Oracle Projects基礎 リリース12 E06005-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章では、Oracle Projectsの組織予測機能について説明します。組織予測は、管理計画およびレポート作成のための強力なツールです。
この章では次のトピックを説明します。
組織予測では、管理計画およびレポート作成のツールが提供されます。このツールを使用すると、プロジェクト・レベルのスタッフ計画に関連する収益金額、原価金額、マージン額、マージン率、稼働状況および従業員数について、組織レベルの財務予測を生成できます。また、組織予測によって、運営マネージャは割り当てられた職責の範囲内でプロジェクトとプロジェクト資源を計画して管理できます。
関連項目
組織予測金額は、Oracle Project Resource Managementで定義したプロジェクト資源の要件と割当から計算されます。予測生成処理では、予測金額が積み上げられ、その金額がシステムで生成された組織プロジェクトの予測バージョンとしてレポートされます。また、組織予測には手動修正機能があるため、システム生成の金額を修正できます。これらのバージョン機能と修正機能によって、1つの組織に対して複数の予測ビューを定義し、多様な計画前提条件を反映できます。
予測金額はプロジェクト労務についてのみ計算されます。組織に対して振替価格ルールを定義して使用可能にすると、借入資源と貸出資源に起因する内部的な収益金額と原価金額を反映した予測を生成できます。
組織予測では、社内向け業務の計画および管理レポート・アクティビティがサポートされています。これらの機能を使用して社外向けの企業レベルの財務計画処理もサポートできますが、組織予測は社外向けの戦略的計画を目的としていません。
組織予測の主な機能は、次のとおりです。
Oracle Project Resource Managementで定義したプロジェクト資源の要件と割当に基づいた、プロジェクト・レベルの収益金額と原価金額の積上げ
定義した振替価格ルールに基づいた、内部的な収益金額と原価金額のレポート作成
全予測金額またはプロジェクト見込パーセントを計算に入れた(割り引く)予測金額いずれかのレポート作成
生成された予測金額と振替価格金額の正味額に基づいた、マージンとマージン率の計算
オラクル人事管理システムからの従業員数情報の要約
従業員割当に基づいた予定稼働状況の計算
収益、原価、従業員数および稼働状況に対する手動修正機能
予測金額の合計および主要構成要素別のレポート作成
Oracleの組織予測機能には、次の制限事項が適用されます。
予測の対象はプロジェクト労務取引のみです。他の項目(資材や使用費など)については金額を生成できません。
予測生成処理で作成されるのは、1つの営業単位内の1つの組織に関する予測です。組織予測を上位レベルのエンティティに積み上げたり、ビジネス・グループ間で積み上げることはできません。
予測はプロジェクト機能通貨で作成されます。プロジェクト機能通貨以外の通貨で予測金額を表示したり修正を入力することはできません。
組織予測の対象は、収益の計算に作業基準の収益見越計上方法を使用しているプロジェクトのみです。原価基準またはイベント基準の収益見越計上方法を使用しているプロジェクトについては予測金額を生成できません。
この項では、組織予測機能の使用方法について説明します。
組織予測には次の処理が含まれます。
予測前提情報の定義
計算処理の発行
バージョンの作成および金額の生成
予測金額の検討
予測金額の修正
基本編成の発行および作成
関連項目
『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の組織予測の実装に関する項
組織予測は、予測処理の中核部分ではない複数の前提条件アクティビティに依存しています。予測金額の計算に必要な基礎となる情報を定義および保守するためには、次のアクティビティを実行する必要があります。
新規パイプライン・プロジェクトの入力: 新規パイプライン・プロジェクトの定義は、販売の機会が承認済プロジェクトに発展したときに発生します。新しいパイプライン・プロジェクトをシステムに入力すると、組織予測が開始されます。プロジェクトを入力した後は、プロジェクト資源の要件と割当を定義し、組織予測に必要な他のプロジェクト情報を定義する前提条件アクティビティに進むことができます。
プロジェクトの定義の詳細は、「プロジェクトおよびタスクの概要」を参照してください。
プロジェクトの確率の修正: プロジェクト・レベルでの確率は、顧客がプロジェクトを承認する可能性を表します。プロジェクトの確率を入力すると、予測計算処理では、この見込みに対する予測値を計算に入れる(割り引く)ことができます。確率の定義は任意です。確率を指定する場合は、現状での見込みが確実に反映するように、パーセント値を定期的に検討および修正してください。プロジェクトの確率の保守方法については、「プロジェクト情報」を参照してください。
プロジェクト・ステータスの保守: 「組織予測に含める」という新しいプロジェクト・ステータス管理が組織予測に追加されました。このステータス管理が有効になっている場合は、プロジェクト・ステータスで予測に含められるプロジェクトが決定されます。プロジェクト計画サイクルの間は、プロジェクト・ステータスを定期的に監視および更新して、組織予測の中で自分のプロジェクトがきちんとレポートされていることを確認します。プロジェクト・ステータスの保守方法の詳細は、「プロジェクト情報」を参照してください。
プロジェクト資源の要件および割当の定義: 組織予測を実行するには、Oracle Project Resource Managementで、プロジェクト資源の要件および割当を定義および保守する必要があります。詳細は、「プロジェクトの要件」、「プロジェクトの割当」および『Oracle Project Resource Management User Guide』を参照してください。
請求レートと原価レートの更新: 予測計算処理では、プロジェクトの請求レートと原価レートを使用して予測金額が決定されます。請求レートと原価レートは、現状の予測前提条件と一致するように、定期的に検討および更新してください。請求レートと原価レートの詳細は、次のソースを参照してください。
振替価格ルールの更新: 請求レートおよび原価レートと同様に、予測計算の過程では振替価格が適用され、借入資源と貸出資源に起因する内部的な収益金額と原価金額が決定されます。振替価格ルールは、予測に関する現状の予測前提条件と矛盾しないように、定期的に検討して更新してください。振替価格ルールの定義の詳細は、『Oracle Project Costing User Guide』の「Cross Charge Processing Methods and Controls」を参照してください。
実装時には、実装チームがコンカレント・プログラムを発行し、既存の資源すべての要件と割当に対する初期予測金額を計算し、稼働状況率を生成します。実装後は、定期的に計算プログラムを発行して、新規作成または変更した資源の要件と割当を反映し、請求レート、原価レートおよび振替価格ルールの変更に応じて予測金額を更新する必要があります。組織予測のコンカレント・プログラムの一覧は、「組織予測処理」を参照してください。
実装時に予測生成処理を発行すると、組織プロジェクトが作成され、初期予測バージョンが作成されて金額が生成されます。実装後は、生成処理を定期的に発行することで、プロジェクトを作成し、新しい組織の予測を生成できます。また、生成処理を発行して、既存の組織プロジェクトの新しい予測バージョンを作成することもできます。詳細は、「予測バージョンの作成および金額の生成」を参照してください。
予測バージョンが生成された後は、要約レベルと構成要素レベルの表示ページで、予測金額を検討および分析できます。これらのページでは、予測金額を、総計で検討したり、収益期間、原価、マージン、マージン率、稼働状況および従業員数により検討したりできます。(所有収益、借入収益、内国税収入: 入、内国税収入: 出などの)構成要素別に予測金額を表示することもできます。詳細は、「組織予測結果の検討」を参照してください。
組織予測では、手動による修正を入力して、システム生成の予測金額を補正できます。修正の入力の詳細は、「生成金額の修正」を参照してください。
納得できる金額を予測バージョンに反映した場合は、そのバージョンを発行し、基本編成を作成できます。基本編成の作成では、予測構成要素および金額に対する今後の変更を防止することで、その予測バージョンを保持できます。詳細は、「予測バージョンの保守」を参照してください。
次の各項では、予測バージョンの作成、金額の生成、バージョンの保守および生成金額の修正方法を説明します。
予測バージョンを作成して予測生成処理をオンラインで発行すると、単一の組織に関する組織予測を作成できます。これらのタスクをオンラインで実行するには、「予算および予測」ページまたは「バージョンの保守: 組織予測」ページにナビゲートします。
また、予測生成処理をコンカレント・プログラムとして発行すると、1つ以上の組織についてのバージョンを作成し、金額を生成できます。コンカレント・プログラムとしての予測生成処理の発行については、「組織予測の生成」を参照してください。
「セルフ・サービス・プロジェクト資源管理組織マネージャ」職責を使用してログインし、「プロジェクト・リスト」メニュー・オプションを選択します。
注意: 「プロジェクト・リスト」ページには、ユーザーの権限に基づいて、組織プロジェクトも含めたプロジェクトの完全なリストが表示されます。「プロジェクト・リスト」ページで、組織プロジェクトを素早く検索できるように機能強化するには、組織予測のみを表示するパーソナライズ・ビューを作成します。このようなビューを作成するには、組織予測プロジェクト・タイプなどの属性を選択フィルタとして使用します。
組織プロジェクト名を選択し、「プロジェクト・ホーム」ページをオープンします。
「財務」タブを選択し、「予算および予測」ページをオープンします。
「組織予測計画」タイプを選択してから、「計画バージョンの作成」を選択し、「計画バージョンの作成」ページをオープンします。
バージョン名を入力し、必要に応じて摘要を入力します。
「生成」を選択してから、「進む」を選択します。
「バージョンの保守: 組織予測」ページで、単一の組織について予測バージョンを作成して金額を生成する方法は、「予測バージョンの保守」を参照してください。
生成された予測バージョンは、「バージョンの保守: 組織予測」ページにリストされます。このページは、予測詳細を表示したり、個々の予測バージョンを使用するためのエントリ・ポイントになります。
「バージョンの保守: 組織予測」ページには、組織の作業バージョンと基本編成のすべてがリストされます。このページでは、次のタスクを実行できます。
予測バージョンの新規作成
作業バージョンの発行および再処理
基本編成の作成
既存の作業バージョンまたは基本編成のコピーによる新規バージョンの作成
現行作業への作業バージョンの設定
既存の作業バージョンに対する金額の再生成
作業バージョンに対する修正の入力
作業バージョンの削除
基本編成バージョンの当初基本編成としてのマーク付け
バージョン名および摘要の更新
作業バージョンの発行や再処理を実行したり、作業バージョンの基本編成を作成するには、そのバージョンを現行作業バージョンとしてマークする必要があります。作業バージョンは、発行後も再処理できますが、基本編成の作成を選択した後は再処理できません。
基本編成を作成すると、基本編成バージョンから現行作業の新規コピーが自動的に作成されます。基本編成の作成後にバージョンを変更するには、新しい作業コピーを更新し、基本編成を新規作成します。
作業バージョンを削除すると、そのバージョンは永久に削除されます。基本編成バージョンは削除できません。
「バージョンの保守: 組織予測」ページで、予測バージョンを作成し、金額を生成する手順は、次のとおりです。
「新規バージョンの作成」を選択し、「計画バージョンの作成」ページをオープンします。
バージョン名を入力し、必要に応じて摘要を入力します。
「生成」を選択してから、「進む」を選択します。
予測生成処理の詳細は、「組織予測の生成」を参照してください。
システム生成の予測金額を手動で修正するには、「バージョンの保守: 組織予測」ページから「修正の入力」ページをオープンします。修正は、収益期間、原価、稼働状況および従業員数ごとに入力できます。
表示金額の開始期間および表示する期間数については、「予測実装オプション」の組織予測の期間パラメータに基づいて判断されます。ページ表示オプションを使用すると、デフォルトの表示パラメータを上書きできます。
修正を入力するには、事前定義済リストから修正事由を選択し、期間および予測構成要素ごとに金額を入力します。
注意: 修正事由は実装時に定義されます。詳細は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の修正事由の定義に関する項を参照してください。
「修正の入力」ページを使用すると、修正事由別に既存の修正金額を問合せできます。以前に入力した修正を問い合せるには、修正事由を選択し、「進む」を選択します。
既存の修正金額を更新すると、入力した金額で既存の金額が置換されます。したがって、予測に反映させる新しい金額を常に入力しておく必要があります。また、予測金額の再生成を選択すると、修正も含めた既存の金額すべてが再生成された金額で上書きされます。
組織予測には、収益、マージン、マージン率、稼働状況および従業員数などの基本指標についてのビューを定期的に提供する多数の表示ページがあります。
「予算および予測」ページは、組織予測情報にアクセスするためのエントリ・ポイントです。「予算および予測」ページでは、計画バージョンの作成、金額の生成、現行作業中バージョンおよび現行基本編成バージョンの金額の表示、および「バージョンの保守: 組織予測」ページへのナビゲートを実行できます。
注意: 組織プロジェクトには、組織予測計画タイプが自動的に追加されます。組織プロジェクトに他の計画タイプを追加することはできません。
関連項目
「組織予測要約」ページを使用して、予測バージョンについて、期間別に、収益合計、原価、マージン、マージン率、従業員数および稼働状況パーセント額を表示します。最大で6GL期間または13PA期間の金額を一度に表示できます。
表示金額の開始期間および表示する期間数については、「予測実装オプション」の組織予測の期間パラメータに基づいて判断されます。ページ表示オプションを使用すると、デフォルトの表示パラメータを上書きできます。
マージンとマージン率以外の各予測金額の構成要素にドリルダウンできます。マージンとマージン率は予測収益と原価金額から計算されます。任意の予測金額名のリンクを選択して、収益、原価、稼働状況および従業員数の額にドリルダウンします。構成要素のページを表示した場合は、「修正の表示」オプションを選択して、修正事由別に修正金額にドリルダウンできます。
予測計算については、『Oracle Project Managementユーザー・ガイド』の予測の生成に関する項を参照してください。
次の各項で、表示可能な、収益、原価、稼働状況および従業員数などの予測金額構成要素を定義します。
予測には、次の収益構成要素を含めることができます。
所有収益: 自分の組織が所有しているプロジェクトの作業収益で、自分の組織に割り当てられた資源によって生成された収益。
借入収益: 自分の組織が所有しているプロジェクトの作業収益で、他の組織に割り当てられた資源によって生成された収益。
内国税収入:入: 他の組織が所有するプロジェクトの作業について自分の組織に振り替えられた収益で、自分の組織に割り当てられた資源によって遂行された収益。
内国税収入:出: 自分の組織が所有するプロジェクトの作業について他の組織に振り替えられた収益で、他の組織に割り当てられた資源によって遂行された収益。
収益修正: 自分の組織予測に手動で入力した収益修正の合計金額。
注意: 収益合計は、「所有収益」、「借入収益」、「内国税収入:入」および「収益修正」の合計額から「内国税収入:出」の金額を差し引いた金額に等しくなります。
予測には、次の原価構成要素を含めることができます。
所有プロジェクト原価: 自分の組織が所有するプロジェクトの作業原価で、自分の組織に割り当てられた資源によって生成された原価。
貸出資源原価: 他の組織が所有するプロジェクトの作業原価で、自分の組織に割り当てられた資源によって生成された原価。
未割当時間原価: 自分の組織に割り当てられた資源に割り当てられていない時間原価。
内部原価:入: 自分の組織が所有するプロジェクトの作業について自分の組織に振り替えられた原価で、他の組織に割り当てられた資源によって遂行される原価。
内部原価:出: 他の組織が所有するプロジェクトの作業について他の組織に振り替えられた原価で、自分の組織に割り当てられた資源によって遂行される原価。
原価修正: 自分の組織予測に手動で入力した原価修正の合計金額。
注意: 予測原価は総原価金額に基づいています。合計原価は、「所有プロジェクト原価」、「貸出資源原価」、「未割当時間原価」、「内部原価:入」および「原価修正」の合計額から「内部原価:出」の金額を差し引いた金額に等しくなります。
予測には、次の稼働状況構成要素を指定できます。
予定稼働状況(%): すべての資源に関する予定時間合計。稼働状況カテゴリをすべての資源の合計生産能力時間で除算した値で加重されます。
稼働状況(%)修正: 自分の組織予測に手動で入力した稼働状況修正の合計金額。
予測には、予測人数に関する次の構成要素を含めることができます。
開始従業員数: オラクル人事管理システム・アプリケーションによる、前期終了時点での組織の従業員数合計。
従業員数修正: 自分の組織予測に手動で入力した従業員数修正の合計数。