消費量抽出

インターバル測定使用データを外部システムに送信する際は、履歴データと現在のデータの両方を抽出する必要があります。履歴データは初期ロード・プロセスの過程で抽出でき、統合の初期設定時にのみ提供される必要があります。履歴データには、指定した履歴期間内のすべての有効なサービス・ポイントのデータ履歴が含まれる必要があります。現在のデータは定期的かつ継続的に(または増分的に)抽出される必要があります。ただし、現在のデータの送信に加えて、システムで受信した履歴訂正も抽出される必要があります。

抽出要求

次の複数のタイプの消費量抽出要求があります。

  • 初期ロード: 初期ロード抽出要求は、「消費量抽出要求」ポータルを介して手動で作成および発行されます。消費量抽出要求は、指定した消費量抽出タイプ(次のトピックを参照)および抽出日付範囲に基づきます。システムで定義した消費量抽出タイプごとに、初期ロード要求を作成および発行する必要があります。
  • 増分 / 進行中(現在のデータ): 増分 / 進行中の抽出要求は手動で作成できますが、多くの場合、バッチ・プロセスで作成されます。「日次消費量抽出要求の作成」バッチ管理は、有効な消費量抽出タイプをスキャンし、「頻度」が「自動日次」のタイプごとに要求を作成します。アドホック増分要求は、必要に応じて手動で作成および発行できます。
  • 履歴訂正: 履歴訂正抽出は、バッチ・プロセスで作成されます。初期測定および測定ビジネス・オブジェクトの「最終処理済」状態に対するアルゴリズムでは、最終処理済初期測定または再導出値が履歴訂正かどうかを判断します。これらのアルゴリズムでは、関連する初期測定の測定を抽出するバッチ・プロセスによって評価されるレコードを作成します。

消費量抽出タイプ

消費量抽出タイプによって、消費量抽出要求を処理するときに使用する固有のパラメータが定義されます。消費量抽出タイプは、サービス・ポイント・タイプ、測定のタイプ、および測定をTOU期間にグループ化する方法(該当する場合)を制御します。また、消費量抽出タイプによって、様々なタイプの要求(初期ロード、増分および履歴)のデータを抽出するときに使用するアルゴリズムおよびバッチ・プロセスも定義されます。

基本パッケージには、次の2つの消費量抽出タイプのビジネス・オブジェクトが付属しています。

  • エネルギー管理抽出(D2-ConsumptionExtractType): このビジネス・オブジェクトは、インターバル・データを取得して、これを指定されたターゲット単位およびインターバル・サイズに変換します。このビジネス・オブジェクトは、TOUマッピングをサポートしていません。
  • TOUマップがあるエネルギー管理抽出(D2-ConsumptionExtractTypeTOU): このビジネス・オブジェクトは、インターバル・データを取得して、これを指定されたターゲット単位およびインターバル・サイズに変換し、抽出前に特定のTOUマップにマップします。

履歴データと現在のデータ

消費量抽出タイプの「抽出期限日時」フィールドは、現在のデータ(直近に抽出されたデータ)と履歴訂正を区別するために使用し、その抽出タイプのデータが抽出された最終日に設定されます。たとえば、データが2015年6月1日に抽出された場合、「抽出期限日時」は2015年6月1日12:00AMに設定されます。データが翌日に抽出された場合、「抽出期限日時」は2015年6月2日12:00AMに更新されます。

抽出対象のデータを評価する場合:

  • インターバル・データは、その測定日時が「抽出期限日時」より後の場合は現在とみなされます。
  • インターバル・データは、その測定日時が「抽出期限日時」以前の場合は履歴訂正とみなされます。

初期測定に対する履歴データの変更は、「最終処理済」状態になると検出できます。初期測定の終了日時を消費量抽出タイプの「抽出期限日時」と比較して、これが履歴期間内であると判断されると、初期測定に対して一般プロセス・レコードが書き込まれるため、その測定を抽出できます。また、最終測定の再導出値は、関連する初期測定の一般プロセス・レコードの作成をトリガーすることもできます。

このプロセスでは次のアルゴリズムを使用します。

  • IMDが履歴訂正の場合は一般プロセス・レコードを作成アルゴリズムは、最終処理済IMDが履歴訂正かどうかを判断するために使用します。その場合は、アルゴリズムにより、初期測定の一般プロセス・レコードが作成されます。このアルゴリズムは基本パッケージに含まれていますが、デフォルトでは初期測定ビジネス・オブジェクトに指定されていません。このアルゴリズムは、初期測定ビジネス・オブジェクトの「最終処理済」状態の入力アルゴリズムとして定義する必要があります。
  • 再導出値の一般プロセス・レコードの作成アルゴリズムは、再導出値に関連付けられた初期測定の一般プロセス・レコードを作成します。処理は、履歴訂正が初期測定から発生したかのように続行されます。このアルゴリズムは基本パッケージに含まれていますが、デフォルトでは測定ビジネス・オブジェクトに指定されていません。このアルゴリズムは、最終測定ビジネス・オブジェクトの「再導出」状態の入力アルゴリズムとして定義する必要があります。

消費量抽出要求

初期ロードおよび進行中の消費量抽出は、消費量抽出要求を介して作成されます。これらのタイプの抽出はバッチ・ジョブのアドホック発行を介して作成できますが、これらのタイプの消費量抽出では要求の方法をお薦めします。

消費量抽出要求のビジネス・オブジェクト・ライフサイクルには、消費量抽出タイプの「抽出期限日時」フィールドを保守および更新するロジックが含まれています。これを使用して、日次要求を「日次消費量抽出要求の作成」バッチ管理で作成する必要があるかどうかを判断し、履歴訂正を検出します。

消費量抽出要求の基本パッケージには次の単一ビジネス・オブジェクトが含まれています。

  • 消費量要求(D2-IntervalDataExtRepository): このビジネス・オブジェクトには、抽出ジョブの発行、終了するまでの実行のモニタリング、消費量抽出タイプの「抽出期限日時」の更新のための情報およびライフサイクルが含まれています。このビジネス・オブジェクトは、「要求」(F1-REQ)メンテナンス・オブジェクトに基づいています。

この消費量抽出プロセスでは、基本パッケージのアルゴリズムのセットを使用して、エクスポート対象のインターバル・データを抽出およびフォーマットします。これらのアルゴリズムは、必要に応じて、消費量抽出タイプの「アルゴリズム」セクションで指定します。これらのアルゴリズムは、頻繁検針スカラー計量コンポーネントおよびインターバル計量コンポーネントのデータを抽出できるように構成できます。頻繁検針スカラー計量コンポーネントは、「検針方法」が「自動検針」に設定されているスカラー計量コンポーネントとして定義されます。頻繁検針スカラー計量コンポーネントの測定の抽出時は、抽出プロセスの一部としてスカラー測定がインターバル測定に変換されます。この変換では、計量コンポーネント・タイプに関連付けられたプロファイルを使用します。プロファイルが見つからない場合、インターバル・データはフラット・ライン・プロファイルを使用します。

初期ロード / 増分 / 進行中の要求: 次のアルゴリズムを使用して、初期ロードおよび増分 / 進行中の要求のインターバル・データを抽出およびフォーマットします。

  • データコネクトの初期ロード/進行中の消費量の抽出(D2-IDEXTPRD): このアルゴリズムは、指定された期間のサービス・ポイントの消費量を取得して、フラット・ファイルにその結果を書き込みます。
  • タブ区切り初期ロード/進行中の消費量の抽出(UTCオフセットあり) (D2-IDEXTPRDU): このアルゴリズムは、指定された期間のサービス・ポイントの消費量を取得し、タブ区切りフラット・ファイルにその結果を書き込みます。このアルゴリズムでは、夏時間に基づく消費量の調整もサポートされています。
  • 初期/進行中の消費量の抽出およびデータコネクトのTOUマップの適用(D2-IDEXTPTOU): このアルゴリズムは、指定された期間のサービス・ポイントの消費量を取得して、この消費量にTOUマップを適用し、フラット・ファイルにその結果を書き込みます。
  • タブ区切り初期/進行中の消費量の抽出およびTOUマップの適用(UTCオフセットあり) (D2-IDEXTPTUU): このアルゴリズムは、指定された期間のサービス・ポイントの消費量を取得して、この消費量にTOUマップを適用し、タブ区切りフラット・ファイルにその結果を書き込みます。このアルゴリズムでは、夏時間に基づく消費量の調整もサポートされています。

履歴訂正: 次のアルゴリズムを使用して、履歴訂正要求のインターバル・データを抽出およびフォーマットします。

  • データコネクトの履歴訂正消費量の抽出(D2-IDEXTIMD): このアルゴリズムは、サービス・ポイントの履歴訂正消費量を取得して、フラット・ファイルにその結果を書き込みます。
  • タブ区切り履歴訂正消費量の抽出(UTCオフセットあり) (D2-IDEXTIMDU): このアルゴリズムは、サービス・ポイントの履歴訂正消費量を取得して、タブ区切りフラット・ファイルにその結果を書き込みます。このアルゴリズムでは、夏時間に基づく消費量の調整もサポートされています。
  • データコネクトの履歴訂正の抽出およびTOUマップの適用(D2-IDEXTITOU): このアルゴリズムは、サービス・ポイントの履歴訂正消費量を取得して、この消費量にTOUマップを適用し、フラット・ファイルにその結果を書き込みます。
  • タブ区切り履歴訂正の抽出およびTOUマップの適用(UTCオフセットあり) (D2-IDEXTITUU): このアルゴリズムは、サービス・ポイントの履歴訂正消費量を取得して、この消費量にTOUマップを適用し、タブ区切りフラット・ファイルにその結果を書き込みます。このアルゴリズムでは、夏時間に基づく消費量の調整もサポートされています。

バッチ管理

この消費量抽出プロセスでは、基本パッケージのバッチ管理のセットを使用して、エクスポート対象のインターバル・データを抽出およびフォーマットします。

  • 日次消費量抽出要求の作成(D2-CRERQ): このバッチ・プロセスは、有効な消費量抽出タイプをスキャンし、「頻度」が「自動日次」のタイプごとに保留中要求を作成します。このプロセスは、毎日(または別の定期的なインターバル)実行されるようにスケジュールする必要があります。

次のサンプル・バッチ管理は、インターバル・データを抽出およびフォーマットします。消費量抽出タイプごとにこれらのそれぞれの一意のバッチ管理が必要です。実装では、消費量抽出タイプごとに前述のバッチ管理のカスタム・バージョンを作成する必要があります。これらのバッチ管理の抽出タイプ固有のバージョンは、必要に応じて、消費量抽出タイプの「バッチ管理」セクションで指定する必要があります。

  • 初期ロード/進行中消費量抽出(D2-IDEPD): このバッチ・プロセスは、指定された期間のインターバル・データを抽出します。このバッチ管理では、消費量抽出タイプで定義された「初期ロード/進行中抽出アルゴリズム」を使用します。
  • 履歴訂正消費量抽出(D2-IDEHC): このバッチ・プロセスは、履歴訂正のインターバル・データを抽出します。このバッチ管理では、消費量抽出タイプで定義された「履歴訂正抽出アルゴリズム」を使用します。

これらのバッチ管理の詳細は、「バッチ管理」ポータルを参照してください。抽出バッチ管理には、抽出データを格納する区切りフラット・ファイルの詳細(このファイルのパスまたはオブジェクト格納場所およびファイル名を含む)を指定するために使用できるパラメータが含まれます。オブジェクト格納場所の設定の詳細は、「外部ファイル格納」を参照してください。

設定手順の例

消費量抽出の設定には、次の手順が含まれています。

  1. 消費量要求タイプの作成: 実装に必要な要求の一意のタイプごとに消費量要求タイプを作成する必要があります。
  2. 消費量抽出タイプの作成: 出力詳細(ターゲット単位、ターゲット・インターバル・サイズ、TOUマップ / テンプレート)と測定選択基準の一意の組合せごとに消費量抽出タイプを作成する必要があります。
  3. 初期測定ビジネス・オブジェクトの「最終処理済」状態の入力アルゴリズムとして、初期測定データが履歴訂正の場合は一般プロセス・レコードを作成履歴訂正アルゴリズムを追加します。
  4. 測定ビジネス・オブジェクトの「最終処理済」状態の入力アルゴリズムとして、再導出値の一般プロセス・レコードの作成履歴訂正アルゴリズムを追加します。
  5. 前に作成した消費量抽出タイプごとに初期ロード消費量抽出要求を作成および発行します。
  6. 日次抽出要求および履歴訂正のバッチ・プロセスを設定します。消費量抽出のバッチ処理には、次のものを含めます。
    1. 「日次消費量抽出要求の作成」(D2-CRERQ)バッチ管理は、定期的な(日次)スケジュールで実行して進行中消費量抽出要求を作成するように構成する必要があります。
    2. 「要求モニター(遅延)」(F1-SUBRQ)バッチ管理は、保留中要求をモニターして、これらを「ジョブの発行」状態に遷移するために使用する必要があります。
    3. 「履歴訂正消費量抽出」バッチ管理(D2-IDEHに基づく。消費量抽出タイプごとに1つ)は、定期的に実行して履歴訂正抽出をチェックおよび作成するように構成する必要があります。