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Oracle VM Serverユーザーズ・ガイド
リリース2.2
B57076-01
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2 Oracle VM Server

この章では、Oracle VM Server、基礎になるハイパーバイザ、仮想マシンとドメインのコンポーネントの概要を説明します。また、ツールを使用して、ゲストの作成および管理を行います。 この章の構成は次のとおりです。

2.1 Oracle VM Server

Oracle VM Serverには、基盤となるXen™ハイパーバイザ・テクノロジの更新版とOracle VM Agentが含まれます。 また、様々なデバイス、ファイル・システムおよびソフトウェアRAIDボリューム管理をサポートするLinuxカーネルが含まれます。 dom0として実行されるLinuxカーネルは、1つ以上のdomU仮想マシンを管理します。各仮想マシンは、LinuxまたはMicrosoft Windowsです。 図2-1「Oracle VM Server」に、Oracle VM Serverのコンポーネントを示します。

図2-1 Oracle VM Server

図2-1の説明が続きます。
「図2-1 Oracle VM Server」の説明

2.2 ハイパーバイザ

Oracle VM Serverは、ハイパーバイザ(モニターまたはVirtual Machine Manager)がシステムで唯一完全な権限を持つエンティティとなり、ハイパーバイザのフットプリントが非常に小さくなるように設計されています。 CPUとメモリー使用量、権限確認およびハードウェア割込みを含むシステムのもっとも基本的なリソースのみを制御します。

2.3 ドメイン、ゲストおよび仮想マシン

ドメイン、ゲストおよび仮想マシンは、ほぼ同じ意味に使用されていますが、若干の違いがあります。 ドメインは、構成可能な一連のリソースで、メモリー、仮想CPU、仮想マシンを実行するネットワーク・デバイスおよびディスク・デバイスを含みます。 ドメインには、仮想リソースが提供され、単独で起動、停止および再起動することができます。 ゲストは、ドメイン内で実行される仮想化されたオペレーティング・システムです。 ゲスト・オペレーティング・システムは、準仮想化またはハードウェア仮想化されています。 同じOracle VM Serverで複数のゲストを実行できます。 仮想マシンは、ゲスト・オペレーティング・システムとそれに関連するアプリケーション・ソフトウェアです。

Oracle VM Serverのゲスト・オペレーティング・システムは、準仮想化またはハードウェア仮想化の2つのモードのいずれかで実行されます。 準仮想化モードでは、ゲスト・オペレーティング・システムのカーネルが、仮想環境を認識するように再コンパイルされます。 これによって、ほとんどのメモリー、ディスクおよびネットワーク・アクセスが最大のパフォーマンスで最適化されるため、ほぼネイティブの速度で準仮想化ゲストを実行できます。

図2-2 仮想マシン・アーキテクチャ

図2-2の説明が続きます。
「図2-2 仮想マシン・アーキテクチャ」の説明

ハードウェア仮想化サポートを利用できる(Intel VTまたはAMD-V)ときは、そのゲスト・オペレーティング・システムを修正せずに実行できます。 このハードウェア仮想化ゲストは、Oracle VM Serverで詳細に監視され、他のゲストまたはdom0との分離に違反する命令が実行されるとトラップされます。 現在の実装では、特定のタイプのゲストとアクセス・タイプにおいてパフォーマンスが低下する場合がありますが、ハードウェアの仮想化によって様々なMicrosoft Windows™オペレーティング・システムとレガシー・オペレーティング・システムを修正せずに実行できます。

2.4 管理ドメイン

Oracle VM Server環境におけるほとんどのハードウェアの検出管理は、ドメイン0(dom0)と呼ばれる管理ドメインに渡されます。 dom0カーネルは、様々なデバイス、ファイル・システムおよびソフトウェアRAIDとボリューム管理をサポートする完全なLinuxカーネルです。 Oracle VM Serverにおけるdom0の役割は、多くのシステム・ハードウェアへのアクセスを可能にし、ゲスト・オペレーティング・システムを作成、破棄、管理し、これらのゲストに対して共通の仮想ハードウェアを使用可能にすることです。

2.5 ドメイン

管理ドメイン(dom0)以外のドメインは、domUと呼ばれます。 これらのドメインは、ハードウェアまたはデバイス・ドライバに直接アクセスする権限を持たないドメインです。 各domUは、dom0のOracle VM Serverによって起動します。

2.6 準仮想化、ハードウェア仮想化およびバイナリ変換

Oracle VM Serverは、バイナリ変換ではなく準仮想化を使用します。 つまり、仮想化をサポートするためにオペレーティング・システムのソース・コードが修正されます。

バイナリ変換は、ハードウェア仮想化と比べて早くも遅くもありません。 バイナリ変換またはハードウェア仮想化が準仮想化よりも効率的かどうかは、バイナリ変換およびハードウェア仮想化の実装、アプリケーションおよびシステムでゲストとして実行されるオペレーティング・システムに依存します。

準仮想化を行えないオペレーティング・システム(たとえば、ソース・コードを使用できないMicrosoft Windows™、ユーザー数が準仮想化を維持できるほど大きくないLinux 2.4.xカーネルなど)を使用している場合は、バイナリ変換およびハードウェア仮想化が必要です。 準仮想化は、個々のイベントが独自にハイパーバイザとの通信を必要とする処理ではなく、ハイパーバイザとの通信をまとめて再利用できるような処理について、通常はバイナリ変換よりも効率的です。

2.7 仮想マシンの作成

Oracle VM Serverのvirt-installコマンドライン・ツールまたはOracle VM Managerの仮想マシン・テンプレートを使用して、仮想マシン(ゲスト)を作成します。 詳細は、第4章「ゲスト仮想マシンの作成」および『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』を参照してください。

2.8 ドメインの管理

Oracle VM Serverのxmコマンドライン・ツールまたはOracle VM Managerを使用して、ドメインを管理します。 詳細は、第5章「ドメインの監視および管理」および『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』を参照してください。

xm migrateコマンドを使用して、ドメインを移行します。 詳細は、第6章「ドメインのライブ移行」を参照してください。

2.9 Oracle VM Serverの構成

構成ファイルを使用してOracle VM Serverを構成できます。 構成ファイルのオプションは、/etc/xen/xend-config.sxpファイルで設定できます。 このファイルを変更したときは、Oracle VM Serverを再起動して変更を有効にする必要があります。 構成オプションの詳細は、付録B「Oracle VM Server構成ファイル」を参照してください。

2.10 Oracle VM Serverリポジトリの管理

ISO、ゲストおよびライブ移行を格納するために、Oracle VM Serverリポジトリを別途作成できます。 詳細は、第9章「ストレージ・リポジトリの管理」を参照してください。