アプリケーションとデータベースの管理

この項の内容:

アプリケーションおよびデータベースの理解

Essbaseファイルの保管方法の理解

アプリケーション、データベースおよびデータベース・アーティファクトの管理

Administration Servicesを使用したアプリケーションの移行

プラットフォーム間でのアプリケーションの移植

『Oracle Hyperion Enterprise Performance Management Systemバックアップおよびリカバリ・ガイド』も参照してください。

アプリケーションおよびデータベースの理解

アプリケーションは、1つ以上のEssbaseデータベースおよび関連するファイルを含む管理構造です。Essbaseアプリケーションおよびデータベースは通常、Essbaseサーバー上に存在します。サーバー・コンピュータは、複数のアプリケーションを保管できます。

Essbaseデータベースは、多次元データ・ストレージ・アレイを含むデータ・リポジトリです。多次元データベースは、ユーザーがデータを分析して、意味のあるビジネス上の意思決定を行えるように、データの複数のビューをサポートします。

Essbaseデータベースに関連したファイルは、アーティファクトまたはオブジェクトと呼ばれます。データベース・アーティファクトは、計算の定義やデータに対するレポート作成などの、1つ以上のEssbaseデータベースに対するアクションを実行します。デフォルトでは、アーティファクトは、サーバー上の関連付けられたデータベース・フォルダに保管されます。また、一部のアーティファクトは、クライアント・コンピュータまたはその他の使用可能なネットワーク・ディレクトリにも保存できます。Essbaseファイルの保管方法の理解を参照してください。

Essbaseでのデータベース・アーティファクトの一般的なタイプには、次のものがあります:

  • データベース・アウトライン(ストレージ構造の定義)

  • データ・ソース

  • データのロードや動的な次元構築に関する規則(ルール・ファイル)

  • データの計算方法を定義するスクリプト(計算スクリプト)

  • データに関するレポートを生成するスクリプト(レポート・スクリプト)

  • セキュリティ定義

  • セキュリティ・フィルタ

  • LRO

  • パーティション定義

これらのアーティファクトの一部(計算スクリプト、フィルタ、LROなど)はオプションです。

各データベース・アーティファクトの完全な説明については、データベース・アーティファクトの理解を参照してください。

Essbaseファイルの保管方法の理解

Essbaseのインストール・ファイルや、Essbaseの使用時に作成されるファイルは、次の場所に保管されます:

  • MIDDLEWARE_HOME - Oracle WebLogic Serverホーム(および、オプションで、EPM Oracleホームを含む1つ以上のOracleホーム)。

    デフォルト・インストールでは、MIDDLEWARE_HOMEは次のとおりです:

                Oracle/Middleware
             
  • EPM_ORACLE_HOME-すべてのEPM System製品がインストールされているディレクトリです。

    デフォルト・インストールでは、EPM_ORACLE_HOMEは次のとおりです:

                MIDDLEWARE_HOME
                /EPMSystem11R1
             

    例:

                Oracle/Middleware/EPMSystem11R1
             
  • EPM_ORACLE_INSTANCE - 配置されている製品の場所(データとアプリケーション、配置されているJava Webアプリケーションおよびログ・ファイルが格納される)。

    デフォルト・インストールでは、EPM_ORACLE_INSTANCEは次のとおりです:

                Oracle/Middleware/user_projects/epmsystem1
             
  • ESSBASEPATH - Essbaseのインストール・ディレクトリ。

    デフォルト・インストールでは、ESSBASEPATHディレクトリは次のとおりです:

    • Essbaseサーバーの場合:

                        EPM_ORACLE_HOME
                        /products/Essbase/EssbaseServer
                     
    • Essbaseクライアントの場合:

                        EPM_ORACLE_HOME
                        /products/Essbase/EssbaseClient
                     

    ESSBASEPATHの下に作成されるディレクトリのリストについては、Oracle Enterprise Performance Management System Installation and Configuration Guideを参照してください。

  • ARBORPATH:

    • Essbaseのアプリケーション・ファイル(作成時の状態)やサンプル・アプリケーションおよびデータベース(Essbaseに付属)が保管される、appディレクトリの場所。

    • binディレクトリの場所。ここには、Essbaseの構成設定ファイル(essbase.cfg)およびセキュリティ・ファイル(essbase.secおよびessbase_timestamp.bak)(作成時の状態)が保管されます。

    デフォルト・インストールでは、ARBORPATHは次のとおりです:

                EPM_ORACLE_INSTANCE
                /EssbaseServer/essbaseserver1
             
  • EPM_ORACLE_INSTANCE/common - 共通の内部およびサードパーティ・コンポーネントが保管されるディレクトリ。

  • EPM_ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs - ログ・ファイルが保管されるディレクトリ。

MIDDLEWARE_HOMEEPM_ORACLE_HOMEおよびESSBASE_ORACLE_INSTANCEの詳細は、Oracle Enterprise Performance Management System Installation and Configuration Guideを参照してください。

サーバー・ソフトウェアのファイル・タイプ

表134は、Essbaseサーバー・ファイルのタイプを示しています:

表 134. Essbaseファイル・タイプ

ファイル拡張子

場所

説明

bak

ARBORPATH /bin

セキュリティ・ファイルのバックアップ

bnd

ESSBASEPATH /bin

DB2データベースを使用したSQLインタフェース・インストール用のMicrosoft ODBCファイル

cfg

ARBORPATH /bin

Essbaseサーバーの構成ファイル

cnt

ESSBASEPATH /bin

オンライン・ヘルプ目次ファイル

cpl

ESSBASEPATH /bin

Windowsプラットフォーム用のMicrosoft ODBCドライバ

dll

ESSBASEPATH /bin

Microsoft Windowsダイナミック・リンク・ライブラリ

eqd

ESSBASEPATH /bin

クエリー・デザイナ・ファイル

exe

ESSBASEPATH /bin

実行可能ファイル

hlp

ESSBASEPATH /bin

オンライン・ヘルプ・ファイル

lck

ESSBASEPATH /bin

ロック・ファイル

lic

ESSBASEPATH /bin

ODBCのライセンス情報ファイル

pl

ESSBASEPATH /bin

サンプルPerlスクリプト

pm

ESSBASEPATH /bin

Perlモジュール

mdb

ESSBASEPATH /bin

メッセージ・データベース・ファイル

sec

ARBORPATH /bin

セキュリティ・ファイル

sl

ESSBASEPATH /bin

HP-UX共有ライブラリ・ファイル

so

ESSBASEPATH /bin

Solaris共有ライブラリ・ファイル

アプリケーションおよびデータベースのファイル・タイプ

表135は、Essbaseでアプリケーション、データベースおよびそれに関連するアーティファクトを保管するために使用するファイル・タイプを示しています。

表 135. アプリケーションおよびデータベース用のEssbaseファイル・タイプ

ファイル拡張子

説明

alg

スプレッドシート監査履歴情報

apb

アプリケーション・ファイルのバックアップ

app

アプリケーション・ファイル(アプリケーションの名前、場所およびその他の設定を定義)

arc

アーカイブ・ファイル

atx

スプレッドシート監査トランザクション

chg

アウトライン同期変更ファイル

csc

Essbase計算スクリプト

db

データベース・ファイル(データベースの名前、場所およびその他の設定を定義)

dbb

データベース・ファイルのバックアップ

ddb

パーティション定義ファイル

ddm

一時パーティション・ファイル

ddn

一時パーティション・ファイル

esm

データ・ブロックへのポインタを管理するとともに、データベース・リカバリに使用される制御情報が含まれているEssbaseカーネル・ファイル

esr

一時データベース・ルート・ファイル

esn

一時的なEssbaseカーネル・ファイル

ind

Essbaseインデックス・ファイル

inn

一時的なEssbaseインデックス・ファイル

log

サーバー・ログまたはアプリケーション・ログ

lro

データ・セルにリンクされたLROファイル

lst

バックアップ対象ファイルのカスケード目次またはリスト

mxl

MaxLスクリプト・ファイル(Administration Servicesで保存される)

ocl

データベース変更ログ

ocn

増分再構築ファイル

oco

増分再構築ファイル

olb

アウトライン変更ログのバックアップ

olg

アウトライン変更ログ

otl

Essbaseアウトライン・ファイル

otm

一時的なEssbaseアウトライン・ファイル

otn

一時的なEssbaseアウトライン・ファイル

oto

一時的なEssbaseアウトライン・ファイル

pag

Essbaseデータベース・データ(ページ)ファイル

pan

一時的なEssbaseデータベース・データ(ページ)ファイル

rep

Essbaseレポート・スクリプト

rul

Essbaseルール・ファイル

scr

Essbase ESSCMDスクリプト

sel

保存メンバー選択ファイル

tct

データのすべてのコミットを管理するとともに、すべてのトランザクションに従い、それを保持するEssbaseデータベース・トランザクション制御ファイル

tcu

一時データベース・トランザクション制御ファイル

trg

トリガー定義ファイル。Extensible Markup Language (XML)フォーマット

txt

テキスト・ファイル(ロードするデータ・ファイルや、LROとしてリンクするテキスト・ドキュメントなど)

xcp

例外エラー・ログ

xls

Microsoft Excelファイル

APIファイルのタイプ

表136は、ESSBASEPATH/apiサブディレクトリに保管されるEssbaseファイルのタイプを示しています:

表 136. apiディレクトリ内のEssbaseファイル・タイプ

ファイル拡張子

説明

a

UNIXスタティック・ライブラリ・ファイル

bas

Microsoft Visual Basicプログラムのソース・ファイル(Essbase APIのヘッダー定義を含む)

h

CまたはC++のヘッダー・ファイル(Essbase APIのヘッダー定義を含む)

lib

CまたはC++のプログラム・ライブラリ

np

名前付きパイプ・ネットワーク・ライブラリ

tcp

TCP/IPネットワーク・ライブラリ

Essbaseアプリケーション、データベースおよびデータベース・アーティファクトの説明については、アプリケーションおよびデータベースの理解およびデータベース・アーティファクトの理解を参照してください。

データベースのバックアップおよびリカバリのための戦略

定期的なEssbaseバックアップ(本番環境サーバーのメンテナンスに統合される必要があります)は、データベースのメンテナンスにとって重要です。バックアップの頻度は、データベースおよびサーバー環境の非持久性や、迅速なデータベース復元(サーバーの中断が発生した場合)の必要性によって決定される必要があります。

ブロック・ストレージ・データベースをバックアップおよび復元するには、次のいずれかの方法を使用できます:

  • 自動化されたデータベース・バックアップおよび復元と、トランザクションのロギングおよび再生

    バックアップおよび復元は、手動によるデータベースのバックアップおよび復元と等価な機能を提供します。バックアップされたデータベースが復元されるとき、バックアップ手順の後に発生したトランザクションはリカバリされません。ただし、トランザクションのロギングおよび再生を使用すると、バックアップの後のトランザクションが取得されるため、それらのトランザクションを再生できます。そのため、バックアップされたデータベースを、中断が発生した前の最も最近の状態にリカバリできます。

    データベース・バックアップおよび復元と、トランザクションのロギングおよび再生機能を使用すると、手動による様々な手順が不要になるため、管理者はデータベースをより効率的にバックアップおよびリカバリできるようになります。これらの機能をバックアップおよびリカバリ戦略に組み込むことをお薦めします。

  • 手動によるバックアップおよび復元

    手動による手順を使用したバックアップおよび復元戦略を設計済で、トランザクションのロギングおよび再生の機能を必要としないEssbaseの顧客は、引き続き手動の戦略を使用できます。

集約ストレージ・アプリケーションをバックアップおよび復元するには、手動による手順を使用する必要があります。

『Oracle Hyperion Enterprise Performance Management Systemバックアップおよびリカバリ・ガイド』を参照してください。

ファイル・システムを使用したアプリケーションとデータベースの管理(バックアップ時)

プラットフォームのファイル・システムを使用して、アプリケーションおよびデータベースのコピー、移動、名前変更または削除はできません。アプリケーションまたはデータベースがファイル・システムを使用して変更されると、Essbaseセキュリティ・ファイルではその変更を認識できません。この状況によって、ハード・ドライブ上に実際に存在するアプリケーションまたはデータベースと、Essbase上で存在するアプリケーションまたはデータベースの間に不一致が生まれます。

注意

essn.indessn.pagdbname.inddbname.esmdbname.tctのファイルを移動、コピー、変更または削除しないでください。これらの操作を行うと、データが破損する場合があります。

次のアプリケーションおよびデータベース・ファイルは、ファイル・システムを使用して正常に管理できます:

  • 次元構築およびデータ・ロードのルール・ファイル(.rul)

  • データ・ロードまたは次元構築ファイル

  • 計算スクリプト(.csc)

  • レポート・スクリプト(.rep)

  • MaxLスクリプト(.mxlまたは任意の拡張子)

  アウトライン・ファイル(.otl)をコピーまたは移動するには、Administration Servicesを使用する必要があります。『Oracle Essbase Administration Servicesオンライン・ヘルプ』の「アウトラインのコピー」を参照してください。

アプリケーションおよびデータベースの管理にファイル・システムを使用するのは、アプリケーションまたはデータベースのディレクトリ全体をコピーして別の場所に保管する、バックアップ中の期間のみにしてください。『Oracle Hyperion Enterprise Performance Management Systemバックアップおよびリカバリ・ガイド』を参照してください。

アプリケーションの監視

ロードされている各アプリケーションは、オペレーティング・システムのオープンなタスクまたはプロセスです。Windowsプラットフォームでは、アプリケーションはコマンドライン・ウィンドウに表示されます。UNIXプラットフォームでは、アプリケーション・サーバーはESSBASEの子プロセスになります。アプリケーションが開始されると、ESSBASEによってesssvrプロセスが開始されます。アプリケーションの開始を参照してください。

Windowsプラットフォームでは、アプリケーションが開始されると、タスクバーに新しいアイコンが表示されます。サーバー・ウィンドウを表示するには、そのアイコンをダブルクリックします。

Essbaseサーバーでは、アプリケーションレベルのアクティビティがアプリケーション・ログに記録されます。Essbaseログの使用を参照してください。

  発生したアプリケーション・アクティビティを表示するには、次のツールを使用します:

ツール

指示

Windowsプラットフォームでは、アプリケーション・プロセス・ウィンドウを使用します

アプリケーションの名前が表示されたコマンドライン・ウィンドウを選択します。

UNIX

                        tail -f 
                        logfile
                     

Essbaseを使用したアプリケーションおよびデータベースの管理

この項では、アプリケーションとデータベースの管理について説明します。

アプリケーションとデータベースの表示

管理サービス・コンソールを開始すると、ナビゲーション・パネルにエンタープライズ・ビュー・ツリーが表示されます。エンタープライズ・ビューは、Essbase環境のグラフィカルなツリー・ビューです。ここには、選択した管理サーバーとEssbaseサーバーが表示されます。Essbase環境の実際のビューが、他の管理者のビューとは異なる可能性があります。

アプリケーションとデータベースおよびそれに関連付けられたアーティファクトが、「Essbaseサーバー」ノードの下のノードとして表示されます。アーティファクトは、コンテナ・ノードにグループ化されます。たとえば、個々のアプリケーションは「アプリケーション」ノードに含まれ、データベースは「データベース」コンテナ・ノードに含まれています。Essbaseサーバーにサンプル・アプリケーションおよびデータベースがインストールされている場合は、組織のアプリケーションおよびデータベースとともにエンタープライズ・ビューに表示されます。

Oracle Essbase Administration Services Online Helpの「エンタープライズ・ビューについて」を参照してください。

  アプリケーションを作成するには、『Oracle Essbase Administration Servicesオンライン・ヘルプ』の「アプリケーションの作成」を参照してください。

アプリケーションのコピーまたは移行

アプリケーションは、適切なアクセス権がある任意のEssbaseサーバーにコピーできます。アプリケーション全体を別のEssbaseサーバーにコピー(移行)するか、または同じEssbaseサーバー上のアプリケーションをコピーできます。たとえば、アプリケーション全体を開発サーバーから本番環境サーバーに移行することが必要な場合があります。あるいは、テストまたはバックアップの目的で、同じサーバー上のアプリケーションをコピーすることが必要になる場合もあります。

Essbaseでは、同じEssbaseサーバーまたは別のEssbaseサーバーのどちらにコピーするかに応じて、アプリケーションを異なる方法でコピーします。アプリケーションを移行する場合は、計算スクリプト、レポート・スクリプト、ルール・ファイル、カスタム定義のマクロおよび関数、代替変数、フィルタなどの、移行するアーティファクトを選択できます。また、ユーザーおよびグループ・セキュリティの移行方法を指定できます。

Administration Servicesには、アプリケーションの移行に役立つ移行ウィザードが用意されています。Oracle Essbase Administration Services Online Helpの「移行ウィザード」を参照してください。

  アプリケーションをコピーするには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

アプリケーションのコピー

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

create application as

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

COPYAPP

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

アプリケーション名の変更

アプリケーションの名前を変更すると、そのアプリケーションとそれに関連付けられたディレクトリ(ARBORPATH/app/appname)の名前が変更されます。そのアプリケーションと同じ名前を持つアプリケーション内のすべてのアーティファクト(たとえば、データベースや計算スクリプト)は、名前が変更されません。アプリケーションの名前を変更する前に、アプリケーションとデータベースの命名規則を参照してください。

  アプリケーションの名前を変更するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

アプリケーション名の変更

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

alter application

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

RENAMEAPP

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

アプリケーションの削除

アプリケーションを削除すると、そのアプリケーション内のすべてのアーティファクトも削除されます。ARBORPATH/app/appnameディレクトリと、そのディレクトリ内のすべてのファイルが削除されます。

  アプリケーションを削除するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

アプリケーションの削除

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

drop application

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

DELETEAPP

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

データベースのコピー

アプリケーション内のデータベースは、適切なアクセス権がある任意のEssbaseサーバーおよびアプリケーションにコピーできます。データベース全体を別のEssbaseサーバーにコピー(移行)するか、または同じEssbaseサーバー上のデータベースをコピーできます。たとえば、データベース全体を開発サーバーから本番環境サーバーに移行することが必要な場合があります。あるいは、テストまたはバックアップの目的で、同じサーバー上のデータベースをコピーすることが必要になる場合もあります。Essbaseは、同じEssbaseサーバーまたは別のEssbaseサーバーのどちらにコピーするかに応じて、データベースを異なる方法でコピーします。Oracle Essbase Administration Services Online Helpの「データベースのコピー」を参照してください。

Administration Servicesには、アプリケーションおよびデータベースの移行に役立つ移行ウィザードが用意されています。Oracle Essbase Administration Services Online Helpの「移行ウィザード」を参照してください。

データベースをコピーすると、データ・ファイル(.pagおよび.ind)を除く、そのデータベースに関連付けられたすべてのファイルが宛先アプリケーションにコピーされます。コピーする前に、データベースおよび関連するファイルの完全なコピーを保管するための十分なディスク・スペースがあることを確認してください。

  データベースをコピーするには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

データベースのコピー

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

create database as

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

COPYDB

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

注:

Essbaseでは、非UnicodeデータベースをUnicodeアプリケーションにコピーできます。ただし、Unicodeデータベースの非Unicodeアプリケーションへのコピーは許可されていません。

集約ストレージ・アプリケーションをコピーする前に、すべての増分データ・スライスをメイン・データベース・スライスにマージする必要があります。マージされていない増分データ・スライスのデータはコピーされません。増分データ・スライスのマージを参照してください。

データベース名の変更

データベースの名前を変更すると、そのデータベースとそれに関連付けられたディレクトリ(ARBORPATH/app/appname/dbname)およびアウトライン・ファイル(.otl)の名前が変更されます。そのデータベースと同じ名前を持つデータベース内の他のすべてのアーティファクト(たとえば、計算スクリプト)は、名前が変更されません。

  データベースの名前を変更するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

データベース名の変更

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

alter database

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

RENAMEDB

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

データベースの削除

データベースを削除すると、そのデータベース内のすべてのアーティファクトも削除されます。ARBORPATH/app/appname/dbnameディレクトリと、そのディレクトリ内にあるすべてのファイルが削除されます。

  データベースを削除するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

データベースの削除

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

drop database

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

DELETEDB

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

Essbaseを使用したアーティファクトの管理

この項では、アウトライン、計算スクリプト、レポート・スクリプト、ルール・ファイル、データ・ソースなどのアーティファクトのコピー、名前変更および削除について説明します。データベース・アーティファクトの理解を参照してください。

注意

アプリケーションの管理にファイル・システムを使用するのは、アプリケーションまたはデータベースのディレクトリ全体をコピーして別の場所に保管する、バックアップ中の期間のみにしてください。

アーティファクトのコピー

アウトラインを除く任意のデータベース・アーティファクトを、別のアプリケーション、データベース、サーバーまたはクライアントの場所にコピーできます。アウトラインをコピーする手順については、アウトラインの作成および編集を参照してください。

  アーティファクトをコピーするには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

特定のアーティファクトのコピーに関する項目(「ルール・ファイルのコピー」など)

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

alter object

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

COPYOBJECT

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

アーティファクトの名前変更

アウトラインを除く、任意のアーティファクトの名前を変更できます。アウトラインの名前は常にデータベースと同じであるため、アウトラインの名前を変更するには、データベースの名前を変更する必要があります。

  アーティファクトの名前を変更するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

特定のアーティファクトの名前変更に関する項目(「ルール・ファイルの名前変更」など)

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

alter object

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

RENAMEOBJECT

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

アーティファクトの削除

アウトラインを除く、任意のアーティファクトを削除できます。アウトラインはデータベースの必須の要素であるため、アウトラインを削除するには、データベースを削除する必要があります。

  アーティファクトを削除するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

特定のアーティファクトの削除に関する項目(ルール・ファイルの削除に関する項など)

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

drop object

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

アーティファクトを削除するためのDELETEコマンド

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

アーティファクトのロックおよびロック解除

Essbaseでは、データベース・アーティファクトのチェックアウト機能を使用して、アーティファクトが一度に1人のユーザーによってのみ変更されることを保証します。この項では、アウトラインを除くアーティファクトのロックおよびロック解除を行う方法について説明します。アウトラインのロックおよびロック解除を参照してください。

注:

アーティファクトのロックは、データ・ブロックのロックとは異なります。Essbaseカーネルでは、データ・ブロックのロックは処理されますが、アーティファクトのロックは処理されません。データ・ロックを参照してください。

デフォルトでは、データベース・アーティファクトを開くと常に、Essbaseからそのアーティファクトをロックするよう求められます。このデフォルトの動作を、一部のアーティファクトに対して変更できます。『Oracle Essbase Administration Servicesオンライン・ヘルプ』の「Oracle Essbase Administration Services Online Helpのデフォルトのオプションの設定」を参照してください。

アーティファクトがロックされていると、他のユーザーによるそのアーティファクトの上書き、名前変更または削除はEssbaseによって許可されません。ロックされたアーティファクトを開いて編集することは可能ですが、既存のアーティファクトを上書きすることはできません。ロックされたアーティファクトに加えた変更を保存するには、変更されたアーティファクトを別の場所に保存します。ロックされたアーティファクトの実行およびコピーは可能です。

アーティファクトのロック解除

権限に応じて、アーティファクトのロックを解除できます。Administration Servicesでは、Essbaseサーバー、アプリケーションまたはデータベースのすべてのアーティファクト・ロックを表示できます。

  アーティファクトのロックを解除するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

オブジェクトのロックおよびロック解除

Oracle Essbase Administration Services Online Help

MaxL

alter object

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

ESSCMD

UNLOCKOBJECT

『Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス』

Administration Servicesを使用したアプリケーションの移行

Administration Servicesを使用すると、プラットフォームには関係なく、適切なアクセス権がある任意のEssbaseサーバーにアプリケーションを移行できます。たとえば、アプリケーションを開発サーバーから本番環境サーバーに移行することが必要な場合があります。アプリケーションを移行する場合は、計算スクリプト、レポート・スクリプト、ルール・ファイル、カスタム定義のマクロおよび関数、代替変数、フィルタなどの、移行するアーティファクトを選択できます。また、ユーザーおよびグループ・セキュリティの移行方法を指定できます。

  アプリケーションを移行するには、『Oracle Essbase Administration Servicesオンライン・ヘルプ』の「アプリケーションのコピー」を参照してください。

プラットフォーム間でのアプリケーションの移植

Essbaseは、WindowsやUNIXを含む、複数のプラットフォーム上で動作します。サポートされているプラットフォームのリストについては、Oracle Hyperion Enterprise Performance Management System動作保証マトリックス(http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/files/fusion_certification.html)を参照してください。

アプリケーションを作成した後、そのアプリケーションを別のオペレーティング・システムを実行しているサーバーに移植することが必要になる場合があります。この項では、アプリケーションを別のEssbaseコンピュータに移植する方法について説明します。

サーバー間でのEssbaseアプリケーションの移植には、次の手順が必要になります:

互換性のあるファイルの特定

別のオペレーティング・システムを使用するサーバーにEssbaseアプリケーションを移植している場合は、新しいオペレーティング・システムと互換性のあるEssbaseファイルを特定する必要があります。

次のタイプのファイルは、オペレーティング・システム間で互換性があります:

  • テキスト・ファイル。Essbaseのテキスト・ファイルは、計算スクリプト(.csc)とレポート・スクリプト(.rep)、およびユーザーが開発した任意のMaxLまたはESSCMDスクリプトです。また、データ・ファイルもテキスト・ファイルである場合があります。

  • ルール・ファイル。これらのファイルはバイナリ・ファイルですが、オペレーティング・システム間で互換性があります。ルール・ファイルの拡張子は.rulです。

  • アウトライン・ファイル。これらのファイルはバイナリ・ファイルですが、オペレーティング・システム間で互換性があります。アウトライン・ファイルの拡張子は.otlです。

次のタイプのファイルは、オペレーティング・システム間で互換性がありません。したがって、新しいサーバー上で再定義または再ロードする必要があります:

  • データベース・ファイル(拡張子は.dbおよび.dbb)

  • データ・ファイル(拡張子は.pag)

  • インデックス・ファイル(拡張子は.ind)

  • セキュリティ・ファイル(拡張子は.sec)

  • アプリケーション・ファイル(拡張子は.appおよび.apb)

  • Essbaseカーネル・ファイル(拡張子は.esm)

注:

リンク・レポート・オブジェクト機能を使用している場合は、新しいサーバー上のファイルまたはセル・ノートをすべて再リンクする必要があります。LROの使用方法の詳細は、Essbaseデータへのオブジェクトのリンク。を参照してください。

ファイル名のチェック

ファイルをUNIXシステムに転送する場合は、ファイル名の大文字と小文字の区別に注意してください。UNIXは大文字と小文字が区別されるオペレーティング・システムであるため、ファイルは、ファイル名の大文字と小文字が一致している場合にのみ認識されます。たとえば、特定のMaxLおよびESSCMD操作ではファイル名を指定する必要があり、ファイル名の大文字と小文字を正しく入力する必要があります。

Essbaseのシステム・ファイルは、UNIXシステム上で次の命名ルールを使用します:

  • 実行可能ファイルには拡張子は付加されず、ファイル名はすべて大文字です(ESSBASEESSCMDなど)。

  • スタティック・ライブラリの拡張子は.aであり、ファイル名はすべて小文字です(libessnet.aなど)。

  • 共有ライブラリ・ファイルの拡張子は、HP-UX上では.sl、Solaris上では.so、AIX上では.aです。これらのファイル名はすべて小文字です(libesscur.slなど)。

  • セキュリティ・ファイルの拡張子は.secであり、ファイル名はすべて小文字です(essbase.secなど)。

  • メッセージ・データベース・ファイルの拡張子は.mdbであり、ファイル名はすべて小文字です(essbase.mdbなど)。

  • オンライン・ヘルプ・ファイルの拡張子は.hlpであり、ファイル名はすべて小文字です(esscmd.hlpなど)。

UNIXシステムでは、Essbaseファイルの大文字と小文字が正しく設定されます。最初の文字が大文字であり、残りの文字は小文字です。表137は、各種のファイル・タイプに対する名前の例を示しています:

表 137. UNIXにおけるファイルの名前付けの例

ファイル・タイプ

データベース・ファイル

Mydb.db

データ・ファイル

Mydb.pag

インデックス・ファイル

Mydb.ind

アウトライン・ファイル

Mydb.otl

ルール・ファイル

Atlanta.rul

ロード元のデータ・ファイル

Atlanta.txt

計算スクリプト

Mycalc.csc

レポート・スクリプト

Myrepo.rep

アーカイブ・ファイル

Mydb.arc

アプリケーション・ログ

Myapp.log

注:

アプリケーション名は、上のルールの例外です。アプリケーション名は、小文字にできます。

表138は、UNIX上システムで有効なファイル名と無効なファイル名のいくつかの例を示しています:

表 138. UNIX上で有効なファイル名と無効なファイル名

有効なファイル名

無効なファイル名

Model.csc

MODEL.CSC

Monthly.rep

Monthly.Rep

Forecast.otl

forecast.otl

Actuals.rul

AcTuAlS.rUl

My_File.txt

My_File.Txt

注:

Essbaseでは、アプリケーション、データベース、計算スクリプト、レポート、その他のデータベース・ファイルに長いファイル名は許可されません。アーティファクトに対して作成するファイル名はすべて、Windows 8.3の規則に従う必要があります。

互換性のあるファイルの転送

2つのサーバーが接続されている場合は、新しいサーバー上にアプリケーションおよびデータベース・ディレクトリを作成し、FTP (File Transfer Protocol)またはAdministration Servicesのどちらかを使用して互換性のあるアプリケーション・ファイルを転送できます。これらのサーバーが接続されていない場合は、データベースを再ロードする前に、新しいサーバー上でサーバー情報を再定義する必要があります。

FTPを使用したファイルの転送

FTPを使用すると、オペレーティング・システム間で直接ファイルを転送できます。オペレーティング・システム間で互換性のあるファイルのみを転送する必要があり、またバイナリ・モードでファイルを転送する必要があります。

UNIXサーバー上でファイルの大文字と小文字が間違っていると、Administration Servicesはそれらのファイルを認識できますが、開くことはできません。FTPを使用してファイルを転送した後、サーバー上でそれらのファイルの名前を変更して、ファイルの大文字と小文字が正しく設定されるようにします。または、ファイルの転送時に、FTPを使用してファイルの名前を変更できます。例:

      ftp>put oldfile Newfile 
   

Administration Servicesを使用したファイルの転送

Administration Servicesを使用すると、次の方法でファイルをクライアント・コンピュータからサーバーに転送できます:

  • アプリケーションの移行の一部として。Oracle Essbase Administration Services Online Helpの「移行ウィザード」を参照してください。

  • データベースの移行の一部として。Oracle Essbase Administration Services Online Helpの「データベースのコピー」を参照してください。

  • アーチファクトを一度に1つずつ。たとえば、Oracle Essbase Administration Services Online Helpの「ルール・ファイルのコピー」などがあります。

サーバー情報の再定義

移植先のサーバーが元のサーバーに接続されていない場合は、新しいサーバー上でサーバー情報を再定義する必要があります。

  サーバー情報を再定義するには:

  1. ユーザーを作成して各ユーザーの権限を指定するには、新しいサーバー上でAdministration Servicesを使用します。

    Essbaseネイティブ・セキュリティ・モードでのユーザーおよびグループへの権限の付与を参照してください。

  2. 移植対象のアプリケーションおよびデータベースを作成するには、新しいサーバー上でAdministration Servicesを使用します。

    アプリケーションとデータベースの作成。を参照してください。

  3. 移植対象のデータベースのアウトライン・ファイル(.otl)を、元のサーバーから新しいサーバー上の同じディレクトリの場所にコピーします。これらのファイルのコピー中にアプリケーションが実行されていないことを確認してください。

    アウトラインの作成および編集を参照してください。

  4. 互換性のあるファイルを、元のサーバーから新しいサーバーにコピーします。

    互換性のあるファイルの特定を参照してください。

  5. データベースを再ロードします。

    データベースの再ロードを参照してください。

データベースの再ロード

サーバー間でアプリケーションまたはデータベースをコピーする際、.db.pag.esm.indなどのデータベース・ファイルは含まれず、オペレーティング・システム間で互換性がありません。サーバー間でアプリケーションやデータベースをコピーする場合、または別のオペレーティング・システム上のサーバーにアプリケーションを移植する場合は、データ・ファイルおよびルール・ファイル(該当する場合)のデータを再ロードすることによってデータベースを設定しなおす必要があります。再ロードの1つの方法として、データをテキスト・ファイルにエクスポートし、そのテキスト・ファイルを新しいサーバーに転送した後、そのテキスト・ファイルを使用してデータをロードする方法があります。ロードが完了したら、新しいデータベースを計算します。