Oracle® Solaris 11.2 でのシステムサービスの管理

印刷ビューの終了

更新: 2014 年 7 月
 
 

サービスおよびインスタンスのプロパティー値の表示

このセクションの例では、サービスおよびインスタンスのプロパティーとプロパティーグループを、別々のビュー、レイヤー、およびスナップショットで表示する方法について説明します。

使用例 2-6  現在使用中のインスタンスおよび継承したプロパティーの一覧表示

svcprop コマンドはデフォルトで、実行中のスナップショットでプロパティーに割り当てられている値を表示します。これが現在使用されている値です。デフォルトでは、svcprop コマンドは、実行中のスナップショットの合成ビューでプロパティーを表示します。つまり、インスタンス固有のプロパティーと継承されたプロパティーの両方が表示されます。継承されたプロパティーの値がインスタンスでカスタマイズされている場合、そのインスタンスで設定された値が表示されます。出力では、プロパティーごとに 1 行ずつ表示され、プロパティーグループとプロパティー名 (スラッシュで区切られます)、プロパティー値のデータタイプ、およびプロパティー値が示されます。プロパティーまたはグループ名が指定されていない場合、実行中のスナップショット内のすべてのプロパティー値が示されます。

FMR またはパターンオペランドでインスタンスを指定していない場合、サービスに対してのみ設定されたプロパティーが表示されます。インスタンスに対してのみ設定されたプロパティーは表示されません。次のコマンドは、サービス依存関係、サービスのタイプ、プロファイルおよびマニフェストファイルのパスなどのプロパティーを表示します。

$ svcprop svc:/system/identity

インスタンスを指定すると、親サービスから継承され、そのインスタンスおよびプロパティーについてカスタマイズされたプロパティーの合成ビューが表示されます。次のコマンドは、親サービスおよびプロパティーからこのインスタンスに継承されたプロパティーを含め、指定されたインスタンスの実行中のスナップショット内のプロパティーをすべて一覧表示します。継承されたプロパティーの値がこのインスタンスに対してカスタマイズされている場合は、カスタマイズされた値が表示されます。この例では、追加の依存関係、このインスタンスを起動する実行可能ファイルへのパス、このインスタンスのログファイルへのパス、このインスタンスの状態に関する情報などのプロパティーを表示します。

$ svcprop svc:/system/identity:domain
使用例 2-7  現在使用されている指定のプロパティーまたはプロパティーグループの一覧表示

特定のプロパティーグループ内の特定のプロパティーまたはすべてのプロパティーを表示するには、-p オプションを使用します。

$ svcprop -p pkg/port pkg/server
svc:/application/pkg/server:oss:properties/pkg/port count 82
svc:/application/pkg/server:s11:properties/pkg/port count 81
svc:/application/pkg/server:default:properties/pkg/port count 80
$ svcprop -p pkg pkg/server:s11
pkg/inst_root astring /export/ipsrepos/Solaris11
pkg/port count 81
...
pkg/ssl_cert_file astring ""
pkg/ssl_key_file astring ""
...
使用例 2-8  編集ビューでのサービスおよびインスタンス値の一覧表示

オプションを付けて svcprop コマンドを実行すると、実行中のスナップショットの代わりに、編集ビューを表示できます。編集ビューには最新の変更が表示されます。編集ビューでの変更は、インスタンスのリフレッシュまたは再起動によって、実行中のスナップショットにコミットされている場合も、コミットされていない場合もあります。次のコマンドは、実行中のスナップショットと編集ビューとの違いを示します。oss インスタンスと s11 インスタンスは作成されたばかりであり、プロパティー値は変更されていますが、インスタンスはまだリフレッシュされていません。最初のコマンドは、実行中のスナップショットの合成ビューを表示します。これらのインスタンスがカスタマイズされてからリフレッシュされていないので、表示される値は pkg/server サービスの値になります。-c オプションは、編集値の合成ビューを表示します。-C オプションは、合成せずに編集値を表示します。これは合成ビューではないので、カスタマイズされていないインスタンスの値はありません。

$ svcprop -p pkg/port pkg/server
svc:/application/pkg/server:oss/:properties/pkg/port count 80
svc:/application/pkg/server:s11/:properties/pkg/port count 80
svc:/application/pkg/server:default/:properties/pkg/port count 80
$ svcprop -c -p pkg/port pkg/server
svc:/application/pkg/server:oss/:properties/pkg/port count 82
svc:/application/pkg/server:s11/:properties/pkg/port count 81
svc:/application/pkg/server/:properties/pkg/port count 80
$ svcprop -C -p pkg/port pkg/server
svc:/application/pkg/server:oss/:properties/pkg/port count 82
svc:/application/pkg/server:s11/:properties/pkg/port count 81
svcprop: Couldn't find property 'pkg/port' for instance 'svc:/application/pkg/server:default'.

svccfg コマンドはデフォルトで、実行中のスナップショットの値ではなく、編集中のプロパティー値を表示します。指定のスナップショットでの値の表示で説明しているように selectsnap サブコマンドを使用することによって、svccfg で、実行中のスナップショットの値を強制的に表示させることができます。

svccfg コマンドは、親サービスを指定した場合は親サービスの値だけを、インスタンスを指定した場合はインスタンスの値だけを表示します。svccfg listprop コマンドの出力がない場合は、指定したプロパティーが、指定した親サービスまたはインスタンスに対して設定されていない可能性があります。プロパティーが削除された場合は、構成カスタマイズの表示で説明しているように、listcust -M を使用して、マスクされた値を表示します。

次のコマンドは、プロパティーグループまたはプロパティー名が指定されていないので、指定されたサービスの編集中のプロパティー値をすべて一覧表示します。svcprop svc:/system/identity コマンドによって表示された出力に加え、この出力には、プロパティーグループの名前およびタイプとテンプレートデータが含まれます。

$ svccfg -s svc:/system/identity listprop

次のコマンドは、指定したサービスインスタンスの編集中のプロパティー値をすべて一覧表示します。このコマンドは合成ビューを表示しないので、この出力には、プロファイルファイルおよびマニフェストファイルへのパスなどは表示されません。

$ svccfg -s svc:/system/identity:domain listprop
使用例 2-9  編集ビューでの指定のプロパティーまたはプロパティーグループの一覧表示

次のコマンドは、指定したサービスインスタンスの指定したプロパティーグループでの編集中のプロパティー値をすべて一覧表示します。-o オプションを使用すると、表示する列を選択できます。有効な列の名前のリストについては、svccfg(1M)のマニュアルページを参照してください。

$ svccfg -s pkg/server:s11 listprop pkg
pkg                  application
pkg/inst_root       astring      /export/ipsrepos/Solaris11
pkg/port            count        81
$ svccfg -s pkg/server:s11 listprop -o propname,value pkg
inst_root      /export/ipsrepos/Solaris11
port           81