Oracle® Developer Studio 12.5: C ユーザーズガイド

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更新: 2016 年 7 月
 
 

9.2 データ表現

与えられたデータ要素のビット番号の割り当ては、使用しているアーキテクチャーによって異なります。SPARCstation マシンではビット 0 を最下位有効ビット、バイト 0 を最上位有効バイトとしてそれぞれ使用します。次の表に表現方法を示します。

G.2.1 整数表現

ISO C で使用されている整数型は shortintlong、および long long です。

表 101  short の表現
ビット数
内容
8- 15
バイト 0 (SPARC)
バイト 1 (x86)
0- 7
バイト 1 (SPARC)
バイト 0 (x86)
表 102  int の表現
ビット数
内容
24- 31
バイト 0 (SPARC)
バイト 3 (x86)
16- 23
バイト 1 (SPARC)
バイト 2 (x86)
8- 15
バイト 2 (SPARC)
バイト 1 (x86)
0- 7
バイト 3 (SPARC)
バイト 0 (x86)
表 103  -m32 でコンパイルされる long の表現
ビット数
内容
24- 31
バイト 0 (SPARC)
バイト 3 (x86)
16- 23
バイト 1 (SPARC)
バイト 2 (x86)
8- 15
バイト 2 (SPARC)
バイト 1 (x86)
0- 7
バイト 3 (SPARC)
バイト 0 (x86)
表 104  long (-m64) および long long (-m32 と -m64 の両方) の表現
ビット数
内容
56- 63
バイト 0 (SPARC)
バイト 7 (x86)
48- 55
バイト 1 (SPARC)
バイト 6 (x86)
40- 47
バイト 2 (SPARC)
バイト 5 (x86)
32- 39
バイト 3 (SPARC)
バイト 4 (x86)
24- 31
バイト 4 (SPARC)
バイト 3 (x86)
16- 23
バイト 5 (SPARC)
バイト 2 (x86)
8- 15
バイト 6 (SPARC)
バイト 1 (x86)
0- 7
バイト 7 (SPARC)
バイト 0 (x86)

G.2.2 浮動小数点表現

floatdoublelong double のデータ要素は、ISO IEEE 754-1985 規格に従って表現されます。表現は次のとおりです。

(-1)s *2(e - bias) *[j.f]

ここでは:

  • s は符号

  • e はバイアス付きの指数

  • j = 先行ビット。e の値によって決まる。long double (x86) では、先行ビットは明示的。そのほかは暗黙的。

  • f = 仮数部

  • u は、ビットが 0 でも 1 でも良いことを意味します (このセクションの表で使用)。

IEEE Single および Double の場合、j は常に暗黙的です。バイアス付きの指数が 0 の場合、f が 0 でない限り、j は 0 で、結果として生成される数値は非正規数です。バイアス付き指数が 0 より大きい場合、j は、その数が有限であるかぎり 1 です。

Intel 80 ビット拡張の場合、j は常に明示的です。

各ビットの位置は次の表のとおりです。

表 105  float の表現
ビット数
名前
31
符号
23- 30
バイアス付きの指数
0- 22
仮数部
表 106  double の表現
ビット数
名前
63
符号
52- 62
バイアス付きの指数
0- 51
仮数部
表 107  longdouble の表現 (SPARC)
ビット数
名前
127
符号
112- 126
バイアス付きの指数
0- 111
仮数部
表 108  longdouble の表現 (x86)
ビット数
名前
80- 95
使用されない
79
符号
64- 78
バイアス付きの指数
63
先行ビット
0- 62
仮数部

詳細は、Oracle Developer Studio 12.5: 数値計算ガイドを参照してください。

G.2.3 極値

正規化された floatdouble の数は「隠された」ビットまたは暗黙のビットを持つと言われます。それにより、精度を 1 ビット分高めることができます。long double の場合は、先行ビットは暗黙的 (SPARC) または明示的 (x86) のいずれかになります。このビットは正規数に対しては 1、非正規数に対しては 0 になります。

表 109  float の表現
正規数 (0<e<255):
(-1)s2 (e-127)1.f
非正規数
(e=0, f!=0):
(-1)s2 (-126)0. f
ゼロ (e=0, f=0):
(-1)s0.0
シグナルを発生する NaN
s=u, e=255(最大値); f=.0uuu~uu (少なくとも 1 ビットは 0 以外)
シグナルを発生しない NaN
s=u, e=255(最大値); f=.1uuu~uu
無限大
s=u, e=255(最大値); f=.0000~00 (すべてが 0)
表 110  double の表現
正規数 (0<e<2047):
(-1)s2 (e-1023)1.f
非正規数 (e=0, f!=0):
(-1)s2 (-1022)0. f
ゼロ (e=0, f=0):
(-1)s0.0
シグナルを発生する NaN
s=u, e=2047(最大値); f=.0uuu~uu (少なくとも 1 ビットは 0 以外)
シグナルを発生しない NaN
s=u, e=2047(最大値); f=.1uuu~uu
無限大
s=u, e=2047(最大値); f=.0000~00 (すべてが 0)
表 111  longdouble の表現
正規数 (0<e<32767):
(-1)s2 (e- 16383)1.f
非正規数 (e=0, f!=0):
(-1)s2 (-16382)0.f
ゼロ (e=0, f=0):
(-1)s0.0
シグナルを発生する NaN
s=u, e=32767(符号); f=.0uuu~uu (少なくとも 1 ビットは 0 以外)
シグナルを発生しない NaN
s=u, e=32767(最大値); f=.1uuu~uu
無限大
s=u, e=32767(最大値); f=.0000~00 (すべてが 0)

G.2.4 重要な数の 16 進数表現

よく使用される数値の 16 進数表現を次の表にまとめます。

表 112  重要な数の 16 進数表現 (SPARC)
float
double
long double
+0
-0
00000000
80000000
0000000000000000
8000000000000000
00000000000000000000000000000000
80000000000000000000000000000000
+1.0
-1.0
3F800000
BF800000
3FF0000000000000
BFF0000000000000
3FFF00000000000000000000000000000
BFFF00000000000000000000000000000
+2.0
+3.0
40000000
40400000
4000000000000000
4008000000000000
40000000000000000000000000000000
40080000000000000000000000000000
プラス無限大
マイナス無限
7F800000
FF800000
7FF0000000000000
FFF0000000000000
7FFF00000000000000000000000000000
FFFF00000000000000000000000000000
NaN
7FBFFFFF
7FF7FFFFFFFFFFFF
7FFF7FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFF
表 113  重要な数の 16 進数表現 (x86)
float
double
long double
+0
-0
00000000
80000000
0000000000000000
0000000080000000
00000000000000000000
80000000000000000000
+1.0
-1.0
3F800000
BF800000
000000003FF00000
00000000BFF00000
3FFF8000000000000000
BFFF8000000000000000
+2.0
+3.0
40000000
40400000
0000000040000000
0000000040080000
40008000000000000000
4000C000000000000000
プラス無限大
マイナス無限
7F800000
FF800000
000000007FF00000
00000000FFF00000
7FFF8000000000000000
FFFF8000000000000000
NaN
7FBFFFFF
FFFFFFFF7FF7FFFF
7FFFBFFFFFFFFFFFFFFF

詳細は、Oracle Developer Studio 12.5: 数値計算ガイドを参照してください。

G.2.5 ポインタ表現

–m32 では、C でのポインタは 4 バイトを占有します。–m64 では、C でのポインタは 8 バイトを占有します。NULL 値のポインタはゼロと等価です。

G.2.6 配列の格納

配列は、それぞれの要素が決められた記憶順序で格納されます。各要素は実際には記憶要素の一次元の列に格納されます。

C の配列は行メジャー順で格納されます。多次元配列の最後の添字はもっとも速く変化します。

文字列データ型は char 要素の配列です。連結後、文字列リテラルまたはワイド文字列リテラルに指定できる最大の文字数は、4,294,967,295 個です。

スタックに割り当てられた記憶領域のサイズ制限については、記憶領域の割り当てを参照してください。

表 114  配列の型と最大の大きさ
-m32 の要素の最大数
-m64 の要素の最大数
char
4,294,967,295
2,305,843,009,213,693,951
short
2,147,483,647
1,152,921,504,606,846,975
int
1,073,741,823
576,460,752,303,423,487
long
1,073,741,823
288,230,376,151,711,743
float
1,073,741,823
576,460,752,303,423,487
double
536,870,911
288,230,376,151,711,743
long double
268,435,451
144,115,188,075,855,871
long long
536,870,911
288,230,376,151,711,743

静的および大域配列にはさらに多くの要素を格納することができます。

G.2.7 極値の算術演算

このセクションでは、浮動小数点の極値と通常値を組み合わせたものに基本算術演算を適用して得られる結果について説明します。トラップやその他の例外は起こらないものとします。

次の表で、略語を説明します。

表 115  略語の使用法
略語
意味
Num
非正規のまたは正規化された数字
Inf
無限大 (正または負)
NaN
数字ではない
Uno
順序不定

次の表は、異なるタイプのオペランドを組み合わせて行なった算術演算から得られた値のタイプを示しています。

表 116  加算と減算の結果
右側のオペランド: 0
右側のオペランド: Num
右側のオペランド: Inf
右側のオペランド: NaN
左側のオペランド: 0
0
Num
Inf
NaN
左側のオペランド: Num
Num
を参照してください。

Num + Num は、結果が大きすぎる (オーバーフロー) 場合は Num ではなく Inf になることがあります。無限量が逆の sign の場合は、Inf + Inf = NaN になります。

Inf
NaN
左側のオペランド: Inf
Inf
Inf
を参照
NaN
左側のオペランド: NaN
NaN
NaN
NaN
NaN
表 117  乗算結果
右側のオペランド: 0
右側のオペランド: Num
右側のオペランド: Inf
右側のオペランド: NaN
左側のオペランド: 0
0
0
NaN
NaN
左側のオペランド: Num
0
Num
Inf
NaN
左側のオペランド: Inf
NaN
Inf
Inf
NaN
左側のオペランド: NaN
NaN
NaN
NaN
NaN
表 118  除算結果
右側のオペランド: 0
右側のオペランド: Num
右側のオペランド: Inf
右側のオペランド: NaN
左側のオペランド: 0
NaN
0
0
NaN
左側のオペランド: Num
Inf
Num
0
NaN
左側のオペランド: Inf
Inf
Inf
NaN
NaN
左側のオペランド: NaN
NaN
NaN
NaN
NaN
表 119  比較結果
右側のオペランド: 0
右側のオペランド: +Num
右側のオペランド: +Inf
右側のオペランド: +NaN
左側のオペランド: 0
=
<
<
Uno
左側のオペランド: +Num
>
比較の結果
<
Uno
左側のオペランド: +Inf
>
>
=
Uno
左側のオペランド: +NaN
Uno
Uno
Uno
Uno

注 - NaN と比較した NaN は順序不定で、結果は不等価になります。+0 は -0 と比較結果が等しくなります。