Solaris Bandwidth Manager の設定情報とポリシー情報は、Sun Directory Services 3.1 などのディレクトリサービスに格納できます。このアプローチには、いくつかの利点があります。
Solaris Bandwidth Manager の複数のインスタンスの設定内容を 1 箇所 (ディレクトリ) から更新できる
ユーザー接続またはトラフィックフローの検出時に、設定内容を動的に更新できる。たとえば、リモートアクセスに RADIUS プロトコル使っているときなど
Solaris Bandwidth Manager で Sun Directory Services を使用するにはまず、ディレクトリ自体について、一定の設定をする必要があります。ディレクトリを設定したあと、Solaris Bandwidth Manager の設定内容をディレクトリに保存してください。この操作によって、ポリシー情報に必要なエントリが自動的にディレクトリに作成されます。
Sun Directory Services サーバー上で、次の操作を行う必要があります。
Solaris Bandwidth Manager のスキーマファイルを Sun Directory Services のスキーマに追加します。
ポリシーエージェントを、Solaris Bandwidth Manager の情報を含むサブツリーの複製として宣言します。
ディレクトリ内にある Solaris Bandwidth Manager の設定内容を変更する場合、その設定を含むサブツリーを複製する必要があります。このとき、すべてのエントリを複製する必要があります。
複製で使用するバインド識別名 (DN: Distinguished Name) の形式は uid=login です。login は、ポリシーエージェントの agent.properties ファイルに定義されているログインです。複製で使用するパスワードは、agent.properties ファイルに定義されているパスワードです。複製モードは push である必要があります。
ディレクトリとポリシーエージェント間の情報の複製について、複製スケジュールを設定します。replication は immediate に設定できます。これは、複製の範囲内にあるエントリが変更されると常に、それらのエントリが適切なポリシーエージェントに自動的にプッシュされることを意味します。RADIUS プロトコルを使用しているときは、replication を immediate に設定する必要があります。
Solaris Bandwidth Manager の情報用に ACL (Access Control List) を定義します。リモートユーザー接続の場合、少なくともリモートユーザーサブツリー内にあるエントリの policyRef 属性への読み取り権をポリシーエージェントに与える必要があります。ディレクトリに格納されている構成を batool から更新できるようにするには、Solaris Bandwidth Manager の設定内容を含むサブツリー内のすべてのエントリと属性への書き込み権をポリシーエージェントに与える必要があります。
Solaris Bandwidth Manager のスキーマファイルをディレクトリサーバーにコピーします。デフォルトでは、Solaris Bandwidth Manager のスキーマファイル policy.at.conf と policy.oc.conf は /etc/opt/SUNWconn/ba/include の下にあります。
Sun Directory Services の構成ファイル dsserv.conf をテキストエディタで開きます。デフォルトでは、このファイルは /etc/opt/SUNWconn/ldap/current の下にあります。
dsserv.conf の Main Configuration Section で、Solaris Bandwidth Manager のスキーマファイルを組み込みます。
# - Main Configuration Section - # include /etc/opt/SUNWconn/ldap/current/dsserv.at.conf include /etc/opt/SUNWconn/ldap/current/dsserv.oc.conf include /etc/opt/SUNWconn/ldap/current/dsserv.acl.conf include /opt/SUNWconn/ba/include/policy.at.conf include /opt/SUNWconn/ba/include/policy.oc.conf |
この include 文には、ディレクトリサーバー上にある Solaris Bandwidth Manager のスキーマファイルへの絶対パスを指定する必要があります。
ディレクトリサーバーデーモン dsservd を再起動して、ディレクトリ構成をロードし直します。この作業については、『Sun Directory Services 3.1 管理ガイド』を参照してください。Sun Directory Services の「管理コンソール」の「スキーマ」セクションには、Solaris Bandwidth Manager のオブジェクトクラスと属性の一覧が表示されます。
上記作業についての詳細は、Sun Directory Services 3.1 Collection - Japanese を参照してください。
Solaris Bandwidth Manager の設定内容をディレクトリに保存するには、グラフィカルツール batool を使用します。まず、「ファイル」メニューから「別名保存」オプションを選択して、「URL ..」を選択します。すると、「URL」ダイアログが表示されます。次に、「URL」フィールドに完全な URL を入力するか、下のパネルの関連するフィールドに URL の個々の部分を入力します。完全な URL を入力するときは、 ldap://username:password@hostname:portnumber/distinguishedname の形式を使用します。下のパネルにあるフィールドに入力する場合は、次のようにします。
ユーザー名は識別名 (DN) として入力します。
ファイルを保存したいサブツリーの識別名は、共通の名前で始まる必要があります。この共通の名前がまだディレクトリに存在していない場合、新たに作成されます。
Solaris Bandwidth Manager の設定内容をディレクトリに保存するとき、専用のサブツリーがディレクトリに作成されます。この節では、Solaris Bandwidth Manager のサブツリー内にあるエントリの構造について説明します。
図 6-1 に、ツリー構造と、ツリー内の各レベルで許可されているさまざまな種類のエントリを示します。各種類のエントリの定義については、「オブジェクトクラス」を参照してください。
完全な設定は、baConf という種類のエントリの下に格納されます。baConf エントリの下に格納されているサブエントリは、状態、グループ、ポリシー、およびインタフェースを記述します。
ポリシーエントリは通常、条件のリストをアクションのリストに関連付けます。すべての条件が満たされると、関連するアクションが実行されます。
Solaris Bandwidth Manager の設定ファイルの要素と、それらの要素がディレクトリツリーに格納される方法に、一対一のマッピングは存在しません。図 6-2 に、マッピングが実行される様子をまとめます。
特に、フィルタが条件とポリシーの組み合わせにマッピングされていることに注意してください。使用される条件の種類はフィルタの内容によって異なります。条件名には、その種類によって、-R、-I、-U、または -D という接尾辞が付きます。
事前定義されているサービスはディレクトリ構造には格納されません。その代わり、ポリシーエージェントは存在しない条件への参照を、事前定義されたサービスへの参照であると仮定します。
表 6-1 に、baConf の下に格納されているエントリについて、許可されている包含関係を示します。baConf の上位オブジェクトには制約がありません。
表 6-1 baConf 下の包含関係
エントリ |
有効な上位オブジェクト |
---|---|
Policy |
baConf |
URLCondition |
baConf, baContainer |
IPRouteCondition |
baConf, baContainer |
DSCondition |
baConf, baContainer |
IPServiceCondition |
baConf, baContainer |
IfCondition |
baConf, baContainer |
Group |
baConf, baContainer |
Classes |
baIf, baConf, baContainer |
baIf |
baConf |
baContainer |
baConf, baContainer |
「設定の例」で説明した例の設定ファイルを保存すると、エントリ構造は次のようになります。
事前定義されているサービス (ftp など) はディレクトリに保存されないため、条件としては表示されません。
Sun Directory Services 3.1 で提供されている RADIUS サーバーは、リモートユーザーに認証サービスを提供します。RADIUS サーバーについての詳細は、Sun Directory Services 3.1 に付属のマニュアルを参照してください。
Sun Directory Services 3.1 で提供されている RADIUS サーバーは、NAS (Netowork Access Server) のための認証承認情報サーバーです。 NAS は、SLIP や PPP などのリモートアクセスプロトコルを使用して接続しようとしているリモートユーザーに、ネットワークへのアクセスポイントを提供するデバイスです。NAS は、リモートユーザーからの接続要求で提供される情報を RADIUS サーバーに転送します。RADIUS サーバーはその情報を、ディレクトリ内にあるそのリモートユーザーのエントリと照合します。そして、リモートユーザーの接続についての承認または拒否を NAS に戻します。また、リモートユーザー接続に適切な接続パラメータも提供します。
NAS は RAS (Remote Access Server) または RADIUS クライアントとも呼ばれます。.
図 6-4 に、RADIUS が Solaris Bandwidth と共に機能する様子をまとめます。
ユーザーは、ネットワーク資源へのアクセスを要求するエンティティです。ディレクトリデータベースでは、ユーザーは一意の uid 属性で識別されます。この例を含めてリモートユーザーを記述する属性はすべて、remoteUser オブジェクトクラスで定義されます。
NAS は、リモートユーザーが接続するデバイスです。NAS は RADIUS サーバーに認証状態、ユーザープロファイル、および承認について照会します。ディレクトリデータベースでは、NAS は一意の ipHostNumber 属性で識別されます。この例を含めて RADIUS クライアントを記述する属性はすべて nas オブジェクトクラスで定義されます。
RADIUS サーバーは NAS を認証して、ディレクトリデータベース内で、リモートユーザーの同一性と承認を確認します。そして、ユーザーの状態と設定情報を NAS に戻します。RADIUS サーバーが NAS を認証できなかった場合、要求は無視されます。つまり、接続の拒否はありません。
認証プロセスが完了すると、NAS はリモート接続に関するアカウンティング情報を RADIUS サーバーに送信します。この情報は動的に、ユーザーのディレクトリエントリに記録されます。記録された情報は、dynamicIPaddress、dynamicSessionID、dynamicSessionCounter、および dynamicAddressBinding の属性に格納されます。
次に、この情報は複製イベントを使って Solaris Bandwidth Manager の設定内容に複製されます。
次に、Solaris Bandwidth Manager と Sun Directory Services との間で情報の交換が発生します。このとき、Solaris Bandwidth Manager の設定内容は動的な情報で更新されます。作成されたフィルタやクラスには、関連する uid や sessionID 名で名前が付けられます。LSaction アクションが queueName 属性を持っている場合、クラスは作成されません。
Solaris Bandwidth Manager と相互運用するときは、動的なアカウンティングが使用されます。他の方法については、Sun Directory Services に付属のマニュアルを参照してください。
RADIUS プロトコルを使用可能にするには、Solaris Bandwidth Manager と Sun Directory Services の両方を設定する必要があります。設定手順とスキーマ情報については、Sun Directory Services に付属のマニュアルを参照してください。
Solaris Bandwidth Manager では、次のようにします。
/opt/SUNWconn/ba/html/beans/QRasPolicy.html ファイルを編集して、Solaris Bandwidth Manager が複製イベントに応答できるようにします。
Sun Directory Services では、次のようにします。
RADIUS サーバーに対する動的なアカウンティングを有効にします。
データベースで、NAS デバイスとリモートユーザーに必要なエントリを作成します。ユーザーごとに、remoteUser タイプのオブジェクトクラスに加えて、policyAux タイプのオブジェクトクラスを作成する必要があります。policyAux オブジェクトクラスは、remoteUser オブジェクトクラスと同じ識別名 (DN) を持っている必要があります。これは、remoteUser オブジェクトクラスが policyRef 属性を含むことができないためです。policyRef 属性は有効なポリシーを指す必要があります。
ディレクトリとポリシーエージェント間の情報の複製について、複製スケジュールを設定します。replication は immediate に設定します。つまり、複製の範囲内にあるエントリが変更されたとき、それらのエントリは適切なポリシーエージェントに自動的にプッシュされます。
リモートユーザーのエントリを含むサブツリーを複製します。リモートユーザーのエントリ内にある一部の属性だけを複製する場合、少なくとも dynamicIPaddress、dynamicSessionID、および dynamicSessionCounter の属性が含まれていることを確認する必要があります。
複製イベントに複製パスワードが含まれることを確認します。これは、Solaris Bandwidth Manager パッケージをインストールしたときに設定したパスワードで、/etc/opt/SUNWconn/ba/agent.properties ファイルに定義されています。リモートシステムの管理者の DN を設定するときに、このパスワードを入力するように求められます。DN 自身は無視されます。
ユーザーの policyAux オブジェクトクラスに含まれている policyRef 属性は、Policy タイプのエントリを指す必要があります。このためには、次のどちらかを行います。
新しく接続されたユーザーの IP アドレスを含むフィルタを作成します。
新しく接続されたユーザーの IP アドレスを含むクラスとフィルタを作成します。
サービスプロバイダは、Standard、StandardPlus、および Premium の 3 つのクラスのサービスを提供します。各クラスには、異なるレベルの保障帯域幅が割り振られています。管理トラフィックなどの副次的なトラフィックは root クラスによって処理されます。
クラス名 |
保障帯域幅 |
---|---|
Premium |
50% |
StandardPlus |
30% |
Standard |
10% |
Fred Smith というユーザーは Premium クラスに加入しています。
Fred Smith からトラフィックを受信したとき、policyAux クラスの policyRef 属性がチェックされます。この属性は「Premium」ポリシーを指しています。「Premium」ポリシーは、queueName 属性「Premium」を持つ LSaction アクション「ActionPremiumClass」を含みます。
Fred Smith の IP アドレスを持つフィルタが作成されて、Premium クラスに追加されます。すると、Fred Smith からのトラフィックは Premium クラスにフィルタされます。このフィルタ名は、ディレクトリ内にある Fred Smith のユーザーエントリの UID に sessionID を加えたものです。
また、ポリシーに条件が追加される可能性もあります。たとえば、サービスの指定などです。
サービスプロバイダは、Standard、StandardPlus、および Premium の 3 つのクラスのサービスを提供します。各クラスには、異なる保障帯域幅が割り振られています。管理トラフィックなどの副次的なトラフィックは root クラスによって処理されます。ただし、サービスの管理者が互いに優先度が高いメッセージを送信する必要がある場合もあります。そのためには、admin-urgent というアカウントから電子メールを送信します。こうすると、優先度が 1 で、保障帯域幅が 10% のクラスが作成され、このようなメッセージは即座に処理されます。
Jane Brown というユーザーは、他の管理者たちに緊急のメッセージを送信する必要があります。そのために、Jane Brown は admin-urgent としてログインします。admin-urgent からトラフィックを受信すると、policyAux クラスの policyRef 属性がチェックされます。この属性は「Urgent」ポリシーを指しています。「Urgent」ポリシーは、ceilingRate、guaranteedRate、および queuePriority という属性を持つ LSaction を含みます。queueName 属性が存在しないため、指定された最大帯域幅、保障帯域幅、および優先度を持つ urgent というクラスが Solaris Bandwidth Manager ソフトウェアによって作成されます。次に、admin-urgent のメッセージの送信元である IP アドレスを含むフィルタが作成されます。このフィルタ名は、UID と sessionID から構成されます。
ディレクトリスキーマは、どの情報がディレクトリに格納できるかを決定します。デフォルトのスキーマとその変更方法についての詳細は、『Sun Directory Services 3.1 管理ガイド』を参照してください。図 6-5 に、スキーマの構造を要約します。
表 6-2 に、各オブジェクトクラスの属性の一覧を示します。(M) は、属性が必須であることを示します。(O) は、属性が任意であることを示します。各オブジェクトの詳細については、この節の後半にあるオブジェクトクラスのアルファベット順の一覧を参照してください。各属性の詳細についても、この節の後半にある属性のアルファベット順の一覧を参照してください。
表 6-2 オブジェクトクラスの要約
オブジェクトクラス |
属性 |
使用できる値 |
---|---|---|
baConfState(M) |
valid または invalid |
|
commonName(M) |
共通名 |
|
baClConfRef(O) |
汎用設定の DN |
|
baTimeout(O) |
タイムアウト (秒) |
|
baIfName(M) |
接尾辞 _in または _out が付いたデバイス名 |
|
baIfRate(M) |
帯域幅 (ビット/秒) |
|
commonName(M) |
共通名 |
|
baIfNetwork(O) |
デバイス名 |
|
baIfActivate(O) |
enabled、stats、tos、または disabled |
|
none、all、または direct |
||
baIfNonIP(O) |
ipqos または direct |
|
baIfRtrMac(O) |
MAC アドレス |
|
baIfRtrAddr(O) |
IP アドレスまたはホスト名のリスト |
|
commonName(M) |
共通名 |
|
groupMember(M) |
IP アドレス |
|
networkMask(O) |
サブネットマスク (ドット形式) |
|
commonName(M) |
共通名 |
|
URL |
||
マスク:マッチ (バイナリ形式で示す) |
||
デバイス:方向 (方向は INCOMING、OUTGOING、または BOTH) |
||
sourceIPHost(O) |
IP アドレスまたはホスト名 |
|
IP アドレスまたはホスト名 |
||
名前:マスク |
||
名前:マスク |
||
sourceGroup(O) |
baGroup タイプの DN エントリ |
|
baGroup タイプの DN エントリ |
||
ポート番号 |
||
ポート番号 |
||
発信元:着信先 |
||
ANY、または /etc/protocols ファイルで定義された名前 |
||
ceilingRate(O) |
1:ビット/秒 (bps)、または 2:百分率 (%) |
|
1:ビット/秒 (bps)、または 2:百分率 (%) |
||
parent(O) |
クラス名 |
|
previous(O) |
クラス名 |
|
queueName(O) |
クラス名 |
|
1 から 7 までの整数 |
||
tosWrite(O) |
0 から 255 までの整数 |
|
commonName(M) |
共通名 |
|
policyName(M) |
ポリシー名 |
|
policyCondition オブジェクトセットへの参照 |
||
TRUE または FALSE |
||
policyAction オブジェクトセットへの参照 |
||
キーワードのリスト |
||
policyUsage(O) |
識別名 |
|
commonName (M) |
共通名 |
|
policyActionName(M) |
名前 |
|
policyRef(M) |
ポリシーへの参照 |
|
commonName (M) |
共通名 |
|
ポリシー条件名 |
||
URLmatch(O) |
URL |
|
baURLgroup エントリへのポインタ |
この節では、Solaris Bandwidth Manager で使用するオブジェクトクラスの一覧をアルファベット順に示します。
必須属性: baConfState, commonName (cn)
任意属性: baClConfRef, baTimeout
説明: Solaris Bandwidth Manager の設定全体を格納するサブツリーのトップエントリ
必須属性: baIfName, baIfRate, commonName (cn)
任意属性: baIfNetwork, baIfMulticast, baIfNonIP, baIfRtrMac, baIfRtrAddr, baIfActivate
説明: Solaris Bandwidth Manager で制御されるインタフェース用の設定パラメータを含む
必須属性: commonName (cn), groupMember
任意属性: networkMask
説明: Solaris Bandwidth Manager で制御されるホストまたはサブネットのグループ用の設定パラメータを含む
継承元: commonName (cn), URLgroupMember
説明: Solaris Bandwidth Manager で制御される URL グループ用の設定パラメータを含む
継承元: policyCondition
必須属性: なし
任意属性: receivedDSByteCheck
説明: サービスの差別化に関連して、動作全体に適用可能な条件を記述する
継承元: policyCondition
必須属性: なし
任意属性: interfaceName
説明: インタフェースに適用可能な条件を記述する
継承元: policyCondition
必須属性: なし
任意属性: sourceIPHost, destinationIPHost, sourceNetwork, destinationNetwork, sourceGroup, destinationGroup
説明: IP 発信元または IP 着信先に適用可能な条件を記述する
継承元: policyCondition
必須属性: なし
任意属性: sourcePortNumberRanges, destinationPortNumberRanges, portNumberPairs, protocolNumber
説明: IP サービスに適用可能な条件を記述する
継承元: from policyAction
必須属性: なし
任意属性: ceilingRate, guaranteedRate, parent, previous, queueName, queuePriority, tosWrite
説明: リンクの共有という文脈において、実行すべきアクションを記述する
必須属性: commonName, policyName, policyConditionList, policyEnabled
任意属性: policyActionList, PolicyKeywords, policyUsage
説明: 2 つ以上のオブジェクト間の相互動作を記述する
必須属性: commonName (cn), policyActionName
任意属性: なし
説明: ポリシーで指定されたすべての条件が満たされたときに実行されるアクションのセットを記述する
必須属性: policyRef
任意属性: なし
説明: このオブジェクトクラスは、ポリシーをリモートユーザーエントリに関連付けるときに使用される。これは補助オブジェクトで、エントリを作成するときに他のオブジェクトクラスと連結して使用できることを意味する
必須属性: commonName (cn), policyConditionName
任意属性: なし
説明: ポリシーを満足するために適合すべき条件のセットを記述する。このオブジェクトクラスは、Solaris Bandwidth Manager DIT などとしては使用されない。その代わりに、このクラスから派生したオブジェクトクラスは、実際の条件を記述するエントリを作成するときに使用される。このようなオブジェクトクラスには、 DScondition、interfaceCondition、IProuteCondition、IPserviceCondition、URLCondition がある
継承元: policyCondition
任意属性: URLmatch, URLgroupMember
説明: URL に適用可能な条件を記述する
この節では、Solaris Bandwidth Manager で使用される属性の一覧をアルファベット順に示します。属性の構文、使用できる値、属性の目的に関する簡単な説明を示します。
この節では、Solaris Bandwidth Manager に固有でない属性 (top や common name (cn) など) は示しません。
表 6-3 に、属性の構文とその定義を示します。
表 6-3 属性の構文とその定義
属性の構文 |
構文の定義 |
---|---|
bin |
バイナリを表す |
ces |
大文字と小文字の区別がある文字列を表す。大文字と小文字の区別がある英数字文字列 |
cis |
大文字と小文字の区別がない文字列を表す。大文字と小文字の区別がない英数字文字列 |
dn |
識別名 |
int |
整数 |
protected |
crypt(1) で暗号化された値 |
tel |
電話番号 |
utctime |
世界標準時 (Coordinated Universal Time) |
使用されるクラス: baConf
説明: 汎用設定へのポインタを提供する
使用されるクラス: baConf
説明: エントリで記述された設定内容が有効かどうか、または、現在変更中かどうかを示す。この属性の値は invalid または valid のうちの 1 つだけである。設定内容をディレクトリに保存するとき、この属性は invalid に設定される。そして、設定の以前のバージョンがすべて削除され、新しいバージョンが保存されると、この属性は再び valid に設定される
使用されるクラス: baIf
説明: Solaris Bandwidth Manager が制御するインタフェースの状態を示す。この属性の値は、enabled、stats、tos、または disabled のうちの 1 つだけである。これらの値の意味については、「インタフェースの定義」を参照
使用されるクラス: baIf
説明: マルチキャストパケットが転送される方法を指定する。この属性の値は、none、all、または direct のうちの 1 つだけである。これらの値の意味については、「IP 透過モード」を参照。Solaris Bandwidth Manager が IP 透過モードで動作している場合、この属性は必須である
使用されるクラス: baIf
説明: エントリで記述されたインタフェースのデバイス名を指定する。接尾辞 _in または _out を付けて、処理されるトラフィックの方向を示す
使用されるクラス: baIf
説明: ネットワークと通信するために使用されるデバイス名を指定する。Solaris Bandwidth Manager が IP 透過モードで動作している場合、この属性は必須である
使用されるクラス: baIf
説明: 非 IP パケットがどのように転送されるかを指定する。この属性の値は、ipqos または direct のうちの 1 つだけである。これらの値の意味については、「IP 透過モード」を参照。Solaris Bandwidth Manager が IP 透過モードで動作している場合、この属性は必須である
使用されるクラス: baIf
説明: エントリで記述されたインタフェースに関連する帯域幅の速度を示す。ビット/秒で入力する
使用されるクラス: baIf
説明: ルーターの IP アドレスまたはホスト名のリストを指定する。複数の IP アドレスを指定する場合はコンマで区切る。Solaris Bandwidth Manager が IP 透過モードで動作している場合、この属性は必須である
使用されるクラス: baIf
説明: エントリで記述されたルーターの MAC アドレスを指定する。この値は、16 進数アドレスでも、ethers テーブルの一覧にあるホスト名でも指定できる。Solaris Bandwidth Manager が IP 透過モードで動作している場合、この属性は必須である
使用されるクラス: baConf
説明: 設定に関するタイムアウトを指定する。単位は秒
使用されるクラス: LSaction
説明: リンクに割り振る最大帯域幅を示す。この属性の値はビット/秒 (bps) でも、帯域幅 (%) でも指定できる。ビット/秒で指定する場合、構文は 1:x となる。百分率で指定する場合、構文は 2:x となる。x は、ビット/秒または百分率の値である
使用されるクラス: IProuteCondition
説明: baGroup タイプのエントリへのポインタを提供する
使用されるクラス: IProuteCondition
説明: IP 経路条件を記述するエントリで、着信先のホスト名を指定する
使用されるクラス: IProuteCondition
説明: IP 経路条件を記述するエントリで、着信先のネットワーク名を指定する
使用されるクラス: IPserviceCondition
説明: エントリが記述する条件が適用されるポート、またはポートの範囲を指定する
使用されるクラス: LSaction
説明: 新しいフローがクラスで検出されたときに、フロー追加イベントが生成されることを示す。この値は、サービスの品質の検索時に Directory M-bean によって使用される文字列である
使用されるクラス: baGroup
説明: baGroup エントリが記述するグループに追加するホストまたはサブネットのアドレスを提供する
使用されるクラス: LSaction
説明: リンクに割り振る保障帯域幅を示す。この属性の値はビット/秒 (bps) でも、帯域幅 (%) でも指定できる。ビット/秒で指定する場合、構文は 1:x となる。百分率で指定する場合、構文は 2:x となる。x は、ビット/秒または百分率の値である
使用されるクラス: interfaceCondition
説明: エントリによって記述された条件が適用されるインタフェース名を指定する。構文は device:direction。device はローカルの用語 (hme0 や eht0 など) であり、direction は INCOMING、OUTGOING、または BOTH のうちの 1 つである
使用されるクラス: baConf
説明: エントリで記述されたサブネットグループのサブネットマスクを指定する。サブネットマスクはドット形式で指定するか、あるいは hosts ファイルまたは networks ファイルで定義されているサブネットマスク名で指定する。ネットマスクを指定する + スタイルは使用できない。この属性が存在しない場合、エントリで記述されるグループはホストグループである。この属性は、サブネットグループを記述するのに必須である
使用されるクラス: LSaction
説明: クラスの親クラス名
使用されるクラス: policy
説明: policyAction オブジェクトセットへの参照を提供する。policy エントリによって定義された条件がすべて満たされたとき、policyAction エントリで記述されたアクションが実行される
使用されるクラス: policyAction
説明: エントリで記述されたポリシーアクションのわかりやすい名前
使用されるクラス: policy
説明: policyCondition オブジェクトセットへの参照を提供する。この条件セットが満たされたとき、エントリで記述されたポリシーが適用可能になる
使用されるクラス: policyCondition
説明: エントリで記述されたポリシー条件のわかりやすい名前。この属性は命名属性ではないため、エントリの RDN では使用できない
使用されるクラス: policy
説明: エントリで記述されたポリシーが現在有効であるかどうかを示す。この属性の値は、TRUE または FALSE のうちの 1 つだけである
使用されるクラス: policy
説明: ポリシーエントリの検索時に使用できるキーワードの一覧を提供する
使用されるクラス: policy
説明: エントリで記述されたポリシーのわかりやすい名前。この属性は命名属性ではないため、エントリの RDN では使用できない
使用されるクラス: policyAux
説明: ポリシーへの参照を提供する。この属性は、ポリシーを他のタイプのエントリ、たとえば、リモートユーザーのエントリに関連付けるときに使用される
使用されるクラス: policy
説明: エントリで記述されたポリシーを使用するためのガイドラインを提供する
使用されるクラス: IPserviceCondition
説明: 発信元と着信先のポートのペアを示す。構文は source:destination
使用されるクラス: LSaction
説明: 現在のクラスよりも前に確認されたクラス名を指定する。前のクラスが root であった場合、この値は空白である
使用されるクラス: IPserviceCondition
説明: 条件で記述されたプロトコル名を提供する。この属性の値は、ANY、または /etc/protocols ファイルで定義されているプロトコル名のうちの 1 つだけである
使用されるクラス: LSaction
説明: エントリで記述されたアクションが適用される待ち行列のクラス名を指定する
使用されるクラス: LSaction
説明: エントリで記述されたアクションの一部として、フローに割り当てる優先度を示す
使用されるクラス: DScondition
説明: 受信したパケットの IP ヘッダー内にある差別化サービス (DS) バイトの内容に基づいて、トラフィックの条件を指定する。形式は、xxxxxxxx:xxxxxxxx という文字列である。x は 0 または 1。左側の文字列は Mask で、右側の文字列は Match である。受信したパケットの IP ヘッダー内にある DS バイトと Mask との論理積が求められ、その結果が Match と比較される。 したがって、条件は次のように表現できる。
(receivedPacketTOSbyte & Mask == Match)?
& はビット単位の論理積演算を示し、== はビット単位の比較演算を示す
Mask と Match の連結で DS バイト内の特定のバイトを比較時に無視できるため、DS バイトに基づくプロファイルを定義できる
使用されるクラス: IProuteCondition
説明: baGroup タイプのエントリへのポインタを提供する
使用されるクラス: IProuteCondition
説明: IP 経指条件を記述するエントリで、発信元のホスト名を指定する
使用されるクラス: IProuteCondition
説明: IP 経路条件を記述するエントリで、発信元のネットワーク名を指定する
使用されるクラス: IPserviceCondition
説明: エントリで記述された条件が適用されるポートまたは、ポートの範囲を指定する
使用されるクラス: LSaction
説明: エントリで記述されたアクションの一部として、提供される TOS (Type of Services) を指定する。この属性の値は 0 から 255 までの整数である
使用されるクラス: baURLgroup
説明: baURLgroup エントリへのポインタを提供する
使用されるクラス: URLcondition
説明: エントリで記述された URL 条件用のフィルタを設定するために使用される URL を指定する。この URL にはワイルドカードを指定できる
設定ファイル ba.conf を編集するか、構成ツール batool を使って、Solaris Bandwidth Manager の設定を作成してディレクトリに保存する場合、命名規約は自動的に処理されます。ディレクトリサービス内で設定を作成するときは、次の規約を守る必要があります。
policyNames、groupNames、および serviceNames は設定内で一意である必要がある。policyName は、設定が Solaris Bandwidth Manager で実行されるときにフィルタ名になる
classNames はインタフェース内で一意である必要がある。各クラスが特定のインタフェースに関連付けられるため、異なるインタフェースに関連付けられる限り、同じ名前を持つクラスが複数存在できる