ヘッダーをスキップ

Oracle WebCenter Framework チュートリアル
10g(10.1.3.2.0)

E05043-01
目次
目次
索引
索引

戻る 次へ

1 Oracle WebCenter Suiteの概要

この章では、Oracle WebCenter Suiteの概要を示し、Oracle WebCenter Suiteを使用してサービス指向アプリケーションの機能を拡張する方法について説明します。Oracle WebCenter Suiteでは、より高度な通信、コンテンツ管理機能、カスタマイズおよび拡張検索サポートをユーザーに提供する、アプリケーションと統合可能な各サービスが用意されています。さらに重要なことに、Java Server Facesアプリケーション内でポートレットやコンテンツを消費する機能、宣言型セキュリティ、ライフサイクル管理ツールなどの必要不可欠な機能を提供する開発フレームワークが用意されています。

この章では、次の重要なトピックについて説明します。

この章を読み終えると、独自のJava EE 5アプリケーションの構築を開始できます。

Oracle WebCenter Suiteの概要

Wiki、RSS、ブログなどの主要なテクノロジによって世界中の個々人に能力が与えられ、インターネットの展望が変化する中、ユーザーは、取引を簡素化するアプリケーションをますます求めるようになりました。取引を簡素化するための1つの方法は、特定の作業に対応するためにユーザーが必要とするすべての要素をアプリケーションそのものに組み込むことです。たとえば、図1-1に示した例で考えてみます。

図1-1    サンプル・アプリケーション


画像の説明

この例では、会社に入ったばかりのユーザーが、会社の保険契約に扶養家族を追加できるアプリケーションを使用しています。取引そのものの周りに、次のように、ユーザーの理解を助ける追加のコンテキストがあることに注意してください。

Oracle WebCenter Suiteまでは、このような種類のアプリケーションを構築することは非常に冗漫なプロセスでした。たとえば、(APIでの必要に応じて)Java Content Repository(JSR 170)内を参照するためのポートレットの作成に使用される受給者シナリオを利用することが可能でした。Oracle WebCenter Suiteでは、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の概念を採用することで、これまでユーザーに必要なビジネス・コンポーネントを提供するために必要であったフロントエンドの労力を軽減しています。Oracle WebCenter SuiteはSOAだけでなくJava Content Repository(JSR 170)やその他の業界標準に準拠しているため、広範な種類のプラグ・アンド・プレイ製品、ツールおよびサービスを使用でき、ユーザーが求めるアプリケーションを構築することが容易になります。

図1-2に、Oracle WebCenter Suiteの機能を示します。1

図1-2    Oracle WebCenter Suite


画像の説明

これから、これらの構築ブロックについて詳しく説明します。

WebCenter Framework

WebCenter Frameworkは、追加の統合オプションとランタイム・カスタマイズ・オプションを提供することによってJava Server Faces(JSF)環境を補強します。つまり、これまでポータル製品に組み込まれていた機能をJSF環境のファブリックに直接統合します。これによって、ユーザーの人為的な障壁が取り除かれ、図1-1に示したようなコンテキスト・リッチなアプリケーションを開発するための基礎が提供されます。

ポートレットの構築および消費

ポートレットを使用すると、Webやデータベースなどからのデータをアプリケーションに取り込むことができます。Oracle JDeveloperを使用すると、JSR 168またはWSRP互換のポータルによって消費される標準ベースのポートレットを独自に作成できます。Oracle Application Server Portal Developer Kit(PDK)は機能拡張され、WSRP 2.0で定義されている拡張的なポートレット機能をJava Portlet Standards APIの構造内でサポートできるようになりました。WebCenterアプリケーションから、JSR 168、WSRP 1.0、WSRP 2.0またはOracle PDK-Javaポートレットをすべて同じアプリケーション内あるいは同じページ内で消費できます。

Preconfigured OC4Jを介して使用できる、事前構築済のポートレットがいくつかあります(Preconfigured OC4JはJDeveloperを介して自動的に使用可能になります)。このような2つのポートレット(OmniPortletおよびWebクリッピング)を使用すると、ユーザーは独自のデータを収集できます。これに対し、リッチ・テキスト・ポートレットを使用すると、ユーザーは独自の告知や掲示を公開できます。これらのポートレットは、ページ上にドロップすることにより、ユーザーに対して使用可能にできます。あるいは、これらのポートレットを自分で使用して、ユーザーのニーズに応じた特定のポートレットを作成することもできます。

カスタマイズ可能なコンポーネント

WebCenter Frameworkには新しいJSFコンポーネントが備わっており、これを使用すると、開発者はアプリケーションをカスタマイズ可能にすることができます。これらの新しいコンポーネントはコンテナとして機能します。開発者は、このコンテナに別のFacesビュー・コンポーネントやポートレットをドロップできます。これらの機能が設定されていれば、開発者は、ページ上でコンポーネントの最小化/最大化、非表示/表示、または移動を行うことにより、ほぼあらゆるJSFページをカスタマイズできます。

コンテンツ統合

たとえば、Oracle Content DBやOracleAS Portalなどのコンテンツ管理システム(またはファイル・システム上)に存在するデータをアプリケーションで使用可能にするとします。WebCenter Frameworkには、そのコンテンツにアクセスするために必要なJCRアダプタが備わっています。JDeveloperを使用すると、JCRデータ・コントロールを構築してコンテンツをグラブし、様々な表示モードでのページ上にドロップできます。また、WebCenter FrameworkにはOracle Driveが付属しており、これを使用すると、OracleAS Portalリポジトリをデスクトップ上にツリー構造として表すことができます。

アプリケーションの保護

WebCenter Frameworkに備わっているADF拡張要素を使用すると、アプリケーション全体、アプリケーション内のページ、またはカスタマイズ可能コンポーネントにより提供された個々のアクションに対して、セキュリティを定義できます。このチュートリアルでは、簡単なログイン・ページを作成して基本的な権限を複数のユーザーに割り当てる方法を学びます。

多くの場合、電子メールなどの独自の認証メカニズムを備えた既存のアプリケーションを活用すると効果的です。WebCenter Frameworkでは、外部アプリケーション・ウィザードを使用してこれらのアプリケーションを埋め込むことができます。詳細は、『Oracle WebCenter Framework開発者ガイド』を参照してください。

ライフサイクル全体にわたるアプリケーションの管理

WebCenter Frameworkは、複数のツールを使用することにより、アプリケーションの構築、デプロイおよび移行に必要な時間を短縮します。

WebCenter Services

WebCenter Servicesには、次のような様々なコンテンツ管理、検索および通信のサービスがあります。

Oracle JDeveloper

Oracle JDeveloperは、Java、XML、WebサービスおよびSQLの最新の業界標準を使用してサービス指向アプリケーションを構築するための統合開発環境(IDE)です。Oracle JDeveloperでは、アプリケーションのモデリング、コーディング、デバッグ、テスト、プロファイリング、チューニングおよびデプロイを行うための統合的な機能を備え、完全なソフトウェア開発ライフサイクルをサポートしています。Oracle JDeveloperの視覚的で宣言的なアプローチとOracle Application Development Framework(ADF)がともに機能することにより、アプリケーション開発は簡素化され、日常的なコーディング作業が減ります。たとえば、ボタン、値リスト、ナビゲーション・バーなどの多数の標準的なユーザー・インタフェース・ウィジェットのコードが事前にパッケージ化されています。コンポーネント・パレットから適切なウィジェットを選択して、アプリケーション内にドロップするだけです。

このチュートリアルを読み進むうちに、Oracle JDeveloperとそのメリットを理解できます。Oracle JDeveloperの詳細は、Oracle JDeveloperの「ヘルプ」メニューからアクセス可能なOracle JDeveloperの開始ページ(図1-3)より、多数ある参考資料の1つにアクセスしてください。

図1-3    Oracle JDeveloperの開始ページ


画像の説明

このチュートリアルで学習する内容

このチュートリアルでは、JDeveloperを使用して、次の5つの簡単なページを含むアプリケーションを構築します。

次の図(図1-4)に、ページ間の論理的なフローを示します。

図1-4    ページ間のフロー


画像の説明

これらのページは、図に示された順序で開発するわけではないので注意してください。最初に、最も基本的なページであるMyPageを開発してから、徐々に複雑なトピックへと進みます。

このチュートリアルは、各章を記載された順序どおりに完了することを想定しています。各章に依存関係があるため、異なる順序で完了すると、リソースが存在しなかったり、エラーが発生することがあります。このチュートリアルは、次の順序で進めます。

まだJDeveloperを使用したことがない場合も、このチュートリアルを終えれば、このツールの基本的な用途および機能を把握できるはずです。もちろん、JDeveloperは、その基礎となるフレームワークであるADFと同様に、このチュートリアルでは簡単にしか説明していない大きなメリットを提供します。本格的に開発を開始する前に、この両方の製品についてさらに学習する意欲を持つはずです。非常に有用な2つのリソースを次に示します。どちらも、Oracle Technology Network(http://www.oracle.com/technology/)で入手可能です。

それでは、始めましょう。


1 示されているコンポーネントの中には、Oracle WebCenter Suiteの初期のリリース(Presence/IM、DiscussionsおよびWiki)では使用できないものもあります。この章では、Oracle WebCenter Frameworkのこのリリースに関連するコンポーネントについて説明します。


戻る 次へ
Oracle
Copyright © 2007 Oracle Corporation.

All Rights Reserved.
目次
目次
索引
索引