Sun Enterprise 6x00、5x00、4x00、3x00 システム Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル

第 3 章 作業手順

この章では、以の作業手順について説明します。


注 -

DR によってシステムが瞬間的に一時停止されている間は、画面、マウス、キーボードは使用できなくなりますが、一時停止が終了すると、再び制御できるようになります。


一般的な準備作業

  1. 次の Web サイトから最新の保守情報を入手します。

    http://sunsolve2.Sun.COM/sunsolve/Enterprise-dr

    この Web サイトは、定期的に更新されます。この Web サイトに直接にアクセスできない場合は、購入先にお問い合わせください。

  2. ボードが DR に対応していることを確認します。

    DR 操作に対応していないドライバもあります。ドライバは一時停止可能である必要があります。quiesce-test オプションは、一時停止が可能なドライバを調べます。


    # cfgadm -x quiesce-test コントローラ番号:スロット番号
    

  3. 交換するボードが動作していないことを確認します。

    DR は、システムボード上の活動を自動的に停止しません。たとえば、テープドライブを制御する入出力ボードの交換は、読み取り・書き込みが終了してから行ってください。

ボードの取り外し

「一般的な準備作業」をまだ読んでいない場合は、先にその節を読んでから、この節をお読みください。

入出力装置の終了

ボード上のすべての装置の使用を停止します。入出力装置を構成解除するには、事前にすべての装置が閉じられている必要があります。

  1. ボード上のすべての装置の使用を停止します。

    1. 構成解除するボード上に存在する装置を調べるには、ifconfigmountpfswap のいずれかのコマンドを使用します。

    2. 装置を開いている処理を調べるには、fuser(1M) コマンドを使用します。

    3. ボード上のネットワークインタフェースが使用されていないことを確認します。

      ボードに接続されているすべての記憶装置をマウント解除し、閉じます。「入出力ボードの構成解除」を参照してください。


      注 -

      DR は、自動的にネットワークの使用を停止したり、装置を閉じたりしません。現在は、ネットワークの使用を停止したままにしたり、すべての装置を閉じたままにしたりする手段はありません。 マウント解除してから構成解除操作を行う間に、他のクライアントによって再マウントされる可能性があるため、注意してください。


    4. システムで AP (Alternate Pathing) が使用されている場合は、ボードのすべての機能を代替ボードに切り替えます。

      代替パスのすべてが機能するのを待ってから、Failed Cross Reference Format に進んでください。

    5. AP が使用されていない場合は、ボードが提供するすべての機能の使用を止めるようにすべてのユーザーに警告します。

  2. AP の冗長性機能または Solstice DiskSuite のミラー化機能を使用して、ボードに接続されている装置にアクセスしている場合は、これらのサブシステムを再構成して、別のシステムボードのコントローラを使用してその装置またはネットワークにアクセスできるようにします。

  3. ボード上に常駐パーティションを持つ Solstice DiskSuite メタデバイスなどのファイルシステムをマウント解除します (例: umount /パーティション)。

  4. ボード上の常駐パーティションから Solstice DiskSuite または Alternate Pathing データベースを削除します。

    Solstice DiskSuite または AP データベースの格納場所は、ユーザが選択、変更することができます。

  5. Sun(TM) Enterprise Volume Manager(TM) が使用しているすべての専用領域を削除します。

    デフォルトでは、Volume Manager は、自身が管理する装置ごとに専用領域を使用します。このため、そのような装置は、Volume Manager の管理対象から除外してから切り離します。

  6. 切り離すボード上にある Sun(TM) RSM Array(TM) 2000 コントローラは、rm6 または rdacutil コマンドを使用してオフラインにします。

  7. スワップ構成からディスクパーティションを削除します。

  8. 装置や raw パーティションを直接に開いている処理は、強制的に終了するか、その処理にボード上の開いている装置を閉じさせます。

  9. 切り離しに対して危険な装置がボード上に存在する場合は、その装置のすべてのインスタンスを閉じ、modunload(1M) コマンドでドライバを読み込み解除します。


    注意 - 注意 -

    ファイルシステムをマウント解除すると、NFS(TM) クライアントシステムがその影響を受けることがあります。


取り外し手順

  1. ボード上のすべての装置の使用を停止します。

    「入出力装置の終了」を参照してください。

  2. ボードの状態を確認します。

    • ボード名、状態、状態、条件を含む単純な一覧を表示するには、以下のコマンドを入力します。


      # cfgadm
      

    • 詳細な一覧を表示するには、以下のコマンドを入力します。


      # cfgadm -v
      

    ボードを取り外したり交換したりする場合は、状態と条件の組み合わせは、以下のいずれかである必要があります。

    • ボードが正常に動作している場合

      • 受容体の状態 - Connected

      • 占有装置の状態 - Configured

      • 条件 - OK

    • ボードで障害が発生している場合

      • 受容体の状態 - Connected

      • 占有装置の状態 - Configured

      • 条件 - Failing

  3. ボードを構成解除します。


    # cfgadm -c unconfigure コントローラ番号:スロット番号
    

    コントローラ番号:スロット番号 (接続点の ID) には、Failed Cross Reference Format の状態表示で示されたボード名を使用します。

  4. cfgadm コマンドを使用して、ボードが構成解除されたかどうか確認します。

    構成解除操作が失敗した場合は、以下の操作を行います。

    1. 「切り離しに対して危険なドライバを使用するボードの取り外し」を参照します。

    2. 「休止」を参照します。

    3. 問題を解決します。

    4. ボードの構成解除をやりなおします (Failed Cross Reference Format)。


      注 -

      構成解除操作に失敗すると、部分的な構成解除状態になります。その場合は、構成解除をやりなおしてください。この時点で、構成操作を行うことはできません。


  5. ボードが正しく構成解除されると、以下のいずれかを行うことができます。

    • ボードを構成解除したまま、システムに残す

    • ボードを構成する

    • 取り外す準備としてボードを論理的に切り離す


      # cfgadm -v -c disconnect コントローラ番号:スロット番号
      

  6. 切り離し操作にかかる時間はわずかです。カードケージからボードを取り外す場合は、最初にボードの状態を確認してください。

    1. cfgadm を使用して、ボードが論理的に切り離されていることを確認します。

    2. ボード上の LED で、ボードが電気的に切り離されていることを確認します。

      外側の 2 つの LED が消灯している必要があります。真ん中の LED は、点灯または消灯のどちらでもかまいません。

  7. ボードが切り離されていることを確認したら、実際にボードを取り外すか、交換します。「交換ボードの取り付け」を参照してください。

    ボードをそのままスロットに残しておいてもかまいません。


    注意 - 注意 -

    交換ボードがない場合は、ボードをスロットに残しておくか、取り外した後、ダミーボードまたはロードボードを装着して、冷却用の空気がカードケージ内を正しく流れるようにしてください。Sun Enterprise 3000/3500/4000/4500/5000/5500 システムの場合は、ダミーボードを使用してください。Sun Enterprise 6000/6500 システムの場合は、ロードボードを使用してください。


切り離しに対して危険なドライバを使用するボードの取り外し

Sun Enterprise 3x00/4x00/5x00/6x00 システムには、まだ DR に対応していないドライバがあります。

DR がそれらのドライバを切り離すことはできません。切り離し不可能なドライバは、手動で削除します。

  1. すべての装置コントローラの使用を停止します。

  2. マシンのすべてのボード上にある他のすべての同種のコントローラの使用を停止します。

    他のコントローラは、DR の構成解除の完了後に再び使用することができます。

  3. ボード上にある切り離しに対して危険なすべてのドライバを UNIX コマンドを使用して手動で閉じ、modunload コマンドを使用して、読み込み解除します。

  4. 次のコマンドを使用してボードを切り離します。


    # cfgadm -c disconnect コントローラ番号:スロット番号
    

    切り離しされたボードは、すぐに取り外すことも、後で取り外すこともできます。


    注意 - 注意 -

    交換ボードがない場合は、ボードをスロットに残しておくか、取り外した後、ダミーボードまたはロードボードを装着して、冷却用の空気がカードケージ内を正しく流れるようにしてください。Enterprise 3000/3500/4000/4500/5000/5500 システムの場合は、ダミーボードを使用してください。Enterprise 6000/6500 システムの場合は、ロードボードを使用してください。



    注 -

    上記の手順を実行できない場合は、NVRAM 設定の disabled-board-list (『特記事項』を参照) を使用して、無効なボードの一覧にボードを登録することによってシステム構成を回復し、その後でシステムを再起動してください。ボードは後で取り外してください。



    ヒント -

    サン以外の製造元によるドライバの多くは、標準の Solaris ソフトウェアの modunload インタフェースに正しく対応していません。サン以外の装置の認定検査および取り付けの段階で、ドライバをテストしてください。


交換ボードの取り付け

「一般的な準備作業」をまだ読んでいない場合は、先にその節を読んでから、この節をお読みください。

  1. 「ボードの取り外し」の作業に続いて行うのでない場合は、Failed Cross Reference Format に進みます。

    1. cfgadm コマンドを使用して、現在のシステム構成を表示します。

    2. 使用するカードケージを選択します。ボードはまだ装着しないでください。

  2. 構成の一覧を表示して、スロットが構成解除されていることを確認します。


    # cfgadm
    

  3. スロットにボードを装着して、コンソールに「名前 board inserted into slot3」のように確認メッセージが表示されることを確認します。

  4. 再び cfgadm コマンドを使用して、装着したボードに割り当てられたシステム名を確認します。

  5. ボードのシステム名を使用して、ボードを構成します。


    # cfgadm -c configure コントローラ番号:スロット番号
    

  6. drvconfigdevlinks などの適切なコマンドを使用して、ボード上のすべての入出力装置を構成します。

  7. mountifconfig などの適切なコマンドを使用して、ボード上のすべての装置を有効にします。

新しいボードの取り付け

「一般的な準備作業」をまだ読んでいない場合は、先にその節を読んでから、この節をお読みください。

ボードの追加と構成では、(1) 接続点の接続と (2) 占有装置の構成を行います。ほとんどの場合は、cfgadm(1M) コマンドを使用して、これら 2 つの作業を一度に行うことができます。

  1. 選択したスロットに対するボードの装着が可能であることを確認します。


    # cfgadm
    

    状態と条件の組み合わせは、以下のいずれかである必要があります。

    • 受容体の状態 - Empty

    • 占有装置の状態 - Unconfigured

    • 条件 - Unknown

    または

    • 受容体の状態 - Disconnected

    • 占有装置の状態 - Unconfigured

    • 条件 - Unknown

  2. スロットの状態が empty または disconnected でない場合は、次のコマンドを入力します。


    # cfgadm -c disconnect コントローラ番号:スロット番号
    

  3. スロットにボードを装着して、コンソールに「名前 board inserted into slot3」のように確認メッセージが表示されることを確認します。

    入出力ボードを装着すると、状態と条件は以下のようになります。

    • 受容体の状態 - Disconnected

    • 占有装置の状態 - Unconfigured

    • 条件 - Unknown

    個別装置と接続点の状態がこれ以外の場合は、エラーと見なしてください。

  4. ボードに周辺装置用のケーブルとインタフェースモジュールを接続します。

  5. 次のコマンドでボードを構成します。


    # cfgadm -v -c configure コントローラ番号:スロット番号
    

    このコマンドは、受容体の接続と構成の両方を行います。cfgadm コマンドで確認してください。

    接続および構成された接続点の状態と条件は以下のようになります。

    • 受容体の状態 - Connected

    • 占有装置の状態 - Configured

    • 条件 - OK

    これで、ボード上にある使用可能な装置がシステムによって認識され、すべての装置は、マウントおよび構成して、使用することができるようになります。

    ボードおよびスロットの接続と構成に失敗した場合は (個別装置と接続点の状態が上記のように表示されない場合)、接続と構成を別々に行います。

  6. 次のコマンドを入力して、ボードとスロットを接続します。


    # cfgadm -v -c connect コントローラ番号:スロット番号
    

    接続点が接続されると、状態と条件は以下のようになります。

    • 受容体の状態 - Connected

    • 占有装置の状態 - Unonfigured

    • 条件 - OK

    これで、接続されたボードがシステムによって認識されます。ただし、ボード上の使用可能な装置は認識されません。温度が監視され、条件は、電力供給と冷却状態の影響を受けます。

  7. 次のコマンドを入力して、ボードとスロットを構成します。


    # cfgadm -v -c configure コントローラ番号:スロット番号
    

    接続点が構成されると、状態と条件は以下のようになります。

    • 受容体の状態 - Connected

    • 占有装置の状態 - Configured

    • 条件 - OK

    これで、ボード上にある使用可能なすべての装置がシステムによって認識され、マウントおよび構成して、使用することができるようになります。

  8. 次のコマンドを入力して、ボード上のすべての装置を再構成します。


    # drvconfig; devlinks; disks; ports; tapes;
    

    コンソールに、装置とそのアドレスの一覧が表示されます。

  9. mountifconfig などの適切なコマンドを使用して、ボード上のすべての装置を有効にします。

記憶装置の追加

既存の入出力ボードに記憶装置を追加する手順を以下に示します。

  1. 入出力ボード上のすべての装置の使用を停止します。

    「入出力装置の終了」を参照してください。

  2. ボードを構成解除します。


    # cfgadm -c unconfigure コントローラ番号:スロット番号
    

  3. 記憶装置のコントローラを追加します。

    • 光学式コントローラの場合は、入出力モジュールとインタフェースケーブルを接続します。

    • SBus および PCI コントローラカードの場合は、切り離しコマンドを使用してから、ボードを取り外します。その後で、コントローラカードを装着し、入出力ボードをカードケージに戻します。

  4. ボードを再構成します。


    # cfgadm -c configure コントローラ番号:スロット番号
    

    占有装置の状態だけ変わります。受容体の状態と条件が変わることはありません。

  5. 別のスロットにボードを取り付けた場合は、次のコマンドを入力してボード上の装置を再構成します。


    # drvconfig; devlinks; disks; ports; tapes;
    

    コンソールに、装置とそのアドレスの一覧が表示されます。

  6. mountifconfig などの適切なコマンドを使用して、ボード上のすべての装置を有効にします。