NWAM プロファイルをアクティブにする方法

NCP、場所プロファイル、および ENM には、activation-mode プロパティーが存在します。許容される値は、プロファイルタイプごとに異なります。さらに、activation-mode プロパティーを検証する方法も、各プロファイルがアクティブになる条件と同様に、プロファイルごとに異なります。

システム定義の場所 (Automatic と NoNet) では、activation-mode プロパティー値が system に設定されています。つまり、場所はシステムでのみアクティブにでき、さらにシステムで事前に定められた条件がその場所に対して適切でなければなりません。

ユーザー定義の場所では、activation-mode と conditions プロパティーを manual、conditional-any、または conditional-all に設定できます。詳細は、「場所のアクティブ化の選択条件」を参照してください。

netadm コマンドまたは NWAM GUI を使用すると、場所プロファイルを手動で有効にすることができます。場所を明示的に有効にしない場合は、NWAM デーモン nwamd によって、条件付きでアクティブ化およびシステムでアクティブ化されたすべての場所プロファイルのアクティブ化規則がチェックされたあとに、現在のネットワーク環境に最適な場所が選択されます。

NWAM では、場所の選択で「最適な一致」を決定するアルゴリズムが使用されます。場所に適した一致がない場合は、場所「Automatic」がアクティブになります。ネットワーク環境を変更すると、nwamd デーモンが場所の選択を継続的に再評価して、最適な一致を決定します。ただし、netadm コマンドを使用して場所プロファイル (手動でアクティブ化した場所または条件付きでアクティブ化した場所) を明示的に有効にする場合は、その場所を明示的に無効にするか、別の場所を有効にするまで、場所はアクティブなままです。この状況では、より適切な一致があるかどうかに関係なく、ネットワーク環境を変更しても場所プロファイルは変更されません。現在の場所を明示的に指定することにより、実質的には最良の一致が決定されます。プロファイルをアクティブまたは非アクティブにする手順については、「プロファイルをアクティブまたは非アクティブにする」を参照してください。

NCP アクティブ化ポリシー

NWAM では、NCU がアクティブな場合には、NCP ポリシーを指定できます。NCP ポリシーは、NCU ごとに指定可能なプロパティーおよび条件を使用することで強制されます。指定されるポリシーの例として、「無線接続よりも有線接続を優先する」や「一度に 1 つのインタフェースをアクティブにする」などがあります。NCP をアクティブにする方法および条件は、NCU タイプごとに設定されたプロパティーで定義されます。

NCP ポリシーの例

次の例では、使用可能な有線リンクがすべてアクティブであること、および使用可能な有線接続がない場合にのみ無線接続を使用するように NCP ポリシーで指定するために NCU プロパティーが設定されます。

すべての物理リンク用:

• NCU タイプ: link

• NCU クラス: phys

• activation-mode: prioritized

• priority-group: 0 (有線)、1 (無線)

• priority-mode: shared (有線)、exclusive (無線)

次の例では、常にシステムでアクティブなリンクは 1 つのみであること、および無線接続よりも有線接続が優先されることを指定した NCP ポリシーに従って、NCP プロパティーが設定されています。

すべての物理リンク用:

• NCU タイプ: link

• NCU クラス: phys

• activation-mode: prioritized

• priority-group: 0 (有線)、1 (無線)

• priority-mode: exclusive

NCU のアクティブ化プロパティー

ネットワーク接続をアクティブにする方法は、リンク NCU プロパティーで設定されます。NCP のアクティブ化ポリシーを定義する際には、次のプロパティーが使用されます。

• activation-mode プロパティー

  このプロパティーには、manual と prioritized のどちらかを設定できます。

  • manual – NCU のアクティブ化が管理者によって管理されます。NWAM CLI または GUI を使用して、NCU をアクティブまたは非アクティブにすることができます。NCU の activation-mode が manual に設定されている場合は、priority-group と priority-mode NCU プロパティーに設定された値はどちらも無視されます。

  • prioritized – 指定された NCU の priority-group と priority-mode プロパティーで設定された値に従って、NCU がアクティブになります。優先順位が付けられた NCU では、有効なプロパティーは常に true です。

    優先順位が付けられたアクティブ化によって、リンクのグループを同時にアクティブにすることができます。この起動モードでは、1 つ以上のリンクをその他のリンクよりも優先させることもできます。priority-group プロパティーでは、指定されたリンクに数値の優先度が割り当てられます。優先度が同じリンクはすべて、1 つのグループとして検査されます。priority-mode プロパティーは、アクティブにするグループで使用可能になる可能性のある、または使用可能にする必要があるグループメンバーの数を定義します。

• enabled プロパティー (activation-mode は manual に設定される)

  このプロパティーに指定可能な値は true または false です。このプロパティーの値は設定できません。より正確には、この値は手動で有効にした NCU の現在の状態を反映しており、netadm コマンドまたは NWAM GUI を使用すれば変更できます。

• priority-group プロパティー (activation-mode は prioritized に設定される)

  値は数値です。ゼロ (0) は優先度がもっとも高いことを示します。負の値は無効です。

  使用可能なすべての priority-group の中で、priority-group がもっとも高い NCU のみがアクティブになります。優先度が同じ NCU が複数使用可能である場合、アクティブ化動作は priority-mode プロパティーで定義されます。優先度番号は絶対値ではありません。NCP リポジトリが更新されると、値が変更される可能性があります。

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  注 - 優先度の順序は厳格に適用されます。

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• priority-mode プロパティー (activation-mode は prioritized に設定される)

  このプロパティーは、priority-group プロパティーの値が指定されている場合に設定されます。

  このプロパティーの値は次のとおりです。

  • exclusive – 常に priority-group 内で 1 つの NCU のみをアクティブにできることを指定します。NWAM では、優先グループ内で 1 番目に使用可能な NCU がアクティブになり、その他の NCU は無視されます。

  • shared – 優先グループ内の複数の NCU を同時にアクティブにできることを指定します。優先グループ内で使用可能な任意の NCU がアクティブになります。

  • all – 優先グループが使用可能であり、したがってアクティブにできるとみなされるには、優先グループ内のすべての NCU が使用可能でなければならないことを指定します。

場所のアクティブ化の選択条件

各場所プロファイルには、アクティブ化の条件を定義したプロパティーが存在します。これらのプロパティーは、場所がアクティブになる条件に関する情報を指定します。NWAM は、構成されたすべての場所に対する選択条件を継続的に再評価し、そのたびに、現在のネットワーク環境に最適な条件を持つ場所を判定します。現在のネットワーク環境に変更が発生した結果、より条件に合致するプロファイルがある場合、NWAM は現在の場所プロファイルを非アクティブにして、新しい環境により適した場所プロファイルをアクティブにします。

場所をアクティブにするタイミングと方法の選択条件は、次のプロパティーで指定されます。

• activation-mode

• conditions

activation-mode プロパティーは、次の値のいずれかに設定されます。

• manual

• conditional-any

• conditional-all

• system

activation-mode プロパティーが conditional-any または conditional-all に設定されている場合は、conditions プロパティーにユーザー定義の条件式 (複数可) が含まれます。各式に含まれる条件には、ブール型の値を割り当てることができます (「ncu ip:net0 is-not active」など)。

activation-mode プロパティーが conditional-any に設定されている場合は、条件のいずれかに該当すれば条件を満たすことになります。

activation-mode プロパティーが conditional-all に設定されている場合は、条件のすべてに該当しなければ条件を満たすことになりません。次の表では、条件文字列を作成する際に使用可能な条件および演算を定義します。

表 3-5 条件文字列を作成するための条件と演算

advertised-domain 属性と system-domain 属性との区別に注意してください。通知されたドメインは、外部通信によって検出されます。たとえば、DNSdmain や NISdmain ドメイン名は、DHCP サーバーによって通知されます。この属性は、場所の条件付きアクティブ化に役立ちます。たとえば、通知されたドメインが mycompany.com である場合、work という場所をアクティブ化します。system-domain 属性は、現在システムに割り当てられているドメインです。また、domainname コマンドで返される値です。この属性は、場所がアクティブ化されており、その特定のドメインに対してシステムが構成されてはじめて true になるので、ENM の条件付きのアクティブ化に役立ちます。詳細は、domainname(1M) のマニュアルページを参照してください。

場所のプロパティーの詳細は、「場所プロファイルの説明」を参照してください。