エレメントの変換

このトピックでは、エレメント変換の概要と以下の項目について説明します。

  • 定義の指定日。

  • 開始日と終了日。

  • ジェネレーション コントロール。

  • 延滞。

  • 支給/控除。

  • 上書き。

  • 再計算オプション。

資格条件を満たしているエレメントの変換に影響を及ぼす要因は多数あります。通常はエレメント タイプごとに、エレメント変換プログラムが用意されています。支給エレメントと控除エレメントは同じプログラムで処理されます。

有効日で管理された全てのエレメントには、[定義の指定日] フィールドがあります。このフィールドで、エレメント定義を検索するときにどの有効日が付いた行を使うのかが指定されます。[定義の指定日] の値はエレメント名ページで指定します。たとえば、[カレンダー期間開始日] を選択すると、カレンダー期間の開始日に有効なエレメント定義が検索されます。

開始日と終了日は、上書き指示と共に使用され、上書きが適用される期間を指定します。処理される上書きタイプによって、開始日と終了日の処理ルールは異なります。

ジェネレーション コントロールにより、受給者に対して支給、控除、休暇付与、または休暇付与調整の処理を行うかどうかをさらに細かく管理できます。ジェネレーション コントロールではエレメントの変換条件を定義します。HR ステータス、実行タイプ、セグメント ステータス、およびその他のパラメータに基づいて条件を定義できます。

パラメータごとに、バッチ処理でそのエレメントを入力の対象にするか対象外にするかを指定します。そのエレメントが処理されるためには、各受給者はそのエレメントに対する全てのジェネレーション コントロール条件に一致している必要があります。

受給者が、ある控除のジェネレーション コントロールの条件に一致しなかった場合でも、回収処理が行われ、遡及調整が実行される場合があります。受給者が支給のジェネレーション コントロールの条件に一致しなかった場合でも、遡及調整は実行されます。

控除がジェネレーション コントロールの条件に一致しない場合でも、延滞ページの [延滞回収の管理] グループ ボックスの値によって、回収処理が行われる場合があります。延滞には [給与計算の全実行][控除スケジュール] の 2 つのオプションがあります。[控除スケジュール] では、延滞回収処理を行うためには控除がジェネレーション コントロールの条件に一致する必要があります。[給与計算の全実行] では、控除がジェネレーション コントロールの検証を通過しない場合でも回収処理は行われます。

ここでは、支給および控除プログラムでのエレメント変換の手順について説明します。

  1. 資格チェックの検証を通過すると、エレメント ルールはエレメント別受給者割当ページ、受給者別エレメント割当ページ、またはポジティブ入力ページの入力で上書きされます。

    必要な受給者レベルのコンポーネントがない場合、エレメントは変換されません。この場合でも遡及調整処理と延滞回収は行われます。

    注: ここでは、エレメントは、エレメントとユーザー フィールド セットを指します。

    複数変換について」を参照してください。

  2. 最後に、ジェネレーション コントロールがチェックされます。

    ジェネレーション コントロールの条件に一致しない場合、支給エレメントまたは控除エレメントは変換されませんが、この場合でも延滞回収と遡及調整処理を行うことができます。

さまざまなレベルで値またはエレメントの定義を上書きできます。たとえば、支給、控除、休暇欠勤などの主要エレメントを受給者レベルで上書きしたり、カレンダーの除外機能を使用して全ての受給者に対するプロセス リストからエレメントを除外することができます。

エレメント名ページの [上書きレベル] グループ ボックスで [受給者] チェック ボックスをオフにすると、エレメントの受給者レベルでの上書きを禁止できます。

エレメントに上書きのレベルがいくつかある場合には、階層に従って処理されます。

エレメント名ページの [常時再計算] オプション、支給/控除 - 計算ページの [遡及再計算オプション]、およびセクション コンポーネントの [再計算] オプションによって再計算を指定できます。

エレメント名ページの [常時再計算] をオンにすると、そのエレメントは、計算プロセスで検出されるたびに再計算されます。つまり、フォーミュラを更新してそれを再計算または再変換する場合、このチェック ボックスがオフになっていると、エレメントの前回の変換値が使用されます。[常時再計算] オプションは、変換処理中の期間に対してのみ適用されます。

支給/控除 - 計算ページの [遡及再計算オプション] では、[常時再計算] または [再計算しない] を選択することができます。[再計算しない] を選択してある場合、支給および控除プログラムによって遡及期間でそのエレメントは変換されず、前の計算の値が返されます。この値が、支給と控除、支給と控除のコンポーネント、延滞処理、および遡及調整に適用されます。

注: セクションの再計算設定は、エレメント変換チェーン全体ではなく、そのセクションのエレメントだけに適用されます。つまり、親エレメントによって使用されるエレメントには適用されません。

PIN マネージャ ロジック

エレメントを変換するために PIN マネージャが呼びされると、次の手順で変換が行われます。

  1. 現在の時間枠 (つまり、セグメントまたはスライス) でエレメントが既に変換されているかどうかがチェックされます。

  2. エレメントが変換されていない場合は、PIN マネージャによって該当する変換プログラムが呼び出されます。

  3. エレメントが変換されている場合は、再計算ロジックがチェックされます。

再計算ロジック

再計算ロジックは以下のとおりです。

  1. エレメント名ページの [常時再計算] チェック ボックスが確認されます。

    チェック ボックスがオンの場合、該当するエレメント変換プログラムが呼び出されます。オフの場合は、次のステップに進みます。

  2. PIN マネージャがプロセス リストから呼び出された場合は、この PIN マネージャによって、現在のエレメントのセクションの [再計算] チェック ボックスが確認されます。

    チェック ボックスがオンの場合、該当するエレメント変換プログラムが呼び出されます。チェック ボックスがオフの場合は、PIN マネージャによって、以前に変換されたエレメントの値が返されます。エレメントは再計算されません。

例 1

フォーミュラ F1 で変数 V1 に 10 という値を割り当ててから、別のフォーミュラ F2 で V1 を使用するとします。V1 の [常時再計算] がオンになっている場合には、次のようになります。

V1 の値を取得するためにフォーミュラ プログラムによって PIN マネージャが呼び出され、PIN マネージャは V1 が変換されていることを確認します。[常時再計算] がオンになっているため、エレメントを変換するために変数エレメント変換プログラムが、PIN マネージャによって呼び出されます。V1 は、定義の内容に従い変換されます。F1 から V1 に割り当てられた値は失われます。

V1 の [常時再計算] チェック ボックスをオフにした場合は、フォーミュラから V1 に割り当てられた値は失われません。V1 を変換するために F2 から呼び出された PIN マネージャは、V1 が変換されていることを確認します。さらに PIN マネージャによって、[常時再計算] がオフになっていることが確認され、以前に変換された値がフォーミュラ プログラムに返されます。

日付、アレイ、およびブラケットでも、値を変数に割り当てることができます。正しい計算を行うには、再計算ロジックを考慮する必要があります。

例 2

この例では、[常時再計算] チェック ボックスがオンになっている必要があります。カウント エレメントの変換では日次処理が発生します。他のところでは使用されていないフォーミュラを変換するために PIN マネージャが 1 日に 1 度呼び出されます。最初の日には、このフォーミュラが変換されます。このフォーミュラの [常時再計算] がオンになっていないと、2 日目には最初の日の値が使用されてしまいます。