IPQoS は、Internet Engineering Task Force (IETF) の Differentiated Services Working Group によって定義されている差別化サービス (Diffserv) アーキテクチャーに対応しています。Oracle Solaris では、IPQoS は TCP/IP プロトコルスタックの IP レベルで実装されます。
IPQoS を有効にすると、選択した顧客や選択したアプリケーションにさまざまなレベルのネットワークサービスを提供できます。この異なるレベルのサービスは、まとめて「差別化サービス」と呼ばれます。顧客に提供する差別化サービスは、ユーザーの企業が顧客に提供するサービスレベルの構造を基に決定できます。ネットワーク上のアプリケーションやユーザーに設定した優先順位に基づく場合もあります。
サービス品質 (QoS) を提供には、次のタスクを行います。
顧客や企業内の部署などのグループごとに異なるサービスレベルを提供する
特定のグループやアプリケーションにネットワークサービスを優先的に提供する
ネットワーク上の障害やその他の輻輳の発生箇所を特定し、問題を取り除く
ネットワークパフォーマンスをモニタリングし、パフォーマンスの統計情報を提供する
ネットワークリソースに対する帯域幅を調整する
IPQoS には次の機能があります。
アクションを選択するクラシファイア。アクションは、組織の QoS ポリシーを構成するフィルタに基づいている
Diffserv モデルに従ってネットワークトラフィックを測定するメータリングモジュール
パケットの IP ヘッダーに転送情報を付ける機能に基づく、サービスの差別化
トラフィックフローの統計情報を収集するフローアカウンティングモジュール
UNIX の kstat コマンドによる、トラフィッククラスごとの統計情報の収集
SPARC および x86 アーキテクチャーのサポート
IPv4 および IPv6 アドレス指定のサポート
IP セキュリティーアーキテクチャーの相互運用性 (IPsec)
仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) の 802.1D ユーザー優先順位マークのサポート
差別化サービスやサービス品質の詳細情報は、印刷物やオンラインで入手できます。
IPQoS は、次の RFC の仕様に準拠しています。
RFC 2474, Definition of the Differentiated Services Field (DS Field) in the IPv4 and IPv6 Headers (http://www.ietf.org/rfc/rfc2474.txt?number=2474) – 差別化サービスをサポートするための、IPv4 や IPv6 パケットヘッダーのサービスタイプ (ToS) フィールドまたは DS フィールドの拡張を説明している
RFC 2475, An Architecture for Differentiated Services (http://www.ietf.org/rfc/rfc2475.txt?number=2475) – Diffserv アーキテクチャーの構成とモジュールについて詳細に解説している
IPQoS のドキュメントには、次のマニュアルページが含まれます。
ipqosconf(1M) - IPQoS 構成ファイルを設定するコマンドについて説明する
ipqos(7ipp) – Diffserv アーキテクチャーモデルの IPQoS 実装について説明する
ipgpc(7ipp) – Diffserv クラシファイアの IPQoS 実装について説明する
tokenmt(7ipp) – IPQoS の tokenmt メーターについて説明する
tswtclmt(7ipp) – IPQoS の tswtclmt メーターについて説明する
dscpmk(7ipp) – DSCP マーカーモジュールについて説明する
dlcosmk(7ipp) – IPQoS 802.1D ユーザー優先順位マーカーモジュールについて説明する
flowacct(7ipp) – IPQoS フローアカウンティングモジュールについて説明する
acctadm(1M) – Oracle Solaris 拡張アカウンティング機能を構成し、IPQoS 拡張を含むコマンドについて説明する。