C SL8500 の ACSLS サポート

この付録は、次のトピックについて説明します。

次の図は、ACSLS サーバーを伴った SL8500 ライブラリを示しています。

図C-1 SL8500 用に ACSLS を構成する前の ACSLS サーバーを伴う SL8500

図C-1 については、周囲のテキストで説明しています。

SL8500 ライブラリは、Ethernet 物理インタフェースを介した TCP/IP プロトコルを使用して、ホストおよび ACSLS を管理しこれらと通信します。このインタフェースにより、ACSLS は SL8500 に接続し、通信できます。SL8500 用に ACSLS を構成する前に:

  • 1 台以上の SL8500 を ACSLS に接続します

  • SL8500 のすべてのコンポーネントが動作していることを確認します。

    ACSLS は、ライブラリによって報告される情報から、そのライブラリ構成を構築します。SL8500 コンポーネントが動作していない場合は、ライブラリ情報が ACSLS に報告されない可能性があり、SL8500 の ACSLS 構成が不完全になります。

    注:

    ドライブや CAP などのコンポーネントが動作していない場合は、動的構成 (config acs、config lsm または config drives) を使用して、ACSLS が実行しライブラリがオンラインである間に、これらのコンポーネントを簡単に追加または更新できます。

複数の SL8500 へのマルチ TCP/IP を使用した接続

SL8500 3.97 以降のファームウェアがインストールされている場合、ACSLS は ACS (ライブラリコンプレックス) 内の複数台の SL8500 に接続できます。

ACSLS は最大 15 の ACS への接続をサポートします。たとえば、4 台の SL8500 への 15 の接続、2 台の SL8500 それぞれへの 2 つの接続、1 台の SL8500 への 2 つの接続ともう 2 台の SL8500 への 2 つの接続、2 または 3 台のライブラリへの 3 つの接続などの場合が可能です。

ACSLS が複数のライブラリに接続する場合、冗長性を得られるように別々のサブネットで接続してください。1 つのサブネットで障害が発生しても、ACSLS とライブラリ間の通信はその他のサブネットを介して継続します。

ACSLS から 2 つの接続で 1 枚の SL8500 HBC カードに接続している場合は、概要の説明に従って、SL8500 と ACSLS サーバーのルーティングテーブルを構成します。ACSLS サーバーと各 SL8500 ライブラリ間の接続が 1 つしかない場合は、ACSLS と SL8500 のルーティングテーブルの構成は必要ありません

ライブラリのパフォーマンスを最適化し、SL8500 間のライブラリ間通信を最低限に抑えるには、もっともアクティビティーの高いライブラリに接続します。acsss_config または config acs で指定する最初の接続を、もっともアクティビティーの高い SL8500 への新しい接続にします。

詳細は、SL8500 Modular Library System の技術的な概要 - ホストとライブラリ間の通信を参照してください。

SL8500 のすべてのコンポーネントが動作していることの確認

SL8500 のすべてのコンポーネントが動作していることを確認するには:

  1. StorageTek ライブラリコンソール (SL コンソール) にログオンします。

    SL8500 のコンソールとリモートライブラリコンソールのどちらも使用できます。

  2. 「Tools」 -> 「System Detail」を選択します。

    • すべての SL8500 コンポーネントが緑色になっている必要があります。

      例外: 黄色のドライブは、動的構成を使用して現時点でまたはあとから構成できます (bdb.acsss)。

    • 見つからないコンポーネントは、動的構成 (config acs または config lsm) ユーティリティーを使用して追加できます。

    • 重要: SL8500 を構成する前に、エレベータ (エレベータフォルダ) は緑色になっている必要があります。エレベータが緑色でない場合は、ACSLS に対して SL8500 を構成しないでください。エレベータは論理パススルーポート (PTP) です。PTP がない場合、SL8500 レールが接続されていることが ACSLS にはわかりません。

  3. SL8500 コンポーネントが動作可能になったら、CSI チューニング変数の設定または acsss マクロの説明に従って、ACSLS に対して SL8500 を構成します。

SL8500 内部アドレスと ACSLS アドレスについて

SL8500 の内部アドレスと、ACSLS および HSC でサポートされているその他のライブラリの内部アドレスとには、違いがあります。

  • SL8500 は 1 を基準にしており、負の数を使用します。

  • その他のライブラリは 0 を基準にしており、負の数は使用しません

  • SL8500 は、ライブラリ、レール、列、サイド、および行の 5 つのパラメータを使用します。

  • レガシー StorageTek ライブラリ (9310 など) は、ACS、LSM、パネル、行、および列を使用します (HLI–PRC)。

表C-1 アドレス指定の説明

HLI–PRC

SL8500

説明

ACS

ライブラリ

ライブラリコンプレックス内の特定の SL8500 ライブラリの番号。ACS は SL8500 ライブラリコンプレックスです。ライブラリコンプレックスには複数の SL8500 を配置できます。

LSM

LSM 0  
LSM 1  
LSM 2  
LSM 3  

レール

レール 1
レール 2
レール 3
レール 4

SL8500 ライブラリには、HandBot が移動するレールが 4 つあり、上から下に 1 – 4 (1 を基準) の番号が付けられています。

ACSLS では、それぞれのレールは個別の LSM とみなされ、上から下に 0 – 3 (0 を基準) の番号が付けられています。

パネル

パネル 0
パネル 1
パネル 2 – n

CAP
ドライブ
ストレージスロット

列は、ライブラリ内の水平方向の場所を示します。ライブラリの前面から見ると、列およびパネルの番号は、ドライブパネルの中央 (1) から開始し、先にスイープするごとに番号が増加します。

(SL8500 はアドレスとしてパネルを使用しません。)

HLI パネルは、 LSM の両サイド (左と右) と両ウォール (内部と外部) を含むライブラリの幅全体にわたります。

 

サイド

ウォールの場所:

外部ウォール

内部ウォール

HandBot 番号:

左 (–)

右 (+)

行は、テープカートリッジの垂直方向の場所を示し、上から下に番号が付けられます。

 

HLI アドレスの行は次のとおりです。

ストレージパネルは 2 から始まり、列 0 = 左
および列 1 = 右です

行 0 – 12 外部ウォール

行 13 – 26 内部ウォール

通常のストレージパネル内の各列には 27 の行があります。

パネル当たり 54 のカートリッジの合計容量について。

SL8500 アドレスの行は次のとおりです。

ストレージスロットは
列 -3 = 左
列 +3 = 右から始まります

行 1 – 13 外部ウォール

行 1 – 14 内部ウォール


  • 0 を基準とした番号付け (HLI と同様) は番号付けを 0 から開始します。

  • 1 を基準とした番号付け (SL8500 と同様) は番号付けを 1 から開始します。

  • これが、ソフトウェア (ACSLS または HSC) とハードウェア (物理的な SL8500 アドレス) の番号付けの順序における重要な違いです。

SL コンソールを使用したアドレス変換

SL コンソール検索ユーティリティーを使用して、SL8500 内部アドレスと ACSLS または HSC のパネル、行、および列を変換します。カートリッジを検索するには:

  1. SL コンソールにログインします。

  2. 「Tools」 > 「Diagnostics」 > 「Search」を選択します。

  3. 「Location」を選択します。

  4. Location 」フィールドで、次のいずれかの操作を選択します。

    contains 例: 1,1,-9 は、両サイドのすべての行に対し、ライブラリ 1、レール 1、列 -9 内にあるコンテンツを一覧表示します
    endsWith 例: 1,5 は、サイド 1、行 5 のすべてのレールおよび列のスロットコンテンツを一覧表示します
    equals 例: 1,1,-9,1,1 は、その特定の場所 (L,R,C,S,W) にあるコンテンツを一覧表示します
    startsWith 例: 1, 3 は、ライブラリ 1、レール 3 にあるすべての列、サイド、および行のスロットコンテンツを一覧表示します。

  5. Requestor」プルダウンメニューから次のいずれかを選択します。

    • default

      ライブラリ内部の物理的な場所 (セル、ドライブ、CAP)。

      物理的な場所 (内部アドレス) がわかっており、HLI-PRC アドレスを検出する必要がある場合、そのアドレスを「location」に入力 (enter) し、リクエスタとして「default」を選択します。

    • hli#

      これは、ライブラリ管理ソフトウェアからカートリッジの HLI-PRC アドレスを選択します。ここで # は次のいずれかです。

      • hli0 はパーティション分割されていないことを示します。

      • hli1-8 はパーティション分割されたライブラリを示します。ここで数値はパーティション番号です。

      このオプションは、内部アドレスと hli# Requester の両方を表示します。

  6. SL コンソールの右上にある「Search」ボタンをクリックします。

    検索結果には、スロットタイプ (セル、ドライブ、または CAP) ごとの場所が一覧表示されます。

  7. Details (...)」フィールドをクリックします。

    ポップアップウィンドウには、カートリッジの VOLID、メディア、カートリッジタイプ (LTO、SDLT テープ、および T シリーズ、データ、クリーニング、または診断) などの詳細が示され、場所に関する内部アドレスと HLI アドレスの両方が表示されます。

テープドライブの場所

テープドライブは、LSM に関連付けられ、これに属しています。別の LSM にカートリッジテープをマウント (mount) するには、ドライブへの内部パススルー操作 (この場合はエレベータ) をカートリッジに行う必要があります。

次の表には、内部のソフトウェアマッピング (ライブラリ内部のテープドライブから見た場合)、およびドライブの外部の物理的な番号付け (外部のドライブおよび電子モジュールの背面から見た場合) が表示されます。

図C-2 ソフトウェアおよび物理ドライブの番号付け

図C-2 については、周囲のテキストで説明しています。

強調表示されているドライブは、一致するドライブを示します。例:

  • 内部/ソフトウェア LSM 0 ドライブ 0 は、外部/物理ドライブ 64 に一致します。

  • 内部 LSM 1 ドライブ 15 は、外部/物理ドライブ 33 に一致します。

  • 内部 LSM 2 ドライブ 3 は、外部物理ドライブ 20 に一致します。

パーティションからセルを取り外す前のカートリッジの移動

SL8500 は、拡張パーティション分割を使用して、ドライブおよびセルアレイレベルまでパーティション分割できます。詳細は、パーティションからセルを取り外す前のカートリッジの移動を参照してください。

SL8500 CAP

ACSLS 8.4 以降、2 つの SL8500 CAP タイプが ACSLS でサポートされます。レガシー回転式タイプでは、1 つまたは 2 つの 39 セル CAP を各 SL8500 ライブラリに取り付けることができます。最新の CAP タイプである一括 CAP では、8 つの 36 セル CAP が各ライブラリに取り付けられています。

一括 CAP

大規模で頻繁なボールティングアクティビティーが一般的に行われるデータセンターで挿入および取り出し操作をより迅速で効率的に行えるように、より新しい SL8500 ライブラリが設計されています。それぞれの SL8500 ライブラリには 8 つの一括 CAP があり、各レールの各サイドに 1 つの CAP があります。各 CAP には、リムーバブルな 12 スロットマガジンが 3 つ含まれています。

ACSLS は、一括 CAP を使用して、カートリッジを効率的に挿入し取り出します。CAP から挿入されたボリュームは、CAP と同じサイド、同じレール上にあるスロットに移動されます。そのサイドがいっぱいになった場合、もう一方のサイドにある空のスロットが選択されます。レールがいっぱいになった場合は、隣接するレールが選択されます。この方法により、ロボットの移動が最小限に抑えられ、ロボット間の競合が防止されます。同様に、ejecting.sh でボリュームのリストを取り出す場合、各ボリュームは、指定した CAP のなかでもっとも近い CAP に取り出されます。ejecting.shを参照してください。

取り出し中にハンドルとして機能するように各マガジンの空きスロットを予約するには、dv_config を使用して、動的変数 BULK_CAP_EJECT_HANDLETRUE に設定します。

$ dv_config -p BULK_CAP_EJECT_HANDLE  -u

When ejecting cartridges to an SL8500 Bulk CAP, leave a slot in each CAP magazine empty so it can be used as a handle. (TRUE/FALSE) [FALSE]: TRUE

Updating configuration file.

この変数を TRUE に設定すると、各マガジン内の 11 個のストレージセルが取り出し操作に使用されます。最上部の 3 つのレール上の各マガジンの最下部のセルは空のままであり、最下部のレール上の各マガジンの最上部セルは空です。これにより、ハンドルとして空のスロットを使用できます。この設定は、挿入操作中の動作には影響しません。

モジュールごとに 8 つの CAP があり、10 ストリング SL8500 構成で 8 つの一括 CAP を設置できます。大型の SL8500 コンプレックスでは、複数の挿入および取り出しが進行中の場合、CAP 操作によってマウントおよびマウント解除操作が遅れることがあります。この問題を軽減するために、動的変数 LIMIT_CAP_CONCURRENT_MOVES を使用して、マウントおよびマウント解除を続行しながら、並行挿入および取り出しのロボット移動回数を制限できます。この機能を作動させるには、dv_config を使用して、動的変数 LIMIT_CAP_CONCURRENT_MOVESTRUE に設定します。

$ dv_config -p LIMIT_CAP_CONCURRENT_MOVES  -u

When using large numbers of CAPs for ejects and/or enters in an ACS with multiple libraries, limit the number of concurrent moves to/from CAPs to reserve library resources for mounts and dismounts. (TRUE/FALSE). [FALSE]: TRUE

Updating configuration file

ACSLS で一括 CAP を処理するための SL8500 のアップグレード

一括 CAP を 1 台または複数の SL8500 に取り付けるときに ACSLS を更新するには:

  1. ACSLS 8.4 をインストールします。

    これは、一括 CAP を取り付けるはるか以前に行えます。

  2. Oracle フィールドサービスエンジニア (FSE) は、一括 CAP をサポートする SL8500 ファームウェアを、影響のある SL8500 にロードしてアクティブ化する必要があります。

    最低限の SL8500 ファームウェアレベルは 8.50 です。

  3. 一括 CAP ハードウェアを取り付ける前に、ACSLS cmd_proc を使用して、一括 CAP を取り付けるライブラリをオフラインに変更します。

    • スタンドアロンの SL8500 に一括 CAP を取り付ける場合、またはストリング内のすべての SL8500 内に一括 CAP を取り付ける場合は、ACS (ライブラリコンプレックス) 全体をオフラインに変更します。

    • ライブラリコンプレックス内の一部の SL8500 だけに一括 CAP を取り付ける場合は、オフラインに変更する必要があるのは関与する LSM だけです。

  4. この手順中に、FSE は影響のあるライブラリに一括 CAP ハードウェアを取り付けます。

    1. FSE が一括 CAP ハードウェアを取り付ける前に、保守用ドアにもっとも近い 3 つのセルアレイ列内のカートリッジを取り外し、ライブラリ外で保管しておく必要があります。(取り付けが完了したあとで、カートリッジをふたたび挿入します。)

      理由: 一括 CAP を取り付けるために、3 パックアレイに加え、2 列のシステムセルアレイを取り外す必要があります。3 番目の列のほとんどのストレージセルが、ACSLS にアクセスできなくなるシステムセルになります。

    2. FSE は、ライブラリに一括 CAP ハードウェアを取り付けます。

  5. すべての SL8500 がリブートされ、ライブラリのハードウェア監査が完了したあとで、ACSLS cmd_proc を使用して、SL8500 ACS を診断モードに変更します。

    診断モードでは、ACSLS 構成が更新され、ライブラリが監査されている間、ACSLS クライアントはこれらのライブラリにアクセスできません。

  6. ACSLS が実行しているときに、config acs acs_id ユーティリティーを使用して、データベースに記録された ACSLS 構成に一括 CAP を追加します。

    注:

    また、ACSLS を無効にし、acsss_config (オプション 8) を実行して構成を更新することもできます。これを行う場合、ACSLS をシャットダウンする前に cmd_proc から query lmu all を実行し、出力を保存します。続いて、同じ ACS 番号と同じポート接続を使用して、ACS を acsss_config に指定します。acsss_config が行われたあとで、ACSLS を有効にします。
  7. CAP ステータスを表示および確認し、次を使用して ACSLS cmd_proc から入力します。

    display cap * -f  state mode status size type
    

    出力例:

    0  0  0     online    automatic   available     36    SL8500-Bulk
    0  0  1     offline   manual      available     36    SL8500-Bulk
    0  1  0     online    automatic   available     36    SL8500-Bulk
    0  1  1     offline   manual      available     36    SL8500-Bulk
    0  2  0     online    automatic   available     36    SL8500-Bulk
    0  2  1     offline   manual      available     36    SL8500-Bulk
    0  3  0     online    automatic   available     36    SL8500-Bulk
    0  3  1     offline   manual      available     36    SL8500-Bulk
    
  8. cmd_proc を使用して、一括 CAP が取り付けられたライブラリを監査します。次のいずれかを実行できます。

    • ACSLS 全体を監査します。

      audit <cap_id> acs <acs_id>
      
    • 一括 CAP が取り付けられた LSM だけを監査します。

      audit <cap_id> lsm  <lsm_id> <lsm_id> <lsm_id> <lsm_id> ...
      
  9. vary コマンドを使用して、ACS および LSM を ACSLS に対してオンラインに変更します。

    これで ACSLS クライアントは一括 CAP を使用できるようになります。

  10. CAP を使用して、前述の手順 4 でライブラリから取得されたすべてのカートリッジをふたたび挿入します。

挿入と取り出しの目的を示すカスタム SL コンソールメッセージ

SL コンソールは、一括 CAP に挿入しそこから取り出す目的を示したカスタムオペレータメッセージを CAP ステータス画面に表示できます。これらのメッセージでは、カートリッジが挿入されているパーティションや、カートリッジが取り出されるパーティションも報告できます。

これらのオペレータメッセージはオプションです。これらはベースとなる入力および取り出し処理には影響せず、SL8500 一括 CAP でのみサポートされています。

カスタムオペレータメッセージを使用するには:

  1. SL コンソールを使用して opmsg 番号に対して表示するメッセージを定義します。次のオプションを選択します。

    Tools
       Configuration
          CAP Usage Message
    

    4 から 99 のメッセージ番号および関連付けられたメッセージを定義します。可能な場合は、メッセージを 20 文字以内に抑え、使用可能な領域に納まるようにします。

  2. 手動の挿入または取り出しに対するオプションのオペレータメッセージ番号を入力します。

    enter <cap_id> [opmsg <opmsg_nbr>]

    eject <cap_id> [opmsg <opmsg_nbr>] vol_id | vol_range ...

    カスタムの opmsg 番号は、ACSAPI クライアント、ACSLS GUI、または lib_cmd eject からの取り出しには指定できません。これらの場合は、デフォルトのメッセージが表示されます。

    カートリッジを挿入するため、または取り出されているカートリッジを取り外すために CAP がロック解除されたあとで、opmsg メッセージがシステム詳細の CAP ステータスページに表示されます。

    例: 一括 CAP 1,2,1 からカートリッジを挿入するときに、カスタムオペレータパネルメッセージ番号 55 を指定するには:

    enter 1,2,1 opmsg 55

回転式 CAP

SL8500 の回転式 CAP は、LSM 1、2、3 に対応する 3 つのレール (2、3、4) にわたります。基本構成には、SL8500 モジュールごとに 1 つの CAP と、オプションとして取り付けられる 2 番目の CAP が含まれます。

各回転式 CAP には、それぞれ 13 セルを備えたマガジンが 3 つあります。マガジンはそれぞれ別のレール上に置かれ、そのレール上の HandBot だけがアクセスできます。挿入中、ACSLS は、各マガジンから隣接する LSM (レール) にカートリッジを移動させようと試みます。隣接するレールが満杯の場合にかぎり、ボリュームは別のレールに移されます。同様に、特定のレール上のボリュームは、そのレール上の隣接するマガジンに取り出されます。

最上部のレール (LSM 0) には隣接する CAP マガジンがないため、エレベータが自動的に移動し始め、その最上部のレールからボリュームが取り出されます。挿入時、最上部のレールには、それより下のレールが満杯になるまで、搭載されません。最上部のレール上のドライブにマウントされたボリュームは、最終的には、マウント解除されるときに最上部の LSM に移されます。それ以外の場合は、最上部のレール上の LSM にボリュームを置くために、明示的な移動操作が必要です。このような追加の移動は、watch_vols ユーティリティーを使用して挿入後に自動的に処理できます。watch_volsを参照してください。

単一の回転式 CAP で複数の LSM に対応しているので、回転式 CAP の状態は、どの LSM のオンラインまたはオフライン状態にも結び付けられていません。隣接する LSM のいずれかまたはすべてがオフラインになっていても、CAP はオンラインのままにできます。逆に CAP がオフラインの場合、どの LSM がオンラインに変更されても、自動的にオンラインにはなりません。

複数の LSM が CAP にアクセスしている場合でも、SL8500 の回転式 CAP は LSM 1 にあるかのようにアドレス指定されます (1,5,9,13 など)。各パーティションが異なるホストに割り当てられている、パーティション分割されたライブラリでは、ユーザーは CAP が共有リソースであることを認識する必要があります。回転式 CAP は、挿入または取り出し操作の直後に予約済みになります。共有された環境でのオペレータは、即座に CAP を満杯にするか空にして、CAP 操作が完了したらドアを閉じる必要があります。ライブラリのパーティション分割を参照してください。

以前のリリースの SL8500 では、2 番目の CAP が実際には取り付けられていなかった場合、オプションの CAP を存在しているが動作していないと報告していました。回避方法として、ACSLS ユーザーは、存在しない CAP の目的の状態をオフラインに維持するように指示されていました。これは、ファームウェアレベルが 6.07 以上のライブラリから問題ではなくなりました。

挿入または取り出し操作

enter 中、ACSLS は常に、CAP マガジンに隣接する LSM (レール) にカートリッジを移動させようとします。取り出しの場合、ACSLS は常に、カートリッジを含む LSM に隣接する CAP セルにカートリッジを取り出そうとします。

これら 2 つの操作ができない場合は、ライブラリコントローラが、エレベータを通じた別の LSM へのカートリッジの移動を担います。これには、2 つの HandBot とエレベータ間の移動が必要です。

一部の ACSLS クライアントでの挿入、取り出し、および監査の操作

その他のライブラリとは異なり、SL8500 は、SL8500 ライブラリ内の LSM ID ごとに CAP を定義していません。SL 8500 上の CAP は、その CAP ID に LSM 1 を含みます。SL8500 には LSM ID が 0、2、または 3 の CAP は存在しません。パーティション分割を行うと、LSM 1 (SL8500 の CAP ID における LSM ID) がパーティションに割り当てられないので、この問題が複雑になります。(CAP はまだ、共有リソースとしてすべてのパーティションで使用できることに留意してください)。

ACSLS クライアントのなかには、entereject、または audit に対して CAP を選択する前に、ACSLS に照会して (query)、どの CAP が存在し使用できるかを識別しないものがあります。これらは、存在しない cap_ids やオンラインではない CAP を指定する場合があります。たとえば、ACSAPI クライアントのなかには、すべての LSM ID に対して CAP が存在していると想定するものがあります。これらは、管理しているカートリッジやドライブの場所と同じ LSM ID を持つ CAP を自動的に指定する可能性があります。存在しない CAP ID を指定した挿入、取り出し、または監査は失敗します。

ACSLS cmd_proc を使用して次の操作を行う必要があります。

  • 存在しない CAP ID を指定するクライアントに対して、カートリッジを挿入 (enter) し取り出し (eject) ます。

  • これらのクライアントによって使用されるすべての ACS とパーティションに対して監査を実行します。

挿入、取り出し、または監査のあと、クライアントアプリケーションのデータベースを ACSLS データベースと再同期させる必要があります。

エレベータおよび PTP アクティビティーを最小限に抑える

次のような、エレベータおよび PTP アクティビティーを最小限に抑えるために行えるいくつかの操作があります。

カートリッジのマウント 可能な場合は、テープをマウントするときに、同じ LSM 内にあるカートリッジとテープドライブを使用してください。LSM は、SL8500 ライブラリ内の単一のレールを指します。各 SL8500 には 4 つの LSM が含まれます。
フロートの使用 各 LSM 内の一部の空きセルを管理することによって、ACSLS の「float」オプション (ACSLS ではデフォルトで有効) を活用します。カートリッジフロートは、ACSLS がマウント解除されたテープカートリッジを同じ LSM 内の空のスロットに配置するか、テープがもともとパススルー操作を使用して別の LSM から取得された場合は、テープドライブにより近い LSM 内の空のスロットに配置できるようにする機能です。

カートリッジがマウント解除されると、ACSLS は、カートリッジの古いホームセルが別の LSM 内にあるときはいつでも、新しいホームセルを割り当てることによって、LSM 間のエレベータ (パススルー) アクティビティーを回避しようとします。ACSLS は次の場所にカートリッジを配置しようとします。

  • マウント解除されたテープドライブと同じ LSM

  • またはドライブにもっとも近い LSM (空のストレージセルを含む)

カートリッジの挿入 挿入されているメディアについて互換性のあるテープドライブを備えた LSM にカートリッジを挿入 (enter) します。

例: LSM 2 および 3 上に LTO ドライブだけがあり、LTO カートリッジをこれらの LSM に配置します。これらのカートリッジを挿入するときに、LSM 2 および 3 に隣接する CAP マガジンに配置する必要があります。ACSLS は続いて、その CAP マガジンに隣接する LSM にカートリッジを配置するために最大限努力します。

スクラッチカートリッジ 使用されるそれぞれの LSM で、十分な数量のスクラッチカートリッジが利用できることを確認します。SL8500 の場合、これは、ライブラリの各レール (LSM) 上でスクラッチカートリッジを使用できることを意味します。
空きセル 各 LSM 内に十分な空きセルがあることを確認します。

ワークロードをサポートするためのテープドライブの構成

SL8500 でテープドライブを構成する方法により、テープワークロードをサポートしながら、エレベータと PTP アクティビティーの両方を最小限に抑えることができます。SL8500 内でテープドライブが置かれている場所の判断に使用する方法は、次のとおりです。

  • ワークロードに必要な最大数のドライブをサポートする十分なドライブを使用して、ワークロードごとにカートリッジをクラスタ化します。それぞれのワークロードで使用されるカートリッジを別々のレールに分離し、ワークロード専用のレールに、ワークロードのピーク時の使用量に応じた最大の並行マウント数に対応できる十分なドライブがあることを確認します。ワークロード用のテープカートリッジだけではなく、必要になるスクラッチカートリッジもレールに備わっていることを確認します。

  • 各主要アプリケーションのワークロードに別々のレールを割り当てます。これは、Symantic NetBackup や Tivoli などの一部のアプリケーションが独自のメディアとドライブを使用する場合があるためです。

  • 単一のレールでのドライブおよびメディアのクラスタ化は、時間あたりのマウント数のしきい値に到達した、すべてのドライブが使用されている、またはレール上に収めるアクティブなカートリッジが多すぎるという事態になるまで機能します。ワークロードに必要なリソースがレールの容量を超えた場合、カートリッジとドライブを 2 つ以上のレールに分散させます。

  • タイプごとにドライブをクラスタ化し、異なるメディアタイプを使用するドライブを別々のレール (LSM) に配置します。たとえば、T9840 ドライブを 1 つのレール上に、T10000 ドライブを別のレール上に配置します。

  • ライブラリ構成のパフォーマンスの制限を超えないように、負荷のかかるテープアプリケーションを構成します。

  • 冗長性が得られるように 8 つの HandBot (レール当たり 2 つの HandBot) で SL8500 を構成します。これにより、ワークロードをサポートするカートリッジとドライブに常にアクセスできます。

カートリッジの場所の管理

カートリッジがもともとライブラリにどのように挿入されているか、つまりライブラリでのステータスが、ACSLS のパフォーマンスに影響する場合があります。考慮事項は次のとおりです。

カートリッジの挿入 推奨事項: CAP からカートリッジを挿入します。

前面アクセスドアを開いたまま手動でカートリッジをライブラリに配置すると、ライブラリ操作は中断し、ACSLS は完全な監査を実行して、ライブラリの実際の内容と一致するようにライブラリデータベースを更新する必要があります。

パフォーマンスを最大限に高めるには: カートリッジアクセスポート (CAP) からカートリッジを挿入します。

挿入中、ライブラリはオンラインのままであり、マウントは続行でき、ライブラリ管理ソフトウェアは常に、CAP マガジンに隣接した LSM にカートリッジを移動しようと試み、この結果パススルーアクティビティーが最小限に抑えられます。

これが可能ではない場合、ライブラリコントローラはエレベータを通じてカートリッジを別の LSM に移動させます。これにより、2 つの HandBot とエレベータ間をさらに移動させることが必要になります。

カートリッジのクラスタ化 ワークロードの最大のアクティビティー (ピーク時の使用量) に対応できるだけのテープドライブを備えた個別のレールに、カートリッジをワークロードごとにクラスタ化します。
フロートの使用 推奨事項:
float がオンの場合、ACSLS は、マウント解除時にできるかぎりドライブに近い LSM 内にある新しいホームセルをカートリッジ用に選択します。このオプションは自動的に、ワークロードのドライブごとにカートリッジをクラスタ化します。

各 LSM に、その LSM 内で新しいホームセルを選択できるだけ十分な空きセルが含まれていることを確認します。

スクラッチカートリッジの供給 各レールに、正しい数量とタイプのデータカートリッジがあり、さらにワークロードに対応するための十分なスクラッチカートリッジがあることを確認します。

見つからないカートリッジを見つける

カートリッジが所定の場所にない、または ASSLS で行方不明になっている場合:

  1. SL コンソールを使用して、SL8500 の物理的監査を実行します。

    SL8500 の物理的監査は、mount の処理とその他のライブラリ操作リクエストの間のバックグラウンドタスクとして実行されます。

    注意:

    カートリッジを直接ロードするなどの手動の操作のために、SL8500 のコンテンツが ACSLS と同期しなくなった場合は、操作を継続しようとすることはお勧めしません。

    テープを手動で追加する必要がある場合は、SL8500 内の特定の LSM に追加することをお勧めします。特定の LSM にテープを追加し、影響を受ける LSM だけを監査することが、より迅速で信頼性の高い解決法になります。

    監査が進行中の間、影響を受ける LSM を ACSLS に対して診断状態に変更 (vary) する必要があります。SL8500 ライブラリの監査を実行したあとで、LSM を ACSLS に対してオンラインに変更 (vary) します。

  2. ACSLS audit を実行して、ライブラリカートリッジの実際のインベントリに一致するように、ACSLS データベースを更新します。

SL8500 のオフラインへの変更

SL8500 コンポーネントの電源を切断する前 (これらが動作していない場合)、または SL8500 アクセスドアを開く前に、ACSLS に対してこれらをオフラインに変更 (vary) します。これにより、これらが使用できないことが ACSLS に通知されます。それらが使用可能になると、オンラインに戻します (vary)。

SL コンソールではなく ACSLS を使用して SL8500 コンポーネントをオフラインに変更する

SL8500 コンポーネント (ACS、LSM、および CAP) を SL コンソールではなく ACSLS に対してオフラインに変更 (vary) します。

ACSLS を使用すると、vary offline の強制でないかぎり、コンポーネントをオフラインにする前に、未処理のリクエストを完了させることができます。ACSLS に対する未処理のリクエストは SL コンソールにはわかりません。

SL コンソールを使用してコンポーネントをオフラインに変更した場合、処理中のリクエストが失敗する原因になることがあります。

SL8500 コンポーネントを ACSLS に対してオフラインに変更する場合

このセクションでは、SL8500 コンポーネントを ACSLS に対してオフラインに変更する場合について説明します。

アクセスドアを開く前

SL8500 アクセスドアを開く前に、ACS または 4 つの LSM すべてをオフラインに変更します。

  • スタンドアロンの SL8500 の場合、次のコマンドを使用して ACS をオフラインに変更 (vary) します。

    vary acs acs_id offline

  • PTP を介して接続された SL8500 の場合、(アクセスドアが開いている SL8500 内の) 4 つの LSM すべてを、次のコマンドを 4 回使用して (4 つの LSM ごとに 1 回)、オフラインに変更 (vary) します。

    vary lsm lsm_id offline

    注:

    SL8500 内のすべての CAP が自動モードである場合、次の手順を行う必要があります。
  1. アクセスドアを開く前にそれらを手動モードに設定します。

  2. アクセスドアを閉じて SL8500 がオンラインに戻ったあとに、自動モードに戻します。

CAP が動作していない場合

CAP が動作していない場合、次のコマンドを使用してオフラインに変更 (vary) します。

vary cap cap_id offline

サービス安全ドアを閉じたとき

ハードウェアの交換でサービス安全ドアを使用する必要があるときは常に、サービス安全ドアを閉じておく時間をできるだけ最小限に抑えることをお勧めします。サービス安全ドアは、特定のリクエストを完了するためにアクセスが必要になる可能性があるその他のハードウェアコンポーネント (エレベータ、CAP、セル) をブロックします。

  • SL8500 の左または右サイドのどちらかのサービス安全ドアを閉じる前に、SL コンソールを通じて、そのサイドにあるエレベータをオフラインに変更 (vary) します。

    サービス安全ドアを開いたあとで、SL コンソールを通じて、そのサイドにあるエレベータをオンラインに戻します (vary)。

  • 右サイドでサービス安全ドアを閉じた場合、このドアは CAP へのアクセスをブロックします。

  • SL8500 の右サイドにあるサービス安全ドアを閉じる前に、ACSLS を通じて、CAP をオフラインに変更 (vary) します。

  • サービス安全ドアを開いたあとで、ACSLS を通じて、CAP をオンラインに変更 (vary) します。

    注:

    SL8500 のサービス安全ドアを閉じて、ライブラリのほかの部分からサービスベイを分離すると、CSE は LSM または ACS をオフラインにせずに、そのサイドにあるアクセスドアを開くことができます。

サービス安全ドアを使用するときにこれらの ACSLS コマンドおよびユーティリティーを使用しない場合

サービス安全ドアを使用するときに、進行していたり開始していたりしてはならない複数の ACSLS のコマンドおよびユーティリティーがあります。これらのコマンドは次のとおりです。

どちらかのサイドでサービス安全ドアが閉じられているときには、次のユーティリティーは使用しないでください。

  • acsss_config

  • config (config drives は OK です)

右 (CAP) サイドでサービス安全ドアが閉じられているときには、次のコマンドは使用しないでください。

  • enter

  • eject

  • set cap mode auto <cap_id>

右 (CAP) サイドでサービス安全ドアが閉じられているときには、次のコマンドは使用できますが、特別な考慮事項が適用されます。

  • audit

    audit コマンドは使用できます。ただし、監査の結果、カートリッジを取り出す (eject) 必要が生じた場合 (監査により重複または読み取り不能なラベルを検出したため)、監査が完了し、ACSLS データベースが更新されても、カートリッジは取り出されません

  • vary acs and vary lsm

    これらのコマンドは成功しますが、cmd_proc とイベントログに、CAP の障害と動作不可能な CAP を報告したメッセージが表示されます。

動的構成 (config) ユーティリティーの使用

動的構成 (config) ユーティリティーを使用すると、ACSLS がオンラインで実行しているときに、ACSLS ライブラリ (およびコンポーネント) に構成の変更を実装できます。これらの構成変更は、acsss_config.log ファイルに記録されます。

次の動的構成ユーティリティーがサポートされています。

  • config acs

  • config drives

  • config lsm

  • config ports

config ユーティリティーの使用には次の利点があります。

  • ACSLS を実行し続けながら、影響を受けないライブラリコンポーネントに対して mount リクエストを実行できます。

  • ほかの構成情報はすべて変更せずに、指定したライブラリコンポーネントを再構成できます。たとえば、次を指定する場合:

    • ACS の場合、ほかの ACS の構成は影響を受けません。

    • LSM の場合、ほかの LSM の構成は影響を受けません。

    • ドライブパネル、パネル上のドライブ、既存のすべてのドライブに対するマウントおよびマウント解除は影響を受けません。

SL8500 の拡張

ストレージ拡張モジュール (SEM) を SL8500 に追加して、その容量を増やします。SEM は、CAP を含む顧客インタフェースモジュール (CIM) と、CIM に現在接続している SEM またはロボット工学インタフェースモジュール (RIM) の間に挿入されます。

SL8500 を拡張した場合:

  • ライブラリ構成が変更し、ACSLS の動作中に ACSLS Dynamic 構成ユーティリティーを使用するか、ACSLS の停止中に acsss_config を実行して、ACSLS を再構成する必要があります。

  • SL8500 を拡張するにはカートリッジを取り外す必要があります。これらのカートリッジをライブラリに戻す場合は、これらが以前に置かれていたセルアレイを空のままにしておきます

  • 拡張が完了したあと、SL8500 を 2 回リブートする必要があります。最初は新しい構成を検出するために、2 回目はライブラリのすべてのコンポーネントを更新された構成で再起動するためです。

  • ライブラリでは、物理的監査を行なってすべてのカートリッジの場所を更新する必要があります。

    ライブラリは、アクセスドアが閉じられると、自動的に物理的監査を開始します。ライブラリの物理的監査は、すべてのロボットの移動が少なくとも 1 分間停止すると完了します。

  • ライブラリの物理的監査が完了したあとで、拡張 SL8500 の監査の手順を使用して、ACSLS データベースを更新します。

    注:

    ACSLS 監査が完了し、ACSLS データベースが新しいカートリッジの場所で更新されるまで、自動ライブラリ操作を開始しないでください。

内容

SL8500 の物理的な拡張の内容は次のとおりです。

  • 新しい SEM が既存の SEM または RIM と CIM の間に挿入されます。

    これで新しい SEM と CIM でのパネル番号は、既存の SEM と RIM でのパネル番号よりも高くなります。

  • CIM は取り出す必要があるので、より高い新しいパネル番号が CIM 上の 3 つのセルパネル (カラム) に割り当てられます。より高いパネル番号が CIM 上のセルパネルに割り当てられると、CIM 上のすべてのカートリッジのアドレスが変更します。

  • SL8500 を拡張するには多くのカートリッジを取り外す必要があります。既存のレールのボルトを外して新しいレールをボルトで固定し、CIM を押し上げるためにセルアレイを取り外す必要があります。

  • 新しいレールが取り付けられ SL8500 が拡張されたあとで、取り外されたカートリッジをライブラリに戻すことができます。ライブラリを拡張するために一時的に取り外されたセルアレイは空のままにしておきます。

拡張後、ACSLS がこれらのカートリッジの新しいアドレスでそのデータベースを更新できるように、ライブラリを監査 (audit) します。カートリッジを新しい場所に配置したときに、以前セル内にあったカートリッジを ACSLS が検出しようとすると、ライブラリのパフォーマンスが監査中に大幅に低下することがあります。ACSLS とライブラリの両方のパフォーマンスを最適化するには、次の手順を完了します。

  1. ACSLS 監査を開始する前に、ライブラリの物理的監査を完了させます。ライブラリがそのデータベースからカートリッジの場所を ACSLS に報告できる場合、結合された監査がより迅速に終了します。それ以外の場合、ライブラリは、ACSLS の audit リクエストに応答する前に、カートリッジの場所を再検証する必要があります。

  2. ライブラリを拡張するために取り外されたカートリッジに対して、次のいずれかの方法を使用してライブラリに再挿入します。

    1. ライブラリからカートリッジを取り外し、ACSLS からライブラリを監査 (audit) し、続いて取り外されたカートリッジをライブラリに戻します (enter)。

    2. ライブラリに追加されたパネル番号だけにカートリッジを挿入し、最初にこれらのパネルを監査 (audit) します。

      スクラッチカートリッジを追跡するために ACSLS スクラッチプールを使用していない場合は、不在ボリュームの保持を有効にしていれば (デフォルト)、特別な手順は必要ありません。ライブラリを監査 (audit) すると、移動したカートリッジが不在とマークされている場合がありますが、audit は、新しい場所でそれらを見つけ、それらを再アクティブ化します。カートリッジの場所が更新され、重要な情報は失われません。

      カートリッジを ACSLS スクラッチプールに割り当てることによってスクラッチカートリッジを管理しており、カートリッジのスクラッチステータスをクリアしない場合、新しく追加したパネルにカートリッジを置き、最初にこれらのパネルを監査 (audit) します。

      • ライブラリに追加されたパネルに、取り外されたカートリッジを挿入します。つまり、最初の新しい SEM にあるドライブにもっとも近い 3 つのパネル以外のパネル (列) にのみそれらを挿入してください。(最初の SEM の最初の 3 つのパネルには、以前に CIM 内の 3 つのパネルに割り当てられたパネル番号が付けられます。

      • 続いて、もっとも高いパネル番号から下に追加された新しいパネル番号すべてにわたって、ACS または LSM のパネルを監査 (audit) します。

        audit cap_id panel panel_id コマンドを使用します。

      • 最後に、残りの ACS または LSM を監査 (audit) します。

        audit cap_id acs acs_id または
        audit cap_id lsm lsm_id コマンドを使用します。

      この手順は、拡張 SL8500 の監査で詳細に説明されています。

SL8500 モジュールの図:

次の図では、顧客拡張モジュール (#5) 内の 3 つのセルパネルは、CEM のドライブ側にある外部および内部の両方のウォールにある 3 列のカートリッジです。これらは、サービス安全ドアがアクティブ化されたときに、HandBot がアクセスできる CIM 内の唯一のセルアドレスです。

図C-3 SL8500 顧客拡張モジュール

図C-3 については、周囲のテキストで説明しています。

凡例:

  1. カートリッジアクセスポート (2) CAP

  2. ファサードオペレータパネル (オプション) Icey パッド

  3. 顧客インタフェースモジュール

  4. ストレージ拡張モジュール

  5. ロボット工学インタフェースモジュール

  6. PTP (パススルーポート)

  7. ドライブ電子モジュール

  8. AC 電源装置電子制御モジュール

  9. DC 電源装置

  10. テープドライブ

  11. 付属品ラック

  12. 内部ウォール

  13. 保守用ドア

  14. 予約済み列

    • E = エンドストップ

    • S = システムセル

拡張 SL8500 の監査

SL8500 を拡張する前に:

  1. カートリッジのスクラッチステータスを保持する場合:

    1. 次のコマンドを実行して、ライブラリ内の LSM についてもっとも高いパネル番号を特定します。

      display panel acs,lsm,*

      ここでは:

      • acs は ACS です

      • lsm はいずれかの LSM です。SL8500 上のすべてのレール (LSM) には同じ数のパネルがあります。

      • * は LSM 内のすべてのパネルを表示します。

    2. もっとも高いパネル番号を記録します。

  2. 構成が更新され、カートリッジアドレスが audit で更新されるまで、LSM を診断状態に変更 (vary) します。

  3. ACSLS データベースをバックアップします。

  4. SL8500 を拡張します。

    拡張中、新しいまたは拡張したレールを取り付けるため、およびストレージ拡張モジュールを追加するために、カートリッジを取り外す必要があります。

    注:

    ライブラリを拡張するために一時的に取り外されていたセルアレイに、これらのカートリッジを戻さないでください。これにより、これらの場所が最初に監査されるときのライブラリのパフォーマンスにおける大幅な低下が回避されます。
  5. ライブラリに追加されたパネルに、取り外されたカートリッジを挿入します。

    つまり、最初の新しいストレージ拡張モジュール内のドライブにもっとも近い 3 つのパネル以外のパネル (列) にのみ、これらのカートリッジを挿入する必要があります。(最初のストレージ拡張モジュール内の最初の 3 つのパネルは、以前に CIM 内のパネルに割り当てられた番号を保持しています。)

    SL8500 の物理的な拡張が完了したあとで:

  6. ライブラリを 2 回リブートします。

  7. LSM を診断状態のままにしておきます。

  8. 次の方法のいずれかを使用して、ACSLS データベースの構成を更新します。

    • ACSLS が実行している場合:

      config acs acs_id

      または、SL8500 内の LSM (レール) ごとに:

      config lsm lsm_id

    • ACSLS をシャットダウンする場合:

      • ACSLS を停止します: acsss disable

      • ACSLS 構成を更新します: acsss_config

      • ACSLS を起動します: acsss enable

    カートリッジのスクラッチステータスを保持する場合は、手順 9 から 11 を使用して、ライブラリを監査 (audit) します。ACSLS スクラッチプールを使用してカートリッジのスクラッチステータスを追跡していない場合は、手順 12 にスキップします。

  9. ライブラリ内の LSM の新しくもっとも高いパネル番号を特定し、次のコマンドを使用してこの番号を記録します。

    display panel acs,lsm,*

    ここでは:

    • acs は ACS です。

    • lsm はいずれかの LSM です。SL8500 上のすべてのレール (LSM) には同じ数のパネルがあります

    • * は LSM 内のすべてのパネルを表示します。

  10. 新しくもっとも高いパネル番号から古くもっとも高いパネル番号 + 1 まで、拡張中に追加されたパネルを監査 (audit) します。次のコマンドを使用して、降順でこれらのパネルを監査 (audit) します。

    audit cap_id panel panel_id

    ここでは:

    • cap_id は、重複した vol_ids または読み取り不能なラベルを持つカートリッジを取り出す必要のある CAP です。

    • panel_id は監査されているパネルです (acs,lsm,panel)

  11. 各 LSM 内の追加されたパネルごとに別々の監査を実行します。

    注:

    ライブラリコンプレックス内に存在する CAP と同じ数の並行監査だけを実行できます。それぞれの並行監査には別々の CAP が必要です。監査によってすべてのカートリッジが CAP に取り出された場合、監査が終了する前に取り外す必要があります。
  12. 拡張した SL8500 内の各 LSM 全体を監査 (audit) します (または ACS 全体を監査します)。

  13. ACSLS データベースをバックアップします。

  14. LSM をオンラインに変更 (vary) します。

  15. 自動ライブラリ操作を再開します。

パススルーポートを使用した SL8500 の接続

SL8500 ライブラリを既存の SL8500 ライブラリコンプレックスに追加した場合、カートリッジアドレスを更新するために SL8500 を監査 (audit) する必要が生じることがあります。

SL8500 コンプレックス内の LSM は、次の図に示すように CAP 側から見たときに上から下、右から左に番号が付けられます。

図C-4 4 つの接続された SL8500 ライブラリ

図C-4 については、周囲のテキストで説明しています。

サイトの設定方法に応じて、新しい SL8500 を既存の SL8500 の右側に追加していたり、左側に追加していたりします。その結果:

  • 新しい SL8500 を左側に追加した場合、新しい LSM にはより高い番号が付けられ、既存の LSM の番号は変更されません。中断は最小限に抑えられます。

  • 新しい SL8500 を右側に追加した場合、既存のすべての LSM の番号が変更されます。これにより、既存のすべてのカートリッジのホームセルのアドレスが変更します。

SL8500 PTP 接続を設置する前に

  1. SL8500 接続を設置する前に ACSLS にすべての関連するメンテナンスを適用します。

  2. 不在カートリッジのサポートを有効にします。

    不在カートリッジのサポートが有効になっている場合、ACSLS は、削除される LSM 内のカートリッジや、audit が古いアドレスで見つけられないカートリッジを削除しません。これらのカートリッジは、不在としてマークされ、スクラッチステータスを除いたそれらに関するすべての情報を保持します。これらのカートリッジが audit によってあとから検出されると、それらは再アクティブ化されます。

    • ABSENT_VOLUME_RETENTION_PERIOD 変数が 0 ではない場合、不在カートリッジのサポートが有効になっています。デフォルト値は 5 日です。

    • acsss_config (オプション 3) を使用します。手順については、CSI チューニング変数の設定と変数 ABSENT_VOLUME RETENTION_PERIOD を参照してください。

  3. 次のいずれかの方法によって、構成を更新します。

    • ACSLS を起動して、次のコマンドを使用します。

      config acs acs_id

    • ACSLS をシャットダウンして、次のコマンドを使用します。

      • ACSLS を停止します: acsss disable

      • ACSLS 構成を更新します: acsss_config

      • ACSLS を起動します: acsss enable

        acsss_config を実行するときに、ACSLS は実行できません。

        詳細は、CSI チューニング変数の設定または acsss マクロを参照してください。

新しい SL8500 の追加

既存の SL8500 ライブラリコンプレックスにさらに SL8500 を追加した場合、新しい ACSLS 構成を更新する必要があります。新しい SL8500 を追加したために既存の SL8500 の LSM の番号が変更される場合、それらの LSM のカートリッジアドレスを更新する必要があります。

カートリッジアドレスは、そのカートリッジに関連するその他の情報を失わずに更新する必要があります。これには、スクラッチステータス、プール、ロック、所有権などのカートリッジ情報、クリーニングカートリッジの使用回数、およびカートリッジが挿入された日付と時間が含まれます。

接続された SL8500 内の LSM は、(CAP 側から見て) 上から下、右から左に番号が付けられます。

図C-5 4 つの接続された SL8500 ライブラリ

図C-5 については、周囲のテキストで説明しています。

左側への新しい SL8500 の追加

元の SL8500 の (CAP 側から見て) 左側に、新しい SL8500 を中断せずに追加した場合、ホストソフトウェア (ACSLS) を使用して、追加ドライブおよびライブラリを動的に構成します。動的構成がインストールされている場合、ACSLS をリサイクルする必要はありません。mount リクエストは、このフェーズ中、既存の SL8500 に対して通常どおり続行します。

新しい SL8500 内のセルにカートリッジを配置した場合、これらのカートリッジを ACSLS データベースに追加するために、新しい SL8500 の LSM 上で ACSLS audit を実行する必要があります。

既存の SL8500 内の LSM は、監査中、オンラインにできます。

新しい ACSLS 構成の動的な構成

  1. 新しい SL8500 をライブラリコンプレックスに追加します。

  2. 構成変更を行う前に、ACSLS をバックアップします。

  3. ACSLS 構成を動的に更新し、次のコマンドを使用します。

    config acs acs_id

    ACSLS が停止したときに、次のコマンドを使用して ACSLS 構成を更新することもできます。

    acsss_config

  4. 構成変更を行なったあとに、ACSLS をバックアップします。

    注:

    新しい SL8500 内にカートリッジがある場合は、新しい SL8500 内の LSM (レール) を監査 (audit) して、これらのカートリッジを ACSLS データベースに追加します。

右側への新しい SL8500 の追加

右側に新しい SL8500 を追加する場合は、次の図に示すように、既存の LSM の番号を変更します。

右側に SL8500 を追加するときの考慮事項

新しい SL8500 が右側に追加されると、すべての既存の LSM の番号が変更され、カートリッジアドレスが変更されます。LSM 番号を変更すると、既存のすべてのカートリッジアドレスが変更されます。アドレスが変更したカートリッジを ACSLS がマウント (mount) しようとした場合、ACSLS がカートリッジを見つけられないので、mount は失敗します。

  • すべてのカートリッジアドレスが更新されるまで、マウントアクティビティーを休止します。

  • ACS 内のすべての LSM を診断状態に変更 (vary) してマウントを防止します。

  • 特定の順序で、既存および新規の SL8500 内の LSM を監査することによって、カートリッジアドレスを更新します。

新しい ACSLS 構成の動的な構成

新しい SL8500 の追加後に ACSLS 構成を動的に更新するには:

  1. 既存の LSM を診断状態に変更 (vary) します (vary lsm_id diag)。

    注意:

    これらの LSM は、監査が終了するまで診断状態のままにしておく必要があります。それ以外の場合は、次の問題が発生します。
    • 最後に認識されたアドレスでカートリッジが見つからないため、マウントが失敗します。

    • 番号が変更された LSM 内の空のセルの ACSLS マップを監査が更新するまで:

      • 新しいカートリッジを挿入すると既存のカートリッジと衝突します。

      • 既存の (番号が変更された) LSM にカートリッジを移動すると、すでにセル内にあるカートリッジと衝突します。

  2. 新しい SL8500 をライブラリコンプレックスに追加します。

  3. ACSLS を (構成変更を行う前に) バックアップします。

  4. 次のコマンドを使用して、ACSLS 構成を動的に更新します。

    config acs acs_id

    注:

    または、ACSLS の停止中に ACSLS 構成を更新します。最初に、acsss disable コマンドを使用して ACSLS を停止させます。acsss_config で構成を変更し、最後に、acsss enable で ACSLS を動作状態に戻します。

    注:

    オンライン状態のときに新しい LSM が追加されます。監査が終了するまで、これらの LSM を診断状態に変更 (vary) します。
  5. ACSLS をバックアップします (構成の変更後)。

  6. ライブラリを監査 (audit) してカートリッジアドレスを更新します (番号の変更以降)。

    次の手順を使用します。

    1. 番号が変更された既存の SL8500 内の各 LSM を監査 (audit) します。

      • カートリッジを損失しないように慎重な手順で既存の SL8500 を監査 (audit) します。

        もっとも高い番号の LSM からもっとも低い番号の LSM ID へという順序で各 LSM (レール) を監査 (audit) します。監査は、(番号が変更された) LSM アドレス内のすべてのカートリッジを検出します。

      • ACSLS の場合、各 LSM を個別に監査 (audit) し、ある LSM の監査を次の LSM の監査前に終えられるようにする必要があります。

        audit は、カートリッジの以前のホームセルアドレス (右側の LSM 内) を調べたあと、カートリッジのアドレスを更新します。左端の SL8500 内の LSM の監査には時間がかかります。ほかの SL8500 の監査はすべてこれよりも速くなります。

        左端の LSM の監査に時間がかかる理由は、それらが Cartridge Recovery リクエストのカスケードをトリガーするためです。監査でホームセルアドレスが異なっているカートリッジを検出すると、audit は、データベースに記録されたセルアドレスをチェックします。そのセルに別のカートリッジがある場合、Cartridge Recovery はそのカートリッジなどを調べます。すべての LSM アドレスが変更されているため、これらの回復は SL8500 ライブラリコンプレックス全体をカスケードします。

      • 監査が終了するまで、LSM を診断状態に維持します。監査が終了したら、これらをオンラインに変更 (vary) できます。audit で、この LSM 内のカートリッジのアドレスが更新されるため、監査された LSM のカートリッジで、自動 mount アクティビティーを再開できます。

    2. 最後に、新しく追加した SL8500 内の LSM (LSM ID が最低) を監査 (audit) します。

      これらの LSM が監査されたあとで、それらをオンラインに変更でき、次の図に示すように、それらのカートリッジをテープドライブにマウントできます。

    acs_015.pngについては、周囲のテキストで説明しています。
    acs_016.pngについては、周囲のテキストで説明しています。
  7. 監査の完了後に ACSLS をバックアップします。

ACS のマージの手順

SL8500 PTP では、単一の ACS に複数の個別の SL8500 をマージできます。カートリッジおよび動作停止時間に関する情報の損失を最小限に抑えるために、これらの推奨される手順に従います。

注:

ACSLS 構成が更新されるときに、グローバルカートリッジアドレスの変更は行われません

ACSLS に関する 2 つのシナリオを次に示します。最初のシナリオでは、マージする ACS に、(CAP 側から見て) 右から左に番号が付けられます。2 番目のシナリオでは、左から右に番号が付けられます。結果得られる ACS がより低い/もっとも低い ACS ID を使用することが想定されます。

右から左に番号が付けられた ACS のマージ

次のシナリオでは、マージする ACS に、(CAP 側から見て) 右から左に番号が付けられます。

図C-6 マージ対象の ACS

図C-6 については、周囲のテキストで説明しています。

図C-7 目的の構成: 単一の ACS

図C-7 については、周囲のテキストで説明しています。

右から左に番号が付けられた ACS をマージする手順

  1. マージされる右端の ACS を除いたすべての ACS をオフラインに変更 (vary) します。

    これにより、カートリッジアドレスが更新されている間のマウントおよびマウント解除が防止されます。

  2. ACSLS を停止 (stop) します: acsss disable

  3. 構成変更を行う前に ACSLS をバックアップします。

  4. acsss_config を使用して、(ACSLS が停止している間に) ACSLS 構成を更新します

  5. ACSLS を起動します: acsss enable

  6. (ACS に追加された) 新しい LSM を診断状態に変更 (vary) します。

    オンライン状態にある間に、これらの LSM が追加されます。

  7. 構成の変更後、ACSLS をバックアップします。

  8. ACS に追加された LSM を監査 (audit) します。

    これらを監査する順序は重要ではありません。ACS 全体、つまりすべての LSM を一度に監査できます。

    カートリッジが再アクティブ化されます。

  9. 監査の完了後に ACSLS をバックアップします。

  10. 新しい LSM をオンラインに変更 (vary) し、通常の自動処理を再開します。

左から右に番号が付けられた ACS のマージ

次のシナリオでは、マージする ACS に左から右に番号が付けられます。

図C-8 既存の構成: 3 つの個別の ACS

図C-8 については、周囲のテキストで説明しています。

図C-9 目的の構成: 単一の ACS

図C-9 については、周囲のテキストで説明しています。

左から右に番号が付けられた ACS をマージする手順

  1. すべての ACS をオフラインに変更 (vary) します。

    これにより、カートリッジアドレスが更新されている間のマウントおよびマウント解除が防止されます。

  2. ACSLS を停止 (stop) します: acsss disable

  3. 構成変更を行う前に ACSLS をバックアップします。

  4. acsss_config を使用して、(ACSLS が停止している間に) ACSLS 構成を更新します。

  5. ACSLS を起動します: acsss enable

  6. (ACS に追加された) 新しい LSM を診断状態に変更 (vary) します。

    (オンライン状態にある間に、これらの LSM が追加されます)。

  7. 構成の変更後、ACSLS をバックアップします。

  8. 左側に追加された新しい LSM を診断状態に変更 (vary) します。

    これらの LSM の監査が完了するまで、マウントおよびマウント解除を実行する必要はありません。

  9. 新しく構成された LSM を監査 (audit) します。

    これらを監査する順序は重要です。次の順序で監査 (audit) します。

    1. まず、同じ ACS 番号を保持する SL8500 内の LSM を最初に監査します。

      • これらのカートリッジの古いアドレスに現在割り当てられている LSM を監査 (audit) する前に、audit で新しい LSM アドレスにあるこれらのカートリッジを検出させます。

      • これらの SL8500 内のすべてのカートリッジに対して、LSM アドレスが更新されます。

      • ACSLS の場合、各 LSM を個別に監査 (audit) し、ある LSM の監査を次の LSM の監査前に終えられるようにします。

      • 監査が終了するまで、LSM を診断状態に維持します。

      監査が終了したら、これらをオンラインに変更 (vary) できます。audit で、カートリッジのアドレスが更新されるため、監査された LSM のカートリッジで自動 mount アクティビティーを再開できます。

    2. 最後に、もっとも低い ACS にマージされた SL8500 を監査 (audit) します。これらの SL8500 内のカートリッジが再アクティブ化されます。

      • これらの LSM すべてを同時に監査できます。

      • これらの LSM を監査する順序は重要ではありません。

  10. (監査の完了後に) ACSLS をバックアップします。

  11. すべての LSM をオンラインに変更 (vary) し、通常の自動処理を再開します。

PTP の取り外しと ACS の分割

2 台の SL8500 に接続する PTP メカニズムを取り外して、単一の ACS を 2 つの別個の ACS に分割できます。この構成の変更は、2 つの ACS を単一の ACS にマージする場合の逆です。

SL8500 を含む新しい ACS を分割の左側に追加することは非常に簡単です。これにより、より高い番号の LSM が新しい ACS に割り当てられ、既存の ACS 内に残っている LSM の番号は変更されません。

左側に SL8500 から新しい ACS を作成して ACS を分割する - 考えられるシナリオ

図C-10 既存の構成: 1 つの ACS

図C-10 については、周囲のテキストで説明しています。

図C-11 目的の構成: 2 つの ACS

図C-11 については、周囲のテキストで説明しています。

ACS を分割するための ACSLS の手順

動的構成を使用すると、ACSLS は実行中に ACS を追加できます。ただし、動的構成はグローバルカートリッジアドレスの変更を行いません。

  1. 構成の変更前に、ACSLS をバックアップします。

  2. 新しい ACS に移動する LSM をオフラインに変更 (vary) します。

    これにより、カートリッジアドレスが更新されている間のマウントおよびマウント解除が防止されます。

    既存の ACS 内に残されている LSM はオンラインのままにしておくことができます。

    これらの LSM 内のマウントおよびマウント解除を続行できます。

  3. 分離する SL8500 に接続している 4 つの PTP メカニズムを取り外します。

  4. パススルーポートが取り外されたあとで、既存の ACS を再構成します。

    これにより、新しい ACS に移動している LSM が取り外されます。次のコマンドを使用します。

    config acs acs_id

  5. 次のコマンドを使用して、新しい ACS を追加します。

    config acs acs_id new

    または、ACSLS の停止中に ACSLS 構成を更新できます。

    acsss_config

    新しい LSM はオンライン状態で追加されます。

  6. 監査が終わるまで、これらの LSM を診断状態に変更 (vary) します。

  7. 新しい ACS を診断状態に変更 (vary) します。

  8. 構成の変更後、ACSLS をバックアップします。

  9. 新しい ACS 内の LSM を監査 (audit) します。

    これらの LSM の監査が完了するまで、マウントおよびマウント解除を実行する必要はありません。これらを監査する順序は重要ではありません。これらすべてを一度に監査できます。

    カートリッジが再アクティブ化されます。

  10. 監査の完了後に ACSLS をバックアップします。

  11. 新しい LSM をオンラインに変更 (vary) し、通常の自動処理を再開します。

    LSM の audit が完了するとすぐに、その LSM をオンラインに変更できます。

分割の右側への新しい ACS の追加

分割の右側に新しい ACS を追加すると、すべてのカートリッジアドレスが再マップされます。

これは推奨されていないので、詳細な手順は記しません。

ただし、いくつかの考慮事項があります。

  • 右側の SL8500 の LSM が既存の ACS から取り外されると、これらの LSM 内のカートリッジは、不在とマークされます (不在カートリッジの保持がアクティブな場合)。これらは、新しい ACS が監査されるときに再アクティブ化されます。

  • 既存の ACS 内の LSM を一度に 1 つの LSM ずつ監査して、これらの LSM 内のカートリッジのアドレスを更新する必要があります。最初にもっとも高い番号が付けられた LSM を監査 (audit) し、続けて次に低い LSM を監査します。次の監査の開始前に、1 つの LSM の audit を終える必要があります。