8.1 ローカル・ネーミング・メソッドの構成
ローカル・ネーミング・メソッドでは、ネットワーク・サービス名をtnsnames.ora
ファイルに追加します。各ネットワーク・サービス名は、接続記述子にマップされます。
次の例は、DESCRIPTION
に含まれる接続記述子にマップされるネットワーク・サービス名sales
を示しています。DESCRIPTION
セクションにはプロトコル・アドレスが含まれており、接続先データベース・サービスを識別します。この例では、プロトコルはTCP/IP、ポートは1521です。
例8-1 ホスト名を含む接続記述子
sales= (DESCRIPTION= (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)) (CONNECT_DATA= (SERVICE_NAME=sales.us.example.com)))
次の例は、IPv6アドレスおよびポート番号1522で識別されるホストに接続するための有効なtnsnames.ora
エントリを示しています。
例8-2 IPv6アドレスを含む接続記述子
salesdb = ( DESCRIPTION = ( ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=2001:0db8:1:1::200C:417A)(PORT=1522) ) ( CONNECT_DATA = (SERVICE_NAME=sales.example.com) ) )
次の項目で説明するように、ローカル・ネーミングは、インストール中またはインストール後に構成できます。
- インストール中のtnsnames.oraファイル構成
- インストール後のtnsnames.oraファイル構成
ネットワーク・サービス名は、インストール後、いつでもtnsnames.ora
ファイルに追加できます。
関連トピック
親トピック: ネーミング・メソッドの構成
8.1.1 インストール中のtnsnames.oraファイル構成
Oracle Net Configuration Assistantを使用すると、クライアントに対するネットワーク・サービス名の構成が可能となります。Oracle Universal Installerは、ソフトウェアのインストール後にOracle Net Configuration Assistantを起動します。構成は、インストール・モードによって異なります。
-
管理者またはランタイム・インストレーション: Oracle Net Configuration Assistantでは、Oracle Databaseサービスへ接続するために、
tnsnames.ora
ファイルにネットワーク・サービス名を構成するように求められます。 -
カスタム・インストレーション: Oracle Net Configuration Assistantでは、使用するネーミング・メソッドを選択するように求められます。ローカル・ネーミングを選択した場合、Oracle Net Configuration Assistantでは、Oracle Databaseサービスへ接続するために、
tnsnames.ora
ファイル中のネットワーク・サービス名を構成するように求められます。
親トピック: ローカル・ネーミング・メソッドの構成
8.1.2 インストール後のtnsnames.oraファイル構成
ネットワーク・サービス名は、インストール後、いつでもtnsnames.ora
ファイルに追加できます。
ローカル・ネーミング・メソッドを構成するには、次の作業を実行します。
ノート:
Oracle Netとの接続を構成する前に、基礎となるネットワーク接続が稼働している必要があります。
- タスク1 ネット・サービス名の構成
-
ネットワーク・サービス名を構成するには、次のいずれかの方法を使用します。
それぞれの方法で同様の機能が提供されます。ただし、Oracle Net Managerには
sqlnet.ora
ファイルでの追加の構成オプションがあります。-
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用したネット・サービス名の構成
次の手順では、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して
tnsnames.ora
ファイルのネットワーク・サービス名を構成する方法について説明します。-
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlの「Net Services管理」ページにアクセスします。
-
「管理」リストから「ローカル・ネーミング」を選択し、構成ファイルの場所が含まれるOracleホームを選択します。
-
「ローカル・ネーミング」ページが表示されます。データベース・サーバーへのログインを求められる場合があります。
-
「類似作成」をクリックします。
「ネット・サービス名の作成」ページが表示されます。
-
「ネット・サービス名」フィールドに名前を入力します。
ネットワーク・サービス名は、クライアントのドメインで修飾できます。
sqlnet.ora
ファイルのパラメータNAMES.DEFAULT_DOMAINが設定されていると、ネットワーク・サービス名は自動的にドメインによって修飾されます。関連項目:
-
「データベース情報」セクションで次のようにサービス・サポートを設定します。
-
宛先サービス名を入力します。
関連項目:
使用するサービス名文字列の詳細は、「接続記述子について」を参照
-
データベース接続タイプを選択します。
接続タイプには「データベースのデフォルト」のデフォルト設定をお薦めします。専用サーバーが初期化パラメータ・ファイルで構成されている場合、「専用サーバー」を選択し、共有サーバー構成を使用せずに、リスナーに専用サーバーを起動させることができます。共有サーバーが初期化パラメータ・ファイルで構成され、接続時に常に共有サーバーが使用されるようにする場合は、「共有サーバー」を選択します。
関連項目:
共有サーバーの構成の詳細は、「共有サーバー・アーキテクチャの構成」を参照してください。
-
-
アドレス・セクションで次のようにプロトコル・サポートを設定します。
-
「追加」をクリックします。
「アドレスの追加」ページが表示されます。
-
「プロトコル」リストからリスナーがリスニングするように構成されているプロトコルを選択します。このプロトコルも、クライアント上にインストールする必要があります。
-
提供されたフィールドで選択したプロトコルに対して適切なパラメータ情報を入力します。
関連項目:
プロトコル・パラメータの設定の詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。
-
(オプション)「拡張パラメータ」セクションを使用して、このセッションにおける送受信操作に必要なI/Oバッファ・スペース制限を「合計送信バッファ・サイズ」および「合計受信バッファ・サイズ」フィールドに指定します。
関連項目:
バッファ・スペースの詳細は、「I/Oバッファ・スペースの構成」を参照してください
-
「OK」をクリックします。
プロトコル・アドレスは、アドレス・セクションに追加されます。
-
-
「OK」をクリックして、ネットワーク・サービス名を追加します。
ネットワーク・サービス名が「ローカル・ネーミング」ページに追加されます。
-
アドレスに対して接続時フェイルオーバーおよびクライアント・ロード・バランシング・オプションを選択します。
-
「OK」をクリックします。
関連項目:
-
複数のプロトコル・アドレスを構成する方法については、「リスナー・プロトコル・アドレスのリスト作成」を参照してください
-
CONNECT_DATAオプションを追加して構成するには、「拡張接続データ・パラメータについて」を参照してください
-
-
Oracle Net Managerを使用したネット・サービス名の構成
次の手順では、Oracle Net Managerを使用して
tnsnames.ora
ファイルのネットワーク・サービス名を構成する方法について説明します。-
Oracle Net Managerを起動します。
-
ナビゲータ・ペインで、「ローカル」メニューから「サービス・ネーミング」を選択します。
-
ツールバーで「+」をクリックするか、「編集」メニューから「作成」を選択します。
-
「ネット・サービス名」フィールドに名前を入力します。
ネットワーク・サービス名は、クライアントのドメインで修飾できます。
sqlnet.ora
ファイルのパラメータNAMES.DEFAULT_DOMAINが設定されていると、ネットワーク・サービス名は自動的にドメインによって修飾されます。関連項目:
-
「次」をクリックします。
「プロトコル」ページが表示されます。
-
リスナーがリスニングするように構成されているプロトコルを選択します。このプロトコルも、クライアント上にインストールする必要があります。
-
「次」をクリックします。
「プロトコル設定」ページが表示されます。
-
提供されたフィールドで選択したプロトコルに対して適切なパラメータ情報を入力します。
関連項目:
プロトコル・パラメータの設定の詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。
-
「次」をクリックします。
「サービス」ページが表示されます。
-
宛先サービス名を入力し、オプションでデータベース接続タイプを選択します。
オラクル社では、接続タイプには「データベースのデフォルト」のデフォルト設定の使用をお薦めします。専用サーバーが初期化パラメータ・ファイルで構成されている場合、「専用サーバー」を選択し、共有サーバー構成を使用せずに、リスナーに専用サーバーを起動させることができます。共有サーバーが初期化パラメータ・ファイルで構成され、接続時に常に共有サーバーが使用されるようにする場合は、「共有サーバー」を選択します。
関連項目:
-
共有サーバーの構成の詳細は、「共有サーバー・アーキテクチャの構成」を参照してください
-
使用するサービス名文字列の詳細は、「接続記述子について」を参照
-
-
「次」をクリックします。
「テスト」ページが表示されます。
-
ネットワーク・サービス名が機能するかどうかを確認するには、「テスト」をクリックし、Netサービス名ウィザードを終了するには、「終了」をクリックします。
「テスト」をクリックすると、Oracle Netは構成済の接続記述子情報を使用して、データベース・サーバーに接続します。このため、リスナーとデータベースを実行していなければテストを正常に実行できません。実行されていない場合は、テストの前に、「Oracle Net ListenerとOracle Databaseサーバーの起動」を参照してコンポーネントを起動してください。テスト中、ステータスとテスト結果を示す「接続テスト」ダイアログ・ボックスが表示されます。テストが成功すると、次のメッセージが表示されます。
The connection test was successful.
テストが成功した場合は、「閉じる」をクリックして「接続テスト」ダイアログ・ボックスを閉じてからステップ13に進みます。
テストが正常終了しなかった場合は、次の処置を行ってください。
-
データベースとリスナーが実行されていることを確認し、「テスト」をクリックします。
-
「ログインの変更」をクリックして、接続に使用するユーザー名とパスワードを変更し、「テスト」をクリックします。
-
-
「終了」をクリックして、「Netサービス名ウィザード」を終了します。
-
「ファイル」メニューから「ネットワーク構成の保存」を選択します。
関連項目:
-
複数のプロトコル・アドレスを構成する方法については、「リスナー・プロトコル・アドレスのリスト作成」を参照してください
-
CONNECT_DATAオプションを追加して構成するには、「拡張接続データ・パラメータについて」を参照してください
-
-
-
Oracle Net Configuration Assistantを使用したネット・サービス名の構成
次の手順では、Oracle Net Configuration Assistantを使用して
tnsnames.ora
ファイルのネットワーク・サービス名を構成する方法について説明します。-
Oracle Net Configuration Assistantを起動します。
「ようこそ」ページが表示されます。
-
「ローカル・ネット・サービス名構成」を選択してから、「次へ」をクリックします。
「ネット・サービス名の構成」ページが表示されます。
-
「追加」をクリックし、「次へ」をクリックします。
「ネット・サービス名の構成」ページが表示されます。
-
「サービス名」フィールドにネット・サービス名を入力します。
-
「次」をクリックします。
-
ウィザードのプロンプトとオンライン・ヘルプに従って、ネットワーク・サービス名を作成します。
-
- タスク2 第1番目のネーミング・メソッドとしてのローカル・ネーミングの構成
-
sqlnet.ora
ファイルのNAMES.DIRECTORY_PATHパラメータで第1番目のネーミング・メソッドとして指定するローカル・ネーミングを構成します。このパラメータは、Oracle Netが接続識別子を接続記述子に解決する際に使用するネーミング・メソッドの順序を指定します。第1番目のネーミング・メソッドとしてローカル・ネーミング・メソッドを構成するには、次のいずれかの方法を使用します。
それぞれの方法で同じ機能が提供されます。
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用したローカル・ネーミングの構成
次の手順では、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して第1番目のネーミング・メソッドとしてローカル・ネーミングを指定する方法について説明します。
-
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlの「Net Services管理」ページにアクセスします。
-
「管理」リストから「ネットワーク・プロファイル」を選択します。
-
「実行」をクリックします。
-
「ネーミング・メソッド」を選択します。
-
「使用可能なメソッド」リストから「TNSNAMES」を選択します。
-
「移動」をクリックして、選択したメソッドを「選択したメソッド」リストに移動します。
-
「昇格」ボタンを使用してTNSNAMESをリストの最上位に移動します。
-
「OK」をクリックします。
Oracle Net Managerを使用したローカル・ネーミングの構成
次の手順では、Oracle Net Managerを使用して第1番目のネーミング・メソッドとしてローカル・ネーミングを指定する方法について説明します。
-
Oracle Net Managerを起動します。
-
ナビゲータ・ペインで、「ローカル」メニューから「プロファイル」を選択します。
-
右ペインのリストから、「ネーミング」を選択します。
-
「メソッド」タブをクリックします。
-
「使用可能なメソッド」リストから「TNSNAMES」を選択し、右矢印ボタンをクリックします。
-
「選択メソッド」リストで「TNSNAMES」を選択し、「上へ」ボタンを使用して選択済項目をリストの最上位に移動します。
-
「ファイル」メニューから「ネットワーク構成の保存」を選択します。
sqlnet.ora
ファイルは、NAMES.DIRECTORY_PATHパラメータで更新され、次のようにtnsnames
が最初に表示されます。NAMES.DIRECTORY_PATH=(tnsnames, EZCONNECT)
-
- タスク3 他のクライアントへの構成のコピー
-
クライアントを1台構成してから、
tnsnames.ora
とsqlnet.ora
の構成ファイルを他のクライアントの同じ場所にコピーします。これによって、ファイルの一貫性が保たれます。その他に、Oracle Net Assistantをすべてのクライアント上で使用できます。 - タスク4 リスナーの構成
-
サーバー上のリスナーは、ネットワーク・サービス名用に構成したものと同じプロトコル・アドレスを使用してリスニングするように構成する必要があります。デフォルトでリスナーは、ポート1521のTCP/IPプロトコルを使用するように構成されています。
関連項目:
リスナー構成の詳細は、「Oracle Net Listenerの構成と管理」を参照してください
- タスク5 データベースへの接続
-
クライアントは、次の構文を使用してデータベースへ接続できます。
CONNECT
username
@net_service_name
親トピック: ローカル・ネーミング・メソッドの構成