7.7.1.7 ALTER IORMPLAN

用途

ALTER IORMPLANコマンドは、セルのI/Oリソース管理(IORM)プランを更新します。

ALTER IORMPLANコマンド句はIORMのobjectiveを制御し、I/Oリソースへのアクセスを制御するディレクティブを指定します。

構文

ALTER IORMPLAN [ objective = iorm_objective ]
      [ catplan = { ( directive [, directive] ... ) | "" } ]
      [ dbplan = { ( directive [, directive] ... ) | "" } ]
      [ clusterplan = { ( directive [, directive] ... ) | ""  } ]

パラメータ

  • objective: IORMの最適化モードを指定します。有効なobjective値は次のとおりです。

    • auto - IORMのこの設定を使用して、アクティブなワークロードおよびリソース・プランに基づいて最適なモードを決定します。IORMでは、監視対象のワークロードおよび有効なリソース・プランに基づいて、継続的かつ動的に最適化のobjectiveを判断します。これはほとんどのユースケースで推奨される値であり、Oracle Exadata System Softwareリリース21.2.0以降ではデフォルト設定です。
    • high_throughput - この設定を使用して、高いスループットが要求されるクリティカルなDSSのワークロードを最適化します。この設定により、スループットが向上しますが、I/Oレイテンシが長くなります。
    • low_latency - この設定を使用して、非常に適切なディスク・レイテンシが要求されるクリティカルなOLTPワークロードを最適化します。この設定により、ディスク使用率が制限され、レイテンシが可能なかぎり最短になりますが、スループットが低下します。
    • balanced - この設定はクリティカルなOLTPワークロードとDSSワークロードが混在する場合に使用します。この設定により、短いディスク・レイテンシと高いスループットが均等になります。この設定により、大きいI/Oのディスク使用率がlow_latencyより小さい範囲に制限され、レイテンシとスループットがバランスします。
    • basic: この設定は、小さいI/Oの最大遅延を制限する場合に使用します。それ以外の場合は、I/Oの優先順位付けを無効にします。これは、Oracle Exadata System Softwareリリース20.1.0以前のデフォルト設定です。
  • catplan: カテゴリ・プランを指定し、主に実行中の作業のカテゴリでリソースを割り当てることができます。catplanディレクティブが設定されていない場合、各カテゴリにはデフォルトで同じリソース共有があります。

    ノート:

    Oracle Exadata System Softwareリリース21.2.0以降、カテゴリ・プランは非推奨となり、カテゴリ・プランが設定されると警告メッセージが発行されます。
  • dbplan: データベース間のリソース割当てを管理できるデータベース間プランを指定します。dbplanディレクティブが設定されていない場合、各データベースにはデフォルトで同じリソース共有があります。

  • clusterplan:クラスタ・プランを指定します。これにより、Oracle Grid Infrastructureクラスタ間のリソース割当てを管理できます。clusterplanディレクティブが設定されていない場合、各クラスタにはデフォルトで同じリソース共有があります。

    ノート:

    クラスタ・プランは、Oracle Exadata System Softwareリリース21.2.0で初めて導入されました。

使用上のノート

  • ユーザー定義IORMプラン(catplandbplanまたはclusterplan)を完全に有効にするには、IORMのobjectivebasic以外の値に設定する必要があります。

  • クラスタ・プラン(clusterplan)では、クラスタの識別にASM-Scoped Securityが使用されます。name属性の値は、クラスタのASM-Scoped Security定義の一部である、cellkey.oraファイルのasmフィールドと一致する必要があります。ASM-Scoped Securityが構成されていない場合、クラスタ内のすべてのデータベースがDEFAULTクラスタに関連付けられます。

  • 様々なユーザー定義IORMプランが次のように相互運用されます。

    • catplandbplanを組み合せて使用できるのは、dbplantype=profileを持つディレクティブが含まれていない場合のみです。

      この場合、両方のプランのディレクティブが適用され、リソースの共有が決定されます。

    • catplanclusterplanを組み合せて使用することはできません。

      catplanディレクティブが存在する場合、clusterplanディレクティブは設定できません。同様に、clusterplanディレクティブが存在する場合は、catplanディレクティブを設定できません。

    • clusterplandbplanを組み合せて使用できるのは、dbplanallocationまたはlevelディレクティブが含まれていない場合のみです。

      この場合、両方のプランのディレクティブが適用され、リソースの共有が決定されます。

  • 現在のディレクティブを削除し、catPlandbPlanまたはclusterplanパラメータをリセットするには、一重引用符または二重引用符のペアを使用してパラメータを空の文字列に設定します。開始と終了の引用符は同じにする必要があります。たとえば、""は適切ですが、"'は不適切です。

  • コマンドが長い場合や複雑な場合は、スクリプトを使用してALTER IORMPLANコマンドを実行することを検討します。

  • IORMは、ALTER IORMPLANコマンドを使用して、すべてのストレージ・サーバーで個別に構成されます。システム全体のパフォーマンスを一貫したものにするには、ストレージ・クラスタ内のすべてのストレージ・サーバーが同じIORM構成設定を使用するようにします。

例7-39 IORMPLANのobjectiveの設定

この例は、IORM最適化モードを設定するために使用されるALTER IORMPLANコマンドを示しています。

CellCLI> ALTER IORMPLAN objective=low_latency
CellCLI> ALTER IORMPLAN objective=auto

例7-40 IORMPLANのプランのリセット

この例は、IORMPLANdbplanおよびcatplanをリセットする方法を示しています。最初のコマンドは、1つのコマンドを使用してdbplanおよびcatplanをリセットします。その他のコマンドは、dbplanおよびcatplanを個別にリセットします。

CellCLI> ALTER IORMPLAN dbplan="", catplan=""
CellCLI> ALTER IORMPLAN dbplan=""
CellCLI> ALTER IORMPLAN catplan=""