Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer管理者ガイド 11gリリース1 (11.1.1) E51906-01 |
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この章では、リレーショナル・データ・ソースを使用するOracle Business Intelligence Discovererの管理の概要を説明します。この章の内容は次のとおりです。
リレーショナル・データ・ソースとは、データ値を含む行と列で作成されるテーブルにデータが格納されているデータベースです。リレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)の全体的な構造は、システムの使用方法に応じて何通りもの方法で設定できます。
典型的なRDBMSはオンライン・トランザクション処理(OLTP)用に設計されており、膨大な量のトランザクション・データをできるかぎり効率的な方法で格納することを主な目的としています。OLTPシステム設計における主な目的は、データをRDBMSに格納することです。OLTPシステムには、ビジネスで日常的に使用される情報が含まれています。OLTPシステム用に設計されたRDBMSの情報は、一般的に処理に重点が置かれ、現在のデータであり、変更しやすいという性質を持ちます。
データ・ウェアハウスとは、単に情報を効率的に格納するだけでなく、データ分析を容易にする目的で設計された構造を持つRDBMSのことです。データ・ウェアハウス設計における主な目的は、データをRDBMSから取り出すことです。データ・ウェアハウスの情報は、一般的に目的に重点が置かれ、過去のデータであり、静的であるという性質を持ちます。
Oracle Business Intelligence Discovererは、RDBMSがOLTPシステム用に設計されたのか、データ・ウェアハウスとして設計されたのかにかかわらず、ビジネス・ユーザーにデータ分析機能を提供します。
Oracle Business Intelligence Discoverer Administratorは、Oracle Business Intelligence Discovererのコンポーネントの1つです。
Discoverer Administratorにより、ビジネス・ユーザーはデータ・ソースの複雑な概念から解放されるため、Oracle Business Intelligence Discovererを使用してビジネス上の疑問に迅速かつ的確に対応できます。
Discoverer Administratorのウィザード形式インタフェースでは、次の操作を実行できます。
End User Layer (EUL)の設定とメンテナンス
EULとは、データベースの他のテーブルおよびビューに関する情報(つまりメタデータ)を含む一連のデータベース・テーブルです。詳細は、「End User Layerの概要」を参照してください。
情報に対するアクセス制御
Discovererエンド・ユーザーがワークシートに含める条件および計算の作成
Discoverer Administratorのユーザーは、Discovererマネージャと呼ばれます。
Discoverer Administratorは、ビジネス・インテリジェンス・ツールの集まりであるOracle Business Intelligence Toolsの一部として提供されます。
リレーショナル・データ・ソースを使用する場合は、Discovererシステムを設計および実装する前に、Discovererに関するいくつかの基本的な概念をよく理解しておく必要があります。
これ以降の項では、これらの基本概念について簡単に説明します。
各項の内容は簡単な説明のみですが、マニュアル内の他の章への相互参照が含まれているため詳細を参照できます。
End User Layer (EUL)は、Discovererエンド・ユーザーをデータベースの複雑性と物理構造から解放します。EULでは、各Discovererエンド・ユーザーまたはユーザー・グループにあわせて調整できる、直観的でビジネスに焦点が合ったデータベースのビューが提供されます。そのため、Discovererエンド・ユーザーは、データ・アクセスの問題ではなくビジネスの問題に集中できます。Discovererエンド・ユーザーのクエリー作成はSQLの生成によって補完され、一連の豊富なデフォルト設定を使用することよってレポートを簡単に作成できます。
EULのメタレイヤー構造によって、データベースのデータ整合性が保持されます。DiscovererマネージャまたはDiscovererエンド・ユーザーがDiscovererで行う操作は、EULのメタデータにのみ影響し、データベースには影響しません。
EULは、データベースのおよそ50のテーブルのコレクションです。Discoverer Administratorを介して変更可能なテーブルは、これらのテーブルのみです。ビジネスエリアは、EULデータベース・テーブルを使用してDiscoverer Administratorで定義されます。また、Discovererではアプリケーション・データベースに読取り専用アクセスが提供されます。
EULの詳細は、第4章「End User Layerの作成とメンテナンス」を参照してください。
一般的に、データベースのすべての情報に関心を持つユーザー(またはユーザー・グループ)はいません。むしろ、ユーザーは各自の行うジョブになんらかの関係がある情報のサブセットに関心を持つ傾向があります。そのような場合、Discoverer Administratorを使用して関連情報のコンテナとして1つ以上のビジネスエリアを作成します。
ビジネスエリアを作成したら、関連情報を含むデータベース・テーブルをそのビジネスエリアにロードします。
ビジネスエリアの詳細は、第5章「ビジネスエリアの作成とメンテナンス」を参照してください。
ビジネスエリアにロードするテーブルおよびビューは、フォルダとしてDiscovererエンド・ユーザーに表示されます。テーブルまたはビュー内の列は、アイテムとして表示されます。
データベース・テーブルと列には、ユーザーにとってわかりにくい名前が付いている場合があります。Discoverer Administratorを使用すると、フォルダおよびアイテムの名前を、基礎となるテーブルと列の名前に比べてよりわかりやすい名前に変更できます。
ビジネスエリアのフォルダは、データベース・テーブルまたはビューに直接基づいている必要はありません。また、複数のテーブルまたはビューの列に基づくアイテムを含んだ複合フォルダを作成できます。さらに、自分で作成したSQL文に基づくカスタム・フォルダも作成できます。
同様に、ビジネスエリアのアイテムは列に直接基づいている必要はありません。複数の列を計算して生成される計算定義アイテムや、Oracleデータベースで利用できる分析関数を利用する計算定義アイテムを作成できます。
フォルダおよびアイテムの詳細は、次の項目を参照してください。
Oracle Business Intelligence Discovererエンド・ユーザーは、アイテムをワークシートに挿入してDiscovererのデータ分析およびチャート作成ウィザードを使用することで情報を分析し、関心のある情報を検索します。Discovererワークシートは、ワークブックにグループ化されます。ワークブックは、ファイル・システム(Discoverer Desktopのみ)またはデータベースに格納できます。
Discovererエンド・ユーザーに対して、作成されたワークシートの情報分析のみを許可する場合があります。または、エンド・ユーザーによるワークシートの作成を許可した方が適切な場合もあります。Discoverer Administratorでは、各自のワークブックを作成できるエンド・ユーザーと、作成されたワークブックの使用のみを許可されたエンド・ユーザーを決定できます。
ワークブックおよびワークシートの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer Plusユーザーズ・ガイド』を参照してください。
階層とは、エンド・ユーザーがドリルアップまたはドリルダウンして詳細度に応じた情報を表示できるアイテム間の論理関係です。Discovererエンド・ユーザーは、効率的に情報を分析するために次の操作を行います。
特定の情報に関する詳細を表示するためのドリルダウン(たとえば、特定地域の売上合計が期待に反した場合、通常、エンド・ユーザーはその地域の売上合計値にドリルダウンして、地域内のどの都市の売上が低いのかを参照します)
ディテール・データが上位レベルの情報にどの程度貢献しているかを参照するためのドリルアップ(たとえば、ある都市の売上数値を参照している場合、通常、エンド・ユーザーはドリルアップして、その地域の売上合計値を参照します)
ビジネスエリアにテーブルをロードすると、Discovererによって日付アイテムのデフォルト日付階層が自動的に作成されます。他のアイテムに対して独自の階層を作成する場合もあります。
階層の詳細は、第13章「階層の作成とメンテナンス」を参照してください。
サマリー・フォルダは、再利用のために保存されたクエリー済データを表します。
Discoverer Administratorでサマリー・フォルダを作成すると、エンド・ユーザーのクエリーに対するレスポンス時間が短縮されます。クエリーのレスポンス時間が短縮されるのは、クエリーがデータベース・テーブルではなく、事前に集計および結合されたデータにアクセスするためです。また、Discovererでは、他のアプリケーションで作成されたサマリー・データを含むテーブルに基づくサマリー・フォルダを使用できます。これらのテーブルは、外部サマリー・テーブルと呼ばれます。
サマリー・フォルダの詳細は、次の章を参照してください。
Discovererマネージャには、次の操作に対する責任があります。
Discovererシステムの初期実装
Discovererシステムの継続管理とメンテナンス
図3-1は、リレーショナル・データ・ソースとともにDiscovererシステムを実装する手順を示しています。
これら6つの手順の詳細を説明します。
ユーザー要件の識別
Discovererの実装を成功させるには、ユーザーの要件を満たす必要があります。ユーザー要件を特定するには、主なユーザーに次の項目について質問します。
現在使用している情報
表示を希望する情報
希望する情報の表示方法
まず、ユーザーが現在使用しているレポートと情報ソースを検討します。Discovererを使用することで、ユーザーが現在使用している情報へのアクセスと、新しい強力な方法で情報を分析する機能の両方がユーザーに提供されます。
一般的に、ユーザーの要件は時間とともに変化します。システムがロールアウトされた後で、ユーザーから大きな変更の要望が出されることがよくあります。Discovererで実行可能な作業が明確になれば、Discovererを他のどの領域で活用できるかを判断する材料になります。
要件が変更されることを予測して作業を行うようにしてください。正常なシステムでは、最初は要件の一部を満たし、その後ユーザーのフィードバックに基づいて時間とともに変更されていきます。
EULの作成(EULが存在しない場合は必須)
ビジネスエリアを作成するには、EULが必要です。EULが存在しない場合は、EULを作成する必要があります。
ビジネスエリアの作成とビジネスエリアへのデータのロード(必須)
ユーザーの要件が識別されると、ユーザーがアクセスする必要のある情報を把握できます。たとえば、あるユーザー・グループは販売情報にアクセスし、他のグループは製造情報にアクセスするなどです。
Discovererで、共通のビジネス目的を持つ情報を1つのビジネスエリアにグループ化します。ビジネスエリアの作成後、その情報を保持するデータベース・テーブルおよびビューを指定する必要があります。これを行うには、テーブルおよびビューをそのビジネスエリアにロードします。
最も柔軟で理解しやすい方法でユーザーがデータを表示できるようにビジネスエリアの構造を調整
ユーザーがデータにアクセスして分析するには、ビジネスエリア設定および内容はデフォルトで十分です。ただし、Discoverer Administratorではデフォルトの分析機能を拡張する複数の機能が提供されます。
次の操作を実行できます。
オプション条件と必須条件の作成による、フォルダに返される行数の絞込み(詳細は、第12章「条件の作成とメンテナンス」を参照)
既存の計算をユーザーに提供する計算定義アイテムの作成(詳細は、第11章「計算定義アイテムの作成とメンテナンス」を参照)
データベースからのテーブルのロード時に自動的に結合されなかったフォルダを組み合せる結合の作成(詳細は、第10章「結合の作成とメンテナンス」を参照)
結合およびリレーショナル構造をユーザーに対して完全に非表示にする、複合フォルダへのフォルダの結合(詳細は、第6章「フォルダの作成とメンテナンス」を参照)
アイテムを持つフォルダとして入力した(SQL文によって返される)結果セットを表すカスタム・フォルダの作成(詳細は、第6章「フォルダの作成とメンテナンス」を参照)
データをわかりやすくするための、アイテム名、説明および他のフォーマット情報の編集(詳細は、第9章「アイテムとアイテム・クラスのメンテナンス」を参照)
値リスト、代替ソートおよびディテール・ドリルをサポートするアイテム・クラスの作成(詳細は、第9章「アイテムとアイテム・クラスのメンテナンス」を参照)
ドリル操作を簡素化する階層の作成(詳細は、第13章「階層の作成とメンテナンス」を参照)
サマリー・テーブルの作成、Discovererによるサマリー管理の自動化、または既存サマリー・テーブルの登録によるクエリー・パフォーマンスの最大化(詳細は、第14章「サマリー・フォルダの管理」を参照)
ユーザーまたはロールに対するビジネスエリアへのアクセス権の付与(必須)
ユーザーの要件が識別されると、どのユーザー(およびユーザー・グループ)がどの情報にアクセスする必要があるかを把握できます。
様々なユーザーが同じ情報へのアクセス権を必要とする場合があります。たとえば、ある従業員に関する情報を、その従業員のマネージャ、給与スタッフおよび人事管理部門のユーザーが要求することがあります。
また、1つのユーザー・グループのみが情報へのアクセス権を持つことが適切な場合もあります。たとえば、エンジニアリング・プロジェクトの情報はプロジェクト・マネージャにとっては重要ですが、給与スタッフには関係ありません。
ユーザーの情報に対する要件を考慮しながら、ユーザーにビジネスエリアへのアクセス権を付与できます。
Discovererユーザーが(エンド・ユーザーであるか管理者であるかにかかわらず)、基礎となるデータベースのセキュリティに影響を及ぼすことはありません。ユーザーは、Discovererの情報のうち、アクセス用のデータベース権限を持っていない情報は参照できません。つまり、Discovererのセキュリティと権限はすべて、データベース・セキュリティ機能に追加されたものです。
Discovererの配置
ユーザーの要件により、企業で使用可能なDiscovererコンポーネントが決定されます。
ユーザー要件を識別すると、各自でワークシートを作成する必要があるユーザーや、作成されたワークシートの使用のみを必要とするユーザーがいることがわかります。さらに、Webブラウザを使用してDiscovererを実行するユーザーと、Javaアプレット・ユーザー・インタフェースまたはHTMLユーザー・インタフェースを使用してDiscovererを実行するユーザーがいます。
次の表を参考にして、組織に配置するDiscovererコンポーネントを決定してください。
ユーザー要件 | Discoverer Plus | Discoverer Viewer | Discoverer Desktop |
---|---|---|---|
Windowsを実行するPCにおけるDiscovererのインストールおよび実行 | いいえ | いいえ | はい |
Webブラウザを使用したDiscovererの実行 | はい | はい | いいえ |
新規ワークシートの作成 | はい | いいえ | はい |
ファイル・システムへのワークブックの保存 | いいえ | いいえ | はい |
Discovererユーザー・インタフェースのカスタマイズ | いいえ | はい | いいえ |
ネットワーク・パフォーマンスやセキュリティ問題など、決定内容に影響する要因は他にもあります。
配置するDiscovererコンポーネントを決定したら、固有のインストールまたは構成手順に関する適切なドキュメントを参照してください。詳細は、「関連ドキュメント」を参照してください。
リレーショナル・データ・ソースを使用するDiscovererシステムの実装後は、ユーザー要件を満たすために継続的に行う必要があるDiscovererのメンテナンス作業量は減ります。
通常は、次の操作によってビジネスエリアを引き続き調整します。
値リスト、代替ソートおよびディテール・ドリルをサポートする新規アイテム・クラスの追加(詳細は、第9章「アイテムとアイテム・クラスのメンテナンス」を参照)
データベースからのテーブルのロード時に自動的に結合されなかったフォルダと、同じワークシートに現在アクセスする必要があるユーザーを組み合せる新規結合の追加(詳細は、第10章「結合の作成とメンテナンス」を参照)
新規オプション条件と必須条件の追加による、フォルダに返される行数の絞込み(詳細は、第12章「条件の作成とメンテナンス」を参照)
最初は必要でなかった既存の計算をユーザーに提供する、新規の計算定義アイテムの追加(詳細は、第11章「計算定義アイテムの作成とメンテナンス」を参照)
クエリー作成を簡素化する新規複合フォルダの追加(詳細は、第6章「フォルダの作成とメンテナンス」を参照)
従来のフォルダでは満たされないユーザー要件を満たす新規カスタム・フォルダの追加(詳細は、第6章「フォルダの作成とメンテナンス」を参照)
ユーザーによる新しいデータ分析方法を可能にする新規階層の追加(詳細は、第13章「階層の作成とメンテナンス」を参照)
特定のクエリーにおけるパフォーマンスの問題を解決する新規サマリーの追加(詳細は、第14章「サマリー・フォルダの管理」を参照)
前述の操作に加えて、ユーザーおよびそのユーザーがアクセス権を持つビジネスエリアの変更や、個々のユーザーがこれらのビジネスエリアで実行できる操作の変更が必要となる場合があります。たとえば、次のような場合です。
新規ユーザーを追加する場合、ジョブの実行に必要なビジネスエリアへのアクセス権を新規ユーザーに付与する必要があります。
既存ユーザーがジョブまたは部門を変更する場合、既存ユーザーに新規ビジネスエリアへのアクセス権を付与するか、あるいは以前のビジネスエリアのアクセス権を取り消す必要があります。
詳細は、第7章「情報に対するアクセス制御」を参照してください。
この項では、Oracle Business Intelligence Discoverer Administratorを使用するためのシステムおよびデータ・アクセスの前提条件について説明します。この項の内容は次のとおりです。
Discoverer Administratorを使用する前に、次の前提条件が満たされている必要があります。
適切なデータベースがインストールされ、使用可能である必要があります。Oracle Enterprise Editionデータベースでは、サマリー・フォルダのパフォーマンスを向上させるマテリアライズド・ビューの使用がサポートされます。
Discoverer Administratorが、通常はOracle Classic Suiteのフル・インストールの一部として、PCにインストールされている必要があります。
エンド・ユーザーがDiscovererを使用するには、次のいずれかまたは両方がインストールされている必要があります。
Discoverer PlusまたはDiscoverer Viewerがアプリケーション・サーバー・マシンにインストールされ、Oracle Business Intelligenceインストールの一部として適切に構成されている必要があります(詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer構成ガイド』を参照)。
Discoverer Desktopがエンド・ユーザーのPCにインストールされている必要があります。
Discoverer Administratorを使用してDiscovererシステムを作成およびメンテナンスするには、特定のDiscoverer権限およびデータベース権限が必要です。
EULを作成するには、次の項目で説明されている権限が必要です。
EULを管理するには、次の権限が必要です。
EULに対する「Discoverer管理」権限
変更するビジネスエリアに対する「管理を許可する」権限
ビジネスエリアに追加するテーブルに対するSELECTデータベース権限
サンプル・データをインストールする手順は、第27章「Discovererのサンプル・データEUL、データおよびワークブックのインストール」を参照してください。
次のDiscoverer機能を活用するには、固有の権限が必要です。
自動サマリー管理(詳細は、「ASMでサマリー・フォルダを作成するための前提条件」を参照)
手動サマリー・フォルダ作成(詳細は、「Discovererでサマリー・フォルダを手動で作成する前提条件」を参照)
Discovererシステムを使用するには、エンド・ユーザーに特定のDiscoverer権限およびデータベース権限が必要です。
最低1つのEULに対するアクセス権限
EUL内の最低1つのビジネスエリアに対するアクセス権限
ビジネスエリアの各フォルダの基礎となるテーブルに対するSELECTデータベース権限(データベース・ユーザーに直接またはデータベース・ロール経由で付与されます)
次のDiscoverer機能を活用するには、固有の権限が必要です。
スケジュール・ワークブック(詳細は、「ワークブックをスケジュールするための前提条件」を参照)
ユーザーPL/SQLファンクション(詳細は、「カスタムPL/SQLファンクション」を参照)
Discovererでは、データベースで使用可能な機能を利用するために様々なデータベース・パラメータが使用されます。予測した結果を得るには、データベース・パラメータを推奨値に設定する必要があります。データベース・パラメータの値は、Oracle DBMSの初期化ファイル(INIT<SID>.ORAファイル)で指定できます。たとえば、timed_statisticsに指定する値はDiscovererのクエリー予測機能に影響を与えます。
次の表に、Discovererで使用されるデータベース・パラメータのうち、このガイドで参照されているものを示します。
データベース・パラメータ | 値が設定されていない場合の結果 | 説明 | 推奨値 |
---|---|---|---|
timed_statistics | クエリー予測が提供されません。 | クエリー予測の有効化に関連します。詳細は、「クエリー予測のためのtimed_statisticsパラメータの確認および変更方法」を参照してください。 | TRUE |
optimizer_mode | クエリー予測が提供されません。 | クエリー予測の有効化に関連します。詳細は、「クエリー予測のためのoptimizer_modeパラメータの確認および変更方法」を参照してください。 | CHOOSE |
optimizer_index_cost_adj | クエリー速度が低下します。 | コストベースのオプティマイザにおける索引の使用方法の調整に関連します。詳細は、Oracle11gのドキュメントを参照してください。 | 詳細は、データベース管理者に問い合せてください。 |
optimizer_index_caching | クエリー速度が低下します。 | コストベースのオプティマイザにおける索引の使用方法の調整に関連します。詳細は、Oracle11gのドキュメントを参照してください。 | 詳細は、データベース管理者に問い合せてください。 |
global_names | 接続文字列が無効になります。 | Generic Connectivityの設定に関連します。詳細は、「DiscovererでのGeneric Connectivityの設定」を参照してください。 | FALSE |
failover_mode | データベース障害時にデータベース・プロセスが代替のバックアップ・コンポーネントに再配置されません。 | 透過アプリケーション・フェイルオーバーのサポートの有効化に関連します。詳細は、「Discovererで透過アプリケーション・フェイルオーバーのサポートを有効にする方法」を参照してください。 | FAILOVER_MODE=<type><retries> |
type | データベース障害時にデータベース・プロセスが代替のバックアップ・コンポーネントに再配置されません。 | failover_modeパラメータのサブパラメータです。詳細は、「Discovererで透過アプリケーション・フェイルオーバーのサポートを有効にする方法」を参照してください。 | (TYPE=SELECT) |
retries | データベース障害時にデータベース・プロセスが代替のバックアップ・コンポーネントに再配置されません。 | failover_modeパラメータのサブパラメータです。詳細は、「Discovererで透過アプリケーション・フェイルオーバーのサポートを有効にする方法」を参照してください。 | (RETRIES=5) |
Discoverer Administratorを起動する手順は次のとおりです。
Windowsの「スタート」メニューで「プログラム」→「Oracle Business Intelligence Tools - <BI_TOOLS_HOME_NAME>」→「Discoverer Administrator」を選択すると、「Oracle Business Intelligence Discoverer Administratorに接続」ダイアログが表示されます。
「ユーザー名」フィールドに、Discoverer Administratorを起動するデータベース・ユーザーの名前を入力します。
「パスワード」フィールドに、Discoverer Administratorを起動するデータベース・ユーザーのパスワードを入力します。
Oracleデータベースでは、パスワードの大文字と小文字が区別されます(Enterprise Editionリリース11.1以降の場合)。
次のガイドラインに従って、接続するデータベースを「接続」フィールドに指定します。
デフォルトのOracleデータベースにログインする場合、「接続」フィールドには何も入力しないでください。
デフォルト以外のOracleデータベースにログインする場合は、データベースの名前を指定してください(名前がわからない場合は、データベース管理者に問い合せてください)。
「接続」ボタンをクリックしてDiscoverer Administratorを起動し、データベースに接続します。
次に表示されるプロンプトは、Discovererシステムによって異なります。
1つ以上のEULへのアクセス権を持っている場合は、新規ビジネスエリアを作成するか、デフォルトEULで既存のビジネスエリアを開くように要求されます(詳細は、第5章「ビジネスエリアの作成とメンテナンス」を参照)。
EULへのアクセス権がない場合(組織内で初めてDiscoverer Administratorを使用する場合、あるいは既存EULに対する管理権限が付与されていない場合)は、新規EULを作成するように要求されます(詳細は、「既存データベース・ユーザーに対するEnd User Layerの作成方法」を参照)。
注意
「Oracle Business Intelligence Discoverer Administratorに接続」ダイアログには、「Oracle Applicationsユーザー」チェック・ボックスが含まれている場合があります。Discoverer Administratorを使用してEULを管理し、Oracle Applicationsで使用する場合は、このチェック・ボックスを選択します。Oracle ApplicationsでDiscovererを使用する方法の詳細は、第17章「Oracle ApplicationsでのDiscovererの使用」を参照してください。
Discoverer Administratorは常にデフォルトEULで起動します。デフォルトEULは、「オプション」ダイアログ: 「接続」タブで指定されたEULです。作業対象のEULを変更する場合は、デフォルトEULを変更してからDiscoverer Administratorに再接続する必要があります(詳細は、「デフォルトEnd User Layerを表示または変更する方法」を参照)。
Discoverer Administratorを使用するときは、特定のEULに対する現在の接続が複数存在しないことを確認する必要があります。EULに対する接続が1つであれば、競合する変更をEULオブジェクトに対して気付かずに行う危険を回避できます。
ワークエリアは、End User Layerへのビューです。ワークエリアで、次の項目を作成および編集してEULをメンテナンスします。
ビジネスエリアおよびフォルダとアイテム
階層
アイテム・クラス
サマリー・フォルダ
Discoverer Administratorのメイン・ウィンドウに「ワークエリア」ウィンドウが表示されます。一度に複数の「ワークエリア」ウィンドウを開くと、ビジネスエリア間でオブジェクトをコピーするときに便利です。ただし、すべての「ワークエリア」ウィンドウには同じビジネスエリアが含まれていることに注意してください。
「ワークエリア」ウィンドウには4つのタブがあります。
「データ」タブには、各ビジネスエリアの構造と内容が表示されます。「データ」タブでは、次の操作を実行できます。
計算定義アイテムの作成
複合カスタム・フォルダの作成
結合の作成
条件の作成
ビジネスエリア、フォルダおよびアイテムの新規作成
オブジェクト・プロパティの変更
「データ」タブおよび表示されるアイコンの詳細は、「「ワークエリア」: 「データ」タブ」を参照してください。
「階層」タブには、各ビジネスエリア内の階層が表示されます。「階層」タブでは、次の操作を実行できます。
階層の新規作成
既存階層の内容および編成の検討
Discoverer Administratorで提供する階層テンプレートの表示
「階層」タブの「表示」ボタンを使用すると、表示する階層を指定できます。
「階層」タブおよび表示されるアイコンの詳細は、「「ワークエリア」: 「データ」タブ」を参照してください。
「アイテム・クラス」タブには、各ビジネスエリア内のアイテム・クラスが表示されます。「アイテム・クラス」タブでは、次の操作を実行できます。
アイテム・クラスの新規作成
アイテム・クラスに関連付けられた値リストの表示(存在する場合)
各アイテム・クラスを使用するアイテムの表示
ディテール・ドリルおよび代替ソート属性を持つアイテム・クラスおよびそれらのオプションがアクティブかどうかの識別
「アイテム・クラス」タブの「表示」ボタンを使用すると、表示するアイテム・クラスを指定できます。
「アイテム・クラス」タブおよび表示されるアイコンの詳細は、「「ワークエリア」: 「データ」タブ」を参照してください。
「サマリー」タブには、各ビジネスエリア内のサマリー・フォルダが表示されます。「サマリー」タブでは、次の操作を実行できます。
サマリー・フォルダの新規作成
サマリー・フォルダの編成および定義の検討
サマリー・フォルダのリフレッシュ
「サマリー」タブおよび表示されるアイコンの詳細は、「「ワークエリア」: 「データ」タブ」を参照してください。
Discoverer Administratorでの作業中にマウスの右ボタンをクリックすると、ポップアップ・メニューが表示されます。「ワークエリア」ウィンドウでは、このポップアップ・メニューの内容は現在選択されているオブジェクトで最も頻繁に使用されるコマンドとなります。
現在選択されているオブジェクトがない場合、ポップアップ・メニューにはビジネスエリア全般における作業用のコマンドと、現行のタブに適したコマンドが表示されます。
Discoverer Administratorリリース11.1.1.1.0には、次のような新機能と改善された機能が含まれています。
Oracle 11g (リリース11.1) Enterprise Editionデータベースとの動作保証
Oracle 11g (リリース11.1) Enterprise EditionデータベースとDiscovererとの動作は検証済です。
Discoverer Administratorでは、オンライン・ヘルプとドキュメントが提供されます。
Discoverer Administratorヘルプ・システムにより、HTML形式の管理ガイド情報を参照する状況依存アクセスが提供されます。
ヘルプ・システムを起動するには、「Discoverer」ダイアログの「ヘルプ」をクリックするか、「ヘルプ」→「トピックの検索」を選択します。
Discoverer Administratorの各ダイアログの「ヘルプ」ボタンにより、それぞれのダイアログのフィールドに詳細な文脈依存ヘルプが表示されます。
「ヘルプ」→「トピックの検索」メニュー・オプションにより、状況依存ダイアログ・ヘルプを含むOracle Business Intelligence Discoverer Administratorヘルプ・システムの内容が表示されます。
「ヘルプ」→「マニュアル」メニュー・オプションにより、使用可能なDiscovererマニュアルの一覧が表示されます(Oracle Business Intelligence Discoverer Administratorエラー・メッセージ・ファイルも含まれます)。
ヘルプ・システムでトピックを検索する手順は次のとおりです。
各ヘルプ・ページ上部にある「目次」アイコンをクリックするか、「ヘルプ」→「トピックの検索」を選択します(ヘルプ・システムのトピック・リストを表示)。
各ヘルプ・ページ上部にある「索引」アイコンをクリックすると、索引エントリのリストが表示されます。
管理ガイドをPDF形式で表示(および印刷)するには、Oracle Developer SuiteのドキュメントCDを使用してください。
ヒント: 語句を検索するには、PDF形式の管理ガイドを使用します。
Discovererのその他の情報(ホワイト・ペーパー、ベスト・プラクティス、チュートリアルなど)は、Oracle Technology Network (www.oracle.com/technology)から入手できます。