PeopleSoft チャートフィールドについて
オラクル社の PeopleSoft アプリケーションでは、勘定科目チャートを保存したり、取引データや予算データを分類するための基本構造を提供するフィールドのことをチャートフィールドと呼びます。各チャートフィールドには固有の属性が設定されるため、対象カテゴリのデータを最も効率的かつ柔軟な方法で記録、レポート、分析することができます。1 つのチャートフィールドは常に 1 つのデータ カテゴリを表しますが、同一データを詳細に分類するため、複数の値が保存されます。
取引金額の基本カテゴリとして、勘定科目チャートフィールドが用意されています。これに加え、他のチャートフィールドを適切な値と共に使用することにより、製品別、プロジェクト別、投資ポートフォリオ別、ポリシー別、寄付金別、資金別、サービス別など任意の数のカテゴリ別に、同一取引について同時に記録することができます。この場合、同じ取引データに対して追加サブセットが作成されます。
PeopleSoft では、ほとんどの会計要件やレポート要件に対応するチャートフィールド セットとその関連機能を用意しています。チャートフィールドは、ユーザー固有の要件を満たすようにユーザーが設定する設計になっています。
このトピックでは、次について説明します。
標準チャートフィールド
貸借一致チャートフィールド
代替勘定科目と法定会計
チャートフィールド値
チャートフィールド組合せ編集
PeopleSoft には、以下のチャートフィールドが標準で用意されています。
ラベル名 |
ラベル略称 |
チャートフィールド名 (フィールド長) |
コンポーネント名とコンポーネント インターフェイス |
説明 |
---|---|---|---|---|
勘定科目 |
勘定科目 |
ACCOUNT (10) |
コンポーネント: GL_ACCOUNT コンポーネント インターフェイス: ACCOUNT_CF |
取引の種別を分類します。これは必須フィールドです。企業で使用される勘定科目に使用します。 |
代替勘定科目 |
代替勘定 |
ALTACCT (10) |
コンポーネント: ALTACCT コンポーネント インターフェイス: ALTACCT_CF |
行政機関の取引の種別を分類します。法定会計に使用します。 |
業務ユニット |
業務ユニット |
OPERATING_UNIT (8) |
コンポーネント: OPERATING_UNIT コンポーネント インターフェイス: OPER_UNIT_CF |
流通倉庫や販売センターなどの場所の指定に使用できます。 |
資金コード |
資金 |
FUND_CODE (5) |
コンポーネント: FUND_DEFINITION コンポーネント インターフェイス: FUND_CF |
教育/公的機関の会計処理における基本的な構成単位です。 |
部門 |
部門 |
DEPTID (10) |
コンポーネント: DEPARTMENT コンポーネント インターフェイス: DEPT_CF |
組織の部門別に情報を追跡管理します。取引の責任者や取引の影響を受ける人物の指定に使用できます。 |
プログラム コード |
プログラム |
PROGRAM_CODE (5) |
コンポーネント: PROGRAM_DEFINITION コンポーネント インターフェイス: PROGRAM_CF |
組織内または組織全体のプログラムの収益と支出を追跡管理します。関連するアクティビティのグループ、コスト センター、収益センター、責任センターおよび学問的プログラムの識別に使用できます。 |
クラス フィールド |
クラス |
CLASS_FLD (5) |
コンポーネント: CLASS_PNL コンポーネント インターフェイス: CLASS_CF |
特定の充当金の識別に使用できます。 |
予算参照 |
予算参照 |
BUDGET_REF (8) |
コンポーネント: BUDREF_PNL コンポーネント インターフェイス: BUDGET_REF_CF |
個々の予算が予算キーと重複する予算期間を共有している場合、それぞれの予算を一意に識別する際に使用します。 |
製品 |
製品 |
PRODUCT (6) |
コンポーネント: PRODUCT コンポーネント インターフェイス: PRODUCT_CF |
収益性やキャッシュ フローを、販売または製造した製品別に分析する際に役立つ追加情報を取得します。 |
[プロジェクト コスト管理ユニット] |
PC ビジネス ユニット |
BUSINESS_UNIT_PC (5) |
コンポーネント: PC_BU_DEFN コンポーネント: PC_BUS_UNIT_OPT コンポーネント インターフェイス: PROJECT_BU_OPTIONS |
これを組織の機能サブセットとして使用することで、財務取引の計上やレポートに関する組織の標準会計手順の制約を受けずに、プロジェクト アクティビティを管理できます。PC ビジネス ユニットはプロジェクト コスト管理定義ページで作成します。 |
プロジェクト ID/グラント |
プロジェクト |
PROJECT_ID (15) |
コンポーネント: PROJECT コンポーネント インターフェイス: PROJECT_CF |
グラントとプロジェクトの会計処理に役立つ追加情報を取得します。 プロジェクト チャートフィールドには、有効日はありません。 |
アクティビティ |
アクティビティ |
ACTIVITY_ID (15) |
コンポーネント: FS_ACTIVITY_TBL コンポーネント インターフェイス: PC_STD_ACT_INTFC |
アクティビティはプロジェクトを構成する特定のタスクです。アクティビティは、プロジェクト アクティビティ ページまたはアクティビティ詳細ページで作成します。 |
ソース タイプ |
ソース タイプ |
RESOURCE_TYPE (5) |
コンポーネント: PROJ_RES_TYPE コンポーネント インターフェイス: PC_RES_TYPE_INTFC |
ソース タイプは取引の目的またはソースを識別します。たとえば、[人件費] というソース タイプを作成して、プロジェクトの合計人件費を追跡できます。 |
カテゴリ |
カテゴリ |
RESOURCE_CATEGORY (5) |
コンポーネント: PROJ_CATG_DEFN コンポーネント インターフェイス: PC_CATG_DEFN_INTFC |
ソース タイプをさらに細かく定義する場合にカテゴリを使用します。 カテゴリとサブカテゴリの定義はオプションですが、これらを使用すると、コストをより細かく柔軟に追跡および分析できます。 |
サブカテゴリ |
サブカテゴリ |
RESOURCE_SUB_CAT (5) |
コンポーネント: PROJ_SUBCAT_DEFN コンポーネント インターフェイス: PC_SUBCAT_DEFN_INTFC |
カテゴリをさらに細かく定義する場合にサブカテゴリを使用します。 |
チャートフィールド 1 |
該当なし |
CHARTFIELD1 (10) |
コンポーネント: CHARTFIELD1 コンポーネント インターフェイス: CHARTFIELD1 |
汎用拡張チャートフィールドはデフォルトで非アクティブです。使用、非表示または削除に設定できます。 |
チャートフィールド 2 |
該当なし |
CHARTFIELD2 (10) |
コンポーネント: CHARTFIELD2 コンポーネント インターフェイス: CHARTFIELD2 |
汎用拡張チャートフィールドはデフォルトで非アクティブです。使用、非表示または削除に設定できます。 |
チャートフィールド 3 |
該当なし |
CHARTFIELD3 (10) |
コンポーネント: CHARTFIELD3 コンポーネント インターフェイス: CHARTFIELD3 |
汎用拡張チャートフィールドはデフォルトで非アクティブです。使用、非表示または削除に設定できます。 |
関係会社 |
関係会社 |
AFFILIATE (5) |
該当なし |
1 つのユニット間勘定科目を使用している場合に、ビジネス ユニット間での取引の関連付けに使用します。 |
関係会社 - 資金 |
関係会社 - 資金 |
AFFILIATE_INTRA1 (10) |
該当なし |
1 つのユニット内勘定科目を使用している場合に、資金間での取引の関連付けに使用します。 |
関係会社 - 業務ユニット |
関係会社 - 業務 |
AFFILIATE_INTRA2 (10) |
該当なし |
1 つのユニット内勘定科目を使用している場合に、業務ユニット間での取引の関連付けに使用します。 |
シナリオ |
シナリオ |
BD_SCENARIO (10) |
コンポーネント: BD_SCENARIO コンポーネント インターフェイス: BUDGET_SCENARIO |
使用している仮定が異なる複数の予算を区別します。 |
台帳コード |
台帳コード |
BOOK_CODE (4) |
該当なし |
元帳行のサブセットを識別することで、同一元帳内で、異種会計環境の取引のさまざまな会計、記録、レポート要件を区別して管理します。 |
調整タイプ |
調整 |
GL_ADJUST_TYPE (4) |
該当なし |
前期の調整のさまざま会計処理に関連付ける調整タイプを定義します。 |
統計コード |
統計コード |
STATISTICS_TBL |
コンポーネント: STATISTICS_TBL コンポーネント インターフェイス: STATISTICS_CODE |
ユニット数など、統計データを定義する場合に使用します。 |
PeopleSoft プロジェクト コスト管理チャートフィールドについては、『PeopleSoft FSCM: Project Costing』の製品ドキュメントに詳しく記載されています。
ビジネス ユニットはチャートフィールドとは見なされません。
警告 PeopleSoft プロジェクト コスト管理、経費管理、要員管理またはサービス プロキュアメントのライセンスを取得していない場合で、ページに [プロジェクト コスト管理ユニット]、[アクティビティ]、[ソース タイプ]、[カテゴリ] または [サブカテゴリ] が表示される場合は、インストール オプション - 製品ページでこれらの製品のチェック ボックスをオフにしてチャートフィールド設定を実行し、これらの製品固有のチャートフィールドを非アクティブにしてください。
プロジェクト コスト管理のライセンスを取得しておらず、経費管理、要員管理またはサービス プロキュアメントのライセンスを取得している場合で、ページに [ソース タイプ]、[カテゴリ] または [サブカテゴリ] が表示される場合は、インストール オプション - 製品ページでライセンスを取得していない製品のチェック ボックスをオフにしてチャートフィールド設定を実行し、プロジェクト コスト管理固有のチャートフィールドを非アクティブにしてください。必要のないチャートフィールドをアクティブのままにしておくと、パフォーマンスに影響したり、その他の処理で問題が発生することがあります。
「標準のチャートフィールド設定の使用」を参照してください。
『PeopleSoft Project Costing』「Understanding Project-Related Control Data」[英語版]を参照してください。
プロジェクト チャートフィールドは次で構成されています。
PC ビジネス ユニット
プロジェクト
アクティビティ
ソース タイプ
カテゴリ
サブカテゴリ
プロジェクト チャートフィールドを追加するページは、プロジェクト コスト管理がインストールされているかどうかによって異なります。PeopleSoft プロジェクト コスト管理がインストールされていない場合は、プロジェクト ページ (PROJECT_GL) を使用してプロジェクト チャートフィールドの値を入力します。そうでない場合は、プロジェクト コスト管理 (PROJECT_GEN_01A) 内でプロジェクトを追加するときにプロジェクト チャートフィールドを追加します。
その他 5 つのプロジェクト コスト管理チャートフィールドの値およびコントロール データは、共通定義内の個別のページを使用せずに入力します。これらは、前述のチャートフィールドのリストに記載されているページとコンポーネントを使用して入力します。この詳細については、PeopleSoft プロジェクト コスト管理のドキュメントに記載されています。
プロジェクト コスト管理チャートフィールドは、プロジェクト コスト管理や経費管理、要員管理、一般会計内で使用する各種のページ表示や入力グリッドで使用できます。この例としては、仕訳入力 - 行ページやスピード入力があります。
注: リソース分析タイプがプロジェクト コスト管理チャートフィールドのリストに含まれていないのは、これがチャートフィールドと見なされていないためであり、これは標準設定ページにも詳細設定ページにも表示されません。しかし、これは一般会計の仕訳入力 - 行ページで入力可能で、[アクティビティ] フィールドと [ソース タイプ] チャートフィールドの間に表示されます。チャートフィールドの設定でプロジェクト コスト管理チャートフィールドの表示順序が変更された場合、[リソース分析タイプ] の相対的な位置は維持された状態で順序が変更されています。
『PeopleSoft Project Costing』「Understanding Project-Related Control Data」[英語版]を参照してください。
「標準のチャートフィールド設定の使用」を参照してください。
特定のビジネス ユニットまたはチャートフィールドについて、借方と貸方の金額を一致させ、貸借の一致した勘定科目セットを維持することを要求した場合、このビジネス ユニットまたはチャートフィールドのことを貸借一致と呼びます。
貸借一致チャートフィールドは、元帳グループ - 貸借一致ページの [元帳グループ] 定義で定義します。貸借一致の明細元帳では、ビジネス ユニット、基本通貨コード、台帳コードおよび調整タイプの借方と貸方の金額が一致している必要があります。
さらに別のチャートフィールドを貸借一致として選択した場合、出現する個々の値の組合せが全て一致することが求められます。貸借一致チャートフィールドの値を複数含む取引に対しユニット内貸借一致入力を自動的に生成するよう、システムを設定できます。このオプションをアクティブにしなかった場合、またはその他の理由で仕訳の貸借が一致しない場合、仕訳編集オプション ページで設定した仕訳貸借一致のためのルール (仮計上、再検討など) が仕訳編集で使用されます。
たとえば、貸借一致チャートフィールドとして [部門] を定義した場合、作成する全ての仕訳でビジネス ユニット FR001 と部門 A は借方と貸方が一致する必要があります。そうでない場合、その仕訳入力は貸借が一致しないことになります。これはビジネス ユニット USA01 と部門 B も貸借一致が要求されるという意味です。
このことから、勘定科目と代替勘定科目を貸借一致チャートフィールドにできない理由を説明できます。たとえば、勘定科目を貸借一致チャートフィールドにできるとしたら、ビジネス ユニット A と勘定科目 101200 は借方と貸方が一致しなければならず、その結果、勘定科目 101200 の残高が常に 0 になってしまうからです。
PeopleSoft の代替勘定機能を使用すると、分析用の勘定科目や主要勘定科目と共に、法定勘定科目表について、詳細な取引レベルで入力できます。代替勘定科目を使用して、法定報告書類の要件に合わせた仕訳行や取引レベルの残高が得られます。主要勘定科目チャートフィールドには企業で使用する勘定科目が、代替勘定科目チャートフィールドには法定勘定科目が設定されます。代替勘定機能は、内部管理や親会社への提出用と、地方管轄機関や中央政府への提出用の、2 種類の異なるレポートを作成する必要のある企業にとって便利な機能です。
PeopleSoft アプリケーションでは、分析用または主要な勘定科目チャートフィールドは ACCOUNT です。
一方、地方行政監督機関から法定勘定科目の使用を求められる場合があります。PeopleSoft アプリケーションでは、この法定勘定科目のことを代替勘定科目チャートフィールド (ALTACCT) と呼びます。
ユーザーは、代替勘定科目チャートフィールドの値と勘定科目チャートフィールドの値を関連付けます。これにより、勘定科目チャートフィールドに値を入力すると、関連付けられた代替勘定科目にも自動的に値が入力されます。また、代替勘定科目チャートフィールドに値を入力すると、関連付けられた勘定科目にも自動的に値が入力されます。デフォルトの値は、選択リストから別の値を選択して上書きすることができます。選択リストに表示されるのは、あらかじめユーザーが勘定科目チャートフィールドまたは代替勘定科目チャートフィールドにマッピングした勘定科目値だけです。
さまざまな法定報告書類用に別々の代替勘定科目を作成するには、チャートフィールドの設定時に PeopleSoft セットID 機能を使用します。
PeopleSoft の標準のチャートフィールドを使用する場合、サンプルのチャートフィールド値が既に設定されているため、多くの場合サンプルの金額が入力されています。全ての PeopleSoft サンプル値またはモデル値は、01/01/1900 の有効日で入力されます。自社のデータと区別するため、この日付は使用せず、これよりも早い 01/01/1901 などの日付を使用してください。
各チャートフィールドに入力できる値の数に制限はありません。値はオンラインのチャートフィールド値ページで入力できますが、多数の入力を要するチャートフィールドでは、バッチ インポート プロセスや Microsoft Excel スプレッドシートを使用し、PeopleSoft コンポーネント インターフェイスでチャートフィールド テーブルに値を最初にロードすることもできます。
前述のチャートフィールド リストに記載されているプロジェクト チャートフィールド コンポーネント インターフェイスについては、プロジェクト コスト管理のドキュメントに詳しく記載されています。
「Excel スプレッドシートによるコンポーネント インターフェイス処理へのチャートフィールド値のロード」を参照してください。
注: チャートフィールド値には、特殊文字や組み込みブランクを使用しないことをお勧めします。一般的に使用される英数字やアンダースコアを使用してください。チャートフィールド値を定義するときには基本的に、アポストロフィなどの特殊文字は使用せず、ブランクも含めないようにしてください。特殊文字やブランクが含まれていると問題が生じやすくなり、特に、配賦や組合せ編集、仮勘定会計などの一部のバッチ処理で問題を引き起こすことがあります。(この注意事項は、ビジネス ユニットや元帳、仕訳 ID にも該当します。)
最初にチャートフィールド テーブルに値を入力すると、以降はチャートフィールド値ページで管理できます。企業で変更が必要になった場合や組織の拡大に応じ、PeopleTools ツリー マネージャを使用してチャートフィールド値を追加したり更新したりできます。
ほとんどのチャートフィールド値は定義の変更に対して有効日を設定できるため、部門をアクティブにする日、製品ラインを導入する日、口座を閉鎖する日などを設定できます。有効日機能をアクティブ/非アクティブ機能と共に使用することにより、全ての変更や追加に関する完全な履歴を保持し、完全な監査証跡を提供し、過去、現在、将来の状況について比較することができます。あるチャートフィールド値を今後使用しない場合は、元の行を非アクティブにするのではなく、行を追加して有効日を設定した非アクティブなエントリを作成します。既存の行を非アクティブに設定するだけでは、チャートフィールド値がアクティブだったときの履歴が残りません。
プロジェクト チャートフィールド値はアクティブまたは非アクティブにすることができますが、ステータスについては有効日を設定できません。
ただし、プロジェクト コスト管理がインストールされていない場合は、プロジェクトの[予算計上済]、[終了]、[保留]、[オープン]、[提案中]の各プロジェクト ステータスに有効日を設定できます。これらのステータスはメモとしての役割しかなく、コントロール機能はありません。
オプションでチャートフィールド値の組合せを編集し、勘定科目をどの部門、資金、業務ユニットで有効にするかなどを指定できます。会計入力に規制を設け、会計に関する余計な分析、照合作業を極力減らすには、チャートフィールドの組合せ編集を使用します。チャートフィールド組合せ編集は、チャートフィールド検証編集に加えて行います。
チャートフィールド組合せ編集は、コミットメント コントロール予算入力に対しても使用できます。