Oracle Data GuardとともにデプロイされたオンプレミスのOracle Databaseのパッチ適用およびメンテナンスには、Oracle Fleet Patching and Provisioning (FPP)を使用することをお薦めします。
- Oracle Fleet Patching and Provisioningの概要
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング(FPP)は、Oracle Real Application ClustersおよびOracle Data GuardとともにデプロイされたOracle Databaseの推奨メンテナンス方法です。 - Oracle Databaseリリース更新パッチについて
Oracleでは、リリース更新(RU)の形式で四半期ごとの更新を提供して、新機能のリリース、既存の機能のアップグレード、セキュリティの強化またはサポートされているソフトウェアでの問題の解決を行います。 - Oracle Real Application ClustersおよびOracle Data Guardのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング
デプロイメントを容易にするために、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)およびOracle Data Guardとともにデプロイされたデータベースのメンテナンスには、Oracle Fleet Patching and Provisioningを使用することをお薦めします。 - フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用したOracle Data Guardのデータベース・メンテナンスの開始
メンテナンスを実行するには、Oracle Fleet Patching and Provisioning (FPP)サーバーを使用して、推奨されるイメージベースのアウトオブプレース・パッチ適用を実行します。 - 手動モードによるゴールド・イメージを使用したOracle Databaseメンテナンス
ゴールド・イメージを使用した定期的なデータベース・メンテナンスの実行に使用できる手動オプションについて説明します。 - パッチの競合の解決
ゴールド・イメージのパッチ・メンテナンスを使用しない場合、他のプロアクティブなメンテナンス方法(カスタム・ゴールド・イメージなど)で使用された個別パッチが原因で、パッチ競合が発生する可能性があります。 - Oracle DatabaseおよびOracle GoldenGateへのパッチ適用
Oracle DatabaseとともにOracle GoldenGateを使用する場合は、Oracle GoldenGateプロセスが停止していることを確認してから、データベースにパッチを適用する必要があります。 - ドキュメントのアクセシビリティについて
- Oracle RACまたはOracle Grid InfrastructureのRU更新のロールバック
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで実行されたRUパッチ更新をロールバックするには、データベースまたはインフラストラクチャを古いOracleホームに移動します。
Oracle Fleet Patching and Provisioningの概要
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング(FPP)は、Oracle Real Application ClustersおよびOracle Data GuardとともにデプロイされたOracle Databaseの推奨メンテナンス方法です。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニング(FPP)は、アップグレードおよびプロビジョニングのパッチ適用のための本格的な自動化エンジンです。中央Oracle FPPサーバーを使用して、単一の中央サーバーからデータベースおよびグリッド・インフラストラクチャのフリートを操作できるため、数千のデータベースに同時に簡単にパッチを適用できます。特定のデータ・センターに対して単一のOracle FPPサーバーをデプロイし、それを使用してそのデータ・センター内のフリート全体にパッチを適用できます。
次の機能があります
- Oracle Database (Oracle RAC、Oracle RAC One Nodeおよび単一インスタンス)、Oracle Grid Infrastructure、Oracle RestartおよびOracle Exadataエンジニアド・システム(DBNode、ストレージ・セルおよびネットワーク)に対して、メンテナンス・パッチ適用およびソフトウェア更新を実行します。
- Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureへのソフトウェア・アップグレードを実行します。
- 高度な機能を多数備えており、グローバルなフリート標準化および管理を簡素化された方法で実現できます。
Oracle Databaseリリース更新パッチについて
Oracleでは、リリース更新(RU)の形式で四半期ごとの更新を提供して、新機能のリリース、既存の機能のアップグレード、セキュリティの強化またはサポートされているソフトウェアでの問題の解決を行います。
Oracle Database 23ai以降、RUは次の2つの形式で提供されます。
- 新しいソフトウェア・リリースのようにアウトオブプレースでインストールできるゴールド・イメージとして。
- OPatchまたはOPatchAutoを使用してインプレースで適用できるバイナリ・パッチとして。
次のステップを使用して、アウトオブプレースOracle Databaseパッチを適用できます:
- RUをゴールド・イメージとしてダウンロードします。
runInstaller -setupDBHomeAs
を使用して、ソースOracleホームと同じOracleベースに、古いOracleホーム(ソース)と同じ新しいOracleホーム(ターゲット)を作成します。- Oracle Databaseを古いOracleホームから新しいOracleホームに移動します。
データベースを新しいOracleホームに移動すると、すべてのデータベース・サービスが新しいホームから開始されます。
Oracle Real Application ClustersおよびOracle Data Guardのフリート・パッチ適用およびプロビジョニング
デプロイメントを容易にするために、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)およびOracle Data Guardとともにデプロイされたデータベースのメンテナンスには、Oracle Fleet Patching and Provisioningを使用することをお薦めします。
Oracle Fleet Patching and Provisioning(FPP)は、Oracle DatabaseとOracle Exadataを念頭に、データベース開発組織によって一から構築されています。FPPでは当初から、一元的なゴールド・イメージ・アウトオブプレース・メンテナンス方式が採用されており、多用性と柔軟性に富むMAA準拠のパッチ適用を最新のOracle Database機能を利用して実現します。
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用したOracle Data Guardのデータベース・メンテナンスの開始
メンテナンスを実行するには、Oracle Fleet Patching and Provisioning (FPP)サーバーを使用して、推奨されるイメージベースのアウトオブプレース・パッチ適用を実行します。
Oracleでは、ソフトウェア・イメージの管理およびOracle Data GuardとともにデプロイされたOracle Databaseへのパッチ適用(イメージベースのアウトオブプレース・パッチ適用)に、Oracle Fleet Patching and Provisioning (FPP)サーバーを使用することをお薦めしています。パッチ適用プロセスによりOracle Real Application ClustersデータベースおよびOracle Data Guardは、既存のソフトウェア・ホームから、新しいソフトウェアが含まれるターゲット・ホームに移動します。
このトピックでは、ソフトウェア・メンテナンスで次のステップを完了する方法について説明します:
- Oracle DatabaseまたはOracle Data Guardソフトウェアの更新は必要ですか。
- Oracle DatabaseまたはOracle Data Guardソフトウェアをどのリリース更新(RU)に更新しますか。
- Oracle DatabaseまたはOracle Data Guardソフトウェアの更新はどのように実行しますか。
Oracle DatabaseまたはOracle Data Guardソフトウェアを更新する前に、My Oracle Supportのドキュメント「Creating Gold Image for Oracle Database and Grid Infrastructure Installations」(ドキュメントID 2915366.2)に記載されているステップを使用してゴールド・イメージを作成する必要があります。次の情報を提供する準備をします:
- ソースOracleホームで
opatch lsinventory
を実行した結果。この結果には、適用済のパッチとOracleホームに関する追加情報が表示されます。 - 適用するターゲットRUパッチ番号(候補パッチの入力テキスト・ボックスに入力します)。
- データベース・リリースのターゲットRUと一緒にインストールする推奨個別パッチ。たとえば、My Oracle Supportドキュメント「Oracle Database 19c Important Recommended One-off Patches」(ドキュメントID 555.1)に記載されているOracle Database 19c用のパッチなど。
- 自社のアプリケーションまたはデプロイメント環境に必要なその他のパッチ(候補パッチ入力テキスト・ボックス内)。
手動モードによるゴールド・イメージを使用したOracle Databaseメンテナンス
ゴールド・イメージを使用した定期的なデータベース・メンテナンスの実行に使用できる手動のオプションについて説明します。
- データベース・メンテナンス用のゴールド・イメージの作成
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用するか、手動パッチ適用を使用して、データベース・メンテナンス用のゴールド・イメージを取得する方法について説明します。 - イメージを作成するための設定ウィザードのインストール・オプション
Oracle DatabaseまたはOracle Grid Infrastructureのインストール用の設定ウィザードで使用するゴールド・イメージ作成オプション。
データベース・メンテナンス用のゴールド・イメージの作成
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用するか、手動パッチ適用を使用して、データベース・メンテナンス用のゴールド・イメージを取得する方法について説明します。
例1-1 ゴールド・イメージの取得方法
ゴールド・イメージは、次の方法で取得できます:- 「Creating Gold Image for Oracle Database and Grid Infrastructure Installations」(ドキュメントID 2915366.2)に記載されている手順を実行した後に、My Oracle Supportからダウンロードします。
- パッチを手動で適用した既存のOracleソフトウェア・ホームから、ゴールド・イメージを作成します。詳細は、『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』の「イメージを作成するための設定ウィザードのインストール・オプション」を参照してください。
ゴールド・イメージを取得したら、フリート・パッチ適用およびプロビジョニングを使用するか、データベース設定ウィザードを使用してゴールド・イメージをデプロイします。
イメージを作成するための設定ウィザードのインストール・オプション
Oracle DatabaseまたはOracle Grid Infrastructureのインストール用の設定ウィザードで使用するゴールド・イメージ作成オプション。
オプション
イメージベースのインストールでは、設定ウィザードrunInstaller
およびgridSetup.sh
をそれぞれ実行して、Oracle DatabaseのインストールまたはOracle Grid Infrastructureのインストールを開始できます。どちらのウィザードにも、次のイメージ作成オプションが用意されています。
表1-1 設定ウィザードのイメージ作成オプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
現在のOracleホームからゴールド・イメージを作成します。 |
|
ゴールド・イメージが作成される完全パスまたは場所を指定します。 |
|
新しく作成されるゴールド・イメージから除外するファイルの完全パスを指定します。 |
|
使用可能なすべてのオプションのヘルプを表示します。 |
例:
./runInstaller -createGoldImage -destinationLocation /tmp/my_db_images -exclFiles /u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1/relnotes
./gridSetup.sh -createGoldImage -destinationLocation /tmp/my_grid_images -exclFiles /u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1/relnotes
説明:
/tmp/my_db_images
は、イメージのzipファイルが作成される一時ファイルの場所です。
/tmp/my_grid_images
は、イメージのzipファイルが作成される一時ファイルの場所です。
/u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1/relnotes
は、新しく作成されるゴールド・イメージから除外するファイルです。
パッチの競合の解決
ゴールド・イメージのパッチ・メンテナンスを使用しない場合、他のプロアクティブなメンテナンス方法(カスタム・ゴールド・イメージなど)で使用された個別パッチが原因で、パッチ競合が発生する可能性があります。
ノート:
Oracleでは、データベースのメンテナンスに四半期ゴールド・イメージのデプロイメント方法のいずれかを使用することをお薦めしています。ゴールド・イメージのデプロイでは、パッチの競合解消およびマージがゴールド・イメージ作成の一部として含まれます。カスタム・ゴールド・イメージには、この最適化はありません。四半期プロアクティブ・パッチ(四半期Exadataパッチ、RUおよびMRP)の場合、競合する既存のパッチに対して新しい個別パッチが予防的に生成されます。新しい個別パッチは通常、プロアクティブ・パッチと同時にリリースされます。
パッチ競合の解決の詳細は、パッチ競合に関するMy Oracle Supportノートを参照してください。
Oracle DatabaseおよびOracle GoldenGateへのパッチ適用
Oracle DatabaseとともにOracle GoldenGateを使用する場合は、Oracle GoldenGateプロセスが停止していることを確認してから、データベースにパッチを適用する必要があります。
Oracle GoldenGateを使用している状況でOracle Databaseにパッチを適用する場合は、Oracle GoldenGateプロセスを無効にしてから、データベースへのパッチ適用を開始してください。これは、パッチおよびアップグレードによりRDBMS内部表およびビューが変更され、それらをコールするストアド・プロシージャが無効になることがあるためです。依存オブジェクトもすべて無効になります。
関連トピック
ドキュメントのアクセシビリティについて
オラクルのアクセシビリティについての詳細情報は、Oracle Accessibility ProgramのWebサイト(http://www.oracle.com/pls/topic/lookup?ctx=acc&id=docacc)を参照してください。
Oracleサポート・サービスへのアクセス
お客様のOracleサポート・サービスへのアクセスおよびご利用は、該当するサービスの注文時に指定された利用条件に従うものとします。
Oracle RACまたはOracle Grid InfrastructureのRU更新のロールバック
フリート・パッチ適用およびプロビジョニングで実行されたRUパッチ更新をロールバックするには、データベースまたはインフラストラクチャを古いOracleホームに移動します。
rhpctl move
を使用して、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースまたはOracle Grid Infrastructureを古いソフトウェア・ホームに移動します。rhpctl move
を使用して更新を元に戻す場合は、sourcehome
が新しいリリース・ソフトウェア・ホームとなり、desthome
が古いリリース・ソフトウェア・ホームとなるように、sourcehome
およびdesthome
オプションを変更します。
例1-2 Oracle Grid Infrastructureの更新のロールバック
この例では、Oracle Grid InfrastructureのRUがロールバックされます。ここで、gi_home
はソース・グリッド・ホーム、dest_path
はターゲット・グリッド・ホームです:
rhpctl move gihome -sourcehome dest_path -desthome gi_home
例1-3 Oracle RACホームのロールバック
この例では、Oracle RACデータベースのRUがロールバックされます。sourcehome
はソースOracle RACホーム、dest_path
はターゲットOracle RACホーム、orcles
はデータベース名です。
rhpctl move database -sourcehome dest_path -desthome source_home -dbname orcles
Oracle Database Oracle Data Guardとともにデプロイされるデータベースのための推奨パッチ・メンテナンス, リリース23ai
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