Oracle® VM Server for SPARC 3.3 リリースノート

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更新: 2015 年 10 月
 
 

移行の問題

断片化されたメモリーを含む SPARC T7 シリーズサーバー間でドメインを移行すると ldmd がクラッシュすることがある

バグ ID 21554591: ライブ移行中に、ターゲットマシン上の ldmd サービスがコアダンプし、再起動することがあります。

この問題は、移行元ドメイン上のメモリーが複数のメモリーセグメントに著しく断片化されており、ターゲットマシンの空きメモリーのレイアウトに互換性がない場合に発生することがあります。この問題は、ライブ移行の前にメモリー DR を使用してドメインからメモリーを削除すると発生する可能性が高くなります。

コアダンプのスタックトレースは次のようになります。

restore_lgpg_mblk+0x398(17bbc88, 16c39c8, 80000000, 80000000, 0, 40000000)
rgrp_restore_lgpg+0x39c(0, 0, 1733948, 1711598, 0, 20000000)
mem_allocate_real+0x92c(0, 20000000, ffbff868, 13aec88, 80808080, 373cd8)
affinity_bind_resources+0x9f4(17bbc88, ffbff948, 13aec88, 3a10c000, 3a10c000, 1010101)
mem_bind_real+0x468(17bbc88, ffbff9d4, 13aec88, 3a10c000, 3a10c000, 1010101)
mem_bind_real_check+0xf4(17bbc88, 12ee338, 13aec88, 0, 376468, ff29fd80)
mig_tgt_bound_feasibility_check+0x168(164be08, ff000000, ff, 1, 0, 0)
i_tgt_do_feasibility_check+0x168(164be08, 0, 12390, 1, f960d244, ffffff)
sequence+0x4a4(0, ff000000, ff322a40, 1, f960d244, ffffff)
main+0xb54(5, ffbffc64, ffbffc7c, f960a900, 0, ff320200)
_start+0x108(0, 0, 0, 0, 0, 370b60)

この問題が発生しても、ゲストドメインは引き続き動作します。ldmd サービスが正常に再起動する場合、それ以上の回復は必要ありません。

バグ 21569507 のために ldmd サービスが再起動に失敗して保守モードになる場合、ldmd を再起動するには、ホストまたは該当する物理ドメインの電源再投入を実行する必要があります。

回避方法: ゲストドメインを停止し、バインド解除してから、コールド移行を実行します。移行元ゲストドメインからのメモリー削除にメモリー DR を使用しないでください。

カーネルゾーンによってゲストドメインのライブ移行がブロックされる

バグ ID 21289174: SPARC システムにおいて、Oracle VM Server for SPARC ドメイン内で実行中のカーネルゾーンによってゲストドメインのライブ移行がブロックされます。次のエラーメッセージが表示されます。

Guest suspension failed because Kernel Zones are active.
Stop Kernel Zones and retry.

回避方法: 次のいずれかを選択してください。

SPARC T7 シリーズサーバーおよび SPARC M7 シリーズサーバーと古いプラットフォームの間で CPU 間のライブ移行を実行するには、ソースマシンとターゲットマシン上に Oracle VM Server for SPARC 3.2 以上のソフトウェアが必要である

バグ ID 20606773: SPARC T7 シリーズサーバーまたは SPARC M7 シリーズサーバーと古いプラットフォームの間で CPU 間のライブ移行を実行するには、ソースマシンとターゲットマシン上で Oracle VM Server for SPARC 3.2 以上のソフトウェアを実行する必要があります。

たとえば、SPARC T5 システムと SPARC T7 シリーズサーバーの間でライブ移行を実行するには、SPARC T5 システムに Oracle VM Server for SPARC 3.2 以上のソフトウェアをインストールしておく必要があります。

ターゲットシステムで有効なレイアウトの十分なメモリーが利用可能な場合でも、ドメインの移行が失敗することがある

バグ ID 20453206: ターゲットシステムで有効なレイアウトの十分なメモリーが利用可能な場合でも、移行操作が失敗することがあります。メモリー DR 操作がゲストドメインの移行をさらに難しくする可能性があります。

回避方法: ありません。

仮想 CPU が 1 つしか割り当てられていない Oracle Solaris 10 ゲストドメインで、ライブ移行中にパニックが発生することがある

バグ ID 17285751: 仮想 CPU が 1 つしか割り当てられていない Oracle Solaris 10 ゲストドメインを移行すると、そのゲストドメインの関数 pg_cmt_cpu_fini() でパニックが発生することがあります。

回避方法: ライブ移行を実行する前に、少なくとも 2 つの仮想 CPU をゲストドメインに割り当てます。たとえば、ldm add-vcpu number-of-virtual-CPUs domain-name コマンドを使用して、ゲストドメインに割り当てられている仮想 CPU の数を増やします。

システムファームウェア 8.3 が実行されている SPARC T4 システムから SPARC T5、SPARC M5、または SPARC M6 システムへのドメインの移行が誤って許可されている

バグ ID 17027275: システムファームウェア 8.3 を実行している SPARC T4 システムから SPARC T5、SPARC M5、または SPARC M6 システムへのドメイン移行は許可されていません。移行は成功しますが、そのあとのメモリー DR 操作によってパニックが発生します。

回避方法: SPARC T4 システム上のシステムファームウェアをバージョン 8.4 に更新します。lgrp_lineage_add(mutex_enter: bad mutex, lp=10351178) 時にゲストドメインがパニックになるの回避方法を参照してください。

SPARC T5、SPARC M5、または SPARC M6 システムから UltraSPARC T2 または SPARC T3 システムへの CPU 間の移行を実行中に ldm migrate -n が失敗する

バグ ID 16864417: SPARC T5、SPARC M5、または SPARC M6 マシンと UltraSPARC T2 または SPARC T3 マシンの間で移行を試みたときに、ldm migrate -n コマンドが失敗を報告しません。

回避方法: ありません。

ターゲットの制御ドメインでの ldm list -o status が不正な移行の進行状況を報告する

バグ ID 15819714: ldm list -o status コマンドが、制御ドメイン上の移行のステータスの監視に使用しているときに、不正な完了率を報告することがまれにあります。

この問題は、移行中のドメインや、ソースまたはターゲット制御ドメイン上の ldmd デーモンには影響を及ぼしません。

回避方法: 移行に関連するその他の制御ドメインで ldm list -o status コマンドを実行して、進行状況を監視します。

SPARC T4 システムへの移行時、cputrack コマンドの実行中にゲストドメインでパニックが発生する

バグ ID 15776123: ゲストドメインを SPARC T4 システムに移行中にそのドメインで cputrack コマンドが実行されている場合、移行が完了したあと、ターゲットマシン上のゲストドメインでパニックが発生することがあります。

回避方法: SPARC T4 システムへのゲストドメインの移行中に cputrack コマンドを実行しないでください。

CPU 間の移行を使用するゲストドメインが、移行の完了後、ランダムな稼働時間を報告する

バグ ID 15775055: CPU 周波数が異なる 2 台のマシン間でドメインが移行されたあと、ldm list コマンドによる稼働時間レポートが正しくないことがあります。これらの正しくない結果は、稼働時間が、そのドメインが実行されているマシンの STICK 周波数に基づいて計算されるために発生します。ソースマシンとターゲットマシンの間で STICK 周波数が異なる場合は、稼働時間が間違ってスケーリングされて表示されます。

この問題は、UltraSPARC T2、UltraSPARC T2 Plus、および SPARC T3 システムのみに当てはまります。

ゲストドメイン自体によって報告および表示される稼働時間は正確です。また、ゲストドメイン内の Oracle Solaris OS によって実行されるアカウンティングもすべて正確です。

ハイブリッド I/O および仮想 I/O の仮想ネットワークデバイスを持つゲストドメインの移行時に、nxge パニックが発生する

バグ ID 15710957: ハイブリッド I/O 構成が含まれた高負荷のゲストドメインを移行しようとすると、nxge パニックが発生することがあります。

回避方法: primary ドメイン、およびそのドメインのハイブリッド I/O 構成の一部であるサービスドメイン上で、/etc/system ファイルに次の行を追加します。

set vsw:vsw_hio_max_cleanup_retries = 0x200

ターゲットマシン上の非アクティブなマスタードメインに依存するドメインのライブ移行を行うと ldmd で障害が発生し、セグメント例外が生成される

バグ ID 15701865: ターゲットマシン上の非アクティブなドメインに依存するドメインのライブ移行を試みると、ldmd デーモンで障害が発生してセグメント例外が生成され、ターゲットマシン上のドメインが再起動されます。それでも移行を実行できますが、それはライブ移行ではありません。

    回避方法: ライブ移行を試みる前に、次のいずれかのアクションを実行してください。

  • 移行するドメインからゲスト依存関係を削除します。

  • ターゲットマシン上のマスタードメインを起動します。

ポリシーが削除された場合やポリシーの期限が切れた場合に、移行されたドメインで DRM が仮想 CPU の数をデフォルトに戻すことができない

バグ ID 15701853: DRM ポリシーが有効な間にドメイン移行を実行し、その後、DRM ポリシーの期限が切れた場合、または移行されたドメインから DRM ポリシーが削除された場合、DRM はドメイン上の仮想 CPU の数を元の数に戻すことができません。

回避方法: DRM ポリシーがアクティブな間にドメインを移行し、その後 DRM ポリシーが削除された場合や DRM ポリシーの期限が切れた場合は、仮想 CPU の数をリセットします。ldm set-vcpu コマンドを使用し、ドメイン上の仮想 CPU の数を元の数に設定します。

システムの MAC アドレスが別の MAC アドレスと重複している場合、移行の失敗理由が報告されない

バグ ID 15699763: ドメインに重複する MAC アドレスが含まれている場合、そのドメインを移行できません。通常、この理由によって移行に失敗すると、失敗メッセージには MAC アドレスの重複が示されます。しかし、この失敗メッセージが、MAC アドレスの重複を報告しないことがまれにあります。

# ldm migrate ldg2 system2
Target Password:
Domain Migration of LDom ldg2 failed

回避方法: ターゲットマシンの MAC アドレスが一意であることを確認します。

移行処理を「反対方向」に同時に実行すると、ldm がハングアップすることがある

バグ ID 15696986: 2 つの ldm migrate コマンドを 2 つの同じシステム間で「反対方向」に同時にすると、その 2 つのコマンドがハングアップして完了できなくなることがあります。反対方向の状況は、マシン A からマシン B への移行と、マシン B からマシン A への移行を同時に開始した場合に発生します。

ハングアップは、移行プロセスが –n を使用して予行演習として開始された場合でも発生します。この問題が発生した場合は、ほかの ldm コマンドもすべてハングアップする可能性があります。

回避方法: ありません。

有効なデフォルト DRM ポリシーがあるドメインをマイグレートすると、使用可能な CPU がすべてターゲットドメインに割り当てられる

バグ ID 15655513: アクティブなドメインの移行後、マイグレートしたドメインの CPU 利用率が短時間で劇的に増加することがあります。移行の時点で動的リソース管理 (DRM) ポリシーがドメインに対して有効化されている場合は、Logical Domains Manager によって CPU の追加が開始されることがあります。特に、ポリシーの追加時にプロパティー vcpu-max および attack が指定されていなかった場合は、デフォルト値 unlimited が有効になるため、ターゲットマシンのバインドされていない CPU がすべて、マイグレートされたドメインに追加されます。

回復方法: 回復させる必要はありません。CPU 利用率が、DRM ポリシーで指定された上限を下回ると、Logical Domains Manager によって自動的に CPU が削除されます。

明示的なコンソールグループおよびポートのバインドが移行されない

バグ ID 15527921: 移行中、明示的に割り当てられたコンソールグループおよびポートはすべて無視され、デフォルトのプロパティーを持つコンソールがターゲットドメインに作成されます。このコンソールは、コンソールグループとしてターゲットドメイン名を使用し、制御ドメインの最初の仮想コンソール端末集配信装置 (vcc) デバイスの使用可能ポートを使用して作成されます。デフォルトのグループ名と競合する場合、移行は失敗します。

回復方法: 移行後に明示的なコンソールプロパティーを復元するには、ターゲットドメインのバインドを解除し、ldm set-vcons コマンドを使用して目的のプロパティーを手動で設定します。

ターゲットに使用可能なメモリーが十分にある場合でも、移行でメモリーのバインドに失敗することがある

バグ ID 15523120: 特定の状況では、移行が失敗し、ソースドメインに必要なメモリーをバインドできなかったことが ldmd で報告される場合があります。この状況は、ターゲットマシンで使用可能なメモリーの合計容量がソースドメインで使用されているメモリー容量より多い場合でも発生することがあります。

この障害は、ソースドメインで使用されている特定のメモリー範囲を移行するには、ターゲットでもそれに対応するメモリー範囲が使用可能である必要があるために発生します。ソースのメモリー範囲に対応するメモリー範囲が見つからない場合、移行は続行できません。Oracle VM Server for SPARC 3.3 管理ガイド のメモリーの移行要件を参照してください。

回復方法: この状況が発生した場合は、ターゲットマシンのメモリー使用量を変更すると、ドメインを移行できるようになることがあります。この操作を行うには、ターゲットでバインドされている、またはアクティブな論理ドメインのバインドを解除します。

使用可能なメモリーとその使用状況を確認するには、ldm list-devices -a mem コマンドを使用してください。また、別のドメインへのメモリーの割り当て量を減らす必要があることもあります。

vntsd を再起動しないかぎり、移行したドメインのコンソールに接続できない

バグ ID 15513998: ドメインの移行後、そのドメインのコンソールに接続できない場合があります。

回避方法: コンソールに接続できるようにするには、vntsd SMF サービスを再起動します。

# svcadm restart vntsd

注 - このコマンドは、アクティブなすべてのコンソール接続を切断します。

EFI GPT ディスクラベルのあるシステムと EFI GPT ディスクラベルのないシステムの間でドメインを移行できない

システムファームウェアバージョン 8.4、9.1 および XCP2230 では、EFI GPT ディスクラベルのサポートが導入されました。デフォルトでは、それらのシステムで少なくとも Oracle Solaris 11.1 OS が動作しているときにインストールされる仮想ディスクには EFI GPT ディスクラベルが付いています。このラベルを、古いバージョンのファームウェア (9.0.x、8.3、7.x、XCP2221 など) で読み取ることはできません。この状況により、EFI GPT をサポートしないシステムファームウェアバージョンが実行されているシステムへのライブ移行またはコールド移行は実行できません。この状況ではコールド移行も失敗することに注意してください。これは、前述の制限とは異なります。

    仮想ディスクに EFI GPT ディスクラベルが付いているかどうかを調べるには、raw デバイスに対して devinfo -i コマンドを実行します。次の例は、仮想ディスクに SMI VTOC または EFI GPT ディスクラベルのどちらが付いているかを示しています。

  • SMI VTOC ディスクラベル。仮想ディスクに SMI VTOC が付いている場合は、EFI をサポートしているかどうかに関係なく、ファームウェアへの移行を実行できます。

    この例は、devinfo -i コマンドがデバイス固有の情報を報告しているため、デバイスに VTOC ラベルが付いていることを示しています。

    # devinfo -i /dev/rdsk/c2d0s2
    /dev/rdsk/c2d0s2        0       0       73728   512     2
  • EFI GPT ディスクラベル。仮想ディスクに EFI GPT ディスクラベルが付いている場合は、EFI をサポートしているファームウェアへの移行のみを実行できます。

    この例は、devinfo -i コマンドがエラーを報告しているため、デバイスに EFI GPT ディスクラベルが付いていることを示しています。

    # devinfo -i /dev/rdsk/c1d0s0
    devinfo: /dev/rdsk/c1d0s0: This operation is not supported on EFI
    labeled devices