Oracle Databaseのインストール

Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureのインストール・ソフトウェアは、複数のメディアで入手可能であり、複数のオプションを使用してインストールできます。

Oracle Databaseソフトウェアはインストール・メディアで提供されますが、Oracle Technology NetworkのWebサイトまたはOracle Software Delivery Cloudのポータルからもダウンロードできます。ほとんどの場合、Oracle Universal Installerには、ソフトウェアをインストールするグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)が用意されています。ただし、Oracle Universal Installerを使用して、GUIを使用せずにサイレント・モード・インストールを実行することもできます。

注意:

  • Oracle RestartまたはOracle Automatic Storage Managementを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前に、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。そうでない場合は、データベースを手動でOracle Restartに登録する必要があります。Oracle Grid Infrastructureのインストールについては、次を参照してください

  • データベースのインストールを開始する前に、既存のOracleプロセスを停止することが必要になる場合があります。

  • GUIを使用せず、サイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストールの方法を使用してOracle Databaseをインストールする場合。既存のOracleホームのクローニング方法についても説明されています。これらの方法は、Oracle Databaseの複数インストールを実行する場合に便利です。

Oracle Databaseソフトウェアのインストール

  1. 管理者ユーザーとしてWindowsにログインします。

    プライマリ・ドメイン・コントローラ(PDC)またはバックアップ・ドメイン・コントローラ(BDC)にインストールする場合は、ドメイン管理者グループのメンバーとしてログオンします。

  2. 複数のネットワーク・インタフェース・カードまたは複数の別名を持ったコンピュータにOracle Databaseをインストールする場合は、「コントロール パネル」の「システム」を使用して、ORACLE_HOSTNAMEシステム環境変数を作成します。Oracle Databaseをインストールするコンピュータのホスト名を指すように、この変数を設定します。
  3. Oracle Database 12c リリース2 (12.2)のインストール・メディアの場所に移動し、管理者権限でコマンド・プロンプトを開き、setup.exeコマンドを実行します。

    サポートされているすべてのWindowsオペレーティング・システムでは、Oracle Databaseのインストールに同じインストール・メディアを使用します。

  4. 次のガイドラインに従ってインストールを実行します。
    • Oracle Database 12cソフトウェアは、既存のOracleホームにインストールしないでください。

    • Oracle Universal Installerの画面に表示される指示に従って操作を行います。追加情報が必要な場合は、「ヘルプ」をクリックします。

    • Oracleサポート・サービスによって提供されたパッチを使用しないかぎり、Java Runtime Environment(JRE)を変更しないでください。Oracle Universal Installerにより、オラクル社が提供するバージョンのJREが自動的にインストールされます。Oracle Universal Installerおよび複数のOracleアシスタントを実行するには、このバージョンが必要です。

    • ソフトウェアのインストール中にエラーが表示された場合は、トラブルシューティングの詳細を参照してください。

    • Oracle Database Configuration Assistantを対話モードで実行するインストール・タイプを選択した場合は、データベースとネットワークの構成に関する詳細情報を指定する必要があります。

      Oracle Database Configuration Assistantを対話モードで使用しているときに不明な点がある場合は、画面にある「ヘルプ」をクリックします。

      注意:

      デフォルトのインストールを選択した場合、Oracle Database Configuration Assistantは対話的には実行されません。

  5. Configuration Assistant作業が完了したら、「終了」「終了」「はい」の順にクリックしてOracle Universal Installerを終了します。
  6. オプションで、インストール・プロセス中に作成された一時ファイルを削除する場合は、OraInstalldate_timeディレクトリを削除します。OraInstalldate_timeディレクトリには、約45MBのファイルが保持されます。このディレクトリは、TEMP環境変数の設定によって設定されている場所に作成されます。

    コンピュータを再起動しても、OraInstalldate_timeディレクトリは削除されます。

  7. Oracle Databaseをインストールした後に実行する必要があるタスクの詳細を参照してください。

次の表は、Oracle Database 12cのEnterprise Editionのインストール中に表示される様々な画面をまとめたものです。

表6-2 Oracle Universal Installerのウィンドウ

画面 アクション

セキュリティ・アップデートの構成

「電子メール」フィールドに、電子メール・アドレス(できればMy Oracle Supportの電子メール・アドレス)またはユーザー名を入力します。

セキュリティ・アップデートを受信するには、「セキュリティ・アップデートをMy Oracle Support経由で受け取る」チェック・ボックスを選択します。

「My Oracle Supportパスワード」フィールドに、My Oracle Supportのパスワードを入力します。

「次へ」をクリックします。

インストール・オプションの選択

次のいずれかのインストール・オプションを選択し、「次へ」をクリックします。

  • データベースの作成および構成: このオプションを選択すると、データベースおよびサンプル・スキーマが作成されます。

  • データベース・ソフトウェアのみインストール: このオプションを選択すると、データベース・バイナリのみがインストールされます。データベースを構成するには、ソフトウェアのインストール後、Oracle Database Configuration Assistantを実行する必要があります。

  • 既存のデータベースのアップグレード: このオプションを選択すると、新しいOracleホームにソフトウェア・バイナリがインストールされます。インストールの終了後、既存のデータベースをアップグレードできます。

システム・クラス

データベース・インストール用のシステム・タイプを選択し、「次へ」をクリックします。

  • デスクトップ・クラス: ラップトップまたはデスクトップ・クラス・システムにインストールする場合に、このオプションを選択します。このオプションには初期データベースが含まれ、最小構成が可能です。このオプションは、データベースを短時間で設定するユーザーを対象としています。

  • サーバー・クラス: 本番データ・センターにOracleをデプロイする場合のようなサーバー・クラス・システムにインストールする場合に、このオプションを選択します。このオプションでは、より高度な構成オプションが有効になります。このオプションで使用できる拡張構成オプションには、Oracle RAC、Oracle Automatic Storage Management、バックアップおよびリカバリ構成、Enterprise Manager Cloud Controlとの統合、より細かいメモリー・チューニングなどがあります。

Gridインストール・オプション

実行するデータベースのインストール・タイプを選択して、「次へ」をクリックします。

  • 単一インスタンス・データベースのインストール: データベースおよびリスナーがインストールされます。

  • Real Application Clustersデータベースのインストール: Oracle Real Application Clustersがインストールされます。

  • Oracle RAC One Nodeデータベース・インストール: Oracle RAC One Nodeデータベースがインストールされます。

インストール・タイプの選択

次のいずれかを選択し、「次へ」をクリックします。

  • 標準インストール: デフォルトでこのインストール方法が選択されています。この方法の場合、最小限の入力でOracle Databaseを簡単にインストールできます。この方法では、ソフトウェアがインストールされ、この画面上で指定する情報を使用することにより、汎用のデータベースがオプションで作成されます。

  • 拡張インストール: このインストール方法を使用すると、アカウントごとに異なるパスワードの作成、特定のタイプの初期データベース(トランザクション処理やデータ・ウェアハウス用など)の作成、異なる言語グループの使用、電子メール通知の指定など、より複雑なインストールを実行できます。

データベース・エディションの選択

「Enterprise Edition」または「Standard Edition 2」を選択します。「次へ」をクリックします

Oracleホーム・ユーザーの指定

Oracle Database 12c以降では、仮想アカウントを使用するか、標準のWindowsユーザー・アカウント(管理者アカウント以外)を指定して、Oracleホームをインストールして構成することをお薦めします。このアカウントはOracleホームのWindowsサービスの実行に使用されます。管理タスクを実行する場合は、このアカウントを使用してログインしないでください。次のいずれかを選択し、「次へ」をクリックします。

  • 仮想アカウント・ユーザーの使用

    アカウントは、Oracle Database単一インスタンスおよびClientのインストール用のOracleホーム・ユーザーです。このアカウントを使用すると、Oracle Databaseをインストールし、パスワードなしでデータベース・サービスを作成および管理できます。

  • 既存のWindowsユーザーの使用

    アカウントには、Windowsローカル・ユーザー、Windowsドメイン・ユーザー、Windowsの管理されたサービス・アカウント(MSA)、またはWindowsのグループ管理対象サービス・アカウント(gMSA)を使用できます。Windowsローカルまたはドメイン・ユーザーにユーザー名およびパスワードを指定する必要があります。Windows MSA (管理されたドメイン・アカウント)の場合は、ユーザー名のみを指定します。Windows gMSA (やはり管理されたドメイン・アカウント)の場合は、ユーザー名のみを指定します。

  • Windowsユーザーの新規作成

    Oracle Universal Installerが作成するWindowsのローカル・ユーザーのユーザー名とパスワードを指定します。パスワードを確認します。新規作成されたユーザーは、Windowsコンピュータへの対話型ログオン権限を拒否されます。ただし、Windows管理者は他のWindowsアカウントと同様にこのアカウントを管理できます。

インストール時にOracleホーム・ユーザーを指定しない場合は、Windows組込みアカウントの使用を選択します。ユーザー名やパスワードは必要なく、OracleホームのWindowsサービスはLocalSystemまたはLocalServiceとして実行されます。

データベース・サーバーのインストールでは、セキュリティ強化のため、Oracleホーム・ユーザーとして(Windows組込みアカウントではなく)標準のWindowsユーザー・アカウントまたは仮想アカウントを使用することをお薦めします。

インストール場所の指定

デフォルトでは、Oracleベースのパスが表示されます。このパスは要件に応じて変更できます。「Oracleベース」「ソフトウェアの場所」を指定し、「次へ」をクリックします。

Oracleベース・ディレクトリは、Oracleインストールの所有者アカウントが所有するOracleソフトウェア・インストールの最上位ディレクトリです。デフォルトのOracleベースのパスは、DRIVE_LETTER:\app\user (userはインストールを実行するユーザー・アカウント)です。このパスは必要に応じて変更できます。

「ソフトウェアの場所」フィールドで、デフォルト値のままにするか、OracleコンポーネントをインストールするOracleホームのディレクトリ・パスを入力します。ディレクトリ・パスにはスペースを入れないでください。

「次へ」をクリックします。

注意: この画面は、「拡張インストール」でのみ使用できます。

構成タイプの選択

次のいずれかを選択し、「次へ」をクリックします。

  • 汎用目的/トランザクション処理: これは汎用用途または大量のトランザクションを処理するアプリケーションのために設計された初期データベースです。

  • データ・ウェアハウス: データ・ウェアハウス・アプリケーションを実行するために最適化された初期データベースです。

これらの事前構成済データベース・タイプの説明は、Oracle Universal InstallerまたはOracle Database Configuration Assistantのオンライン・ヘルプを参照してください。

データベース識別子の指定

次の情報を指定して「次へ」をクリックします。

データベースのネーミング

次の構文を使用して、グローバル・データベース名を指定します。

database_unique_name.db_domain

ここで、

  • database_unique_nameはデータベースの名前です。データベース名の最大文字数は30で、先頭8文字は一意のものでアルファベットで始める必要があります。ASCII英数字(A-Za-Zz0-9)、アンダースコア(_)、ドル記号($)、ナンバー記号(#)は使用できますが、その他の特殊文字をデータベース名に使用することはできません。

  • db_domainは、データベースに使用されるコンピュータ環境です。最大128文字(ピリオドを含む)で、ASCII英数字(A-Za-Zz0-9)、アンダースコア(_)およびシャープ記号(#)を使用する必要があります。

注意: データベース名(一意のデータベース名の先頭8文字)、デリミタおよびデータベース・ドメイン名の組合せは、最大128文字です。

次に例を示します。

sales.us.example.com

ここで、

  • database_unique_namesales

  • db_domainus.example.com

グローバル・データベース名を入力すると、Oracle Universal Installerにより、SID接頭辞にデータベース名が自動的に移入されます。この名前は、拡張インストールで変更できます。

SIDは、Oracle Universal Installerで英数字12文字に制限され、アンダースコア(_)、ドル記号($)およびシャープ記号(#)を含めることはできません。

複数のプラガブル・データベース(PDB)をサポートできるマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)としてデータベースを作成するには、「コンテナ・データベースとして作成」オプションを選択します。Oracle Universal InstallerがCDBを作成する際にPDBも作成するようにする場合は、「プラガブル・データベース名」フィールドにPDB名を指定します。

PDB名は一意で、データベースのネーミング規則に準拠している必要があります。

追加のPDBを作成し、PDBを管理するには、Oracle Database Configuration Assistantを使用します。

関連項目: 『Oracle Database 2日でデータベース管理者』

構成オプションの指定

次の構成詳細を指定して「次へ」をクリックします。

メモリー:

データベースでSGAとPGA間にメモリーを自動的に配分できるようにするには、「自動メモリー管理有効化」オプションを選択します。このオプションを選択しない場合は、SGAおよびPGAのサイズを手動で設定する必要があります。

キャラクタ・セット:

このオプションを使用すると、データベース内の文字データの格納および処理に使用されるキャラクタ・セットを選択できます。選択肢は次のとおりです。

  • Unicode (AL32UTF8):を使用 データベース・キャラクタ・セットはAL32UTF8で、データベースは世界のほとんどの言語を処理できます。

  • OSキャラクタ・セット(WE8MSWN1252)を使用 データベース・キャラクタ・セット(WE8MSWN1252)は、オペレーティング・システムの言語に基づいています。

  • 次のキャラクタ・セットのリストから選択: このオプションを選択すると、「データベース・キャラクタ・セットの選択」ドロップダウン・リストが使用できます。

関連項目: 『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』

サンプル・スキーマ:

サンプル・スキーマ付きデータベースを作成オプションはデフォルトでは選択されません。ただし、サンプル・スキーマで初期データベースを作成する場合、このオプションを選択できます。データベースを1つのPDBを備えたCDBとして作成した場合、サンプル・スキーマはPDBとして作成されます。

注意: デフォルトで、Oracleデータベースは拡張セキュリティ設定が含まれるよう構成されます。

データベース記憶域オプションの指定

次のいずれかを選択し、「次へ」をクリックします。

  • ファイルシステム: データベースのファイルの場所を指定します。

  • Oracle Automatic Storage Management。

管理オプションの指定

この画面には、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用してデータベースを管理するオプションが示されます。「Enterprise Manager (EM) Cloud Controlへの登録」を選択し、Oracle Enterprise Manager Cloud Control構成の次の情報を指定して「次へ」をクリックします。

  • OMSホスト: これは、管理リポジトリを実行するシステムの名前です。

  • OMSポート: これは、管理サービスからのリクエストを受信するOracle Enterprise Managerポートの番号です。

  • EM管理ユーザー名: これは、Oracle Enterprise Managerにログインするユーザーの名前です。

  • EM管理パスワード: これは、Oracle Enterprise Managerにログインするためのパスワードです。

  • ASMSNMPユーザーのパスワードを指定します。これは、Oracle ASMに構成されているASMSNMPユーザーのパスワードです。データベース・ストレージ・オプションとしてOracle ASMを選択する場合にのみ必要です。

注意: Oracle Enterprise Manager Database Expressは、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを登録したかどうかに関係なく、デフォルトで常にインストールおよび構成されます。

リカバリ・オプションの指定

次のいずれかのオプションを使用したリカバリを有効にするには、「リカバリの有効化」を選択します。

  • 高速リカバリ領域にファイル・システム・ディレクトリを使用する場合は、「ファイル・システム」を選択し、「リカバリ領域の場所」フィールドで高速リカバリ領域のパスを指定します。

  • 高速リカバリ領域に自動ストレージ管理のディスク・グループを使用する場合は、「Oracle Automatic Storage Management」を選択します。

    「次へ」をクリックします。

ASMディスク・グループの選択

この画面は、Oracle Automatic Storage Managementをストレージ・オプションとして選択した場合にのみ表示されます。

ディスク・グループは、Oracle Grid Infrastructureのインストール時に作成されます。ディスク・グループは、asmcmdまたはSQL create diskgroupコマンドを使用してSYSASM権限により構成されます。ASMディスク・グループは、複数のディスク・パーティションで構成されます。

この画面の表には、Oracle Grid Infrastructureをインストール中に作成された既存のディスク・グループが表示されます。データベース・ファイルの格納に使用するディスク・グループを選択します。

スキーマ・パスワードの指定

権限を持つデータベース・アカウント(SYS、SYSTEMおよびDBSNMP)のパスワードを入力および確認します。

データベースをCDBとして作成することを選択した場合は、Oracle Universal Installerにより、PDBADMINパスワードも要求されます。

「次へ」をクリックします。

注意: 必要に応じて、すべてのアカウントに同じパスワードを使用できます。ただし、アカウントごとに異なるパスワードを指定することをお薦めします。指定したパスワードを覚えておく必要があります。

前提条件チェックの実行

このオプションを使用して、データベースのインストールを実行するための最低システム要件が満たされているかどうかをチェックできます。

問題を修正して再度システム要件をチェックする場合は、「修正および再チェック」をクリックします。

「再チェック」をクリックすると、前提条件のチェックを再実行して、データベース・インストールを実行できる最低要件が満たされているかどうか確認できます。

失敗した前提条件チェックのリストを取得するには、リストから「失敗を表示」を選択します。OUIで実行されるすべての前提条件チェック・リストを取得するには、「すべて表示」を選択します。成功した前提条件チェック・リストを取得するには、「成功を表示」を選択します。

注意: 「すべて無視」オプションを選択する際には、注意が必要です。このオプションを選択すると、システムでOracle Databaseが正常にインストールできることを、Oracle Universal Installerによって確認されない場合があります。

関連項目: システム要件の詳細を参照してください

サマリー

この画面に表示された情報を確認して、「インストール」をクリックします。

注意: 「レスポンス・ファイルの保存」をクリックすることで、すべてのインストール手順をレスポンス・ファイルに保存できます。このファイルは、後でサイレント・インストールに使用できます。

製品のインストール

この画面に、データベースのインストールの進捗が表示されます。製品のインストール中に、ステータス情報も表示されます。「次へ」をクリックします。

次に、この画面には、ソフトウェアの構成およびデータベースの作成を実行するコンフィギュレーション・アシスタントのステータス情報が表示されます。Database Configuration Assistantプロセスの後にメッセージが表示されたら、「OK」をクリックして続行します。

終了

この画面は、すべての構成ツールが成功すると自動的に表示されます。