでは、Windows domain/acct例6-1の出力を参照)にリストされるユーザーにはパスワードが設定されません。obtoolchuserコマンドを実行し、現在指定されているWindowsアカウントに対する新規パスワードを指定するか、まったく新しい情報を入力すると、oracleユーザーに対するWindowsドメインの設定を変更できます。

例6-2では、例6-1に示されているWindows domain/acctにリストされたAdministratorユーザーに対するパスワードを指定しています。--adddomainにパスワードなしと指定されているため、obtoolから要求されています。

例6-2 oracleユーザーに対するWindowsドメイン・パスワードの設定

ob> chuser oracle --adddomain *,Administrator
Password:
Password (again):
ob>

関連資料:

  • WindowsでのOracle Secure Backupのインストール方法は、『Oracle Secure Backupインストレーション・ガイド』を参照してください。

  • chuserコマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。


インストール後のRMANの事前認可の構成

インストール後にOracle Secure Backupユーザーを作成するには、「事前認可済アクセスの割当て」で説明しているようにWebツールを使用します。Enterprise Managerを使用している場合は、「メンテナンス」ページで「ファイルシステムのバックアップおよびリストア」をクリックしてOracle Secure BackupのWebツールに移動できます。

あるいは、obtoolmkuserコマンドを実行してユーザーを作成できます。例6-3では、mkuserを使用してoracleというOracle Secure Backupユーザーを作成し、このユーザーをoracleクラスに割り当てています。例6-3では、ホストbrhost2上のLinux/UNIXユーザーoracleにRMANのSBTアクセスを付与するために、--preauthオプションを使用しています。

例6-3 RMANのSBTバックアップを作成するためのオペレーティング・システム・ユーザーの事前認可

mkuser oracle --class oracle --preauth brhost2:oracle+rman

関連資料:

mkuserコマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

RMANのバックアップ用のメディア・ファミリの作成

メディア・ファミリは、共通属性を共有するボリュームの名前付き分類です。「コンテンツ管理の有効期限ポリシー」で説明しているように、RMANで使用されるデフォルトのメディア・ファミリの名前はRMAN-DEFAULTです。したがって、RMANのバックアップで使用するメディア・ファミリの作成はオプションです。


注意:

RMAN-DEFAULTメディア・ファミリの削除または名前の変更はできませんが、Webツールまたはobtoolを使用して特定の属性を変更することはできます(「メディア・ファミリ属性の編集または表示」を参照)。

バックアップ・セットのタイプ(アーカイブREDOログまたはデータファイル)によって異なるメディア・ファミリを作成すると便利な場合があります。メディア・ファミリは、Enterprise Managerで作成できます。あるいは、「メディア・ファミリの追加」で説明しているようにOracle Secure BackupのWebツールを使用するか、obtoolmkmfコマンドを使用できます。

メディア・ファミリを作成する際、メディア・ファミリのボリュームがいつ期限切れになるか、つまり、いつ上書きまたは再利用が可能になるかを決定する、ボリューム有効期限ポリシーを指定します。メディア・ファミリ内のボリュームでは、コンテンツ管理の有効期限ポリシーまたは時間管理の有効期限ポリシーのいずれかを使用します。

コンテンツ管理のメディア・ファミリ(RMAN-DEFAULTなど)は、RMANのバックアップ専用です。RMANバックアップは、時間管理のボリュームに対しても実行できます。つまり、これらのボリュームではファイル・システム・バックアップとRMANのバックアップ・ピースが混在してもかまいません。


注意:

RMANバックアップを時間管理ボリュームに対して実行した場合、RMANリポジトリではバックアップ・ピースが使用可能であるとレポートされていても、ボリュームが期限切れになり再利用される可能性があります。この場合、RMANでCROSSCHECKコマンドを使用して、矛盾を解決する必要があります。

Enterprise Manager Database Controlでコンテンツ管理のメディア・ファミリを作成するには、次のようにします。

  1. データベース管理者の権限を持つユーザーとしてEnterprise Manager Database Controlにログインします。

  2. 「メンテナンス」ページの「Oracle Secure Backup」セクションに移動します。図3-6は「メンテナンス」ページの関連セクションを示しています。

  3. 「Oracle Secure Backupデバイスおよびメディア」をクリックします。

    「管理サーバー: hostname」ページが表示されます。

  4. 「メディア・ファミリ」のすぐ横の番号をクリックします。

    「メディア・ファミリ」ページが表示されます。表には、システム付属のRMAN-DEFAULTメディア・ファミリの行があります。

  5. 「追加」をクリックして新しいメディア・ファミリを作成します。

  6. メディア・ファミリを次のように構成します。

    • 「メディア・ファミリ名」ボックスに、メディア・ファミリの名前を入力します。たとえば、データファイルに適用するメディア・ファミリの場合はdatafile_mfと入力します。

    • 「書込みウィンドウ」ボックスに、ボリューム・セットを追加できる期間を入力します。たとえば、7日と入力します。

    • 「保存ポリシー」セクションで、「コンテンツ管理の再利用」を選択します。

    • 必要に応じて、「コメント」ボックスにメディア・ファミリの説明を入力できます。たとえば、データファイルのバックアップ専用であることを指定できます。

  7. 「OK」をクリックします。

    「メディア・ファミリ」ページに戻ります。このとき、表には作成したばかりのメディア・ファミリが表示されます。


関連資料:

mkmfコマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

データベース・バックアップ記憶域セレクタの作成

「データベース・バックアップ記憶域セレクタ」で説明しているように、Oracle Secure Backupでは、記憶域セレクタを使用してOracleデータベースを記述するバックアップ属性を表します。記憶域セレクタを使用すると、Oracle Secure BackupのSBTバックアップで使用されるリソースを指定できます。セレクタは、データベースにアクセスするRMANと、バックアップ・メディアを管理するOracle Secure Backupソフトウェアの間のレイヤーとして機能します。

データベース・バックアップ記憶域セレクタの概要

データベース・バックアップ記憶域セレクタでは、次の設定が必要です。

  • データベースの名前またはID

  • データベース・ホストの名前

  • RMANバックアップに使用するメディア・ファミリの名前

バックアップ記憶域セレクタのオプションの設定には次のものがあります。

  • バックアップのコンテンツ(全体バックアップ、増分バックアップなど)

  • 二重化バックアップのコピー番号

複数のデータベース・バックアップ記憶域セレクタを作成できます。たとえば、ドメイン内のすべてのデータベースのデータファイル・バックアップ用にデータベース記憶域セレクタを作成し、ドメイン内のすべてのデータベースのアーカイブ・ログ・バックアップ用に別のセレクタを作成することができます。また、データファイル・バックアップ用に対象ライブラリを指定し、アーカイブ・ログ・バックアップ用に別の対象ライブラリを指定できます。

データベース名、データベースID、ホスト名、コンテンツ・タイプおよびコピー番号がすべて合致する場合は、複数の記憶域セレクタを作成できません。ワイルドカード(*)は例外ですが、より全般的な設定はより特定的な設定と合致します。たとえば、--dbnamedb_1およびdb_2を設定した記憶域セレクタを作成した場合、--dbnamedb_1のみを設定し、その他すべての属性は最初のセレクタと同一の別のセレクタは作成できません。しかし、--dbnameにすべて(*)と設定した記憶域セレクタを作成した場合、--dbnamedb_1と設定し、その他すべての属性は最初のセレクタに使用されるものと同一の別のセレクタを作成できます。

RMANバックアップ・ジョブがSBTインタフェースから開始されると、Oracle Secure Backupは、データベース・バックアップ記憶域セレクタを検証し、バックアップ記憶域セレクタがバックアップ・ジョブの属性と合致するかどうかを判断します。バックアップ記憶域セレクタのすべての属性がバックアップ・ジョブの対応する属性と合致すると、適合となります。複数の記憶域セレクタがジョブと適合する場合は、最も特定的な属性のセレクタが選択されます。たとえば、データベース名にdb_1と設定されたバックアップ記憶域セレクタは、データベース名にすべて(*)と設定されたバックアップ記憶域セレクタよりも先に適合します。


注意:

RMANチャネルに指定されたメディア管理パラメータによってバックアップ記憶域セレクタの設定を上書きする方法は、「RMANでのメディア管理パラメータの設定」で説明します。

データベース・バックアップ記憶域セレクタの構成

Enterprise Managerを使用してデータベース・バックアップ記憶域セレクタを作成できます。セレクタには、Enterprise Managerによってシステム定義の名前が付けられます。かわりに、「データベース・バックアップ記憶域セレクタの構成」で説明しているようにWebツールを使用するか、obtoolmksselコマンドを使用して、ユーザー定義の名前を記憶域セレクタに付けることができます。

Enterprise Manager Database Controlでデータベース・バックアップ記憶域セレクタを作成するには、次のようにします。

  1. データベース管理者の権限を持つユーザーとしてEnterprise Manager Database Controlにログインします。

  2. 「メンテナンス」ページの「バックアップ/リカバリ設定」セクションに移動します。このページは、図3-6に示しています。

  3. 「バックアップ設定」をクリックします。

    「バックアップ設定」ページが表示されます。

  4. 「デバイス」プロパティ・ページで、「Oracle Secure Backup」セクションまで下へスクロールし、「構成」をクリックします。

    「管理サーバー・ログイン」ページが表示されます。

  5. 「管理サーバー」リストで、管理サーバーを選択します。この例では、データベース・コンソールを使用しているので、データベース・ホストと管理サーバーは同じです。

    「ユーザー名」および「パスワード」のボックスに、管理サーバーのオペレーティング・システム資格証明を入力します。必要に応じて、「優先資格証明として保存」を選択します。「OK」をクリックします。

    「バックアップ記憶域セレクタ」ページが表示されます。

  6. 「追加」をクリックします。

    「バックアップ記憶域セレクタの追加」ページが表示されます。

  7. 必要に応じて、次の選択を行います。

    1. 「これらのタイプのバックアップ用」セクションで、この記憶域セレクタを使用するバックアップのタイプを選択します。また、コピー番号を選択することもできます。デフォルトは、すべてのコピーを表すアスタリスク(*)です。

    2. 「メディア・ファミリの使用」セクションで、セレクタのメディア・ファミリを選択します。メディア・ファミリはデフォルトでRMAN-DEFAULTに設定されます。

    3. 「リソース待機時間の使用」セクションで、バックアップに必要なリソースが使用可能になるのを待つ期間を指定します。この期間内にリソースが使用可能にならない場合は、バックアップは失敗します。デフォルトの待機時間は、制限なしを表す「永久的」です。

  8. 「デバイスの使用」セクションで、「追加」をクリックしてバックアップを特定のデバイスに限定します。

    「デバイスの使用」ページが表示されます。

  9. 「検索結果」表で、バックアップ先として限定するデバイスを選択し、「選択」をクリックします。先に「デバイス名」ボックスに検索文字列を入力してから「実行」をクリックすると、表示されるデバイスをフィルタリングすることができます。

    「バックアップ記憶域セレクタの追加」ページが表示されます。

  10. 「デバイスの使用」で、追加されたデバイスを選択し、「OK」クリックします。

    「バックアップ記憶域セレクタ」ページが表示されます。表に、作成したバックアップ記憶域セレクタが表示されます。セレクタにシステム生成された名前が付いていることに注意してください。記憶域セレクタは、選択して「編集」をクリックすると編集できます。


関連資料:

mksselコマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

RMANでのメディア管理パラメータの設定

この項では、Recovery Managerのメディア管理パラメータの設定に精通していることを前提にしています。RMANでのメディア管理パラメータの指定方法の概説は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・アドバンスト・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

次の方法で、RMANでメディア管理パラメータを指定できます。

  • PARMSオプションのENVパラメータとともにCONFIGUREまたはALLOCATE CHANNELコマンドに指定される環境変数

  • RMANのSENDコマンド

次のOracle Secure Backupパラメータは、RMANのバックアップおよびリストア・ジョブで使用できます。

  • OB_MEDIA_FAMILY[_n]

    このパラメータは、バックアップ・ジョブに使用できるメディアを定義するときに使用します。

  • OB_DEVICE[_n]

    このパラメータは、バックアップに使用できるテープ・ドライブを定義するときに使用します。

  • OB_RESOURCE_WAIT_TIME

    このパラメータは、バックアップまたはリストアのジョブが必要なリソースが使用可能になるのを待つ期間を指定するときに使用します。

一般に、これらのメディア管理パラメータは、データベース・バックアップ記憶域セレクタの照合の設定に優先します。RMANのメディア管理パラメータとデータベース・バックアップ記憶域セレクタとの関係を示す詳しい図は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

RMANのデータベース・バックアップでメディア管理パラメータを設定するには、次のようにします。

  1. 「RMANおよびOracle Secure Backupによるバックアップの実行」の手順16に従います。

  2. 「RMANスクリプトの編集」をクリックします。

    「カスタマイズ・バックアップのスケジュール: 確認: Recovery Managerスクリプトの編集」ページが表示されます。

  3. メイン・ウィンドウで、メディア管理パラメータを使用するようにスクリプトを変更します。たとえば、バックアップ・スクリプトが次のとおりであるとします。

    backup device type sbt database include current controlfile;
    backup device type sbt archivelog all not backed up;
    
    

    my_mfメディア・ファミリを使用するようにバックアップを構成するには、スクリプトを次のように変更します。

    run
    {
      allocate channel c1 device type sbt
        parms 'ENV=(OB_MEDIA_FAMILY=my_mf)';
      backup database include current controlfile;
      backup archivelog all not backed up;
    }
    
    
  4. 「ジョブの発行」をクリックします。

    「ステータス」ページが表示されます。


関連資料:

RMANのメディア管理パラメータおよびデータベース・バックアップ記憶域セレクタとの関係の詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

RMANおよびOracle Secure Backupによるバックアップの実行

Oracle Secure BackupのSBTインタフェースを使用するようにRMANを構成した後の、RMANバックアップを実行するための手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ基礎』で説明しているものと同じです。この項では、Enterprise Managerを使用してOracle Secure BackupのSBTを介してデータベース全体をバックアップする方法について説明します。

データベースをバックアップするには、次のようにします。

  1. データベース管理者の権限を持つユーザーとしてEnterprise Manager Database Controlにログインします。

  2. 「メンテナンス」ページの「バックアップ/リカバリ」セクションで、「バックアップのスケジュール」をクリックします。図3-6は「メンテナンス」ページの関連セクションを示しています。

  3. 「カスタマイズ・バックアップ」セクションで、「データベース全体」を選択してから「カスタマイズ・バックアップのスケジュール」をクリックします。

    「カスタマイズ・バックアップのスケジュール: オプション」ページが表示されます。

  4. 次の操作を実行した後、「次へ」をクリックします。

    • 「バックアップ・タイプ」セクションで、「全体バックアップ」を選択します。

    • 「バックアップ・モード」セクションで、「オンライン・バックアップ」を選択します。

    • 「拡張」セクションで、「また、すべてのアーカイブ・ログもディスクにバックアップします」を選択します。

    「カスタマイズ・バックアップのスケジュール: 設定」ページが表示されます。

  5. 「テープ」をクリックして「次へ」をクリックします。

    「カスタマイズ・バックアップのスケジュール: スケジュール」ページが表示されます。

  6. 「次へ」をクリックし、バックアップの特性を確認します。

  7. 「ジョブの発行」をクリックします。

    「ステータス」ページが表示されます。

  8. 「ジョブの表示」をクリックしてバックアップの進行を監視します。

    「実行: database_name」ページが表示されます。「バックアップ」リンクが表示されるまで、ページをリフレッシュします。

  9. 「バックアップ」をクリックします。

    「ステップ: バックアップ」ページが表示されます。このページをリフレッシュして、バックアップ・ジョブに対するRMANの出力を表示します。

RMANおよびOracle Secure Backupによるリカバリの実行

Oracle Secure BackupのSBTインタフェースを使用するようにRMANを構成した後の、データベース・ファイルをリストアするための手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ基礎』で説明しているものと同じです。この項では、Enterprise Managerを使用して表領域をテープからリストアし、メディア・リカバリを実行する方法について説明します。

表領域をリストアおよびリカバリするには、次のようにします。

  1. データベース管理者の権限を持つユーザーとしてEnterprise Manager Database Controlにログインします。

  2. 「管理」ページの「記憶域」セクションで、「表領域」をクリックします。

    「表領域」ページが表示されます。

  3. 表領域を記述する表で、「EXAMPLE」をクリックします。

    「表領域の表示: EXAMPLE」ページが表示されます。

  4. 「アクション」リストで、「オフラインに設定」を選択してから「実行」をクリックします。

    「表領域をオフラインに設定」ページが表示されます。

  5. 「即時」を選択して「OK」をクリックします。

    「表領域の表示: EXAMPLE」ページが表示されます。ステータス・バーに、表領域がオフラインであることが表示されます。

  6. オペレーティング・システム・ユーティリティを使用し、example表領域のデータファイルをオペレーティング・システムから削除します。

  7. Enterprise Managerで、「メンテナンス」ページの「バックアップ/リカバリ」セクションに移動し、「リカバリの実行」を選択します。

    情報バーに、表領域およびデータファイルがオフラインであることが表示されます。

  8. 「オブジェクト・レベルのリカバリ」セクションで、次の選択を行ってから「オブジェクト・レベルのリカバリの実行」をクリックします。

    • 「オブジェクト・タイプ」リストで、「表領域」を選択します。

    • 「操作タイプ」セクションで、「現在の時間または前のPoint-in-Timeへのリカバリ」を選択します。

    「オブジェクト・レベルのリカバリの実行: Point-in-Time」ページが表示されます。

  9. 「EXAMPLE」を選択し、「次へ」をクリックします。

    「オブジェクト・レベルのリカバリの実行: 名前の変更」ページが表示されます。

  10. デフォルトの場所を受け入れ、「次へ」をクリックします。

    「オブジェクト・レベルのリカバリの実行: 確認」ページが表示されます。

  11. リカバリ・リクエストを確認し、「発行」をクリックします。

    「処理中: オブジェクト・レベルのリカバリの実行」ページが表示されます。RMANがリカバリを完了すると、「リカバリの実行: 結果」ページにジョブのトランスクリプトが表示されます。

Oracle Secure BackupでのRMANメタデータの管理

この項では、Oracle Secure Backupを使用してRMANのバックアップに関する情報にアクセスし管理する方法について説明します。この項の内容は次のとおりです。

RMANおよびOracle Secure Backupのメタデータの概要

『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ基礎』では、RMANコマンド、ターゲット・データベースに対する動的パフォーマンス(V$)・ビューおよびリカバリ・カタログ・ビューによるRMANリポジトリ内のメタデータへのアクセス方法について説明しています。このメタデータには、Oracle Secure BackupのSBTインタフェースに作成されたRMANのバックアップに関する情報が含まれますが、メタデータはRMANによって管理されます。

Oracle Secure Backupは、バックアップ・メタデータの独自のカタログを保持し、このバックアップ・カタログは管理サーバーにあり、RMANによって管理されません。Oracle Secure BackupのWebツールを使用して、RMANのジョブおよびバックアップ・ピースに関するカタログ・メタデータを表示できます。あるいは、obtoollsjobcatxcrおよびlspieceの各コマンドを使用できます。

RMANのバックアップの有効期限

RMANバックアップは、コンテンツ管理の有効期限ポリシーまたは時間管理の有効期限ポリシー「ボリューム有効期限ポリシー」を参照)を使用するボリューム上に作成できます。一般に、テープ上のバックアップ・ピースに削除済のマークを付けるには、RMANでDELETEコマンドを使用する必要があります。それを受けて、Oracle Secure Backupは、バックアップ・ピースが削除済であると示すようにカタログを更新するため、RMANリポジトリとOracle Secure Backupのカタログのどちらにもピースは削除済と示されます。

Oracle Secure Backupでrmpieceコマンドを使用してバックアップ・ピースをテープから削除すると、RMANメタデータではテープのコンテンツを反映できません。この矛盾は、RMANのバックアップ・ピースが時間管理のポリシーによって期限切れになるボリューム上に存在するとき、あるいはRMANのバックアップ・ピースを含むボリュームを強制的に上書きするときにも発生する可能性があります。RMANで CROSSCHECK コマンドを使用して、テープのバックアップとRMANリポジトリ間の矛盾を解決します。


関連資料:

  • バックアップのクロスチェック方法は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ基礎』を参照してください。

  • RMANバックアップの削除方法は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ基礎』を参照してください。


Oracle Secure BackupでのRMANのジョブ情報の表示

Oracle Secure BackupのSBTインタフェースを使用して作成されたRMANのバックアップは、Oracle Secure Backupのすべてのジョブ管理コマンドの対象になります。ファイル・システムとデータベースのバックアップおよびリストア・ジョブを管理する方法は、「バックアップおよびリストア・ジョブの管理」で説明します。

RMANを使用してデータベースをバックアップまたはリストアする場合、ジョブにはデータベースの名前が含まれます。例6-4に、orclというデータベースに関するバックアップおよびリストア・ジョブのサンプル出力を示します。

例6-4 データベースのバックアップおよびリストア・ジョブ

ob> lsjob --all
Job ID           Sched time  Contents                       State
---------------- ----------- ------------------------------ ---------------------------------------
oracle/1         none    database orcl (dbid=1091504057) completed successfully at 2005/08/11.11:29
oracle/1.1       none    datafile backup                 completed successfully at 2005/08/11.11:29
oracle/2         none    database orcl (dbid=1091504057) completed successfully at 2005/08/11.11:56
oracle/2.1       none    datafile backup                 completed successfully at 2005/08/11.11:56
oracle/3         none    database orcl (dbid=1091504057) completed successfully at 2005/08/11.11:57
oracle/3.1       none    restore piece '06grqejs_1_1'    completed successfully at 2005/08/11.11:57


注意:

複数のRMANセッションが同時に1つのデータベースに対して実行されている場合、セッションは同じOracle Secure Backupジョブにグループ化されます。

ジョブのトランスクリプトの表示

ジョブのトランスクリプトには、RMANジョブに関する低いレベルの詳細情報が含まれます。Webツールを使用してトランスクリプトを表示する方法は、「ジョブのトランスクリプトの表示」で説明します。別の方法として、obtool catxcrコマンドを使用できます。

例6-5に、アーカイブ・ログのバックアップのトランスクリプトの一部を示します。このバックアップでは、RMAN-DEFAULTメディア・ファミリを使用しています。

例6-5 アーカイブ・ログのバックアップ・ジョブのトランスクリプト

ob> catxcr --head 22 sbt/6.1
2005/06/28.13:01:04 ______________________________________________________________________
2005/06/28.13:01:04
2005/06/28.13:01:04         Transcript for job sbt/6.1 running on stadv07
2005/06/28.13:01:04
Volume label:
    Volume tag:         ADE202
    Volume ID:          RMAN-DEFAULT-000002
    Volume sequence:    1
    Volume set owner:   root
    Volume set created: Tue Jun 28 13:01:30 2005
    Media family:       RMAN-DEFAULT
    Volume set expires: never; content manages reuse

Archive label:
    File number:        1
    File section:       1
    Owner:              root
    Client host:        stadv07
    Backup level:       0
    S/w compression:    no
    Archive created:    Tue Jun 28 13:01:30 2005

関連資料:

ジョブ・コマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

SBTエラーの表示

SBTセッション中にエラーが発生した場合、Oracle Secure Backupは、エラーの説明を管理サーバーに送信してジョブのトランスクリプトに保存しようとします。データベースは、SBTエラーをsbtio.logトレース・ファイルに書き込みます。ただし、ユーザーがこのファイルを別の名前で構成した場合を除きます。通常、sbtio.logはOracleホームのrdbms/logサブディレクトリにあります。


関連資料:

RMANのバックアップおよびリストア操作のトラブルシューティング方法は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・アドバンスト・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

バックアップ・ピース情報の表示

通常、RMANを使用してRMANのバックアップ・セットに関するメタデータにアクセスします。RMANのバックアップ・ピース情報をOracle Secure Backupで表示することもできます。

「バックアップ・セットとバックアップ・イメージ」で説明しているように、RMANのバックアップ・ピースは、Oracle Secure Backupではバックアップ・イメージとして表されます。Webツールを使用してOracle Secure Backupのカタログに記録されるバックアップ・ピースに関する情報を表示する方法は、「バックアップ・イメージの管理」で説明します。別の方法として、 lspieceコマンドを使用できます。例6-6に、lspieceのサンプル出力を示します。

例6-6 バックアップ・ピースの表示

ob> lspiece --long
Backup piece OID:       104
    Database:               ob
    Database ID:            1566254457
    Content:                archivelog
    Copy number:            0
    Created:                2005/06/28.13:01
    Host:                   stadv07
    Piece name:             05go3tgd_1_1
Backup piece OID:       105
    Database:               ob
    Database ID:            1566254457
    Content:                archivelog
    Copy number:            0
    Created:                2005/06/28.13:02
    Host:                   stadv07
    Piece name:             06go3ti5_1_1

関連資料:

lspieceコマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

Oracle Secure BackupのカタログへのRMANバックアップに関する情報の追加

一部の環境では、RMANのバックアップに関する情報がOracle Secure Backupのカタログに存在せず、テープに存在することがあります。このような状況は、ディスク障害が発生し、「管理サーバー上のクリティカル・データのリストア」で説明しているように管理サーバー上のファイルをリストアする必要がある場合に発生します。

RMANのバックアップに関するメタデータをOracle Secure Backupのカタログに追加するには、Webツールやobtoolではなく、obtarコマンドライン・ユーティリティを使用する必要があります。obtar-tGオプションを使用してファイルを再カタログ化する方法は、「バックアップ・イメージのコンテンツのカタログ化」で説明します。

Real Application Clusters環境でのRMANおよびOracle Secure Backupの使用方法

Oracle Secure BackupのSBTライブラリをRMANとともに使用して、Oracle Real Application Clusters(RAC)システムでデータベースをバックアップできます。Oracle Secure Backupソフトウェアがクラスタ・ノードにインストールされていると、RMANはこのノード上のデータベース・インスタンスに接続でき、このノード上のSBTライブラリを使用してデータをバックアップまたはリストアできます。

Oracle Secure Backupは、クラスタの各ノードにインストールしてください。そうすることで、RMANはインスタンスに接続してSBT操作を開始できるようになります。RMANは、どのノードがバックアップ・ピースを作成したかに関係なく、クラスタ内のOracle Secure Backupソフトウェアがインストールされているノードにバックアップ・ピースをリストアできます。

最良の方法は、各RACノードを管理ドメイン内のクライアント・ホストとして構成することです。Oracle Secure Backupを使用して、各ノードのファイル・システム上のノード固有の構成データをバックアップできます。Oracle Secure Backupは、RACクライアントのファイル・システム・バックアップを他のクライアント・ホストと同様に処理します。図6-6に、サンプルの管理ドメインを示します。このドメインには3ノードのRACシステムがあり、各ノードはOracle Secure Backupのクライアントとして構成されています。

図6-6 Real Application Clusters環境でのRMANおよびOracle Secure Backupの使用方法

RAC環境でのOracle Secure Backupを示しています。
「図6-6 Real Application Clusters環境でのRMANおよびOracle Secure Backupの使用方法」の説明