3.1.5 レポートと出力の理解および管理
Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、結果および推奨事項を含む詳細なHTMLレポートが生成されます。
- 一時ファイルおよび一時ディレクトリ
コンプライアンス・チェックの実行中に、Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、データ収集と評価のための一時ディレクトリおよび一時ファイルが作成されて、コンプライアンス・チェック実行の完了時にそれらが削除されます。 - 出力ファイルおよび出力ディレクトリ
Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、様々なファイルを含む出力ディレクトリが調査用に作成されます。 - HTMLレポート出力
- レポートのタグ付け
コンプライアンス・チェックHTMLレポートには通常、orachk_hostname_database_date_timestamp.html
またはexachk_hostname_database_date_timestamp.html
という名前が付けられます。 - ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
Oracle OrachkおよびOracle Exachkの-fileattr
オプションとコマンド・フラグを使用して、ファイル属性の設定を記録および追跡し、スナップショットを比較します。 - 2つのレポートの比較
Oracle Autonomous Health Frameworkを自動デーモン・モードで実行すると、最新の2つのHTMLレポートを自動的に比較して、3つ目の差分レポートを生成します。 - レポートのマージ
レポートのマージは、様々なユーザーが様々なチェックのサブセットを実行してすべてをまとめて表示するロール別環境で役立ちます。 - 一時ファイルおよび一時ディレクトリの保守
Oracle OrachkおよびOracle Exachkは、コンプライアンス・チェックの実行中に、いくつかの一時ファイルおよび一時ディレクトリを作成します。 - 他のツールでの複数の結果の使用
オプションで、コンプライアンス・チェック結果を他の様々なツールに統合します。
関連トピック
3.1.5.1 一時ファイルおよび一時ディレクトリ
コンプライアンス・チェックの実行中に、Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、データ収集と評価のための一時的なディレクトリおよびファイルが作成されて、コンプライアンス・チェック実行の完了時にそれらが削除されます。
デフォルトでは、Oracle OrachkおよびOracle Exachkは、/opt/oracle.SupportTools/exachk
または/opt/oracle.SupportTools/orachk
ディレクトリ(存在する場合)、またはツールを実行するユーザーの$HOME
ディレクトリに一時ファイルおよび一時ディレクトリを作成します。
RAT_TMPDIR=tmp_directory
を設定して、この一時作業ディレクトリを変更します。$ export RAT_TMPDIR=/tmp
$ orachk
$ export RAT_TMPDIR=/tmp
$ exachk
root
にsudo
アクセスを使用していて、RAT_TMPDIR=tmp_directory
を変更する場合は、この変更を/etc/sudoers
ファイルにも反映する必要があります。
/etc/sudoers
ファイルには、新しい一時ディレクトリの場所にあるroot
スクリプトのエントリが含まれている必要があります。 oracle ALL=(root) NOPASSWD:/tmp/root_orachk.sh
oracle ALL=(root) NOPASSWD:/tmp/root_exachk.sh
root
スクリプトの作成に使用するディレクトリの場所を変更できます。export RAT_ROOT_SH_DIR=/mylocation
/etc/sudoers
ファイルにエントリを追加します。oracle ALL=(root) NOPASSWD:/mylocation/root_orachk.sh
ノート:
RAT_TMPDIR
で指定されたディレクトリは、すべてのクラスタ・ノードのホストに存在する必要があります。
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.2 出力ファイルおよび出力ディレクトリ
Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、様々なファイルを含む出力ディレクトリが調査用に作成されます。
utility_name host_name database date time_stamp
説明utility
は、orachk
またはexachk
のいずれかですhost_name
は、Oracle OrachkまたはOracle Exachkが実行されたノードのホスト名ですdatabase
は、コンプライアンス・チェックが実行されたデータベースまたはデータベースの1つの名前です(該当する場合)date
は、コンプライアンス・チェックが実行された日付ですtimestamp
は、コンプライアンス・チェックが実行された時刻です
–output
オプションを使用します。$ orachk –output output_dir
$ exachk –output output_dir
RAT_OUTPUT
環境変数を使用して、次のように出力ディレクトリを設定します。$ export RAT_OUTPUT=output_dir
$ orachk
$ export RAT_OUTPUT=output_dir
$ exachk
このディレクトリの内容は、同じ名前のzipファイルで入手できます。
コンプライアンス・チェックの完了後、Oracle OrachkおよびOracle Exachkは、このzipファイルとHTMLレポート・ファイルの場所を報告します。
...
Detailed report (html) - /orahome/oradb/orachk/orachk_myhost_rdb11204_041816_055429/orachk_myhost_rdb11204_041816_055429.html
UPLOAD(if required) - /orahome/oradb/orachk/orachk_myhost_rdb11204_041816_055429.zip
$ ls -la
total 61832
drwxr-xr-x 4 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 .
drwx------ 34 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:58 ..
drwxr--r-- 3 oradb oinstall 4096 Mar 28 17:36 .cgrep
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 4692868 Mar 28 17:35 CollectionManager_App.sql
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 41498425 Apr 18 05:54 collections.dat
-rwxr-xr-x 1 oradb oinstall 2730651 Mar 28 17:35 orachk
drwxr-xr-x 7 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 orachk_myhost_rdb11204_041816_055429
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 36141 Apr 18 05:55 orachk_myhost_rdb11204_041816_055429.zip
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 9380260 Mar 28 19:02 orachk.zip
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 3869 Mar 28 17:36 readme.txt
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 4877997 Apr 18 05:54 rules.dat
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 40052 Mar 28 17:35 sample_user_defined_checks.xml
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 2888 Mar 28 17:35 user_defined_checks.xsd
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 425 Mar 28 17:36 UserGuide.txt
出力ディレクトリには、他のいくつかのディレクトリおよび主要なHTMLレポート・ファイルが含まれています。
$ cd orachk_myhost_rdb11204_041816_055429
$ ls -la
total 60
drwxr-xr-x 7 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 .
drwxr-xr-x 4 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 ..
drwxr-xr-x 2 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 log
-rw-r--r-- 1 oradb oinstall 30815 Apr 18 05:55 orachk_myhost_rdb11204_041816_055429.html
drwxr-xr-x 4 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 outfiles
drwxr-xr-x 2 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 reports
drwxr-xr-x 2 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 scripts
drwxr-xr-x 2 oradb oinstall 4096 Apr 18 05:55 upload
Oracle OrachkとOracle Exachkはそれぞれ、使用するツールに応じて次の情報を含む出力ディレクトリを作成します:
表3-4 出力ファイルおよび出力ディレクトリ
出力 | 説明 |
---|---|
|
コンプライアンス・チェックの詳細を記録するログ・ファイルがいくつか含まれています。次に示します。 Oracle Orachk:
Oracle Exachk:
|
|
収集結果がいくつか含まれています。 |
|
メイン・レポートの作成に使用されるサブレポートが含まれています。 |
|
収集中に使用されるスクリプトが含まれています。 |
|
Oracle Health Check Collections Managerが使用したり、結果を独自のアプリケーションに統合したり、他のユーティリティに統合するために、収集結果をデータベースにアップロードするためのファイルが含まれています。 |
|
Oracle Orachk: 出力ディレクトリと同じ名前形式を使用したメインHTMLレポート出力: |
|
Oracle Exachk: 出力ディレクトリと同じ名前形式を使用したメインHTMLレポート出力: |
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.3 HTMLレポート出力
コンプライアンス・チェックHTMLレポートには、次が含まれます。
-
上位レベルのヘルス・スコア
-
実行のサマリー
-
結果に簡単にアクセスできる目次
-
結果および問題を解決するための推奨事項
- システム・ヘルス・スコアおよびサマリー
Oracle OrachkおよびOracle Exachkは、合格または失敗したコンプライアンス・チェックの数に基づいてシステム・ヘルス・スコアを概算します。 - HTMLレポートの目次および機能
目次には、HTMLレポート内の各主要セクションへのリンクがあります。 - HTMLレポートの結果
レポートの結果は、Oracleスタック・コンポーネントごとにグループ化されます。 - 最大可用性アーキテクチャ(MAA)スコアカード
最大可用性アーキテクチャ(MAA)スコアカードは、結果グループの後に表示されます。 - さらにレビューが必要な結果
コンプライアンス・チェックに部分的なビューしかなく、関係があるかどうかを判断するためにユーザー・レビューが必要な問題は、さらにレビューが必要な結果セクションに表示されます。 - Platinumサーティフィケーション
Platinumサーティフィケーション・セクションには、Oracle Platinumサービスのコンプライアンス・ステータス・アイテムのリストが表示されます。 - クラスタ全体のLinuxオペレーティング・システム・コンプライアンス・チェック(VMPScan)の表示
Linuxシステムでは、コンプライアンス・チェック・レポートのクラスタ全体のLinuxオペレーティング・システム・ヘルス・チェック(VMPScan)セクションにVMPScanレポートのサマリーが表示されます。 - システム全体の自動サービス・リクエスト(ASR)ヘルス・チェック・セクション
asrexacheck
は、ASR Managerへの通信が可能であることを確認するために、ASR構成をチェックおよびテストするように設計されています。 - ファイル属性の変更
ファイル属性の変更セクションは、Oracle OrachkおよびOracle Exachkが–fileattr
オプションを指定して実行された場合にのみレポートに表示されます。 - スキップされたチェック
なんらかの理由で実行できずにスキップされたチェックは、スキップされたチェック・セクションに表示されます。 - コンポーネントの経過時間
コンポーネントの経過時間には、様々なコンポーネントのチェックに必要な時間の内訳が表示されます。 - 上位10の時間消費チェック
上位10の時間消費チェック・セクションには、実行されたチェックのうち最も遅い10のチェックが表示されます。 - チェックIDの検索方法
各コンプライアンス・チェックには、一意の32文字のIDがあります。 - 既存のHTMLレポートからチェックを削除する方法
結果の削除を使用して、レポートから個々の結果を非表示にします。
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.3.1 システム・ヘルス・スコアおよびサマリー
Oracle OrachkおよびOracle Exachkは、合格または失敗したコンプライアンス・チェックの数に基づいてシステム・ヘルス・スコアを概算します。
実行のサマリーには、実行された場所と実行日時、使用されたバージョン、所要時間、実行したユーザーなどが表示されます。
詳細リンクをクリックしてシステム・ヘルス・スコア・セクションを展開し、この計算方法の詳細を表示します。
–noscore
オプションを使用します。$ orachk –noscore
$ exachk –noscore
関連トピック
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.2 HTMLレポートの目次および機能
目次には、HTMLレポート内の各主要セクションへのリンクがあります。
サマリーの後のHTMLレポートの次のセクションは、目次およびレポート機能です。
-
目次には、HTMLレポート内の各主要セクションへのリンクがあります
-
目次に表示される内容は、コンプライアンス・チェックの実行中に検出されたOracleスタック・コンポーネントによって異なります。
-
-
レポート機能を使用すると、次の操作が可能です。
-
ステータスに基づいたチェックのフィルタ。
-
リージョンの選択。
-
すべてのチェックの展開または縮小。
-
チェックIDの表示。
-
レポートからの結果の削除。
-
印刷可能ビューの取得。
-
–nopass
オプションを使用します。$ orachk –nopass
$ exachk –nopass
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.3 HTMLレポートの結果
レポートの結果は、Oracleスタック・コンポーネントごとにグループ化されます。
結果には、次のものが含まれます。
-
チェックのステータス(
FAIL
、WARNING
、INFO
またはPASS
) -
チェックのタイプ
-
チェック・メッセージ
-
チェックが実行された場所
-
追加の結果および推奨事項の詳細を展開するためのリンク
詳細を表示をクリックして、結果および推奨事項を表示します。
-
問題を解決するためのソリューション
-
適用できる推奨事項
-
問題が該当しない状況
-
関連するドキュメントやMy Oracle Supportノートへのリンク
-
推奨事項が基づいているデータの例
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.4 最大可用性アーキテクチャ(MAA)スコアカード
最大可用性アーキテクチャ(MAA)スコアカードは、結果グループの後に表示されます。
MAAスコアカードは、最大可用性アーキテクチャの一連のベスト・プラクティスを提供します。また、ソフトウェアが最新でないかどうかインストール済のソフトウェア・バージョンをチェックしたり、互換性のない機能が使用されているなど、最大可用性に関連する結果も表示されます。
図3-8 Maximum Availability Architecture (MAA) Scorecard
「図3-8 Maximum Availability Architecture (MAA) Scorecard」の説明
-m
オプションを使用します。$ orachk –m
$ exachk –m
関連トピック
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.5 さらにレビューが必要な結果
コンプライアンス・チェックに部分的なビューしかなく、関係があるかどうかを判断するためにユーザー・レビューが必要な問題は、さらにレビューが必要な結果セクションに表示されます。
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.6 Platinumサーティフィケーション
Platinumサーティフィケーション・セクションには、Oracle Platinumサービスのコンプライアンス・ステータス・アイテムのリストが表示されます。
既存のPlatinumの顧客の場合、これはレビューです。Oracle Platinumにまだ参加していない顧客の場合は、Oracle Platinumに参加する準備ができていることを示します。
ノート:
このセクションは、Oracle Engineered Systemsでコンプライアンス・チェックが実行された場合に表示されます。
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.7 クラスタ全体のLinuxオペレーティング・システム・コンプライアンス・チェック(VMPScan)の表示
Linuxシステムでは、コンプライアンス・チェック・レポートのクラスタ全体のLinuxオペレーティング・システム・ヘルス・チェック(VMPScan)セクションにVMPScanレポートのサマリーが表示されます。
完全なVMPScanレポートは、collection/reports
およびcollection/outfiles/vmpscan
ディレクトリにもあります。
図3-11 Clusterwide Linux Operating System Health Check (VMPScan)
「図3-11 Clusterwide Linux Operating System Health Check (VMPScan)」の説明
ノート:
VMPScanレポートは、Oracle OrachkがLinuxシステムで実行された場合にのみ含まれます。
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.8 システム全体の自動サービス・リクエスト(ASR)ヘルス・チェック・セクション
asrexacheck
は、ASR Managerへの通信が可能であることを確認するために、ASR構成をチェックおよびテストするように設計されています。
これは、構成のみをチェックし、システムまたは構成ファイルに書き込まない非侵入型のスクリプトです。このスクリプトは、既知の構成の問題と、BDAの構成の誤りが原因でASRによって報告されなかった可能性のある以前のハードウェア障害をチェックします。
このセクションは、Oracle Engineered Systemsでコンプライアンス・チェックが実行された場合にのみレポートに含まれます。
次は、簡潔にするために省略されたシステム全体の自動サービス・リクエスト(ASR)ヘルス・チェック・セクションの例を示しています。
3.1.5.3.9 ファイル属性の変更
ファイル属性の変更セクションは、Oracle OrachkおよびOracle Exachkが–fileattr
オプションを指定して実行された場合にのみレポートに表示されます。
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.11 コンポーネントの経過時間
コンポーネントの経過時間には、様々なコンポーネントのチェックに必要な時間の内訳が表示されます。
これは、パフォーマンスの問題を診断するときに役立ちます。
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.12 上位10の時間消費チェック
上位10の時間消費チェック・セクションには、実行されたチェックのうち最も遅い10のチェックが表示されます。
これは、パフォーマンスの問題を診断するときに役立ちます。
3.1.5.3.13 チェックIDの検索方法
各コンプライアンス・チェックには、一意の32文字のIDがあります。
次の場合にチェックIDを検索できます。
-
特定のチェックについてOracleまたは独自の内部チームに連絡する場合
-
1つ以上のチェックを除外または実行のみする場合
生成されたレポートを使用して特定のチェックIDを検索するには、チェックIDの表示リンクをクリックします。
結果では、左側からチェックID、追加の列が表示されます。
関連トピック
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.3.14 既存のHTMLレポートからチェックを削除する方法
結果の削除を使用して、レポートから個々の結果を非表示にします。
レポートから結果を削除をクリックします。
各結果の横にXが付いたボタンが表示されます。
「X」をクリックして、結果を非表示にします。これは、HTMLレポートのソースから結果を削除するのではなく、単に非表示にします。HTMLレポートが再ロードされると、結果が再表示されます。
結果を完全に非表示にするには、ご使用のブラウザのページを保存するオプションを使用して、結果が非表示になったらレポートを保存します。
レポートに表示しない結果がある場合は、それらを完全に除外して、最初からチェックが実行されないようにできます。
関連トピック
親トピック: HTMLレポート出力
3.1.5.4 レポートのタグ付け
コンプライアンス・チェックHTMLレポートには通常、orachk_hostname_database_date_timestamp.html
またはexachk_hostname_database_date_timestamp.html
という名前が付けられます。
HTMLレポート名に他のタグを含めて、差別化や識別を容易にすることができます。
次のように、HTMLレポート名にカスタム・タグを含めます。
$ orachk –tag tag_name
$ exachk –tag tag_name
orachk_host_name_database_date_timestamp_tag_name.html
exachk_host_name_database_date_timestamp_tag_name.html
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.5 ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
Oracle OrachkおよびOracle Exachkの-fileattr
オプションとコマンド・フラグを使用して、ファイル属性の設定を記録および追跡し、スナップショットを比較します。
所有者、グループ、権限などのファイル属性を変更すると、予期しない結果が生じることがあります。ビジネスに影響が及ばないうちに、問題を事前に監視して軽減してください。
- デーモンでのファイル属性チェックの使用
-fileattr
を使用するには、Oracle Grid Infrastructureがインストールされ、稼働している必要があります。 - ファイル属性のスナップショットの取得
デフォルトでは、Oracle Grid Infrastructureホーム、およびインストールされているすべてのOracle Databaseホームがスナップショットに含まれます。 - チェックにディレクトリを含める
ファイル属性の変更チェックにディレクトリを含めます。 - チェックからのディレクトリの除外
ファイル属性の変更チェックからディレクトリを除外します。 - 変更の再チェック
新しいスナップショットを以前のスナップショットと比較して変更を追跡します。 - ベースラインとしてのスナップショットの指定
スナップショットを他のスナップショットと比較するためのベースラインとして指定します。 - システム・チェックの制限
ファイル属性の変更チェックのみを実行するようにOracle OrachkおよびOracle Exachkを制限します。 - スナップショットの削除
スナップショットをこまめに削除します。
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.5.1 デーモンでのファイル属性チェックの使用
-fileattr
を使用するには、Oracle Grid Infrastructureがインストールされ、稼働している必要があります。
デーモンでファイル属性チェックを使用するには:
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.5.2 ファイル属性のスナップショットの取得
デフォルトでは、Oracle Grid Infrastructureホーム、およびインストールされているすべてのOracle Databaseホームがスナップショットに含まれます。
ファイル属性のスナップショットを取得するには:
–fileattr start
コマンドを実行します。orachk –fileattr start
exachk –fileattr start
例3-4 orachk -fileattr start
orachk -fileattr start
CRS stack is running and CRS_HOME is not set. Do you want to set CRS_HOME to /u01/app/11.2.0.4/grid?[y/n][y]
Checking ssh user equivalency settings on all nodes in cluster
Node mysrv22 is configured for ssh user equivalency for oradb user
Node mysrv23 is configured for ssh user equivalency for oradb user
List of directories(recursive) for checking file attributes:
/u01/app/oradb/product/11.2.0/dbhome_11202
/u01/app/oradb/product/11.2.0/dbhome_11203
/u01/app/oradb/product/11.2.0/dbhome_11204
orachk has taken snapshot of file attributes for above directories at: /orahome/oradb/orachk/orachk_mysrv21_20160504_041214
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.5.3 チェックにディレクトリを含める
ファイル属性の変更チェックにディレクトリを含めます。
チェックにディレクトリを含めるには:
–includedir directories
オプションを使用して、ファイル属性の変更チェック・コマンドを実行します。
ここで、directories
は、チェックに含めるディレクトリのカンマ区切りリストです。
orachk -fileattr start -includedir "/home/oradb,/etc/oratab"
exachk -fileattr start -includedir "/home/oradb,/etc/oratab"
例3-5 orachk -fileattr start -includedir
orachk -fileattr start -includedir "/root/myapp/config/"
CRS stack is running and CRS_HOME is not set. Do you want to set CRS_HOME to /u01/app/12.2.0/grid?[y/n][y]
Checking for prompts on myserver18 for oragrid user...
Checking ssh user equivalency settings on all nodes in cluster
Node myserver17 is configured for ssh user equivalency for root user
List of directories(recursive) for checking file attributes:
/u01/app/12.2.0/grid
/u01/app/oradb/product/12.2.0/dbhome_1
/u01/app/oradb2/product/12.2.0/dbhome_1
/root/myapp/config/
orachk has taken snapshot of file attributes for above directories at: /root/orachk/orachk_ myserver18_20160511_032034
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.5.4 チェックからのディレクトリの除外
ファイル属性の変更チェックからディレクトリを除外します。
チェックからディレクトリを除外するには:
-excludediscovery
オプションを使用して-includedir
検出リストにリストしていないディレクトリを除外する、ファイル属性の変更チェック・コマンドを実行します。
例3-6 orachk -fileattr start -includedir -excludediscovery
orachk -fileattr start -includedir "/root/myapp/config/" -excludediscovery
CRS stack is running and CRS_HOME is not set. Do you want to set CRS_HOME to /u01/app/12.2.0/grid?[y/n][y]
Checking for prompts on myserver18 for oragrid user...
Checking ssh user equivalency settings on all nodes in cluster
Node myserver17 is configured for ssh user equivalency for root user
List of directories(recursive) for checking file attributes:
/root/myapp/config/
orachk has taken snapshot of file attributes for above directories at: /root/orachk/orachk_myserver18_20160511_032209
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.5.5 変更の再チェック
新しいスナップショットを以前のスナップショットと比較して変更を追跡します。
変更を再チェックするには:
check
オプションを使用してファイル属性の変更チェック・コマンドを実行し、新しいスナップショットを取得して、通常のヘルス・チェックの収集を実行します。
–fileattr check
コマンドは、新しいスナップショットを以前のスナップショットと比較します。
orachk –fileattr check
exachk –fileattr check
ノート:
スナップショット間の正確な比較を取得するには、–fileattr start
で取得した以前のスナップショットの収集で使用したのと同じオプションを指定して、–fileattr check
を使用する必要があります。
たとえば、–fileattr start
を実行したときにオプション-includedir "/somedir" –excludediscovery
を使用して最初のスナップショットを取得した場合、正確な比較を取得するには、–fileattr check
でも同じオプションを指定する必要があります。
例3-7 orachk -fileattr check -includedir -excludediscovery
orachk -fileattr check -includedir "/root/myapp/config" -excludediscovery
CRS stack is running and CRS_HOME is not set. Do you want to set CRS_HOME to /u01/app/12.2.0/grid?[y/n][y]
Checking for prompts on myserver18 for oragrid user...
Checking ssh user equivalency settings on all nodes in cluster
Node myserver17 is configured for ssh user equivalency for root user
List of directories(recursive) for checking file attributes:
/root/myapp/config
Checking file attribute changes...
.
"/root/myapp/config/myappconfig.xml" is different:
Baseline : 0644 oracle root /root/myapp/config/myappconfig.xml
Current : 0644 root root /root/myapp/config/myappconfig.xml
...
ファイル属性の変更の結果は、HTML出力レポートのファイル属性の変更セクションに反映されます。
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.5.6 ベースラインとしてのスナップショットの指定
スナップショットを他のスナップショットと比較するためのベースラインとして指定します。
スナップショットをベースラインとして指定するには:
–baseline path_to_snapshot
オプションを使用して、ファイル属性の変更チェック・コマンドを実行します。
–baseline path_to_snapshot
コマンドは、チェックする複数の異なるベースラインがある場合、特定のベースラインのスナップショットを他のスナップショットと比較します。
orachk -fileattr check -baseline path_to_snapshot
exachk –fileattr check –baseline path_to_snapshot
例3-8 orachk -fileattr check
orachk -fileattr check -baseline "/tmp/Snapshot"
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.5.7 システム・チェックの制限
ファイル属性の変更チェックのみを実行するようにOracle OrachkおよびOracle Exachkを制限します。
–fileattr check
は完全なヘルス・チェックも実行します。
システム・チェックを制限するには:
–fileattronly
オプションを使用して、ファイル属性の変更チェック・コマンドを実行します。
orachk -fileattr check –fileattronly
exachk -fileattr check –fileattronly
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.5.8 スナップショットの削除
スナップショットをこまめに削除します。
スナップショットを削除するには:
remove
オプションを使用して、ファイル属性の変更チェック・コマンドを実行します。orachk –fileattr remove
exachk –fileattr remove
例3-9 orachk -fileattr remove
orachk -fileattr remove
CRS stack is running and CRS_HOME is not set. Do you want to set CRS_HOME to /u01/app/12.2.0/grid?[y/n][y]y
Checking for prompts on myserver18 for oragrid user...
Checking ssh user equivalency settings on all nodes in cluster
Node myserver17 is configured for ssh user equivalency for root user
List of directories(recursive) for checking file attributes:
/u01/app/12.2.0/grid
/u01/app/oradb/product/12.2.0/dbhome_1
/u01/app/oradb2/product/12.2.0/dbhome_1
Removing file attribute related files...
...
親トピック: ファイル属性の変更の追跡とスナップショットの比較
3.1.5.6 2つのレポートの比較
Oracle Autonomous Health Frameworkを自動デーモン・モードで実行すると、最新の2つのHTMLレポートを自動的に比較して、3つ目の差分レポートを生成します。
–diff
オプションを使用します。$ orachk –diff report_1 report_2
$ exachk –diff report_1 report_2
ここで、report_1
およびreport_2
は、次のいずれかのパスおよび名前です。
- HTMLレポート
- 出力ディレクトリ
- 出力zipファイル
差分出力には、検出された変更のサマリーおよび新しい差分HTMLレポートの場所がリストされます。
$exachk -diff exachk_myhost07_scao1007_040716_090013.zip exachk_myhost07_scao1007_040716_100019.zip
Summary
Total : 278
Missing : 0
New : 0
Changed : 3
Same : 275
Check comparison is complete. The comparison report can be viewed in: /opt/oracle.SupportTools/exachk/exachk_040716090013_040716100019_diff.html
差分HTMLレポートには、両方の比較レポートのサマリーが表示されます。
目次から、レポートの主なセクションにすばやくアクセスできます。チェックIDの表示セクションにリストされている様々なチェックIDにアクセスすることもできます。
レポート1とレポート2の違いセクションには、結果が異なるチェックが表示されます。
一意の結果セクションには、いずれかのレポートに一意のチェック結果が表示されます
両方のレポートに共通の結果セクションには、両方のレポートで同じ結果が得られたすべてのチェック結果が表示されます。
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.7 レポートのマージ
レポートのマージは、様々なユーザーが様々なチェックのサブセットを実行してすべてを全体として表示するロール別環境で役立ちます。
–merge
オプションを使用し、その後にディレクトリまたはzipファイルのカンマ区切りリストを指定します。orachk -merge orachk_myhost_mydb_041916_033322_dba,orachk_myhost_mydb_041916_035448_sysadmin
exachk -merge exachk_myhost_mydb_041916_033322_dba,exachk_myhost_mydb_041916_035448_sysadmin
結果のマージされたHTMLレポートのサマリーには、マージ元の収集が表示されます。
マージされた結果が表示されます。
ノート:
Oracle Exachkの場合は、–force
オプションを使用して、dom0
およびdomu
、またはglobal
およびlocal
ゾーンからの収集のマージを強制します。
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.8 一時ファイルおよび一時ディレクトリの保守
Oracle OrachkおよびOracle Exachkは、コンプライアンス・チェックの実行中に、いくつかの一時ファイルおよび一時ディレクトリを作成します。
Oracle OrachkおよびOracle Exachkによって、様々なファイルを含む出力ディレクトリが調査用に作成されます。出力ディレクトリと.zipファイルの合計サイズは5 MB未満です。ただし、サイズは、評価されるOracleスタック・コンポーネントの数によって異なります。
自動デーモン・モードでコンプライアンス・チェックを実行している場合は、古い収集をパージするようにcollection_retention
期間を設定します。
オンデマンド・モードまたはサイレント・モードでコンプライアンス・チェックを実行している場合は、結果出力をパージするプロセスおよびプロシージャを実装する必要があります。
- 累積データファイルの削減
累積データファイルを削減するには、この項で説明するOracle ORAchkおよびOracle EXAchkのオプションを使用します。
関連トピック
親トピック: レポートと出力の理解および管理
3.1.5.8.1 累積データファイルの削減
累積データファイルを削減するには、この項で説明するOracle ORAchkおよびOracle EXAchkのオプションを使用します。
次の3つのオプションを使用できます。
- デーモンなしの
RAT_PURGE_SIZE
環境変数の使用 - デーモン・オプション
COLLECTION_RETENTION
の使用 - 手動削減
ノート:
Oracle Health Check Collections Managerリポジトリまたはtfa_web
にアップロードしても、累積データファイルの削減は実行されません。
親トピック: 一時ファイルおよび一時ディレクトリの保守
3.1.5.8.1.1 デーモンなしのRAT_PURGE_SIZE環境変数の使用
構文
export RAT_PURGE_SIZE=size_in_MB
たとえば:
export RAT_PURGE_SIZE=2048
この環境変数が設定されると、現在のOracle ORAchkまたはOracle EXAchkの実行が完了した後、次の2つの条件に基づいて、Oracle ORAchkまたはOracle EXAchkが起動された作業ディレクトリ内のファイルが削減されます。
- Oracle ORAchkまたはOracle EXAchkの実行が開始された作業ディレクトリの合計サイズが、構成されたしきい値を超えています。
- 作業ディレクトリに、現在のOracle ORAchkまたはOracle EXAchkの実行時点から24時間以上経過したファイルがあります。
Oracle ORAchkまたはOracle EXAchkは、前述の条件を満たすdate-and-timestampサブディレクトリおよび対応する*.zip
ファイルを削除します。
たとえば、簡潔にするために*.zip
ファイルを使用しない場合:
du -hs .
1.6G .
[root@randomclient02 autopurge]# ls -l | egrep ^d | egrep exachk_
drwxr-x--- 9 root root 282624 Mar 26 09:46 exachk_randomclient02_PDB1_032619_090342
drwxr-x--- 9 root root 278528 Mar 26 10:33 exachk_randomclient02_PDB1_032619_095101
drwxr-x--- 9 root root 270336 Mar 26 11:16 exachk_randomclient02_PDB1_032619_103421
.
.
.
drwxr-x--- 9 root root 282624 Mar 26 15:03 exachk_randomclient02_PDB1_032619_141952
drwxr-x--- 9 root root 294912 Mar 26 15:48 exachk_randomclient02_PDB1_032619_150534
drwxr-x--- 9 root root 286720 Mar 27 08:00 exachk_randomclient02_PDB1_032719_071614
export RAT_PURGE_SIZE=1024
exachk
実行の完了後:
[root@randomclient02 autopurge]# du -hs .
1.5G .
[root@randomclient02 autopurge]# ls -l | egrep ^d | egrep exachk_
drwxr-x--- 9 root root 270336 Mar 26 11:16 exachk_randomclient02_PDB1_032619_103421
drwxr-x--- 9 root root 290816 Mar 26 11:59 exachk_randomclient02_PDB1_032619_111713
.
.
.
drwxr-x--- 9 root root 294912 Mar 26 15:48 exachk_randomclient02_PDB1_032619_150534
drwxr-x--- 9 root root 286720 Mar 27 08:00 exachk_randomclient02_PDB1_032719_071614
drwxr-x--- 9 root root 282624 Mar 27 10:36 exachk_randomclient02_PDB1_032719_094859
2回の実行がパージされましたが、サイズは1 GBに削減されませんでした。
drwxr-x--- 9 root root 282624 Mar 26 09:46 exachk_randomclient02_PDB1_032619_090342
drwxr-x--- 9 root root 278528 Mar 26 10:33 exachk_randomclient02_PDB1_032619_095101
ノート:
現在のOracle ORAchkまたはOracle EXAchkの実行より24時間以上前の作業ディレクトリに十分なファイルがなかったため、この例の削減プロセスでは、ディレクトリの合計サイズは1 GBに削減されませんでした。古いファイルが十分にある場合、削減の対象となるファイル・セットの正確なファイル・サイズに応じて、削減はターゲット・サイズに近づきます。
親トピック: 累積データファイルの削減
3.1.5.8.1.2 デーモン・オプションCOLLECTION_RETENTIONの使用
このデーモン・オプションは、削減の対象となるファイルの日付に対してのみ作用します。設定すると、選択したターゲット日付より古いファイルは、デーモンによって実行されたOracle ORAchkまたはOracle EXAchkの終了時に削除されます。
ノート:
COLLECTION_RETENTION
を日数で指定します。
たとえば、-profile
スイッチを毎時間実行し、ファイルを1日間保持するようにデーモンを設定します。
exachk -id fname -set "AUTORUN_SCHEDULE=* * * *;\
NOTIFICATION_EMAIL=fname.lname@somewhere.com;\
COLLECTION_RETENTION=1;\
AUTORUN_FLAGS=-profile switch"
exachk -id fname -get all
------------------------------------------------------------
ID: exachk.testuser
------------------------------------------------------------
AUTORUN_FLAGS = -profile switch
NOTIFICATION_EMAIL = fname.lname@somewhere.com
COLLECTION_RETENTION = 1
AUTORUN_SCHEDULE = * * * *
------------------------------------------------------------
デーモンを1日以上実行させた後、1日1回の実行でファイル・セットが安定していることがわかります。
[root@randomclient02 retention]# ls -ltr | egrep ^d | egrep exachk_
drwxr-x--- 8 root root 20480 Mar 27 15:03 exachk_randomclient02_032719_150039
.
.
.
drwxr-x--- 8 root root 20480 Mar 28 04:03 exachk_randomclient02_032819_040026
drwxr-x--- 8 root root 20480 Mar 28 15:03 exachk_randomclient02_032819_150022
drwxr-x--- 8 root root 20480 Mar 28 16:03 exachk_randomclient02_032819_160022
ノート:
実際のファイル削減は、削減の対象となるファイル・セットの正確なタイムスタンプと、デーモンによって実行されている現在のOracle ORAchkまたはOracle EXAchkの実行のタイムスタンプによって若干異なります。
親トピック: 累積データファイルの削減
3.1.5.9 他のツールでの複数の結果の使用
オプションで、コンプライアンス・チェック結果を他の様々なツールに統合します。
詳細は、コンプライアンス・チェック結果とその他のツールとの統合を参照してください。
関連トピック
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