5 ライブラリハードウェアの設置と構成

ライブラリハードウェアの設置と構成には、次のタスクが含まれます。

  • ライブラリハードウェアへの接続のインストール

    ライブラリハードウェアへの接続のインストールには、次が含まれます。

    • SCSI mchanger デバイスドライバの追加

    • オプションのデュアル TCP/IP サポートの有効化 (SL8500 または SL3000 の場合)

  • acsss_config を使用したライブラリハードウェアの構成

    これにより次ができるようになります。

    • ライブラリの通信を確立します

    • サポートするライブラリの数と、それらをパーティション分割するかどうかを構成します

    • ライブラリへの接続が SCS/ファイバ、TCP/IP、シリアル、または SCSI/ファイバかどうかと、使用する形式を設定します

    • ライブラリハードウェアを再構成します

      注:

      サポートされているライブラリ、ドライブタイプ、メディアタイプの現在のリストと、ドライブとメディアの互換性については、『ACSLS 製品情報ガイド』を参照してください。

ライブラリハードウェアへの接続のインストール

このセクションでは、ライブラリハードウェアへの接続のインストールについて説明します。

SCSI mchanger デバイスドライバの追加

SCSI メディアチェンジャー (mchanger) は、ACSLS と Solaris オペレーティングシステム上の SCSI またはファイバ接続のライブラリ間で通信を行うデバイスドライバです。Linux では、ACSLS はネイティブの sg ドライバを使用します。

Solaris および Linux の両方で、ACSLS は、ACSLS に対してライブラリハードウェアを構成するときに指定する /dev/mchanger リンクも作成します。

SCSI ライブラリのサポートの追加は、インストールプロセスのオプション部分です。ただし、新しい SCSI ライブラリを、または単に SCSI サポートを追加するために、既存の ACSLS インストールに追加する必要がある場合もあります。いつでも必要なドライバをインストールして mchanger リンクを作成できます。

  1. ACSLS サーバーに root ユーザーとしてログインし、パスワードを入力します。

  2. インストールディレクトリに移動します。

    cd $ACS_HOME/install

  3. SCSI ライブラリが機能していて、ACSLS サーバーに物理的に接続されていることを確認します。

    注:

    (Solaris) マルチパスハードウェアが意図的に SL500 ライブラリ用に構成されている場合を除き、ライブラリ接続パスで使用される「fp」ドライバなどの親のデバイスドライバのマルチパス I/O を無効にすることが重要です。SL500 に正常に接続することが困難な場合は、<driver>.conf ファイル (通常は /kernel/drv/fp.conf) でマルチパス I/O が無効にされていることを確認する必要があります。

    mpxio-disable="yes"

  4. 適切なドライバインストールスクリプトを呼び出します。

    • Solaris

      ./install_scsi_sol.sh
      
    • Linux

      ./install_scsi_Linux.sh 
      

SL8500 または SL3000 デュアル TCP/IP サポートの有効化

SL8500 または SL3000 ライブラリがインストールされていて、デュアル TCP/IP サポートを有効にする場合は、デュアル TCP/IP サポートを参照してください。また、これらのセクションでは、作成する必要があるカスタマイズ済みのルーティングテーブルのエントリについても説明します。

ライブラリハードウェアの構成または再構成

ライブラリハードウェアの構成または再構成には 2 つの方法があります (新規または変更されたライブラリかテープドライブ、またはその両方)。

  • acsss_config

    このコマンドは、ACSLS が停止しているときに実行する必要があります。acsss_config を使用します。

    • ライブラリハードウェアの初期 (最初の) 構成の場合

    • ACS を削除するため

    • ライブラリへのポート接続を変更または削除するため

    • ファイバまたは SCSI 接続のライブラリを再構成するため

  • 動的構成 (config) ユーティリティー

    ACSLS が実行中の間は、このユーティリティーを実行します。上記の除外されたものを除くすべての変更には、config を使用します。config ユーティリティーは、

    • 新しいライブラリを追加します

    • TCP/IP 接続のライブラリ構成を更新します

    • ポート接続、LSM、CAP、およびドライブを追加します

acsss_config を使用したライブラリハードウェアの構成

acsss_config を使用すると、ライブラリハードウェアを構成または再構成できます。

  • 各 ACS には少なくとも 1 つの CAP が必要です。これは、別のパーティションと共有される CAP にできます。

  • ACSLS システム全体に対して少なくとも 1 つのドライブが構成されている必要があります。

    たとえば、ACSLS が 4 つのライブラリをサポートしている場合は、3 つのライブラリにはゼロ (0) 個のドライブを含めることができます。ただし、4 番目のライブラリには、少なくとも 1 つのドライブが含まれている必要があります。

  • ライブラリハードウェアを構成します

    はじめてライブラリハードウェアを構成するには、acsss_config ユーティリティーを使用する必要があります。acsss_config ユーティリティーはメニュー方式であり、オプション 8 を選択すると、はじめてのハードウェアの構成、ライブラリの削除、またはライブラリへのポート接続の変更などのタスクを実行できます。

    注:

    ACSLS では、ライブラリを構成または再構成するときに ACS 番号をスキップできます (オプション 6 を参照)。acsss_config と動的構成は、両方とも ACS 番号の指定とスキップをサポートします。たとえば、9310 の ACS 0 から SL8500 の ACS 1 に移行したあと、残りの SL8500 ACS 1 でドライブおよびボリューム ID の番号を付け直さなくても ACS 0 を削除できます。
  • ライブラリハードウェアを再構成します

    acsss_config を使用してすべてのライブラリの構成情報を更新する前に、現在の構成を記録してください。現在のライブラリに割り当てられている ACS 番号を変更すると、すべてのボリュームが不在とマークされ、ドライブのアドレスすべてが変更されます。query lmu all コマンドからの出力を保存して、現在の ACS 番号とポート接続を記録します。

    注:

    既存の物理 ACS に対するクライアント接続がある論理ライブラリがまだ存在しているときに、acsss_config でその ACS を構成から削除すると、SMCE サブシステムが保守状態になることがあります。

    これを回避するには、acsss_config を使用してライブラリ構成から ACS を削除する前に、ACSLS GUI (または、ACSLS 8.2 以降のリリースでは lib_cmd CLI) を使用して、関連付けられたすべての論理ライブラリを削除する必要があります。関連付けられたライブラリを最初に削除すると、関連するすべての情報が確実に正しく削除されます。

    ライブラリの初期構成後に、config ユーティリティーを使用して、ACSLS を停止せずに ACS、LSM、またはテープドライブを動的に追加または再構成できます。

    詳細と手順については、acsss マクロを参照してください。

    注:

    ライブラリの物理構成が変更されるたびに、acsss_config または config を使用して ACSLS データベースを更新する必要があります。データベースに定義されている構成がライブラリに定義されている構成に一致しない場合、ACSLS は正しく実行されません。

    :

    データベースの更新が必要な構成変更には、次が含まれます。

    • ACS、LSM (SL500 などの SCSI 接続の LSM を含む)、パススルーポート (PTP)、トランスポート、またはスタンバイ LMU の追加または削除

      注意:

      新しい ACS または LSM のインストール後は、ACSLS を再構成する前に、接続されている各ライブラリおよび LSM が完全に (ハードウェア) 構成され、電源が投入され準備が整っていることを確認してください。そうしないと、acsss_config または config でライブラリが正しく構成されません。

      注:

      追加したライブラリを ACSLS HA でモニターするためには、ha_acs_list.txt ファイルにエントリを作成する必要があります。詳細については、ACSLS HA についてを参照してください。
    • サーバーシステムと LMU 間のポート接続の追加または削除

acsss_config を起動するには:

  1. acsss としてログインします。

  2. ライブラリハードウェアを再構成している場合は、この手順に従います。

    ACSLS を停止する前に query lmu all cmd_proc コマンドを使用して既存の ACS 番号、パーティション ID、およびポート接続を表示し、この情報を記録します。

  3. ACSLS が実行されている場合は停止します。

  4. 構成ユーティリティーを実行します。

    acsss_config

    ACSLS feature configuration」画面が表示されます。

    注:

    構成ユーティリティー acsss_config では、すべてのライブラリ、LSM、およびトランスポートが完全に構成され、電源が投入されて準備が整っていないかぎり、ライブラリが正しく構成されません。

    次のメニューが表示されます。

    ACSLS feature configuration 
    Please enter the number followed by Return for your choice from the following menu to configure product behavior in that area. 
    Press? followed by the Return key for help. 
    1: Set CSI tuning variables 
    2: Set event logging variables 
    3: Set general product behavior variables 
    4: Set access control variables 
    5: Set automatic backup parameters 
    6: Rebuild Access Control information 
    7: Event Notification settings 
    8: Define or Change Library Hardware Configuration 
    E: Exit 
    Menu choice: 
    

    注:

    オプション 1-7 の説明については、ACSLS の動作を制御する変数の設定を参照してください。
  5. オプション 8 を選択します。

    次のプロンプトで構成の設定を進めます。

    • プロンプト: Configure library communications? (y/n):

      ACSLS サーバーとライブラリ間の通信を確立または更新するには、y と入力します。これには、ライブラリへのポート接続の追加、削除、または変更と、ライブラリパーティションの追加、削除、または変更が含まれます。

      n を選択すると、現在のライブラリの構成がリフレッシュされます。

      ACS を追加または削除したり、ライブラリへの接続を追加、変更、または削除したりする必要がない場合は、ライブラリ通信の構成をバイパスしてハードウェア構成を単にリフレッシュすることが、もっとも簡単で最良のオプションです。ライブラリへの現在のすべての接続の再定義をスキップし、ACSLS データベースに記録されているライブラリ構成をリフレッシュするだけです。これにより、ライブラリへの接続を省略したり誤って指定したりするリスクが排除されます。

    • プロンプト: Library server database exists and will be overwritten, continue? (y or n): y

      このプロンプトは、ライブラリ通信があらかじめ確立済みで既存のデータベースが存在する場合のみ表示されます。

      このプロンプトに対して y と入力すると、構成が変更されます。

  6. サポートする ACS の数を指定します。

    • プロンプト: Number of ACSs to be supported:

      サイトでサポートする ACS の数 (1 から 32 まで) を入力します。少なくとも「1 つ」の ACS が必要です。1 つまたは複数の ACS をサポートするハードウェアが設置されている必要があります。

      注:

      パススルーポートで接続された L700e ライブラリのペアは、1 つの ACS としてカウントされます。

      連続する ACS 番号を割り当てずにライブラリを構成または再構成するときは、ACS の番号付けをスキップできます。

  7. 各 ACS 番号を指定します。

    • プロンプト: Please enter the first ACS number [default: 0]:

      この ACS の番号を入力します。

      注意:

      既存の ACS を再構成するときは、それらに現在割り当てられているのと同じ ACS 番号を指定してください。

      そのあと、ACS ごとのデバイス接続を定義するよう求められます。

  8. ライブラリのパーティションを指定して定義します。

    • プロンプト: Is ACS #n in a partitioned SL8500 or SL3000? (y or n)

      • y と入力すると、ACS のパーティション ID を尋ねられます。

        このパーティション ID は SL コンソール上のパーティション ID に一致する必要があります。

      • これがパーティション分割されたライブラリまたは SCSI/ファイバ接続のライブラリではない場合は、n と入力します。

      ACSLS は、パーティション分割された SCSI/ファイバ接続ライブラリ (SL500 など) をサポートしていません。また、パーティション分割された SCSI/ファイバ接続ライブラリには、パーティション ID はありません。

  9. ACS ごとにデバイス接続 (ポート) を定義します。

    • プロンプト: Number of connections to ACS #n

      このプロンプトは構成されている ACS ごとに表示され、各 ACS の通信ポートの番号を設定します。接続は次のとおりです。

      • SCSI 接続

        注:

        パススルーポートで接続された L700e SCSI ライブラリのペアがある L1400 には、2 つの接続 (各 L700e に 1 つ) があります。
      • ACSLS とライブラリ間のシリアルまたは TCP/IP 接続。少なくとも 2 つの接続が推奨されます

        複数の SL8500 ライブラリに接続する場合は、最大 15 個の接続が許可されます。

    ACS は物理的に接続する必要があります。1 から 15 の 10 進数を入力してください。

    • プロンプト: Device or host - ACS#n, connection #n:

      接続ごとにデバイスまたはホストを入力してください。

      注意:

      必ず正しいホスト名または IP アドレスを指定してください。間違ったライブラリに接続しないでください。

      ACS に指定したすべての接続が、実際に同じ ACS に接続されていることを確認します。

      TCP/IP 接続の LMU への接続を指定するには、次のいずれかを入力します。

      • IP アドレス

      • ホスト名

      • 完全修飾ホスト名

      注:

      ホスト名を指定する場合は、このホスト名を、SL8500 または SL3000 ライブラリ、または 9330 LMU に入力された IP アドレスにマップする必要があります。このホスト名と IP アドレスのマッピングはサイト固有です。通常これは、/etc/hosts ファイル、ドメインネームサーバー、NIS、または NIS+ によって行われます。

      :

      SL8500、SL3000、または 9300 ライブラリの TCP/IP デバイス名の例

      Device or host - ACS #0, connection #0: hostname1 
      Device or host - ACS #0, connection #1: hostname2 
      Device or host - ACS #1, connection #0: fully_qualified_hostname 
      Device or host - ACS #2, connection #0: 192.168.174.31 
      

      注:

      ACSLS は SL3000 への TCP/IP 接続のみをサポートしています。ACSLS はファイバ接続の SL3000 をサポートしていません。9330 ACS への接続は、シリアルまたは TCP/IP のいずれかにはできますが、両方にはできません。

      :

      4400 または 9300 ライブラリにシリアルデバイス名の例

      Device or host - ACS #0, device #0: /dev/ttya 
      Device or host - ACS #0, device #1: /dev/ttyb 
      

      ファイバまたは SCSI 接続のライブラリは、mchanger デバイスを介して接続されます。

      :

      SCSI ライブラリのデバイス名の例

      Device or host - ACS #1, connection #0: /dev/mchanger2 
      

      パススルーポートで接続された L700e SCSI ライブラリのペアがある L1400 には、2 つの接続 (各 L700e に 1 つ) があります。

      :

      L700e ライブラリのペアのデバイス名の例

      Device or host - ACS #1, connection #0: /dev/mchanger2 
      Device or host - ACS #1, connection #1: /dev/mchanger3 
      

      定義する ACS が複数ある場合は、それらの ACS 番号を指定するように求められます (手順 6 を参照)。

  10. ACSLS データベース内の構成を作成または更新します。

    • プロンプト: This step builds a database image of your complete library hardware configuration. Before proceeding, make sure that your library is completely configured, that all subsystems are functional and powered on. Build/Verify library configuration? (y or n):

      y と入力します。

      続行する前に、ライブラリが完全に構成されていることと、すべてのサブシステムが機能していて電源が投入されていることを確認します。

      この手順は、ポート接続の追加または削除を除くすべての構成変更でデータベースを更新します。

    • プロンプト: Library server database exists and will be overwritten, continue? (y or n):

      y と入力します。スクリプトがライブラリ構成を構築すると、各 LSM の各パネルに次のメッセージが表示されます。

      ACS # n, LSM # nn, PANEL # nn, created

      また、このスクリプトはライブラリ構成レポートを生成し、それを次のファイルに追加します。

      $ACS_HOME/log/acsss_config.log

  11. オプションで、Solaris 上に TCP/IP 以外のクライアントを構成します。

    • プロンプト: Configure client system interfaces? (y or n):

      システムからクライアントシステムインタフェースを構成するかどうかを確認されたら、回答します (y または n)。

      OSLAN プロトコルで ICL クライアントを使用している場合を除き、n と入力します。

      y と入力すると、次のメッセージが表示されます。

      CSI SELECTION TABLE 
      
      1) OSLAN CSI Not Selected
      2) ONC/RPC CSI Always Selected 
      
      Do you want to change the CSI selection table (n): 
      

      y の場合は、次のメッセージが表示されます。

      Select OSLAN CSI (n):

      ONC/ RPC は常に選択されます。

      注:

      acsss_config は、データベースを自動的にバックアップしてから終了します。
  12. acsss enable を実行して、サーバーを起動します。

    イベントログを調べると、すべてが動作していることを確認できます。

    サーバーシステムがリブートされると、ACSLS が自動的に起動します。

  13. ライブラリの監査を実行します

    監査は、ライブラリカートリッジの実際のインベントリに一致するように ACSLS データベースを更新します。

    これで、ACSLS によるライブラリ操作の準備が整いました。ACSLS のコマンドを入力する場合は、acssa としてログインします。

ACS の番号の変更

既存の ACS の番号を変更する必要がある場合、または望ましい場合は、acs_renumber.shを参照してください。