Oracle Warehouse Builderでは、様々なタイプのデータ・ソースおよびデータ・ターゲットに対して異なる接続方法を提供しています。
この章では、Oracle Warehouse Builderでサポートされるデータ・ソースおよびターゲットと特定の接続性技術について説明します。内容は次のとおりです。
表1-1に、Oracle Warehouse Builder 11gリリース2(11.2)がアクセスできるデータ・ストレージ・システムおよびアプリケーションをリストします。また、各タイプのアプリケーションでサポートされているソースおよびターゲットもリストします。
表1-1 Oracle Warehouse Builder 11gリリース2(11.2)でサポートされているソースおよびターゲット
アプリケーション・タイプ | サポートされているソース | サポートされているターゲット |
---|---|---|
Oracle Database |
Oracle Databaseリリース9.2、10.1、10.2、11.1、11.2 |
Oracle Databaseリリース9.2、10.1、10.2、11.1、11.2 注意: データベース・リンクのデータベース・バージョン間の接続性は、ETLマッピングがデプロイおよび実行されるデータベースのバージョンによって異なる場合があります。データベース・バージョン間のデータベース・リンクの制限の詳細は、データベース・バージョンのドキュメントを参照してください。 |
Oracle以外のデータベース |
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ファイル |
デリミタ付きの固定長フラット・ファイル。 「サンプリングを使用したフラット・ファイルからの定義のインポート」を参照してください。 |
デリミタ付きの固定長およびXML形式のフラット・ファイル。 |
ビジネス・アプリケーション |
|
なし |
プロセス・フローおよびスケジュール/Oracle Workflow |
なし |
Oracle Workflowリリース2.6.2、2.6.3、2.6.4、11i |
プロセス・フローおよびスケジュール/コンカレント・マネージャ |
なし |
Oracle Databaseリリース10g以上のロケーション。 Concurrent Managerでスケジュールをデプロイするには、リリース11iまたは12iが必要です。ただし、どちらのリリースでも、Oracle Warehouse Builderでロケーションを作成する場合は、バージョンとして11iを選択する必要があります。 |
ビジネス・インテリジェンス/Discoverer |
なし |
Oracle BI Discovererリリース10.1、Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition |
Oracle Designer |
Oracle Designer 6i、9i、10g |
なし |
Oracleデータベースに直接接続し、使用できるデータベース・オブジェクトのメタデータのインポートまたはデータベースへのターゲット・オブジェクトのデプロイを実行できます。リモート・ホストのデータベースに接続するには、ネットワークの資格証明を指定してホストに接続する必要があります。Oracleデータベースへの接続の詳細は、「Oracle Databaseからのメタデータ定義のインポート」を参照してください。
Oracle Warehouse Builderでは、Oracle以外のシステムと通信するときに、Oracle Database異機種間サービスとこれを補完するエージェントが使用されます。異機種間サービスでは、Oracle以外のシステムがリモートのOracleデータベース・サーバーのように表示されます。エージェントとして使用できるのは、Oracle Database Gateway、またはOracle Databaseに含まれる汎用Open Database Connectivity(ODBC)エージェントです。
図1-1では、Oracle Databaseにより、異機種間サービスを使用してリモートのOracle以外のソースにアクセスする方法を示します。
データベース内の異機種間サービス・コンポーネントは異機種間サービス・エージェント・プロセスと通信します。次に、エージェント・プロセスはリモート・データベースと通信します。
エージェント・プロセスはエージェント汎用コードおよびシステム固有のドライバで構成されます。すべてのエージェントには同じエージェント汎用コードが含まれます。ただし、各エージェントでは、取得されるデータのタイプによって異なるドライバを所有します。
Oracle Databaseゲートウェイを使用すると、Oracle以外のデータベースに透過的に接続できます。ゲートウェイを使用すると、Oracleデータベースに接続するのと同様にOracle以外のデータベースにアクセスできます。アクセスにはオブジェクト・メタデータのインポート、データへのソースおよびターゲットとしてのアクセスが含まれます。ゲートウェイを介した各種データベースへの接続の詳細は、第4章「ゲートウェイを介したOracle以外のデータ・ソースへの接続」を参照してください。
Java Database Connectivity (JDBC)をサポートするデータ・ソースに接続するには、そのデータ・ソースに適したJDBCドライバを使用する必要があります。Oracle以外のデータベースまたはその他のデータ・ソースについても、JDBCドライバが製品と一緒にインストールされている場合があります。インストールされていない場合は、別途ダウンロードまたは購入する必要があります。JDBCを使用した各種データ・ソースへの接続の詳細は、第6章「JDBCを介したデータ・ソースへの接続」を参照してください。
JDBCによる接続には、データベースに適切なJDBCドライバをインストールする必要があります。これらのほとんどのドライバは、データベースで用意されています。また、サード・パーティのベンダーが開発し、通常は無償でダウンロードできます。JDBC接続でインポートする表などのデータベース・オブジェクトは、コード・テンプレート・マッピングでのみ使用できます。これらのデータベース・オブジェクトは、Oracle Warehouse Builderで作成されるPL/SQLマッピングなどの他のオブジェクトと一緒に使用できません。
ゲートウェイを使用した接続には、特定のデータベースのOracle Gatewayをインストールする必要があります。ゲートウェイを使用すると、Oracle Databaseのデータ・アクセスと同じようにOracle以外のデータベースのデータにアクセスできます。したがって、ゲートウェイ接続を介してインポートするデータベース・オブジェクトは、Oracle Warehouse Builderで作成するあらゆるマッピングで使用できます。
Oracle Warehouse Builderでは、Oracle Databaseが提供するODBCサポートを利用して、ODBC接続をサポートする任意のデータ・ソースを統合できます。ODBCにより、ローエンドのデータ統合ソリューション向けの汎用接続が実現されます。データの転送は、クライアント・コンピュータにインストールされている特定のODBCデータベース・ドライバやオブジェクトのリンクと埋込み(OLE)データベース・ドライバのルールに依存します。各種のデータ・ソースに接続する場合、データベース固有のエージェントをインストールする必要はありません。かわりに、Oracle Databaseに付属している汎用接続エージェントを使用できます。ただし、使用する汎用接続性エージェントの初期化ファイルを作成してカスタマイズする必要があります。ODBC接続を使用したデータ・ソースへの接続の詳細は、「ODBCデータ・ソースへの接続」を参照してください。
Oracle Warehouse Builderを使用すると、SAP、Oracle E-Business Suite、PeoplesoftおよびSiebelなどのERPおよびCRMアプリケーションにも接続できます。
また、Oracle Customer Data Hub(CDH)、Universal Customer Master(UCM)、およびProduct Information Management(PIM)にも接続できます。
Oracleアプリケーション用のアプリケーション・アダプタには、これらのソースからのETL設計を簡略化するための追加メタデータが用意されていますが、これらのソースへの接続は基礎となるデータベース接続に依存します。たとえば、OracleデータベースでホスティングされるE-Business Suiteからのメタデータ抽出は、データベース・リンクを使用して行われますが、DB2でホスティングされるPeoplesoftアプリケーションからのメタデータ抽出は、ターゲット・データベースにインストールされているDB2ゲートウェイがあるかどうかに依存します。また、代替ODBCドライバを使用してPeoplesoftに接続することもできます。SAPシステムへの接続およびデータの抽出は、SAPで完全にサポートされている固有のSAP R/3 ABAPコードおよびデータ抽出手法を使用して行われます。アプリケーション・コネクタを使用する場合、各種ソースの基礎となる接続技術の詳細は通常はユーザーには非表示となり、接続性の管理が簡略化されています。
Oracle E-Business Suite、Peoplesoft、およびSiebelの接続の詳細は、第8章「Oracle ERPアプリケーションとの統合」を参照してください。
SAPシステムのデータの抽出の詳細は、第7章「SAPアプリケーションからのデータの抽出」を参照してください。
Oracle間のデータベース・リンク、ゲートウェイ、およびODBCのデータ移動が十分ではない場合があります。Oracle Warehouse Builder 11gリリース2(11.2)は、コード・テンプレートに基づくより柔軟なデータ移動オプションを追加するフレームワークもサポートします。
ETLマッピングを設計する場合、より柔軟な接続性とデータの移動を実現するためにOracleベース・マッピングおよびコード・テンプレート・ベース・マッピングを選択できます。両方のマッピングに、豊富なデータ変換演算子が用意されています。
コード・テンプレート・ベース・マッピングを使用する場合、コード・テンプレートを選択して、個別のマッピングまたは特定の部分のマッピングに代替のデータ移動方法を割り当てることができます。Oracle Warehouse Builderでは、選択したテンプレートに基づいて実行可能コードが生成され、そのコードが実行場所としてのコントロール・センター・エージェントにデプロイされます。
データ移動のためのJDBCの接続性はコード・テンプレートのマッピングの使用方法に依存し、データ移動コードは実際にはコントロール・センター・エージェント内で実行されます。一括データ抽出やローディングなどのユースケースに適合する、他のデータ移動方法のための代替テンプレートを選択することもできます。また、Oracle Warehouse Builderで標準ではサポートされていないデータ移動方法を実装する新規のテンプレートを構築することもできます。
コード・テンプレートの使用方法の詳細は、第12章「コード・テンプレートを使用したデータのロードおよび転送」を参照してください。コード・テンプレート・ベースのETLマッピングの詳細は、Oracle Warehouse Builderデータ・モデリング、ETLおよびデータ・クオリティ・ガイドも参照してください。
使用できる様々な接続技術の選択は、特定のデータ・ソース・タイプおよびユースケースの他の詳細によって異なります。
Oracleゲートウェイを選択すると、Oracle以外のデータベースとのエンドツーエンド接続が完全にサポートされ、Oracle Warehouse Builder内からそれらのデータベースに最も透過的にアクセスできます。
様々なOracle以外のデータ・ソースの高いパフォーマンスを実現する柔軟な接続性の簡単な設定を必要とする場合は、JDBC接続性を選択します。
比較的データが少量で最大のパフォーマンスを必要としないソースには、ODBC接続性を選択します。
サポートされているERP、CRMまたはMDMアプリケーションのソースまたはターゲットを操作する場合は、アプリケーション・コネクタを使用します。