対話管理ガイド

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対話方法の計画

この章では、さまざまなタイプのパーソナライゼーションを使用する場合および対話管理機能間の関係について説明します。

この章の内容は以下のとおりです。

 


開発する対話管理のタイプの選択

開発する対話管理のタイプを判断する場合には、表 2-1 を使用します。

この節では、次のトピックについて説明します。

条件について

対話管理では、さまざまな条件を使用して、ユーザおよびユーザの行動を識別します。

対話管理機能を構築する際には、条件を使用して次のアクションを実行します。

  1. 対象ユーザを識別する正確な特性 (前述の条件など) を指定します
  2. 指定した条件に一致するユーザがポータルを訪問したときに実行されるアクションを定義します

図 2-1 は、コンテンツ セレクタを使用してパーソナライズされたコンテンツをユーザに動的に表示する方法を示しています。まず条件を取得し、特定のユーザを識別し、該当するユーザに対してアクションを実行します。

図 2-1 対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

ルール エンジンは、ポータル ドメイン内のサーバのバックグラウンドで実行され、メモリ内にあるすべての条件を読み込み、それらの条件を作成したルールと比較評価し、条件がルールに一致する場合は定義されたアクションを実行します。

たとえば、キャンペーンでは次のような条件を使用して、パーソナライズされたコンテンツを提供するユーザを特定することができます。


ユーザとの対話方法を計画する場合のチェックリスト

ポータルにパーソナライゼーションを追加する場合には、関連するいくつかの設定を行う必要があります。表 2-2 のチェックリストには、ポータルのパーソナライゼーションを計画する際に考慮すべき項目が記載されています。

表 2-2 ユーザとの対話方法に関するチェックリスト
チェック ボックス
計画する項目
説明

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

1. コンテンツの作成
表示するコンテンツとコンテンツを表示するタイミングを特定し、コンテンツ項目に固有のプロパティを設定する。たとえば、Workshop for WebLogic を使用してコンテンツにプロパティを追加して、画像のクリッカブル化、一定回数クリック後のキャンペーンの終了、ムービーの起動、クリッカブル URL の提供などを行うことができる。詳細については、「コンテンツの設定」を参照。また、仮想コンテンツ リポジトリの作成と管理については、『コンテンツ管理ガイド』を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

2. プロパティ セットおよびプロパティの設定
プロパティ セットでは、プロパティを使用してユーザをユニークに識別する条件を作成する。BEA Workshop for WebLogic Platform で作成するプロパティは、パーソナライゼーション ロジックに対して定義する条件で使用される。たとえば、ユーザに給付制度情報を提示する NewHire プロパティ セットを作成できる。
BEA Workshop for WebLogic Platform のエディタを利用すると、次のプロパティを定義してユーザを識別する条件を作成することができる。
  • ユーザ プロファイル プロパティは、保存するユーザ情報を決定する。ユーザ プロファイル プロパティを使用すると、訪問者の資格や委託された管理者ロールを定義することもできます。
  • リクエスト プロパティでは、パーソナライゼーションを実行するための特定の HTTP リクエスト情報が取得および使用されます。
  • セッション プロパティでは、パーソナライゼーションを実行するための特定の HTTP セッション情報が取得および使用される。
  • カスタム イベントでは、パーソナライゼーションとキャンペーンをトリガして、ユーザの動作を追跡できる。
それぞれのユーザには、ロジック条件に基づいて、パーソナライズされた正確な Web コンテンツ、自動送信の電子メール、または割引が動的に提供される。詳細については、「プロパティ セットの作成」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

3. ユーザの設定
外部データベースの既存のユーザにアクセスするか、またはポータルに新規ユーザを追加する。ユーザの設定および管理については、『ユーザ管理ガイド』を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

4. ユーザ セグメントの作成
ユーザ セグメントを作成すると、対象訪問者を定義する条件や基準に基づいてユーザを動的に分類できる。これらの条件には、業務、ブラウザ タイプ、ユーザ プロファイル値、その他のユーザ プロパティなどの特性を含めることができる。
たとえば、過去 30 日間に 6 本以上のオンデマンド映画を注文したすべてのユーザを分類することができる。定義済みの特性と訪問者が一致する場合、訪問者は自動的にユーザ セグメントのメンバーとなり、コンテンツ セレクタで特定の Web コンテンツが表示されるか、または作成したキャンペーン アクションの対象となる。
ユーザ セグメントは、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、およびキャンペーンで繰り返し使用できる。詳細については、「ユーザ セグメントの作成」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

5. コンテンツ セレクタの作成
コンテンツ セレクタを使用すると、BEA の仮想コンテンツ リポジトリのコンテンツ項目を特定のグループ向けに提供できる。たとえば、パーソナライゼーションをトリガするユーザ セグメントを作成した場合、コンテンツ セレクタを作成して、特定のユーザ セグメントに属するユーザに対して表示されるコンテンツを定義できます。「movie fans」として識別されたユーザには、推奨のムービー リストを表示できる。詳細については、「コンテンツ セレクタの作成」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

6. プレースホルダの作成
プレースホルダは、JSP 上に 1 つのパーソナライズされたコンテンツ項目を表示する。コンテンツ項目は、BEA 仮想コンテンツ リポジトリから動的に取得されます。
プレースホルダは、クエリを使用して一度に 1 つのコンテンツの取得と表示を行う。たとえば、ユーザが鳥の愛好家であると識別されると、キャンペーンのプレースホルダは鳥の画像を表示して、割引価格を提示できる。この画像には、ブラウザを更新するたびに別の鳥を表示することもできる。また、プレースホルダを単独で使用して、キャンペーンに含まれない特定のタイプのパーソナライズされていないコンテンツを表示することもできる。「プレースホルダの作成」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

7. キャンペーンの作成
キャンペーンでは、特定のユーザに対する 1 つのパーソナライズされたコンテンツの一括適用、定義済み電子メールの自動送信、またはコマース アプリケーションでの割引の提供を行うことができる。キャンペーンは期間限定で実施され、特定の事業目標の達成を目指してオンライン上の行動とパーソナライゼーションを促進します。通常、キャンペーンのコンテンツはマーケティング部門によって運営される。詳しくは、「キャンペーンの構築」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

8. 行動追跡の設定
イベントを使用して、キャンペーンのトリガやイベント データのデータベースへの保存などのアクションを実行できる。イベントは、ユーザが Web インタフェースを操作 (ログイン、グラフィックのクリックや表示、ボタンのクリック、ポータル内の別のページへの移動など) したときに生成される。ポータル内のユーザの経路で発生したイベントはデータベースのログに記録されるため、ポータルでのユーザの行動を分析できる。たとえば、ポータルに登録したユーザの数を確認したり、登録イベントの発生時に各ユーザに歓迎の電子メールを自動的に送信するキャンペーンを作成できる。
また、実行時にカスタム イベントの通知を受けて、その内容に従って対応することもできる。イベントの内容に基づいて、別のシステムにイベントを転送したり、実行時の処理判断を行うことが可能。
詳細については、「イベントと行動追跡の設定」を参照してください。

対話管理を使用する最も重要な利点の 1 つは、ロジックとソース コードを分離できることです。作成するファイル (キャンペーン、プレースホルダ、コンテンツ セレクタなど) にパーソナライゼーションのロジックおよびコンテンツ クエリを記述し、コードからそれらのファイルを参照します。たとえば、キャンペーンでは、プレースホルダと呼ばれる JSP タグを使用して Web コンテンツを表示します。

次に、既存のプレースホルダを使用するキャンペーンを定義して、各プレースホルダでキャンペーンおよび個々のユーザに対してユニークなコンテンツを表示できます。キャンペーンの変更や追加を行う場合でも、JSP コードを変更する必要はありません。JSP 内の必要なプレースホルダは、現状のまま維持されます。


キャンペーン方針を計画する場合のチェックリスト

この節では、次のトピックについて説明します。

キャンペーンでは、対話管理を使用して事業目標を実現します。ポータルでキャンペーンの利用を計画する際には、表 2-3 のチェックリストを使用します。

表 2-3 キャンペーン方針チェックリスト
チェック ボックス
計画する項目
注意

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

1. ポータル アプリケーションの作成
Workshop for WebLogic ヘルプ システムの「ポータル アプリケーションおよびポータル Web プロジェクトを作成する」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

2. コンテンツの設定
キャンペーンでコンテンツ ルールを使用してパーソナライズされたコンテンツを表示する場合は、BEA の仮想コンテンツ リポジトリからコンテンツを取得し、プレースホルダで表示する。キャンペーンに必要な機能および役に立つ機能を有効にするためにコンテンツに追加できるプロパティが数多くある。たとえば、プレースホルダに特定のコンテンツ項目が表示される機会を増やすために、コンテンツ項目の adWeight プロパティを (整数として) 作成する。コンテンツ項目に対して入力した adWeight 値が大きいほど、そのコンテンツがクエリによって取得された場合にプレースホルダで表示される可能性が高くなる。
対話管理で使用するコンテンツの設定の詳細については、このガイドの「コンテンツの設定」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

3. 目標設定を使用するかどうかの判断
目標設定を使用すると、表示またはクリックされたコンテンツ項目の数に基づいてキャンペーンを終了できる。目標設定の詳細については、「キャンペーンの仕組みの計画」および「目標定義の設定」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

4. プレースホルダの作成
キャンペーンでは、プレースホルダを使用してパーソナライズされた Web コンテンツを表示する。キャンペーンを使用してパーソナライズされたコンテンツを表示する場合は、キャンペーン クエリを挿入して Web コンテンツを表示するプレースホルダを作成する。
プレースホルダの詳細については、「プレースホルダの作成」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

5. ユーザ セグメントの作成
特定の特性に応じて動的にユーザをグループ化し、ユーザ グループに基づいてキャンペーンをトリガする場合は、ユーザ セグメントを作成する。ユーザ セグメントの詳細については、「ユーザ セグメントの作成」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

6. プロパティ セットの作成
ユーザ、イベント、HTTP セッション、または HTTP リクエストのプロパティに基づいてキャンペーンをトリガする場合は、以下の関連手順を実行する。
  • ユーザ プロファイル プロパティの作成
  • カスタム イベントの登録
  • セッション プロパティの作成
  • リクエスト プロパティの作成
対話管理でのこれらのプロパティの使用方法の詳細については、「プロパティ セットの設定」を参照。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

7.電子メール メッセージの設定
キャンペーンでは電子メールの自動送信を行うことができる。「自動電子メール メッセージの設定」の手順を実行する。

対話管理のロジックおよびフローの簡単な例

8. キャンペーンのトリガ
キャンペーンを開始する標準イベントまたは行動追跡イベントを設定する。一般に使用されるイベントは、SessionLoginEvent。詳しくは、「キャンペーンのトリガ」を参照。

キャンペーンについて

次に、キャンペーンの使用例を示します。

注意 : 現時点では、追跡の対象外である匿名ユーザに対するキャンペーンと行動追跡はサポートされていません。『ユーザ管理ガイド』を参照してください。


行動追跡方法の計画

WebLogic Portal のイベント フレームワークには、ポータルの訪問者の行動を追跡するために、イベントの生成と処理を行う複数のオプションが用意されています。この節では、必要な機能を実装するためにイベント フレームワークのどの部分を使用するかを判断するためのガイドラインを示します。

この節では、次のトピックについて説明します。

定義済みイベントを使用する場合について

WebLogic Portal には、「事前定義されたイベントの使用」で説明しているように、アプリケーションで使用できる定義済みの行動追跡イベントが多数用意されています。各イベントは、特定の属性を収集し、収集した属性を XML として構造化します。その後、行動追跡リスナが、BT_EVENT データベース テーブルに挿入するためにその XML をバッファに配置します。

ほとんどの定義済みイベントには、Workshop for WebLogic に定義済みのイベント プロパティ セットがあり、それらは、ポータル アプリケーションの /data/src/events ディレクトリに格納されています。これらのプロパティ セットをキャンペーン定義内のイベントで使用して、イベントが発生した、またはイベントに特定の属性値があったときにキャンペーン アクションをトリガできます。

次に、WebLogic Portal の定義済みイベントの使用例を示します。

カスタム イベントの作成について

必要な属性を取り込む WebLogic Portal の定義済みイベントがない場合は、カスタム イベントを作成します。行動追跡イベントと標準イベントという 2 種類のカスタム イベントを作成できます。

イベント設定の手順については、「イベントと行動追跡の設定」を参照してください。

行動追跡イベントの計画

カスタム行動追跡イベントを作成するのは、目的のイベント属性を取り込む WebLogic Portal の定義済みイベントが存在せず、WebLogic Portal の行動追跡フレームワークを使用して、イベント データを XML として BT_EVENT テーブルに保存する必要がある場合です。これらのイベントをキャンペーンで使用し、イベントに対して特殊な処理を行うカスタム リスナを作成できますが、行動追跡フレームワークを使用してイベント データを XML として保存するのでない限り、カスタム行動追跡イベントを作成する必要はありません。

行動追跡サービスを使用しない場合は、カスタム標準イベントを作成します。

標準イベントの計画

カスタム標準イベントは、WebLogic Portal の定義済みイベントに目的のイベント属性を取り込むイベントがなく、さらに行動追跡サービスを使用してイベント データを XML として BT_EVENT テーブルに永続化しない場合に作成します。

次に、カスタム標準イベントを作成する場合を列挙します。

カスタム イベント リスナの作成について

WebLogic Portal には、キャンペーン リスナと行動追跡リスナという 2 つのリスナが用意されています。

キャンペーン リスナは、イベントが発生すると、キャンペーン サービスに通知します (wps.jar ファイルの listener.properties ファイル内の無視されるイベントを除く)。キャンペーン サービス は、現在の要求を読み込み、要求されたデータがいずれかのキャンペーンの条件と一致している場合はキャンペーン アクションを実行します。キャンペーン定義に、イベント プロパティ セットによって指定したイベント条件が含まれている場合、キャンペーン サービスは、それらの条件も同様に評価して、キャンペーン アクションを実行する必要があるかどうかを決定します。

行動追跡リスナは、行動追跡サービスによって登録された行動追跡イベントだけをリスンします。行動追跡リスナは、リスンすべきイベントを受信すると、そのイベントの XML ドキュメントをバッファに移動します。XML ドキュメントは、その後、指定された間隔で BT_EVENT テーブルに永続化されます。

カスタム イベント リスナは、キャンペーン リスナまたは行動追跡リスナでは提供されない機能を実行する場合に作成します。たとえば、イベント データの独自の永続化やユーザ プロファイルの変更、ページ フローの別の部分へのユーザのリダイレクト、イベントに対するその他のリアルタイム応答を実行する場合は、目的の機能を提供するカスタム イベント リスナを作成します。

詳細については、「イベントと行動追跡の設定」を参照してください。


対話管理機能の更新

Workshop for WebLogic で、プロパティ セット、ユーザ セグメント、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、およびキャンペーンを作成した後に、WebLogic Portal Administration Console を使用してそれらのコンポーネントの設定およびクエリを変更できます。詳細については、「プロパティ セット値の変更」、「ユーザ セグメントの変更」、「コンテンツ セレクタの変更」、「プレースホルダの変更」、および「キャンペーンの管理」を参照してください。

新しい対話管理機能を作成するか、またはプロパティを変更する場合には、Workshop for WebLogic を使用して実行中のサーバに更新を対話形式でプッシュします。詳細については、『プロダクション業務ガイド』を参照してください。


Portal 8.1 の対話機能のアップグレード

BEA WebLogic アップグレード ウィザードを実行すると、コンテンツ セレクタ、プレースホルダ、キャンペーンなどの WebLogic Portal 8.1 (SP4、SP5、または SP6) の対話機能がアップグレードされます。

BEA WebLogic アップグレード ウィザードを実行し、Portal 8.1 インストールが検出されたときに、RDBMSAuthenticator のアップグレード オプションを選択できます。このオプションを選択すると、既存の認証プロバイダが新しい SQLAuthenticator 認証プロバイダに置き換えられ、パーソナライゼーション機能をはじめとするすべてのコンテンツがアップグレードされます。後で手動で Portal 8.1 SP4、SP5、または SP6 のパーソナライゼーション機能を Portal 9.2 RDBMS ユーザ ストアにアップグレードすることもできます。BEA WebLogic アップグレード ウィザードの実行手順については、『WebLogic Portal 9.2 へのアップグレード』を参照してください。


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