統合アーカイブのタイプとは、一般的なユースケースを提供するアーカイブ属性の集まりです。統合アーカイブタイプにはクローンと復旧という 2 つのタイプがあります。
クローンアーカイブと復旧用アーカイブは、どちらも archiveadm コマンドによって作成および管理します。このコマンドは、アーカイブに含めるゾーンまたはアーカイブから除外するゾーンの選択肢を提供するほか、ZFS データセットを除外することもできます。
デフォルトでは、アーカイブの作成プロセスで特に除外しないかぎり、選択したゾーンに関連付けられているすべてのデータセットがアーカイブに含まれます。非大域ゾーンの場合、アーカイブにはゾーンブート環境データセットと、それに割り当てられているすべての委任済みデータセットが含まれます。大域ゾーンの場合、ブート環境データセットに加えて、ゾーンに関連付けられていないすべてのデータセットもアーカイブされます。プロセスには、トップダウンプール全体が含まれます。データセットはアーカイブからいくつでも除外できます。詳細は、統合アーカイブの作成を参照してください。
クローンアーカイブは、アーカイブ作成時にアクティブなシステムブート環境 (BE) に基づいています。そのため、アーカイブできる BE は 1 回につき 1 つのみです。クローンアーカイブタイプは、カスタムイメージの迅速な作成と配備を目的としています。大域ゾーンと非大域ゾーンの両方を含むアーカイブを作成できます。各アーカイブシステムのデータは個々に格納されるため、各システムは個別に配備可能になります。独立した配備を実現するため、クローンアーカイブ内にクローン関係は保持されません。そのため、クローンアーカイブ内のクローニング済みゾーンは、クローン対象の元のゾーンとだいたい同じ大きさの領域を占めます。クローンアーカイブはアーカイブのデフォルトのタイプです。
また、クローンアーカイブには OS インスタンスのシステム構成情報や、SSH 鍵やパスワードなどの機密データは含まれません。クローンアーカイブから配備されるシステムには、クローニング済みシステムのすべてのファイルシステムとアプリケーションが含まれますが、ホスト名などは同じにはなりません。システム構成情報と機密データは、復旧用アーカイブにのみ保持されます。
アーカイブの作成中、一部の内容は、パッケージ戻しタグを使用して、初期状態に戻されます。クローンアーカイブの作成時には、system:dev-init および system:clone revert タグが使用されます。効果は、デバイス構成がクリアされるというものです。クローンアーカイブはログファイルの内容のようなインスタンス固有の情報を含み、一部の構成ファイルはその初期状態に戻されます。
復旧用アーカイブは、含まれているすべてのインスタンスのすべてのブート環境があるシステム全体のアーカイブです。復旧用アーカイブは、そのシステムを構成する OS インスタンスに関係なく、単一の配備可能なシステムで構成されます。大域ゾーンの復旧用アーカイブに、そのゾーンにインストールされた非大域ゾーンが含まれることがありますが、アーカイブ自体は単一のシステムとして扱われます。そのため、クローンアーカイブとは異なり、復旧用アーカイブにはゾーンのクローン関係を保持できます。
復旧用アーカイブ内の非アクティブなブート環境は、ブート可能でない場合があります。アクティブなブート環境とは、準備が完全に整った環境のみです。一部の非アクティブ BE にはブート可能なものもありますが、これらは主にデータ復旧用にアーカイブされています。復旧用アーカイブには配備可能なシステムが 1 つ含まれています。このシステムには、大域ゾーン、非大域ゾーン、または 1 つ以上の非大域ゾーンを持つ大域ゾーンが含まれる場合があります。
復旧用アーカイブは復旧操作に使用することを目的としており、ハードウェア障害が発生した場合に必要になる可能性があります。これらのアーカイブは、より包括的な障害時リカバリソリューションの一部として配備するのが理想的です。復旧用アーカイブは、レガシーハードウェアから新しいハードウェアまたは仮想システムへのシステム移行に使用されることもあります。アーカイブは、特定の命令セットアーキテクチャー (ISA) でサポートされているすべてのプラットフォームモデル間で移植できます。
アーカイブの作成中、一部の内容は、パッケージ戻しタグを使用して、初期状態に戻されます。回復用のアーカイブの作成時には、system:dev-init 戻しタグが使用されます。このタグはデバイス構成情報をクリアします。