8 ライブラリ管理

ライブラリの管理には次のタスクが含まれる場合があります。

ACS 番号の指定

ACSLS では、すべての ACS 番号を順番に割り当てることなく、ライブラリの構成または再構成を行うことができます。

例:

9310 ライブラリから SL8500 に移行するとします。9310 ACS は現在 ACS 0 で、SL8500 ACS は ACS 1 です。

ACS 番号のスキップにより、SL8500 ACS の番号を変更しなくても、SL8500 ACS にすべてのカートリッジとドライブを移行し、9310 ACS を削除できます。

SL8500 ACS の番号を変更するとしたら、すべてのボリュームが削除され、以降の監査で再度追加されることになるでしょう。また、すべての drive_id も変更されることになります。

既存の ACS の番号を変更するには、acs_renumber.shを参照してください。

テープドライブの移動、追加、または取り外し時の ACSLS の再構成

テープドライブの場所を入れ替えたときや、ライブラリ内のテープドライブを別のテープドライブに交換したときは常に、ACSLS データベース内のドライブのシリアル番号およびドライブのタイプを更新するために ACSLS を再構成する必要があります。ライブラリに対してテープドライブの挿入または取り外しを行なった場合は、再構成してテープドライブを追加または削除してください。テープドライブは、メディア検証プールに追加されると ACSLS のアクセスから削除され、メディア検証プールから削除されると ACSLS に追加されます。

テープドライブを使用して既存のドライブを交換した場合、ACSLS がライブラリからテープドライブのステータスを読み取るまで、ドライブのタイプおよびシリアル番号は更新されません。これは、次の場合に発生します。

  • ACSLS の起動

  • ACS または LSM が準備未完了状態になったあとで準備完了状態になったため、ACSLS がライブラリを回復するとき

  • 顧客が ACS、LSM、またはテープドライブをオフラインに変更してからオンラインに戻したとき

  • 顧客がテープドライブ、LSM、または ACS を再構成したとき。

テープドライブの追加または取り外しを行なった場合は、ACSLS 構成を更新して、ACSLS データベース内のドライブを追加または削除する必要があります。

ACSLS のテープドライブ構成を更新することで、マウントのエラーを回避し、間違ったテープドライブにカートリッジをマウントすることを防ぎます。

ACSLS に構成されているテープドライブを更新する

ライブラリ内のテープドライブが移動または交換された場合は、動的構成を使用してドライブのタイプおよびシリアル番号を更新してください。1 つのテープドライブを同じ場所で別のものに交換する場合、更新に顧客確認は必要ありません。ライブラリに対してテープドライブの取り外しまたは挿入を行う場合は、構成の変更を顧客が確認する必要があります。

注:

  • config リクエストを発行する前に、影響を受けるすべてのコンポーネントの準備ができていることを確認してください。

  • 動的構成を使用した ACSLS データベースの更新は、ACSLS が有効になっているときに行われます。動的構成は中断を伴わないため、構成の更新中も ACSLS でリクエストの処理を継続できます。

  • config lsm または config acs を発行したあとは、影響を受けた LSM または ACS を監査することをお勧めします。

テープドライブ構成を更新するには、UNIX コマンドプロンプトから動的構成ユーティリティーのコマンドを使用します。acsss としてログインしている必要があります。

  • config drive <panel_id>

    単一のパネルまたは SL8500 レール上のテープドライブだけが変更の影響を受ける場合、パネル上のすべてのテープドライブに関してドライブ構成を更新するには、config drive <panel_id> を使用します。

  • config lsm <lsm_id>

    2 つのドライブパネルを備えた SL3000 内のすべてのテープドライブに関してドライブ構成を更新するには、config lsm <lsm_id> を使用します。

    注:

    config lsm <lsm_id> では LSM 内の CAP およびストレージ容量も更新されるため、続いて LSM を監査するようにしてください。
  • config acs <acs_id>

    ACS (SL8500 ライブラリコンプレックスなど) 内のすべてのものに関して構成を更新するには、config acs <acs_id> を使用します。

    注:

    config acs <acs_id> では ACS 全体の CAP およびストレージ容量も更新されるため、続いて ACS を監査するようにしてください。

ライブラリの監査

監査は、ライブラリカートリッジの実際のインベントリに一致するように ACSLS データベースを更新します。

監査のしくみ

監査では、重複するボリュームおよび無効なボリュームが取り出されます。カートリッジに次のものが含まれています。

  • すでにスキャンされたものと重複する外部ラベル。

  • 見つからないまたは読み取れない外部ラベル、および仮想ラベルがない。

  • 無効なメディアタイプ。

  • 無効なボリューム ID。

ACSLS は監査から得られたすべてのデータベースの変更をイベントログに記録し、さらに監査中に cmd_proc メッセージを表示します。監査は LSM のストレージセルにのみ適用され、テープドライブまたは CAP には適用されません。監査の実行については、auditを参照してください。

監査を実行するタイミング

監査は次のために実行します。

  • 新しく構成されたライブラリのボリューム情報をデータベース内に作成します。

  • カートリッジが CAP から挿入されなかった場合にデータベースにボリュームを追加します。

    例: LSM をライブラリに追加し、LSM のドアを開いて、LSM にカートリッジを手動で追加しました。

  • ライブラリとデータベースの間の不一致を解決します。

    例: LSM のドアを開き、カートリッジを CAP からではなく手動で取り出した場合は、監査を実行します。監査により、ボリュームは不在としてマークされるか、取り外されたボリュームがデータベースから削除されます。

ACSLS に対して構成または再構成したあとで、SL3000 を監査します。ライブラリは、ACSLS が監査するときに、ACSLS にアクセスできない可能性のあるセルの場所を報告します。アクセスできないセル位置には次のようなものがあります。

  • CAP、ドライブ、およびオペレータパネルが取り付けられている場所。

  • ロボットがアクセスできないセル位置。

  • アクティブ化されていないセル位置。

  • このパーティションに含まれていないセル位置。

監査間隔

監査間隔はいくつかの要因によって異なります。たとえば、ACSLS 構成、ライブラリがセルの内容をデータベースから報告するのか各セルを検査することによって報告するのか、ライブラリ構成、必要なデータベース変更の数、監査のスコープなどの要因があります。次の表では、監査のスコープの違いが監査間隔にどのように影響を与えるかついて説明します。

表8-1 監査のスコープが監査間隔に与える影響

監査時間が短い 監査時間が長い

診断 ACS/LSM

オンラインの ACS/LSM

監査専用の ACS/LSM

ほかのリクエストを処理する ACS/LSM

いっぱいになっているパネル

(一部または完全に) 空のパネル

ドライブパネル

標準パネル

内部パネル

外部パネル


また、次の表に示すように、監査するコンポーネントの LSM タイプも考慮してください。4410、9310、および L5500 では、すべてのセルがいっぱいになっている場合に時間が最短になり、セルが空の場合に時間が最長になります。

表8-2 サポートされている LSM の平均監査時間

LSM タイプ コンポーネント 平均監査時間
(最短および最長)

4410

LSM

3 - 8 時間

9310/L5500

LSM

1.2 - 6 時間

9360

LSM

5 分

97xx/L700/180

LSM

1 分

SL500

LSM

3 分

SL8500 または SL3000

LSM

5 分 (SL8500 の物理的監査が ACSLS 監査の前に完了する場合)


注:

これらの時間は、ほかにアクティブなプロセスがないことを前提としています。4410 および 9310 では、監査されるセルが高い割合で占有されている場合は、監査時間が短くなる可能性があります。

ACSLS への SCSI またはファイバ接続ライブラリの追加

SCSI メディアチェンジャー (mchanger) は、ACSLS と任意の SCSI ライブラリ間で通信を行うデバイスドライバです。ACSLS に接続される SCSI またはファイバ接続ライブラリごとに、mchanger を作成する必要があります。

詳細は、SCSI mchanger デバイスドライバの追加を参照してください。

拡張ストア機能の使用

以降のセクションでは、拡張ストア機能の使用に関する情報を提供します。

注:

この機能は、パススルーポートのない単一の LSM には適用されません。

カートリッジがマウントされるとき、その「ホーム位置」はマウント元のストレージセルです。通常は、カートリッジがマウント解除されるときに、ドライブとは異なる LSM にそのホーム位置がある場合、ACSLS はもっとも近い LSM (テープドライブから最短のパススルー距離) に新しいホーム位置を割り当てようとします。これは、新しいホーム位置へのカートリッジの「フロート」と呼ばれます。

拡張ストア機能のために使用可能になっている LSM 内にカートリッジのホーム位置がある場合、ACSLS は、マウント解除後にカートリッジをそのホーム位置に戻そうとします。

注:

マウント解除時にボリュームのホーム LSM がオフラインであったり、ラベルが一致していなかったりすると、ACSLS はカートリッジをそのホーム位置に戻せないことがあります。そのような場合、カートリッジはマウント解除された LSM からできるだけ近くに格納されます。

カートリッジのアーカイブに使用する拡張ストア LSM がある場合、その LSM のカートリッジは、この機能によって確実にその LSM 内のホーム位置に戻ります。たとえば、拡張ストア LSM 3 がこの機能のために使用可能になっている場合に、LSM 3 のカートリッジが LSM 1 に接続されたドライブにマウントされているとき、カートリッジのマウント解除後に、ACSLS はカートリッジを LSM 3 内のホーム位置に戻そうとします。LSM 3 が使用可能になっていない場合、ACSLS は LSM 1 内の新しいセルにカートリッジを格納しようとします。

この機能のために使用可能にできるのは LSM 全体のみです。パネルや個々のセルなど、LSM のサブコンポーネントを使用可能にすることはできません。ACS 全体をこの機能のために使用可能にするには、ACS 内の各 LSM を使用可能にする必要があります。

注:

拡張ストア機能を有効にすると、カートリッジのマウント解除時のパススルーアクティビティーが増加します。これによってライブラリのパフォーマンスが大幅に低下する可能性があります。

LSM を拡張ストア機能のために使用可能にするには、lsm_fixed_volume ファイル ($ACS_HOME/data/external/fixed_volume ディレクトリにある) を変更します。ファイルを変更したあとは、指定した LSM を使用可能にするために、ACSLS を停止して再起動します。

サンプルファイルを変更するときは、次の規則を使用します。

  • コメント行および空白行は、ファイル全体で使用できます。

  • 各 LSM 識別子の行は、ACS 番号、コンマ、および LSM 番号で構成されます。ACS 番号と LSM 番号の間にスペースやタブがあってはいけません。

  • LSM 識別子ごとに行を変える必要があります。

  • LSM 識別子の行の明示的な順序付けは不要です。

  • ファイルの終わりを示す明示的な区切り文字は不要です

拡張ストア機能の制御ファイルの例:

# This lsm_fixed_volume file must be found in the 
# $ACS_HOME/data/external/fixed_volume 
# directory. This is a sample lsm_fixed_volume file that may be  
# edited your particular configuration. 
# Comments may appear anywhere in this file, but must include a  
# pound sign in the first column. 
# Blanks lines are also allowed throughout the file for # readability, and 
# will be ignored. 
# For all the LSM identifiers found in this file, a ”best” attempt  
# will be 
# made to return the volume to its home location at dismount. 
# A valid LSM identifier consists of the ACS number, separated bya comma, 
# and followed by the LSM number. Leading or trailing blanks are  
# ignored. 
#    ACS,LSM 
#    0,0 
#    0,1 
# ACS 1, LSM 0 through 3 
#    ACS,LSM 
#    1,0 
#    1,1 
#    1,2 
#   1,3 

次は、変更された制御ファイルの例です。この例では、太字で示されている行からコメント (#) 文字が削除されており、LSM 0,0 および 0,1 を使用可能にするように指定しています。

# This lsm_fixed_volume file must be found in the  
# $ACS_HOME/data/external/fixed_volume 
# directory. This is a sample lsm_fixed_volume file that may be  
# edited your particular configuration. 
# Comments may appear anywhere in this file, but must include a  
# pound sign in the first column. 
# Blanks lines are also allowed throughout the file for  
# readability, and 
# will be ignored. 
# For all the LSM identifiers found in this file, a ”best” attempt  
# will be 
# made to return the volume to its home location at dismount. 
# A valid LSM identifier consists of the ACS number, separated by a comma, 
# and followed by the LSM number. Leading or trailing blanks are  
# ignored. 
#     ACS,LSM 
      0,0 
      0,1 
# ACS 1, LSM 0 through 3 
#     ACS,LSM 
#     1,0 
#     1,1 
#     1,2 
#     1,3 

混合メディアライブラリの管理

混合メディアにより、ACSLS は同じライブラリ内でのテープドライブおよびメディア (カートリッジ) タイプの混在をサポートします。ACSLS の混合メディアサポートは、ロボットがテープドライブに互換性のないメディアタイプをマウントすることを防止します。たとえば、SL8500 内で、ロボットは T10000 テープドライブに LTO カートリッジをマウントしません。

ACSLS の混合メディアサポートには、カートリッジ上のメディア ID ラベルにメディア文字が記載されている必要があります。

注:

現在サポートされているドライブタイプ、メディアタイプ、およびドライブとメディアの互換性のリストについては、ACSLS の製品情報ガイドを参照してください。

カートリッジで使用されている記録形式について ACSLS の知識は限られています。ACSLS は、テープドライブへのデータパスにアクセスできないため、記録形式に互換性がないことを検出および防止することはできません。ただし、最新の T9840、T9940、および T10000 テープドライブでは、マウント解除時にメディアの記録形式が報告されます。この情報は ACSLS によってデータベースに保存され、次のコマンドで表示できます。

display volume [vol_id(s)] –f recording_format_family recording_format_model    

詳細は、display volumeを参照してください。

注:

9310 およびその他の廃止されたライブラリの場合、venter コマンドを使用すると、ラベルのないカートリッジをライブラリに挿入できます。venter コマンドには、挿入するカートリッジのメディアタイプを指定するオプションはありません。混合メディア環境では、ACSLS は仮想的に挿入されたカートリッジについてテープドライブ/メディアの非互換性を防止できません。ただし、SL8500 および SL3000 ライブラリは volser ラベルなしでメディアラベルを読み取ることができず、ACSLS はこれらのライブラリにカートリッジを挿入するためにメディアラベルを必要とするため、venter はこれらのライブラリではサポートされていません。

ACSLS の混合メディア設定を表示する

drives_media.sh ユーティリティーは、ACSLS で現在サポートされているドライブタイプ、メディアタイプ、およびドライブとメディアの互換性の設定を表示します。新しいドライブとメディアのサポートが追加されると、それらが表示されます。

ACSLS の混合メディア設定を表示するには、次のように入力します。

drives_media.sh

情報は画面 (標準出力) に書き込まれます。

ACSLS の混合メディア設定を /tmp ディレクトリ内のファイルに出力するには、次のように入力します。

drives_media.sh -f

情報は 3 つのファイルに書き込まれます。(ファイルがすでに存在する場合、それらは上書きされます。)

/tmp/drive_types.txt 
/tmp/media_types.txt 
/tmp/media_compatibility.txt 

SCSI 接続 LSM の混合メディアの制限事項

SCSI 接続 LSM に関する次の制限事項に注意してください。

  • 一部のテープドライブでは、制御パスを介した動的な書き込み保護設定がサポートされていないため、「読み取り専用」オプションを使用してカートリッジをマウントするときは注意が必要です。StorageTek のドライブはすべてこの機能をサポートしています。StorageTek 以外のドライブの場合、動的な書き込み保護がサポートされていることを確認することをお勧めします。特に、LTO ドライブおよび一部の早期の DLT ドライブは「読み取り専用」オプションをサポートしていません。

    ドライブでこの機能がサポートされていない場合は、読み取り専用マウントの書き込み無効化保護を使用してマウントされると想定したカートリッジのデータを失うリスクがあります。

  • ACSLS は、DLT テープドライブを備えた SCSI 接続ライブラリに対する venter コマンドをサポートしません

  • SCSI 接続ライブラリ内の DLT テープドライブに対して仮想マウントおよび仮想マウント解除を行うことはできません。したがって、ACSLS で Compac テープカートリッジを管理するには、カートリッジに外部ラベルが必要です。

  • SCSI 接続ライブラリの自動クリーニング操作は、ACSLS ではなくライブラリのマイクロコードによって処理されます。ライブラリ制御パネルには、自動クリーニング操作のライブラリ制御を有効にするためのユーザー用メニューが用意されています。詳細については、ライブラリのドキュメントを参照してください。

  • ライブラリを介した通常のロードまたは高速ロードオプションを選択できます。ただし、すべてのテープ管理システムが高速ロードオプションをサポートしているわけではありません。

スクラッチ優先順位の設定

scratch mount リクエストでは、使用するメディアタイプを明示的に指定するか、ACSLS にメディアタイプを選択させることができます。

ACSLS でメディアタイプを選択するには、ドライブタイプごとに、互換性のあるメディアタイプに優先順位を付けたリストを事前に定義する必要があります。このリストは「スクラッチ優先順位」と呼ばれます。

  • サーバー全体に 1 セットのプリファレンスがあります。プリファレンスはクライアントでは定義されません。

  • ドライブに互換性のあるメディアタイプが表示されていない場合、メディアは選択されません。

以降のセクションでは、ACSLS でスクラッチ優先順位の決定に使用される、ユーザー定義およびシステム定義のファイルについて説明します。

ユーザー定義の混合メディアファイル

次のファイルは、$ACS_HOME/data/external/mixed_media/ にあるユーザー定義の混合メディアファイルです。

  • scratch_preferences.dat

    ユーザー定義のプリファレンスファイル。プリファレンス定義のプライマリソースです。

  • scratch_preferences.SAMPLE

    サンプルプリファレンスファイルをコピーして scratch_preferences.dat ファイルを作成できます。

システム定義の混合メディアファイル

drives_media.sh -f を使用して、ACSLS の混合メディア設定を表示します

次の場所に保存されているメディア互換性設定を確認します。

  • /tmp/media_compatibility.txt

    これは、システム定義の互換性設定ファイルです。これはユーザー定義のプリファレンスファイルが存在しないか、ファイルにドライブタイプが見つからない場合にのみ使用されます

  • /tmp/drive_types.txt

    システムで定義されている、サポートされているドライブタイプのリスト。

  • /tmp/media_types.txt

    システムで定義されている、サポートされているメディアタイプのリスト。

ACSLS が混合メディアファイルを使用するしくみ

次の表では、ACSLS がスクラッチマウントリクエストのメディアタイプを選択するために、混合メディアファイルをどのように使用するかについて説明します。

表8-3 ACSLS が混合メディアファイルを使用するしくみ

scratch_preferences.dat ファイルの状況 ACSLS の実行内容

存在しません。

システムの media_compatibility ファイルに含まれている定義を使用します

1 つのドライブに対して複数のメディアタイプが示されています。

リストに示された順序でメディアタイプを選択します。

特定のドライブに対してメディアタイプが示されていません。

システムの media_compatibility ファイルに含まれているデータを使用します

特定のドライブタイプが示されていません。

システムの media_compatibility ファイルに含まれているデータを使用します


スクラッチ優先順位ファイルを定義する

scratch_preferences.dat ファイルを定義するには、次の手順を使用します。このファイルには、特定のドライブタイプに対して選択すべきスクラッチカートリッジタイプを順序付けしたリストが含まれます。ACSLS は、mount * コマンドにメディアタイプが明示的に指定されていない場合にこのファイルを使用します。

次の例は、scratch_preferences.SAMPLE の内容を示しています。

Drive Type Name   Media Type Preference Name 
4480                   3480 
SD3                   DD3A 
SD3                   DD3B 
SD3                   DD3C 

スクラッチ優先順位ファイルを定義するには、次の手順を実行します。

  1. acsss としてログインします。

  2. 外部混合メディアのディレクトリに移動します。

    cd $ACS_HOME/data/external/mixed_media

  3. サンプルのスクラッチ優先順位ファイルをコピーして、ユーザー定義ファイルを作成します。

    cp scratch_preferences.SAMPLE scratch_preferences.dat

  4. vi などのテキストエディタを使用して、scratch_preferences.dat ファイル内のプリファレンスのリストを変更します。

    • ファイルの上部にあるコメントの説明に従います。

    • 1 つのドライブタイプに対して複数のメディアタイプを使用する場合は、各メディアタイプを別々の行に入力します。上から下の順に優先されます。

  5. ファイルを保存します。

  6. cmd_proc から ACSLS を再起動します。

    start

デュアル TCP/IP 接続の管理

デュアル TCP/IP は、SL8500 および SL3000 に購入できるオプションです。ライブラリに 2 つの TCP/IP 接続を提供します。ただし、2 つの接続の 1 つのみを動作させてライブラリを使用することもできます。

デュアル TCP/IP の目的は、障害の発生した通信パスを自動的に認識し、回避することです。これは自動的に行われるため、動作不能な接続から手動で切り替える必要はありません。詳細は、デュアル TCP/IP サポートを参照してください。

デュアル LMU 構成の管理

ACSLS は、次のものから成るデュアル LMU 構成をサポートします。

  • 1 台のアクティブ LMU。ACS を管理します

  • 1 台のスタンバイ LMU。アクティブ LMU に障害が発生した場合は、ACS を管理するアクティブの役割に自動的に切り替わります

    どちらの LMU も、LSM に接続された LAN に接続されています。最初は、先に電源が投入された LMU がアクティブで、2 番目に電源が投入された LMU がスタンバイになります。LMU は互いのステータスを定期的に確認するため、アクティブ LMU に障害が発生した場合にスタンバイ LMU がアクティブの役割を引き継ぐことができます。

    注:

    ACSLS でデュアル LMU 構成がサポートされるのは、ホスト/LMU マイクロコード互換性レベル 12 (またはそれ以上) がロードされている 9330 および L5530 LMU のみです。同じマイクロコードレベルが両方の LMU にロードされている必要があります。ACSLS は、シリアル接続または TCP/IP によってこれらの LMU と通信します。Ethernet 接続は、TCP/IP 接続された LMU ごとに 1 つだけ使用できます。

    制限: ACSLS は LMU の切り替えを自動的には開始しません。ACSLS とアクティブ LMU との通信が失われた場合でも、ACSLS は LMU の切り替えを開始しません。ACSLS は、既存のアクティブ LMU との通信を続けようとします。冗長電子装置を備えた SL8500 または SL3000 ライブラリを含む ACSLS-HA 構成を除き、ACSLS は LMU の切り替えを自動的には開始しません。

ACSLS のデュアル LMU サポートには、次のものが含まれます。

  • ACSLS はアクティブとスタンバイの両方の LMU に接続します。ACSLS は両方の LMU への接続を常にモニターします。通信が失われた場合、ACSLS はこの状態を報告します。

  • アクティブ LMU に障害が発生した場合は、スタンバイ LMU が新しいアクティブ LMU として自動的に引き継ぎます。これが発生した場合、ACSLS は自動切り替えを認識し、新しいアクティブ LMU にリクエストを送信します。ACSLS は、処理中のトランザクションの回復も行います (監査を除く)。

  • switch lmu コマンドを発行して、ACS の管理をアクティブ LMU からスタンバイ LMU に手動で切り替えることができます。ACSLS は、スタンバイ LMU に「アクティブへのスイッチオーバーの強制実行」伝達を送信します。スタンバイは新しいアクティブ LMU として引き継ぎます。手動スイッチオーバーのあと、ACSLS は未処理のトランザクションを回復します (監査を除く)。

シリアルデュアル LMU 構成の冗長性をさらに高めるために、デュアルシリアルケーブルを使用して ACSLS サーバーを LMU に接続することをお勧めします。

また、ACSLS のデュアル LMU サポートにより、ACSLS サーバーを停止することなく LMU で IPL を実行できるため、シングル LMU 構成も強化されます。

query lmu コマンドは、シングル LMU およびデュアル LMU の両 ACS 構成について、LMU およびポートのステータスを表示します。詳細は、query lmuを参照してください。

switch lmu コマンドを使用して、ACS の管理を ACS のアクティブ LMU からスタンバイ LMU に手動で切り替えることもできます。詳細は、switch lmuを参照してください。手動スイッチオーバーは、デュアル LMU を接続する LAN ケーブルの交換などのハードウェア保守に使用できます。

たとえば、LMU A がアクティブの役割で、LMU B がスタンバイの役割であると仮定します。LAN ケーブルを交換する必要がある場合は、次のように実行できます。

  1. LMU B に切り替えます。

  2. LMU A へのポートをオフラインに変更 (vary) します。

  3. LAN ケーブルを交換します。

  4. LMU A へのポートをふたたびオンラインに変更 (vary) します。

  5. ふたたび LMU A に切り替えます。

    LMU のスイッチオーバー (自動または手動) のあと、ACSLS は未処理の (アクティブおよび保留中の) リクエストをすべて回復します。スイッチオーバー時に未処理の各リクエストを完了する時間は、LMU 間の切り替え、および前の未処理のリクエストを回復するために必要な時間によって増加します。したがって、リクエストの回復には 3 - 5 分かかることがあります。

デュアル LAN クライアント構成の管理

ACSLS 5.2 以上では、プライマリ LAN とセカンダリ (バックアップ) LAN から成るデュアル LAN クライアント構成がサポートされています。プライマリ LAN に障害が発生した場合、クライアントは、セカンダリ LAN に切り替えます。ACSLS は、そのクライアントに対する未処理のメッセージをすべて削除し、セカンダリ LAN を使用して通信を開始します。セカンダリ LAN にスイッチオーバーする前に ACSLS は未処理のメッセージをすべて削除するため、リクエストが正常に完了したとしてもクライアントは成功メッセージを受け取りません。

たとえば、クライアントが ACSLS に 10 個のカートリッジの取り出しをリクエストします。ACSLS がカートリッジの取り出しを開始したあとで、ACSLS とプライマリクライアント LAN の間の通信に障害が発生します。ACSLS は、そのクライアントに対する未処理のメッセージをすべて削除し、セカンダリ LAN を介して通信を開始します。ACSLS は 10 個のカートリッジすべての取り出しを正常に完了しますが、クライアントに成功メッセージを送信しません。クライアントは、リクエストが正常に完了したことを確認する必要があります。この例で、クライアントは取り出し済みボリュームの ID に対して query volume リクエストを発行し、ACSLS は「volume not found」というエラーメッセージを返します。これにより、ACSLS がカートリッジを取り出したことが確認されます。

LAN 通信のスイッチオーバーが発生した場合、ACSLS では一時的なリクエストがすべて正常に完了することが保証されます。ただし、スイッチオーバーのあと、クライアントは最初にプライマリ LAN 上で送信した永続的な未処理のリクエスト (CAP 操作など) をすべて取り消し、セカンダリ LAN からの通信を介してこれらのリクエストを再送信する必要があります。プライマリ LAN 通信を介して割り当てられたリソース (CAP、ロック、ドライブなど) は、セカンダリ LAN へのスイッチオーバー後も割り当てられたままになります。

以降のセクションでは、次の手順を実行して ACSLS をデュアル LAN クライアント操作用に構成する方法について説明します。

  • csc_ip_switch.dat ファイルを作成することによって、プライマリおよびセカンダリ LAN の IP アドレスを登録します

  • マルチホーム ACSLS サーバー用に 2 つ目の Ethernet ポートをインストールします

  • バックアップ LAN へのシステムのスイッチオーバー時間を短縮するために、TCP/IP 接続のタイムアウト間隔を設定します。

プライマリおよびセカンダリ LAN の IP アドレスを登録する

プライマリおよびセカンダリ LAN の IP アドレスを ACSLS に登録するには、$ACSSS_HOME/data/internal/client_config/ ディレクトリ内に csc_ip_switch.dat ファイルを作成します。csc_ip_switch.dat ファイルの例を次に示します。

#The following entry is System Zed’s primary and secondary LAN IP addresses. 
129.80.30.40  129.80.30.50 

上記の例で示すように、コメントの前には # 記号が付きます。エントリは、クライアントシステムのプライマリ LAN の IP アドレス (左側の列)、1 つ以上の空白、およびクライアントシステムのセカンダリ LAN の IP アドレス (右側の列) で構成されます。この例で、System Zed のプライマリ LAN の IP アドレスは 129.80.30.40、セカンダリ LAN の IP アドレスは 129.80.30.50 です。

csc_ip_switch.dat ファイルを作成または更新したあと、ACSLS が実行されている場合は、ACSLS を停止して再起動する必要があります。

ACSLS は、再起動時に csc_ip_switch.dat ファイルを正常に読み取ると、「2010 I DUAL PATH OPTION ACTIVATED」という成功メッセージを ACSLS イベントログに記録します。それ以外の場合、デュアル LAN のサポートはアクティブ化されません。

マルチホーム ACSLS サーバー用に 2 つ目の Ethernet ポートをインストールする

このセクションでは、マルチホーム ACSLS サーバー用に 2 つ目の Ethernet ポートをインストールする手順について説明します。2 つ目の Ethernet ポートは、バックアップ LAN を制御する 2 つ目の制御パスアダプタへの接続を提供します。この手順には SBUS Buffered Ethernet カードが必要です。この Ethernet カードは、Oracle からパーツ番号 X1053A で注文できます。

このインストール手順には次の内容が含まれます。

  • ハードウェアの取り付けおよびカーネルの再構築

  • 新しい Ethernet ポートのホスト名の定義

  • /etc/notrouter ファイルの作成

2 つ目の Ethernet ポートをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. 製造元の指示に従って SBus Buffered Ethernet カードを取り付けます。

  2. 新しいデバイスのためにシステムカーネルを再構成します。

    1. システムの電源を投入します。ブートが開始したら、[[STOP]]-[[A]] を押して PROM モニターに入ります。

    2. ok プロンプトで、サーバーをブートします。

      boot -r 
      
  3. ブートが完了したら、root としてログインします。

  4. 2 つ目の Ethernet ポートのホスト名を作成します。

    echo 2nd_host_name > /etc/hostname/hme1 
    

    ここで、2nd_host_name は 2 つ目の Ethernet ポートのホスト名です。

  5. 次のコマンドを入力します。

    touch /etc/notrouter

    これにより、/etc/notrouter ファイルが作成されます。

  6. サーバーをリブートします。

    reboot

これで手順は完了します。

TCP/IP 接続のタイムアウト間隔を設定する

UNIX システム変数 tcp_ip_abort_cinterval は、クライアントと ACSLS サーバー間の TCP/IP 接続のタイムアウト間隔を設定します。この変数のデフォルト値 (180 秒) を変更すると、バックアップ LAN へのスイッチオーバー時間が短縮される可能性があります。ただし、実際のスイッチオーバー時間は、構成および障害のタイプによって異なります。

たとえば、ACSLS サーバーのポートを介して複数のクライアントが通信している場合に、このポートに障害が発生すると、ACSLS は各クライアントとの通信を順に回復します。障害の発生したポートの複数のクライアントを回復するには、障害の発生したポートと通信している単一のクライアントを回復するよりも長い時間がかかります。

バックアップ LAN へのスイッチオーバー時間を短縮するには、次の手順を実行します。

  1. ACSLS サーバーに root としてログインします。

  2. プロンプトから、次のコマンドを入力します。

    /usr/sbin/ndd -set /dev/tpc tcp_ip_abort_cinterval 15000

    このコマンドは、TCP/IP 接続のタイムアウト間隔を 15 秒 (デフォルトは 180 秒) に変更します。

    ヒント: このコマンドを (サーバーのリブート後も) 永続させるには、/etc/rc2.d/S69inet ファイルの「Set configurable parameters」セクションにこのコマンドを追加します。

イベント通知への登録

イベント通知を使用すると、ACSAPI クライアントはテープライブラリで発生するイベントを追跡できます。この機能は CSC ツールキットによって提供されます。具体的には、イベント通知を使用して ACSAPI クライアントは次のことを実行できます。

  • ライブラリリソースイベントまたはボリュームイベント、あるいはその両方に登録します

  • これらのイベントへの登録を解除します

  • ライブラリイベントへの登録ステータスを確認し、イベント発生時に通知されるようにします

クライアントの登録リクエストおよびイベント通知メッセージは、登録が解除されるまで、クライアントに配信されます。イベント通知では、クライアントが生存していることを確認するために、クライアントの登録ステータスが定期的にチェックされます。これにより、アクティブでなくなっているクライアントに応答を送信することを避け、ネットワークリソースの無駄な使用を防止します。

次のタイプのイベントを追跡できます。

  • ボリュームの追加と削除、およびクリーニングカートリッジの最大使用制限の超過が ACSLS データベース内で発生したとき。

  • ライブラリコンポーネントのステータスの変更 (LSM またはドライブがオンラインからオフライン、診断、または回復に変化するなど)、または CAP の開閉。

  • ハードウェア障害 (ロボットハンドの動作不能など)。

所定の状態への自動回復

ACSLS では、テープライブラリおよびドライブがユーザーの望む可用性に復元されるようになりました。このために、ACS、ポート、LSM、およびテープドライブについて現在の状態と所定の状態の両方が追跡されます。ライブラリまたはドライブが ACSLS からアクセスできなくなった場合や動作不能になった場合、ACSLS はその現在の状態をオフラインに変更します。ライブラリまたはドライブがふたたびアクセス可能または動作可能になると、ACSLS はそれを自動的に回復し、所定の状態がオンラインである場合はそれをオンラインに戻します。

現在の状態および所定の状態

  • 所定の状態は、ライブラリおよびテープドライブの可用性を管理します。所定の状態とは、ACS、ポート接続、LSM、またはテープドライブに対してユーザーが望む可用性のことです。ライブラリのすべてのコンポーネントで、最初の所定の状態はオンラインになっています。所定の状態は、明示的な vary コマンドを使用して設定できます。(これは、cmd_proc、ACSLS GUI、または ACSAPI クライアントからの vary です。ライブラリのステータス変更によって ACSLS が内部的に生成する vary ではありません。)ライブラリコンポーネントの所定の状態は、query lmu および display コマンドを使用して表示できます。

  • ACS、ポート、LSM、ドライブの現在の状態 (「state」として指定される) は、そのコンポーネントの現在の可用性であり、所定の状態によって制限されます。現在の状態は、ライブラリコンポーネントが準備を完了して通信しているかどうかを示し、そのコンポーネントおよび上位コンポーネントの所定の状態によって制限されます。

    たとえば、LSM の所定の状態がオンラインであっても、LSM の準備ができていない場合、その現在の状態はオフラインです。LSM の準備がふたたび完了すると、ライブラリは ACSLS にメッセージを送信し、ACSLS は LSM を自動的に回復し、その現在の状態をオンラインに戻します。

    ただし、LSM の所定の状態がオフラインである場合、ACSLS は現在の状態をオフラインに設定します。その LSM が準備未完了状態になったあとで準備完了ステータスに戻った場合、ACSLS は LSM の現在の状態をオフラインのままにします。

現在の状態は下位へカスケードされ、所定の状態はそうならない

ライブラリコンポーネントの現在の状態は、下位コンポーネントにカスケードされます。

  • 具体的には、ACS がアクセス不可になった場合、ACS の現在の状態はオフラインになります。すべての LSM およびドライブもアクセス不可になるため、それらの現在の状態もオフラインに設定されます。

  • ACS の所定の状態が vary コマンドによってオフラインに変更されると、ACS の現在の状態はオフラインに設定され、その ACS 内にあるすべての LSM およびドライブの現在の状態がオフラインに設定されます。

  • 同様に、LSM の現在の状態がオフラインに変化すると、その LSM 内にあるすべてのドライブの現在の状態がオフラインになります。ドライブの所定の状態は変更されません。

ライブラリコンポーネントの所定の状態を変更しても、下位コンポーネントの所定の状態は影響を受けません。

  • ACS の所定の状態を変更しても、その ACS 内にある LSM およびドライブの所定の状態は影響を受けません。

  • LSM の所定の状態を変更しても、その LSM 内にあるドライブの所定の状態は影響を受けません。

  • これにより、LSM 内で選択したドライブをオフラインにして、アクセス不可にすることができます。そのあとで、保守のために LSM をオフラインに変更 (vary) できます。LSM をふたたびオンラインに変更 (vary) すると、選択したドライブはオフラインのままになり、その他のドライブはオンラインに戻ります。

物理ライブラリおよびドライブの可用性は、論理ライブラリおよびドライブに影響を与えます。

  • 論理ライブラリおよび論理ライブラリ内のテープドライブの可用性は、基となる物理ライブラリと論理ライブラリの両方に設定した目的の状態によっても左右されます。

  • 物理ライブラリと論理ライブラリの両方の目的の状態がオンラインの場合、論理ライブラリと論理テープドライブの現在の状態は、基となる物理ライブラリとドライブの現在の情報を反映します。

  • ただし、物理 ACS またはドライブの所定の状態がオンラインであっても、論理ライブラリまたはドライブの所定の状態がオフラインである場合、論理ライブラリまたはドライブはオフラインのままになり、使用できません。

ライブラリが一時的に使用不可になっている場合のマウントおよびマウント解除のキューへの追加と再試行

ACSLS は、ライブラリが一時的に停止していることを検出すると、マウントおよびマウント解除リクエストを照会します。すべてのソースからのマウントおよびマウント解除リクエストは、必要なすべてのライブラリコンポーネントの所定の状態がオンラインである場合、自動的にキューに入れられ、再試行されます。したがって、次のソースからのマウントおよびマウント解除リクエストは、すべて自動的にキューに入れられ、再試行されます。

  • ACSAPI クライアント

  • cmd_proc

  • 論理ライブラリ内のテープドライブのファイバ接続クライアント

ライブラリハードウェアの所定の状態がオンラインで、現在の状態がオフラインである場合、一時的な停止が発生します。一時的な停止の例は、LSM ドアが開かれたとき、ACSLS がライブラリとの通信を失ったとき、LC 切り替え操作中などです。ライブラリまたはテープドライブが一時的に停止している間、マウントおよびマウント解除はキューに入れられ、ライブラリが使用可能になったときに再試行されます。

ライブラリハードウェアの所定の状態がオフラインである場合、ACSLS はマウントまたはマウント解除リクエストを処理できず、適切なエラーステータスを示します。

ACSLS 7.3.1 では、マウントおよびマウント解除のキューへの追加と再試行を管理するために、2 つの動的変数 MOUNT_RETRY_DELAY および MOUNT_RETRY_TIME_LIMIT が導入されました。ここで、

  • MOUNT_RETRY_DELAY は、キューに入れられたマウントおよびマウント解除を再試行する頻度、または、ライブラリおよびドライブの可用性を再チェックする頻度を制御します。

  • MOUNT_RETRY_TIME_LIMIT は、マウントおよびマウント解除をキューに入れて再試行する時間制限です。この後、リクエストは失敗します。

テープドライブの移動、追加、または取り外し時の ACSLS の再構成

テープドライブの場所を入れ替えたときや、ライブラリ内のテープドライブを別のテープドライブに交換したときは常に、ACSLS データベース内のドライブのシリアル番号およびドライブのタイプを更新するために ACSLS を再構成する必要があります。ライブラリに対してテープドライブの挿入または取り外しを行なった場合は、ACSLS を再構成してテープドライブを追加または削除する必要があります。テープドライブは、メディア検証プールに追加されると ACSLS のアクセスから削除され、メディア検証プールから削除されると ACSLS でアクセスできるようになります。これらの場合、ACSLS の再構成も行う必要があります。

テープドライブを使用して既存のドライブを交換した場合、ACSLS がライブラリからテープドライブのステータスを読み取るまで、ドライブのタイプおよびシリアル番号は更新されません。これは、次の場合に発生します。

  • ACSLS の起動。

  • ACS または LSM が準備未完了状態になったあとで準備完了状態になったため、ACSLS がライブラリを回復するとき。

  • ACS、LSM、またはテープドライブをオフラインに変更してからオンラインに戻したとき。

  • テープドライブ、ACS、または LSM を再構成したとき。

テープドライブの追加または取り外しを行なった場合は、ACSLS 構成を更新して、ACSLS データベース内のドライブを追加または削除する必要があります。ACSLS のテープドライブ構成を更新することで、マウントのエラーを回避し、間違ったテープドライブにカートリッジをマウントすることを防ぎます。

ACSLS に構成されているテープドライブを更新する

ライブラリ内のテープドライブが移動または交換された場合は、動的構成を使用してドライブのタイプおよびシリアル番号を更新してください。1 つのテープドライブを同じ場所で別のものに交換する場合、更新に顧客確認は必要ありません。ライブラリに対してテープドライブの取り外しまたは挿入を行う場合は、構成の変更を顧客が確認する必要があります。

テープドライブを更新する場合:

  • config リクエストを発行する前に、影響を受けるすべてのコンポーネントの準備ができていることを確認してください。

  • 動的構成を使用した ACSLS データベースの更新は、ACSLS が有効になっているときに行われます。動的構成は中断を伴わないため、構成の更新中も ACSLS でリクエストの処理を継続できます。

  • config lsm または config acs を発行したあとは、影響を受けた LSM または ACS を監査することをお勧めします。

テープドライブ構成を更新するには、UNIX コマンドプロンプトから次の動的構成ユーティリティーのコマンドを発行します。acsss としてログインしている必要があります。

  • config drive <panel_id>

    単一のパネルまたは SL8500 レール上のテープドライブだけが変更の影響を受ける場合、パネル上のすべてのテープドライブに関してドライブ構成を更新するには、config drive <panel_id> を使用します。

  • config lsm <lsm_id>

    2 つのドライブパネルを備えた SL3000 内のすべてのテープドライブに関してドライブ構成を更新するには、config lsm <lsm_id> を使用します。

    注:

    config lsm <lsm_id> では LSM 内の CAP およびストレージ容量も更新されるため、続いて LSM を監査するようにしてください。
  • config acs <acs_id>

    ACS (SL8500 ライブラリコンプレックスなど) 内のすべてのものに関して構成を更新するには、config acs <acs_id> を使用します。

    注:

    config acs <acs_id> では ACS 全体の CAP およびストレージ容量も更新されるため、続いて ACS を監査するようにしてください。

メディア検証

メディア検証では、SLConsole または StorageTek Tape Analytics (STA) を使用して、すべての T10000 テープカートリッジタイプを検証できます。T10000C および T10000D ドライブの専用「メディア検証プール」が使用されます。メディア検証プール内のドライブは ACSLS には使用できません。ドライブが以前に ACSLS に構成されていた場合は、ACSLS がそれらにアクセスしようとすると、ライブラリは「インストールされていないドライブ」として報告します。

メディア検証プールにドライブを追加する

ドライブが ACSLS の制御から削除され、メディア検証ドライブプールに追加された場合、そのドライブを含んでいる LSM (SL8500 レールまたは SL3000 ライブラリ) は、ACSLS に対してまず準備未完了状態になり、次に準備完了状態になります。ACSLS はライブラリから「構成が変更された」というメッセージも受信します。

ACSLS ホストは自動的に、ドライブをオフライン状態に更新します。ドライブがメディア検証プールに残る場合は、config drives <panel_id> ユーティリティーを使用してドライブを ACSLS 構成から削除します。

注:

config drives ドライブは、ライブラリがオンラインで、ほかのドライブに対するマウントおよびマウント解除が発生しているときに実行できます。

メディア検証プールからドライブを削除する

メディア検証プールからドライブを削除したあと:

  • パーティション分割されていないライブラリの場合、ドライブスロットはすぐに ACSLS で使用可能になります。

  • パーティション分割されているライブラリの場合、検証プールから削除されたドライブスロットはパーティションに割り当てられません。ドライブスロットをパーティションに割り当てるには、SL コンソールを使用します。

ドライブがメディア検証ドライブプールから削除され、ホストで使用可能になると、ライブラリは ACSLS に「構成が変更された」というメッセージを送信します。

ドライブが ACSLS 構成に含まれている場合は、ドライブをオンラインに変更してください。ドライブが ACSLS 構成に含まれていない場合は、config drives <panel_id> ユーティリティーを使用して追加してください。

注:

config drives ドライブは、ライブラリがオンラインで、ほかのドライブに対するマウントおよびマウント解除が発生しているときに実行できます。